2011年1月アーカイブ

第4四半期の国産ナフサ基準価格は45,100円/kl となり、前期比2,400円のアップとなった。


計算根拠は以下の通り。(単位:円/kl)

  輸入平均   基準価格
2009/1Q  24,970  27,000
   2Q  31,294  33,300
3Q  39,185  41,200
4Q  40,544  42,500
2010/1 45,468    
2010/2 46,360    
2010/3 45,249    
2010/1Q 45,702 47,700
2010/4 47,517    
2010/5 49,142    
2010/6 46,421    
2010/2Q 47,655 49,700
2010/7 42,352    
2010/8 39,972    
2010/9 39,695    
2010/3Q 40,699 42,700
2010/10 40,712    
2010/11 42,222    
2010/12 46,634    
2010/4Q 43,100 45,100

基準価格は平均輸入価格に諸掛 2,000円/kl を加算(10円の桁を四捨五入)

なお、第4四半期の輸入価格の平均は下記の通り、752ドル/トンで、12月も804ドルである。
その後の取引価格(2か月後入着)は900ドルに近づき、最近は下落しているが、1月31日には877ドルとなった。

昨年12月ベースでの基準価格は48,600円となるが、1-3月は更に上昇するのは確実である。

 


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    http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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肺がん治療薬イレッサをめぐり、患者と遺族が国と輸入販売元のアストラゼネカに損害賠償を求めた訴訟で、政府は1月28日、東京、大阪両地裁の和解勧告に応じないことを決めた。
アストラゼネカも勧告受け入れを拒否しており、大阪地裁で2月25日に、東京地裁で3月23日に、それぞれ判決が言い渡される。

付記
大阪地裁の2月25日の判決は以下の通り。

アストラゼネカ:警告欄に記載するなどして注意喚起を図るべきだった。
   緊急安全性情報配布(2002/10)前は製造物責任法上の欠陥があり、賠償責任あり。
   原告9人に計6050万円の賠償。2002/10以降服用し死亡した男性の請求は棄却。

政府:添付文書に関する行政指導は必ずしも十分ではないが、当時の知見のもとでは一定の合理性がある。
   国家賠償法上の違法はない。

1995年6月のクロロキン薬害訴訟の最高裁判決は以下の通りとなっており、これに沿ったもの。
「被害が生じても直ちに国家賠償法上の違法性は生じず、許容限度を超えて著しく合理性を欠く場合に違法性がある」

ーーー

イレッサは英国のAstraZenecaが開発した肺がん治療薬で一般名はゲフィチニブ。

厚生労働省は2002年7月、世界に先駆けて、申請から半年で輸入承認した。
2002年8月に発売され、2カ月の間に、1万人以上の患者に投与された。

がんの増殖、転移に関係する分子を狙い撃ちにする「分子標的治療薬」で、正常細胞を傷つける抗がん剤より副作用が軽いと期待されたが、市販開始直後から間質性肺炎などによる副作用死が相次いだ。

厚労省は同年10月、同社に、全国の医療機関に緊急安全性情報を出して注意を呼びかけるよう指示した。

2009年9月現在で、副作用被害者2097人、内、死亡被害者は799人となっている。

2009年現在イレッサを承認している国は、日本を含めたアジア諸国、欧州、およびオーストラリア、メキシコ、アルゼンチン。

これまでの多くの研究・調査の結果から、以下のことが明らかになっている。
・ゲフィチニブは上皮成長因子受容体に特定の遺伝子異常を有する人に対して高い有効性を示す。
・日本人肺癌患者の約30~40%程度にこの遺伝子異常が認められる。

AstraZeneca2005年1月に欧州医薬品局 (EMEA) への承認申請を取り下げたが、EMEAは2009年7月に、成人のEGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺癌を対象にイレッサの販売承認を行った。
FDAは2003年5月に承認したが、2005年6月に新規使用を原則禁止した。

ーーー

イレッサで深刻な副作用を受けた患者と副作用によって死亡した患者の遺族計15人が、国と輸入販売会社のアストラゼネカに損害賠償を求めた訴訟で、東京、大阪両地裁は、原告側の和解勧告の上申書に基づき、事前に協議して、1月7日に和解勧告した。

原告側は、国と同社の謝罪と賠償、抗がん剤副作用死を対象とした被害救済制度の創設--などを和解内容に盛り込むよう求めていた。

原告弁護団が明らかにした和解勧告要旨によると、両地裁は、厚生労働省がイレッサを承認し、同社が販売を始めた2002年7月から、同省が「緊急安全性情報」を出した同年10月15日にまでに服用し、副作用で間質性肺炎を発症した患者5人(うち4人死亡)について、国と同社には救済する責任があるとの見解を出し、原告らへの和解金支払いを提示した。和解金の額は示されていない。

同日以降に投与され発症して死亡した患者2人についても「訴訟上の紛争の解決を図る見地から、原告と誠実に協議する」として、国と同社に幅広い救済を要請した。

さらに大阪地裁は、製薬会社の責任について「製造物責任法(PL法)上、医薬品の安全性について第1次的な責任を負う」と指摘し、薬害の集団訴訟として初めてPL法に言及した。

製薬会社の責任を重く判断し、国については薬事法に基づき「医薬品の副作用から国民の生命、健康を守るべき責務を負う」とした。

ーーー

アストラゼネカは1月24日、和解勧告に応じず、判決による裁判所の判断を仰ぎたい旨の発表を行った。

イレッサは治療選択肢の限られた進行非小細胞肺がん患者に臨床的なベネフィットを提供してきた。イレッサは肺がん治療医にとって有用な治療選択肢のひとつとして考えられている。

イレッサの発売にあたり、それまでに得られていた安全性情報を踏まえ、発売時の添付文書の「重大な副作用」欄に「間質性肺炎」を記載し、適切に注意喚起を行ってきた。発売後も、得られた安全性情報を法令に従って関係機関に適時・適切に報告するとともに、より安全対策を推進する見地から、早期に緊急安全性情報を発出した。

イレッサ発売時および発売後を通して適時・適切な情報開示を行ってきたと確信している。

厚生労働省は1月28日、以下の見解を発表した。

イレッサ自体は、現在も必要な医薬品として承認され、使用されており、今回の事案は、「薬害」の問題というよりも、副作用の問題、とりわけ、副作用情報の患者への伝え方の問題であると考える。

裁判所の所見で、国の責任が問われているのは、
①治験外の症例を承認の際にどこまで考慮したかという点、
②副作用に関する薬の添付文書への記載が十分でなかった(副作用情報の筆頭ではなく4番目に記載)という点。 

①治験外の症例について:
新薬の承認には治験が必要であり、これには、科学的に評価できるよう、比較のため
条件の整った患者が治験の対象となる。

同じ疾患の患者でも他の疾患を併発するなどの場合は、治験の対象から外れるが、一刻も早く新しい薬の利用を望み、治験外の臨床研究として新薬を承認前に使用するケースも多くある。

今回の所見では、こうした治験外使用の症例から得られるデータをより厳格な審査の対象とすべきということになり、治験外使用がより限定的となることが想定される。
治験と治験外使用(臨床研究)の違いに十分な理解が得られていない。

②副作用に関する薬の添付文書への記載について:
がん患者、特に末期のがん患者にとって間質性肺炎が場合によっては致死性のものであることは、医師にとって周知の事実で、副作用情報の4番目に記載してあったとしても同じこと。
添付文書中の副作用に関する記載について国に責任があったとは言えない。

注)
当初、添付文書の「重大な副作用」の4番目に致死性の肺炎が記されていたが、副作用死が相次いだため、同年10月に緊急安全性情報を出し、肺炎の副作用を「警告欄」に記載するよう改めた。
両地裁はこの点を重視した。警告欄に記された後、死亡者が減少に向かったことも事実。

細川厚生労働相は記者会見で、和解勧告で両地裁が示した所見に従えば、臨床研究として新薬を承認前に使うのが難しくなるとし、「治療の選択肢を狭める恐れがある」と述べた。

所見が副作用情報の筆頭ではなく4番目に記載した点を問題視したことについて「医療現場の常識に合っていない。間質性肺炎が致死性なのは医師にとって周知の事実」とし、国の対応に違法性はないと主張、多くの論点を残したまま結論を急ぐべきでないとし、「全てのがん患者のために(判決を)選択する」とした。

なお、厚生労働省の見解には、今後の対策も記載されている。

現実に、医師から致死性の副作用を引き起こす可能性があるなどの事前の説明を受けず、イレッサを投与され、副作用により亡くなられた患者や遺族の無念さを、どう受け止めるべきかにも十分配慮しなければならない。

これについては、①現場でのインフォームド・コンセントの問題と、②副作用救済制度の対象をどう考えるかという問題の2点で解決の方向性を見出すべきである。

①は現場の当事者間の問題だが、国においても、インフォームド・コンセントの徹底、診療報酬上の取扱いの検討など、政策面での課題を負っていると考える。

②については、現在は抗がん剤は、製薬企業が拠出して運営されている医薬品副作用被害救済制度の救済対象から除外されている。
抗がん剤使用については、重い副作用を理解した上で使用せざるを得ないこと、副作用と死亡の因果関係の判定が難しいことといった理由により、これまで除外されてきた。
国としては、これを政策上の課題と受け止め、十分検討を尽くし、結論を得たい。

注 医薬品副作用被害救済制度

救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害者に対して各種の副作用救済給付を行い、被害者の迅速な救済を図ることを目的とし、医薬品医療機器総合機構法に基づく公的制度として設けられた。

医療費等の給付に必要な費用は、許可医薬品製造販売業者からの拠出金で賄われている。
(医薬品医療機器総合機構の事務費の1/2相当額は、国からの補助金)

一般拠出金は、前年度の許可医薬品の総出荷数量に応じて申告・納付。
付加拠出金は、前年度に救済給付の原因となった許可医薬品の製造販売業者が申告・納付。

給付額
  医療費  自己負担分
  医療手当
  障害年金 1級 年272万円
  遺族一時金 713万円など

ーーー

日本肺癌学会は1月24日、和解勧告に対する見解を発表した。
 
http://www.haigan.gr.jp/uploads/photos/258.pdf

医薬開発が、開発の最終段階においては人における有効性と安全性を、科学性を配慮した上で限られた数の被験者に対して確認した上で承認に至るという手法を取らざるを得ない以上、その精度に一定の限界があることは紛れもない事実です。しかし、そのような現状認識の中でしか医薬承認がなし得ないことも事実です。不確定なこと、予見困難なことに対して過度の責務を求めることによって、新しい医療技術や医薬を迅速に国民に提供することがきわめて困難になることを私達は危惧いたします。

副作用は1番目に記載していなかった事に対して、国とアストラゼネカ社に過失があり、損害賠償を勧めています。しかしながら、その論理は、後の時代になって急速に蓄積されたゲフィチニブに関する多くの知見に基づいた後方視的な批判となっております。
広く国民にご理解いただきたい点は医療の不確実性ということであり、後の時代にわかることをその時代にしていなかったことについて責任を問うのであれば、ただでさえドラッグラグが問題であるわが国の薬事行政のさらなる萎縮、製薬会社の開発意欲の阻喪、ひいては世界標準治療がわが国においてのみ受けられないという大きな負の遺産を後世に残すことは明らかです。
一方で、ゲフィチニブのわが国における早期の承認のおかげで劇的な腫瘍縮小や症状改善を経験され、ゲフィチニブが使えなければ数ヶ月で亡くなられてたであろう患者さんがその後数年も生きられた事例も多く経験されたことも事実であります。

日本臨床腫瘍学会も同日、見解を発表した。
http://jsmo.umin.jp/oshirase/20110124.html

医薬品の使用を含 め、医療は不確実性を伴うものであり、患者さんによりよい医療を行うためには科学的な分析が必要であります。そのため、問題が起きたときに、過去を振り 返って批判的に当時の評価や判断の妥当性を厳しく問うことは必要です。しかし、そのような過程での分析が、実際に使用され蓄積された情報による後知恵に基づく批判に留まっていては、将来の患者さんが負うリスクを低減することには寄与しません。また、今回の裁判所の判断は、現在でも新たな治療法を求めるがん患者さんの切実な思いがあるなかで、新規の医薬品の開発および承認までの期間がさらに延長する危険をはらみ、必要としているがん患者さんの新薬へのアクセ スを阻害することにもなりかねません。

抗がん薬をはじめ、すべての医薬品にはリスクがあり、それを理解した上で医師は医薬品を使用しています。今回の 勧告では、副作用の記載順序に言及されているようですが、記載順序にかかわらず医師や薬剤師は効果のみならず副作用について説明を患者さんに行い、了解を得て治療は開始されるのが医療の現場の状況であります。

新たな治療法や治療薬の開発は、がん患者さんの大きな願いです。また、医薬品の被害を少しでも減らすために関係者が取り組むべきであることは、がん患者さんだけでなくがん医療に携わる医療関係者の願いでもあります。いずれの願いに対しても、科学的に合理性を欠いた対策を取ることは避けるべきです。 

付記

日本医学会も1月24日に会長の見解を発表した。
http://jams.med.or.jp/news/015.html 

この見解発表の前に、厚生労働省が会長に対し、「日本医学会として懸念の声明を発します」との声明文案を渡していたことが、224日判明した。東京・大阪両地裁が「非公開」を要請した和解勧告全文も渡していた。

会長は、「がん治療の一般的な説明などは厚労省の文案を利用したが、文案にあった新薬承認の遅れへの懸念は触れず、独自に副作用への補償を盛り込んだ」としている。
声明の最後は、「現在そして未来の患者さんに禍根を残しかねない今回の和解勧告について、私は強い懸念をいだいています」となっている。


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旭化成は1月25日、韓国におけるアクリロニトリルの増設を発表した。

韓国の100%子会社の東西石油化学の蔚山工場に同社の最新技術プロパン法を採用して245千トンの大型プラントを建設するもので、5月に着工し、2013年1月に商業運転を開始する。

蔚山工場には既存プロセスの230千トンプラントと70千トンのプロパン法の実証プラント(既存プラントを改造)の2プラント合計300千トンの能力があるが、今回の新プラントが完成すると、合計能力は545千トンととなる。

同社のアクリロニトリルの工場は以下の通りで、すべてが完成すると、能力合計は1,195千トンとなり、世界最大のINEOS Nitrilesに迫る。

千トン 製法 備考
水島 300 既存法
川崎 150 既存法
東西石油化学
 
韓国・蔚山
(60) 既存法 ③完成で停止
 70 プロパン法 2007/1 改造してプロパン法実証プラントに
230 既存法 2003/3 200千トン完成、その後増強
245 プロパン法 今回 
(545)
PTT Asahi Chemical
 タイ・マプタプット
200 プロパン法 2011/央 稼働予定
 (旭化成 48.5%、PTT 48.5%、丸紅 3.0%)
合計 1,195

2007/2/7 旭化成、世界初のプロパン法アクリロニトリル工場稼動

旭化成は1998年に、米国ソルーシア社(モンサントのファイバー・化学品部門を中心に分離独立)の250千トンAN建設計画に参画し、年間50千トンの引取権を取得したが、現在は引取をしていない。

なお、旭化成は2012年頃に中東でアクリロニトリルを生産する方針を明らかにしている。

2007/4/10 旭化成、中東でのアクリロニトリル事業化を検討

東西石油化学(Tongsuh Petrochemical )は1969年に、米国スケーリー石油 50%、韓国忠州肥料 50%JVとして設立され、アクリロニトリルの製造販売を行った。
その後、1970~75年に韓一合繊が忠州肥料の持分を、旭化成
がスケーリー石油の持分を買収し、両社のJVとしたが、1998年に旭化成の100%子会社とした。

