2012年8月アーカイブ

米国のPfizer とMylanは8月23日、日本における後発医薬品の開発、製造、流通、販売について、独占的な長期戦略的業務提携を締結したと発表した。

Pfizerは、これまで培ってきた強いブランド力と、日本市場への新薬導入の非常に優れた実績をもとに、両社の後発医薬品事業のポートフォリオの市場化、およびセールスとマーケティング業務を担当する。

Mylanは、研究開発、製造を含む技術分野を担い、同社がグローバル市場で培った、製品開発力、製造品質、サプライチェーンにおける信頼性、卓越したサービスの一層の強化に努める。

両社の業務提携には、幅広い治療分野における350以上の製品群と、125以上の開発中の製品が含まれる。

両社子会社のファイザーとマイラン製薬は日本でそれぞれに独立した企業として業務を行うが、現行および将来の後発医薬品については提携し、ファイザーブランドのもと、両社名を表示した製品の販売を行う予定で、それによって生じる経費と利益を共有する。

日本は、アメリカに次いで世界第2位の医薬品市場であり、後発医薬品市場でも、2011年11月締めの決算期でおよそ52億ドルの売上高を有し(IMS Healthcare, Market Prognosis, 2012)、世界で6番目の市場となっている。

2012年4ー6月の後発医薬品の使用割合は25.3%となったが、日本政府は2012年度末までにこれを30%まで引き上げることを目標としている。

ーーー

Pfizerは世界最大の医薬会社で、2011年の売上高は以下の通り。

医薬品 57,747 百万ドル
動物薬 4,184  
消費者ヘルスケア  3,057  
栄養品  2,138  
その他 299  
合計  67,425  


Generic 医薬品は子会社のGreenstoneが扱うが、売上高は明らかにされていない。

MylanはGenericメーカーで、1,100以上の後発医薬品といくつかのブランド医薬品で構成される潤沢な製品ポートフォリオを提供している。
さらに、さまざまな抗レトロウイルス医薬品も提供しており、発展途上国ではHIV/エイズ患者の約3分の1が使用してる。

2011年の売上高は6,130百万ドル。

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世界のgeneric医薬品メーカー大手は以下の通り。医薬品大手が含まれている。

企業 備考

2011
売上高
百万ドル

日本の活動
Teva Pharmaceutical イスラエル 米国 Barr Pharmaceuticals を買収
ドイツ
Ratiopharmを買収
18,312 興和テバ
→テバ製薬
Sandoz ドイツ Novartis のgeneric 部門

2012/5 Fougera Pharmaceuticalsを
買収(1.525百万ドル)

9,473 サンド
 

Watson Pharmaceuticals

 

本体 アメリカ Andrx を買収 4,584  
Actavis アイスランド 米 Amide Pharmaceutical を買収
米 Alpharma
を買収
 (
AlpharmaはHoechstの
      generic部門を買収)
2,500 あすかActavis製薬
新 Watson   2012/4 Actavisを買収(EUR4.25billion)

2012年の売上高は80億ドル以上

  7,100  
Mylan アメリカ ドイツMerck のgeneric部門買収
インド Matrix Laboratories を買収
6,130 マイラン製薬
前身は
メルク製薬
Greenstone アメリカ Pfizerのgeneric 部門   ファイザー
Apotex カナダ   10億
加ドル
 
Stada Arzneimittel ドイツ   17.2億
ユーロ
 
Zentiva
(旧称 
Winthrop)
英国 Sanofi-Aventis のgeneric 部門    
Bayer ドイツ      
Dr. Reddy's Laboratories インド      
Ranbaxy Laboratories インド 第一三共が買収    
Sanofi Aventis フランス     日医工サノフィ・
アベンティス

 


 

コスモ石油は8月28日、2013年7月に坂出製油所を閉鎖し、その後はオイルターミナル等として事業を継続すると発表した。

省エネルギーの推進や次世代自動車の登場はじめ少子高齢化などの社会構造の変化により石油需要は減少に転じ、将来においても同じ傾向が続くと想定されているとみている。

国内の環境変化に加えて、中東・アジア地域で新たな製油所が建設され石油製品の供給能力が増加する状況を勘案すると、製油所の集約による供給体制の再構築が必須であるという認識に至ったとしている。

坂出製油所は1972年10月操業開始で、原油処理能力は14万バレル/日。

この結果、同社の製油能力は下記の通りとなる。

製油所

能力(万バレル)

現状 処理後
千葉 24.0 24.0
四日市 17.5 17.5
8.0 8.0
坂出 14.0
合計 63.5 49.5

同社の認識はその通りで、坂出製油所の閉鎖もリーズナブルである。

しかし、本件には裏がある。

2009年7月1日にエネルギー供給構造高度化法が成立した。

電気やガス、石油事業者といったエネルギー供給事業者に対し、非化石エネルギー源の利用を拡大するとともに、化石エネルギー原料の有効利用を促進することを目的とするもの。

これに基づき、経済産業省は2010年7月5日の「告示」で、エネルギー供給構造高度化法の基本方針の一つに重質油分解能力の向上を挙げ、重質油分解装置の装備率の目標を決めて、業者に対して重質油分解装置の新設若しくは増設又は常圧蒸留装置の削減により適切に対応することを求めた。

基本方針
1.
事業者が講ずべき措置に関する事項   石油精製業者は、石油をめぐる諸情勢を勘案し、重質油分解能力の向上、コンビナート連携の促進、関連技術の開発の推進等を通じて、原油等の有効な利用に取り組むこととする。    

2. 施策に関する事項  
国は、石油をめぐる諸情勢を踏まえ、石油精製業者による原油等の有効な利用に係る取組が適切かつ円滑に進むよう、
重質油分解装置の装備率の向上に係る基準を定め、着実に運用するとともに、石油精製業者による重質油分解能力の向上のための設備の運転面の改善等を促し、コンビナート連携の促進、関連技術の開発の推進等に係る所要の環境整備を進めることとする。    

原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断の基準  
  我が国の重質油分解装置の装備率を2013年度までに
現状の10%から13%程度まで引き上げることを目標とする。

これによれば、今回の重質油分解装置の装備率の向上に係る基準に従い、重質油分解装置の新設か 、常圧蒸留装置の削減をしなければ、経産相は勧告を行い、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができることとなる。

重質油分解装置の新設は考え難く、実際には常圧蒸留装置の削減を求めるものである。

   2010/7/7 エネルギー供給構造高度化法で重質油利用促す新基準、石油業界の再編圧力に

本ブログでは、重質油分解能力の向上は望ましいとしても、各企業の判断事項であり、これを基準に実質的に設備削減を強いるのは、闇カルテルであるとして批判した。

2010/7/21 エネルギー供給構造高度化法は第二の産構法か?

これが理由かどうかは分からないが、「供給事業者は達成のための計画を作成し、経済産業大臣に提出する」となっているが、同年10月末の提出資料は非公開となった。

その後、各社は自社の判断として、順次設備処理を発表している。

METIによる各社別の削減義務量と現時点での削減計画は以下の通り。(万bbl/d)

  トッパー
処理能力
改善達成
のための
トッパー
能力
トッパー
能力削減
義務量
トッパー能力削減計画
和シェル石油グループ 51.5 44.8 6.7 12.0  京浜・扇町 2011/9停止
JXグループ 179.22 137.9 41.4 31.65  2012/8 時点 能力
 うち 11.5 
PetroChinaとのJV化
出光興産 64.0 55.7 8.3 12.0  徳山製油所 2014/3停止
コスモ石油 63.5 43.8 19.7 14.0  坂出製油所 2013/7閉鎖
東燃ゼネラル石油 66.1 45.6 20.5    
太陽石油 12.0 10.4 1.6    
富士石油 19.2 14.8 4.4 5.2  第1常圧蒸留装置 2010/11廃棄
極東石油工業 17.5 15.2 2.3    
合計 473.02 368.2 104.9  74.85  



JXグループの内訳は以下の通り。
同社は、「2013年度末までに60万バレル削減」と発表している。

 

トッパー
処理能力

2012/8時点の実績  
室蘭 18    
仙台 14.5    
根岸 34 -7  
大阪 11.5    -11.5  PetroChinaとのJV化
水島 25 -9  
麻里布 12.7    
大分 16 -2.4  
合計 179.22 -31.65  


問題は東燃ゼネラル石油である。削減義務量は20.5万バレルとなっている。

 

トッパー
処理能力

川崎 33.5
15.6
和歌山 17.0
合計 66.1


堺も和歌山も存在意義があり、仮にどちらかを止めても、まだ不足する。

和歌山県知事は県議会で、「東燃ゼネラル石油和歌山工場は、本県の製造品出荷額ベースで約20%、有田市においては90%、さらに製造業だけじゃなくて周辺の経済に及ぼす影響などを考えますと、大変高い割合で有田市の経済、それから県の経済に貢献をしているというか、影響を及ぼす存在であるということだと思っております」と述べ、和歌山工場の廃止に対し反対している。

東燃ゼネラルは「株主の皆さまへ」で以下の通り述べている。

当社は、(METIの)この指針に対応するためさまざまな可能性について徹底的に検証しました。
2010年10月末に提出した計画には、
常圧蒸留装置の削減および重質油分解装置の能力増強も含んだ複数のケースが盛り込まれています。
2014 年3月31日の期日までに約3年あることから、今後も厳密な検討を続け、従業員、地域社会、顧客および株主の皆さまにとってどのような影響があるのかを十分に考慮した上で判断したいと考えています。

本来、METIの告示で設備処理を強制するのはおかしく、従う義務はないと思われる。


 

8月25日の日本経済新聞はGeorge P. Mitchell  とのインタビュー記事を載せている。

シェールガス、次は中国 豊かな埋蔵量強み
 「革命」の立役者に聞く 環境汚染、ルール作り急務

 Mitchell Energy and Developmentの創業者George P. Mitchell  (93歳) の発言は以下の通り。

「革命の第2幕」の舞台として、推定埋蔵量が米国を上回る中国に注目している。

日本にはシェール層はほとんどないようだが、中国が国内にある巨大なシェールガス田の開発に成功すれば、エネルギーの需給が変わる。日本にも恩恵があるはずだ。

Mitchell Energyがテキサス州北部のBarnett shale の開発に着手して間もない1988年5月、大慶市石油行政局の地質学者3人と技術者1人が来訪した。ミーティングは5時間に及び、中国側はBarnett shale の開発状況について熱心に聞いてきた。
米国内ですら、ほとんど注目されていなかったにもかかわらず、わざわざ訪ねてきた中国人の嗅覚に誰もが驚いた。

(米国でのシェールガス開発が地下水の汚染など環境への負荷を指摘されていることについて)
一部の荒くれ者のために、この国が十分な天然ガスを手に入れる機会をフイにすべきではない。
問題を起こす業者には厳罰で対処すべきだ。
政府と業界でルール作りを急ぐべきだ。

ーーー

George P. Mitchell は他社が続々撤退する中、20年にわたる努力の末に、初めてシェールガスの開発に成功した「シェールガス革命」の父である。

米国ではシェールオイル、ガスの存在は古くから知られていた。

1919年には石油枯渇説に対し、「1年以内に石油はシェールに置き換わるだろう」の予測 さえ出された。

しかし、技術的な困難性から開発は行われなかった。

George P. Mitchell はMitchell Energy & Development を設立、テキサスで天然ガスを掘削し、パイプラインでシカゴ地区に供給していた。

しかし、天然ガスの埋蔵量が減少し、新規のガス田取得も難しく、このままでは契約を守ることが不可能になった。 

このため、1980年代初めからテキサスの Dallas とFort Worth 近辺のBarnett shale の開発に着手した。
当時、税法Sec 29で非従来型天然ガスの開発には税額控除の制度があり、これを利用した。

他にも多くの企業が参加したが、次々に撤退した。

Mitchell Energyは1998年末にフラッキング(水圧破砕)技術 を開発、その結果、生産量が増大した。

George P. Mitchell は、今後の開発に多額の資金が必要なこと、他の事業があることから 、この事業の売却を検討、2002年にLarry NicholsのDevon Energyに35億ドルで売却した。

Devon Energyはフラッキング技術と自社技術の水平掘削技術を合わせ、技術を完成させた。

ソース:Daniel Yergin    "The Quest" 

ーーー

U.S. Energy Information Administrationのレポート World Shale Gas Resources (2011/4/5) によると、中国のシェールガス推定埋蔵量は1275兆立方フィートで、米国(862兆立方フィート)を上回り、世界最大となっている。

技術的回収可能埋蔵量 (兆立方フィート)

China  1,275
United States 862
Argentina  774
Mexico 681
South Africa 485
Australia  396
Canada  388
Libya  290
Algeria  231
Brazil  226
Poland 187
France  180
   
32か国合計  6,622

 

 iPhone と iPad の特許をめぐり、米 Appleと韓国 Samsungが争っている裁判で、米カリフォルニア州San Joseの連邦北部地方裁判所の陪審団は8月24日、SamsungがAppleの一部特許を侵害したとして、10億5千万ドルのAppleの損害 を認定した。

本件の今後は以下の通り。

(最終判決)

この陪審団の評決に基づき、Lucy H. Koh判事は、来月、判決を下す予定。
故意の侵害が認められたため、損害賠償額は認定損害額10億5千万ドルの3倍まで認められる。
(当初、Appleは約25億ドルの損害賠償を求めていた。)

Samsungは判決が言い渡され次第、米ワシントンの連邦巡回控訴裁判所に控訴する見通し。

(販売差し止め)

 Koh判事は9月20日に、Appleが申請した三星モバイル端末の米国内販売差し止めについて審理を開始する。

陪審団が特許侵害を認めた21の製品が含まれるものと見られる。
しかしAppleは、Samsungが米市場で本格的な発売を開始した最新スマートフォン「Galaxy S3」も自社製品のデザイン特許をまねしたと見ており、販売差し止めリストに含ませる可能性もある。

