2018年4月アーカイブ


Supreme Court of the State of New YorkのBarry Ostrager判事は4月27日、 富士フィルムによるXerox買収に反対する株主のDarwin Deason の主張を認め、Xeroxに対して買収手続きの一時停止を命じる仮処分を出した。

株主に不利益が生じるのを防ぐため、企業側の買収手続きを暫定的に差し止めるもので、Xeroxは株主が満足する買収条件に変更するか、30日以内に上訴して命令取り消しを勝ち取る必要がある。


判事はまた、Xeroxが取締役候補の指名を制限するのを止めさせることを求めた要望を承認した。株主は6月と想定される次の株主総会で取締役候補を指名することができる。

判決文 https://www.documentcloud.org/documents/4449147-650766-2018-in-Re-Xerox-Corporatio-v-in-Re-Xerox.html#text/p1


Xeroxは、「取締役会は今回の案が会社にとって、また全ての株主にとってベストと考えており、ただちに控訴する」と述べた。

富士フィルムは、「意外な判決に驚いている。精査して、上訴を含め適切な手段をとっていく」と述べ、裁判所の説明(XeroxのCEOとの共謀説)に対し、「ゼロックスとの間で独立性を保ちながら協議してきた」と説明した。

同社はゼロックスからの申し入れに応じて買収条件などを再交渉中だが、買収価格の積み増しなど一定の譲歩を迫られる可能性がある。

原告のDeasonは、「裁判所が株主を守ってくれたのを感謝する。Xeroxの価値を高めるため、更に努力する」と述べた。

ーーー

経緯は次の通り。

富士フィルムHDは1月31日、米国Xerox Corporationとの間で以下の点で合意したと発表した。

 ①富士フィルムHDがXerox Corporatの50.1%を取得、Xeroxは社名をFuji Xeroxに変更、NYSEの上場を維持
 ②富士フィルムHDの子会社の富士ゼロックスとXerox Corporationの経営統合

2018/2/1 富士フィルム、米国Xerox Corporationを買収

株主でCarl Icahn と提携するDarwin Deasonは2月13日、富士フィルムによるゼロックス買収は不正だとして、差し止めを求める訴えをニューヨーク州の裁判所に起こした。

ゼロックスと富士フィルムが、株主にとって重要な契約の存在を17年間隠して おり、これは不正行為であり、取締役は受託者としての義務に違反しているとし、この取引を中止し、既存のJV契約を終了することを求めた。

2018/2/15  富士フイルムによる買収、ゼロックス大株主が差し止め提訴  

Darwin Deason は3月2日、Xeroxを相手取り、新たな取締役を推薦する権利を求める訴訟を起こした。

Darwin Deasonは今春の株主総会で全取締役の候補を推挙する権利を求めたが、会社側は候補の推挙の期限の2017年12月11日が既に過ぎているとして、これを拒否した。これを不服とし、会社は期限が過ぎた後に株主にとって重要な一連の決定をしたとして、推挙期限を延ばすことを求め訴訟を起こした。

2018/3/5 米ゼロックス、大株主が再び提訴 

Darwin Deasonは4月13日に改定訴状を提出した。

XeroxのCEOが、富士フィルムとの交渉を勝手に行い、株主の利益を犠牲にして自身の地位を守る合意を取り交わしたと非難している。

2018/4/23 Xeroxを巡る戦い 激化、委任状争奪戦に発展か?  

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判事は、下記のとおり事態を説明したうえで、原告のDarwin Deasonの主張を全て認めた。

既存のXeroxと富士とのJV契約にはいろいろの規定があるが、他の買い手がXerox株主に現金を支払うという他のディールは困難ではあるが、必ずしも不可能ではない。

Xerox株の30%以上を富士の競争相手に売却する場合は、Xeroxに不利になるような規定があるが、これは2018年1月31日に初めて株主に開示された。

富士ゼロックスの経理スキャンダルにからむ問題は、Xerox取締役会が買収を承認した時点では解決しておらず、両社間で買収条件の更なる交渉が行われる可能性がある。
JVの準拠法である日本の法律で、Xeroxがこれを理由にJV解散を要求できるかどうかには議論があるところである。

問題の根幹はXeroxのJacobson CEO の行動である。Jacobsonは2017年11月10日に、取締役会が彼の後任となる新CEOを積極的に探しているということが伝わると、この取引で自身を不可欠な存在にするため富士フィルムと協力した十分な証拠がある。

原告は、Jacobsonが、提案された取引を承認する取締役として受託者の職務を破り、富士がそのような違反を助長したと主張するが、原告の説明はこの主張が通る可能性を示している。

両社間では長期にわたり両社の関係をどうするかについて議論があったが、2017年の初めにXeroxの全株を富士が買収する交渉が始まった。
2017年3月にJacobsonは訪日し、富士からこの提案を受け、取締役会に諮り、富士に対し、ある程度のプレミアムのついた価格で、かつ全額現金払いである場合のみ、交渉に応じると返事した。

2017年5月にJacobsonはCarl Icahnと会談したが、IcahnはJacobsonはCEOとして適当でなく、Xerox株を売却したいと述べた。(2017年11月、Icahn は取締役会と争う姿勢を示したが、休戦し、Icahn指名の取締役を追加した。)   

