2008年7月アーカイブ

三菱化学が鹿島事業所(茨城県神栖市)でエチレンオキサイドの物流コスト削減のため進めているEOセンター構想が動き出した。

鹿島以外の地域に製造工場を持つ各種界面活性剤等のメーカーを鹿島に誘致し、双方の設備をパイプで直結し、双方の物流と製造に係わるコストの削減を図る。

同社は蒸気や窒素等も新たな配管で供給していくことにしている。所要資金は約50億円となる見込み。

鹿島地区では、ライオン、日本乳化剤、旭硝子の3社がEO誘導品プラントを設置してパイプでEOの供給を受けている。
日本乳化剤は第一三共の100%子会社であったが、2007年11月に日本触媒が買収した。)
また、花王も2010年末以降は界面活性剤向けのEOをパイプで引き取ることにしている。

新しく鹿島に誘致するのは、東邦化学工業、竹本油脂、日華化学、青木油脂の4社で、既に土地を買収しており、東邦化学工業が先頭を切って7月7日に現地で界面活性剤の新工場の建設工事に着手した。
茨城県も誘致活動を展開してきた。

2010年末には合計8社のEO誘導品設備がパイプでEOプラントとパイプで直結されることになり、ローリーや貨車による遠隔輸送を2011年3月をめどに停止する。

 

東邦化学工業は、千葉、追浜、四日市、徳山の4工場を持つが、昨年4月に鹿島で用地を取得、既存工場での加圧反応設備の能力不足を補うと共に、大型且つ高度に合理化された設備を導入し、少品種大量生産型製品中心の生産に対応する。

竹本油脂は蒲郡市に本社工場を持つ。

日華化学は鯖江に本社工場、千葉県旭市に関東工場を持つ。
鹿島に非イオン界面活性剤を中心とした鹿島工場を建設する。非イオン界面活性剤は、現在、関東工場で生産しているが、東日本の生産拠点としての位置づけ、海外子会社への原料供給拠点としての将来性、今後計画していく新規事業に対応するための拡張性等を考慮し、工場移転を行なう。

青木油脂は大阪と滋賀に工場を持つが、鹿島に第3工場を立ち上げる。
同社では非イオン界面活性剤の主原料のEOやユーティリティ関係がパイプで供給されること、コスト競争力、鹿島港が近く原料の国際的な海上輸送基地としての利便性等がメリットとなるとしている。

 

 


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6月の輸入ナフサ通関価格の平均は74,877円/kl となった。
この結果、第2四半期の平均は
 68,877円/kl となり、国産ナフサ基準価格は70,900円/kl と、第1四半期比で4,200円/klのアップとなった。

前年同期と比較すると、13,100円/kl ものアップとなる。

          07/1  46,622                  
          07/2  46,080   07/4  52,132            
          07/3  47,724   07/5  55,793   07/7  60.205      
2007 1Q   48,800 平均  46,809   07/6  58,892   07/8  58,004   07/10  56,744
  2Q   57,800   08/1  65,961   平均  55,776   07/9  55,002   07/11  59,037
  3Q   59,700   08/2  64,562   08/4  63.392   平均  57,668   07/12  62,850
  4Q   61,600   08/3  63.597   08/5  68,205         平均  59,560
2008 1Q   66,700 平均  64.653   08/6  74,877            
  2Q   70,900 ーー ーーー 平均  68,877      

国産ナフサ基準価格については 2006/7/29 2Qの国産ナフサ基準価格 49,800円/klに  

 

 


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GE の改組

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GE25日、組織簡素化と成長・効率を図るため、改組を行なうと発表した。25日付で実施した。

家電部門や個人向けの金融部門などを分離、縮小するのに合わせ事業体制を見直し、現在6つある事業部を4つに再編成する。

法人向けと個人向けの2金融事業を一つに統合する。(GE Capital
従来、独立していた医療部門(
Healthcare)を民需系のインフラ部門に統合する。

一方、事業の柱であるインフラ事業を、航空エンジンなど主に民需部門(
Technology Infrastructure)と、エネルギーなど主に官需部門(Energy Infrastructure)に分離する。

家電事業を含む消費者・産業向け製品事業部(Consumer & Industrial )についてはスピンオフを目指しており、新体制に組み込まれていない。

事業部 部門
Technology Infrastructure Aviation
Enterprize Solutions
Healthcare
Transportation
Energy Infrastructure Energy
Oil & Gas
Water & Process Technologies
GE Capital Aviation Financial Services
Commercial Finance
Energy Financial Services
GE Money
Treasury
NBC Universal Cable
Film
International
Network
Sports & Olympics
(Spin-off)
Consumer & Industrial
Appliances
Lighting
Electrical distribution

同社は本年516日、消費者・産業向け製品事業部のなかの家電部門(Appliances)について、戦略的オプションを検討していることを明らかにした。他社とのJVやパートナーシップ、スピンオフ、売却のいずれかを検討する。

同部門は長い歴史を持つが、米国だけの事業であり、単一市場に依存しており、グローバルに展開する可能性を探るとしていた。

中国家電最大手の海爾集団(ハイアール)や韓国LG電子などが有力な売却先とされた。

しかし、7月10日に、同社は創業事業である照明を含む消費者・産業向け製品事業部全体をスピンオフすることを検討すると発表した。
別会社にし、GE株主に株を分ける。

家電の戦略を検討した結果、相互に関連している事業部全体をスピンオフするのが早く、効率的な手段であることが明らかになったとしている。

ーーー

GEは20069月、シリコーン事業のGE Advanced Materials Apollo Management, L.P.,38億ドルで売却すると発表した。

    2006/9/21 GE、シリコーン事業を売却 

20075月にはGE PlasticsをSABICに売却した。

    2007/5/22 速報 GEGE PlasticsをSABICに116億ドルで売却  

シリコーン事業やGE Plastics Advanced Materials 事業部を構成していた。

同社は2006年には1つの事業部であった保険事業をスイス再保険に売却した。
2004年に日本のGEエジソン生命保険をAIGに売却している。

ーーー

NBC Universal はGE傘下のNBCとVivendi 傘下のVivendi Universal Entertainment の合併により2004年に設立されたメディア・エンターテイメントグループ。GEが80%、Vivendi が20%を所有する。


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ポーランドの石油精製・石油化学メーカーのPKN Orlenは23日、首都ワルシャワの北西160キロのWloclawek にある同社の石化コンプレックスにポーランド初のPTAプラント建設を開始した。

三菱化学の技術を導入するもので、年産60万トン能力。2010年下期に生産開始の予定。
同社はそれまでに原料のパラキシレン能力を拡大する。

三菱重工業が昨年8月に詳細設計・機器調達・現地据付け指導などの業務を受注した。受注総額は約500億円で、協力商社は伊藤忠商事。
建設は
Polimex-Mostostal が受注した。

三菱重工業にとってはPTAの受注は、MCC PTA India (三菱化学 66%、能力 35万トン-当初)、Shahid Tondgooian Petrochemical (イランNPC 85%、能力 35万トン)、寧波三菱化学(60万トン)に次ぐ4番目の受注で、全て三菱化学の技術を使用している。

PKN Orlenでは西欧のPTA需要は2003~2010に毎年6%伸びるとみている。

ーーー

PKN Orlen はポーランド、チェコ、ドイツ、バルチック諸国で活躍する東欧最大の石油精製・石油化学会社。

ポーランドでは1944年に国営の石油販売の独占会社 C.P.N. が設立された。
1950年には国営の石油精製会社 Polski Koncern Naftowy (PKN) が設立された。
1999年に両社は部分的に民営化され、統合されて、石油精製・販売のPKN Orlen となった。

同社は主として「友情パイプライン」でロシアから送られる Urals 原油を処理している。

 

その後、同社は国内外で拡大した。

国内ではポーランド最大の石油小売業で、2000を超える給油所を持つ。

石油化学ではPlock にコンプレックスを持つ。2005年に能力増強を行なった。ポリオレフィンでは Basell との50/50 JV Basell Orlen Poliolefinsを設立した。2007年現在の能力は以下の通り。(単位千トン)

Olefins 700Ethylene oxide 105Glycols 106Aromatic 550Paraxylene 32Butadiene 60
MTBE 115Acetone 32Phenol 51

Basell Orlen Polyolefins
 HDPE (Hostalen) 320LDPE 23+100PP (Spheripol) 400

2006年にPKN Orlen 2009年~2010年生産開始を目指し、大拡張計画をスタートさせた。今回のPTAはその一つ。

PX 400PTA 600Petrol 80OrthoXylene 40

PKN Orlen ポーランド最大の窒素肥料とPVCのメーカー Zaklady Azotowe Anwil の75%を所有する。
同社の能力は以下の通り。(千トン)

Ammonia 520Nitrogen acid 650Ammonium nitrate 837
Chlorine 5,195VCM 300PVC 300PVC granules 76

Anwil 2005年から、韓国 SK Chemicals とのJVSK 60%)でPETの生産販売を開始した。製品の70%EU諸国に輸出されている。

Anwil はチェコのSpolana a.s. 81.78%(PKN Orlen 持ち株を合わせると95.181%)を所有している。
Spolana の能力は以下の通り。製品の85%は主にEU諸国に輸出される。

Chlorine 135VCM 148PVC 132PVC granules 12Caprolactam 48.5

ーーー

PKN Orlen はドイツで500の給油所を買収した。

PKN Orlen2004年にチェコの石油精製・石油化学会社 Unipetrol 63%(政府持分)を買収した。

Unipetrol 1994年にチェコの石油化学会社を統合して設立された。
政府が
63%を保有、残りは一般株主だが、政府持ち株は将来放出することが予定されていた。

Rafinery productsMonomers and AgroproductsPolyolefins 3部門がある。

2007年の販売数量は以下の通り。(千トン)
Ethylene 154.5Propylene39.7Benzene 162.7Urea 169.7Ammonia 115.5Oxo-alcohols 54.8
HDPE 265.4
PP 186.9

100%子会社のKaucuk で合成ゴム事業を行っている。

PKN Orlen 2005年にハンガリーの石油会社 MOL との統合交渉を開始した。統合すれば国際的な巨大会社になったが、政治化した結果、失敗に終わった。

MOLは化学会社TVKの84.86%を所有。

TVKの事業 (現状)
 エチレン 660千トン、LDPE 97千トン、HDPE 420千トン、PP 280千トン

2008/3/15 ロシアのLukoil、ウクライナで塩ビ工場建設開始 

このほか、スロバキアの石油会社を所有、クロアチアの国営石油会社 INAと戦略的パートナーシップを組んでいる。

しかし、その後、バルト3国の一つリトアニアのMazeikiu Nafta 84.36%をロシアのYukos International UK B.V. とリトアニア政府から買収した。現在、90.02%を所有する。
同社はバルト3国で唯一の製油所を持つ。


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最近の原油事情

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ニューヨーク市場の原油先物相場 WTI原油価格は11日に一時過去最高の147.27ドル(終値は145.08ドル)となってから下降に転じ、15日には140ドルを割り、17日には130ドルを割って、25日の終値は123.26ドルとなった。

7月3日の終値としての過去最高145.29ドルからは22ドル強の下落となった。

15日は景気悪化懸念、16日は原油在庫の予想外の増加、23日からはドル高が下げの理由となっている。
商品投資規制の動きをにらんで、年金基金が原油先物への投資残高を減らしているのも影響しているという。

但し、このまま下がり続けるかどうかは分からない。

東京市場のドバイ原油、ナフサ価格は1日遅れでWTI価格の動きに追随している。

       
  7/11   145.08
   14   145.18
   15   138.74
   16   134.60
   17   129.29
   18   128.88
   21   131.04
   22   127.95
   23   124.44
   24   125.49
   25   123.26