アクリロニトリルのほか、青化ソーダ(40千トン)、アクリルアマイド(10千トン)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸・2Na・2H2O)(3千トン)を生産している。

ーーー

世界最大のINEOS Nitrilesの状況は以下の通り。

INEOS Nitrilesは旧 Innoveneのアクリロニトリル部門で、2005年にINEOSBPからInnoveneを買収した。
1957年にSohio 法アクリロニトリルが開発されたが、SohioStandard Oil of Ohio)はその後、BPとなった。

能力
(千トン)
米国 Lima, OH  190 1960年スタート
Green Lake, TX 544 1981年スタートで2008年に450千トンから544千トンに増強
ドイツ Koeln 320 元はErdole Chemie
2001
年に Innovene が買収により50%から100%とした。
英国 Seal Sands, Teesside 230 IneosBASFの工場を買収
合計 1,284

2008/3/20 INEOSBASFのアクリロニトリル工場買収

 


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甘味料トレハロースを開発したバイオ関連企業の林原グループ4社(林原、林原生物化学研究所、林原商事、太陽殖産)が私的整理の一種「事業再生ADR」(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決)を民間の第三者機関に申請し、受理された。
同社が1月25日に明らかにした。

事業再生ADRは第三者の仲介により、債権者と債務者が話し合いで事業再生計画を作成し、再建を目指す。会社更生法などの法的整理に比べて、手続き期間が短いのが利点。

付記

「事業再生ADR」手続きを申請した林原の第1回債権者集会が2月2日、都内で開かれた。
同社が希望した私的整理を断念し、会社更生法の適用を同日中に申請することが明らかにされた。

林原グループは林原家の同族企業で、1883年に水あめ製造業「林原商店」として岡山市で創業。1994年、でんぷんを糖質トレハロースに変える酵素を発見し、世界で初めて大量生産に成功した。

現在、次のようなユニークな製品を扱う。

食品素材 トレハロース、低カロリー甘味料「マルチトール」、ビフィズス菌増殖効果にすぐれた「乳果オリゴ糖」、フィルムやカプセルに加工できる「プルラン」など
化粧品素材 ブドウ糖を結合させた安定型ビタミンCのAA2G(医薬部外品)、ブドウ糖を結合させ水溶性を高めたヘスペリジン、天然由来の色材天然色材など
医薬品素材 インターフェロン、自己免疫疾患治療薬「インターロイキン18」、抗ガン作用と免疫抑制作用を持つ血液細胞「HOZOT」、酵素・微生物技術から生まれた点滴液の原料の医療用マルトースなど
健康食品素材 天然成分で構成
機能性色素 3万種の色素を保有
試薬

メセナ活動ではチンパンジー研究や恐竜化石の発掘調査を行ったり、美術館の運営を支援している。

林原生物化学研究所類人猿研究センターを設立。また林原の寄付で京大霊長類研究所(愛知県犬山市)に、ヒトに近い類人猿ボノボ専門の研究部門を国内で初めて設置した。
モンゴル古生物学センターと連携し、ゴビ砂漠で調査、新種の恐竜化石やティラノサウルス科の恐竜の子どもの全身化石などを発掘した。
林原自然科学博物館、林原美術館

林原グループは、岡山駅の至近の一等地に約45,000㎡の土地(岡山藩主であった池田家の元所有地)を持っており、ザ ハヤシバラシティとして再開発する構想を発表しているが、進展を見ていない。

メーンバンクの中国銀行の株式をグループ各社で10%以上取得し、筆頭株主となっている。

同族で経営陣を固め、非上場を貫く経営方針で情報公開もあまりしていない。

研究開発志向の会社で、長期にわたり開発投資が先行する事業構造になっており、金融機関からの借り入れで資金調達を進めてきたが、景況悪化で保有する土地や有価証券の資産価値が劣化し、資産規模に対して債務が膨らむ状況に陥った。

林原の借入金総額は約1400億円で、メーンバンクの中国銀行の420億円のほか、住友信託銀行の280億円など取引銀行は約30行。

同社は1991年ごろから2001年まで300億円近い架空売り上げを計上し、損失を隠していた疑いがあるという。

同社は1月26日、最近の業績を発表した。

不正経理問題については、専門家も交えて調査を行っているとしているが、事業自体は堅調に推移してきているものと認識していると述べている。

(単位:百万円) 平成2010月期 平成2110月期 平成2210月期
売上高 28,333 28,268 28,113
営業利益 2,818 3,678 4,511
経常利益 265 575 1,218

中国銀行は「同社グループの事業性及び県における高い貢献度を考慮し、主力行として相応の支援及び協力を行う方針で検討している」としているが、他行の反応は複雑とされ、ADRが成立するかどうかは予断を許さない状況。

石井岡山県知事は「大変驚いている。本県を代表する老舗企業であり、研究開発型企業として大きな役割を果たしてきた。早期の再生を望んでいる」とコメントした。

ーーー

同社の歴史は以下の通り。

1883年 林原商店創業  
1935年 酸麦二段糖化法による新しい水飴の製造法完成  
1946年 カバヤ食品 創業、水飴を使ったキャラメル等の販売 1979年 林原グループより離脱・独立
1959年 世界初の酵素糖化法によるブドウ糖の工業化に成功 バイオ分野へ進出
1961年 前社長の死亡で現社長が社長に就任 「デンプン化学」(ファインケミストリー)進出
1968年 酵素法による高純度マルトースの新製法開発
  点滴のエネルギー補給剤、低カロリー甘味料原料
医薬品分野進出
1973年 プルラン(多糖)の開発に成功 30年後に生分解性プラスチックとしてブレーク
 リステリン・フィルム、カプセルなど
1978年 虫歯になりにくいカップリングシュガー(オリゴ糖)の製造技術開発  
1979年 1FNなど各種生理活性物質の工業的生産技術の確立  
1990年 安定型ビタミンCの大量生産技術開発  
1994年 酵素法によるトレハロースの安価・大量生産技術の開発
  それまでは酵母から抽出しており、非常に高価
  28千株をテストして耐熱酵素を発見
現在、年間3万トン生産
約1万種類の食品で使用
1995年 新規サイトカインlL-18を発見  
2002年 環状四糖の大量生産技術の開発  
2005年 新規環状四糖を発見  
2006年 新規環状五糖を発見  
2006年 抗ガン作用と免疫抑制作用を持つ臍帯血由来の血液細胞「HOZOT」の発見  
2007年 文化財補修用の古糊の製法(10年かかる熟成を2週間で)  
2010年 「トロイの木馬」型 新抗癌メカニズムを発見
T細胞「HOZOT」(ホゾティ)が、癌細胞を選択して、その中に積極的に侵入し、内部から癌細胞を死滅させる現象の確認
 

林原の研究・経営哲学は非常にユニークである。

「研究に関しては10年かけてもいいから独創的な研究を」というのが経営方針で、オーナーのこの意見が反映できるよう、株主の意見に左右されないよう、非上場を続けてきた。

「ニーズは考えない」、
「自分たちで市場を創る、No.1でなく Only1を目指す」、
「あきらめなければ失敗ではない」
が同社のモットーである。

一般企業のようにニーズから入るのではなく、①最も得意な分野で他社がしないこと、新しいものを目指し、②持っている知識、技術を最大限発揮し、③新しいモノを見つけたら、大量生産技術を確立する。④そのあとで、ニーズを考え、自分たちで市場を創るというやり方をとっている。

「No.1」でなく「Only1」を目指しており、下記の実績がある。

世界にないモノ カップリングシュガー、プルラン、乳化オリゴ、糖転移ビタミンC、
環状四糖、環状五糖
世界にない製法 インターフェロンα、インターフェロンγ、トレハロース

「あきらめなければ失敗ではない」とし、プルランでは30年後に新しい需要を見つけている。

トレハロースでは最初にみつけた酵素が熱に弱く問題があったため、耐熱酵素を探したが、なんと28千株をチェックしてようやく見つけたという。

資料:武田計測先端知財団の2008年2月「武田シンポジウム2008」の記録   「選択」 

ーーー

オーナーの意向、理念が強力に反映されている。
そのための非上場は理解できるが、自己資金の範囲ならともかく、多額の借入金での運営は無理があると思われる。

林原は1月27日、創業家出身の林原健社長と弟の靖専務が辞任すると発表した。今後、研究方針も変更される可能性がある。
後任の社長には、福田恵温・林原生物化学研究所常務が就く。(上記シンポジウムでのスピーカー)

NHK教育テレビの番組「仕事学のすすめ」で2月に林原健社長が出演する予定だったが、NHKは急きょ放送内容変更を検討している。


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田辺三菱製薬は1月26日、同社が製造販売する下記の3製品6品目の一部ロットを自主回収すると発表した。

 プロスタグランジンE1 製剤 リプル注   5μg、10μg
 合成副腎皮質ホルモン剤 リメタゾン静注   2.5mg
 注射用ニューキノロン系抗菌製剤 パズクロス注   300、500、パズクロス皮内反応用セット

対象製品は、同社の100%子会社の田辺三菱製薬工場の足利工場で製造されたもの。

「医薬品の品質管理に関する省令」で、国の承認を受けた医薬品について出荷前に安全性の最終確認をするための品質試験を義務づけている。
しかし、同工場の品質管理部で4製品の試験の大半を1人で担当していた社員は2007~10年の約3年間、必要な試験十数項目のうち4項目について実施しなかった疑いがある。試験は、製品の不純物が基準値以下かなどを調べるもの。

昨秋、この社員が試験を実施していないとの疑惑が社内で浮上し、昨年末から田辺側が依頼した外部の弁護士チームが調査を実施。調査結果を、田辺側が1月24日に厚生労働省に報告した。

報道によると、子会社従業員の内部通報などで調査をしたが、同社では一旦、「事実なし」と認定した。
子会社従業員が報道機関に内部告発、報道機関の問い合わせを受け、社外調査委員会が事実を認定した。

一つの試験項目は、使うべき備品の数に比べ購入量が少なかったことなどから、「全体の77%は実施していない」と判断。記録では必要な試験は行われたことになっているため、虚偽の試験結果が記入されたとみている。
もう一つの項目では、機器の使用記録が3年間で1回しかなかったことなどから「試験を実施したとは思えない」とした。
その他の2項目についても、試験をしたとする社員の説明が「不合理で不自然」などとして、「実施しているとは思えない」との見解を示した。

田辺三菱は「問題なしとした社内調査は、調査のノウハウなどが不十分だった。隠蔽する趣旨はなかった。今後は原因究明などの調査を続ける」としている。

厚生労働省は1月26日、足利工場について、薬事法に基づき栃木県薬務課と合同で立ち入り調査を実施した。同省は薬事法違反の可能性もあるとみて調査を始めた。

同社では参考保存品を用いて品質試験を行うなどし、製品品質に問題がないことを確認しており、これまでに本件に起因する健康被害の報告はないとしている。

大正製薬は、注射薬の末梢循環改善剤「パルクス注」の一部ロットを自主回収する方針を固めた。
これは田辺三菱製薬の「リプル注」と同じもので、大正製薬と旧ミドリ十字(現・田辺三菱)が共同開発し、田辺三菱製薬工場で製造している。大正製薬の医療用医薬品事業では抗生物質「クラリス」に次ぐ主力薬。

田辺三菱製薬の土屋社長は26日、東京都内で記者会見し、謝罪した。原因究明と再発防止策検討のため、有識者による「危機管理委員会」を設置したと明らかにした。

田辺三菱製薬は2007年に田辺製薬と三菱ウェルファーマの合併により設立された。

三菱ウェルファーマは、1998年4月に吉富製薬がミドリ十字と合併し、2001年10月に更に三菱東京製薬と合併してできた会社である。(薬害エイズ訴訟薬害肝炎訴訟はミドリ十字から引き継いだものである。)

田辺三菱製薬工場は、2008年に田辺の子会社の山口田辺製薬(小野田工場)と三菱の子会社MPテクノファーマ(足利工場、福岡県吉富工場)が合併して設立された。
その後、2009年に鹿島工場と大阪工場が三菱田辺製薬から分社化して統合され、現在は5工場体制となっている。

 

ーーー

田辺三菱製薬は、子会社が血液製剤の試験データを改ざんしたとして、2010年4月に厚生労働省から25日間の一部業務停止と業務改善を命じられている。

データが改ざんされていたのは連結子会社のバイファ(北海道千歳市)と共同開発し、バイファが製造、田辺三菱製薬が販売している遺伝子組換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」で、同社は2009年3月にデータ改ざんを公表して5%製剤の承認を返上するとともに、同25%製剤を含めて自主回収している。

 2010/4/13 厚労省、子会社のデータ改ざんで田辺三菱製薬に業務停止命令

これを受け、同社の土屋社長は、CSRレポート2010 巻頭鼎談「社会からの信頼回復に向けて」で、以下の通り述べている。

本件は、単に田辺三菱製薬とバイファの問題ではなく、田辺三菱製薬グループ全体の信頼を揺るがす重大な事態であります。グループの社員一人ひとりが自分自身の問題として考えるべきであるという共通認識のもと、再発防止に向けてグループ全体で真摯に取り組み、社会からの信頼回復に努めております。

医薬品の創製や提供を通じて社会に貢献することを再認識できるよう、社員のコンプライアンス意識をさらに高めていきたい。さらには、研究や開発、営業をはじめ、社内のあらゆる部門で、今までやってきた業務を見直し、全社的なチェック体制を整えることが必要ではないかと思います。

 


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三菱商事は1月24日、インドネシアのSulawesi島で、同社が主体のDonggi-Senoro LNG(DS LNG)を事業主体とするLNG製造・販売事業(Donggi-Senoro LNG project)の最終投資決定をしたと発表した。総投資額は約28億ドルとなる。

このプロジェクトは東南アジア最大の天然ガス資源国で世界第3位のLNG輸出国であるインドネシアでのBontangPT Badak NGL)、ArunExxonMobil)、Tangguh(後記)に次ぐ第4LNGプロジェクトで、三菱商事にとってはTangguhに次ぐ2つ目のLNG計画である。

また、当初から三菱商事が計画を主導、完工後はプラント操業の主役を担うという本邦企業初の試み。

付記
三菱商事は1月31日、インドネシア民間最大手エネルギー会社であるMedco Energy Internationalより、同国中部Sulawesi州に位置するSenoro-Toili天然ガス鉱区権益を20%保有するTomori E&Pの全株式を260百万米ドルで取得したと発表した。
これにより、同社はDonggi-Senoro LNGプロジェクトの上流から下流にわたるLNGバリューチェーンへの関与を通じてプロジェクトの一体運営を行う。

PT. Donggi-Senoro LNGの概要は以下の通り。

事業内容 LNG製造・販売
設立 2007年12月28日
株主構成 Sulawesi LNG Development59.9%←当初三菱商事 51%
 (三菱商事 75%、韓国ガス公社 25%)
PT Pertamina Hulu Energi 29%
PT Medco LNG Indonesia  11.1%←当初 20%
LNGプラント建設地 Uso area, Sulawesi Island
能力 LNG 年200万トン
コンデンセート 原油換算日量47千バレル
天然ガス
 (Sulawesi島東部)
Matindok ガス田 Pertamina 100%           
Senoro-Toiliガス田 Pertamina 50%
Medco
  50%→Tomori E&P(三菱商事)20%
         
Medco E&PMedco30%

DS LNG
2014年より年間約200万トンのLNGおよび随伴コンデンセート(原油換算約47,000バレル/日)の製造・販売を開始する予定で、LNGプラント建設のEPC契約を日揮との間で締結する。