2017年5月、富士は富士ゼロックスの経理スキャンダルが終了するまで議論ができないと通知してきた。
その後、Jacobsonは投資銀行と協議し、富士が現金無しで買収する案を作成した。

Jacobsonはこれについて、Keegan 会長の承認を得たと述べているが、取締役会は聞かされていない。

2017年6月にJacobsonはこの案を富士に提案した。これにより当初の全額現金払案は消えた。Jacobsonは7月に初めて取締役会にこれを報告した。

Icahnは7月にこの案を知り、Keegan会長に反対を伝えた。またJacobsonの後任を探す委員会の設置を求めた。KeeganはJacobsonに対し、富士がIcahnのXerox 持分を買収するよう提案してはどうかと伝えた。

2017年夏に、Jacbsonは富士との交渉を続けたが、取締役会は彼のCEOとしての働きに疑念を持ち、将来のXeroxを率いるには適していないと判断した。Cheryl Krongard取締役は、これが満場一致の判断であったと証言している。取締役会は後任候補を探す委員会を設立した。10月と11月に複数の候補と面談した。そのなかで、IBMとHPの元取締役のGiovanni Visentin がよいと判断し、条件を交渉し、2017年12月11日を就任日とした。

Jacobsonは11月10日までこれを知らなかったと証言した。(多くの人が動きを知っているため、これには疑念がある。)
11月10日にKeegan会長はJacobsonにこれを伝え、富士との交渉をやめるよう指示した。

富士はJacobsonの現金無しでの買収案に傾き、Keegan会長にJacobsonとの交渉継続をもとめ、Keeganは取締役会に伝えずに、これを許した。

11月21日の東京会談で、Jacobsonは古森会長に事情を説明、条件概要書(Term sheet )を提出するよう依頼した。

富士は11月30日に正式買収提案を送った。全額現金払ではなく、富士ゼロックス株を通じて Xeroxの50.1%を取得するものである。

2018年1月24日のKeeganと古森の電話会談以前には、Xerox取締役の誰も富士との交渉に参加せず、Jacobsonだけが交渉した。

裁判所にとって、少なくとも2017年11月10日時点で、JacobsonがXeroxを代表して富士との交渉を行ったのは相反する立場にあると思われる。また、Jacobsonが富士に対し、彼自身の状況を説明し、富士に彼の地位保全のため助力を求めたと思われる。(そうではないということは counter-intuitiveであり、not credible である。)

取締役会の指示に反して、Keegan会長がJacobsonに交渉を続けさせたのも、受託者義務違反(breach of fiduciary) である。

2017年12月4日に取締役会にこの案が説明された。

Cheryl Krongard取締役はKeegan会長に対し、富士との交渉をやめるようとの取締役会の指示に反し、Jacobsonが交渉を続けたのに懸念を示した。
会長宛レターで、Jacobsonを「ならず者経営者"rogue executive"」と呼んでいる。

付記

5月14日付日経によると、裁判でのDiscoveryで富士フィルムとXeroxのメールが開示され、富士フィルムに不利に働いたという。

富士→Jacobson 「我々は共通の敵と戦う同じチームだ」
Jacobson→富士 「友と並んで立つ」
Jacobson→富士 「我々は使命を果たし勝つ」
富士→Jacobson 「我々はあなたを支えるよ、ジェフ!」

  Jacobson→富士 「ミスターコモリに、よろしく。彼の助けには感謝している」
  富士→Jacobson 「キーガン会長に『ジェフがCEOでいてもらいたい』と伝えるよう、コモリにはっきり進言したよ」

裁判官は、決定理由でこうした複数のメールを引用したうえ、ジェイコブソン氏らについて「自身の地位を守ろうとして富士フイルム側と協力した」などと認定し買収の暫定差し止めを命じた。

日本銀行は4月27日の金融政策決定会合で、2017年7月に「2019年度ごろ」とした物価目標2%の達成時期を経済・物価情勢の展望(展望リポート)から削除した。

展望リポートによると、生鮮食品除く消費者物価指数(コアCPI)前年比の見通し(政策委員の中央値)は2018年度が +1.3%、(2019年10月の10%への)消費増税の影響を除く 2019年度が+1.8%にとどまった。2020年度も+1.8%(消費増税の影響を除く)だった。

黒田総裁は会合後の会見で、2%達成見通しの時期を削除した理由について、これまでの記載が「達成期限ではなく、見通しであることを明確にするため、記述の仕方を見直すこととした」と説明。市場とのコミュニケーションという点で、見通しの先送りが「政策変更につながると誤解される恐れ」があり、変更したと述べた。


黒田総裁は就任時に、「2年程度で2%の物価上昇を達成」としたが、その後、毎回、先送りしてきた。

日本のCPIの推移は下記の通り。2018年3月のコアCPIは +0.9%にとどまっている。
これもエネルギー関連のアップの影響が大きく、生鮮食品とエネルギーを除く「新コアコア」は+0.5%に過ぎない。

原油価格が今後もどんどん上がるとは思えず、現在の2018年度見通し(政策委員の中間値)+1.3% も難しいのではないか。

世界銀行は4月21日、途上国支援を強化するため130億ドルを増資すると発表した。

世界銀行は、中所得国および信用力のある低所得国の政府に貸出を行う国際復興開発銀行(IBRD)と、最貧国の政府に無利子の融資や贈与を行う国際開発協会 (IDA) で構成されている。