原油価格高騰の理由の投機を抑える動きが広がっている。

北海道洞爺湖サミット首脳宣言では「エネルギー安全保障」のなかで、「商品先物市場の透明性向上に向けた各国当局間の更なる協力を奨励」がうたわれた。

  • 世界経済にリスクをもたらしている原油価格の急激な上昇を強く懸念。
    供給面では短期的には生産量及び精製能力の増強、中期的には上下流に亘る投資拡大努力が必要。
    エネルギー効率改善及びエネルギー多様化に向けた更なる努力が重要。
  • エネルギー安全保障を強化するため、エネルギー効率と新技術に焦点を当てたエネルギー・フォーラムの開催を提案。
  • 石油データ共同イニシアティブ(JODI)を引き続き強く支持。歪曲されない形の価格シグナルを発出し且つ政治的圧力を受けないエネルギー市場の重要性を強調。
    G8財務大臣による原油・一次産品価格高騰分析に関するIMF及びIEAへの要請を歓迎。

    商品先物市場の透明性向上に向けた各国当局間の更なる協力を奨励

ーーー

米上院ではCommodity Exchange Act の修正として、民主党のリード院内総務提案の「過度のエネルギー投機をやめさせる法案」(“Stop Excessive Energy Speculation Act of 2008”)が審議されている。

Commodity Exchange Act を石油製品や天然ガスにも適用するもので、米商品先物取引委員会 (CFTCCommodity Futures Trading Commission)に過度な投機をもっと厳しく監視させることとしている。

当初の法案では、証拠金率を現在の5-7%から25%に引き上げることが盛り込まれていたが、最終案では外された。
しかし航空会社などの実需に基づいたヘッジ取引は保護し、推進するが、現物受け渡しを伴わない過度な投機取引を制限するよう
CFTCに求める内容となっている。
投機筋に厳しいポジション上限を課すため
CFTCが有識者会議を開くことや、スワップディーラーやコモディティ指数トレーダーに取引内容のCFTCへの報告を求めている。
また、米国市場と同様の商品を上場している国外の取引所に対して、日々の取引情報の公開や米先物取引所と同様のポジション上限を課すことも盛り込まれた。

銀行など先物取引に関係する業界はこれに反対、航空会社やトラック業界は賛成していた。

しかし、共和党は環境保護地域での石油や天然ガスの掘削の拡大、西部のオイルシェール開発、原子力発電所新設など、多くの修正を求めて話し合いを望み、25日に審議打切り・投票動議を阻止した。共和党は今週の話し合い再開を望んでいる。

民主党側は、共和党は欲深な投機家を保護する一方、エネルギー危機を短期に解決する案を阻止したと批判している。
共和党はこれに対し、民主党案は火事のときに水鉄砲で消そうというものだとし、本格対策が必要だと反論している。

下院では今週、石油投機に関して同じような規定を折り込んだ法案が農業委員会で審議される。

ーーー

米商品先物取引委員会(CFTC)は24日、ニューヨーク・マーカンタイル取引所で原油先物などの価格操作を行った疑いで、オランダのファンドOptiver Holding とそのシカゴ部門を提訴した。

2007年3月に原油・ガソリン・ヒーティングオイル先物取引で価格操作を行い、約100万ドルの利益を得た疑い。
一般的には大きすぎて操作できないとされるエネルギー市場で、短期間ではあるが、価格の操作を行なった。

また、役員がNYMEの担当者に嘘をついて隠蔽したことも容疑に加わった。


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英国の投資会社 Ashmore Group plc 22日、株式公開買付でフィリピン最大の石油精製会社 Petron 50.57%を取得することになったと発表した。

同社は5
月にSaudi Aramco から40%分を550百万ドルで買収しており、比政府も財政赤字対策として国営石油会社PNOCの持分40%を手放さす意向を示していたため100%買収を目指したが、最終的に政府は手放さないこととした。

Petron 株はPNOC Saudi Aramco が40%ずつ所有し、残り20%を上場していた。
Ashmore はAramco からの40%に加え、投資家から10.57%を146
百万ドルで購入した。

ーーー

第2次大戦後、フィリピンの石油精製業は欧米石油メジャー主導で始まったが、比政府は1973年、石油製品の安定供給体制確立を目指し、国営石油会社Philippine National Oil CompanyPNOC)を設立した。

1933 Socony Vacuum Oil Company of New York Standard Oil Company of New Jersey Standard Vacuum Oil Company (Stanvac) を設立した。
1960
代初めにJVが解消され、Esso Mobil に分割された。
1973
Esso は事業を比政府に売却、これがPNOC となった。その後、Mobil も事業を PNOC に売却した。

1993年12月、石油産業構造改革の一環として国営石油会社PNOC の子会社で精製・販売を担当するPetron の民営化が行われ、Saudi Aramco が40%出資した。Aramco 出資により、サウジアラビアから長期契約ベースで原油が供給されるようになった。

PetronBataan 日産18万バレルの製油所を持っている。
フィリピンには他に、Caltex Shell が製油所を持つ。

本年初にPetronFCC と年産14万トンのプロピレンプラントが稼動した。同社はまた、本年末完成を目指してBTXプラントを建設している。B: 22,800t/yT: 15,000t/yX: 220,000t/y

ーーー

フィリピン政府は財政赤字対策として本年末にも PNOC Petron 持ち株を売却することを検討していた。

本年3月、PNOC Aramco からPetron 株式をAshmore Group に売却したいとの意向の表明を受けた。
Aramco は株式入手時の約束で、売却する際には比政府の了承を必要とする。)

Arroyo 大統領は、Aramco の方針が14前の時点とは変わったことを認め、Aramco Petron 株式売却後も、強力な商業関係を維持するとしていることは喜ばしいと述べ、 Ashmore についてもこれまでの金融やユーティリティ面での同国への投資を更に拡大するものとして歓迎した。

本年5月にAramco 持ち株がAshmore に売却された。

なお、今後、会長はPNOCから、社長はAshmore から出し、取締役は5人:5人になる。


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世界最大のPETメーカー、イタリアのM&G (Gruppo Mossi & Ghisolfi)は17日、ブラジルのIpojuca にある45万トンプラントを拡大し、単一リアクターで最大の65万トンにすると発表した。

必要機器は発注済みで12-15ヶ月で完成する。同社の誇る最新技術を導入する。

同社では、ブラジルのPET需要は2012-13年にようやく65万トンに達すると見ているが、需要家への安定供給のため、また需要家の成長に資するため投資を決めたとしている。

ーーー

M&G はイタリアのTortona に本拠を置く家族経営の会社で、1953年にVittorio Ghisolfi が設立した。
当初は
HDPEPVCを使って洗剤等の容器を生産していた。

M&G は現在、PET Polymer とAcetates の2つの事業を行っており、Brazil、Italy、Mexico、USA にプラントを持っている。
子会社のAcetati Spa が欧州でセルロースアセテートの生産をしている。

現在の同社の全世界のPET能力は165万トンに達しており、後記分を含めた新増設が完了すると、能力は250万トンを超えることとなる。

また、M&G のPETプラントの建設を担当した米国のエンジニアリング会社Chemtex International を三菱商事から買収している。
Chemtex は中国とインドに子会社を持っている。

2007年の売上高は28億ドルで、うち90%PET樹脂の販売。

同社の推移は以下の通り。

同社は1983年に化学品の製造を始めた。
この時期にShell Italia との
JVSipetを設立している。(Shell 85%、立地:Patrica, Italy、能力:PET 60千トン)

2000年2月、M&GはShell からPET事業を買収した。
4工場合計61万トンのPET工場の買収で、同社の売上高は一挙に3倍の8億ドルとなった。

Patrica, Italy  190千トン
Glandford, England   30
Apple Grove, W.Va.  285
Altamira, Mexico  105
合計  610

2002年、Rhodia (旧 Rhone-Poulenc)から南米最大のポリエステル繊維とPET樹脂のメーカー Rhodia-ster (ブラジル)の持ち株84.4%全てを買収し、ブラジル進出を図った。

2003年、メキシコAltamiraに新工場を建設し、世界第二位のPET樹脂メーカーとなった。

2004年、上記メキシコ新工場などの建設を担当したエンジニアリング会社 Chemtex International Inc.を三菱商事から買収した。
同社はWilmington, North Carolina に本拠を置き、米国、インド、中国で活動している。(Chemtex は
1958年に設立された。その以前はRayon Consultant )

M&Gは、これによりポリエステルや石油化学、石油精製、スペシャルティケミカルの設計施工業務を手掛けることとなり、また、中国やインドに進出した。

2007年2月、同社はブラジルの Ipojuca に45万トンのPET工場を立ち上げた。

同年7月、同社は米国に80万トンの最新鋭のPET工場を建設すると発表した。うち65万トンは2009年前半に完成する予定で、立地は追って発表するとした。
同時に、W. VirginiaとMexico 工場のでボトルネッキングで、合計
20万トンの増設を行なうこととした。

 


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事業統合会社(非上場)の決算が出揃った。各社(12月決算を含む)の営業損益と当期損益を対比した。

各社概要及び2005年度決算は下記参照。
     2006/7/19  
事業統合会社の2005年度決算 

1)ポリオレフィン

日産丸善ポリエチレンは当期損益しか発表していない。(B/Sのみを公告)

営業損益は各社とも前年比減益となっている。

三井化学/出光興産のプライムポリマーは、初年度の06/3は恐らく統合のための特別処理を行なったと思われ、赤字となったが、07/3には大きな利益を計上した。
しかし、08/3には大幅減益となった。

 

2)PVC

3社とも3年連続の減益で、ヴイテックは赤字となった。
(損益そのものは、親会社からのVCMやエチレンの供給価格の決め方で変わる。
 大洋塩ビと新第一塩ビは親会社がVCMを供給。ヴイテックはVCM自製で、親会社からエチレンを購入。)

大洋塩ビは06/3に(2000年4月再出発後の)累積損失を一掃した。
新第一塩ビは05/1に60億円の減資を行なって(1999年の減資増資後の)累積損失を消したが、08/3で実質ベースでもほぼ累損を消した。
ヴイテックの累積損失は140億円となった。

 

3)PS、ABS

日本ポリスチレンは08/3で累積損失一掃。日本A&Lはまだ累積損失が残っている。

東洋スチレンとUMG ABS の決算は不明。 


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GM傘下のGM大宇は18日、韓国タイヤと錦湖タイヤがタイヤの供給を中断したため、富平工場のジェントラおよびトスカの生産ラインが停止したと発表した。

両社は「今年に入り原材料価格が40%以上も上がり、価格引き上げ交渉を要求したが、GM大宇は交渉そのものを拒否した」としている。
他の完成車メーカー各社とは円満に協議を進めているとのこと。

これに対して、GM大宇は、「長期の供給契約を締結しているが、原材料価格の上昇を考慮し、今年3月、例外的に5.5%の価格引き上げを行った。しかし最近になり、再び12%の価格引き上げを要求された」とし、2社が同じ日に同じ幅の値上げを要求し、供給中断まで同時に行なったのは、公正取引法違反だと批判している。

韓国タイヤ(ハンコックタイヤ)と錦湖タイヤは韓国で激しいトップシェア争いを行なっている。

GM大宇はタイヤの85%を両社に依存している。
タイヤ在庫を持たず、ジャストインタイムで供給を受けている。

ソウル中央地方法院は18日GM大宇が両社を相手にタイヤの供給を要求して提出した仮処分申請を一部受け入れた。

裁判所は韓国タイヤなどは、契約書で定めた内容を履行する義務があり、これを履行しない特別な理由は存在しないと明らかにした。
しかし、両社が仮処分決定後タイヤ供給を履行しない場合、毎日一定金額の履行強制金をGM大宇に支給するという要請は受け入れなかった。