DS LNGは中部電力(年100万トン)および九州電力(30万トン)とLNG長期引き取りに係る基本合意に達しており、韓国ガス公社(70万トン)とも長期引き取り契約の交渉最終段階に入っている。韓国ガス公社は、三菱商事が今回事業主体として設立する特定目的会社(SPC)のSulawesi LNG Developmentに共同事業者として25%出資する予定。

三菱商事は2007年10月に国際石油開発帝石と共同でMI Berauを設立した。(三菱商事56%、国際石油開発帝石44%)

MI BerauTangguh LNGに16.30%を出資するとともに、プロジェクトの中心的鉱区であるベラウ鉱区の約22.9%権益を取得している。

Tangguh LNG 株主
BP 37.16
MI Berau B.V. (三菱商事、国際石油開発帝石) 16.30
 中国海洋石油総公司 (CNOOC) 13.90
 日石ベラウ石油開発
  (新日本石油開発、石油天然ガス・金属鉱物資源機構)
12.23%   

三菱商事と石油資源開発は2007年3月、インドネシアの大手石油会社であるPT Energi Mega Persada Tbk(EMP)100%子会社のEnergi Mega Pratama(EMPI)に共同で資本参加することによりジャワ島東部のKangean鉱区の権益を取得することに合意した。EMPIには三菱商事と石油資源開発がそれぞれ25%出資する。

同鉱区における開発生産作業は、石油資源開発と三菱商事の2社が主導する。

ーーー

インドネシアでは東京ガスが2010年3月に同じSulawesi島でのSengkang Projectへの参加とLNG購入の基本合意書を締結した。
相手は
Sengkang Projectを推進している豪州のEnergy World

本プロジェクトは区域内で採掘された天然ガスを利用して、インドネシア初の民間による天然ガス発電事業を1997年から行っている。(現在 19.5kW2011年拡張後 31.5kW

LNG生産プラントは、年間生産能力50万トン4基並列で、年間200万トンの LNG2011年から生産する予定。

東京ガスは、Energy World100%保有するガス田開発会社、Sulawesi島内発電会社、LNG生産会社の3事業会社、および今後設立する予定のLNG販売会社の株式を、各25%取得することで協議する。

また、本プロジェクトから生産されるLNGを、2012年以降に年間で50万トン購入することについても協議する。


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DSMとロシアのKuibyshevAzot OJSC KA社)は120日、戦略的提携を発表した。

両社はロシアに次の2つのJVを設立する。

PA6のコンパウンドとフィルムの(ロシア、CISでの)マーケティングと販売のJV
 DSM Engineering Plastics 51%出資

TogliattiにあるKA社のコンパウンド工場をJV化する。
   
DSM Engineering Plastics 80%出資
   (これにより、
DSMはロシア、CISで製造する最初の欧州のPA6メーカーとなる。)

合わせて、KA社はDSMからシクロヘキサノンの製造技術のライセンスを受ける。
最新技術導入により、
TogliattiにあるKA社のカプロラクタム工場に適用、能力増強を図る。

DSM15年間、ライセンス収入を得るとともに、増産分の一部の引取権の交渉をするとしている。

参考 シクロヘキサンー(酸化)→シクロヘキサノン→カプロラクタム→PA6

ーーー

PA6を中心とするEngineering plastics DSMのコア事業の一つ。

DSM20102月に、三菱化学との間で、DSMPC事業と三菱化学のナイロン事業の交換契約で合意している。

   2010/3/3 三菱化学、DSMとの高機能樹脂事業における事業交換契約に合意 

DSMは2007年に新しい戦略 Vision 2010 Building on Strengths strategy を発表した。
Life Sciences Materials Sciences へのシフトを進めるとし、非コア事業の処分計画を進めるとともに、コア事業では買収と提携を検討するとした。

2007/10/3 DSMの経営方針
2011/1/5 DSMMartek Biosciencesを買収 再構築をほぼ完成 

今回の提携はこれに沿ったもので、同社ではロシアでのPA6の需要は今後5年で倍増すると見ている。

ーーー

KA社は2つの事業を行っている。

・カプロラクタム、PA6、ヤーン、Tire cord fabric
・アンモニア、窒素肥料

生産実績は以下の通り。 (単位:千トン、シェアは2007年)

  2000  2009  売上高
 シェア
 
Caprolactam 105 175.3 34% 1974年スタート
ロシアのシェア 50%
Polyamide - 86.6 25% 2003年スタート
ロシアのシェア 57%
Technical yarn - 6.3 2004年スタート
Tire cord fabric - 5.1 同上
硝安 299.8 500.5 33% ロシアのシェア 5%
尿素 193.0 312.6
硫安 307.9 448.4
アンモニア 530.6 556.9 2%  
その他     6%  

2009年の売上高は16,039百万ルーブル540百万ドル)。


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SABIC 2010年決算速報

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SABICは1月19日、2010年の決算速報を発表した。

それによると、営業損益は37,830百万SAR(サウジリヤル)、純損益は 21,590百万SARで、粗利益は前年18,804百万SARの2倍、純損益は同 9,074百万SARの2.4倍と好調であった。

なお、純損益 21,590百万SARは米ドル換算で約 5,760百万ドルになる。

同社では純損益の増加を、ほとんどの石油化学、合成樹脂製品の値上がりと生産量、販売量の伸びによるとしている。
2010年の生産量は前年比12%増、販売数量は9%増となった。 

SABICCEOのMohamed al-Madyは記者会見で、「生産量は今後も増大する。我々は金融危機から立ち直った。2010は成長の始まりであり、2011、2012に成長を続ける」と述べた。

SABICが35%出資するSaudi Kayan Petrochemicals が下半期に商業生産を開始する。
年産
14万トンのアセトンは既に完成し、SABICは1月17日に初出荷した。PC(26万トン)は2月に試運転を開始する。

CEOはまた、戦略に合致する投資機会を引き続き検討するとし、ラテンアメリカを例に挙げた。

営業損益を四半期別にみると次の通り。

原油価格高騰(グラフでは国産ナフサ基準価格で表示)とその結果としての石化製品の国際市況の高騰に応じて増益となり、2008年3Qに最高益を出した。
同社の原料のエタン価格は変わらないため、売価のアップはそのまま利益増となる。

その後の原油価格暴落と金融危機による需要の減で2009年1Qには営業損益はわずか381百万SARにまで落ち込んだ。

2009年2Qからは原油価格が再び上昇、それに応じて利益も増加した。
2010年の損益が原油価格上昇以上に増えているのは生産、販売数量の増による。
(2008年4Q-09年1Qは逆に販売数量の激減による。)

 2010年4Qの国産ナフサ価格 45,000円/klは仮価格。
 (12月輸入価格はMETI発表のエチレン用輸入ナフサ通関実績を使用)

 


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米商務省は1月19日、12月の住宅着工件数を発表した。

季節調整済みの年率換算で529千戸で、550千戸程度との市場予想を下回った。
前月比で4.3%の減、前年同月比で8.2%の減となった。
しかし、先行指標となる住宅着工許可件数は前月比16.7%大幅増の年率635
戸となった。

2010年の年間合計では587.6千戸となった。
1959年の統計開始以来の最低記録を更新した2009年と比べ、33.6千戸の増加となったが、2008年と比べるとまだ、65%の低い水準である。

米国経済の他の分野では改善兆候が見られているにもかかわらず、住宅建設業者は引き続き悲観的見方を維持している。
回復にはかなり時間がかかりそうだ。

ーーー

日本も同様で、2007年6改正建築基準法の施行で着工件数は同年秋に激減した。
その後若干の回復を見たが、2009年以降はその低水準で推移している。
(2010年も810千戸程度の予想で、1996年の半分。)

付記 2010年暦年は813千戸となった。


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中国国家統計局は1月20日、2010年の国内総生産(GDP)が実質で前年比で10.3%伸びたと発表した。
2008年は9.6%、2009年(修正後)は9.2%であったが、3年ぶりに2ケタとなった。

名目GDPは39兆7983億元(5兆8895億ドル)で、日本を抜き、米国に次ぐ世界第2位の経済大国になるのは確実。
(大和総研の試算では、日本の名目GDPは5兆4778億ドル)

第4四半期は前年比9.8%で、エコノミスト予想 9.2%を上回った。(1Q 11.9%、2Q 10.3%、3Q 9.6%)

中国の高成長の原動力は公共事業を柱とする投資で、2010年の都市部の固定資産投資は前年比 24.5%の増となった。(2009年は30.4%)

また、既報の通り、2010年の輸出額は過去最高の1兆5779億ドルで、2009年に続いてドイツを上回り、世界一となったとみられる。

2011/1/11 中国の2010年貿易収支

しかし、国家統計局の馬建堂局長は発表に当たり、次のように述べている。

中国の経済規模が増加し、ランクが上がったことは、改革開放の勢いある活力の現われだ。

しかし、中国の発展モデルは依然として粗放であり、単位GDPあたりのエネルギー消費量、水・資源の消費量はまだ大きく、中国は経済発展の質の向上に向けてまだ多くのことをしなければならない。
また、中国は人口が多く、一人当たりGDPはまだ下位にランクインしている。世界銀行の2009年のデータによると、213の国と地域のうち、中国の一人当たり国民所得は124位だった。

同時に発表された12月消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比 4.6%であった。うち、食品は9.6%で、いずれも11月よりは鈍化した。
CPIは年間では3.3%のアップで、政府の年間目標 3%を上回った。

生産者物価指数(PPI)は年間で5.5%のアップとなった。(12月は5.9%)

インフレ抑制のために中国が人民元の自発的切り上げをするのではないかとの見方が現れている。

 


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資源エネルギー庁とロシア国営ガス会社Gazpromは1月17日、ロシア東部での協力推進に関する合意文書に調印したと発表した。

合意は、ウラジオストク周辺における天然ガス利用と、ウラジオストク周辺からアジア太平洋諸国の需要家に向けた天然ガス及びガス化学製品の輸送・販売に関する共同FSの実施を内容とするもの。

具体的には、
・ウラジオストク周辺における
LNG製造プラント建設に関するPre-FEED初期設計前段階)、
CNG(圧縮天然ガス)生産・海上輸送、
・ガス化学製品の生産
に関する共同FSの実施が予定されており、これらは2011年末までに完了する予定。

LNGの主成分であるメタンは圧力をかけても常温で液体にはならないため、温度をマイナス162℃の極低温にすることにより、液化して体積を1/600にする。

CNG(圧縮天然ガス)は天然ガスを気体のまま高い圧力で圧縮したもの。天然ガスは、化石燃料の中でCO2の排気量が最も少なく、また煤塵、SO×の排出もほとんどなく、NO×低減も行いやすいクリーンなエネルギー。
これを燃料に使う天然ガス自動車は世界で約120万台が走行している。

双方はまた、2005年に締結した協力に関する枠組み合意を5年間延長した

Gazpromは、世界最大のガス生産規模を誇るロシアのガス会社で、天然ガスの年間生産量は4,615億m3、年間輸出量は2,205億m3(いずれも2009年)。

ーーー

Gazpromと資源エネルギー庁は、2005年11月21日に、5年間の協力に関する枠組み合意を締結した。
この合意は、双方のガス分野における協力の主な方向性を定めたもので、協力の実施機関として、共同調整委員会が設置されている。

2009年5月にPutin首相が訪日した際、Gazpromと資源エネルギー庁、及びFSを担当する伊藤忠商事、石油資源開発(JAPEX)が、ウラジオストク周辺におけるLNG/CNG製造プラント建設に関するプレFSに関するMOUに署名した。

プレFSの結果は、2010年7月にサンクト・ペテルブルグでの第5回共同調整委員会で検討された。
今回の合意書は、プレFSの結果を受けて、従来のMOUを発展させて締結されたもので、実際には2010年7月に大筋合意していたが、11月のメドベージェフ大統領の国後島訪問の余波もあり、11月中旬のガスプロム社長の訪日が中止となるなど、正式調印が後ズレしていた。

ーーー

アジア太平洋諸国へのガス供給増加を目指しているGazpromは現在、サハリン南端のPrigorodnoyeにあるロシア唯一のLNG施設(サハリンエナジー所有)を通じて日本にサハリン2の天然ガスを供給している。

サハリン2プロジェクト

事業主体 Shell 55%→27.5%-1株
Gazprom 0%→50%+1株
・三井物産 25%
→12.5%
・三菱商事 20%
→10%
投 資 額 200億ドル
開発鉱区 ピルトン・アストフスコエ、ルンスコエ
推定可採
埋蔵量
①原油 10億バレル
②天然ガス 4,080億立方メートル

<石油>プリゴロドノエまでパイプラインで運搬後、新設港湾よりタンカーで日本等へ輸出
<ガス>プリゴロドノエまでパイプラインで運搬、同地で液化後、LNGをタンカーで輸出

Gazpromは、LNG輸出事業の一環として、サハリンからハバロフスクを経由しウラジオストクに延びるガス輸送用パイプラインの敷設を進めている。プリゴロドノエに次ぐ国内2番目のLNGプラントをウラジオストクに建設し、LNGを輸出する計画である。

付記 2011年9月8日、プーチン首相が出席し、稼働式典が行われた。
    全長約1800kmで、当初の輸送能力は年60億立方メートル。


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Evonik(旧 Degussa)はこのたび、インドでのHPPOプロジェクトに関し、インドのソーダ会社 Gujarat Alkalies and Chemicals Limited GACL)と覚書を締結した。

EvonikUhdeが共同開発した過酸化水素法プロピレンオキサイド(HPPO)をGACLが建設し、過酸化水素工場をEvonikが建設するもの。GACLの拠点のインドGujurat Dahej に建設する。

ーーー

HPPODowBASFが共同で開発し、過酸化水素についてはSolvayが協力している。
DowBASFはアントワープでJVHPPOを生産している。
   
2009/3/12 ダウとBASFのHPPO法PO生産開始

Dow Chemical はまた、タイのSiam Cement Group (SCG)とのJVMTP HPPO ManufacturingHPPO工場を建設している。
   
2008/6/16 Dow、タイで過酸化水素法PO工場建設 

ーーー

Evonikはこれとは別に、Uhdeとの共同開発でHPPO製造技術を開発した。

Evonikは世界第二位の過酸化水素メーカーで、欧州、北米、南米New Zealand、韓国、南ア、インドネシアで合計年産60万トンの過酸化水素を生産をしている。

同社は2001年にUhdeとの間でHPPOプロセスの独占パートナーシップを結んだ。
Evonikがプロセスや触媒を担当、Uhdeが設計、建設を行うもの。

ドイツのHanau-WolfgangEvonikの工場にパイロットプラントを設置し、研究を行った。

プロセスは以下の通りで、詳細は下記参照
  
http://www.uhde.eu/cgi-bin/byteserver.pl/archive/upload/uhde_brochures_pdf_en_10000032.00.pdf

EvonikUhdeはこの技術を韓国のSKCに供与し、SKCは蔚山に100千トンのHPPOプラントを建設、2008年にスタートした。

SKCは旧称・油公ARCOで、ARCOPO/SM併産法で180千トンのPOを生産しており、HPPOを加え、POの合計能力を280千トンとした。

なお、Evonikは子会社Evonik Degussa Peroxide Koreaで過酸化水素を製造しているが、201011月、SKCはこの子会社に45%出資し、協力関係を強化した。

インドのプロジェクトは韓国のプラントをモデルとする。

ーーー

GACL1973年にGujarat州政府の Gujarat Industrial Investment により設立された。

同州のVadodaraDahejに工場を有し、苛性ソーダ、塩素、塩酸、クロロメタン、過酸化水素、その他を生産している。

 