このほかに、民間セクター支援を行う国際金融公社 (IFC) 、途上国に対する外国直接投資を促進すべく、投資家や貸し手に政治リスク保険(保証)を提供する多数国間投資保証機関 (MIGA) 、国際投資紛争の調停と仲裁を行う場を提供する投資紛争解決国際センター (ICSID) が世界銀行の一部を構成する。

今回、国際復興開発銀行(IBRD)の75億ドル、国際金融公社 (IFC) の55億ドル、合計130億ドルの増資が承認された。日本の増資分は約11億ドルとなる。

世銀の増資は2010年以来8年ぶりである。

昨年秋に増資を計画したが、米国が、経済規模が大きな中国などにも融資が行われていることを理由に反対し、合意できなかった。

IBRDはGNI(1人当たり国民総所得)が6,895米ドル超の国を、卒業プロセスを開始する国としている。


2017年時点で、中国は8,260ドル。他に、ブラジル(8,840ドル)、チリ(13,530ドル)等々、これを超える国が多く、現在、これらの国への貸し出しは4割となっている。
世銀にとっては、返済が滞るリスクがなく、安定した運用先である。

米国にとっては、中国への融資が批判のターゲットである。

今回、途上国の中でも特に最貧国に資金を優先的に割り当て、中国を含め、卒業プロセスを開始する国への支援は、2030年までに貸し出しの3割に下げ、かつ、伝染病の拡大防止といった国境を越えて問題が広がるおそれがある場合などに限ることにした。また、融資の際の金利を上げるなど新たなルールを設けた結果、アメリカも賛成に回った。

出資比率に応じた投票権の割合は、次の通りとなる。中国はIBRDの投票権の割合は4.45%から5.71%に増え、米国と日本は若干下がる。

中国はIBRDの投票権は3位だが、IFCについては、仏、英、印、露、伊、加についで9位である。

IBRD IFC
現状 増資後 現状 増資後
米国 15.98% 15.87% 20.99% 16.39%
日本 6.89% 6.83% 6.01% 6.81%
中国 4.45% 5.71% 2.30% 2.82%

中国は2010年の増資で、IBRDの投票権が独、英、仏を上回り3位に浮上した。


http://siteresources.worldbank.org/DEVCOMMINT/Documentation/23776699/DC2018-0003_PShareholding420.pdf

世界農薬大手の住友化学、三井化学、BASF、Bayer、Syngenta の5社は4月18日、ロンドンで開催された英国連邦首脳会議でのMalaria Summit London 2018 において、2040年までにマラリアを撲滅するため、革新的な製品の研究、開発、供給を支援する共同声明を発表した。

Agriculture Industry unites to deliver a pipeline of innovative vector control tools to help eradicate malaria by 2040


5社はこれまで、蚊帳や室内スプレー剤などの革新的なマラリア媒介害虫防除策の開発を主導しており、2000年以降、マラリア罹患抑止に成功したケースのうち、おおよそ5件に4件が、長期残効型防虫蚊帳や室内残効性スプレー剤によるものであったと考えられて おり、数百万人の命を救った。

5社は「ZERO by 40」のバナーのもと、Bill & Melinda Gates Foundation と 国際的なNPO法人のIVCC (the Innovative Vector Control Consortium)の支援を受け、2040年までにマラリア被害ゼロを目指し、5社が持つ知識や技術を用いて、効果的なソリューションを開発、供給する。

最近の各社の成功例として下記を挙げている。

Syngentaの新規室内残効性スプレー Actellic®300CS
住友化学の室内残効性スプレー剤 SumiShield® 50WG
Bayerの次世代室内残効性スプレー剤 Fludora® Fusion
BASFの殺虫剤chlorfenapyrを使用した蚊帳 Interceptor® G2
三井化学のユニークな殺虫剤

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Gates FoundationはこのMalaria Summit London 2018で、マラリア撲滅のため、2023年までに10億ドルを投資すると発表した。
更に、英国政府がAIDS、結核、マラリアと戦う Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malariaに1億英ポンドを寄付するとしたメイ首相の発表に合わせ、追加で 5千万英ポンドを約束した。

Gates Foundation はまた、農薬会社5社のZERO by 40のマラリア撲滅活動を支援すると述べた。

Gates Foundation はGlobal Fundに16億ドルを出しており、またマラリア対策の寄付としてこれまで約20億ドルを出している。
最近では、フィラデルフィアのWistar Institute に、マラリア用の合成DNAベースのワクチン製造のため140万ドルを出している。


参考 マラリア関連記事

2014/12/20 WHOの"World Malaria Report 2014"
2015/8/22 「世界モスキート・デー」 


2013/6/8 住友化学のOlyset Net
2017/7/29 本の紹介 「日本人ビジネスマン、アフリカで蚊帳を売る 」 
2017/8/7 住友化学の長期残効型の蚊発生源処理樹脂製剤、WHOの推薦を取得