付記

AppleはSamsungが米国で販売しているスマートフォンの販売を差し止めるよう求める仮処分申請を米カリフォルニア州北部連邦地裁に提出した。

評決では28機種で特許侵害との判断が出たが、Appleはそのうち以下の最新の8機種について販売差し止めを申請した。
  Galaxy S 4G、Galaxy S2 AT&T、Galaxy S2、Galaxy S2 T-Mobile、Galaxy S2 Epic 4G、

  Galaxy S Showcase、Droid Charge、Galaxy Prevail

両社間の訴訟対象ではなかった最新機種 Galaxy S3については、販売差し止めの申請を見送った。Appleではさらに法的検討を重ねた上で販売差し止めを申請するか、別途特許侵害訴訟を起こすとみられている。


今後、Samsung製品の米国販売が差し止められるなどの事態になれば、Samsungの経営戦略に影響が出そうだ。

また、Samsungは携帯端末に米GoogleのOS "Android"を搭載しているため、AppleとGoogleの「代理戦争」とも言われ注目された。
Samsungをはじめ"Android"を使うモバイル端末のメーカー各社(Googleが買収したMotorolaや台湾のHTCなど)がAppleの特許を使う見返りとして、ロイヤルティーを支払う(「Apple Tax」と呼ばれている)こととなれば、消費者販売価格の値上げにつながりかねない。

ーーー

陪審団は、Samsungのスマートフォンの大半は、Appleの技術特許3件とデザイン特許4件のうちの3件(合計7件のうち6件)を侵害したと認めた。

このうち、指の動きをタッチパネルが感知する技術など5件はSamsungが「故意に侵害」したと認定 した。

技術特許 
  Bounce back ('381):ページの端をスクロールしたとき跳ね返る機能
  Single Scroll, Pinch to Zoom ('915):1本指でスロール、2本指でピンチ、ズーム
  Tap to Zoom ('163)  :画面タップにより文書を拡大
     
デザイン特許
  iPhone Front (D'677) :Galaxy Ace以外が侵害
   
  iPhone Back (D'087):Galaxy S, the Galaxy S 4G, Vibrant が侵害
   
  iPhone Home Screen (D'305):13機種全てが侵害
   
  iPad Design (D'889) :侵害無し
   

一方 、陪審団は、「Appleが自社の特許を侵害した」とするSamsungの主張は一件も認めなかった。

'516 特許  wireless technology
 '941   wireless technology
 '711   to play music while using other apps
'893   to scroll through the photo gallery, switch to the camera to take a pic, and then return to the same point
'460   to take a photo, preview it immediately, and email it off seamlessly

今回の評決は、世界9ヵ国で行われている訴訟にも、影響を及ぼすものと見られ、SamsungとAppleとの特許を巡る法廷攻防は「終わりではなく始まったばかり」という見方が出ている。

韓国のソウル中央地方裁判所は8月24日、AppleとSamsungの特許侵害訴訟をめぐる裁判で、両社とも双方の特許を侵害しているとの判決を下した。

Appleに対してはSamsungのワイヤレス技術に関する特許2件を侵害したとして4000万ウォン の支払いを、Samsungに対しては、電子文書をスクロールする際に使う機能に関するアップルの特許1件を侵害したとして2500万ウォンの支払いを、それぞれ命じ た。Samsungが自社のデザインを模倣したとするAppleの訴えは認められなかった。

サムスン電子は8月25日、「この判決は消費者の選択権を減らし、革新を妨害するものだ。製品価格上昇を誘発するなど消費者と市場に不利益を及ぼし、グローバルIT業界の発展に否定的な影響を招きかねない」との見解を表明した。

その上で、「当社の革新的製品を米国の消費者に問題なく提供できるように、全ての法的措置を取る」とし、自社の主張が受け入れられるよう努力を続けることを強調した。 

ーーー

今回の裁判では裁判官が韓国系であることで注目された。



Lucy Kohは1968年にWashington D.C.で生まれた。
2010年6月にObama大統領の指名でSan Jose連邦北部地方裁判所判事となった。

当初は、韓国企業と米国企業の裁判に韓国系の判事ということで話題となったが、訴訟指揮は高く評価されている。

 



チリの銅資産権益を保有する英国のAnglo Americanの子会社Anglo American Sur S.Aを巡るAnglo Americanとチリ銅公団(CODELCO)の紛争が、8月23日、和解で解決した。

問題の発端は、2011年11月に三菱商事がAnglo American Sur S.Aの株式24.5%を53.9億米ドルで買収すると発表したこと。

Anglo American Surは、チリ国内にLos Bronces銅鉱山、El Soldado銅鉱山、Chagres銅製錬所、並びに大型の未開発鉱区などの優良資産を保有する。

Los Bronces銅鉱山:現在生産量 22万トン2012年 40万トン
   近隣にLos Sulfatos鉱区及びSan Enrique Monolitoト鉱区の有望未開発鉱区が存在

El Soldado銅鉱山:生産量 4万トン

Chagres銅製錬所:年間約14万トンの銅アノードを生産

三菱商事はAnglo American から打診を受けたものとされるが、Anglo American は別途、チリの国営資源大手チリ銅公団(CODELCO:Corporacion Nacional del Cobre de Chile)に株式の49%購入のオプションを与えており、三井物産がこの資金を供給する契約を締結している。

三井物産はCODELCOとの間で、CODELCOによるAnglo American Surの最大49%の株式取得資金として、67.5億米ドルを上限とする短期つなぎ融資契約を締結した。

また、CODELCOが取得したAnglo American Sur 株式の半分を譲渡することによって返済する権利を借主に与える契約も締結した。

さらに、両社の多面的な関係を構築する一環として、両社は下記の銅売買契約を締結した。

銅売買契約
(1)期間   10年間 (2012年~2021年)
(2)年間平均買取数量   銅精鉱 65,000 DMT
銅地金 12,000 MT
合計  30,000 MT(銅地金換算)
(3)買取価格   市場価格及び市場取引条件により決定

CODELCOは「われわれの権利は明確だ。49%の株式を取得する」と主張し、Anglo AmericanはCODELCOへの売却はAnglo Americanの持分の49%であり、三菱商事への売却部分は除かれるとし、両社とも法的措置を取った。

2011/11/12  三菱商事、チリの銅鉱山・製錬所運営会社に出資 

ーーー

三菱商事は8月23日、以下の発表を行った。

三菱商事はAnglo AmericanにAnglo American Surの持株24.5%のうち、4.1%を8.95億ドルで売却する。

Anglo Americanはこれと自社持分のうち24.5%と合わせた29.5%をCODELCO/三井物産JVに譲渡する。

三井物産も同日発表を行った。

CODELCO/三井物産JVのInversiones Mineras Acrux SpA(Acrux)がAnglo American Surの29.5%を取得する。

このうち、24.5%取得の為の18.63 億米ドルは三井物産からCODELCOへの短期つなぎ融資で、
残り5%は合弁会社Acruxへの出資金(11億ドル)で購入する。

三井物産はAcrux社の17%を保有する。(間接的にAnglo American Surの5.015%を保有)

CODELCOが三井物産からの有利な条件での借換融資を受諾した場合、三井物産はJVの15.25%を追加取得する権利を取得する。

付記
2012年11月2日、
15.25%の追加取得を発表、32.20%とした。間接的にAnglo American Surの9.5%を保有することとなる。
短期つなぎ融資の返済時に当該融資の一部をAcrux社の株式15.25%をもって返済し、その融資残債務(9億米ドル)を貸付期間20年間の長期融資に転換する。

三井物産はAnglo American Surの生産する銅の29.5%を引き取り、その全量を販売する権利を保有する。

 





財務省が8月22日に発表した7月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5173億円の赤字だった。
赤字は2カ月ぶりで、7月としては過去最大。

輸出は自動車は4.6%の増となったが、半導体等電子部品(-13.9%)、鉱物性燃料(-24.6%)、船舶(-18.0%)等が減少し、対前年同月比8.1%の減少となった。
また、輸入は原油(-8.8%)、鉄鉱石(-32.8%)の減があったが、液化天然ガス(+24.2%)等が増加し、2.1%の増加となった。

地域別にみると中国向け輸出の落ち込みが11.9%減と大きい。
対EUは輸出は10か月連続の減で、逆に輸入は増加し、3カ月連続で貿易赤字だった。


貿易収支と経常収支の動きを年別に長期に見ると以下の通りとなる。

 


  


ソウル科学技術大学エネルギー環境大学院のユ・スンフン教授は8月17日、報告書「独島の経済的価値評価」を発表した。

それによると、2012年7月末時点での竹島(韓国では独島)の価値は12兆5586億ウオン(約8800億円)となった。

内訳は以下の通り。(1000ウオン=70円で換算)

  億ウオン 億円
市場的
 価値
メタンハイドレート 111892 7,832
海洋生物資源 1 0
観光価値 557 39
非市場価値 13,136 920
125,586 8,791

 メタンハイドレート

韓国政府は2005年7月、韓国石油公社、ガス公社、地質資源研究院で構成されたガスハイドレート開発事業団を作り、探査を推進してきたが、2007年6月、韓国地質資源研究院の物理探査船探海2号を利用して浦項基点北東方向135キロ、鬱陵島南方向約100キロの海上で自然状態のガスハイドレートを採取するのに成功した。

 

知識経済部では鬱陵海盆 6-1鉱区に約8億トンが埋蔵されていることが確認されたとしている。
これは韓国の年間国内ガス使用量(2700万トン)を基準に30年ほど使用できる規模としている。特に、この地域のガスハイドレートに含まれたメタンは純度が99%以上であり、経済的な価値が大きいとしている。

韓国は2014年までの試験生産完了を目標にしている。

実際には技術的に非常に難しく、日本でも東部南海トラフ海域(静岡県~和歌山県沖)を本格調査し、約1.1兆立方メートルの埋蔵量が確認されているが、2009年3月の「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」のロードマップでは、商業化の実現に向けた技術の整備に2016~2018年度の3年間程度を見ている。

2010/2/23   韓国、対馬海盆でガスハイドレート開発
 

 海洋生物資源の価値は約1億ウォン、観光価値は557億ウォンと分析された。

 「非市場的価値」

これは「独島を守ったり保存するためにいくらの費用を払えるか」という質問に国民が答えた金額。
漢江河口(913億ウォン)や閑麗海上国立公園(1026億ウォン)に支払うという費用より多い。

ーーー

メタンハイドレートが発見されたため、竹島の「市場的価値」は急増した。
韓国人の対日国民感情に竹島の「市場的価値」が加わり、解決の道は遠のく。

それまでは実質的には価値がないとみなされていた。

竹島問題は1952年1月18日に、当時の李承晩韓国大統領が「隣接海洋の主権」を主張し、公海上に「李承晩ライン」を宣言したことが発端である。

1954年9月には韓国政府は竹島の武力占拠を決定し、灯台を設置した。

日本は1954年と1962年に国際裁判所への提訴を韓国政府に打診したが、韓国側はそれを拒否、現在に至っている。
なお、1965年の日韓国交正常化時に定めた「紛争解決に関する交換公文」では、「調停」による解決をうたっている。

両国政府は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、これにより解決することができなかつた場合は、両国政府が合意する手続に従い、調停によつて解決を図るものとする。
 (但し、韓国政府は竹島を巡る領土紛争自体が存在しないとの立場を取っている。)

李承晩ラインが引かれた理由は3つあるといわれている。(2005/3/22 毎日新聞夕刊)

1. 漁業活動での衝突を回避しようという意図

朝鮮半島近海では戦前から日本が漁労活動をしており、戦後も同様なら漁業被害を受けるとの危ぐを韓国側は抱いていた。

2.サンフランシスコ講和条約の第2条のa項、朝鮮の領土の規定の部分に関係 (注 参照)

講和条約では当初、竹島は朝鮮の領土とされていたが、最終案では日本領土となった。
それを知った韓国側は、条約の発効以前に竹島の領有権を主張しようと考えた。
    

3. 国交正常化交渉での外交カード

朝鮮半島に残された日本人の個人財産は韓国の全財産の80~90%とも言われた。
それを全部持ち出されれば、韓国は破たんするため、李承晩ラインを根拠に200隻以上の日本漁船を掌捕、
正常化交渉では抑留漁船員と竹島をいわば人質に、日本政府に譲歩を迫った。

日本は韓国に対し、朝鮮に投資した資本及び日本人の個別財産の全てを放棄するとともに、約11億ドルの無償資金と借款を援助すること、韓国は対日請求権を放棄することに合意した。

1960年代の日韓国交正常化交渉時代には、竹島が価値がないのに争いの対象となったため、日韓双方が爆破案を持ち出したと言われている。

日韓国交正常化を前にした1965年に朴正煕大統領がディーン・ラスク米国務長官に対し、
「小さなことだとはいえ、腹が立つ問題のひとつが竹島問題。解決のため、島を爆破したい」と語った。
ラスク長官は「所属をあいまいにしてはどうか」などと提案したという。(この発言は米国立公文書館に保管されている)
今回セヌリ党の大統領候補に選出された朴槿恵(朴正煕の娘)がこの件で攻撃された。

逆に、韓国政府が公開した外交文書によれは、1962年に行われた日韓の折衝で、伊関佑二郎・日本外務省アジア局長が、
「竹島は無価値だ。日比谷公園と同じくらいの大きさなのだから、爆破してしまえば問題はなくなる」
と発言したとされている。

ーーー

注 サンフランシスコ講和条約の第2条のa項

日本が放棄すべき地域として「済州島、巨文島及び鬱陵島を含む朝鮮」と規定.。

これに対し、韓国側は、「朝鮮並びに済州島、巨文島、鬱陵島、独島及びパラン島」とするよう要請。

これに対するラスク極東担当国務次官補の回答は以下の通り。

  「ドク島、または竹島ないしリアンクール岩として知られる島に関しては、この通常無人である岩島は、
   我々の情報によれば朝鮮の一部として取り扱われたことが決してなく、
   1905年頃から日本の島根県隠岐島支庁の管轄下にある。
      この島は、かつて朝鮮によって領有権の主張がなされたとは見られない。
   またバラン島という島は存在しない。」

 