 


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石油化学市場の変調

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今年上期(1―6月)の合成樹脂の国内出荷量は、ポリエチレンなど主要製品すべてが前年同期比マイナスとなった。
製品の前年実績割れは1998年上期以来、10年ぶり。
国内景気の減速による需要減に加え、原油高に伴う石化製品の値上げが響いた。

輸出も、以前とくらべ数量が減少しているPSを除き、大幅減となっている。
輸出の場合は、三菱化学のエチレンプラントの火災事故の影響で、輸出をカットしたことも響いている。(特にPVC)

出荷数量(千トン)
         国内       輸出
07年上 08年上 増減率 07年上 08年上 増減率
LDPE   794.4   783.4  -1.4%   126.4   109.6  -13.3%
HDPE   481.7   472.7  -1.9%    62.1    54.3  -12.6%
PP  1,414.8  1,370.5  -3.1%   187.3   125.2  -33.2%
PS   440.3   413.4  -6.1%    19.1    21.2  +11.0%
PVC   642.4   600.0  -6.6%   410.2   293.0  -28.7%
合計  3,773.6  3,639.9  -3.5%   805.1   602.9  -25.1%

PVCの場合は、昨年6月の改正建築基準法施行の影響で住宅着工件数が激減したが、そこからの回復は未だに見られない。
(前年比マイナス幅は縮小しているが、前年下期のマイナスを取り戻せていない。)

ーーー

1ー6月のエチレン累計生産量は、3,570.5千トンで、前年同期比 8.2%(319千トン)の減少となった。
1月以降毎月前年割れの状態が続いている。3月以降は 4カ月連続で60万トン割れとなっている。

昨年12月の三菱化学鹿島第2エチレンの火災事故で全国能力の6.4%に相当する516千トン/年が停止した。
3月下旬に約2/3の能力部分が生産を再開したが、これによる減産が大きい。
また、今年は定期修理が多い。

しかし、本年の生産量の前年比減は生産面の理由だけではない。

本年は3月中旬から山陽石油化学と東ソーが定期修理を行なったが、5月から三菱化学・鹿島の第1エチレン、三菱化学・水島、丸善石油化学・千葉が定修を行なった。
更に、大阪石油化学・堺、三菱化学・鹿島の第2エチレン(保安検査認定取り消しで毎年定修が必要)、新日本石油化学・川崎が6月末から8月末までの間に順次定修を実施する。

このため、本来なら石油化学品全体の需給は非常に窮屈な状態が続くことになる。

その中で、各社がエチレンの減産に入る。
原料が高騰しているなか価格への転嫁が十分に行なえず、採算状況を勘案したもの。

三井化学は、市原工場で8~9月の2カ月間、10%程度稼働を落とす。
EGやPEの需要減退で、それぞれエチレン減産見合いの生産減を実施する。

旭化成は水島工場で7月上旬から稼働率を5%減の95%にした。
住友化学も7月上旬から千葉工場の稼働率を4%減の96%にしている。
両社はSMの減産を行なっている。

3社がそろって減産するのは、アジア通貨危機による需要急減に見舞われた1998年以来10年ぶりで、他社も追随する可能性がある。

ーーー

三菱化学は18日、黒崎事業所で試運転を行なっているポリカーボネート樹脂製造設備(年産6万トン)の稼動を当初の予定の7月から当面の間延期すると発表した。

原油高騰を背景とした原燃料費上昇に加えて、ポリカーボネート樹脂の市況低迷が続き、事業の採算性が悪化しているためで、稼動開始時期については、今後の原燃料、市場及び価格の動向を勘案しながら、総合的に判断するとしている。

三菱化学(ヴイテック)は又、PVCの輸出を停止し、水島工場の年産11万トンのプラントを5月末で停止した。

   2008/4/15 ヴイテック、PVC生産体制見直し  

三井化学は収益が悪化している高純度テレフタル酸の輸出を停止し、岩国大竹工場の古い設備を廃棄し、国内能力を47%落として年40万トンにする。3基のうち、1基は既に停止、もう1基も2011年までに停止する。

同社は又、ポリカーボネート需要の低迷を受け、原料のビスフェノール-Aの減産を行なっている。
シンガポールと大阪工場の定期修理に加え、市原工場の設備の稼働率を6月から70%に抑制しており、生産量は少なくとも7月末までは従来の規模を大きく下回る形で推移することになる。
 

ーーー

業界紙によると、中国でも石油化学製品の減産が広がっている。

原燃料価格高騰分を製品価格に転嫁できないためで、エチレンでは7月に入り、ほとんどのセンターが稼動を90%に落としており、ポリオレフィンの場合は20%程度の減産企業も少なくないという。

 


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決算公告

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官報の決算公告で、非上場会社の3月期決算を調べた。
(総会後速やかに、ということで、6月下旬からとなる)
予想以上の大きな利益を計上している会社があるのに驚く。儲かっていると思っていた会社が赤字転落していたり。

以前は膨大な枚数の決算公告を1枚ずつめくって調べたが(いつ公告するか分からないため大変)、今はパソコン検索で社名を入れれば、過去の分も含めて、その社の決算公告がすぐに見られる。
(官報購読者のみが検索できるが、東京都の図書館では無料で検索が可能)

しかし、上場会社の子会社でも官報に載っていない会社がある。最近になって(黒字転換してから)ようやく公告を行なった企業もある。
(有価証券報告書提出会社は公告不要。定款で日刊新聞紙に公告すると決める会社もある)

ーーー

7月9日の朝日新聞は以下の通り報じた。

デジタルテレビの視聴に必要なB-CASカードを独占的に発行する「ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ」が設立以来、会社法に違反して財務内容の公告を怠っていた。
(中略)
公共性が高い業務を担う同社だが、これまで売上高や利益、剰余金などの財務データをまったく公表してこなかった。会社法は、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表などを公告しなければならないと定め、公告を怠ると過料に処すと規定している。

これについて、磯崎哲也氏のブログ isologue は次のように述べている。
    http://www.tez.com/blog/archives/001199.html

会社法の規定:

(計算書類の公告)
第四百四十条  株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。(以下略)

(過料に処すべき行為)
第九百七十六条  (略)は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一  この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。
二  この法律の規定による公告若しくは通知をすることを怠ったとき、又は不正の公告若しくは通知をしたとき。
(以下略)

日本の株式会社100万社がすべて公告すれば、平均50日間くらいに分散されるとしても、1日の官報の厚さが2000ページ(電話帳3冊分)にもなる。(あり得ない)

9割の90万社が公告していないとして、罰金を1社当たり100万円ではなく、30万円(官報広告費6万円の5倍)を取っても、2700億円の収入になる。

「ほんとに数%しかちゃんと公告してないとしたら、まじめに公告してる会社がアホみたいじゃないですか。」

「登記のデータベースをサーチして、公告の方法が官報になってる会社の過去2年分くらいの官報データに該当する公告がなかったら過料の通知を印刷して送付すればいいだけ。」

「法務省さんというのは、法の下の平等を確保するお役所とお見受けいたしますので、何とぞよろしくお願いいたします。」

ーーー

確実な収入源なので、本当にやったらどうだろう。
もっとも実際に過料を取り出すと、全社が公告してパンクするので、公告掲載の方法を考える必要がある。

コンプライアンスが問題になるなかで、子会社や関係会社が明白な「商法違反」をしているということが明らかにされれば、それだけでも親会社にとって打撃となると思われる。
企業は子会社や関係会社がきちんと公告しているかどうか、チェックする必要があるだろう。


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米国商務省が17日に発表した6月の住宅着工件数は、季節調整済みで年換算1,066千戸となり、前月(修正後)の977千戸を 9.1%上回った。

しかし、商務省は同時に異例の Special Note を発表した。

6月の住宅建設許可と建設着工はそれぞれ前月比 11.6%、9.1%の大幅増加となった。
特に北東部の集合住宅が増加している。
北東部の集合住宅を除くと6月の住宅着工は4%のマイナスとなっている。

ニューヨーク市の新しい建築基準が7月1日に施行された。
このため、ニューヨーク市で6月に多数の集合住宅の建設許可が出された。

北東部で 6月に前月と比べ11,000戸増の集合住宅が着工されている。
これを季節調整すると年率で126千戸となり、これを除くと6月の着工は前月比4%減となる。

実質ベースでは2008年1-6月の平均は年換算で 1,013千戸で、2007年平均を大きく下回っており、依然として回復の兆しは見えていない。

サブプライム問題はまだ収まらず、拡大し続けている。

住宅金融大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の融資・保証残高は3月末に5兆ドルに達している(全米の住宅金融残高は約12兆ドルの40%)が、両社の株価が先週、約半値に下がった。

ポールソン米財務長官は13日、両社の株式を上限を設けずに取得し、必要時に貸し付けを行う権限の付与を議会に求める方針を発表した。
米連邦準備制度理事会(FRB)も同日、必要と認められた場合に資金を直接貸し出す権限をニューヨーク連銀に付与するとの声明を発表した。

Fannie Mae は正式名は連邦住宅抵当公庫(Federal National Mortgage Association)、Freddie Mac 連邦住宅金融抵当金庫Federal Home Loan Mortgage Corporation)で、政府支援法人GSE(Government Sponsored Enterprises)と呼ばれる。
債券発行で調達した資金で民間金融機関から住宅ローン債権を買取り、住宅ローン担保証券に仕立て直して投資家に販売している。

Fannie Mae1938年に米国の法律に基づいて設立されたが、1968年に民営化された。
Freddie Mac は1970年に米国連邦議会の公認のもと、Fannie Mae
が十分カバーしていなかった部分に資金を供給するために設立された。
いずれもNYSEに上場している。

両社には政府保証はないが、「暗黙の政府保証」がついているとみられてきた。

このため日本の金融機関も大量の投資をしており、毎日新聞によると、2社発行債券保有額は3月末時点で、農林中金の5.5兆円、三菱UFGの3.3兆円、日本生命の2.6兆円、みずほの1.2兆円など、合計15兆円を超える。

メリルリンチは17日、4-6月期決算を発表したが、サブプライムローンの赤字は97.5億ドルで、同赤字は昨年7月からの1年間で 419.5億ドル(4兆4500億円)に膨れ上がった。

18日、シティグループは4-6月決算を発表した。サブプライムローン関連の評価損を72億ドル計上した。1年間の累計損失額は582億ドル(6兆2000億円)で欧米金融機関では最大規模となった。

サブプライムローンを組み込んだ住宅ローン担保証券は、昨年秋以降、買い手不在で売買の成立しない状況が続いており、今後も評価損は増えると思われる。米国経済への影響がますます深刻になってきた。

付記

7月20日の毎日新聞の「時代の風」に浜矩子・同志社大教授が「ファニーとフレディ」を書いている。

本質的な問題は、このような事態に至るまで、民業であって民業でないような、官業でないのに官業であるような巨大な金融機関の存在を放置してきたことだ。そのことの矛盾と不合理を、サブプライム問題が顕在化させた。--どう安らかにご退場願うかが次の課題だ。
ここで、ふと日本のかつての巨大な官製金融機関が頭に浮かぶ。2017年9月末の完全民営化を目指している。---

 