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DuPont19日、デンマークの食品用酵素や素材のメーカーのDaniscoを現金58億ドルと5億ドルの債務引き受けの合計63億ドルで買収する提案を行ったと発表した。
この買収により、工業用バイオ技術のリーダーになるとしている。
Danisco側はこの提案を歓迎している。

付記 DuPontは1月21日にTOBを開始した。

DuPont30億ドルを手持ち現金で、残りは借入金で賄う。
買収は第2四半期に完了する予定。

Danisco19世紀末にデンマークでDanish Sugar and Danish Distillersとして設立された。
1960年代後半に砂糖を原料とした果糖の工業的結晶化に成功し、以来フルーツシュガー(果糖)はフィンランドをはじめ、遺伝性糖尿病患者を抱えるヨーロッパ諸国を中心に広まった。
米国では英国のTate & Lyleの技術提携により大量生産を行っている。

Tate & Lyleは穀類を使った甘味料、デンプン、精糖、高付加価値食品および工業用原料、およびクエン酸などを扱っており、工業用デンプンでは世界第一位、SPLENDA®スクラロース(高甘味度甘味料)を製造する唯一のメーカー。
過去10年間で同社のテクノロジーの中核をなす発酵技術を確立し、現在では世界有数の発酵メーカーとして4大陸に17の発酵設備を所有している。

Daniscoは創業当初より乳化剤、食品用香料、食品用酵素などをはじめ、安定剤や乳化安定剤ブレンドといった分野へも進出した。

現在のDaniscoの事業は以下の通り。

分野 部門 製品
Food Ingredients Enablers Emulsifiers, Hydrocolloids その他の食品添加剤
BioActives Cultures 種菌、培養基、凝固剤、酵素
Sweeteners 果糖
Fructofin(ビート):フィンランド工場
Krystar300(とうもろこし):米国提携工場(Tate & Lyle
Industrial Biotech Genencor Bio chemicals projects(工業用酵素)

Food Ingredientsが売上高の67%、Genencorが33%を占める。

同社の業績は以下の通り。(単位:百万DKK) 

2008/5-
2009/4
2009/5-
2010/4
構成比
売上高 Enablers 5,544 5,691 42%
Cultures 1,917 2,072 15%
Sweetners 1,495 1,419 10%
Genencor 4,035 4,524 33%
合計 12,991 13,706 100%
営業損益
(除 特殊項目)
Enablers 646 923
Cultures 320 396
Sweetners 77 20
Genencor 401 616
合計 1,444 1,955

   1DKK14.7円 売上高は約2000億円

DuPontDaniscoの統合で工業用バイオ技術の強化が期待される。

DuPontは既にDaniscoの工業用バイオ部門のGenencorとの間で提携している。

DuPontGenencorは1995年に、コーンスターチからBio-PDO プロパンジオールを生産する発酵生体触媒を開発する目的で提携した。
DuPontは現在、テネシー州にあるDuPont Tate & Lyle Bio ProductsBio-PDOの商業生産を行っている。

DuPont200810月、Genencorとの間で50/50 JVDuPont Danisco Cellulosic Ethanol LLC を設立することで合意したと発表した。
次世代バイオ燃料であるセルロース系エタノールの生産に対する優れた低コスト技術ソリューションを開発・商品化し、
750 億ドルの世界市場機会に取り組むもので、最初の3 年間に14000 万ドルを投資し、まずトウモロコシの茎や芯とサトウキビバガスを原材料とする。将来は、麦わら、様々なエネルギー作物、他のバイオマスを含む多数のリグノセルロース系原料をターゲットとする。

DuPont Danisco Cellulosic Ethanol LLCは20102テネシー州Vonoreでセルロース系エタノール実証施設の開所式を行った。

2010/2/10 DuPont、セルロース系エタノールの高性能生産施設をオープン


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水銀条約とPVC

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水銀条約の制定に向けた政府間交渉委員会の第2回会合が1月24日ー28日に千葉市幕張で開催される。

国連環境計画(UNEP:United Nations Environment Programme)では、国境を越えて広がる水銀汚染と健康被害を防ぐため、2001年以来、地球規模での水銀対策について議論が行われている。

付記 水銀の問題については、石弘之氏がECO JAPANに「大詰めの水銀条約 変わる人類と水銀の“付き合い”」を書いている。
  
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20100514/103826/?P=1 

2009年2月に開催された第25回UNEP管理理事会で、水銀対策についての条約制定のための政府間交渉委員会を2010年に設置し、2013年2月の第27回UNEP管理理事会までに成案を得ることが決定された。

2010年6月にストックホルムで水銀に関する条約の制定に向けた政府間交渉委員会第1回会合が開催された。

この会合の特徴のひとつは、NGOがこの会合に参加し、会議の場で発言して意見表明をすることができるということで、多くのNGOが意見を述べた。 もちろん、決定権はない。

会合の冒頭で、日本は以下の発言を行った。

・水俣病の経験国として、同様の健康被害や環境破壊が世界で繰り返されないよう、今後とも交渉に積極的に貢献
・日本の知見や経験、汚染防止対策、排出抑制技術、水銀代替技術の共有を通じて水銀によるリスクの低減に貢献
・2013年後半に予定される外交会議を日本に招致し、承認される条約を「
水俣条約」と名付けたい。

その後、条約の目的及び内容等(水銀の供給・需要・貿易の削減、水銀廃棄物の適正管理、水銀の保管、大気への排出の削減、普及啓発、能力開発及び技術的・財政的支援等)について、順次各国から意見が述べられた。

各国からの意見を基に、次回の会合に向けてUNEP事務局が、条約に盛り込まれるべき要素を提示、議論に必要な様々な情報を整理すること等が決定された。

千葉で開催される第2回会合では水銀条約の原案が提示される。

1月7日付け毎日新聞はこの骨子を報じている。

・目的 水銀と水銀化合物の人為的排出から健康と環境を守る。
・供給削減 鉱山から採掘した水銀を禁輸する。
保管 新たに策定する方針に基づき、適正管理する。
貿易 輸出通知書の提出と、輸入同意書を取り、認められた場合のみ輸出できる。
水銀添加製品の
 使用
付属書で適用除外用途として登録しない限り、製造、流通を認めない。
大気への排出 最良技術の適用を義務づけ。年間排出量の多い国は削減目標と行動計画を策定する。

付記
第2回政府間交渉委員会が開かれる前日の1月23日に、NGOが同じ会場で水俣病患者を招いた集会を開いた。
集会では、日本政府が「水俣条約」と命名するよう提案していることに対し、水俣病の被害者や支援者などの団体が声明を発表、「日本政府が、悲劇にきちんと向き合い、本質的解決の道筋が示されない限り、反対する」と主張した。

ーーー

UNEPが 2009年5月に発表したアジアの水銀使用の状況は以下の通り。
  (2005年ベース、輸出製品含有を含む。単位:トン/年)

中国 東アジア
東南アジア
(除 中国)
南アジア
小規模金 120240 288384 312
カーバイド法VCM 700800  ー   ー 
水銀法電解 ー  48 3540
電池 150200 5070 3050
虫歯治療材 4555 2531 2232
計測器 280310 2030 4050
照明(蛍光灯など) 6070 2025 2025
電気器具 3040 1520 2530
その他(農薬、触媒、その他) 4080 3040 2030
合計 14251845 452608 195269

東アジアは日本、韓国など
南アジアはインド、パキスタン、アフガニスタンなど

小規模金採鉱とは途上国で行なわれている人力による零細な金採鉱で、手掘りした金鉱石を水銀を用いて金との合金(アマルガム)をつくり、それを熱して水銀を蒸気にして飛ばし、金を得るという原始的な作業で、ほとんどが非常に貧しい人々が従事し、世界中で家族を含めて1,000万人近くいると言われている。

ここで使用される水銀のほとんどは先進国から輸出されており、水銀の輸出禁止が水銀条約の大きなテーマとなる。

EUと米国は水銀の輸出を禁止した。多くの開発途上国と移行経済国でEU と米国から輸入される水銀の大部分が持続可能ではない方法で用いられていることを示す証拠があるからである。

EU の禁止は2011年に発効する。余剰水銀は世界の市場に出回らないようにするために、同年をもって安全に保管される必要がある。
米国の禁止も2013年に発効する。米国はエネルギー省に対して2010 年までに保管施設を選定するよう求めた。

日本は非鉄精錬の副産物や蛍光灯などの水銀含有製品から年間100トン以上の水銀が回収されるが、ほとんどは余剰水銀として輸出されており、多くが、最終的に途上国の小規模金採鉱で使用されていると言われている。
日本からの輸出先には大きな需要がないはずのシンガポール(2009年 54.2トン)や香港(同 27.6トン)が含まれ、NGOでは転売されている可能性を指摘する。

2009年10月に、国内54団体、海外60団体の計114団体の賛同を得た市民団体共同声明が政府に提出された。
日本は水俣の悲劇を経験しているにも関わらず、残念ながら、非鉄金属精錬、水銀含有廃棄物、その他からの回収により生じる水銀を開発途上国や移行経済国を中心に毎年100トン以上輸出し、結果として、世界の市場に回収水銀を再循環させています」とし、
・「水銀輸出禁止法」を早急に制定すること
回収水銀等、国内で発生する余剰水銀を国内で安全に永久保管すること
などを求めている。

輸入同意書を得ても転売される可能性はあり、日本も輸出を禁止すべきであろう。同時に(売却できることで回収されている)水銀の回収がおろそかになり放置されることは絶対にあってはならない。

ーーー

日本では当初、PVCの製造では、水銀法電解による塩素と、カーバイド法アセチレンからVCMを製造しており、塩素製造とVCM製造プロセスで水銀を使用していた。

  ①水銀法電解

精製塩水を電解槽(陰極に水銀を使用)に送り電気分解する。

陰極(水銀)でナトリウムアマルガム(Naと水銀の合金)を生成、これを解汞塔で加水分解し苛性ソーダを得る。
  Na
+e―→Na(Hg) 
  2Na(Hg)+2H
O→2NaOH+H

陽極で塩素ガス(Cl2)が発生

  ②カーバイド法アセチレン

石灰石を焼いて生石灰に還元。
  CaCO
3→CaO+CO2

生石灰とコークスの混合物をカーバイド炉に投入し、電極放電で得られる2,000度C以上の高温下でカーバイドを製造。
  CaO+3C→CaC
2+CO

カーバイドからアセチレンと水酸化カルシウム(消石灰)を製造。
  CaC
2+2HO→C2H+Ca(OH)2

  ③VCMの製造

    アセチレンと塩酸を塩化水銀(HgCl2)触媒下で反応させ、VCMを製造
      C
2H+HCl →C2H3Cl

その後、下記の経緯で、水銀を使用するプロセスは使われなくなった。

1960年頃に電気の価格の上昇でカーバイドのコストが上がり、採算が苦しくなった。
その頃、EDC法が導入され、各社がこれを採用しようとした。

当時の通産省はVCMの新増設の承認にあたり、①カーバイドのコスト引き下げは難しいので、今後はEDC法などを採用すること、②その場合、古いカーバイド法のS&Bで実施することなどを条件とした。

この結果、その後カーバイド法はすべてなくなった。

水銀法電解についてはその後も使われていたが、1956年5月に水俣病が公式に確認され、その後、水銀が原因であることが分かった。
このため、1973年4月に通産省がソーダ業界に対して非水銀法への転換を要請、1986年までに隔膜法やイオン交換膜法にすべて転換された。その後、1999年には日本の製法はすべてイオン交換膜法になった。

なお、チッソ水俣工場では、アセチレンからアセトアルデヒドの製造工程で使われた触媒の水銀がメチル水銀となり、廃液とともに排出された。

アセチレン(C2H2)+H2 →アセトアルデヒド(CH3CHO)

アセチレンを水に通しただけでは、水和は起こらないので、酸化水銀HgOを加えた硫酸水溶液にアセチレンを吹き込み、上の反応を起こした。
この過程で一部、水銀化酢酸が発生し、これが脱炭酸反応することによりメチル水銀が生成したと考えられる。

昭和電工の鹿瀬工場においても同様である。(新潟水俣病)

昭和電工は1965年に、チッソは1968年に生産を停止した。
(昭和電工は徳山で、チッソは千葉で、エチレン法によりアセトアルデヒドを生産した。)

ーーー

水銀法電解は欧州でも今も使用されている。

ECは2002年7月に塩素業界に対し、水銀排出の自己規制システム導入を要請したが、当時の水銀法能力は600万トンで、全生産量の54%を占めていた。

欧州の塩素の業界団体Euro Chlor20032月の総会で、2020年までに水銀法の能力を全廃する目標を決めた。

2007年にイオン交換膜法の能力は初めて水銀法能力を上回った。

2008/10/8 Solvay、フランスの水銀法電解をイオン交換膜法に転換

ーーー

では、2000-05年の5カ年計画で水銀法電解は廃止され、現在は使われていない。
しかし、カーバイ
ド法PVCについては、エネルギー消費が多いことや環境問題から一時は廃止する動きがあったが、PVC需要の大幅増に対処して、休止中のカーバイド法設備の稼動や新・増設で自給能力を高める方向を目指した。

一方で中国政府は2004年以降、過剰能力、廃棄物対策、公害防止などの理由で、小規模設備の規制を続けてきた。

塩ビ関連では以下の通り。

2004年5月、アセチレン法PVCでは年産8万トン以下(EDC法では20万トン以下)の新設を禁止
同時に、
環境に悪影響を与えると見られる技術の使用禁止とし、禁止品目に水銀法苛性ソーダや毒性の強い各種の農薬・殺鼠剤、シックハウスの原因となる塗料等が含まれた。

2005年12月、アセチレン法PVC禁止を12万トン以下に変更

2006年5月、カルシウム・カーバイド工場について、年1万トン以下の炉、開放型の炉、環境基準に満たない炉は停止
2010年8月、4万トン以下の多数の老朽カーバイド工場に停止命令が出された。

この結果、逆に大規模なアセチレン法PVC設備が多数建設された。
中国工業情報化部(MIIT)によると、現在の中国のアセチレン法PVCの状況は以下の通り。(下記の通達に記載)

2009年末時点で中国に104のPVCメーカーがあり、能力合計は1481万トン、うち、カーバイド法は94で、能力全体の76.5%を占める。カーバイド法の生産量は580万トンで、生産量合計の63.4%を占める。

塩化水銀(HgCl2)触媒はPVCトン当たり1.2kg使用されている。(HgCl2は平均11%含まれる)
2009
年のカーバイド法生産量は580万トンのため、触媒は7000トン使用された。HgCl2は770トン、水銀は570トンとなる。

現在、塩化水銀の回収率は75%で、水銀を含む塩酸等は20%しか回収されていない。

中国での水銀使用のうち、カーバイド法PVCは60%を占める。

中国では最近、水銀や重金属の汚染事故が多発しており、2009年11月には関係省庁が共同で重金属汚染防止の通達を出している。

加えて、PVCと電池の伸びで中国は水銀の生産が追い付かず、50%を輸入に頼っており、水銀条約で今後、世界の水銀鉱山が閉鎖され、輸入できなくなると、供給が断たれることとなる。

しかし中国ではカーバイド法PVCは70%以上を占めており、これをすべてエチレン法に転換するのは無理である。
政府間交渉委員会第1回会合でも、中国は、PVC製造のために石炭を使う必要があり、ある程度の水銀排出はせざるを得ないと主張している。

中国が水銀法の電解を禁止しながら、同じように水銀を使うカーバイド法PVCを禁止しないのは、中国が大量に輸入をせざるを得ない石油を原料とする(エチレン法)のではなく、中国に大量にある石灰石と石炭(コークス)を原料としたいためである。