中国商務部は8月22日、2012年のレアアース輸出枠の二次割当を9,770トンと決めた。これにより年間割当は30,996トンとなった。

報道では、輸出枠の前年比約2.7%増を、「中国がレアアースを不当に輸出規制しているとの国際的批判をかわす狙いとみられる」としているが、年間割当は2011年12月時点での商務部の想定(約31千トン)と変わらない。

年間割当のうち、軽希土は27,122トン、中重希土は3,874トンとなった。(本年より、それぞれで輸出枠が決められた)

  2009 2010 2011   2012

2011/12/7
      承認

上期追加

2012/8/22
  承認
2011/12/7
仮承認 
2012/5/17
  承認
上期合計
上期 25千トン 14,446トン 22,282トン 軽希土 9,095トン 12,605トン 9,490トン 18,585トン  
中重希土 1,451トン 1,753トン 1,190トン 2,641トン  
合計 10,546トン 14,358トン 10,680トン 21,226トン  
下期 25千トン 15,738トン 7,976トン 軽希土         8,537トン
中重希土         1,233トン
合計   約6,000トン     9,770トン
年間 50,145トン 30,184トン 30,258トン 軽希土         27,122トン
中重希土         3,874トン
合計   約31,000トン     30,996トン


中国商務部は2011年12月7日、公告第1133号で、2012年のレアアースの輸出方針を発表した。

1)2012年以降、軽希土と中重希土別に輸出枠を設定する。

ハイブリッド車用の高性能磁石に不可欠なジスプロシウムなどは年間でも4000トン程度に止まる。

2)第一次輸出割当は、厳しい環境検査を既に通過した五礦集團公司など11社に10,546トンを認める。

3)仮割当は包鋼集團公司など20社に合計14,358トン。

   2012年7月末までに中国環境保護部の環境レビューを終えれば与えられる。

2011/12/28 中国商務部、2012年のレアアースの輸出方針を発表 

商務部は2012年5月17日、追加で10,680トンを割り当てると発表した。追加割り当ての内訳は、軽希土類が9,490トン、重希土類が1,190トン。 年初来の割当量はこれで21,226トンとなった。

ーーー

輸出枠の設定後、輸出量は減少している。

2011年の実際の輸出量は18,600トンで、輸出枠30,258トンの61%に止まっている。
2012年1-6月のレアアース輸出総量は、2011年同期比42.7%減の4,908トンにとどまっている。

値上がりや海外需要家の在庫蓄積、海外産品の増加などもあるが、密輸の増大が大きな理由とみられている。

レアアースの密輸は、これまでの金属・酸化物から粗鉱の密輸に変化しつつあるという。
人民網日本語版(2012/8/10)は、一部の粗鉱はコンテナにより香港に密輸されるか、福建省から台湾を中継地として日本・ベトナム等に輸出され、製錬されていると述べている。

日本向け輸出の減も、密輸によるものではないかと見られている。
 酸化ランタンの2011年上半期の日本向け輸出は約699トン、2012年上半期は約80%減の140トンのみ。
 酸化ネオジムは2011年上半期が約230トンで、2012年上半期は約95%減の12.2トン。

中国工業情報化部の蘇波副部長は8月8日に開かれた「第4回中国包頭レアアース産業(国際)フォーラム」に出席した際、「中国のレアアース業界には、過剰生産・環境汚染・生態系の破壊・密輸犯罪といった問題が長期的に存在している。中国工業情報化部、中国国土資源部、中国環境保護部は昨年、レアアースの生産と環境保護に関する活動を展開し、10数件の密輸事件を摘発した」と述べた。




新日鐵化学は8月20日、世界最大のコールタール蒸留企業である米国Koppers社との戦略的提携を背景に、中国江蘇省でのコールケミカルの生産・販売拠点の新設を決定したと発表した。

中長期的に成長が見込まれる新興国市場での需要増に応えるために、中国江蘇省邳州市で、Koppersから供給される原料をベースに、電炉用黒鉛電極の原料となる「ニードルコークス」、自動車用タイヤ等の原料となる「カーボンブラック」の生産・販売会社をそれぞれ新設する。

総投資額は約130億円、売上規模は約200億円を見込んでおり、設備の稼働開始は2014年6月頃としている。

邳州市を選択した理由としては、コールタールを安定調達できる豊富な原料産地であること、ニードルコークスでは世界需要の約2割の需要地、カーボンブラックでは約3割を占める主需要地であることが大きい。
また、ニードルコークス以降の川下事業について、日系の独資による新会社での運営が可能となったこともある。

今回、新日鉄化学はニードルコークスとカーボンブラックを単独出資としたが、製造に高度な技術を要するため、技術漏洩を防ぐ狙いがあるためとみられる。 

同社では、コールケミカル事業の最大のミッションは、新日本製鐵および住友金属工業の製鉄プロセスから副生される原料を有効活用し、その付加価値を高めることであり、親会社である新生「新日鐵住金(10 月1 日発足)」のグローバル戦略に沿って、強靭なコールケミカル事業を目指し、世界的なタールビジネスチャンスの可能性を追求するとしている。

新日鐵化学では、原料から製品までの一貫体制を、日・米・中のそれぞれ特徴ある企業が担う、これまでに例のない新たなスキームが構築され、世界で最も効率的で競争力を持った、コールケミカル事業チェーンが実現できるものと期待している。

江蘇省邳州市(Pizhou City) 経済開発区に新しく 3つの会社が設立される。

1) コールタールの蒸留

会社名:未定
株主    :(majority) Koppers
             (minoroty)   Yizhou Group (沂州集団:中国のコークスメーカー)
能力    :コールタール蒸留 300千トン/年
      蒸留による製品の大部分は下記2社の原料として供給される。

売上高:
$150-200 million

2)ニードルコークス、含浸ピッチ(IP)等の生産・販売

会社名:未定
株主 :新日鐵化学
     子会社 シーケムが中心となって設立・運営
能力 :ニードルコークス 6 万t
/年
投資額:約100 億円

ニードルコークスは電炉用黒鉛電極の原料

3)カーボンブラック生産・販売

会社名:未定
株主 :新日鉄化学
     子会社 新日化カーボンが中心となって設立・運営
能力 :カーボンブラック 5 万t
/年
投資額:約30 億円

カーボンブラックは自動車用タイヤ等の原料

ーーー

本件については、2012年2月16日に、Koppers、新日鉄化学、双日ジェクト(双日100%の炭素関連製品商社)、邳州市当局、Yizhou Groupの間で覚書が締結されている。
今回の発表では、双日ジェクトは含まれていない。

ーーー

Koppers Holdings Inc

設立:1907 年
本社:米国ペンシルバニア州ピッツバーグ
工場:米国、欧州(イギリス、デンマーク、オランダなど)、中国、豪州
事業内容:
   コールタール蒸留事業(約200 万t/年:アルミ用等ピッチ類、カーボンブラック原料油、ナフタリン等)、
   鉄道用枕木等輸送材料事業

シーケム

株主:新日鐵化学 65%、エア・ウォーター 35%
工場:九州、広畑、鹿島
事業内容:
   ・炭素材料(ニードルコークス、ピッチ、カーボンブラック原料油等)
   ・タール精製品および誘導品(ナフタリン類、無水フタル酸、タールファイン製品等)

新日鐵化学グループ「コールケミカル事業」の中核会社であり、電炉用電極向け炭素材料(ニードルコークス・バインダーピッチ・含浸ピッチ)の供給をはじめ、自動車タイヤ向けカーボンブラックや、太陽電池・半導体材料に使用される特殊炭素製品分野への原料供給を通じて、幅広い産業分野を支えている。

石炭系ニードルコークスでは世界シェア推定約6割強。

 

新日化カーボン

株主:新日鐵化学 100%
工場:愛知県田原市
事業内容:ゴム用カーボンブラックの製造・販売
      シーケムから安定的に良質な原料油(ブラックオイル)を調達

BASF、Cargill、Novozymesの3社は8月17日、再生可能原料からアクリル酸を製造する技術の共同開発の契約に調印した。

アクリル酸は現在、プロピレンの二段階酸化により生産されている。

プロピレン→アクロレイン→アクリル酸

3社は再生可能原料からアクリル酸を製造する技術を開発する。

ーーー

CargillNovozymes は20081、再生可能原料から3-ヒドロキシプロピオン酸(3HPA)を経由してアクリル酸を製造する技術を共同で開発する契約を締結した。

バイオ技術でつくった微生物を使用して砂糖(グルコース)を発酵させて3HPAに変換するもので、米エネルギー省から150万ドルの支援を受ける。
3HPAはその後、アクリル酸を含む幅広い化学製品に変えられる。

両社はその後、効率的に3HPAに変換できる微生物の開発を続けてきた。

今回、BASFがこれに参加、3HPAをアクリル酸に変換するプロセスの開発で協力する。

BASFは世界最大のアクリル酸メーカーで、同社はバイオベースのアクリル酸から高吸水性樹脂の生産を計画していた。

B社はBASFC社はDowD社はArkema(元 Atofina

 

 

 

 

米司法省は8月16日、米国内の自動車部品販売をめぐる価格カルテルで、矢崎総業の日本人幹部1人が新たに有罪を認め、1年2カ月の禁錮刑と罰金2万ドルの支払いに合意したと発表した。

この事件では、まず古河電工が2011年9月29日、米国司法省との間で、自動車用ワイヤーハーネスに係るカルテルに関して司法取引に合意し 、罰金200百万ドルを支払うとともに、社員3名が有罪を認め、罰金と禁固刑となった。

2011/10/4 古河電工、自動車用ワイヤーハーネス・カルテル問題で米国司法省と合意 

次いで、本年1月30日に、矢崎総業とデンソーが米国での自動車用ワイヤーハーネス等のカルテルで有罪を認め、罰金を支払うことで合意した。 

矢崎総業はワイヤーハーネス、インパネクラスター、ヒューエルセンサーの3件に係わった。
矢崎総業の罰金は470百万ドルで、これは米独禁法(Sherman Act)での2番目に大きい罰金となる。

デンソーは電子制御ユニット(ECU)とヒーター操作パネル(HCP)の2件に係わった。
デンソーの罰金は78百万ドル。

別途、矢崎総業の4人が15か月から2年の禁固刑を受けた。2年は米独禁法で外国人の禁固刑では最長となる。

2012/2/1 矢崎総業とデンソー、自動車用ワイヤーハーネス等のカルテル問題で米司法省と司法取引

その後、デンソーの2名が禁固刑を受けている。

今回、矢崎から1名が追加されたが、更に1名が起訴されており、9月26日に量刑の合意書を締結することとなっている。

これにより、自動車部品関連で合計11名が禁固刑を受けることとなる。
なお、禁固刑に加え、各人が2万ドルの罰金を課せられている。

  氏名  発表 or 合意書  禁固 罰金
古河電工 J. F. 2011/10/24 1年+1日 各人
2万ドル
H. N. 2011/10/13 15か月
T. U. 2011/11/10 18か月
矢崎総業 T. H. 2012/1/30 2年
R. K. 2012/3/26 2年
S. O. 2012/3/26 15か月
H. T. 2012/3/26 15か月
T. S. 2012/8/16 14か月
K. K. 2012/9/26決定 付記 14か月
デンソー N. I. 2012/3/26 1年+1日
M. H. 2012/4/26 14か月

 

付記 司法省は2012年11月16日、12人目を発表した。

山下ゴム H.Y. 2012/11/16  12か月+1日 2万ドル

発表では「埼玉に本社を置く免震ゴムメーカーのオハイオにある子会社」としか発表していないが、現地紙は山下ゴムの子会社のYUSA Corporation の社員と報道している。

付記 朝日新聞は2013年3月25日に、「米で邦人社員12人収監 自動車部品カルテル、海外波及」として大きく報道している。

 

これにより、日本人で禁固刑に処せられるのは合計で13名となる。14名

米国のカルテルでは、企業に罰金が課せられるだけでなく、従事した従業員も起訴される。

これまで非常に多くの日本人がカルテルで起訴されている。

但し、日本在住の場合は犯罪人引渡条約の対象(両国でいずれも処罰の対象となり両国の法律で死刑、無期懲役、1年以上の拘禁刑に当たる罪の場合)に該当しないため、米国での時効の中断状態となっている。

米国や欧州など引渡条約対象となる国に行った場合は逮捕され、米国で裁判を受けることとなる。
時効は中断状態のため、永久に外国に行けない。

第一号はダイセル社員のH. H.氏

防カビ剤のソルビン酸価格カルテルで起訴された。

同氏は当時は役員ではなく、担当者であったが、減免申請をしたチッソの提出資料に同氏の活動状況が詳しく書かれていたため、余りにも関与が大きいとして、例外的に起訴されたという。

まだ若く、海外に行けないのでは仕事にならないため、自ら渡米し、3ヶ月の禁固刑(と罰金2万ドル)に服した。
同時に起訴された
ダイセル、上野製薬、日本合成の役員は日本から出ず、刑を避けている。

2006/2/16 独禁法改正

もう一人はブリヂストンのM. H.氏

マリンホース国際カルテルで現場で逮捕された。有罪を認め、2年の禁固刑と8万ドルの罰金を課せられた。

2008/12/12 マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決

なお、罰金刑だけなら、他にもある。

リジンカルテルでは、味の素と協和発酵、及びSewonは司法取引に応じ、各社と各社の役員各1名が罰金を払った。

なお、味の素のM氏の個人の罰金を会社が支払った疑惑が問題となった。

2010/1/12 映画 The Informant

ーーー

これまで禁固刑がたった2名で、それも1名は現地逮捕である。他は全て日本から出ず、刑を避けている。
それが、3社で11人もが刑を受けるなど、過去の例からは考えられない。
今回の事件で、全員が米国で逮捕されたとは考えられない。

古河電工の司法取引について、司法省は企業への罰金と社員3名の禁固刑を同時に発表している。
もしかすると、社員を裁判にかけさせるのを条件に、企業への罰金の減額の取引をしたのかも分からない。

司法省は日本人が日本から出ず、裁判を受けないのを不満に思っているのは間違いない。
上記ダイセルの社員の場合は、第一号として大々的にPRする一方、禁固期間を短くし、禁固中も週末の帰宅を認めるなど、非常に寛大な措置をしている。