付記

7月26日(土)に米上院は住宅公社支援法を可決した。

骨格は以下の通り。

米住宅公社支援
 緊急融資と公的支援による資本注入の枠組みを整備。発動は財務長官に一任する。
米住宅公社の監督強化
 経営健全化を厳しく点検するため新たな監督機関を発足
3千億ドルの債務保証
 米連邦住宅局を通じて低利への借り換えを促進
初めての住宅購入を支援
 ローンの一部について税金を払い戻す優遇制度を創設
州への助成
 差押さえに直面した物件買取りや修繕に40億ドルの補助金を計上

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ドイツの連邦カルテル庁は7月10日、談合と価格カルテルで化粧品会社に課徴金を課したと発表した。

課徴金は25万ユーロから210万ユーロで、合計は約10百万ユーロ。対象はChanelClarinsCosmopolitan Cosmetics Prestige(現在は P&G Prestige Products)、Coty Prestige LancasterEstee LauderL'OrealLVMH Parfums & Kosmetik資生堂YSL Beaute の9社のドイツ子会社とその役員。

カルテル庁によると、各社は1995年以来、年に4回集まり、販売数量、宣伝費、新製品、価格、利益などの多くの情報を互いに交換しており、これは競争を制限するもので、ドイツとEUの独禁法に違反するとしている。
(特に、どの会合で値上げを決めた、とは言っていない)

L'Oreal は談合に参加していたとするカルテル庁の主張を否定し、この決定を控訴するとしている。

化粧品協会では、事業者間のどんなコミュニケーションが違反で、どんなものが許されるのか、明確にしてほしいとしている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こちらは明らかな価格カルテル:

英国の公正取引庁(Office of Fair Trading はタバコのメーカー2社と多数の販売会社がタバコ製品の小売価格を違法に決めていたとして本年4月に摘発したが、7月11日、このうちメーカーの Gallaher (日本たばこが買収)と販売会社数社が早期決着を行なった。

公正取引庁によると、メーカー2社は販売会社に製品価格を同じように上げるよう指示をしていた。また販売会社は将来の値決めについて情報交換を行なっていた。

合計173.3百万英ポンドの課徴金を支払うが、数社にはLenicency (協力による減額)が適用される。
Gallaher の制裁金は約93百万英ポンド。

もう1社のメーカーはImperial Tobacco で、Gallaher Imperial で英国で売られるタバコの9を占める。

日本たばこでは「当社による買収前のGallaher社等における行為ではありますが、今回の英国公正取引庁からの指摘を重く受け取るとともに、今後とも、コンプライアンス体制の一層の強化に努めてまいります」としている。 


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松下電器産業は7月14日、姫路市飾磨区で液晶テレビ用パネルの新工場の起工式を行なった。
投資額は約3000億円で、尼崎市に建設中のプラズマパネル工場の2800億円を上回り、松下の薄型テレビ用パネル工場としては過去最大規模となる。

新工場の建設地は出光興産の兵庫製油所跡地で、敷地面積は48万平万メートル。松下が日立製作所などと共同出資している液晶パネル生産会社、IPSアルファテクノロジが建設する。
松下が投資額を全額負担し、松下主導で運営する。

ガラス基板には第8世代(2.2m×2.5m)を採用する。
シャープは新工場でより大きな第10世代を使うが、松下は30型台の中型パネルでは第8世代の方が生産効率が高まると判断している。
37型以上はプラズマ、それより小さいタイプは液晶とすみ分け、それぞれでコスト競争力を高める。
2010年1月の操業開始を目指しており、2013年のフル稼働時には当初計画の2割増しの年間1800万台分(32型換算)を生産する見通し。

参考 2007/12/5 シャープの「21世紀型コンビナート」  

ーーー

松下は2008年3月末に、日立子会社の日立ディスプレイズの株式24.9%を取得した。
2年以内をメドに、日立ディスプレイズが保有するIPSアルファテクノロジ株を含む大型液晶パネル関連事業を660億円で取得し、松下がIPSの経営権を握る。日立は10%を上限にIPS株の保有を検討する。

  出資者    出資比率
当初 2008/3 将来
日立ディスプレイズ 日立  100%  50.2%  
キヤノン   -  24.9%  過半数
松下電器   -  24.9%  
IPSアルファテクノロジ 日立ディスプレイズ   50%  50%   -
日立   -  -   10%
松下電器   30%  45%   90%
東芝   15%  -   -
その他    5%   5%   -

 

20071225日、日立製作所、キヤノン、松下電器産業は、液晶ディスプレイの事業、技術のさらなる強化、発展を目的に、包括的な提携を行うことで基本合意した。

日立の100%子会社として中小型液晶パネル事業を行っている日立ディスプレイズについて、日立からの株式譲渡により、キヤノンと松下がそれぞれ株式の24.9%を取得する。
次の段階として、3社は、今後、
・日立ディスプレイズについては、中小型液晶パネルユーザーとして多くのノウハウを持つキヤノンが過半数の株式を、
・IPSアルファについては、テレビ分野で世界トップクラスの松下が過半数の株式を、
それぞれ取得することも含めた資本構成の変更を予定している。

東芝は松下・日立連合を離脱、テレビ用の液晶パネルでシャープと提携する。
シャープが堺市に建設中の新工場からパネルを調達してテレビに組み込む。

2008年2月、日立と松下は上記包括提携について2社間の正式契約を締結した。

松下は、将来的に日立ディスプレイズが保有するIPSアルファの発行済株式全株を含む大型IPS液晶パネル付随事業を660億円で取得する。その際、日立は10%を上限にIPSアルファ株式を保有することを検討する。

日立は先端的な技術開発を加速し、また、セットメーカーとして、最先端の液晶パネルを活用した世界最薄の液晶テレビの開発や超薄型液晶テレビの競争力強化を図る。

松下は、主力とするPDP事業の一層の拡大・強化を図るとともに、IPSアルファの事業運営への関与を深め、日立グループと連携しながら松下が中核となってIPSアルファの新工場の建設を進めることで、液晶パネルの安定調達を図る。


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中国では6月1日に「レジ袋規制」が始まった。

   2008/6/4 中国でレジ袋有料化 実施  

規制が始まると、いろいろ規制をモグル動きが出ているため、商務部、国家発展改革委員会、工商総局は10日、規制を厳しくする「補充意見」を通達した。

1)飲食店、書店なども無料レジ袋禁止

法律は 対象小売店を、消費者を相手に小売業を営む各種のスーパー、デパート、自由市場などを想定していたが、多くの飲食店でレジ袋の無料提供が続くなどの問題が多発したため、今回施行範囲を飲食店、書店、衣料品店、建築材店などにも広げられた。

2)手提げ機能つき包装は禁止

スーパーでは果物、野菜、海産物などの個別包装に、主に無料提供のロール式ポリ袋が用いられている。(規制対象外)
レジ袋規制の施行後に、このロール式ポリ袋の使用量が大幅に増加している。
ロール式ポリ袋をレジ袋代わりに使用する消費者がいるためで、手提げ用の穴があるロール式ポリ袋を用意したり、なんの標示もないロール式ポリ袋を総菜や麺類など直接口に入れる食品の包装に使用している。

「補充意見」は「生鮮食品などの包装に用いるビニール製事前包装袋」は、手提げ機能を備えず、かつ食品包装の関係基準を満たさなければならないとした。

国の関連規定に照らして、企業情報のほか「食品用」「QS」などの標示を袋上に明記し、消費者が納得した上で使用できるようにしなければならない。

3)無標識の袋は10月から禁止

国の基準はレジ袋の厚さ(0.025ミリ以上)・強度・標識を厳格に定めている。

4月16日以前にメーカーが仕入れ、かつ安全性・衛生度・厚さに関する「要求」の規定を満たしながら、それらが印刷されていないレジ袋については、9月30日までは販売・使用できるが、10月からは禁止となる。

4)製造元が不明の袋は禁止

「補充意見」は、小売業者は顧客に各種材質の袋を提供する際、合法的に設立されたメーカー、卸売業者、あるいは商社から購入し、かつ検査に備えて必要な証書を請求し、仕入・販売台帳を用意しなければならないと定めた。

現在、買い物袋の多くは企業の広告やロゴが印刷されているだけで、中には基準を満たしていないものすらある。こうした製品の根絶を図る。


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池田信夫 blog の2008/7/12記事が英国の公共放送TV Channel 4 の長編ドキュメンタリー「The Global Warming Swindle(地球温暖化詐欺) を紹介している。  http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f660cfa25cd1fa208644f5c92c2f46ef

ある人が Channel 4 の番組(2007年3月放映)の録画を日本語字幕を入れて youtube に投稿したもので、1時間程度の番組を8つに分けている。

1.   http://jp.youtube.com/watch?v=hUKLOvtAUDk
     
2.   http://jp.youtube.com/watch?v=VYlkpClOevA&feature=related
     
3.   http://jp.youtube.com/watch?v=khYk4y2Zj0A&feature=related
     
4.   http://jp.youtube.com/watch?v=ba79ByzHAqU&feature=related
     
5.   http://jp.youtube.com/watch?v=y1Na9cYpgqg&feature=related
     
6.   http://jp.youtube.com/watch?v=hWVhnHpV9OE&feature=related
     
7.   http://jp.youtube.com/watch?v=01K2Vdud61A&feature=related
     
8.   http://jp.youtube.com/watch?v=4Ely4uyD_rk&feature=related

人間の活動で作られたCO2が温暖化の主な原因であるとは信じない専門家の見方を紹介している。

番組の中で、赤祖父俊一・アラスカ大学国際北極圏研究センター所長も「CO2排出増加の以前から気温上昇は始まっており、CO2と気温には関連性がない」(2/8)、「北極圏の氷は常に変動しており、何も異常はない」(6/8) と述べている。

主な内容:

IPCC報告は偏ったもので、多くの専門家が内容を否定している。
「温暖化はScienceではなく Propagandaだ。」「温暖化と人類が放出する温室効果ガスを関連付ける直接的な証拠はない。」
反対意見が抹消されたと告発する学者がいる。(IPCCもそれを認めた)
   
CO2と気候変動は相関関係があるように見えるが、実際は気候変動の数百年後にCO2の変動が起きている。
  CO2の最大の発生源は海で、気温が上がればCO2を放出するが、海水量は大きいので、温度アップに時間がかかるため。
   
真犯人は太陽の活動。
  宇宙線と水蒸気で雲が出来るが、太陽の活動が活発になる(太陽黒点が増える)と、太陽風で宇宙線を吹き飛ばし、雲が出来なくなって気温が上がる。
  太陽活動が弱まると、雲が増えて、気温が下がる。
   
CO2温暖化論は地球寒冷化の恐れの際に、スウェーデンの気象学者 Bert Bolin が打ち出した仮説。
CO2を増やせば、少しは温度を上げられるかもしれないというもの)
  炭鉱ストに怒ったサッチャーが原子力への移行を狙い、この仮説を利用した。
   
気候変動のモデルは変数を少し変えれば希望の結果が出せる。
   
温暖化でマラリア被害が北上するというのはウソ。ロシアでマラリアが大発生した。
   
開発途上国の活動を抑えようとする動きに対するアフリカの視点
   

ーーー

洞爺湖サミットを機会に、温暖化対策の必要性の議論が増えるとともに、懐疑論も増えている。

池田信夫 blog でも懐疑論の立場でこれまで多くの記事が掲載されているが、温暖化懐疑論のまとめ」(2008/7/5)として最近の懐疑論の文献を紹介している。

1.そもそも温暖化は起きていない(寒冷化が起こる)とするもの

  • 丸山茂徳『地球温暖化」論に騙されるな! 』
  • Lawrence Solomon, The Deniers

2.温暖化は自然現象であり、人為的な要因は重要ではないとするもの

  • 赤祖父俊一『正しく知る地球温暖化』    上記
  • 槌田敦『CO2温暖化説は間違っている』
  • Roy Spencer, Climate Confusion

3.温暖化をCO2削減で止めることは不可能だとするもの

  • デニス・エイヴァリー&フレッド・シンガー『地球温暖化は止まらない』

4.地球温暖化のリスクよりその対策(京都議定書)のコストのほうが大きいとするもの

  • 池田清彦・養老孟司『ほんとうの環境問題』
  • Nigel Lawson, An Appeal to Reason

5.排出権取引は非効率であり、課税で解決すべきだとするもの

  • William Nordhaus, A Question of Balance

同blogの温暖化問題記事

2008/7/9 地球は温暖化しているのだろうか  

2008/6/28 地球と一緒に頭も冷やせ!  