2017/7/18 BASF、マラリア対策の長期残効型防虫処理蚊帳を開発 Interceptor® G2


Shire plcは4月24日、下記の発表を行い、武田薬品もこれを確認した。今後、詰めの協議を行う。

Shireは本日、武田から全株を約460億ポンドで買収するという改定提案を受け取った。 

1株当たり 約49ポンド(武田株 0.839株 =27.26ポンド プラス 現金 US$30.33 =21.75ポンド) 合計約460億ポンド(641.5億ドル)
  1ポンド=151.51円=1.3945ドル換算

参考
1回目は3月29日で、1株当たり44ポンド(武田株式28ポンド+現金16ポンド)、合計約410億ポンド(574億ドル) 
2回目は4月11日で、1株当たり45.50ポンド(武田株式28.75ポンド+現金16.75ポンド)、合計約430億ポンド(602億ドル)  
3回目は4月13日で、1株当たり46.50ポンド(武田株式28.75ポンド+現金17.75ポンド)、合計約440億ポンド(616億ドル) 

2018/4/21 武田薬品、欧州製薬会社 Shire への買収提案を発表

取引が成立すると、Shire株主は武田薬品の新株を受け取ることで、武田株式の50%を所有することとなる。

Shireの取締役会は、この武田の新提案を株主に推奨する旨 武田に伝えた。

武田は以下を条件に、Shireに対して確定的な提案を行う。

  • 本改訂申出の他の内容について同意に至ること。
  • 確認的なデュー・ディリジェンスが十分に行われること。
  • Shireの取締役会において、全会一致かつ無条件の承認が得られること。
  • 武田の取締役会における最終承認が得られること。

Shireの取締役会は、英国のPanel on Takeovers and Mergersの同意を得て、英国のCity Code on Takeovers and MergersのRule 2.6(c)に基づき、両社における進行中の協議を完了する期限を2018年5月8日午後5時に延長した。本期限はさらに延長される可能性がある。

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この報道を受け、Moodysは、買収が実現すれば武田は2段階以上の格下げに直面する可能性があるとコメントした。
現在の格付けは「A1」で、最上級から5番目である。

買収代金の現金部分を賄う約3兆円の借り入れと、約2兆円に上る Shireの債務の継承を想定すると、武田の債務は現在の1兆円から6兆円前後に膨らむとし、「レバレッジ急上昇」を考慮した。

また、Shire側の反対や他の買い手候補の出現によって武田が再度提案を引き上げる可能性があるとみている。


Novartis は4月9日、遺伝子治療薬開発の米 AveXis Inc. を87億ドルで買収すると発表した。1株当たり218ドルでの買収で、これは4月6日終値を88%上回る水準。
両社取締役会が全会一致で承認した。2018年半ばに手続きを完了する見通し。

難病治療の有望な新薬候補を持つ同社を買収し、遺伝子治療の製品群を広げる。

AveXis は脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)の治療に有望な新薬候補「AVXS-101」を開発している。

脊髄性筋萎縮症(SMA)は、生存運動ニューロン(SMN1)と呼ばれる単一遺伝子の欠陥を原因とする遺伝性神経変性疾患で、体幹、四肢の近位部優位の筋力低下、筋萎縮を示す。

発症年齢、臨床経過に基づき、I型、II型、III型、IV型に分類される。I、II型の95%にSMN1遺伝子欠失が認められ、III型の約半数、IV型の1~2割においてSMN1遺伝子変異を認める。

AVXS-101は、1型SMAの治療において非常に説得力のある臨床データが得られている。同社は最近、2型SMAに対する臨床試験も開始した。

1型SMAは、乳児の遺伝的死因の第1位を占め、患者の10人中9人は2歳の誕生日を迎えるまで生きられないか、生涯にわたって人工呼吸器を必要とすることになる。
出生児の6,000~10,000人に1人は、何らかの型のSMAに罹患すると推定されている。

AVXS-101は、欠陥のあるSMN1遺伝子を効果的に置き換えることでSMAの遺伝的根本原因に対処する、初の1回完結型の遺伝子置換療法となる。
臨床試験では、AVXS-101に救命効果が示されており、AVXS-101の治療を受けた15人の乳児全員が20ヵ月目にイベントフリーを達成した。

AVXS-101は、米国では画期的治療薬(Breakthrough therapy designation )、欧州ではPRIME(unmet medical needs に対応した薬剤を優先審査の対象にする制度で2016年3月に発足)、日本では画期的な医薬品を早期に実用化するため審査期間を短くする厚生労働省の「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されており、2019年には米国の患者に対する治療が開始される見込み。

AveXis社は、将来的に有望な遺伝子治療プログラムとその上市を加速するため、SMA以外の疾患の治療にも応用可能な遺伝子治療プラットフォームや大規模化が可能な製造技術も提供する。

Novartis は、AVXS-101 が「ピーク時には数十億ドル規模の売り上げになるポテンシャルを持つ」と期待する。
CEOは声明で「買収により、効果の高い治療法を追求し神経科学でトップ企業を目指す戦略を加速できる」と強調した。

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Novartisは2014年4月22日、大規模な事業再編を発表した。

GlaxoSmithKline (GSK) から抗がん剤製品群を買収するとともに、大衆薬事業はGSKの事業と統合し、GSK主体のJV(Novartisの出資比率は36.5%)とした
更にインフルエンザ以外のワクチン事業をGSKに売却した。
これとは別にインフルエンザワクチンの売却を進めており、動物薬事業はEli Lillyに売却した。