これが前例になると、今後は、日本から出ずに刑を避けるなどということが出来なくなる可能性がある。

 

付記

日本精機は8月29日、米国司法省との間で、自動車用計器に係る競合他社とのカルテル事件に関して、罰金100万米ドルを支払うこと等を内容とする、司法取引に合意したと発表した。

米司法省は、これを含め、8社と11名(上記)が罪を認めたと発表した。9社と12名

企業については以下の通り。

      罰金
古河電工 2011/9 ワイヤーハーネス 200 百万ドル
矢崎総業 2012/1 同上 470百万ドル
デンソー 2012/1 electronic control units (ECUs)
heater control panels (HCPs)
78百万ドル
 ジーエスエレテック
(デンソー関係会社)
2012/4 antilock brake systems 2.75百万ドル
フジクラ 2012/4  wire harnesses 20百万ドル
Autoliv Inc
(Stockholm)
2012/6 seatbelts, airbags and
steering wheels
14.5百万ドル
TRW Deutschland
(米社独子会社)
2012/7 seatbelts, airbags and
steering wheels
5.1百万ドル
日本精機 2012/8 自動車用計器 1百万ドル


付記 司法省は2012年10月30日、東海理化がヒーターコントロールパネルでの価格カルテルで有罪を認め、1770万ドルの罰金支払いで合意したと発表した。

Invisaは8月13日、バイオ技術会社のLanzaTechとの間で、バイオベースのブタジエンを対象とする共同開発契約を締結した。

両社は産業排ガス中の一酸化炭素からブタジエンを製造する1段階法と2段階法の技術を共同で開発する。2016年の商業生産を狙う。

先ず、LanzaTech技術を使用して一酸化炭素から2,3-ブタンジオールを製造し、これを原料にブタジエンを製造する2段階プロセスから着手し、ガス発酵法による1段階のブタジエン製造技術も開発する。

更にこの技術を進め、将来は、一酸化炭素を含む排ガスからLanzaTechのガス発酵技術を使ってナイロン6,6 原料のアジポニトリルなどの化学品を製造する。

LanzaTechは2005年にNew Zealandで設立され、現在はイリノイ州Rosell に本拠を置く。
排ガスから低炭素燃料や化学品を製造するgas-liquid発酵技術を開発した。

LanzaTech技術は微生物触媒を使用するのが特徴。

他にも微生物を使うGas-to-fuel 技術が開発されているが、これらはガス中に大量の水素を必要とする。
製鉄所の排ガスには水素は少ない。

LanzaTech技術はそういった排ガスも利用できるのが大きな利点。

現在、New Zealand の製鉄所の年産15千ガロンのパイロットプラントで排ガス中の一酸化炭素からエタノールと2.3-ブタンジオールを生産している。
上海では宝鋼集団の製鉄所の排ガスを使い、年産100千ガロンのパイロットプラントでエタノールを生産している。

ーーー

ブタジエンは、自動車タイヤ用途を中心として需要が拡大しているが、ほとんどがナフサ分解C4留分からの抽出で生産されている。
今後、シェールガスを原料とするエチレン生産(C4留分がない)が広がると、ブタジエンが不足することが見込まれている。

三菱化学は2008年12月、自社開発した触媒を用いてブテン類からブタジエンを製造する新技術を開発、工業化技術確立の目処が付いたと発表した。

2008/12/16 三菱化学、ブタジエンの新規製造技術を開発 

三井化学は2010年3月、エチレンからブタジエンを効率的に製造する新技術を開発したと発表した。
新規エチレン二量化触媒でエチレンからブテンを製造し、新規脱水素触媒でブテンからブタジエンを製造する。

2010/3/27 三井化学、新規ブタジエン製造技術を開発

ブリヂストンは北海道大学の上田渉教授と共同で、サトウキビなどを原料にしたバイオエタノールと独自の金属触媒を化学反応させ、ブタジエンをつくる技術を開発した。

同社は「持続可能な」社会の実現に向け、再生可能原料のみを使った理想のタイヤ技術を目指すことを明らかにしている。

1)新しい再生可能資源に『拡げる』取り組み

 ①天然ゴム生産地域の多様化
 ②タイヤ用補強繊維で植物由来繊維の多様化・拡充

2)化石資源を再生可能資源に『換える』取り組み

 ①バイオマス由来合成ゴムの開発:バイオエタノール由来のブタジエンを用いた合成ゴムなど
 ②バイオマス由来カーボンブラックの開発
 ③バイオマス由来新規ゴム配合剤の開発等

ブリヂストンは5月31日、味の素からバイオマスから生成したイソプレンの提供を受け、合成ゴムの重合に成功したと発表した。
材料にバイオマスを使用、味の素が発酵技術を活用してイソプレンを生成、ブリヂストンが合成ゴム〔高シスポリイソプレン〕の重合に成功した。

2012/5/30   ブリヂストン、再生可能原料のみを使った理想のタイヤ技術を目指す

 



韓国の教育科学技術部は8月13日、リチウム2次電池の急速充電・放電技術を韓国研究陣が開発したと明らかにした。

同部によると、蔚山科学技術大学・親環境エネルギー工学部のProf. Jaephil Choの研究チームが、炭素でコーティングされた単結晶ナノ粒子のクラスターを電極物質として利用することで、充電時間は短く、出力は高いリチウム2次電池を開発することに成功した。

充電時間は市販の電池に比べ1/30から1/120に短縮され、平常時の300倍に達する電流を流すことで、わずか6秒で容量の50%を放電させられる高出力を備える。
研究陣は、1分ほどの短時間で充電できる電気自動車用電池の開発などに応用できるものと期待を寄せている。

研究結果をまとめた論文は、応用化学分野で権威の高いドイツの学術誌 Angewandte Chemie国際版(2012/8/2)に掲載された。

Carbon-Coated Single-Crystal LiMn2O4 Nanoparticle Clusters as Cathode Material for High-Energy and High-Power Lithium-Ion Batteries
   http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.201203581/abstract

リチウム2次電池では、電池を充電すると、正極の中のリチウムイオンが引き抜かれ、電解液中を移動して負極に吸収される。
逆に、放電すると、負極からリチウムイオンが放出され、正極に入る。

陽極材料にはリチウム、マンガン、酸素から成る大きさ10マイクロメートルの粉末を使用する。
粉末を小さくすれば、粒子数が増えるため、充電速度が速まる。しかし、粒子を小さくすると、粒子の密度が低くなり、電池の容量低下を招く欠点があった。

研究陣はリチウムバッテリーの陽極の粉末粒子をこれまでの1/500の20ナノメートルまで小さくした上で、スクロース(ショ糖)溶液を加えて加熱することで、問題を解決した。  

ナノ粒子は凝結して、マイクロメートル級の粒子のように変化し、既存のバッテリー並みの容量を確保できるようになった。また、ショ糖が焼けて生じた成分が粒子の表面をコーティングし、導電効率も高まった。

Cho教授は「GMのVoltなどに使われる既存のバッテリーは充電に最低2時間かかる。急速充電が可能なナノ粉末は2年程度あれば量産が可能だ」と説明した。



 
   

2006/8/21 夏休み特集 蚊取り線香物語 ピレスロイドの歴史

 住友化学のマラリア対策用の殺虫剤処理蚊帳について付記

 

 


国際協力銀行(JBIC)は8月13日、三菱商事が出資するカナダ法人Cutbank Dawson Gas Resources との間で、融資金額650百万カナダドル限度(JBIC分)の貸付契約に調印したと発表した。三菱東京UFJ 銀行及びみずほコーポレート銀行との協調融資。

三菱商事がカナダ最大手の天然ガス事業会社Encana Corporationより、ブリティッシュコロンビア州モントニー地域のシェールガス鉱区権益の40%を取得し、シェールガスを開発・生産するために必要な資金を融資するもの。

Encana Corporationは本年2月17日、British ColumbiaCutbank Ridgeの未開発の土地でのシェールガス開発で三菱商事と提携したと発表した。

三菱商事は新たに子会社Cutbank Dawson Gas Resources を設立し、29億カナダドルを投じて40%の権益を取得し、Cutbank Ridge 埋蔵エリア(Play)の409千エーカーのMontney層天然ガスランドの開発を行う

  2012/2/21  三菱商事がカナダのシェールガス開発に参加 

三菱商事は既に、ブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガス開発でPenn West Energy Trustから50%の権益を取得している。

 
2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画

三菱商事は、カナダで生産した天然ガスを原料に液化天然ガス(LNG)として輸出する可能性についても検討を進めている。
日本のLNG調達先の多様化に資することが期待されている。

付記

国際協力銀行(JBIC)は8月23日、国際石油開発帝石(INPEX)との間で、「円高対応緊急ファシリティ」の下での資源・エネルギーの確保・開発の促進に係る案件として、180百万米ドル限度(JBIC分)の貸付契約に調印した。民間金融機関との協調融資によるもので、協調融資総額は300百万米ドル。

INPEXが日揮と共同で設立しているカナダ法人 INPEX Gas British Columbia Ltd.を通じて、NEXENが保有する同国ブリティッシュコロンビア州ホーンリバー、コルドバ及びリアードの各シェールガス鉱区の権益の40%を取得するもの。

2011/11/28 KKRと伊藤忠など、米Samsonを72億ドルで買収へ の付記

ーーー

この融資は国際協力銀行の「円高対応緊急ファシリティ」の下での資源・エネルギーの確保・開発の促進に係る案件である。

財務省が2011年8月24日に発表した「円高対応緊急パッケージ」の中で「円高対応緊急ファシリティ」の創設が示されたことを受けて、2012年9月末日までの時限措置として、日本企業による海外企業の買収や、資源・エネルギーの確保などを促進するもの。

  財務省は2011年8月24日、現下の急激な円高の進行に対応すべく、円高対応緊急パッケージを発表した。

1. 円高対応緊急ファシリティ(1,000億ドル)の創設

【基本枠組】
・外為特会のドル資金を、国際協力銀行を経由して活用
・公的部門によるリスクマネーの供給や政策融資により、
  ①日本企業による海外企業の買収や、
  ②資源・エネルギーの確保などを促進し、
 これを民間部門の円投の呼び水とする

【金額・金利】
・政策融資の財源として、外為特会から国際協力銀行に対し、最大1,000億ドルを、6か月LIBOR金利で融通
国際協力銀行から合計1,500億円規模を出資

【具体的方策】
(1)M&Aの促進
  ①邦銀へのクレジット・ライン供与
  ②産業革新機構との連携
(2)資源・エネルギーの確保・開発の促進
(3)中小企業の輸出等の支援

2. 外国為替及び外国貿易法第55条の8に基づく外国為替の持高報告



「円高対応緊急ファシリティ」の実績
 
月日 相手先 内容 JBIC限度額
2011/10/5 三菱東京UFJ銀行
三井住友銀行
みずほコーポレート銀行
M&Aクレジットライン設定のための一般協定 3行の総額
 430億ドル限度
2012/2/23 同上3行 ソニー ソニー・エリクソン社完全子会社化(買収総額1,050百万ユーロ) 819百万米ドル
東芝 ランディス・ギア社買収(買収総額1,620百万米ドル) 600百万米ドル
2012/7/4 同上3行 日本電産 イタリアの産業用モータ、発電機等製造・販売大手Ansaldo Sistemi Industriali S.p.A買収資金 買収資金の一部
2012/6/22 三井住友銀行 三井住友
ファイナンス&リース
ロイヤルバンク・オブ・スコットランドから航空機リース事業を共同買収
(三井住友銀行との共同)

別途、新会社に30億米ドル(JBIC分)の貸付契約
413百万米ドル(協調融資総額783百万米ドル
住友商事 78百万米ドル(協調融資総額131百万米ドル)
2012/5/16 三菱東京UFJ銀行 東京海上日動火災保険 米国生損保兼営保険大手Delphi Financial Groupの買収(買収総額約27億米ドル) 7.8億米ドル
2012/5/29 三井住友銀行及び
三菱東京UFJ銀行
豊田自動織機 スイスの紡績糸品質測定機器、綿花格付機器の開発・製造・販売大手Uster Technologies AGの買収(買収総額276百万米ドル)。 165.6百万米ドル
       
2012/5/29 三菱UFJ信託銀行
三井住友信託銀行
M&Aクレジットライン設定のための一般協定 各20億米ドル限度
2012/7/25 農林中央金庫 M&Aクレジットライン設定のための一般協定 20億米ドル

 


DuPontとMonsantoの特許を巡る米国地裁の裁判で8月1日、陪審員はDuPontとその100%子会社 DuPont Pioneerに故意の侵害(willful infringement)があると認め、10億ドルの支払いを命じた。故意の侵害の場合、賠償金は増額される。

Monsanto20095月、DuPont子会社のPioneer Hi-Bred International (その後DuPont Pioneer改称)2002年のライセンス契約に違反して、Roundup Ready 大豆とDuPont GAT農薬耐性大豆をセットにしているとして訴えた。 

PioneerRoundup Ready販売の権利を持つが、DuPont のOGATに置き換えるとしていた。
しかし、
OGATだけでは問題があることを認めており、Roundup Readyとセットにして販売した。

これに対してDuPont は翌6月、両種子技術をセットにする(stacking) のはライセンス契約の範囲内であると主張、更に、Monsanto特許は無効であり、Monsantoは特許を不当に使って、コーンと大豆の市場を支配しているとして訴訟を起こした。

「Monsantoの訴訟は競合製品の使用を制限する戦術の一つである。農家は多くの技術の中から最適のものを使うことを望んでおり、その権利がある。
両種子のセットは生産性や多種の雑草防止などの点で市場の他の製品よりも優れている。
Monsantoが課している非競合制限なしで、最もよい組み合わせを行うのが生産者にも消費者にも役に立つ。」

2010/1/19 米司法省、独禁法違反でモンサントを調査

陪審員は、DuPont側が自社のOGATが初期の開発段階でうまくいかなかったため、これを隠すために、Monsanto特許のRoundup Ready技術を故意に侵害したと判断した。