ーーー

上記の赤祖父氏は「もったいない学会」(http://www.mottainaisociety.org/)の講演(2008/2/19)で、次のように述べている。

地球の長い歴史で、今と同様に暖かい時期が何度もあった。
西暦1000年頃は温暖期で、その後小氷河期が始まり、1800年頃から温度が上がり始めて今に至っている。
化石燃料使用でのCO2排出増加は1946年以降であるが、それ以前から今の状況が始まっている。
IPCCは1975年以降を捉え大変だとするが、「気候変動」であり、なにも異常ではない。
氷河の後退も、海水の上昇も1800年代から始まっている。
白熊はもっと暖かい時期でも生きていた。
氷河崩壊は自然現象。氷河は流れており、先端が崩壊するのは当たり前。
永久凍土がとけて家が壊れたのは、パイルを打たずに安く家を建てたため、冬の暖房で凍土がとけたもの。


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米国最大の化学品のディストリビューターAshland11日、33億ドルでHercules を買収する契約を締結したと発表した。
合併は本年末に完了する予定で
、“major, global specialty chemicals company” が誕生する。

本年3月末までの年間ベースで統合会社の売上高は海外分35億ドルを含め、100億ドル以上となる。
同期間の
EBITDA(金利・償却費・減耗費・税金前損益)は特別損益を除き、Ashland 365百万ドル、Hercules 392百万ドルとなっている。

Ashland では両社の合併により、3つのコア事業が出来ると述べている。
specialty additives and ingredients
  Hercules wood rosin 製品(Aqualon) は接着剤、ペイント、食品、医薬品、化粧品等広く使用されている。
  統合により、この事業から
EBITDA1/3が産み出される。

paper and water technologies
  両社事業の統合により売上高20億ドルのグローバルなpaper and water technologies 事業が誕生

specialty resins
  Ashland の得意分野で、Ashland の商事部門と自動車用品部門(Valvoline) が補完する。

ーーー

Ashland は1924年に地方の石油精製業としてスタートした。

現在の事業と、2007年の売上高(単位:百万ドル)は以下の通り。

部門 製品 売上高
Distribution chemicalsplasticscomposite materials
environmental services
 4,031
Performance Materials metal casting consumables and design services
unsaturated polyester
vinyl ester resins
gelcoats
high-performance adhesives
specialty resins
 1,580
Valvoline motor oil automotive lubricantstransmission fluidsgear oils
hydraulic lubricantsautomotive chemicals

specialty products
greasescooling system products
 1,525
Water Technologies     818
(Inter-segment)     -169
合計    7,785

ーーー

Hercules1912年にHercules Powder CompanyとしてDuPont からスピンオフして設立され、同様のAtlas Powder Company とともに、米国の火薬市場の2/3を占めた。

1920年代にニトロセルロースなどで化学分野に進出、1950年代に石油化学に進出した。
1960年代にはDMTPP のトップメーカーとなった。

しかし1970年代に入り、汎用石化製品からスペシャルティケミカルに転換、19831月にPP事業をイタリアのMontedison とのJVHimont に移した。これが変遷のうえ、Basell となった。

   2006/4/19  ポリプロピレン技術導入競争  

現在の事業と、2007年の売上高(単位:百万ドル)は以下の通り。

部門 製品 売上高
Aqualon Group wood rosin derivatives   985.6
Paper Technologies
  and Ventures Group
Paper Technologies   903.4
Ventures
  Pulp and Biorefining
  Water Management
  Adhesives
  Lubricants
  247.2
合計    2,136.2


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住友商事は2日、マレーシアの発電事業会社 Malakoff Corporation Berhad 、サウジアラビア民間財閥 Al-Jomaih Automotive Company とコンソーシアムを組み、サウジアラビアのRas Azzour 造水・発電プロジェクトIWPPIndependent Water and Power Producer の入札で一番札を獲得したと発表した。

入札には関西電力がArabian Co. for Water & Power Development (ACWA Power)と組み、また、丸紅が Suez Tractabel と組んで参加した。

サウジアラビア東部のRas Azzour (or Ras Al Zour) 地区に、日量100万トンの造水プラントと 850~1,100MWの原油焚き通常火力発電プラントの建設を行い、完工後は同プラントを操業し、20年間にわたりサウジアラビア水利電力省傘下のWater & Electricity CompanyWEC)に対して電気・水の販売を行う。

総事業費は、新設プラント建設費用他を含み、総額約60億ドル規模となる見込みで、2012年夏完工を予定している。
サウジ政府が40%を出資、住友商事ほか2社が20%ずつ出資する。

日本政府も公的融資などで事業を支援する。

ーーー

Water & Electricity Company WEC)は2003年にサウジ政府の Saline Water Conversion Corporation 海水淡水化公団)と政府70%出資のサウジ電力会社のpartnership として設立された。

今回のWECRas Azzour IWPP は、サウジ西海岸の Shuaibah IWPPShuqaiq IWPP に次ぐ三番目のもの。
(このほか
Jubail IWPP 計画もあったが、取り消しとなった)
Shuaiba Jeddah の南110kmに、 Shuqaiq Jizan の北140 km にある。
Shuqaiq IWPP には三菱商事が参加している。

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Shuqaiq IWPP は、サウジの政府公共投資基金(PIF)とサウジ電力会社、ACWA Power、三菱商事、クウェートのGulf Investment Corporationが出資する。
WECとの間で、20年間にわたり電力と水を供給する契約を締結しており、大規模な発電・海水淡水化設備の建設を進めている。

火力発電は、総出力102万kWで、34万kW蒸気タービン3基、原油焚きボイラー3基、発電機3基などで構成され、海水淡水化設備は、二段の逆浸透膜の活用により海水を濾して脱塩する逆浸透法プラントで、1日当たり216千m3の飲料水を供給する予定。

2007年3月、三菱重工業はShuqaiq IWPP から、原油焚き火力発電設備及び海水淡水化設備をフルターンキー契約で受注したと発表した。2010年4月からの商業運転開始を目指す。
三菱重工は、設備の設計・製作から建設・試運転までを担当し、発電機は三菱電機が供給する。

 


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Dow Chemical 10日、 188億ドルでRohm and Haas (R&H)を買収する契約を締結したと発表した。
現金153億ドルで全株式を買収し、R&Hの35億ドルの借入金を引き継ぐ。
1株 $78 は前日終値の74%増し。

Dow Andrew N. Liveris CEO は、この買収はDowを、高付加価値で多角化した化学品・先進材料会社という「明日のダウ」に変貌させる重要な一歩であるとし、機能製品と先進材料で世界の主導的地位を占める米国最大のスペシャルティケミカル会社になると述べた。

ーーー

Dowは基礎化学品と機能性化学品のバランスが取れ、多角化し、上流から下流までの統合会社で、グローバルに活動し、生産性と信頼性が高い、技術優位の企業となることを目指し、原料価格変動の影響を受けやすい基礎部門をAsset light strategy(JV化)により進めることを明らかにしている。

同社は昨年12月、クウェート国営石化会社 Petrochemical Industries Company (PIC) との間でグローバルな石化JV(50/50)を設立すると発表した。JVは米国に本拠を置き、PE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミンを製造販売する。

   2007/12/14 速報 ダウとクウェートのPIC、グローバル石化JVを設立 

石化のPICとのJV化と今回のR&Hとの合併を合わせると、2007年ベースで、機能製品・先進材料の売上高比率が、従来の51%から69%に高まる。


この買収に際し、米国の億万長者のWarren Buffett の Berkshire Hathaway が30億ドル、クェート投資庁が10億ドルを優先株購入の形で出資する。

これによりBerkshire Hathaway Dow の最大株主となる。 

ーーー

Rohm & Haas について:

1907年に2人のドイツ人、ケミストのRohmと実業家のHaasがドイツでRohm & Haasを設立した。

1909年にHaasが米国に移住してフィラデルフィアに支店を設立した。
第一次大戦でドイツ企業が接収されるのを避けてHaasが本社と縁を切って米国企業のRohm & Haasとした。
(Haasは戦後 Rohmにその持分の対価を払っている)

ドイツ本社はRohmと改称、1989年にHulsに買収された。
Hulsは1899年にDegussaと合併してDegussa-Hulsとなり、2001年にSKW Trostbergと合併して現在はDegussaとなっている。

MMAの海外メーカーの推移

Rohm and Haas の事業  売上高は2007年、単位:百万ドル

Group 部門 Sales 製品
Electronic Materials Group Electronic Technologies 1,666 Semiconductor、Circuit Board、
Packaging and Finishing
Display Technologies 45 韓国SKCとのJV
Specialty Materials Group Paint and Coating Materials 2,120  
PacPrimary Materialskaging and Building Materials 1,826 Polymers、additives、
formulated value-added products
Primary Materials 975 MMA、アクリル酸とエステル、
Specialty monomer products
Performance Materials Group Performance Materials 1,205 Process Chemicals & Biocides、
Powder Coatings、others
Morton International  Salt 1,060 Morton International 買収
Total   8,897  


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新潟県佐渡市は2007年、トキの放鳥を控え、「美しい島づくり」を目指し、「レジ袋ゼロ運動」のPRを始め、市内全域の店に4月からレジ袋を1枚5円に有料化するよう要請した。レジ袋の代金の5円は、買い物袋「マイバッグ」の製作費に充てる計画だった。

しかし、公正取引委員会が「行政が価格を一律にするよう指導するのは好ましくない」と指摘したため、市は「一律1枚5円」を撤回し、店舗が袋代を自由に決められるよう変更した。「5円」をうたって作製したポスターも廃棄した。
公取委は、「値段は各社が自由に決めるもの。目的は別にして、強制したり、離脱が困難だったりする価格設定には問題がある」とした。

安井至先生の「市民のための環境学ガイド」がこれを取りあげている。
  2007/3/18 「公正取引委員会とレジ袋」 
http://www.yasuienv.net/JFTCvsSado.htm

ーーー

公正取引委員会は10日、「独占禁止法に関する相談事例集(平成19 年度)」を公表した。
    
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.july/080710.pdf

事業者又は事業者団体がこれから行おうとする具体的な行為に係る独占禁止法上の問題の有無等について相談を受け付けており、併せて独占禁止法違反行為の未然防止の観点から、寄せられた相談のうち他の事業者等にも参考になると思われる事案について、その概要を事例集にまとめ公表するもの。

その中に、「レジ袋の利用抑制のための有料化の取組」がある。

公取委は、「市、住民団体及び小売事業者が、平成19 年×月△日以降、市内の小売店舗での商品の販売に際して、レジ袋の提供を有料化するとともに、提供するレジ袋の単価を1枚5円とする内容の協定を締結することは、直ちに独占禁止法上問題となるものではない」と回答している。