深刻な環境汚染と水銀の供給問題に直面し、中国石油化学工業協会とクロルアルカリ工業協会は2009年に共同で指針を出したが、工業情報化部(MIIT)はこれに基づき、UNEPの動きも踏まえ、2010年5月31日付で通達261号「カーバイド法塩ビ業界水銀汚染総合防止管理通達」を出した。 
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/n12843926/13249494.html

125カ年計画(2011-15)期間中にカーバイド法PVC業界の水銀の管理を強化し、水銀汚染を防止するもので、
2012年までに低水銀触媒の使用を50%にし、塩化水銀の使用量を25%減らし、使用済み水銀触媒の回収をリーズナブルなレベルで行う
塩酸深度脱吸技術普及率を50%以上とする
2015年までに低水銀触媒の使用を100%にして、使用量を50%減らし、使用済み水銀触媒を100%回収する
というもので、対策等を詳細に述べている。

低水銀触媒は触媒中の塩化水銀の量を半減するもので、新疆天業集団、河北盛華化工青島海晶化工など、20社以上で使われている。

また、いろいろの水銀回収技術や水銀を使用しない触媒の開発も行われている。

しかし、多くの解決すべき問題があり、2015年にまでにこの目標を達成するのは非常に難しい。
また、目標が達成できても、水銀の使用は半分は残ることとなる。



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BP114日、ロシアのRosneftとの間でグローバルな戦略的提携で合意したと発表した。

Rosneft(ロスネフチ)はロシアの石油会社で、ロシア政府が75.16%を所有、残りは公開されているが、国有財産管理庁に管理されており、実質的にロシアの国営企業である。
サハリン、シベリア、
Timan-Pechora行政区、そしてチェチェンを含む南ロシアで石油と天然ガスを生産している。
生産量は原油換算で日量240万バレ
ル。

Rosneft BPの株式5%を購入、見返りにBPRosneft株式 9.5%を購入する。
BPRosneftに発行する株式の価値は現在の株価で約78億ドルになる。両社は持ち合いを長期の、戦略的なものとみている。
(契約上は2年間は売却できず、その後も売却に制限がついている。)

両社はロシアの北極海大陸棚にある3つの鉱区EPNZ 1,2,3)を共同で開発する。2010年にRosneftが権利を取得したもので、South Kara Sea125千km2にわたるもの。英国北部の北海油田と同程度の広さで、同規模の石油産出量が期待できるという。   

付記 その後の情報では、Rosneftは開発JV2/3を所有するが、開発コストの最初の20億ドルはBPが負担する。

BPはメキシコ湾の原油流出事故後に、補償資金の確保のため多くの既存油田の権益売却を進めているが、その一方で、未開発油田の大きいロシアでの事業拡大を目指す。

両社はまた、ロシアに北極圏技術センターを設立し、ロシアや海外の研究所や大学と協力して、北極海の大陸棚から石油を安全に採掘するための技術を開発する。安全性、環境との調和、緊急漏えい対策などのBPの経験と知見を基にする。

両社はKara Sea以外のロシアの北極圏の石油開発についての技術的研究も実施する。

両社は今回、ドイツのRuhr Oel GmbH50/50株主となるが、これ以外にも国際的な協力関係を探る。

Ruhr Oel BPとベネズエラ国営石油会社PdVSA JVであった。
1983年に当時のVeba Oel AG PdVSA JVとして設立され、その後、Degussa Veba を買収したが、2002年にDegussa 親会社のE.On Veba BP に売却した。)

Rosneft 201010月にPDVSA50%持分を16億ドルで買収する契約を締結した。
手続きが完了すれば、Ruhr OelBPRosneft50/50JVとなる。

Ruhr Oel Gelsenkirchenに製油所と石化コンプレックスを持ち、BPのドイツ子会社のBP Refining & Petrochemicalsが運営を受託している。
他に、石油精製会社
MiRO 24%Bayernoil 25%PCK Schwedt 37.5%を保有している。
Ruhr Oel の石油精製能力の持分は合計で年2320万トンで、ドイツの精製能力の20%を占める。

BPRosneft 20061月にロシアの北極圏を評価する共同研究を行っている。

両社はサハリン4とサハリン5プロジェクトを共同で開発中。
    2006/6/6 
「新・国家エネルギー戦略」発表 後半に記載

ーーー

Rosneft
Sinopec とも提携している。

両社は2006 年11 月に戦略的枠組み協定に調印し、TNK-BP (Tyumen OilとBPの合弁)からUdmurtneft(沿ヴォルガ地域)油田を買収、共同経営を開始した。

Sinopec はRosneft からサハリン3の一部 Veninsky oil project の25.1%の権益を取得している。(残り74.9%はRosneft)
なお、Sinopecが最近、開発がうまくいかないとして技術者を引上げたとの情報がある。

ーーー

BPはロシアでは50/50JVのTNK-BPを持っている。

2008/9/9 BP、ロシアの石油JV 経営問題でロシア側に譲歩

 

付記 

Alfa Access Renova を構成する4人の新興財閥が1月27日、BPRosneftとの取引がTNK-BPを除外しているのは、BPTNK-BPの株主協定に違反するとしてロンドンの高等法院(High Court)に訴えた。

TNK-BP はロシアで3番目に大きい石油会社で、BPAlfa Access Renova group 50%ずつ所有している。(付記 正しくは一般株主が5%で、BPAlfa Access Renova group 45%ずつ。)
Alfa Access Renova 下記の3社の連合。

Alfa Group ロシアの新興財閥で、ロシア最大の金融産業コングロマリットのひとつ。
Mikhail Fridman German Khan 50%ずつ保有。
Access Industries ロシア生まれの Len Blavatnik が設立し所有する米国の投資会社で、Basellを買収した。
Renova Holding ロシアの長者番付では第5位のViktor Feliksovich Vekselberg SUALの大株主)のベンチャーキャピタル。

BPRosneft の交渉を直ちに取りやめることを求めており、本件をやめろというのではなく、BPがロシアではTNK-BP通して活動することを求めている。 4人は株主契約がそうなっていると主張している。
4人は特に、詳細を伝えられなかったことに不満を表明している。

これに対しBPは、Rosneftとの取引はTNK-BPの契約に違反しないと主張している。

BP内部では、TNK-BPは北極海での作業に必要な海上掘削の経験がないことを指摘している。

 Rosneft
の会長でPutin首相の腹心で、副首相でもあるIgor Sechinは、この問題は解決するものと信じるとのみ述べている。

Putin首相と腹心のIgor Sechin副首相がバックアップする取引への公然とした挑戦であるとして注目されている。

    ---

2月1日、裁判所は調停での問題解決を命じた。それまで交渉は中断する。
BPは同日、調停にかけることを発表した。


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米国のFirst Solarは1月5日、広東原子力発電集団の100%子会社で太陽光発電を行うChina Guangdong Nuclear Solar Energy Development (広東核太陽能開発:CGN SEDC)との間で、世界最大の太陽光発電を共同で行う覚書を締結した。

First Solarは薄膜CdTe太陽電池を生産している。

同社は2009年9月、公式訪米中の中国全国人民代表大会常委会委員長の呉邦国氏との間で、内モンゴル自治区のOrdosに2000MW(2GW)の太陽光発電所を建設することで合意したと発表した。

・2010年6月1日までに最大出力30MWの実証発電施設の建設を開始
・100MWと870MWの施設をそれぞれ 2014年までに完成
・1000MWの発電施設を2019年までに完成

この計画では固定価格買い取り制度(Feed-in-tariff)により長期間にわたり電力料収入が保証される。

今回の覚書では、First SolarCGN SEDCOrdosに第1段階の30MWの実証発電施設を共同で建設する。

CGN SEDCはこの実証発電施設の事業主体(所有と運営)となり、設計・購買・建設作業を実施する。
First Solarは先端薄膜太陽電池モデュールを提供、建設で支援する。

First Solarによると、第1段階の建設は2011年にスタート、2020年末までに2000MWの発電施設の建設を完成する予定。

ーーー

First Solarは1999年に設立され、2002年に薄膜CdTe太陽電池の商業生産を開始した。

2008年に発電コスト1ワット当たり $1を切り、業界最低コストを達成した。(2010/3Qでは77cent

2010年末時点で能力は1.4GW以上となった。

同社は2007年1月にマレーシアに100MWを建設すると発表、その後、増設を続けている。

同社は2010年10月、米国とベトナムにそれぞれ4ラインを建設すると発表した。合計で約500MWの増強となる。
現在、マレーシアの
Kulim8ライン、ドイツのFrankfurt an der Oder4ライン、フランスのBlanquefortに2ラインを建設中で、2012年には能力は2.7GWとなる。

このほか、カナダのSarnia60MWEnnrodge社が所有)などを建設した。

また、201012月に、完成すれば世界最大となる290MWAgua Caliente projectNRG Solarに売却した。
これは
NextLight Renewable Powerがアリゾナ州Yumaで建設を計画したもので、20107月にFirst Solarが同社を買収した。
First Solarの技術で建設中で、2014年に完成の予定。Pacific Gas and Electric との間で25年の売電契約が締結済みとなっている。

ーーー

CGN SEDC広東原子力発電集団の100%子会社で、2009年8月に設立された。
甘粛省敦煌で10MW、青海省西州錫鐵山で10MWがすでに完成している。

現在、チベット自治区桑日の10MW、寧夏自治区青銅峽の10MW、青海省西州錫鐵山の第2期30MW、内蒙古自治区達茂の20MWなどの建設を開始している。


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La Seda de Barcelona(LSB) 17日、PET子会社のArtenius San RoqueCEPSA Quimicaへの売却が完了したと発表した。201011月に両社で合意したもの。

Artenius San RoquePET能力は175千トンで、2007年2月にLSBがEastman Chemicalから買収した。
  2010/10/29 
Eastman Chemical、PET事業をメキシコ企業に売却 

CEPSAは買収により、ポリエステルのvalue chainを拡大する。
LSBにとっては、これは20097月に同社が決定したRestructuring Plan(下記)の非戦略資産の売却方針の一環となる。

なお、CEPSA200712月にポリエステル原料事業(カナダを含む)をLSBに売却し、見返りにLSBの株式 12% を取得することで合意したが、20081月にLSBの株価が急落したため、この取引は無期限に延期された。

今回の買収で、CEPSAはポリエステル原料事業の売却をやめたものと思われる。

両社の石化事業の状況は以下の通り。

CEPSA Quimica
 
製品 社名 能力 (千トン) 備考
洗剤原料(LAB) Petresa (Spain)   220  
Petresa-Canada   120  CEPSA 51%/SGF* 49%
Deten Quimica -Brazil   220  CEPSA 72%/Petrobras 28%
Polyester 原料
(PTA、DMT、
PIPA: purified isophthalic acid)
Interquisa (Spain) # PTA  750
DMT  80
PIPA 
 30
 
Interquisa-Canada # PTA 500  CEPSA 51%/SGF 49%
Phenol / Acetone/Cumene
Methylamines
Ertisa (Spain) Phenol  550
Acetone 340
(現状は合計で970)
Cumene 800
 
石化製品
(BTX, PX, OX, シクロヘキサン、
プロピレン)
   1,110 2つの製油所で生産
Petrocepsa で販売
   * SGF:Société Generale de Financement du Quebec
# Interquisa:LSBへの売却合意→取り止め
   
La Seda de Barcelona (LSB)
 :
製品 社名   能力 (千トン) 備考
Basic Chemical Industrias Quimicas
 Asociadas LSB
Ethylene Oxide  130 Tarragona petrochemical estate

* product mix
で異なる
Glycols  95
Derivatives  30 / 50 *
PTA Artenius UK (閉鎖予定)  500 2006/10 Advansaから買収
当初
670千トン
2007 1系列 停止
Artenius Sines  700 Sines (Portugal)
2011/
下期完成
2010年第三者増資で41%に減
PET Artenius Prat Spain  170 original plant
Artenius Porgugal Portugal(売却予定)  70 2006/1 Selenisから買収
Artenius Italia Italy  200
Artenius Hellas Greece(売却予定)  80 Volos PET Industryに出資
2007/6 65%にアップ
Artenius UK UK  150 2006/10 Advansaから買収
Artenius Turkpet Turkey(売却予定)  130
Artenius San Roque Spain(売却)  175 2007/5 Eastman Chemicalから買収
合計  ( 975)  
PET
 Packaging
Preforms   UKGermanySpainFranceBelgiumMoroccoTurkeyGreece
PET Resins   Greece
Recycled PET Artenius Green Balaguer Spain
Erreplast Italy
Artenius PET Recycling France France
   

ーーー

LSBの取締役会は20097月にRestructuring Planを決定、12月に株主総会で承認を得た。

今後の5年間で、同社を欧州市場で最初のPET Solutions group にするというもの。

PET Solutions をコア事業とし、包装分野の需要家との緊密な協力で、需要家のニーズを満たし、長期の関係を維持する。

具体的な内容は以下の通り。

1)コスト低減

 物流コスト面から最終需要家に近いプラントが望ましい。
 
San Roque
プラントは大幅なコストダウンが必要で、出来なければ閉鎖もやむを得ない。(最終的に今回の売却に) 

2)非戦略資産の売却

 化学部門の売却とPET能力の最大550千トンの削減、遊休土地の売却
 売却対象としては、
PETPortugalGreeceTurkeyが含まれる。

3)英国Wilton Plant

 原料パラキシレンとEGの供給元が工場を閉鎖する予定で、技術も古いため、閉鎖する。

4)ポルトガルSines Project

 第三者増資により、資金の目途がついた。LSBの出資比率は41%となった。
 最終的には少数株主として計画に参加し、
PTA供給を確実にする。

5)PETリサイクルに注力

 欧州でのシェアを3年で現在の25%から35%に増やす。
 すべての
PET工場でリサイクルを行う。

6)増資 150百万ユーロ


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乳幼児期の集団予防接種でB型肝炎ウイルスに感染したとして、患者らが全国10地裁で国に損害賠償を求めているB型肝炎訴訟で、札幌地裁の石橋俊一裁判長は1月11日、和解協議で国側、原告側双方に初の和解案を示した。 

石橋裁判長は、「集団予防接種などに関する厚生行政上の過誤による被害の救済策として、双方に受け入れられることを希望する」と見解を示した。

付記

細川厚生労働相は1月14日の閣議後会見で「司法の判断を重く受け止め前向きに対応する」などと述べ、政府として受け入れる方針を事実上表明した。

1月22日、B型肝炎訴訟の全国の原告団が東京都内で代議員大会を開き、札幌地裁が示した和解案を受け入れる方針を決めた。

次の問題が残る。(毎日新聞)

民法では、損害賠償請求権は20年が経過すると消滅すると定められているが、2006年の最高裁判決で、慢性肝炎患者の起算点は「発症した時点」とされた。
原告団は、慢性肝炎発症後20年以上経過した患者について、全員の救済を求めていく。
   
和解案では、予防接種でB型肝炎に感染した親から2次感染した子供の立証方法は「改めて協議する」とされ、原告と国の双方が継続協議する。

ーーー

全国B型肝炎訴訟のうち北海道訴訟の第5回和解協議が201010月札幌地裁であり、国側は補償額を、症状に応じて500万~2500万円支払う具体案を初めて提示した。
同じ肝炎でもC型肝炎と差をつけた理由として、国側は「薬害肝炎と比較して因果関係の根拠が乏しく、同水準とするのは不適当」とした。