Monsantoによれば、裁判でDuPont側が提出した資料から、DuPont上層部はOGATが失敗だったことを隠すため、Monsantoの特許を不正に利用したが明らかである。DuPontのトップや役員会に何度も調査するよう依頼したが、対応しなかったのは残念としている。

また、MonsantoはDuPontに対して、OGATとRoundup Readyのセット使用についてのライセンスを何度も提案したが、DuPontは応じなかったという。

この判決を受け、DuPontは、判決にはいくつもの間違いがあり、上告すると発表した。
 ・MonsantoのRoundup Ready大豆特許 (RE 39,247)は無効である。
   Monsantoは特許申請に当たり、何度も、意図的に、特許庁をだました。
 ・10億ドルの判決はおかしい。

今回の裁判で扱われなかったMonsantoのこの特許に関する不正行為に関しては、2013年9月に予定される対モンサントの独禁法違反と特許不正利用の裁判で争うとしている。

なお、St. Louis地裁は2010年に、DuPontとMonsantoの間のRoundup Ready のライセンス契約には、大豆またはコーンでDuPontのOGATとMonsantoのRoundup Ready traitをセットにするのを禁じる書かれていないが黙示("implied")の条項を含んでいると裁定している。

 





石油資源開発は8月10日、米国テキサス州のシェールオイル開発プロジェクトに参入すべく、米国の石油会社(社名明らかにせず)との間で、約27千エーカーの鉱区の権益5%を取得すること等を定めた売買契約を締結したと発表した。

買収金額は明らかにしていない。

買収した権益は、テキサス州アタスコサ郡、マクミュレン郡、ライブオーク郡のEagle Ford層の権益で、軽質原油、NGL、天然ガスを産出する。
Marathon Oil が95%を有し、オペレーターとなっている。

現在の生産量は日量1800バレル(原油換算)だが、2018年には日量2万バレルに引き上げる。
石油資源開発は開発費の権益相当分の数億ドルを負担する。

Eagle Ford シェールでは、三井物産、丸紅、大阪ガスが開発に参加している。

 ・三井物産:SM Energyから12.5%の権益を取得

2011/7/4  三井物産、テキサス州のシェール開発に参加

 ・丸紅:Hunt Oil から35%の権益を取得

2012/1/9 丸紅、イーグルフォード・シェールオイル・ガス開発事業に参画

  ・大阪ガス:2012年6月22日、Cabot Oil & Gas Corporationから35%の権益を取得

所在地:米国テキサス州南部(イーグルフォード地区)
参加者:Cabot 65%:オペレーター
    大阪ガス 35%
開発対象:ピアソール層
主な産出資源:天然ガス、軽質原油、NGL

ーーー

石油資源開発は本年7月20日、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で、秋田県由利本荘市にある同社の「鮎川油ガス田」で、タイトオイル(シェールオイル)に係るエンジニアリングスタディを3月から実施中であることを明らかにした。

石油資源開発では、今回のEagle Fordシェールオイル開発に参加して得られる最新の開発技術とノウハウを、今後の国内の非在来型石油ガスの開発において利用する考え。

ーーー

石油資源開発によると、シェールオイルの埋蔵が確認されているのは、「鮎川油ガス田」の地下1000~1500メートルにある頁岩(シェール)と呼ばれる粘土質の岩盤層。

鮎川油ガス田の貯留層は、船川層、女川層、グリーンタフなど複数の貯留層から構成されている。
共同スタディは、大規模なタイトオイル(シェールオイル)開発が進んでいるカリフォニア州Monterey層と同タイプで、タイトオイルの存在が期待される女川層を対象とする。

良好な結果が得られた場合には、秋田県内の同社の他の油田の女川層におけるパイロットテストも検討する。

シェールオイルがあると分かった女川層








Marathon Oil は7月31日、Totalとの間で、イラクのクルド自治区のHarir block とSafen blockの開発にTotalが参加する契約を締結したと発表した。

TotalはMarathonから43.75%の権益を買収する。(所有権は35%、クルド政府が20%保有)

MarathonはHarir blockのオペレーターとSafen blockの開発オペレーターを続け、TotalはSafen blockの生産開始後はこのオペレーターとなる。

  当初 改正
Working
Interest
(Ownership)
Paying
Interest
Working
Interest
(Ownership)
Paying
Interest
Operator
Marathon 80% 100% 45% 56.25% Harir block
Total - - 35% 43.75% Safen block
(開発はMarathon)
Government 20% - 20% -  


Total は中央政府の二次入札で
CNPC主導のHalfaya油田開発にPetronasとともに参加している。
CNPC 37.5%、Petronas 18.75%、Total 18.75%、イラン国有South Oil Company 25%)

クルド自治政府の石油開発を認めていないイラク中央政府は8月12日、Totalに対し、本件をやめるか、南部のHalfaya油田の権益を売却するか、との最後通告を行った。

Marathon Oil は2010年10月、クルド自治区で上記のHarir とSafen blockの2つの開発権を取得するとともに、Atrush とSarsang の2鉱区に参加した。

 ・Atrush Block  20% (General Exploration Partners, Inc. 80%)

2007年11月に認可を受けた。
Atrushを開発するGeneral Exploration は当初は
Aspect Energy LLCの100%子会社であったが、その後、Aspect Holdingsが2/3、カナダのShaMaran Petroleumが1/3のJVとなっている。

 ・Sarsang Block 25% (HKN Energy 75%)

2007年11月に認可を受けた。
Sarsangを開発するHKN Energyは米の
Hillwood International Energy(事業はこれのみ)の子会社であったが、2001年にA.P. Moller - Maersk Groupの子会社Maersk Oilが20%参加した。

今回のTotalのクルド自治区への進出は、ExxonMobil とChevronに次ぐ3社目のBig Oil の進出となる。(直後にGazpromが契約を締結した。)

ExxonMobil は2011年10月、クルド自治政府と6鉱区の単独開発で合意し、生産物分与契約を締結した。

下の地図のBlue line はクルド自治政府の境界線だが、Kirkuk市などを含む斜線部分(Disputed area)は帰属未定で、クルド政府は固有の領域とし、中央政府はそうでないと主張している。Exxon契約のうち3か所は紛争地域内で、問題となる。


 

ExxonMobil は中央政府の第一次入札でShellと共同で南部のWest Qurnaの開発権を得ている。


Chevron は2012年7月、インドのRelianceからRovi blockとSarta block の80%を買収する契約を締結した。買収額は約3億ドルと言われる。

これらのblockは2007年に契約を締結したが、2010年に自治政府が権益の20%をオーストリアのOMVに与えた。
OMVは今後も20%の権益を維持する。

これに引き続き、8月1日にはロシアの Gazprom Neft がクルド自治政府との2ブロックでの契約締結を発表した。

 ・Garmian blockの40%(カナダのWesternZagrosが40%、自治政府が20%)
 ・Shakal blockの80%(自治政府が20%)

Gazpromは中央政府の2次入札でBadrah油田の開発権を得ている。

ーーー

イラクは2009年6月30日にようやく、第一次開放対象の国際入札を実施した。その後、順次入札を行っている。

2009/11/12 イラク、第一次油田開放で進展

2009/12/14  イラクの石油第二次入札で石油資源開発が落札

2010/10/26  イラクでの天然ガス田開発、韓国連合が2ガス田を落札

2012/6/1  国際石油開発帝石、イラクの第4次公開入札で落札

開発の遅れは、イラク国会でイラクの石油・ガス田開発の権利を巡って行き詰り、海外資本を規制する石油・ガス法が通らないままとなっていたためである。

クルド地方政府はこれに苛立ち、独自に海外石油資本と多数の契約を締結した。

2004年にDNOとの間で、Tawke、Dohuk(北部)とErbilの3つの油田の開発契約を締結した。

その後、2007年後半以降、多数の契約を締結した。
この中には韓国のコンソーシアムによる5油田も含まれている。(その後、開発は失敗に終わった。)

   2008/2/20 韓国エネルギーコンソーシアム、イラク油田開発

   2011/9/20 韓国のイラク・クルド地区の石油開発は失敗 

2009年6月にはクルド自治区からの原油輸出が始まった。
Tawke油田とTaq Taq 油田からの日量10万バレル程度の原油を中央政府が管理する既存パイプラインを使ってトルコの地中海岸の積み出し港
ジェイハンに運び、そこから輸出する。

 2009/6/9 イラクのクルド自治区の原油輸出開始 

これに対し、イラク政府は外国企業がクルド地方政府と石油関連の合意を結ぶことは違法であると主張している。

上記の韓国コンソーシアムによるクルド地区での石油開発参加に対し、イラクの石油相は、「韓国石油公社やSKエナジーなどの韓国企業がクルド自治政府と締結した油田開発事業は、中央政府との協議を経ずに行われた違法なものだ。そのため両社は今後、イラクでの油田開発に関する入札に参加できない」と通知した。

イラク政府は第1回油田開発入札資格審査で両社を排除、第2回審査でもSKエナジーを排除した。
また、SKエナジーに対する日量 9万バレルの輸出を一時停止した。オーストリアの
OMVに対しても石油輸出の停止処分を行なっている。

2011年10月のExxonMobil のクルド政府との契約締結に対し、イラク中央政府はExxonに対してクルドか南部で契約済のWest Qurnaかを選択するよう要求(最終的にWest Qurnaの権利は維持)、また契約を解除しないと第4次入札から締め出すと通告した。

2009/4/7 イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外

クルド地方政府はこの契約は憲法の権利に基づくもので、イラクの基本法に反するものではないと主張している。

ーーー

クルド人は国を持たない民族で、トルコ、イラン、イラク、シリアにまたがり住んでいる。推定人口は2000万~3000万人。

第一次世界大戦後、連合国と敗戦したオスマントルコ帝国との間でクルド人の独立が認められたが、条約は破棄され、英仏によるオスマントルコ分割でクルド人に配慮せず国境線を引いた。

今回のシリア内戦ではシリア北東部の各都市をクルド人勢力が掌握した。
トルコ政府は国内のクルド人の独立運動の高まりに苦慮している。

イラクでは1991年の湾岸戦争でのイラク敗北後、多国籍軍が設定した保護区でクルド人自治が実現。フセイン政権崩壊後、イラク政府は2006年に正式にクルド自治政府を承認した。

域内の石油埋蔵量は450億バレルでイラク国内全体の埋蔵量の約3割を占めるが、自治政府はイラクの石油収入の17%しか受け取れず、自治政府はこれを不満としている。

クルド自治区での石油開発に関し、クルド自治政府は、イラク国内で産出し、輸出される石油や天然ガスはイラクのものであり、収入の17%以外はイラク中央政府に渡すとしている。

本年に入り、クルド自治政府はトルコへ100万バレルの石油を運ぶパイプラインを建設すると発表、これに対し中央政府は、イラク国土内のエネルギーに関する全ての決定、全ての方針について「中央政府の支配下」にあるとし、この動きを「違法」だとしている。

ーーー

クルド自治政府が認可した案件は以下の通り。(他に北部の自治区境界にExxon 2鉱区

 

相手 鉱区  
DNO Tawke
Dohuk
Erbil
2009/6 Tawke から初出荷
Addax Petroleum Taq Taq
(製油所も)
その後、トルコのGenel Enerjiが参加
2009年、SinopecがAddaxを買収

2009/6 Taq Taq から初出荷
Hunt Oil /
Impulse Energy
Duhok  
Heritage Oil and Gas Miran
(製油所も)
 
Perenco S.A. of France Sindi
Amedi
 
OMV Mala Omar
Shorish
 
MOL Hungarian Oil and Gas /
Gulf Keystone
Akre-Bijeel
Shaikan
 
Reliance Rovi
Sarta
当初 Reliance 100%。
2010年にOMV が20%取得。
2012年7月、ChevronがReliance持分を買収
Norbest Limited
(TNK-BP)
Khabat
Dimir Dagh
Zab
Hawler
 
KNOC (韓国) Bazian
Sangaw North
Sangaw South
Qush Tappa
Hawler
失敗

Sangaw NorthはSterling Energyも、
HawlerはTNK-BPも。
HKN Energy Ltd
(Hillwood International Energy)
Sarsang Marathonが参加
Sterling Energy Sangaw North   
General Exploration Partners
(Aspect Energy)
Atrush Marathonが参加
Talisman Energy Kalar-Bawanoor
Block K39
 
Marathon Oil Harir
Safen
今回、Totalが参加
ExxonMobil 6 blocks  
Gazprom Neft Garmian block Gazprom 40%
WesternZagros 40%
自治政府 20%
Shakal block Gazprom 80%
自治政府 20%





Typhoon Vincente (台風8号) は7月23日の午後から急速に発達し、強い勢力を保ったままマカオの西方50kmの地点に上陸した。
香港では強風により、街路樹など600本以上の木が折れるなどし、118人が負傷したと報じられた。この付近を襲った台風としては13年間で最強のものとなった。

この影響でこの付近を航海していた貨物船からポリプロピレンのペレット150トンを満載したコンテナ6つと、空きガラス瓶を満載したコンテナ1つ、計7つが香港の南方で海に落ちた。

このうち5つのコンテナーと約半分の量のペレットは回収されたが、残りのペレットが香港の外側にあるLamma 島などの海岸一帯に打ち上げられた。

このため海洋への環境被害と海洋生物への被害が懸念された。

ペレット(またはナードル:通称 人魚の涙)は、魚などが餌と間違えて食べてしまう危険がある。
今回も腹の中にペレットが入っている魚が多数発見され、海産物の売り上げは激減した。

多くのボランティアが周辺の島の清掃を行っている。

AP Photo/Kin Cheung

このPPペレットはSinopecが広州市の南沙港から汕頭に輸送していたもの。

シノペックは8月9日、香港の海岸に打ち上げられたペレットの清掃を約束した。
清掃費用として1000万香港ドル(130万米ドル)を用意したと発表した。

同社は発電機やバキュームクリーナーなどを準備し、120名のスタッフを香港に送り、ボランティアや政府職員の手助けをした。
また5名の潜水夫を雇い、海底の様子を検査した。

しかし同社は、責任問題や漁民などへの補償問題については言を左右にしている。




 