その理由として、以下の通り述べている。

(1) 本件は、参加小売事業者らが共同してレジ袋の有料化及び単価を取り決めているものとして検討する必要がある。
   
(2) 本件取決めの対象となっている事業活動は、参加小売事業者各社が、レジ袋を1枚5円で提供するというものであるが、レジ袋は、一般的に、その購入を目的として顧客が来店するものではないといえ、小売事業者の事業活動という観点からすれば、レジ袋の提供は商品提供というよりも副次的なサービスの一つと捉えられる。
よって、参加小売事業者間の競争が行われている場は、レジ袋の取引ではなく、当該小売事業者が販売する商品全体の取引と捉えられる。
   
(3) A市においては、ほとんどすべての小売事業者が本件取組に参加することになるため、レジ袋が必要な顧客にとっては、レジ袋を無償提供又は安値で提供する小売事業者を選択する余地がほとんどなくなることになる。
  しかし、
  ア. 本件取決めによって、小売事業者間での商品の販売についての競争は制限されないこと
  イ. レジ袋は、顧客にとって小売店舗での商品購入に当たり必要不可欠なものとはいえず、また、顧客はその購入を目的として来店するものではないこと
  ウ. レジ袋の利用抑制の必要性について社会的理解が進展しており、正当な目的に基づく取組であるといえること
  エ. 本件取決め内容は、
(ア) レジ袋の利用の抑制という目的達成のための手段として、以前から行われてきたポイント制等の手段ではその効果に限界がみられる一方、レジ袋の有料化は、ポイント制等に比べて効果が高いと認められること
(イ) 単価を取り決めなければ、レジ袋の利用の抑制という目的を達成できないような安価な提供に陥る可能性があること
(ウ) 取り決められる単価の水準として、単価5円は、目的達成のために顧客が受忍すべき範囲を超えるものとは考えられないことから、目的に照らして合理的に必要とされる範囲内であること
   
から、直ちに独占禁止法上問題となるものではない。
   

ーーー

「相談事例集」には次のようなものが記載されている。

競合する建築資材メーカー同士が、運送コスト削減のため、遠隔地販売先向け製品について、毎月一定量を相互にOEM供給を行うことについて。

   ーーー 直ちに独占禁止法上問題となるものではないと回答

  
原油価格及び穀物価格の高騰に伴う原材料費等の値上がりを受けて、製造コストが大幅に上昇し、業界が困窮していることから、事業者団体が会員事業者の取引先事業者に対して、業界の窮状を訴える文書を発出することについて。

   ーーー 直ちに独占禁止法上問題となるものではないと回答

但し、文面上特段の問題がない場合であっても、本件文書の作成等を契機として、価格の引上げ等について、会員事業者間で共通の意思が形成されるなど、競争制限的な行為が行われるような場合には、独占禁止法上問題となるおそれがある。

 


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ジャパンエナジーは2日、水島製油所で実証試験を行なってきた廃プラスチック熱分解油石油製品への再生処理技術を7月から実用化段階に移行したと発表した。本処理技術の実用化は国内石油会社として初めて。

札幌プラスチックリサイクル株式会社の油化プラントで産出される廃プラ油を水島製油所に受け入れ、水素化精製装置を活用して石油製品(主にナフサ)へ再生する。
当面、実証試験段階と同量の年間1,000KL程度の廃プラ油を処理するが、将来的には処理量を拡大していく。

同社は、この技術について、容器包装プラスチック油化事業者協議会(札幌)と共同研究を行っており、2004年4月から水島製油所の商業装置による実証化運転をしていた。

わが国で排出される廃プラスチックは年間約1,000万トン(2006年)あり、そのうち約1万トンが油化プラントで処理され、年間約 5,000KLの廃プラ油が生産されている。

ーーー

札幌市では、地域内でのゼロ・エミッションをめざした資源循環型社会の構築や環境産業の誘致による経済活性化などを図るため、「エコタウン札幌計画」を策定し、1998年9月に通商産業省及び厚生省の承認を受けた。

その一つが札幌プラスチックリサイクル株式会社のプラスチック油化施設で、高度な脱塩素処理を行う大型油化プラント3基などを稼動させ、市内で分別収集されたプラスチックをプラスチック選別センターから受け入れて油化処理を行なっている。A重油相当品のみ市内の熱供給事業者などへ販売している。

事業主体 札幌プラスチックリサイクル株式会社
資本金 3億円
(東芝グループ80%、三井物産15%、札幌市5%)
会社設立 平成10年10月27日
処理能力 14,800t/年
再商品化量 11,050kl/年(炭化水素油)
建設費 5,182百万円
補助金 国庫補助 2,547百万円、札幌市補助 26百万円



このほか、札幌では分別収集されたペットボトルを市内はもとより道内各地から受け入れ、フレーク化からシートの製品化までを一貫して行っている。


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双日は8日、高機能樹脂や合成ゴムの原料として需要が拡大しているDCPD(ジシクロペンタジエン)を製造するアメリカのCymetech, LLCを買収し、完全子会社化したと発表した。Cymetech Corporationに社名変更する。

Cymetechは、独自の技術でCalvert City (KY)でDCPDを製造しており、25,000トンの生産能力を持つ。

DCPDは、液晶フィルム、光学レンズの原料の環状オレフィン・コポリマーや、EPDM の原料として需要が拡大している。

EPDMの第3成分はDCPDのほかに、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4-ヘキサジエン(1,4-HD)などがある。

また、DCPDは、双日の子会社のMetton America が製造・販売しているメトン樹脂(DCPD-RIM成形法用配合液)の原料であり、両社のシナジーが期待できる。

双日は、米国、欧州に加えて、経済成長が著しいアジアでの化学品事業の拡大を図っていくとしている。

ーーー

RIM(Reaction-Injection-Molding) は反応射出成型方式で、DCPD-RIM成形法の特長は、極めて短時間で大型形状の成型物や複雑形状の成型物が経済的なコストで得られることにあり、主要用途は以下の通り。
 ・建機、農機、大型トラックなどのボディーパーツ
 ・合併浄化槽筐体
 ・ユニットバス周りのプラスチックパーツ
 ・量水器ボックス、パイプ継ぎ手などの土木資材

米国にはDCPD-RIM成形法用配合液のメーカーが2社あった。

1社は Hercules Metton で、現在は上記の通り、双日の子会社Metton America である。
他の
1社はBFGoodrich が開発したTelene で、Cymetech LLC が製造していたが、日本ゼオンと帝人化成のJVRIMTEC(株)が事業を買収し、全額出資のフランス子会社 Telene SAS となっている。

また、Metton America が双日の連結子会社となったのは、RIMTEC設立に際してEUから条件を付けられ、帝人が手放したためで、これらの事業の間には複雑な関係がある。

ーーー

Cymetech

20004月、BFGoodrich Performance Materials 部門と、ポリウレタンメーカーの Advanced Polymer Technologiesが合弁会社Cymetech を設立し、DCPDTelene の製造を開始した。
2001
2月、BFGoodrich Performance Materials 部門を投資家に売却、同部門はPMD Group Inc.となったが、同年7月に Noveon Inc と改称した。コーティング材料、ポリウレタン材料等を製造・販売した。

2002年、Noveon 所有のCymetech 株を投資会社Sterling JA, LLC が買収した。
但し、
Telene 事業はNoveon が引き取り、Cymetech DCPD製造会社となった。
Noveon Telene の自社製造を止め、日本ゼオンからのOEM供給品に切り替えた。)

2004年、Lubrizol が低成長の潤滑油添加物事業の多角化のため、18.4億ドルでNoveon を買収した。

ーーー

Metton America

Hercules, Inc. Metton 事業を1995 に帝人、丸善石油化学、ニチメン(現双日)の3社が買収し、Metton America を設立した。

3社で投資会社
MTN Chemicals (帝人化成 60%)を設立してMetton America 60%を出資。
日本では帝人化成が
100%子会社・帝人メトンを設立した。(帝人メトンもMetton America 25%を出資した)

ーーー

日本ゼオン:

日本ゼオンはGPI法(イソプレン抽出技術)を開発、ジシクロペンタジエンを主原料としてRIM(反応射出成形)方式によって得られる大形成形品「PENTAM(R)」を販売した。

ーーー

RIMTEC

20038月、日本ゼオンと帝人化成はDCPD-RIM配合液および各種RIM成型品の製造、販売のため、合弁会社 RIMTEC(ゼオン 60%、帝人化成 40%)を設立した。

両社はDCPDを主原料とし、RIM方式により成型される新規の熱硬化性樹脂として日本ゼオンはPENTAMを、帝人メトンはMETTONを販売していたが、両事業を統合することとした。

Metton America

EUはこの合併に関して、欧州市場でのDCPD-RIM成形法用配合液の販売で懸念を示した(帝人:Metton America とゼオン)。その結果、帝人がMetton America の直接・間接出資を処分することを提示、20038月、合併が承認された。

20039月、ニチメンは帝人化成のMetton America への直接・間接出資分を買取り、85.11%を取得して傘下に収めた。

200511月、RIMTEC Lubrizol との間で、Noveon DCPD-RIM成形法用配合液(Telene)事業の買収について基本契約を締結した。
買収にあたり、
RIMTECの全額出資の子会社Telene SASをフランスに設立し、新会社がNoveon より従業員、研究開発設備などを含む全てのTelene事業を引き継ぐ。

Noveon DCPD-RIM成形法用配合液(Telene)をRIMTEC社からのOEM供給品に切り替えており、両社は良好な協力関係を構築してきた。
RIMTEC
の販売拡大の速度を上げる為に直接EU市場を開拓したいという意向と、Noveonの親会社Lubrizol のコア事業集中方針とが合致し、Telene事業買収の合意に至った。

ーーー

当初の各社の現状は以下の通りとなる。

DCPD DCPD-RIM成形法用
配合液
現所有者
  Metton America
(帝人→双日)
双日
Cymetech
(→双日)
CymetechTelene
(→
NoveonRIMTEC
RIMTEC
(ゼオン/帝人)

当初、DCPDと配合液の一貫メーカーであったCymetech は、BFGoodrich の離脱でTelene との縁が切れたが、今回、双日の下で、別系列のMetton DCPDを供給することとなる。


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東ソーや旭硝子など国内苛性ソーダメーカーはオーストラリア向け本年下期(7-12月)積み輸出価格を1トン495ドル(本船渡し)に引き上げた。Rio Tinto の100%子会社Comalco などとの交渉で決めた

本年1-6月の価格はアルミナ精錬向けの需要が堅調で、需給が締まり、過去最高の300ドルとなったが、下期はこれより更に 65%も高い。(昨年までの最高は1991年下半期と1992年上半期の295ドル)

付記

メーカー各社はこれを材料に国内価格の値上げを行った。
需要家が一斉に反発したが、需給逼迫を受け、11月にはほぼ決着した。
ローリー輸送で中心値66,500円/トンと、85年9月(67,000円)以来の高値となった。
但し、世界経済の減速で、来年には需給緩和で反落の可能性がある。

付記

2009年上期分は交渉が難航。
日本側は2008年11月に670ドルを提示、豪州勢は反発して購入希望価格も提示せず。
その後、アジアスポット市場が急落、中東や台湾メーカーが390ドルで決着。
2009年2月に入り、豪州側が390ドルの希望価格を提示、妥結に動き出した。