これに対し患者側は、「B型もC型もウイルスとの闘いに差はない。命に差をつけるのは納得がいかない」と非難していた。

2010/10/15 B型肝炎で政府が補償案を提示

ーーー

今回の和解案は、未発症者(キャリアー)の救済について、法的賠償責任の有無は明示しなかったが、原告がこれまでに支払った検査費用代などとして、国に50万円の支払いを求めた。これまで国側は「法的賠償責任は認められない」と主張し、「差別・偏見による精神的被害を受けてきた」と賠償を求める原告側と対立していたが、双方の主張をくみ取った形。また、50万円とは別に、将来の検査費用なども国の政策上の対応として盛り込んだ。

発症者への和解金は、国側の提示額に上乗せして原告側が主張する薬害C型肝炎並みに近づけた。

和解案の概要と双方の主張との対比は下記の通り。

和解金は
▽死亡、肝がん、重度の肝硬変の原告に3600万円
▽軽度の肝硬変に2500万円
▽慢性肝炎に1250万円
未発症者(キャリアー)には、過去の定期検査などに要した費用として和解金50万円を支払うほか、今後の検査費や交通費、将来生まれた子や新たに同居する家族への検査費を上限つきで助成する
予防接種を受けた証明は、母子手帳や市区町村の予防接種台帳、接種痕などがない場合は、本人や医師の陳述書などで裁判所が総合的に判断する
2次感染者は基本合意の対象とせず、協議を継続する
国側 原告側=C型同様 和解案
死亡・肝がん・肝硬変(重症)  2500万円  4000万円  3600万円
肝硬変(軽症)  1000万円  2500万円
慢性肝炎   500万円  2000万円  1250万円
無症候性キャリアー  検査費助成
 発症時に賠償
 1200万円 和解金50万円
今後の検査費や交通費
和解に要する総額
(国の試算:今後30年間で
発症する患者分を含む)
 約2兆円
  現状 3100億円
  30年間病状進行
      1.2兆円
  検査費 5000億円
 約8.2兆円
  現状    6.8兆円
  病状進行 1.4兆円
今後30年間で3兆円超
救済対象の証明方法  母子手帳
 腕の注射痕など
  (予防接種以外の
   感染の可能性)
 国内居住歴
 (国民のほぼ全員が
  予防接種を受けている)
本人や医師の陳述書などで
裁判所が総合的に判断

C型肝炎については 2008/1/16 薬害肝炎救済法 成立

政府は1月12日、関係閣僚の協議を首相官邸で行い、和解案を受け入れる方向で検討を進めて早期の全面解決を目指す方針を確認した。

但し、和解案の実現には30年で最大3兆円超の財源が必要との試算があり、財源の確保策が最大の焦点となる。
政府内では所得税の特別増税で賄う案なども浮上している。

細川厚生労働相は、「司法が示したことに対し、真摯に検討していくことで一致した」と述べた

原告側は「持続感染者の救済内容は十分でないが、全体としては被害者全員の救済につながる」と評価している。


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チッソは1月11日、「事業再編計画」に記載した事業会社を1月12日付で設立すると発表した。

(1)商  号    :JNC株式会社
(2)主な事業内容  :化学品の製造販売
(3)資本の額    :150百万円
(4)出資比率 :チッソ 100%

今後、同計画に則り、本年3月末を目途として、同社が営んでいる機能材料分野、化学品分野及び加工品分野等の事業活動を継続するために必要な土地、設備など有形・無形の事業財産を今回設立した事業会社に譲渡する予定。

チッソは2010年11月12日、水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づき、同社を補償部門と事業部門に分社化する「事業再編計画」の認可を松本龍環境相に申請し、12月15日に認可を取得したと発表した。

事業開始は2011年4月1日の予定で、同社の創業日が1月12日(1906年、曾木電気)であるところから、1月12日付で設立した。

2010/11/15  チッソ、事業再編計画の認可申請

社名のJNCはJapan New Chissoの意味で、社名をめぐってはチッソ」という名称は一定のブランド力があり、残すべきだとする意見の一方、「チッソ」の名称が残れば「分社化後も水俣病が連想され、事業に支障が及びかねない」との意見があったという。
被害者の中には「チッソ」という名称を使用しないことを「水俣病からの責任逃れ」と受け止める人もいたことから、一定の配慮を示したとみられる。(西日本新聞)

親会社は当面、子会社の株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算する構想。

付記

チッソは2月8日、事業譲渡について、大阪地方裁判所の許可を得たと発表した。

「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」(平成21年法律第81号)第10条には以下の規定がある。

当該特定会社は、会社法の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項であって、前条第一項の認可を受けた事業再編計画に記載されたものを行うことができる。
一  事業譲渡
二  資本金の額の減少

前項の許可があったときは、当該代替許可に係る事項について株主総会の決議があったものとみなす。

同社では、「JNC株式会社」からの配当を受け、事業譲渡後もこれまでどおり水俣病認定患者の補償を続け、また、水俣本部における患者センターの体制を強化し、その活動を一層充実させるとともに、国や関係県が認定患者の福祉の向上を目的に行う諸施策に積極的に協力してまいりますとし、さらに、本年中に、水俣製造所において「竹バイオエタノール」「有機ELの製造」等の事業を立ち上げ、地域経済の振興や雇用の確保に対し、これまで以上に尽力するとしている。

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PetroChinaINEOS は1月10日、INEOS Grangemouth (スコットランド)と Lavera (フランス)をベースとした石油精製・販売のJVを設立する枠組み契約を締結した。

同時にINEOS PetroChinaの親会社のChina National Petroleum Corporation (中国石油天然気集団:CNPC)は戦略的協力契約を結び、石油精製と石油化学の技術をシェアすることを発表した。

Grangemouth と Lavera の製油所はINEOS が買収したInnoveneBPからスピンオフのもので、ともに精製能力は日量21万バレルとなっている。

Grangemouth 製油所はフォース湾Firth of Forth)にあり、North Sea70以上の油田から英国の石油生産の半分以上を輸送する Forties Pipeline System につながっている。ほとんど全ての燃料をスコットランドで販売している。
Grangemouth 製油所に隣接し INEOS の石化コンプレックスがあり、製油所から原料の供給を受け、エチレン、プロピレン、エタノール、ブタジエン、LLDPEPPを製造している。これは今回の交渉の対象外。

Lavéra 製油所はMarseille港の北西部にあり、原油ターミナルに隣接している。製品はパイプラインでフランス、スイス、南ドイツに送られる。

INEOS は経済危機の影響で苦境に陥り、借入契約を延長し、破たんを逃れたが、資金確保のためGrangemouth製油所の売却を図り、2009年春からペトロチャイナと交渉をしていた。

2009/6/24 PetroChina Ineos の製油所を買収?

今回、フランスの製油所も含めて、両社のJVとすることとしたもの。

今後、詳細を詰め、2011年6月末までにJVを設立することを想定している。

付記

PetroChinaの2月1日の発表によると、2つのJVを設立する。
JV1:両製油所の製品の販売会社 PetroChinaが50.1%保有
JV2:両製油所での製造会社 PetroChina 49.9%保有
対価 1015百万ドル

この取引は両社の真の戦略的パートナーシップをつくるもので、INEOSの両製油所の長期的な維持が可能となる。
ペトロチャイナにとっては欧州進出が図れることとなり、また
North Sea 油田の開発に参加する糸口も出来る。

PetroChina2008年5月に新日本石油との間で新日本石油精製の大阪製油所(115千バレル/日)を共同出資会社として運営することで合意した。
2010年10月にJX日鉱日石エネルギーとの間で大阪国際石油精製を設立し、新日本石油精製の大阪製油所を輸出特化型製油所に転換した。

2010/8/31 JX日鉱日石エネルギー、PetroChinaとの石油精製合弁会社設立

PetroChinaはまた、2009年5月に、シンガポールのKeppel Group からシンガポール石油(SPC)の45.51%の株式を全て買収することで合意したと発表した。

2009/5/28 ペトロチャイナ、シンガポール石油株 45.51%を買収

今回のJVが成立すれば、PetroChinaの石油精製での3つ目の海外進出になる。


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中国税関総署は110日、2010年の輸出額が前年比31.3%増の1兆5779億ドル、輸入額が38.7%増の1兆3948億ドルだったと発表した。

輸出入とも2008年の過去最高で、輸出額は2009年に続いてドイツを上回り、世界一となったとみられる。

貿易黒字額は1831億ドルとなり、2009年の1961億ドルから7%縮小した。
税関総署は「中国の対外貿易は均衡に向かっている」とし、貿易黒字は縮小傾向にあるとの立場を強調した。

貿易黒字の縮小は、胡錦濤国家主席の訪米を控え、人民元相場の速やかな上昇を求める米国の圧力をかわす1つの材料とはなるが、対米・EU貿易黒字は増加しており、欧米は貿易不均衡の是正を求める圧力を強めそうだ。

国別の輸出額は、EU向けが3112億ドル(+31.8%)、米国向けが2833億ドル(+28.3%)、日本向けが1211億ドル(+23.7%)で、貿易収支は対EUが1428億ドル(+31.5%)の黒字、対米国が1813億ドル(+26.4%)の黒字、対日本が556億ドル(+68.5%)の赤字となった。

12月単月では、輸出が前年同月比17.9%増の1541億ドル、輸入が25.6%増の1410億ドルで、輸出入とも単月での最高額を更新した。
但し、輸出はエコノミスト予想の22.5%増を下回る伸びにとどまり、逆に輸入は同じく24.5%増を上回る伸びを示した。
この結果、貿易収支は131億ドルの黒字となり、黒字幅は前月の229億ドルから大幅に縮小した。

中国人民銀行(中央銀行)は1月11日、2010年末の外貨準備保有高が2兆8473億ドルと、前年末比18.7%増加したと発表した。
外貨準備高は2006年10月に 1兆ドルを突破、2009年4月に 2兆ドルを突破した。


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台湾の合成樹脂メーカーのTSRC1224日、米国の合成ゴムメーカーのDexco Polymers 168百万ドルで買収すると発表した。
米国と台湾の当局の承認手続きなどを経て、
2011年の第2四半期に手続きが完了するとみている。

Dexco Polymers 1988年にDowExxonmobil Chemical 50/50で設立した。(社名はDow-ExxonMobil Companyから)
DowLouisianaPlaquemineのコンプレックスで、SIS (styrene-isoprene-styrene) SBS (styrene-butadiene-styrene) を生産している。
これらの製品は、アスファルト改質剤や接着剤・シーラントの原料として使用される。

TSRCでは、この買収は同社の技術をアップグレードし、需要家に幅広い製品を供給し、欧米の需要家にも製品を供給するのに役立つとしている。

ーーー

TSRC(当初名はTaiwan Synthetic Rubber Co.)1973年設立の台湾最大の合成ゴムメーカーで、台湾の大社に以下のプラントを持つ。

  現能力  
SBR  100千トン 1977BFGoodrich技術
BR 54千トン 1982年 宇部興産技術 当初40千トン
TPE 54千トン 1988Phillips Petroleumのテキサス工場のプラントを購入、高雄に移転
当初
20千トン
TPR 8千トン  

同社はまた、中国、タイ、インドに進出している。    

詳細は 2010/5/13  LANXESS TSRC、中国でNBR製造 

ーーー

Dowの合成ゴム事業は旧東ドイツのBuna Sow Leuna Olefinverbund を買収したもので、Schkopau に工場をもち、SBR、ポリブタジエンゴム (PBR)、Lithium Lo Cis ポリブタジエンゴム (Li-PBR)、nickel Ziegler-Natta 触媒 Hi Cis ポリブタジエンゴム (Ni-PBR)、エマルジョンSBR (ESBR)、 溶液重合SBR(SSBR)などを製造していた。

スチレン系事業のスタイロンをBain Capital Partnersに売却した際にこれを含めた。

2009/5/21 ダウ、合成ゴム事業の売却を検討
2010/6/18 ダウ、スチレン系事業売却完了

Dexco Polymersについてはスタイロンに含めていなかった。

今回の売却にあたり、Dow CEOAndrew N. Liverisは、「この売却は事業を変質させるという戦略の実行の例であり、今後も、市場志向で技術をベースとした統合会社に向かって進み、安定した収益の伸びを確保する」としている。

なお、Dowは独自のINSITE 技術によるメタロセンEPDM (Nordel)を持っている。
1996年4月にDuPont と50/50JVの DuPont Dow Elastomers に移管したが、2005年1月にINSITE 技術によるポリオレフィンエラストマー(Engage)、塩素化ポリエチレン(Tyrin)などとともにJVから引き取った。

Dowはこれを今後も維持する。

同社は201011月にEPDMの需要の伸びに対応するため、Plaquemine, La 工場のデボトルネッキングにより11千トンの増設を行った。


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LGグループは2010年12月、2011年に過去最大規模の21兆ウォン(約1兆5330億円)を投資することを決めたと発表した。 (以下、1ウォン=0.073円で換算)

2010年の投資額は当初計画では15兆ウォンであったが、LGディスプレーの坡州LCD生産ライン増設とLG化学の自動車用バッテリー生産施設新設・増設に追加投資をし、当初の計画より3.8億ウォン(25%)増の18.8兆ウォンとなった。

今年の投資額はこれを11.7%上回るもので、過去最大となった。

LGグループの具本茂会長は、グループの社長らと来年の事業戦略を協議した際、「未来の準備に対するスピードを上げ、市場をリードする大胆な構想を求めたい」と強調したが、今回の投資計画はこれに基づいている。

主な内容は以下の通り。

分野 投資額 会社 投資の主な内容
エレクトロニクス 14.2兆ウォン
1兆366億円)
LG Display 設備 8世代など大型液晶ディスプレー(LCD)の生産ライン
を新設・増設
R&D アクティブマトリクス式有機EL3Dパネル、電子ペーパー
LG Electronics 設備 太陽電池能力増強(2011年前半に3ライン新設)
  
120メガワット→330メガワット
R&D SmartphoneTablet PC3Dテレビ
LG Innotek 設備 Smartphonecamera module
Tablet PC
用のプリント基板製造設備拡張
R&D 高性能LDE電球
ケミカル 3.6兆ウォン
2628億円)
LG Chem 設備 リチウムイオン電池拡張、液晶ディスプレイのガラス基板
R&D 電気自動車技術、液晶ディスプレイ用先端ガラス基板
LG Hausys 設備 蔚山に省エネ「Low E」ガラス製ライン
R&D
LG Life Science 設備 製薬工場建設
R&D Bio-similar (後発バイオ医薬品)
テレコム 3.2兆ウォン
2336億円)
LG Uplus 設備 Wi-Fi zones (無線LAN)、次世代テレコム
R&D Smart television contentcloud-computing services)、
Mobile advertisements
合計 21.0兆ウォン
(1兆5330億円)
設備 16.3 兆ウォン(1兆1899億円)
R&D 4.7 兆ウォン(3431億円)

ーーー

サムスングループは1月5日、2011年の設備投資と研究開発費などの投資総額を過去最大となる43.1兆ウォン(3兆1463億円)にすると発表した。新事業や主力事業への大規模投資で、未来の成長エンジンの充実化を図る。

2010年実績の36.5兆ウォン(2兆6645億円)と比べ18%増、2009年実績21.1兆ウォンの2倍強となる。

2011年投資計画(日本円換算)
資本 803億円
R&D 8833億円
   
その他投資 6424億円
有機EL 3942億円
液晶パネル 3942億円
半導体 7519億円
(設備投資計) 21827億円
   
合計 31463億円

設備投資のうち半導体が前年比14%減の10兆3000億ウォンで、液晶パネルは同35%増の5兆4000億ウォン。
半導体はDRAM、NAND型フラッシュメモリーのメモリー新工場への毎年の投資を平準化させるため減額となるが、高水準を維持する。