2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編 

Novartisは本年3月末に上記のGSKとの大衆薬事業JVの持分をGSKに130億ドルで譲渡することで合意した。

GSKは大衆薬事業の完全な経営権を握り、処方箋がいらない風邪薬など大衆薬ビジネスの地盤を固める。

GSKは買収資金手当てのため、麦芽飲料「Horlicks」など栄養補助食品事業の見直しに着手した。同製品群を手掛ける子会社(72.5%を所有、インド株式市場に上場)の売却を視野に入れている。

Novartisは、大衆薬事業の売却とAveXis買収で医薬品事業への集中を高める。

Novartisはまた、2018年1月にSpark Therapeuticsとの間で視機能回復のための遺伝子治療であるVoretigene neparvovec (商品名 Luxturna) の米国外における権利について、ライセンス契約を締結している。

voretigene neparvovecは、RPE65(網膜色素上皮特異的に発現する分子量約65 kDaの蛋白質)遺伝子の両アレル性変異を有する小児および成人患者の視機能の回復を目的とした単回の遺伝子治療として、2017年12月19日にFDAから承認を取得した。

患者のRPE65遺伝子の正常な機能を回復することで、未治療のままでは失明に至る可能性が高い進行性の視覚障害を治療する。

欧州医薬品庁(EMA)への医薬品販売承認申請(MAA)は、2017年7月31日に提出している。
現在のところ、米国外でこの疾患に対する治療法はない。
Novartisは、米国外のすべての国で開発、承認申請および販売に関する独占権を保有する。
Spark Therapeuticsは、Novartisと別途締結される製造供給契約に基づき、voretigene neparvovecを世界各国に供給する。

経営破たんの危機に面していた韓国GMでは、会社側と労働組合の話し合いが続いていた。

会社側が、妥結できなければ法定管理(会社更生法)申請に踏み切るとしていた4月20日も妥結できず、23日も引き続き交渉を行った。

その結果、経営立て直しのため、労使が歩み寄ることで暫定合意した。組合は近く組合員投票を行い、賛成多数となれば正式合意とする。

組合との合意の内容は非公表だが、下記の内容と思われる。

組合は賃上げの凍結と福利厚生費の削減を受け入れ
会社側は群山工場閉鎖後、職場が決まらない約680人の雇用に配慮する。

残る問題は、GMが、韓国政府に要請している税金の免除と、産業銀行に要請している増資。
GMは韓国GMへの融資を株式に転換する代わりに、産業銀行に増資を要請している。但し、産業銀行側は、それでは産銀の出資比率が 17%から1%へと
激減するため、GM出資分の 差等減資
を求めている。

政府と産銀側は、韓国GMの赤字の原因に疑念を持っており、GMの了解のもと、調査をしているが、納得するには至っていない模様。
また、支援する場合は、GMに今後の投資計画を明らかにすることも求めている。

今回の合意は、韓国GMの存続のための条件の一つに過ぎず、今後も厳しい状況が続く。



付記

その後、事態が好転した。

韓国産業銀行とGMは4月26日、韓国GMの経営正常化のために7兆7000億ウォン(71億5000万ドル)を投じることで合意した。当初は6兆ウォンとされていた。

GM本社が6兆9000億ウォンを負担する。韓国GMへの融資金 3兆ウォンを出資に転換、新たに3兆9000億ウォンを投入する。
産業銀行は8000億ウォンを追加出資する。(当初案は5000億ウォン)

GMは韓国政府が要求した通り、新車配分等を通して韓国GMの生産施設を10年以上維持することにした。
また、GM本社が独断的に資産を売却したり市場から撤収したりできないように、産業銀行が拒否権を持つ内容も株主間の協約に盛り込むことにした。

これにより、韓国政府もGMが求める税金免除を認めると思われる。

ーーー

深刻な経営危機を迎えている韓国General Motors (GM)は2月13日、「群山工場の閉鎖」を電撃的に発表した。5月末までに閉鎖し、約2000人を削減する。
工場閉鎖に伴う最大850百万ドルの特別費用を第2四半期に計上する。

韓国GMは群山工場の閉鎖決定について「本社が現在の生産設備などをすべて維持したまま再建案を推進するのは不可能だと判断したため」とした 。

同時に、韓国の他の工場についても、事業継続を協議している韓国の政府と労働組合から必要な譲歩を得られなければ閉鎖し、同国から完全に撤退すると警告した。今後数週間以内に結論を出すとしている。

GMの今回の狙いは、 まず群山工場の閉鎖発表でGMの本気度を示し、他の工場の閉鎖を打ち出すことで、韓国政府と第二の株主の産業銀行の財政支援、労働組合の協力を引き出そうというもので、それらが無ければ、実際に撤退することも考えている。

韓国GMの株式は韓国産業銀行が17%、中国上海汽車(SAIC:中国でGMと合弁)が6%、残り77%をGM本社が保有している。

韓国GMが4月13日に発表した2017年決算は、純損失が1兆1600億ウォン(11億ドル)と、前年から84%拡大し、4年連続の赤字となった。 2017年の販売台数は106万8000台と、前年の125万9000台から減少した。余剰設備に絡む多額の固定費用と「上昇し続ける人件費」を赤字拡大の理由に挙げた。