日本からの輸出はその70%が豪州向けである。豪州には多くのアルミナ工場があり、主にアルミナ製造用に使用される。

ボーキサイトを苛性ソーダで溶融し、水酸化アルミニウムとし、更にこれを焼成してアルミナを製造する。
アルミナの電解でアルミニウムができる。

各社のアルミナ工場は 2007/7/17 Rio Tinto、Alcanを買収 アルミ生産で世界最大に の末尾参照

注) 輸出内訳は財務省貿易統計で、合計数量は下記のソーダ工業会の数値とでは差がある。

日本では塩ビが好調で、塩素主体で電解設備を稼動させるため、苛性ソーダが常に余剰となり、輸出でバランスをとっている。

輸出実績  (97%換算 千トン) ソーダ工業会統計
内輸計 うち輸出 輸出比率
2003年度 4,357 656  15.1%
  04年度 4,549 754  16.6%
  05年度 4,521 730  16.2%
  06年度 4,434 642  14.5%

一時は米国品との競合で価格が下がり、FOBでゼロという時代もあった。
しかし、米国のソーダプラントが燃料の天然ガス高騰による採算悪化を理由に相次ぎ閉鎖され、輸出国だった米国が輸入国に転じたこと、中国でも経済成長を背景に苛性ソーダの需要が増えたこと、豪州でアルミナ生産の拡大により苛性ソーダ需要が急増したことなどから、上昇に転じた。

今回の値上げは大幅で、メーカーはこれを材料に国内価格の値上げを図る。
最近の塩ビの損益悪化で悩む各社にとっては好材料である。

しかし、アルミメーカーは資源価格高騰のなかで、この苛性ソーダ価格値上がりをアルミの価格に転嫁するのは目に見えており、日本に跳ね返る。


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米国 Pfizer の研究開発グループの一翼を担ってきた愛知県の中央研究所は7月1日、ラクオリア創薬株式会社(RaQualia Pharma Inc.)として事業を開始した。

資本金は1000万円で、出資予定者は
・エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ
 (大和証券Groupのエヌ・アイ・エフベンチャーズと三井住友フィナンシャルGroupのSMBCキャピタルが合併)
Coller Capital(1990 年に設立された英国のプライベートエクイティの投資会社)
・その他投資会社7社
・ファイザー株式会社

出資額は111億円で、エヌ・アイ・エフが38億円を負担、32%の株式を持つ筆頭株主になり、ファイザーも22億円を出資し、19%の株式を保有する第三位株主として協力していく。
ファイザーでは「ラクオリアが研究を継承する一部の新薬候補品は、ファイザーが優先的にその後の開発や販売の権利を取得できる」としている。

ーーー

米国 Pfizer は2007年1月、今後取り組むべき優先事項を発表した。

 業績向上、将来の成功に向けたあるべき姿、そして株主利益の増大を目指して
  ・ 既存製品からの収益の最大化
  ・ 社内パイプラインと社外からの導入品を活用し、中・長期の成長の機会に投資
  ・ より低く柔軟なコスト基盤の実現
  ・ より小規模、集中的で事業責任のある組織の確立
  ・ Make Pfizer a great place to work

「より低く柔軟なコスト基盤の実現」のため、2008年末までに全世界の従業員の1割にあたる1万人を削減することとした。
(米国での営業組織の20%、ヨーロッパの営業組織の20%強、日本においては、医薬品事業の人員の15~20%の削減)
製造拠点を2003年時点の半分に相当する48カ所に絞り込むほか、研究開発では米国の3箇所を閉鎖し、名古屋工場にある中央研究所(愛知県武豊町)とフランスのAmboiseの研究所の閉鎖を検討するとした。

ーーー

これを受けて中央研究所の長久厚所長が中心となり研究者らが従業員による企業買収(EBO)を提案、米本社も閉鎖に伴う混乱や雇用不安を避けるためにも同研究所の独立を認めた。
当初は本年4月にスタートする計画であったが、世界的な株安などを背景に投資家集めが難航していた。

今回と似たケースに、先般、三井物産の米国のベンチャー投資会社 と米国投資会社 Boehringer Ingelheim に売却することとした Actimis Pharmaceuticals がある。
Actimis Pharmaceuticals, Inc. の元はバイエル薬品中央研究所の喘息領域部門で、バイエル薬品中央研究所の閉鎖に伴い、喘息領域主席研究員が中心にスピンオフしたものである。

    2008/6/24 三井物産ほか、バイオベンチャーをBoehringer Ingelheim に売却 

このほか、日本のEBOでは、旭電化(現ADEKA)が2000年6月、化学品の包装等加工事業の一部を製造ラインに携わる従業員に売却した。
グループ企業の再編を柱とする経営構造改革の一環で、退職金等を原資に従業員の出資による地域密着型の専門会社を鹿島・富士・三重・明石の4工場に設け、これに社員と加工業務を移管したもので、旭電化は一切出資していない。

ーーー

新会社は、自ら新薬の化合物を開発する創薬ベンチャー企業で、グローバル研究開発型ライフサイエンス企業を目指す。

従業員は70人で、既存の研究施設や最先端研究機器を活用する。(中央研究所の研究者は約380人であった)

当初3年間は、探索研究と前臨床開発研究を中心にプロジェクトを推進し、4~5年目にはPOC(臨床効果の検証)までの臨床試験を実施できる組織へと事業の拡大を図る。

まず、「疼痛疾患」と「消化管疾患」の領域において6つの創薬研究プログラムを推進し、2008年度から継続して臨床開発候補品を創出し、開発ステージに進めていく。
また、世界中の製薬企業、大学、公的研究機関やベンチャー企業と積極的に提携・共同研究を進めていく。

長久社長は、「毎年2つの新薬候補品を生み出し、2010年12月期に売上高41億円を目指す」としており、2010年後半から2011年前半をメドに株式公開をしたいとしている。


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2008年5月30日、BHP Billiton European Commission に対し Rio Tinto 買収の事前届出を行なった。

BHP Billiton 2007年11月、Rio Tinto に対して、Rio Tinto の株式1株に対してBHP株3株を与えるという案で、買収提案を行った。
これに対し、
Rio Tinto は買収価額が著しく安すぎるとし、拒否した。

BHP Billiton 本年2月6日、当初の案を修正し、BHP株3.4株で再提案を行なった。

    2008/6/6  BHP BillitonEC Rio Tinto 買収の事前届出

BHPRio Tinto買収には欧州、米国、豪州、カナダ、南アの独禁法当局の承認が必要である。

BHPでは、自発的に日本、中国、その他アジア諸国にも承認を申請するとしている。

日本は鉄鋼原料等の輸入で本買収で大きな影響を受けるが、両社の資産が日本にほとんどないことから、現在の独禁法では規制が行なえない。
仮に公取委が資産の売却等を命じたとしても、これを無視されても何らペナルティを与えられない。単に面子を潰すだけとなる。

ロイターの記事で、元公取委事務総長で英国の法律事務所Freshfields Bruckhaus Deringer の東京オフィスのシニアコンサルタントの上杉秋則弁護士は、「日本の法律は外国と比べ余りにも古く、影響を受ける企業がいるのに日本の当局はコントロールする手段を持たない」と述べている。

公取委事務総長は6月4日の定例会見で、以下の通り述べた。

「引き続き、欧州委員会をはじめ、海外の競争当局と連携をとりつつ、情報収集、実態把握を行い、独占禁止法上の問題点の有無について、検討を進めていきたい。

(現行法では)株式取得については、問題がないかどうかをチェックするために、取得後30日以内の届出を義務付けているだけ。
EU等諸外国と同じように事前届出にしようという改正法案を、今、国会に提出している。」
(独禁法改正案は審議入りも出来ず国会が閉会した。事前届出でも効果は少ないと思われる)

ーーー

米国ではHart-Scott-Rodino Antitrust Improvement Act (1976) に基づく事前通知が必要で、通知の提出の後、待機期間の進行が開始し、米司法省及び連邦取引委員会(FTC)は、①調査活動を開始しない、②限定調査を開始する、ないしは③調査活動を開始する――のいずれかの対応を選択することになる。
待機期間中、当事者は、調査活動等を行っている政府機関の許可を得なければ、取引を完成させることができない。

BHP Billiton 73日、司法当局がレビューを終え(①調査活動を開始しない)、米司法省とFTC待機期間の早期終了を承認したと発表した。
「待機期間の早期終了は買収での重要な一歩だ」としている。

しかし、欧州と豪州の決定が最も重要である。

ーーー

EU74日、徹底調査を開始した。事前調査に1ヶ月かけたが、更に90日間 調査を行なう。
世界最大と世界第二位の鉱山業者の統合には多くの懸念があり、更なる調査が必要としている。

もし欧州か豪州の当局が買収の条件として Rio の事業の大きな部分の売却を求めた場合、買収は破綻する。
逆に買収を認めた場合は、
Rio の株主が提案について投票することとなる。

EU は「買収により、特に鉄鋼、石炭、ウラン、アルミ、鉱物砂の市場で、値上げや需要家側での選択余地が減るという懸念がある」としている。
鉄鋼メーカーは両社の統合が鉄鉱石の
36%のシェアを握ることに懸念している。

EUNeelie Kroes 委員競争政策担当は「最近のコモディティ価格の上昇は需要家業界と世界中の需要家に深刻な影響を与えており、更なる悪影響を与えかねない変化は有害である。EUではこの買収が欧州での競争に悪影響を与えないかどうか、十分検討する」としている。

EUの事前調査の結果は以下の通り。

両社が統合すれば鉄鉱石の供給で大きなシェアを占め、3番手と合わせると鉄鉱石の供給の大きな部分を支配する。
原料炭に関しては、BHP Billitonの支配力が強化され、競合者ははるか後方に置かれる。
   
鉄鉱石と原料炭の市場支配力の強化で、この統合が鉄鋼メーカーの価格交渉力を弱める。
更に、統合会社が投資計画を減らしたり遅らせたりして供給を減らし、価格を上げる恐れがある。
   
ウランは電力会社が原発用に購入するが、ウランの主要供給2社の統合により、供給者の選択余地を減らす懸念がある。
   
アルミと酸化チタンを含有する鉱物砂に関しても、懸念がある。

ーーー

Rio Tinto はさきに中国及び日本の鉄鋼メーカーとの間で豪州産鉄鉱石の大幅値上げで妥結したが、BHP Billiton 74日、宝鋼集団との間で豪州産鉄鉱石について Rio Tinto と同じ水準で決着した。

    2008/4/8 鉄鋼原料価格 急騰  


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EU の欧州委員会は6月30日、企業の価格カルテルに絡んで新たに「示談制度 (settlement procedure)」の導入を決めたと発表した。
昨年10月に提案し、各方面からの意見を求めていた。

捜査の終了段階で欧州委は対象企業にカルテルの証拠を示す。
企業がカルテルへの参加を認め、責任を認めた場合、制裁金の10%を減額する。

法的手続きの簡素化・迅速化や訴訟の負担軽減が目的で、米国の “plea bargaining system” とは異なり、証拠の利用や罰則に関して交渉も取引もせず、協力した企業に決まった見返りを与えるだけである。

また、情報提供などで協力的な企業に制裁金の免除や減額を認めるLeniency 制度とは別。
Leniency による減額と示談での減額は重複して受けられる。

 

EUはカルテルに対して巨額制裁金を課しており、この結果、欧州司法裁判所に提訴するケースが相次いでいる。

日本企業については以下の通り。(詳細 2008/2/12 欧州カルテル制裁金への対応     

対象分野 主な対象企業 制裁金
(百万ユーロ)
日本企業対応
送電設備 三菱電機、東芝、日立製作所、独・シーメンス   751 提訴
エレベーター 三菱電機、米・オーチス   992 受諾(少額)
ファスナー YKKグループ、独・プリム   329 提訴
業務用ビデオテープ ソニー、富士フィルム、日立マクセル    75 受諾(少額)
建築用板ガラス 旭硝子、日本板硝子、仏・サンゴバン   487 受諾(裁判費用などを考慮)
クロロプレンゴム ENIDuPont Dow Elastomers電気化学、東ソー    243 電化提訴、東ソー受諾(少額)
NBR  (2008/1) Bayer日本ゼオン    34 受諾(少額)