最大の伸び率となるのが有機ELで、前年比4倍弱となる5.4兆ウォン(3942億円)を投じる。

中小型パネルを手掛けるグループ会社、サムスンモバイルディスプレーが忠清南道湯井で7月に新ラインを稼働させる予定で、製造装置などの関連投資を積み増す。このラインは「5.5世代」と呼ぶ大きさのガラス基板を使い、有機ELとしては世界最大規模の生産拠点となる。
生産能力はガラス基板投入ベースで月産7万枚。サムスンは自社製のスマートフォンに組み込んで製品競争力を高める一方、外販も増やすとみられる。有機ELテレビ用のパネルを生産する足がかりとする狙いもある。

このほか、テレビに8,000億ウォン、発光ダイオード(LED)に7,000億ウォンを投じる。

研究開発投資は前年比14%増の12兆1000億ウォン。
有機ELなど次世代技術のほか、3Dテレビなどの開発を強化する。

資本投資には、グループの中核企業、サムスン電子の海外法人の増資や、サムスン物産の海外資源確保に向けた株式投資、M&A資金などが含まれる。

サムスン電子の李健熙会長は1月3日、現在「主力」の事業・製品は全て今後10年以内に勢いが衰えるとして、新たな分野に投資を行わなければならないとの考えを表明、停滞に陥る前に、新事業・製品を確立することが必要だと付け加えた。

三星グループは2010年5月11日に新事業戦略を発表した。

2010年3月に経営の第一線に復帰した李健煕会長主宰で新事業関連社長会議を開き、確定したもので、未来の新事業は、太陽電池、自動車用電池、発光ダイオード(LED)、バイオ製薬、医療機器の5つ、2020年まで23兆3000億ウォン(約1兆9000億円)を投資するというもの。

  2010/5/12 三星グループの新事業戦略

このほか、2011年に大卒や中途などで前年比11%増となる2万5000人を採用する計画も公表した。
このうち、大卒新入社員が9000人、キャリア職が5000人、技能職が1万1000人の予定。
採用の拡大には、韓国を代表する企業として、若者層の失業など雇用問題の解決に向けた社会的責任をとる意思も込められている。

サムスン電子は1月7日、2010年第4四半期の実績予想を発表した。
営業損益は、液晶パネルと半導体の価格下落で、第3四半期比38%減の3兆ウォンの予想だが、2010年暦年では過去最高の17兆2800ウォン程度となり、前年比で58%の増益となる。これは円換算で1兆2600億円となる。

ーーー

これに対して日本の企業の2010年3月期の連結営業損益の予想は、
  パナソニック 3100億円
  ソニー     2000億円
  シャープ     900億円
となっており、大きく差を開けられている。  

既にエレクトロニクスや半導体分野で日本のメーカーが韓国のメーカーに製造委託するケースが増えており、これらの分野を韓国企業に抑えられる恐れが出てきた。

サムスンが有機ELで前年比4倍弱となる5.4兆ウォン(3942億円)を投じるという報道に、山形大学の城戸淳二教授はブログ大学教授のぶっちゃけ話で以下のコメントをしている。
 
  有機EL研究者として、サムスンに拍手。
  日本人として、涙。
  日本のディスプレイパネルメーカー、消滅の年になりそうですね。

付記

李健煕・三星電子会長は1月11日、金浦空港から日本へ向けて出国する前、「三星が日本を抜いたと言われるが、日本企業から学ぶことは何か」という記者の質問を受け、以下の通り答えた。
「外見では三星がリードしているように見えるかもしれないが、中身(部品)で日本に追いつくためには、まだ多くの時間と研究が必要だ。学ぶべきことは多い。ずっと学んでいかなければいけない。」


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イタリアで201111日から、生分解性の袋を除き、レジ袋(single-use plastic bag)が禁止された。
全国で一般の使い捨てのレジ袋が禁止され、生分解性の袋や、布袋、紙袋への切り替えを図る。

禁止は1週間前に環境大臣が確認したが、次のような多くの問題点が指摘されている。
 ・新ルールが明確でない
 ・違反に対する罰則が法定されておらず、地方政府に任せられている
 ・小売業界で準備ができていない
 ・生分解性の袋が高い(通常の袋の
45倍)
 ・生分解性の袋の品質不安(レジで詰める段階で破れる、雨に濡れると破れる?)
 ・欧州レベルで禁止されていないのに先行する理由なし

準備ができていないというのは理由にならない。
法律は
200612月に制定されており、当初は201011日から施行の予定であったが、業界に準備期間が必要として1年間の猶予が与えられていたもの。

生分解性の袋に対する不安不満のため、使い捨てでない袋に向かうのではないかと見られている。

イタリアは欧州の使い捨てレジ袋の約1/5 (年間 200240億枚、1人当たり330枚)を使用している。

イタリアは早くも1989年にプラスチック袋に対する税金を導入した。
捨てられた袋が海岸や海を汚し、イルカが袋を飲み込んで死ぬ恐れがあるというのが理由となった。

イタリア全体の
8,000の市町村のうち、トリノやベニスなど200の市町村がすでにレジ袋を禁止している。
トリノでは従わない業者には
25250ユーロの罰金を課している。

スーパーチェーンのCoopでは2005年に自発的に生分解性袋を導入、2009年には使い捨てのレジ袋を完全にやめている。

なお1月1日以降、販売店では在庫を使い切るまでレジ袋の使用を認められるが、これまでの有償ではなく、無償で配らねばならない。

ーーー

環境問題や資源問題からレジ袋規制の動きは世界中で見られる。

日本では東京都杉並区が2002年、レジ袋1枚につき5円の税金を課す「レジ袋税(すぎなみ環境目的税)条例」を制定した。 
(区の方針転換などもあり2008年6月に条例は廃止され、代わりに2008年4月に「杉並区レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例」を制定した。)

2008/7/11 公取委、「レジ袋一律5円」 一転して「問題なし」に

2008/7/16 中国、「レジ袋規制」を強化

2009/9/28 アイルランド、レジ袋税を2倍に

レジ袋を課税による規制ではなく、販売や使用そのものを禁止している国も多い。

バングラデシュでは捨てられたPE袋が下水を詰まらせるとして、首都ダッカでのPE袋の販売と使用の完全禁止を行った。
インドのムンバイ(ボンベイ) も、薄いプラスチック袋を禁止した。下水を詰まらせ、雨季に町中が水浸しになったのが理由。
台湾では使い捨ての袋や食品容器を提供する業者に対して罰金が課せられる。

 


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BPの原油流出事故で、大統領指名の調査委員会は1月6日、最終報告書の第4章を公表し、最大の原因はBPや油井掘削に携わった企業の「管理の失敗に起因する」との見解を明らかにした。最終報告書は11日に発表する。
Obama
大統領が2010520、この調査委員会を設置した。

  発表文  第4章全文

内容は以下の通り。

爆発は多くの別々のリスク、見過ごし、明白なミスが合わさり、安全対策を上回ったことによるが、多くのミスや見過ごしは管理の失敗に起因する。

BPとコントラクターのHalliburtonTransocean の管理がしっかりしておれば、関係者がリスクに気が付き、連絡し、対応することにより、事故を防げたであろう。
BPだけの問題ではなく、システム全体の問題である。

各社が安全第一を心掛けておれば、事故は起こらなかったであろう。また、もし政府の関係当局がワールドクラスの安全基準を求めておれば事故は起こらなかったであろう。

事故はBPHalliburtonTransoceanのいくつかの個別のミス、見過ごしの産物であり、政府の当局がそれを防ぐための権限、必要な人材、技術的な専門知識を欠いていた。

Transoceanは掘削作業を、Halliburtonはセメント作業(井戸内、または井戸と鉄管との間のセメント作業)を担当。

事故は二度と起こらないような常軌を逸したミスによるのではなく、真因はシステミックなもので、業界の慣行と政府の政策の改革がなければ、再び起こる可能性がある。

技術的ミス、運営上の失敗の例は以下の通り。
・最終段階での井戸のデザインの決定におけるリスク評価が不適切
・井戸の底部をシールするのに使うセメントスラリーのデザインの欠陥
・井戸の底部のセメントシールの評価のための
negative pressure test”で問題が分かったのに、テストの手続きが不十分で、責任者のトレーニングが十分なため、誤って成功と判断した。
掘削した穴から泥を取り除くという不要なことを求めた誤った手続き
 (泥が残っておれば、爆発は防止できた)
・爆発の予兆を見逃した。
・爆発への不十分な対応(爆発防止設備が機能しなかったことに限らない)

これらのミスは避けられたはずのもので、少なくともBPHalliburtonTransocean3社のエラー、判断ミスが原因である。
政府の規制当局も多くの重要な問題をみていなかった。(例、negative pressure test の基本手続きについての規則がない)

意図的かどうかにかかわらず、事故のリスクを増大させることとなった3社の多くの決定は明らかに時間と金の節約になった。
その内容は以下の通り。

  代替案の存在 代替案より
時間節約
意思決定者
Not waiting for more centralizers Yes Saved time BP(陸上)
Not waiting for foam stability test results and/or redesigning slurry Yes Saved time Halliburton (& BP)(陸上)
Not running cement evaluation log Yes Saved time BP(陸上)
Using spacer made from combined lost circulation materials to avoid disposal issues Yes Saved time BP(陸上)
Displacing mud from riser before setting surface cement plug Yes Unclear BP(陸上)
Setting surface cement plug 3000 feet below mud line in seawater Yes Unclear BP(陸上)
US Minerals Management Service が承認
Not installing additional physical barriers during temporary abandonment procedure Yes Saved time BP(陸上)
Not performing further well integrity diagnostics in light of troubling and unexplained negative pressure test results Yes Saved time BP (&Transocean)
(現場)
Bypassing pits and conducting other simultaneous operations during displacement Yes Saved time Transocean (& BP)(現場)

  参考 2010/11/25 BP原油流出事故で新事実

ーーー

この発表を受け、3社は以下のコメントを行った。

BP
報告書は、自社の内部調査と同じく、事故は「複数の企業がかかわる複数の要因によるもの」だったと結論付けている。
今回の事故を教訓に、深海掘削業務の改善に取り組んでおり、既に一部改革を断行し、安全とリスク管理面を強化している。

Halliburton
セメントスラリー(セメントと水の混合液)は
BPの仕様どおり調合されており、最終的な実験でも問題はなかった。
委員会は会社が提出した無罪を証明する証拠を意識的に除外している。

Transocean
爆発直前までの数時間に取られた手続きは、
BPのエンジニアが考案・指示し、連邦規制当局による承認を事前に得たものだった。当社の作業員は、入手し得る限られた情報を基に、事態を掌握するための適切な措置を取った。

なお、Exxon MobilCE0は1月6日の会見で、報告書が業界の問題としたことに反論した。「委員会は業界全体の調査をしておらず、長年にわたる安全の実績を無視しており、結論に同意できない」と述べた。

ーーー

調査委員会は2010年11月8日の中間報告で、「事故に関して、これまでのところ、BPがコストカットのために意図的に安全性を犠牲にしたという証拠はない」としたが、これはどういう意味だったのだろうか。

2010/11/16  BP原油流出事故の現状

今回の報告の結論は「事故は二度と起こらないような常軌を逸したミスによるのではなく、真因はシステミックなもので、業界の慣行と政府の政策の改革がなければ、再び起こる可能性がある」というものだが、これは、BPに「重大な過失、意図的な違法行為」はないということであろうか。

重大な過失、意図的な違法行為」がなければ、Clean Water Actによる罰金が少なくなるほか、Anadarkoや三井石油開発への求償問題に影響する。

Clean Water Actでは原油の流出量1バレルに対して、1,100ドルの罰金が決められている。
但し、重大な過失による場合は、罰金は4,300ドルとなる。

流出量が300万バレルとしても、過失無しの場合で罰金は33億ドル、重大な過失があるとされれば、129億ドルとなる。(500万バレルの場合、55億ドルと215億ドル)

米司法省は昨年の12月15日に、BPと三井石油開発子会社MOEXなど計9社を相手取って、損害賠償請求訴訟をルイジアナ州ニューオーリンズの連邦地裁に起こしており、結局は裁判で決まることとなる。

2010/12/17 米司法省、BP原油流出事件で提訴

付記

政府の調査委員会は111日、最終報告を発表した。
https://s3.amazonaws.com/pdf_final/DEEPWATER_ReporttothePresident_FINAL.pdf

報告書は事故は避けられたとし、直接の原因はBPHalliburtonTransoceanの一連のミスで、リスク管理の組織的な失敗とした。
深海でのエネルギー開発はリスクを含むが業界も政府も準備できていないとし、改善策として、安全対策や流出を止めるための科学的研究を強化し、内務省に監督機関を新設することを提案している。

改善策の資金を捻出するために、石油会社に課す罰金や採掘料の引き上げを提案。また、採掘施設の事故を起こした企業の賠償額を最大7500万ドルとする上限の撤廃も盛り込まれた。

BP
など3社の刑事責任については司法省の判断に委ねた。


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台湾の遠東集団(Far Eastern Group)は1224日、Sinopec 儀征化繊(Yizheng Chemical Fibre)とのJV38億人民元を投じて、江蘇省揚州市(Yangzhou)100万トンのPTA工場を建設すると発表した。

すでに必要な認可を取得しており、間もなく建設に着工、2年内にスタートする。

JVにはFar Eastern60%Sinopec Yizheng40%を出資する。

Far Easternは上海の浦東に年産70万トンのPETプラントを建設し2012年にスタートする予定で、現在認可待ちとなっている。
原料の
PTAは新設のJVプラントから供給を受ける予定。

Sinopec Yizheng 江蘇省揚州市に属する儀征35万トンと63万トン、合計98万トンのPTAプラントを持っている。

Far Easternも、子会社のOriental Petrochemical (Shanghai)が上海の星火開発区でPTA 60万トンを、Far Eastern Industries (Shanghai)PET製品を生産している。
PETプラント増設に当たり、既に認可を得ているSinopec 儀征化繊のPTA計画に乗ったもの。

ーーー

Far Eastern Groupは台湾で繊維事業から出発し、水平・垂直統合を行ってきた。
現在、次の
10事業を行っている。

Textile & Synthetic FiberPetrochemicals & EnergyCement & Building Material
Financial ServicesCommunication & InternetHotelSea/Land Transportation
Retail & Department StoreConstructionSocial Responsibilities

主力の繊維事業と、その原料遡及の石油化学の概要は以下の通り。

1)Textile & Synthetic Fiber

Textileはグループの出発事業で、現在もコア事業の一つであり、売上高の1/4を占める。
担当は遠東新世紀(
Far Eastern New Century Corporation) 。

 ①Fiber Business Operation Group
  台湾の2工場と上海、蘇州、武漢の工場を合わせ、世界の5大ポリエステルメーカーの1つ。

Product Type Taiwan
Capacity
 (MT/Y)
Global
Capacity
 (MT/Y)
Staple Fiber Polyester staple fiber   260,000 360,000
Filament  Polyester filament 150,000  
PBT filament 1,200  
HDI
high denier industrial yarn
45,000  
PET PET resin 630,000  1,300,000
PET sheet 24,000 96,000
PET Preform (1000pcs) 700,000 2,100,000
PET bottle (1000pcs) 100,000 1,200,000

  他に、Far Eastern Fibertech nylon 6,6 fibersを製造している。能力100千トン。

1995年にDuPont との50/50 JVDuPont Far Easternとして設立。
2004年にDuPontの繊維事業売却で、INVISTA-Far Easternに改称
2008年に100%子会社とし、現社名に改称

 ②Textile Business Operation Group

Product Category Taiwan
Annual
Capacity
Global
Annual
Capacity
Spun Yarn (ton) 240 395
Knitting Fabrics (ton)  12,000  
Industrial Fabrics (ton) 10,000  
Apparel (1,000 Dozen)  420  6,860

2)Petrochemical  

 繊維事業の原料遡及で事業を開始した。以下の各社で事業を行っている。

  ①Oriental Union Chemical Corp.(東聯化学)

1975年にFar Eastern TextileUnion Carbide、その他のJVとして設立、1978年にEGプラント建設した。
(その後、
1987年に上場、現在はFar Eastern Groupのメンバー)

現能力はEO, EG300千トン。

参考 台湾のEOG能力(千トン)
  EO  EG 
中国人造繊維 China Man-Made Fiber (CMFC)  53  130
東聯化学 Oriental Union Chemical (OUCC) 300 300
南中石化工業 Nan-Chung Petchem    300
南亜塑膠工業 Nan Ya Plastics   1,540
合計 353 2,270

別途、カナダで1990年にJVAlberta & Orient Glycol Company を設立、天然ガス原料でEG 300千トンと生産。
  
Union Carbide(現在はDow) 50%, Far Eastern Textile 25%、三井物産 25%

2001年にEthanolaminesEthylene Carbonate の生産開始(各40千トン)
 前者は台湾唯一、後者が世界最大で現在の能力は
60千トン。

このほか、ガス部門では米国APCI、ドイツLindeの空気分離、ガス液化技術で、OxygenNitrogenArgon(ガス65万トン、液17万トン)を生産。

  ②Oriental Petrochemical Taiwan Co. Ltd.