青島市の青島西海岸経済新区で、「中日イノベーション提携産業パーク」「中韓提携イノベーション産業パーク」が建設されている。

中日イノベーション提携産業パークでは、日本の海洋科学技術、新エネルギー、省エネ・エコ技術、バイオ技術、ハイテク産業を優先的に取り入れ、日本の中小企業および生産型サービス業を重点的に誘致し、新たな情勢下における日本との提携プラットフォームを構築する。

中韓提携イノベーション産業パークは韓国ハイテク産業との提携モデル拠点とする。

第一期は各10平方キロメートルだが、この後、15平方キロメートルの中日韓循環経済モデル拠点、 10平方キロメートルの国際科学教育協力パーク、10平方キロメートルの健康産業パークを計画、更に33平方キロメートルの今後の発展に備える用地を確保する。

これらに隣接して、2011年12月に定礎式を行った中独(中徳)生態パークがある。

同パークは省エネ環境保全分野における中独両国協力による最初のエコパークで、2010年7月に温家宝総理と来訪中のドイツ首相との間でエコパークづくりで認識を共有し、その後青島経済技術開発区での設置が決まった。

世界ハイエンドエコ企業の国際化集積地、世界ハイエンドエコ技術研究開発区と住みよいエコモデル団地と位置づけ、機能上、ハイエンド製造業を軸に、オフィス、ビジネス、金融などのサービス業もある生態配慮型のパーク。

 

青島西海岸経済新区は黄島区と膠南市全域で、国家戦略の「山東半島藍色経済区発展計画」に指定された重点建設新区。

他に煙台、威海、濰坊、日照、東営、浜州の 各市、臨沂市莒南、淄博市高青、徳州市楽陵、慶雲四県市が指定されている。

青島西海岸経済新区には「一核双港、九湾六区」がある。

「一核」:同新区の中心区
「双港」:前湾港と董家口港
「九湾」:前湾、海西湾、唐島湾、霊山湾、古鎮口湾、竜湾、琅琊台湾、月亮湾、棋子湾
「六区」:董家口経済区、保税機能開拓区、国際経済協力区(国際経済合作区)、国際観光・レジャー区、
     古鎮口サービス保障区、生態農業・発展備蓄区

     *  国際観光・レジャー地区(緑色)は、海島地区(点線の範囲)、大珠山エコ地区、小珠山エコ地区の3つ

青島西海岸経済新区管理委員会は、産業パークの発展目標を以下の通り述べている。

5年以内に、中日・中韓イノベーション産業パークをアジア一流の国際経済協力モデルパーク、北東アジアの鮮明な特色を持つ持続発展可能な国際化総合イノベーション団地とし、青島を中日韓地方経済協力モデル都市とするための支柱と する。

10年以内に、世界一流かつ広範なモデル的意義を持つ第 3世代科学技術パークとした上で、青島西海岸国際経済協力区を国際的な団地とし、青島を新たな地域経済協力発展の軌道に乗せる原動力とする。
 

日韓のハイテク産業との提携を、以下の4つの面から重点的に推進する。
(1) 基準の共同制定。大衆消費電子製品業界の基準について、協調・共同認識・普及を推進する。
(2) 知的財産権の保護。
(3) 通関手続きおよび貿易の利便化。
(4) 重点産業の提携。主に新エネルギー車、新エネルギー設備、新エネルギー応用製品、海洋生物、海上設備、電子情報、ソフト、アニメ、文化創作、国際海運、港湾物流、観光、健康サービス、金融、仲介サービス、商取引等

 


中国工業情報化部は8月6日、公告33号「レアアース業界参入条件」を発表し、生産規模・生産技術・エネルギー消費等の面から同業界の規範化を行った。これを受け、全国の20%のレアアース生産能力が淘汰される見通し。

詳細は 稀土行业准入条件.doc

小規模企業の淘汰を促し、供給を引き締めて世界需要が低迷するレアアースの価格引き上げを狙う。

概要は以下の通り。

レアアース鉱山の開発・冶金・精製に関する新規・改築・拡張プロジェクトは、参入条件を満たさなければならない。
これが満たされなかった場合、関連審査部門はプロジェクトの実施を許可しない。

レアアース資源を採掘する場合、採掘許可証と安全生産許可証を取得する必要がある。
資源企業は許可された開発利用プラン・採掘プランを順守し採掘を実施する。
無免許の採掘、未許可の範囲での採掘、環境を損ね資源を浪費する採掘技術の使用は禁じられる。

レアアース業界に生産規模の下限を初めて設けた。

レアアース(酸化物)の生産規模:年産2万トン以上
バストネサイト(炭酸塩鉱物、フッ化鉱物):5千トン以上
希土類元素イオン:500トン以上

混合型レアアース製錬:8千トン以上
バストネサイト製錬:5千トン以上
希土類元素イオン製錬:3千トン以上

技術面の規制は以下の通り。

混合型レアアース、バストネサイト鉱開発に当たり、完全な廃水処理設備、特別な廃棄鉱石置き場と選鉱クズ池が必要。その他。

エネルギー消費に関しては2つの基準の達成が必要

回収率の基準達成が必要。

環境保護基準の達成

中国工業情報化部では、「レアアース企業の参入のハードルを高くすることで、業界内の負の競争を防ぐことができ、かつ同業界全体の生産・経営品質を高めることができる。今回の措置により、全国の約20%の生産能力が淘汰されるだろう」と語った。

中国工業情報化部の2010年末の調査によると、中国には23社の資源企業、99社の冶金企業が存在する。
このうち3分の1の資源企業、2分の1の冶金企業が、今回の基準を満たせない可能性がある。

基準未達の企業について、同条件は「産業構造の改善・アップグレードの要求、国家産業政策の指導に基づき、立ち遅れた生産能力の淘汰、再編、技術改造等の手段を通じ、参入条件の規定を満たさなければならない」と定めた。

同日発表された「レアアース企業参入公告管理暫定方法」も、「同条件の基準を満たさない企業、関連資料に虚偽の記述を行った企業、監督・検査の受け入れを拒んだ企業、深刻な安全生産事故・環境汚染事故の生じた企業、環境関連法に著しく違反した企業、新規定により経営資格を取り消されたレアアース企業は、改善による合格から2年後、参入を再申請できる」と明記した。



エクアドル政府はこのたび、スペインのRepsolに対し、同社の子会社 Amodaimi Oil をSinopecに売却することを承認した。

売却金額は明らかにされていない。

Repsolはエクアドルで油田Block 16 と Tivacuno を開発している。


現在の権益は以下の通りで、今回の売却後もRepsolは35%を保有し、Operatorを続ける。

Repsol 35% operator
Repsol 子会社 Amodaimi Oil 20% 2009年にMurphy Oil から買収
台湾中油海外石油投資公司(OPIC) 31%  
Sinochem(中国) 14%  


アルゼンチン政府は4月16日、スペインの石油会社Repsol-YPFのアルゼンチン子会社YPFを国有化する方針を明らかにした。

2012/4/19  アルゼンチン大統領、スペイン石油大手傘下を国有化へ、スペインは反発

YPFの国有化を受け、格付け会社はRepsolを投資不適格の1つ上にまで格下げした。

Repsol は財務構造を改善して投資適格の格付けを維持するため、2012から2016年までに45億ユーロの資産を処理する戦略計画を立てており、これまでに18.5億ユーロを売却した。

このうち、7月にチリのLPG会社Repsol Butano Chileを540百万ドルで投資家に売却した。

逆に本年5月には、石油開発と生産を中心に2016年までに190億ユーロを投資すると発表している。

ーーー

アルゼンチン政府は5月7日、法令 660を発布、YPFの51%を取得した。

これによる出資比率は以下の通りとなる。

アルゼンチン政府 26.03%  
州政府 24.99%  
合計 51.02%  
Petersen Group 25.46%

Eskenazi 一族の会社(下記)

-6.00%
Repsol Peterson 6.00%

Peterson向けローン(未返済)の担保

非接収 6.43%  
上場  17.09% Buenos Aires とNew Yorkの株式市場


YPFはもともとアルゼンチンの国有石油会社だったが、1999 年の民営化に伴う政府放出株式をRepsolが購入した。

RepsolはYPFの買収後、2008年にアルゼンチンの億万長者Eskenazi 一族に15%を売却、昨年には更に10%を売却した。(子会社Petersen Group が株主に)
 
Eskenazi一族は買収資金を銀行とRepsolからの借入金で賄った。
  YPFはこの買収時の契約に従い、利益の90%を配当(年2回)として支払っていた。

今回の政府による接収で配当を受け取れなくなり、銀行とRepsolからのローンを返済できなくなった。

Repsolからの担保のYPFの6%はRepsolに移る。(下記の通り、ローンは消却している。)
銀行も一時返済期限を延期しているが、このままでは残りも銀行に移ることとなる。

接収の対価ははっきりしないが、Repsolでは56億ユーロを計上している。
アルゼンチン政府には100億ドルを請求している。

接収の会計処理
YPF資産 -47億ユーロ
Petersenへのローンの消却 -14億ユーロ
売却額
(Registration of the value
    as Assets for Sale)
+56億ユーロ
繰延税金効果 +5億ユーロ
差引合計 -38百万ユーロ

2011年度でのRepsol におけるYPFの位置付けは以下の通りで、大きな地位を占めており、影響は大きい。

営業損益  12億ユーロ(全体の25.6%)
純損益    5億ユーロ(全体の21.0%)
投資額   22億ユーロ(全体の33.7%)

 



3月決算会社の2012年第1四半期決算が発表されている。

石油化学やエレクトロニクス関連が前年同期比で大幅減益となっている。
この結果、上期予想を下方修正する会社が多い。

今後も国内需要の回復は見込めず、輸出も中国経済の変調で期待できない。
国内エチレン体制の構造改革が必要である。

このなかで信越化学は米国シンテックの業績が好調でシリコンの減益を補い、上期予想も前年比で増益とみている。

ーーー

三菱化学

 ケミカルズ、ポリマーズが大幅に悪化した。

     

 億円

  2011/1Q 2012/1Q 増減
エレクトロニクス 1 -4 -5
デザインド 105 38 -67
ヘルスケア 247 209 -38
ケミカルズ 160 -77 -238
ポリマーズ 109 6 -103
その -2 3 5
調整 -22 -19 3
合計 598 156 -442

 上期予想も下方修正した。

ーーー

住友化学

 同様に、基礎化学、石油化学が大幅減益となった。

  2011/1Q 2012/1Q 増減
基礎化学 70 -25 -95
石油化学 58 1 -57
情報電子化学 41 12 -29
健康農業 81 65 -16
医薬品 135 126 -8
その 12 12 -1
調整 -49 -60 -11
合計 348 130 -217

 上期予想   下方修正。

ーーー

三井化学

  石化、基礎化学品が大幅減益となった。

  なお、4月22日に岩国大竹工場で爆発・火災事故が発生、事故発生当初は同工場内の大部分のプラントが停止。

  2011/1Q 2012/1Q 増減
石化 60 35 -25
基礎化学品 128 -8 -136
ウレタン -26 -2 24
機能樹脂 20 27 6
機能化学品 27 38 11
フィルム・シート 17 -3 -20
その -7 -18 -11
合計 220 69 -150

 2013/3予想は当初は事故の影響が不明で発表せず、6月14日に初めて発表した。
   上期予想は今回発表で、前年比大幅減。

なお、同社は岩国大竹工場の事故の影響を-60億円(営業損益、特別損益各‐30億円)と発表しているが、
うち、上期については営業損益 -30億円、特別損益 -50億円の合計 -80億円となっている。下期に保険収入など。

ーーー

東ソー

 石化が大幅減益、クロルアルカリは市況悪化に加えて2011年11月のVCM事故による生産減、販売減が大きい。

  2011/1Q 2012/1Q 増減
石油化学 39 7 -32
クロルアルカリ 15 -50 -66
機能商品 45 24 -21
エンジニアリング -2 -1 0
その 7 3 -4
合計 104 -18 -122

  上期予想 営業損益で50億円の減益となり、当期損益予想は20億円の赤字とした。

ーーー

旭化成

 ケミカルとエレクトロニクスが大幅減益となったが、住宅が増益となり、一部カバーした。

  2011/1Q 2012/1Q 増減
ケミカル 644 445 -199
住宅 365 463 99
医療医薬 70 88 18
繊維 42 31 -11
エレクトロニクス 143 64 -78
建材 21 18 -3
その 17 30 13
合計 1,302 1,140 -162

 上期予想 下方修正。

ーーー

信越化学

 半導体シリコンの減益を塩ビの増益でカバーした。通期でも前年、前々年を上回る予想。

  2011/1Q 2012/1Q 増減
ビ・化成品 61 99 38
シリコーン 92 75 -17
機能性化学品 35 39 4
半導体シリコン 104 66 -38
電子機能材料 92 104 12
その 17 18 1
調整 -1 3 3
合計 400 403 3

 上期予想 今回初めて予想を発表した。

 


石油を巡り対立するスーダンと南スーダンが8月4日、石油利益配分で合意した。

残る懸案の Abyei 地区の帰属については、南スーダンは年末までに国連とアフリカ連合の管理による住民投票を行いたいとしている。

ーーー

2011年7月9日、南スーダン共和国(Republic of South Sudan)が分離・独立した。
アフリカ大陸では
54番目の国で、国連は7月14日、国連加盟を承認した。

しかし、多くの問題が未解決のまま、スタートした。特に次の2つが大きな問題である。

1)Abyei暫定統治地域

南北の境界付近にあり石油資源が豊富なAbyeiで2011年1月に住民投票が行われる予定だったが、南北が対立し、投票は無期限延期された。

北部政府軍は2011年5月21日、Abyeiに進攻し、南部のスーダン人民解放軍との激しい戦闘の末、同地を掌握した。
国連安全保障理事会は翌22日、北部政府軍の即時撤退を求める声明を出した。

2)南スーダン産出石油の収益の南北利益配分

南部には油田の4分の3が集中するが、精製施設や輸出港へと続くパイプラインは北部にしかない。

2005年の和平合意に基づき、南北は石油収入を暫定的に折半してきたが、南部独立に際し、北部は引き続き「折半」もしくはそれに相当する「パイプライン使用料」を要求し、支払わなければパイプラインを封鎖するとした。