示談制度により法的手続きの簡素化や訴訟案件の減少を狙う。

欧州委のNeelie Kroes 委員競争政策担当は、「示談制度によりカルテル事件を迅速に処理し、新たな案件の調査が出来る。企業側も早く決着でき、制裁金も減るというメリットがある」としている。

ーーー

これに対して、10%の減額では少なすぎるとの意見が多い。10%では企業側は司法裁判所に提訴する権利を放棄しないだろうと見られている。
これでやってみて効果がなければ、減額率を見直すのではないかとのコメントもある。

これまでは提訴すれば必ず制裁金が減額されていた。大幅な減額の例もあり、10%程度の減額で権利を放棄するかどうかは疑問である。
但し、昨年12月に(手続上の問題で)初めて増額例が出た。今後は必ずしも減額されるとは限らない。

2007/12/14 欧州第一審裁判所がカルテルの制裁金を増額 

英国では独自の示談制度があり、いろいろな段階での示談が行なわれるが、最近では乳製品関連で early resolution agreements”が行なわれた。
英国では2530%の減額が行なわれる。

このほか、オランダとフランスに示談制度がある。


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三菱商事と三井物産は6月30日、西豪州LNG事業に関し移転価格税制に基づく更正通知を東京国税局より受領したと発表した。

両社は2005年に、2000年3月期から2005年3月期の6事業年度について東京国税局から移転価格税制に係る調査を受け、2006年6月に除斥期限(時効)が到来する2000年3月期の更正通知を受けた。

両社は東京国税局に対して異議申立を行なうと共に、日豪租税条約に基づき相互協議の申立を行なった。

日豪両当局は二重課税の排除を目指し、2006年9月から二国間協議を継続しているが、現時点では合意に達っしていない。
このため、両社は昨年6月に2001年3月期分、今回2002年3月期分の更正通知を受けた。残る3年度分も順次通知を受けることとなる。

通知を受けた所得増差額と追徴税額(法人税、事業税及び住民税:本税及び付帯税を含む)は以下の通り。

  三井物産 三菱商事
所得 追徴税 所得 追徴税
2008/6(2002/3月期) 100億円  47億円 116億円  48億円
2007/6(2001/3月期)  82億円  39億円  89億円  36億円
2006/6(2000/3月期)  49億円  25億円  不明  22億円

なお、三菱商事は2006年3月期決算に6事業年度分として法人税等234億円を見積もり計上している。

問題になっているのは、両社が共同出資したオーストラリアの合弁会社に対する情報提供や経営指導などに関する取引。

三菱商事と三井物産は、西豪州沖合のNorth West Shelf のLNGプロジェクトにおける6分の1の権益保有者で、1985年に各々50%の出資により豪州法人 Japan Australia LNG (MIMI) Pty. Ltd.を設立した。

MIMIはほか5社のパートナー、豪BHP Billiton Petroleum、豪BP Developments Australia、豪ChevronTexaco Australia、豪Shell Development、豪Woodside Energyと共に天然ガス・コンデンセート・原油・LPGの開発、生産、輸送、販売に参画している。

North West Shelf プロジェクトは1970年代初頭に西豪州北西部沖合い約130kmにある鉱区で発見された天然ガスの開発案件。LNGの他、原油・コンデンセート・LPG等を生産・販売する豪州最大の総合エネルギープロジェクト。
参画比率は各社1/6(16.67%)。
1984年にコンデンセート販売を開始、1989年からは日本の電力・ガス会社向けにLNG供給を開始、1989年にはWanaea油田、Cossack油田が発見され同油田からの原油及びLPG生産が1995年から開始された。

2004年8月に完工した第四液化系列と併せ、LNG生産能力は年間1,170万トンとなったが、需要旺盛なアジア市場への供給に向け、2008年央の立上げを目指し、約1,600億円を投じて年間420万トンの生産規模を有す第五系列を建設している。
第五系列により生産能力は約4割増の計年間約1,590万トンとなる。

MIMIは日本の買主10社へのLNG販売(年間約1,100万トンを柱とする一方、豪州国内向けに天然ガスを、また国際市場にコンデンセート、原油、ならびにLPGを販売している。

販売損益そのものは豪州に帰属し、日本には(配当送金があるまでは)課税権がないため、情報提供や経営指導料を査定して課税するものと思われる。

参考

    2006/6/29 武田薬品、移転価格税制に基づく更正 

     2008/2/7 信越化学の移転価格課税

     2008/5/1 ホンダの中国四輪車事業の移転価格税制問題


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シャープのTVコマーシャルで吉永小百合の「救うのは太陽だと思う」が放映されている。

電気を消費するものを作るメーカーの責任として
いつか電気そのものをつくり出す存在になりたい。
半世紀前からの夢でした。

2010年堺コンビナートが稼動。

シャープは、世界のソーラー・カンパニーへ。

救うのは太陽だと思う。
 

シャープ創業者早川徳次は1970年の「私の考え方」で、次のように述べている。

将来の最大の課題は太陽の熱や光を蓄積保存することではないかと私は思っている。生物はみんな太陽の恩恵をうけているが、電気は発電所からわざわざ引いてきている。頭の上に立派な熱や光があるのだから、これを利用することを考えねばウソだ。それが太陽電池なのである。(中略)
風は貯めておけないけれども、熱や光は貯めることができる。熱や光を電気にかえて蓄電池に簡単に安価に貯めるような方法を考えればいい。例えば各個人の屋根に装置を備えれば、電気の自給が出来るし、自動車の屋根にそれをはりつけて利用すればガソリンも不用で排気ガスの心配もない。

無限にある太陽熱や太陽光線で電気をおこすことを工夫すれば、人類にどれだけ寄与するかははかり知れないものがある。

シャープは半世紀前の1959年、太陽電池の開発に着手した。

シャープは2007年12月1日、大阪府堺市の「21世紀型コンビナート」の起工式を行なった。最先端の液晶パネル工場と、薄膜太陽電池を量産する太陽電池工場を併設する。

    2007/12/5  シャープの「21世紀型コンビナート」

ーーー

シャープ、関西電力、堺市は6月23日、「堺市臨海部におけるメガソーラー発電計画」を共同で推進することに合意したと発表した。

本計画では、産業廃棄物埋立処分場とシャープの堺コンビナートの2箇所のメガソーラー発電を予定している。
いずれも、シャープが平成22年3月までに稼動を予定している太陽電池新工場で生産する薄膜シリコン太陽電池モジュールを採用する予定。 

シャープは、液晶パネル・テレビを一貫生産する亀山工場において、既に合計約5MW(約0.5万kW)の太陽光発電システムを導入しており、今回、それを上回る規模のシステムをコンビナートに設置することにより、亀山工場を超える環境先進型工場をめざす。

  堺第7-3区太陽光発電所 堺コンビナート太陽光発電施設
事業者 関西電力 シャープおよび関西電力グループ
場 所 堺第7-3区産業廃棄物埋立処分場
(大阪府から借用)
堺区築港八幡町
シャープ堺コンビナート
面 積 約20ha  
発電出力 約10MW(約1.0万kW) 最大 約18MW(約1.8万kW)
当初 約9MW(約0.9万kW)
発電電力量 約1,100万kWh/年 約1,800万kWh/年
設置形態 陸上設置 コンビナートの各工場の屋根上等設置
自家消費電力として使用
総事業費 約50億円 未定
着工予定 平成21年度 平成22年3月までに
運転開始予定 平成23年度 平成23年3月までに

合計出力 約28MW(約2.8万kW) で世界最大級の太陽光発電規模となる。
本計画によるCO2削減量は、合計で年間約1万トンになる見込み。

関電によると、現在の世界最大はスペインにある2.3万キロワットの発電所。

太陽光発電を家庭や工場向けの電源として活用するのは、国内の電力会社では初めて。

関西電力は、太陽光発電所を事業用として建設・運営することで、諸課題を検証し、太陽光発電の推進に役立てていくとともに、得られた知見は広く公表していきたいとしている。


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本年6月初めに、PetroChina 子会社の蘭州化学が甘粛省蘭州でアクリル酸とアクリレートの商業生産を開始した。
165
百万ドルを投じたもので、能力はアクリル酸が80千トン、アクリレート(メチル、エチル、ブチル)が115千トンとなっている。
PetroChina
が開発し権利を持つ、プロピレンの2段階酸化によるアクリル酸製造技術、連続エステル化によるアクリレート製造技術を使用している。

蘭州化学は年産1,050万トンの製油所と70万トンのエチレンコンプレックスを運営している。

ーーー

中国のアクリル酸(AA)及びアクリレート(AE)のメーカーと能力は以下の通り。(単位:千トン)
メーカー 立地 AA AE
BASF-YPC Co Ltd 南京   160   215
Sinopec Beijing Eastern Petrochemical 北京    80    95
Formosa Plastics Industrial Co (Ningbo) 浙江省寧波   160   230
Jiangsu Jurong Chemical Co Ltd (SunVic) 江蘇省塩城   205   250
JiLian (JiLin) Petrochemicals Ltd (JLPL) 吉林省吉林    35    30
Shanghai Huayi Acrylic Acid Co Ltd 上海   126   150
Shenyang Paraffin Wax Chemical Co Ltd 遼寧省瀋陽    80   130
Zhenghe Chemical 山東省    40    60
PetroChina Lanzhou Petrochemical Corp 甘粛省蘭州    80   115
Shandong Kaitai Industrial Co 山東省 シ博    30   --
Total     996  1,275
   藍星グループ子会社のShenyang Paraffin Wax Chemicalは三菱化学の技術を導入したもの

最大のメーカーは SunVic Chemical Holdings Jiangsu Jurong Chemical で、AA 205千トン、AE 250千トンの能力を持つ。

2003年に創業者で会長のSun Liping農薬原料のPMIDA N-(phosphonmethy) liminodiacetic Acidとシクロヘキサンの製造のため、Xiangshui Yinyan Chemical を設立した。

2004年に持株会社SunVic Chemical Holdings をシンガポールに設立(2007年2月に上場)するとともに、Jiangsu Jurong Chemical を設立して、Xiangshui Yinyan事業を引き継いだ。

2005年にAAの第1期 40千トン、アクリレート(ブチル)60千トンが生産を開始。
2006年にAA第2期が完成し130千トン能力とし、アクリレート(メチル 40千トン、2EHA 40千トン)が生産を開始した。
2006年に第3期前半が完成し能力を150千トンとし、2007年末に後半が完成し、合計能力205千トンとした。

中国に200以上の需要家を持つとともに、アジア、欧州、北米、中南米に輸出している。

同社はこのほか、PMIDA とシクロヘキサンを生産している。

 

同社は従来、原料のプロピレンを中国や韓国のメーカーから購入していたが、原料遡及を目指し、このたび江蘇省塩城でプロピレン工場の建設を開始した。能力は年産23万トンで、2009年末の完成を目指す。
重油の流動接触分解によるもので、プロピレンのほか、ガスオイル、ガソリン、LPGを生産するが、プロピレン以外は外販する。

このほか、原料、製品の輸送のため桟橋と貯蔵設備を建設している。

同社では将来川下の誘導品に展開する計画で、高吸水性樹脂(SAP)、接着剤、紫外線カット塗料、ブタジェンスチレンラテックス、ポリアクリル酸ナトリウム塩などを検討している。

  同社のCorporate Video   http://sunvic.listedcompany.com/webcast.html

 

 


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