1995年にPTA製造のため、ICIとのJVICI Far Eastern Ltd.を設立。
その後、パートナーが
DuPontInvistaと代わり、2008年にFar Eastern Groupが買収、現社名に改称。
現在の能力は
PTA 900千トン。

参考 台湾のPTA能力 (千トン)
中美和石油化学 China American Petchem(CAPCO)   2,120
台湾化学繊維 Formosa Chemicals & Fibre (FCFC)  2,200
Oriental Petrochemical (Taiwan)  900
東展興行 Tuntex Petchem  500
合計  5,720

 2003年に中国上海に子会社Oriental Petrochemical (Shanghai) Corporationを設立。 

2006年にPTA 600千トンを生産開始。

  ③Liquid Air Far East Co. Ltd

1987年にAir Liquide Group (65%)Far Eastern Group (35%)で設立。産業ガスの製造販売。

.


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DSM20101221日、米国のMartek Biosciences10.87億ドルで買収する契約を締結したと発表した。

Martek Biosciencesは微小藻類を原料として、長連鎖多価不飽和脂肪酸(DHA:ドコサヘキサエン酸、ARA:アラキドン酸)を含む栄養オイルを生産、現在は米国の乳児用調製粉乳の90%余りで使用されている。

MartekColumbia, Marylandに本拠を置き、201010月期の年間売上高は450百万ドルで、従業員は約600名。

この買収はDSMLife Sciences Materials Sciences会社に変身して最初の買収で、Nutritionを強化するという同社の方針に沿うものである。
健康と栄養には科学的なリンクがあり、特に長連鎖多価不飽和脂肪酸は人の健康に良い影響を与えるもので、Martek Biosciencesはこの分野のリーダーである。
なお、
DSMは長年にわたりMartek に対してARA 製品の原料を提供してきた。

同社ではこの買収には以下のメリットがあると見ている。

DSMのグローバルな販売組織、適用技術、R&D、製造技術がMartekの技術を補完する。

Martek2010年にサプリメントを販売するAmerifitを買収したが、これも、MartekDSMの製品の追加のマーケティングチャネルとなる。

更に、Martekの藻類や微生物ベースのバイオテクノロジー技術も栄養分野、非栄養の工業分野で役に立つ。

ーーー

DSMは2007年に新しい戦略 Vision 2010 Building on Strengths strategy を発表した。

主な内容は Life SciencesMaterials Sciencesへのシフトを進めるというもので、このため、
・非コア事業(
Base Chemicals and Materials)の処分計画を進める
・コア事業では買収を検討する
とした。

なお、同社は石油化学事業については2002年にSABICに譲渡している。
  2006/8/22 SABIC Europe とその前身 

同社の体制は以下の通りとなる。

2007/10/3 DSMの経営方針

 

同社はこの方針に沿って再構築を進めてきた。

2009年には尿素の技術ライセンス会社Stamicarbon B.V. をイタリアのエンジニアリング会社 Maire Tecnimontに売却、DSM Energie Holding B.V. AQA Abu Dhabi National Energy Company PJSC に売却した。

2010年には以下の処理を行い、非コア事業をほとんど売却し、再構築をほぼ完成させた。

  部門 製品グループ 2009
(百万ユーロ)
再構築
Sales EBIT
Core Nutrition Nutritional Products  2,824  521 うち、Special Products B.V.
Emerald Performance Materialsに売却
Food Specialties Martek Biosciences 買収(今回)
Pharma Pharmaceutical Products 721 32  
Anti-Infectives 中国中化集団との50/50JVで強化
Performance
 Materials
Engineering Plastics
(polyamides, polyesters, PC,
 Adhesive resins
1,823 68 三菱化学と事業交換
PC事業売却、ナイロン事業の買収)
Dyneema
(超高強度ポリエチレン繊維
)
 
Resins
 NeoResins+ (水性アクリル)
 
Powder Coating Resins
 Desotech(紫外線硬化型樹脂)
 
Composite Resins
 
Polymer
 Intermediates
Fibre Intermediates
 caprolactamacrylonitrile
849 6  
Others   381 -189  
Sub-total   (6,598) (438)  
Non-
core
Agro 1,134 -68 Orascom Construction
  Industriesに売却
Melamine
Citrique Belge (Citric acid) Adcuramに売却
Elastomer EPDM LANXESSに売却
熱可塑性エラストマー Teknor Apex に売却
Total     (7,732) (370)  

 

 


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煙台万華ポリウレタン(Yantai Wanhua Polyurethane)は2010年12月23日、浙江省寧波市の大シャ島で新しいMDIプラントの操業を開始した。
2007年にNDRCの認可を得て、同年に建設を開始したもの。

25億人民元を投じたもので、能力は300千トン、既存の300千トン(公称能力は240千トン)プラントに隣接する。
合わせて、
20億人民元を投じたアニリン(360千トン)、ホルムアルデヒド(240千トン)、苛性ソーダ(150千トン)もスタートした。
子会社の寧波万華が運営する。

煙台万華は現在、山東省煙台市に200千トンのMDIプラントを持っており、これで合計能力は800千トンとなる。

既報の通り、煙台万華はこの煙台の200千トンプラントの移転計画を実施中で、煙台の臨港工業区にMDI 600千トンプラントとともに、TDI 300千トン、苛性ソーダ 300千トン、ホルムアルデヒド 240千トン、硫酸 540千トン、アンモニア 180千トン、ニトロベンゼン 480千トン、アニリン 360千トンのプラントを建設している。

2009/1/6 中国の山東煙台万華ポリウレタン、煙台にポリウレタンコンプレックス建設

これらは2013年に完成する予定で、この時点で200千トンプラントを停止し、MDIの合計能力を1,200千トンとする。

中国の2009年のMDIの輸入は101千トンで、29千トンを輸出している。

ーーー

煙台万華は2010年6月に、資金難のハンガリーの塩ビ・ポリウレタンメーカー BorsodChem140百万ユーロを出し、株式の38%を取得(融資金を株式に変換)するとともに、2年以内に現在の大株主のPermira/Vienna Capital Partnersから残りの株式を買収し、100%株主となるオプション契約を締結した。

BorsodChem1949年設立(当初名はBorsodi Vegyi Kombinat)で、一時ロシアのガスプロムが密かに買収を図った。
2006年に欧州最大の買収ファンドの英 Permira とオーストリアのVienna Capital Partners がつくったファンドが全株式を取得した。

2008/3/15 ロシアのLukoil、ウクライナで塩ビ工場建設開始 の後半

同社はハンガリーのKazincbarcikaに以下の製品のコンプレックスを持つ。 

 塩素:水銀法 125千トン
 VCM: 320千トン
 PVC:330千トン(1963年製造開始、150千トンは信越化学が1973年にChemocomplex に技術供与したもの)
 MDI:
190千トン(1991年製造開始)
 TDI:90千トン(2001年製造開始。2011年にS&Bで200千トンに)

 ほかに、
 チェコのOstravaでアニリン、シクロヘキシルアミン(世界最大のメーカー)、特殊アミン類を生産
  (2000年にMCHZ社を買収)
 ポーランドで
BTXを生産
  (
2005年にPetrochemia Blachowniaを買収)

BorsodChem現在、200千トンのTDIプラントと硫酸プラントを建設中で、完成後に既存の90千トンプラントを停止する。
煙台万華からの140百万ユーロはこの資金に充てる。

煙台万華のポリウレタン事業をまとめると以下の通り。(千トン)

    MDI TDI
稼働中 建設中 合計 稼働中 建設中 合計
煙台万華 山東省煙台市 200 -200
600
600   300 300
浙江省寧波市 300
300
  600      
合計 800 +400  1,200   300 300
BorsodChem ハンガリー
 
Kazincbarcika
190   190 90 -90
200
200
合計 190   190 90 +110 200

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1.原油・ナフサ価格

2010年最後の取引となった12月31日のWTI原油価格(2月物)は前日比1.54ドル高の1バレル91.38ドルで終えた。12月23日の終値91.51ドルを若干下回ったが、一時92.06ドルと、2008年10月7日以来ほぼ2年3カ月ぶりの高値を付けた。
(2010年の平均は79.59ドルとなり、2009年平均の61.97ドルから17.62ドルのアップとなった。)

米国の金融緩和であふれた資金が原油先物市場に流入し、価格を押し上げているとの見方が大勢。

12月31日のニューヨーク株式市場のダウ平均株価は11,577.51ドルで終えた。
29日には11,585.38ドルと2008年8月以来、約2年4カ月ぶりの高値を2日連続で更新しており、株価と原油価格の動きが連動している。

付記

年明けの1月3日の取引では、ダウ平均終値は11,670.75ドルと2008年4月28日以来の高値を付けた。
またWTIは一時92.58ドルと2008年10月7日以来の高値となり、終値も91.55ドルとなった。

日本の原油価格、ナフサ価格も上昇した。いずれも12月24日に2008年来の最高値をつけている。
12月28日の終値は、ドバイ原油が91.05ドル/バレル、ナフサが884ドル/トンとなった。

2.人民元

中国は6月19日には「弾力性を高める」との声明を出し、一日の変動幅を±0.5%としたが、実際には介入を続け、一時再高値(11月11日 6.6173元/$)でも6月18日比で3.06%しか上がっていなかった。

それが年末に急に動いた。
中国人民銀行は12月20日過ぎから基準値を上げ始め、12月31日には最高値となった。

取引価格はこれに合わせ上昇したが、30日に基準値から外れ、31日は一時上限ギリギリの6.5896元を付け、終値も6.5897元となった。

1月の胡錦濤中国国家主席の訪米を控え、中国人民銀行が人民元高に誘導していると見られている。

但し、この水準は6月18日比で3.46%しか上がっておらず、実態からはまだまだ離れたものであり、米国を満足させるものではない。


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日本化学会、化学工業会、化学工学会、新化学発展協会、日本化学工業協会で構成する「夢・化学ー21」委員会は、子供に遊び感覚で化学に親しんでもらい、化学の楽しさや面白さを理解してもらうため、「化学かるた 元素編」を製作した。

2011年は、キューリー夫人がノーベル化学賞を受賞してから100年にあたる。国連では2011年を「
世界化学年」と定めた。

委員会では今後ますます、化学や化学製品の重要性や有用性についての啓発を進めたいとしている。元素編の次は製品編を考えている。

元素のなかから知名度の高い48種類を選び、それぞれの元素の特長や用途を読み札と絵札にしている。絵札の裏面には原子番号、原子量、詳しい特長を記載した。

原子番号 元素名(元素記号) 読み札
1  水素(H) ロケットも車も動かす水素のちから
2  ヘリウム(He ヘリウムで大空に浮かぶ飛行船
3  リチウム(Li) 携帯電話やゲーム機に充電できるリチウムイオン二次電池
5  ホウ素(B) 耐熱ガラスにコンピューター ホウ素は身近にかくれてる
6  炭素(C) 鉛筆も すみもダイヤも炭素だよ
7  窒素(N) 空気にたくさんふくまれる肥料のもとの窒素ガス
8  酸素(O) 燃えるのを助けてくれる酸素ガス ないとみんな生きられない
9  フッ素(F) フライパン フッ素パワーで強くなる
10  ネオン(Ne) ネオン管 街を赤く照らしてる
11  ナトリウム(Na) あせをかく体が求めるナトリウム
12  マグネシウム(Mg) マグネシウム 豆腐を固める にがりのもと
13  アルミニウム(Al) アルミニウム 電車や飛行機軽くする
14  ケイ素(Si) ケイ素はね 半導体にもガラスにも
15  リン(P) 燃えやすい リンはマッチの発火剤
16  硫黄(S) 温泉・火山のにおいのもと 硫黄はゴムを強くする
17  塩素(Cl) プールの消毒 塩素のパワー
18  アルゴン(Ar) アルゴンで光り続ける蛍光灯
19  カリウム(K) カリウムは野菜を大きく育てます
20  カルシウム(Ca) カルシウム牛乳飲んで骨じょうぶ
22  チタン(Ti) 飛行機・めがね チタンが強く軽くする
24  クロム(Cr) ピッカピッカのステンレス クロムがさびを防いでる
25  マンガン(Mn) みんなの暮らしに欠かせないマンガン使った乾電池
26  鉄(Fe) 鉄板・鉄棒・鉄筋に鉄は身近な金属だ
27  コバルト(Co) きれいな青色コバルトガラス
28  ニッケル(Ni) 百円などの硬貨たち ニッケル入りの合金だ
29  銅(Cu) 熱も電気もよく通す銅は花火で緑に変身
30  亜鉛(Zn) 白さが自慢の亜鉛華(あえんか)は絵の具や化粧に使われる
31  ガリウム(Ga) ガリウムでくっきり見える青信号
33  ヒ素(As) ヒ素の入った半導体 世の中便利にしています
35  臭素(Br) フィルム写真 臭素が残す楽しい思い出
36  クリプトン(Kr) 明るく光る電球にクリプトンも使われる
38  ストロンチウム(Sr) 花火の赤色ストロンチウムが大活躍
40  ジルコニウム(Zr) セラミックの包丁にジルコニウムが使われる
46  パラジウム(Pd) パラジウム 排気ガスの掃除屋さん
47  銀(Ag) 銀イオン ばい菌なくして においもカット
48  カドミウム(Cd) カドミウム 電池や絵の具に使われる
50  スズ(Sn) かんづめやブリキのおもちゃにスズのまく
53  ヨウ素(I) でんぷんにふれてヨウ素は青色に
55  セシウム(Cs) 正確に時を刻むよセシウム時計
56  バリウム(Ba) 病院でバリウム飲んで胃の検査
74  タングステン(W) 熱に強いタングステン 鋼(はがね)をさらに強くする
78  白金(Pt) 白金は別名プラチナ 指輪に似合う貴金属
79  金(Au) たたかれてうすく広がり金ぱくに
80  水銀(Hg) 血圧・気圧 水銀柱が表示する
82  鉛(Ph) 鉛が活躍 車に欠かせぬバッテリー
87  ラジウム(Ra) キュリー夫人 ラジウム発見ノーベル賞
92  ウラン(U) ウランで発電 原子力
94  プルトニウム(Pu) 宇宙探査に使われるプルトニウムの原子力電池


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