韓国の企画財政相は4月16日、長期的に自力で存続できることが明確な場合にのみ公的支援が可能になるとの認識を示した。 主要株主や他の当事者は再建コストの分担について早急に合意する必要があると指摘した。

(1,000ウオンは約100円、1米ドル =1,068ウオン) 

韓国GMは、仁川市の富平(第一、第二工場計 年44万台)、慶尚南道昌原(21万台)、全羅北道群山(26万台)、忠清南道保寧(トランスミッション、エンジン部品)の国内4カ所で完成車とエンジン工場を稼動してきた。


2000年代のGMは、欧州で販売するシボレーブランドの車種を韓国で生産、輸出して好調な売り上げを記録してきた 。

しかし、2014年以降、欧州市場のリストラを開始した。
欧州のシボレーブランドを廃止してオペルとボクスホールに集約、やがてそれらブランドもPSA(旧社名 PSA・プジョーシトロエン)へ売却してコンパクトカーの生産から一歩引くこととなった。
韓国GMは主力生産車種を失った。

この結果、現在、工場稼働率が100%なのは小型のアベオとトラックスを生産する富平第1工場だけで、中型マリブとキャプティバを生産する富平第2工場は50%、軽自動車のスパークと商用車のダマス・ラボを生産する昌原工場の稼働率は70%にとどまっている。 ここ4年間で2兆6千億ウォン(約260億円)の赤字を出した。

群山工場は、一時生産量が年間8万台に達したが、2016年から3万台に激減した。3500人余りの社員数も2千人余りに減少した。最近3年間の平均稼働率は20%程度で、操業中断と再開を繰り返して稼働率がさらに落ち、2月8日からまた稼動を止めた状態だった。

膨大な累積赤字の韓国GMで、労働組合は賃上げを求めて頻繁にストライキを行った。

韓国GMは2017年7月の労使交渉で、基本給5万ウオンの引き上げと、一時金1050万ウオンの支給案を提示した。余力はないが、最大限の誠意を示したとした。

しかし、組合はこれを拒否、基本給15.5万ウオンの引き上げと、一時金2100万ウオンを求め、何度もストを行った。(9月に5回目のストを行った。)

最終的に、基本給の月5万ウォン引き上げ、激励金600万ウォンとインセンティブ報酬450万ウォンの支払いなどを柱とする当初の会社案とほぼ同じ内容で決定した。

韓国紙は韓国の自動車業界について以下の通り報じている。

韓国の自動車産業は世界的に見て人件費が最高レベルにある一方、生産性は非常に低い。

韓国GMの従業員1人当たりの賃金は年間8700万ウォンで、2002年に比べると2.5倍にも膨れ上がっている。しかもこれは現代自動車の米アラバマ工場の7700万ウォンよりも高く、現代 自動車の北京工場の1120万ウォンに比べるとなんと8倍だ。
ところがその生産性はこれら海外工場よりもはるかに低い。このような企業が生存を続けること自体がまさに奇跡だ。

世界最悪の高い費用と低効率の構造が形成された大きな原因は、韓国独特とも言える非常に保護された労働組合にある。

米GMの海外事業部門の社長は、群山閉鎖発表直後の2月20日に韓国国会で与野党議員と会談した。

まず、" We would like to stay in Korea" と述べ、新車を投じてコスト費用削減などを通じ韓国GMを再建させると強調した。「新車2種を富平第1・第2工場と昌原工場に 導入する。これを通じ年間生産台数50万台水準を維持するよう努力したい」し、「収益を出す構造に変えなければ残ることはできない」としてコスト削減案推進も示唆した 。
小型スポーツ多目的車(SUV)「トラックス」の後続モデルと、次世代クロスオーバー多目的車(CUV)を考えている。

但し、それには韓国政府と産業銀行の支援、労働組合の協力が必要だとした。

群山工場閉鎖計画撤回に対しては、撤回の可能性を問う議員の質問に「ノー」と言い切った。

GMの韓国GM再建案は下記の通り。

GMは韓国GMに対する債権3兆4千億ウオン(31.7億ドル)のうち、22億ドルを株式化する。

韓国側に総額10億ドルの支援を要請。
 産業銀行に5千億ウオン前後の追加出資と貸し付けを要請。
 韓国政府には税金減免などを要請。

税金減免については、富平工場と昌原工場を「外国人投資地域」に指定することを求め、申請書を提出した。指定されると、5年間の法人税全額免除などの優遇措置が受けられる。

この案では、GMは不良債権を株式に転換するだけで、現金支出は無く、韓国側は問題視した。

政府は大株主の責任ある役割、株主・債権者・労働組合を含むすべての利害関係者の苦痛分担、持続可能な経営正常化案という3大原則が満たされる場合にのみ 支援するという方針を立てた。
GMに対し、情報を求めた。

GMに対して、生産設備などの投資計画を具体的に示すよう求めた。

また、韓国GMの赤字の原因の調査を求め、了承を得た。
産業銀行が韓国GMから資料の提供を受け、原価構造の把握を行うもので、特に、本社からの借入金の利率、本社に 支払う管理費、技術使用料、人件費などを調べる。また、本社への販売価格(移転価格)の情報を求めた。