2011/7/23  南スーダン独立と石油問題

ーーー

2012年1月に南スーダンは、輸出用にパイプラインで輸送した石油をスーダンが盗んだと非難し、石油の生産を停止した。
スーダン側は、パイプライン使用料として差し押さえたと主張した。

この結果、両国とも元々弱い経済をさらに悪化させることとなった。

2012年3月末にスーダンと南スーダン両国軍は国境地帯で衝突、4月10日には南スーダン軍が国境を越えてスーダン領内に侵攻、油田地帯のHegligを占拠した。他方、スーダン軍は南スーダンの都市への空爆を行った。

国連は5月に双方に対し、直ちに協議を開始し、3か月以内に最終合意に達しない場合、経済制裁を行うと通告していた。

両国はアフリカ連合の主催でエチオピアで交渉を行った。

両国は今回、石油収益の配分とパイプラインの通過料で合意した。

石油のある南スーダンの独立によりスーダン側の石油収入が激減したことに対する補償として、南スーダンは一時払いで30.28億ドルを支払う。

パイプライン使用料については、2本あるパイプラインのうち、輸出用原油パイプラインについてはバレル当たり9.48$とし、製油所を経由して港まで運ぶ軽質原油のパイプラインは同11$と決めた。
スーダン側はこれまで36$を要求し、南スーダンは7.61$を主張していた。

この合意は今後3年半のもので、その後、南スーダンは引下げを交渉するとしている。南スーダンはケニア経由のパイプラインの建設を検討しており、引下げがなければ、スーダンのパイプラインの使用を止めることも考える。

2011/7/23  南スーダン独立と石油問題


その他の問題については、8月末までに交渉を終えたいとしている。
アフリカ連合は9月22日までに全ての交渉を終えるよう求めており、アフリカ連合の首脳のサミットは
Abyei地区の扱いを協議する予定。




NASAは8月5日、最新の火星探査車(Rover)のCuriosity を火星に着陸させるのに成功した。

宇宙船 Mars Science Laboratoryは、火星の大気圏に接近するにつれて火星の重力に引かれて加速、時速2万1240キロで大気圏に突入した後は、超音速パラシュートによって減速し、クレーンで1トンのCuriosityを火星のGale Craterに吊り降ろした。

今後、Curiosityは搭載された高性能機器を駆使して2年間、火星での生命の痕跡を探る。

Curiosityはこれまでのローバーの中で最も大きく、カメラのほか、内蔵型分析実験室や掘削リグなど計10種類の観測装置を搭載し、より大きなホイールを使って、広範囲にわたっての調査ができる。
太陽電池ではなく、
プルトニウム238の崩壊熱を利用する原子力電池を使用することで、季節や砂塵の影響を受けずに活動が可能だという。

重量が1トン弱もあるため、従来のエアバッグ方式は使用できず、Sky Crane方式が採用された。

火星大気圏に突入し、パラシュートで減速した後、降下部分(Decent stage)がロケットエンジンを点火してさらに減速。上空約10mの地点で滞空し、クレーンを使ってCuriosityを降ろし、着地を確認した後、再び上昇し、離れた地点に落下 した。

降下には7分かかり、火星から地球までの通信に14分かかるため、リアルタイムでの操作や指示は出来ない。
作業は全て自動化され、Seven Minutes of Terrorと呼ばれる。

 


Curiosityの概要は以下の通り。

  • 長さ 3 meters
  • 幅  2.7 meters
  • 高さ   2.2 meters
  • 重さ 899 kilograms

画像はNASA





京都大学の研究グループは8月1日、山中伸弥iPS細胞研究所長らの研究グループと協力し、ALS(筋萎縮性側索硬化症:ルー・ゲーリッグ病)の患者から作成したiPS細胞を用いて、ALSのこれまで知られていなかった病態を解明し、ALSに対する新規治療薬シーズを発見したと発表した。

この研究成果は米国科学誌 Science Translational Medicine に発表された。
http://stm.sciencemag.org/content/4/145/145ra104

ALSは運動ニューロン(神経細胞)が変性することで次第に全身が動かなくなり死に至る疾患。

これまではALS患者から運動ニューロンを取り出すことができなかったために、患者の病態をそのまま反映するモデルを作ることが難しく、ALS治療に有効な治療薬開発は進んでいなかった。

今回、TDP-43というタンパク質をコードする遺伝子に変異を持つ家族性ALS患者から作成したiPS細胞を用いて、運動ニューロンを分化誘導した。

このALS運動ニューロンには、ALS病理組織の運動ニューロン内で見られるものと類似のTDP-43の凝集体が観察された。

さらに、ALSに罹患していない運動ニューロンと比較して、突起が短く、ストレスに対して脆弱になっていた。

このタンパク質は、ALSでは自己調節が異常をきたして、運動ニューロン内でTDP-43の発現量が増加し、神経細胞骨格の遺伝子発現や、RNA代謝に関連する分子の遺伝子発現に異常が生じていることが分かった。

そこで、RNA代謝を調節することが知られている化合物をALS運動ニューロンに作用させたところ、アナカルジン酸(anacardic acid)と呼ばれる化合物によって、TDP-43の発現量が低下し、ALS運動ニューロンのストレスに対する脆弱性が改善され、神経突起の長さが回復することを発見した。

TDP-43の異常を制御する本研究の治療薬シーズは、患者の大半を占める孤発性ALSにも効果があることが期待される。

ALS患者の1割程度は、血縁者のなかに発症者がみられ(家族性ALS)、 残る9割にはみられない(孤発性ALS)。

京大では今後は、患者のiPS細胞を用いて、病態の更なる解明を進めるとともに、治療薬シーズ探索基盤を進化させて、多くの治療薬候補を得る必要があるとしている。

ーーー

ALS患者には、クイズダービーの人気回答者であった篠沢教授がいる。

山中iPS細胞研究所長は講演でよく、iPSの研究を始めたきっかけを話している。

当初は整形外科医であったが、ALSのような治療不可能な病気に直面して外科医としての限界を感じ、これらの病気の原因を追究するため研究者に転じた。

講演では、ALSで苦しむ篠沢教授の現況を画像で見せている。

所長はまた、iPSの研究の目的として、iPSからの組織再生による直接の治療もあるが、ALSなどの場合は全身の神経細胞のため不可能であり、それらに対してはiPS細胞で病気を再現し、それを使って病気の原因 究明と治療薬の開発をするのが目的であるとしている。

今回、所長のiPS研究のきっかけとなったALSの治療薬の開発に一歩進んだこととなる。

山中所長は、「研究所は 10年間の目標の一つとして患者由来のiPS細胞を使った難病の治療薬開発を掲げており、一歩前進した。ALSや他の難病の新しい治療薬開発を実現するために、さらに研究を進めたい」と述べている。


 

 ーーー

付記

岐阜薬科大の原英彰教授(薬効解析学)らの研究グループがALSの進行を制御する新たなたんぱく質を特定し、8月13日、英科学誌 Scientific Reports 電子版に発表した。

研究グループは、マウスを用いた実験や患者の血清などの調査から、ALSの要因に膜貫通糖たんぱく質(GPNMB)と呼ばれる遺伝子が大きく関わっていることを発見した。

遺伝性ALSの原因の一つSOD1の変異型遺伝子を組み込んだマウスにGPNMBを過剰に増やした場合、増やしていないマウスに比べて発症時期が遅れ、生存期間が延びた。

また運動神経細胞に変異SOD1を増やすと、細胞中のGPNMBの量が減少し、細胞死が引き起こされる一方、運動神経細胞にGPNMBを加えると、細胞の障害が改善され、ALSの進行を遅らせることを突き止めた。



産業革新機構は7月31日、クレハの子会社でリチウムイオン二次電池(LiB)用の材料を扱うクレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン(KBMJ)に総額100 億円を上限とする投資を行うことを決定したと発表した。

これに合わせ、クレハ、伊藤忠、クラレも合計100 億円を投資する。

KBMJは、既に世界No.1 シェアを有するLiB 用のバインダーの販売に加え、クレハ/クラレと共に植物由来原料を有効活用したハードカーボンを開発し、車載用に適した性能と価格競争力を有するLiB 用ハードカーボン負極材の事業化を加速させる。

ーーー

クレハと伊藤忠は2011年4月、クレハの開発したリチウムイオン二次電池(LiB)用のハードカーボン負極材「カーボトロン(R)」の製造・販売 とLiB用バインダーの販売を行うことを目的に、クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン(KBMJ)を設立し、2011101日 に営業開始した。

資本金 40百万円 で 、クレハ70/伊藤忠商事30% となっている。なお、伊藤忠の本分野での取り組みは後記の通り。

対象の製品は下記の通り。

 負極材「カーボトロン®P」

難黒鉛化性炭素の範疇に入るが、通常の難黒鉛化性炭素と比べ、リチウムイオンを粒子内部へ容易に拡散できるようデザインされている。
一般的な負極活物質である黒鉛は粒子の体積変化が大きく、耐久性の課題が残されているが、「カーボトロン®P」ではリチウムイオンの吸蔵・放出を繰り返しても結晶構造が安定し体積変化が少ないため、高い信頼性が求められる高性能のリチウムイオン電池に適してい る。

 LiB用バインダー「クレハKFポリマー」

高品質のフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)で、1991年に世界で初めて実用化されたリチウムイオン電池のバインダーとして採用されて以降、世界中で使用されている。

 ーーー

クレハとクラレ子会社のクラレケミカルは、コーヒー穀などを焼成して造る食物由来の負極材を開発した。

クレハとクラレは2011年12月、植物由来原料の新規開発品「バイオカーボトロン」の共同事業化に向けて合意したと発表した。

 ・クラレが2012年にクレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン(KBMJ)に資本参加・人材投入する。
 ・KBMJとクラレケミカルの生産合弁会社を新設し、2013年には年産1千トンレベルで量産・供給体制を構築する。

クラレケミカルは岡山県備前市の鶴海工場で各種活性炭を製造するとともに、中国寧夏回族自治区に石炭系活性炭製造の可樂麗化学(寧夏)環境化工有限公司(100%子会社)、フィリッピンのセブ市にヤシ殻系活性炭製造のCenapro ChemicalCenapro 60%、クラレケミカル35%、丸紅5%)を持っている。

付記

クラレは8月21日、クレハと共同でリチウムイオン電池の材料工場を岡山県備前市に建設すると発表した。

クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパンとクラレケミカルが8月中に共同出資会社「バイオハードカーボン」を設立する。
活性炭を作っているクラレケミカルの鶴海工場の中に、ヤシ殻など植物由来の原料を利用し、年産1000トンの負極材工場を新設する。投資額は約30億円。
2015年までに年産2000~3000トンの設備を別に建設する計画。

ーーー

今回、産業革新機構(INCJ)は無議決権優先株式を含め、総額100億円を上限とする投資を行う。

伊藤忠、クラレとINCJの投資は合わせて最大約145億円、クレハもこれに合わせ最大約55億円を引き受け、
4社合わせて最大約200
億円の資本投入を行う 。

この調達資金は、主にLiB用ハードカーボン負極材「カーボトロ ン」及び「バイオカーボトロン」の大規模で安定的なグローバル供給体制を構築するための設備投資に充当される。

引続きクレハがKBMJの議決権の過半数を維持し主導的に業務運営を行 うが、戦略的パートナー各社からKBMJへの取締役派遣を通じ、効率性・透明性の高い経営体制を構築する。

ーーー

産業革新機構(INCJ)は、革新性を有する事業への成長資金の供給を目的とする。

詳細は
 
2011/6/9 東芝・ソニーが携帯向け液晶統合、産業革新機構が出資 

ーーー

伊藤忠商事は2011年4月からの新中期経営計画で「二次電池」分野を成長分野と位置づけ、取組みを強化している。

・LiB製造メーカーのEner1への出資

伊藤忠は2009年12月にEner1(エナール・ワン)に20百万ドル(5%弱)の出資を行った。
Ener1の100%子会社である EnerDel社は、OEMレベルの車載用のリチウムイオン電池システムを製造可能な電池メーカーで、米国内で唯一、セルから電池システムまで一貫して開発・製造できる量産設備を持っている。

・米国大手電力会社Duke Energy社と蓄電池二次利用の共同プロジェクト実施

伊藤忠商事は2010年11月、米国の大手電力会社Duke Energy Corporation と、先端エネルギー技術における提携の契約を締結した。第一弾として、電気自動車用電池の2次利用モデルの検証を開始する。

・米国Simbol Mining Corp. への投資によるリチウム資源の確保

伊藤忠商事は2010年7月、リチウム資源の確保を目指し、米資源開発会社のSimbol Mining Corp. に資本参加した。
シンボルは、カリフォルニア州南部に位置する地熱発電所の使用済み地熱かん水に含まれるリチウムを回収、リチウム化合物を製造する事業を推進している。

・北米における戸田工業とのLiB用正極材の合弁事業

伊藤忠と戸田工業は本年3月、リチウムイオン電池の正極材の生産・販売を行う合弁会社を設立し、また、正極材原料を生産するカナダの戸田工業の子会社を合弁会社とすることで基本合意した。
リチウムイオン電池の主要部材である正極材の新工場を米国ミシガン州に建設する。

・中国での杉杉集団及び戸田工業とのLiB用正極材合弁事業

伊藤忠商事と戸田工業は2010年2月、寧波杉杉股有限公司の子会社でリチウムイオン電池の正極材製造分野では中国トップクラスの湖南杉杉新材料有限公司に共同出資することで基本合意した。
両社のSPCが当初25%出資を行い、その後50%の取得を目指す。




福島県内で総合南東北病院などを運営する脳神経疾患研究所は本年6月、再発・進行がんを治療できる「ホウ素中性子捕捉療法」(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)装置を、国内の病院で初めて導入することを決定した。

郡山市の南東北がん陽子線治療センター西側に建設する。

本事業は、東日本大震災からの福島県の復興と医療機器産業の振興に寄与するものとして福島県に採択され、事業費総額約68億円のうち、県から4年間で約43億円の財政支援を受ける。