通常2~3ヵ月かかる調査を短縮し、早ければ3月末、遅くとも4月には調査結果を出したいとした。但し、関連資料の一部、特に移転価格の情報が提出され ていないという。

韓国側は、これらの情報をみて対応を決めたいとした。

なお4月に入り、産業銀行は増資問題で異議を唱えだした。

韓国GMの経営失敗の責任をGM本社が負担すべきであるとして、差等減資(経営の失敗に責任がある株主の持分を下げる)を提案している。GMが債権を出資に転換すると、産業銀行の出資比率は現在の17%から1%未満に下がってしまうため、GMに20対1以上の差等減資を求めている。

その後、労働組合との交渉が難航した。

韓国GMは2月末に、約150人の幹部のうち、マネジングディレクターかそれより上位の幹部の数を35%削減し、ディレクターやチームリーダーの数を20%削減する計画を明らかにした。

また労働組合との協議では、今年の基本給を凍結することやボーナスを出さないことが提案された 。しかし、組合は、「経営側は組合に対して一方的な犠牲を強いているが、会社は改善計画を用意すべきだ」と指摘した。

3月15日には、組合側は2018年の賃上げの凍結と成果報酬の見送りの案を経営側に提示したが、見返りに群山工場を閉鎖する計画の撤回などを求めた。 (会社側は拒否)
(組合員は、多額の最終赤字が続くなかでも1人当たり年約1000万ウォンの成果報酬を受け取っており、成果報酬が無くなると年間約1400億ウォンのコスト削減が見込める。)

3月26日に来韓したGM幹部は韓国GM労組と非公開で話し合い、次の通り述べた。

韓国政府は4月20日ごろまでには経営再建案を確定して提示することを望んでいるが、3月末までに労使の賃上げ交渉が暫定合意にも至らなければ再建案をまとめるのは難しい。
再建案を提示できなければ、政府や韓国産業銀行の支援も期待することができず、資金繰りに行き詰った現在の状況では不渡りを出しかねない。

4月末までに6億ドル程度の資金を調達する必要があり、賃上げ交渉の暫定合意に協力してほしい。
(韓国GMは早期退職者を募り、約2600人の社員が応じた。4月末までに退職慰労金を支給しなければならない。)

会社側は労働組合が4月20日までに条件の譲歩を拒んだ場合、破産申請を行うとし た。

7000億ウォンの借入金(ほとんどがGM本社やグループ会社からの借入金)の返済期限が3月末に迫っており、さらに4月8日までに9880億ウォンの債務も返済期限を迎える。

韓国GM社長は3月28日、全職員に対して要請文を送り、「3月末まで賃金団体協議で合意を実現することで、会社の持続可能性を守るための我々の意志を本社と政府に絶対示さなければならない」と強調した。続いて、「月末まで労使合意に至らなければ、4月初めに到来する各種費用の支払いのための資金確保が不可能になり、4月6日に支給することにした一時金と手当も支給不能状態に陥ることになる」と強調した。

3月末の期限に労使交渉はまとらなかった。

昨年の成果給のうち半分の1人あたり約450万ウォンを4月6日に支払う計画だったが、韓国GM社長は4月5日に役職員にメールを発送し、「6日の支給を約束していた2次成果給を支払えなくなった」と伝えた。

不払いの発表の午後、10人程度の組合員が仁川広域市のオフィスで最高経営責任者の部屋に押し入り椅子を蹴ったり投げたりし、大きな机を室外に運び出した。
組合は会社側の決定に抗議しCEOの退任を要求した。

この事件を受け、GM本社は韓国を出張禁止国に指定した。現地の危険状況などを考慮し役員社員の安全が保障されない場合に下される措置。

GM側が提示した4月20日の期限が近づき、韓国GMは財務・人事・法務組織を通じて法定管理申請の実務作業を始めた。

ダン・アンマンGM総括社長が「韓国GM利害関係者全員が4月20日に交渉テーブルに出てこなければいけない。合意にいたらなければ破産申請をするだろ う」と語った。

GM側が期限として提示した4月20日に労使交渉が行われた。経営側は年1000億ウオン規模の福利厚生費の削減を要求、組合側は群山工場閉鎖で職場が決まらない680人の雇用保証を求めたが、物別れに終わった。

経営側は夜に取締役会を開催、法定管理の申請について23日に改めて議論することとした。


米財務省は4月23日、ロシアのアルミ大手 UC Rusal に対する経済制裁を一部猶予すると発表した。

米企業に求めるUC Rusal との取引停止の発動時期を6月5日から10月23日に延ばした。UC Rusal と取引する米国以外の企業に対する二次制裁も課さない。

世界生産の1割近くを担うUC Rusal の供給が減るとの観測から市場では価格が高騰し、フランスやドイツの産業界が制裁の適用除外を求めていた。
財務省は、「米国のパートナー、同盟国への影響を考え」修正したとしている。欧州に配慮することでロシアに対する足並みをそろえる狙いがあるとみられる。

付記

トランプ政権は2018年12月19日、ロシアのアルミニウム生産会社、ルサールの大株主である新興財閥のオレグ・デリパスカ氏が持ち分を大幅に減らす合意が成立したことを受け、一旦発動した同社への制裁を解除する方針を明らかにした。米財務省によると、議会が阻止しない限り、30日後に実施される。