BNCTはエネルギーの低い中性子とがん細胞・組織に集積するホウ素化合物の反応を利用して、がん細胞をピンポイントで破壊する最先端の放射線がん治療法で、正常な細胞への影響を極力抑えつつ、外科手術や既存のX線治療では難しい再発がんや進行がんにも有効とされている。

2014年度後半から頭頸部がんを対象に臨床試験を開始、2018年度には厚生労働省の認定する先進医療として治療の開始を目指す。
計画が実現すると、病院で
BNCT治療を行うのは世界で初めてとなる。

中性子発生装置としては、京都大学と住友重機械工業が共同開発し、間もなく京都大で臨床試験を開始する段階にある「サイクロトロン」を導入する。

ーーー

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は中性子が1932年にChadwickによって発見された4年後の1936年に、Locherによりその原理が提唱された。

概要は以下の通り。

ホウ素化合物のホウ素化フェニルアラニンをあらかじめ体に点滴する。
ホウ素の中には放射性を持たない同位体が含まれるが、そのうち、ホウ素10Bが重要。

ホウ素化フェニルアラニンは、がん細胞に非常に高い割合で集積する。
(がん細胞は増殖力が強いため、正常細胞よりもホウ素化合物を多く取り込む。)

ホウ素化合物集積の様子は陽電子断層撮影(PET)検査で定量的に確認できる。

がん細胞にホウ素が集まったときに熱中性子線を照射すると、この同位体が中性子を捕らえて核分裂を起こし、アルファ線(ヘリウム原子)リチウム線という粒子線を発生する。

アルファ線と7Li粒子が腫瘍細胞を殺す。

アルファ線も7Li粒子もおよそ10ミクロンしか飛ばないため、近くの正常細胞を傷つけない。

対象は、悪性脳腫瘍、悪性黒色腫、頭頚部腫瘍、肝臓がんなど。





公取委は8月1日、酒類卸売の三菱食品、伊藤忠食品、日本酒類販売の3社に警告した。

本件の問題点は既報 
  
2012/7/28   イオン、ビール価格問題で公取委要請を拒否 

合わせてビール類製造業者等及び特定の酒類小売業者(イオン)に対し、「不当廉売となる行為が行われることのないよう、酒類卸売業者から取引条件の変更について申入れがあった場合には、十分な協議を行うことを要請した」。

卸売業者3社は、それぞれ、イオンに対し、ビール類のうち一部の商品をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することにより、当該酒類小売業者が運営する各店舗の周辺地域に所在する他の酒類小売業者の事業活動を困難にさせるおそれを生じさせている疑いがあるというもの。

ビール類の販売に関するリベートを見直した結果、酒類小売業者向けリベートを削減したこと及び酒類卸売業者が削減されたリベートの相当額を特定の酒類小売業者への納入価格に反映することができていなかったことが、その原因の一つとなっていたものと認めている。

イオンによると(下記)、公取委はイオンの販売で、同社店舗周辺の他の酒類小売業者の事業活動を困難にさせるおそれのある事実は認められなかったことを確認しているという。

リベート廃止については国税庁指導となっているが、公取委も「裁量的なリベートの適正化に向けての働きかけをしてきたことは事実であります。」 (2004/12/15 事務総長定例会見)

イオンは7月23日に「見解」を発表し、以下の通り述べている。
 ・原価を下回る価格での納入を要請した事実はない。
 ・公取委から、独禁法違反(優越的地位の濫用)の疑いで調査を受けたが、その事実は認められなかった。
 ・公取委から事実上の値上げ要請があっても、取引条件を変更し、仕入れ価格の値上げに応じる意向はない。

同社は今回、以下の通り発表した。

1.   公取委の調査において、当社店舗周辺の他の酒類小売業者の事業活動を困難にさせるおそれのある事実は認められなかったことを公取委に確認した。
2.   イオンの「優越的地位の濫用」については、以下理由で違反行為がなかったことを公取委が判断した。
  従来から、値上げ要望の理由と要望内容の根拠が明確に示されれば、真摯に値上げ交渉に対応するという方針。
  卸売業者に支払われていたリベートの詳細が明らかにされず、
卸売業者の販売価格が供給に要する費用を著しく下回っているものかどうか判断できなかった。
  販売価格の引上げ要求において、ビール類製造業者及び卸売業者は、リベート削減の理由等を十分に説明しなかった
  卸売業者との協議を重ね、物流コストの削減や他の商品の取引を拡大などを行い、一方的に不利益な条件を押し付けたとはいえない。
3.   公取委からの要請の有無に関わらず、今後も、これまで通り卸売業者と協議を続ける。


前回の見解と合わせると、協議は続けるが、理由と根拠の明らかでない値上げには応じないということ。

逆に、公取委の調査で、資料作成や事情聴取に多大な時間及び労力を費やしたこと、事情聴取で1日8~9時間に及ぶ事情聴取があり、社会通念上合理的な程度を超えるとし、公取委に厳重な抗議をしたことを明らかにしている。


公取委警告を受け、三菱食品は「法令順守を徹底し、再発防止に努める」とし、伊藤忠食品は「警告を受けた事について真摯に受け止め、より一層の適正取引を推進し、コンプライアンスの遵守に努めてまいります」と発表した。

自主的な値下げでなく、やむを得ないものであり、(イオンによると)周辺の他の酒類小売業者の事業活動を困難にさせるおそれのある事実は認められなかったのに、どうして反論しなかったのだろうか?

イオンが値上げを呑まない以上、「再発防止」にはビールメーカーに値下げを要請するしかない。

ビール各社はなにも発表していない。

リベート廃止に当たり、「当然これまでのリベート分を考慮しながら、交渉がなされ」なかったのが原因であり、「不当廉売となる行為が行われることのないよう、酒類卸売業者から取引条件の変更について申入れがあった場合には、十分な協議を行うこと」という公取委の要請にどう応えるのだろうか?



  

大日本住友製薬と日東電工は7月27日、経皮吸収による統合失調症治療剤として、非定型抗精神病薬「ロナセン®」のテープ製剤の第Ⅱ相試験に着手したと発表した。

大日本住友製薬は2008 年4 月より統合失調症治療ロナセンの経口剤を国内で販売している。
日東電工は経皮吸収型テープ製剤設計の技術を確立しており、両社の医薬品と製剤技術を融合させ、統合失調症治療用の経皮吸収型テープ製剤の共同開発を2010 年より行ってきた。

健康成人を対象に実施した第Ⅰ相試験で良好な経皮吸収性を確認できたので、最適な貼付条件を検討するため患者を対象にした第Ⅱ相試験を開始した。

世界初の統合失調症治療用テープ製剤の実用化に向け取り組む。

テープ製剤化の狙いは以下の通り。
・投薬期間中安定した血中濃度を維持することができる。また食事の影響を受けにくい。
・経口投与が困難もしくは経口投与を希望しない患者に新たな治療の選択肢を提供。
・投薬状況を視覚的に確認できる。

統合失調症は精神疾患の一つで、国内では約80 万人が罹患しているといわれている。
幻覚・妄想などの陽性症状、情動の平板化/思考の貧困/意欲の低下などの陰性症状、および注意力低下/情報処理能力障害などの認知機能障害等、様々な精神症状が現れることが知られている。

ロナセンは、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)、陰性症状(情動の平板化、意欲低下など)に対する改善効果を示すことが臨床試験にて示されており、副作用も少ないという。

ーーー

日東電工では1970年代後半から、世界に先駆けて経皮吸収型テープ製剤の開発に取り組んだ結果、コントロールドリリースに最適な粘着剤合成をはじめ、安全性・安定性にすぐれた製剤設計の技術を確立した。

経皮吸収型テープ製剤は、貼って治す薬物投与方法として内服薬、注射剤などにない数々の利便性を備えている。

・内服薬のように消化管や肝臓などに負担をかけない。
・注射剤のように針の侵入に伴う痛みがない。
・薬物の投与量をコントロールして一時的な過度の薬物吸収による副作用を軽減できる。
・効果の持続性にすぐれ、投与(貼付)が目で確認できる。

経皮吸収型テープ製剤技術開発のポイントは以下の通り。

日東電工では下記を開発している。

 虚血性心疾患治療用テープ製剤"貼る心臓薬"

狭心症など虚血性心疾患治療に用いる、硝酸イソソルビドを粘着剤中に含む経皮吸収型医薬品
胸部、上腹部などに貼ることで、安定した心臓機能の改善がもたらされる。

 喘息治療用テープ製剤 

気管支喘息など喘息治療に用いるツロブテロールを粘着剤中に含む世界で初めての経皮吸収型・気管支拡張剤
呼吸機能は1日のうち深夜から早朝にかけて低下するが、「必要な時に必要な量を送達する」時間薬物治療の考えに基づく製剤。

 局所麻酔用テープ製剤"貼る麻酔薬"

皮膚を麻酔するテープ製剤

 



 

江蘇省南通市にある王子製紙の工場から出る排水が、環境汚染を引き起こす恐れがあるとして、7月28日、住民1万人以上が抗議デモを始めた。

問題の工場は江蘇王子製紙(王子製紙 90%、南通市経済技術開発区総公司 10%)の南通工場で、南通市の経済技術開発区にある。

抗議しているのは、黄海沿いの同市啓東の住民。

南通市政府が
経済技術開発区に王子製紙などを誘致する際、廃水を南通市が建設する約100kmのパイプラインで黄海に排出すると約束していた。完成後、王子製紙 の工場から1日15万トンが排水される予定だった。

これに対し、住民の間でインターネットを通じ、廃水には発がん性物質が含まれ、豊富な漁場となっている海が汚染されて健康被害が出るなどとうわさが広がった。

啓東呂四漁港は全国6大中心漁港の一つで、全国四大漁場の一つに数えられる好漁場といわれ、漁民14万人と関連部門の4.6万人が海で生計を立てている。
全国的にも重要な上海蟹の養殖基地であり、著名な天然ハマグリ養殖基地でもある。
 

住民の一人は、「ここの発がん率は中国で一番高い。沖で取れた魚も売れなくなった。これ以上の汚染はごめんだ」と話している。

啓東の地元政府庁舎前の道路を埋めるほど人が集まった。一部は暴徒化し、車を破壊したり、警官隊を突破して地元政府庁舎内に侵入 し公文書を窓からまき散らしたりした。

「パイプラインの建設計画を永遠に取り消す」――。南通市政府が公告の内容をスピーカーから流した。

パイプラインの正確な位置は不明(毎日新聞の地図を参考にした)


王子製紙は7月30日、以下の発表を行った。

・排海パイプに対する抗議デモについて憂慮している。
・南通市政府より啓東市を経由する排海パイプの現計画を全面的に中止するとの情報を得ている。当社プロジェクトへの影響については現在調査中。

排水中に発がん物質が含まれているなどの一部報道があるが、まったくの事実無根。
 中国の国家基準を下回るまで十分に浄化処理を施し、責任を持って水質管理をする所存。

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王子製紙は2003年6月、単独出資で南通市に年産120万トンの上質紙、塗工紙を建設すると発表した。

しかし、その後の中国の投資ガイドラインの変更で合弁方式を義務付けられ、合弁相手との交渉に手間取り、2007年10月にようやく合弁会社の設立認可を取得した。

2007/10/31 王子製紙の中国工場、発表から年半でようやく着工

2010年末に高級紙生産設備第1期40万トンが生産を開始 、2013年稼働を目指し、原料のクラフトパルプ自製設備を建設中。
高級紙の第2期は2015年の稼働を計画している。

最終的には年産120万トンの生産規模を目指すとしている。

パイプラインは2010年末の高級紙生産開始前に完成する予定であったが、遅れたため、現在は廃水を浄化処理した上で長江に放流している 。

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同社の廃水処理計画が報道や発表からは明確でない。

王子製紙は今回、「中国の国家基準を下回るまで十分に浄化処理を施し、責任を持って水質管理をする所存」としている。

工場側で浄化処理するのだろうか。市側が啓東で廃水を浄化処理をする計画だったのだろうか。
啓東での廃水浄化処理の話は聞こえてこない。

きちんとした浄化処理設備があるなら、それを公開して説明すれば、反対は収まるのではないだろうか。

ロイター報道では、 デモに参加した市民はこう述べている。

「政府は廃水が海を汚染することはないとしているが、それが本当なら、なぜ海ではなく、長江に流さないのか。
 それは長江に流せば上海の住民に影響を与え、上海市民が反対するからだ」

対応を誤ると、今後、長江への排出も問題になる恐れもある。

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中国では環境意識の急速な高まりを受け、工場建設などがデモで中止に追い込まれる例が相次いでおり外国企業による投資にも影響が出る可能性がある。

四川省什邡市で7月2日、化学工場建設に反対する住民2万人による抗議デモが発生した。警官隊が催涙弾を放ち、一部の住民が負傷した。

亜鉛精錬大手の四川宏達グループが6月29日、金属モリブデンなどの精錬工場の建設を始めたのが発端。7月1日の夜、建設に反対する住民約1万人が抗議デモを起こし、翌日には2万人に膨れ上がった。

工場が完成すれば、年間 モリブデン4万トン、銅40万トン、硫酸180万トンを精錬する見通しだった。

モリブデンや銅などの精錬は汚染リスクが高く、住民らは「死神が近づいている」と不安を募らせた。

当局が工場建設の中止を発表したため、騒ぎは沈静化した。

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2011年8月には大連市で化学工場の移転を求める大規模デモが起き、地元当局が即日、工場移転を約束した。

2011/8/15 中国・大連で化学工場の撤去求め デモ

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雲南省曲靖市陸良県では化学会社 陸良化工実業公司が2011年4月から6月までの間、重金属であるクロムを含む汚泥を曲靖市内3カ所で、計5000トンを不法投棄したことが明らかになった。

雲南省曲靖市の不法投棄事件を受け、中国の環境保護部は9月1日、曲靖市がクロムのスラグを処分し、汚染された土壌を浄化するまで、曲靖市の全ての新産業計画の審査を中止すると発表した。

2011/9/7    中国政府、環境汚染対策を本格化 




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