財務省は2019年1月27日、ルサールと同社大株主の複合企業 En+ グループ及び電力大手ユーロシブエネルゴの3社を制裁対象から外すと発表した。

ルサール制裁でアルミ価格が高騰し、欧州経済などに悪営業を与えることを配慮した。


米財務省は3月15日、2016年大統領選への介入とサイバー攻撃に関与したとして、ロシアの5団体と19人を対象に経済制裁を科すと発表した。
制裁対象の個人・団体は、米国内の資産が凍結され、米国民は制裁対象者・団体との取引が禁じられる。

更に、米財務省は4月6日、ロシアが2016年の大統領選にサイバー攻撃などを通じて介入したことに加え、クリミア半島やウクライナ、シリアで続くロシアの攻撃姿勢を挙げ、プーチン大統領とつながりを持つオリガルヒ(新興財閥)7人や関係企業12社に対する追加制裁を発表した。企業や政府関係者を対象に米企業との取引を禁止する。
https://home.treasury.gov/news/featured-stories/treasury-designates-russian-oligarchs-officials-and-entities-in-response-to


そのなかに、プーチン政権に近い新興資本家のOleg Deripaskaと、同氏が率いるアルミ大手のUC Rusal が入った。
Oleg Deripaskaについて、財務省は「腐敗したロシアの制度から巨額の富を得てきた」と、理由を説明している。

Deripaska has said that he does not separate himself from the Russian state. He has also acknowledged possessing a Russian diplomatic passport, and claims to have represented the Russian government in other countries. Deripaska has been investigated for money laundering, and has been accused of threatening the lives of business rivals, illegally wiretapping a government official, and taking part in extortion and racketeering. There are also allegations that Deripaska bribed a government official, ordered the murder of a businessman, and had links to a Russian organized crime group.

同氏関連では、UC Rusal の他に、資産管理会社のBasic Element Limited、投資会社のB-Finance Ltd.、エネルギー関連企業でUC Rusal の親会社のEN+ Group、電力会社のEuroSibEnergoが制裁対象となっている。

ーーー

2000年3月にOleg Deripaska等がアルミ精錬所や原料のボーキサイトを産出する鉱山を統合して Rusal を創業した。

2006年に、アルミ製造ロシア第2位の
SUALと、スイスの商社Glencoreのアルミニウム部門を約300億ドルで買収し、Rusalと統合して、UC Rusal とした。
新会社はボーキサイト鉱山、アルミナ、アルミ精錬、アルミフォイル生産設備を所有する。
出資比率は RUSAL 66%、SUAL 22%、Glencore 12%であった。

2006/9/5 ロシアのアルミ最大手RUSAL、同国2位のSUALを買収

これにより、UC Rusalは当時の世界1位のAlcoaと並んだ。

その後、中国勢が急伸し、現在のシェアは下記の通り。

なお、UC Rusalは、世界最大手のニッケルメーカーのMMC Norilsk Nickelの株式の25%を保有している。
少し古いが、2009年のニッケル生産量は30万1千トンで世界全体の22%、パラジウム生産量は280万オンスで世界の38%であった。

米国によるUC Rusal制裁の影響は大きい。

London Metal Exchangeや米国のChicago Mercantile ExchangeグループはUC Rusal製アルミの取り扱いを止めた。この結果、国際市場では需給の逼迫懸念が強まった。

アルミ相場は先週、追加制裁発表前に比べて一時3割以上も急騰し、ほぼ7年ぶりの高値をつけた。ニッケルやパラジウムの価格も上昇した。

日本はアルミ新地金の供給をすべて輸入に頼り、そのうち15%程度をロシアから調達している。

米Qualcommによるオランダの NXP Semiconductors 買収を巡り、中国商務部は承認にはさらなる是正が必要だと指摘した。

商務部報道官は、QaulcommのNXP買収が実現した場合、テクノロジー業界への影響が大きく、同市場に悪影響の恐れがあると説明した。

「中国当局は市場への悪影響を減らす方策についてQaulcommと協議し、同社が提出した是正計画を基に市場テストを実施した。Qaulcommの計画では関連の問題を解決することがほとんどできないことを当初の調査は示している」と説明した。

Qaulcommが商務部の承認申請を今週取り下げたとした上で、申請を再提出する計画だとし、「調査と証拠集め、分析に多くの時間」が必要なため、早期の判断に至る公算は小さいと話した。

Qaulcommは2016年10月にNXPを総額470億ドルで買収すると公表し、各国の独禁法当局から審査を受けてきた。EUのほか韓国も承認しており、残りは中国当局の審査のみとなっている。

EUは2018年1月18日、買収を承認した。

QaulcommはEUからの承認を得るため、NXPが持つ近距離無線通信規格「NFC」の特許について、競合メーカーや顧客が不利にならないよう取り扱うことで合意した。
NFCに関わる一部の特許を取得しないほか、他メーカーの半導体システムとの互換性を保ち続けるという。

中国の状況を勘案し、両社は、当初4月25日としていた買収期限を7月25日へと3カ月延長した。

付記

ニューヨーク時間7月26日午前0時が中国当局の承認を得る期限とされていたが、承認が得られず、買収を断念する。

7月25日の決算発表資料によると、破談の場合、Qualcomm はNXPに違約金20億ドルを支払うとともに、300億ドル相当の自社株買いを行う。

これに対し、中国の国家市場監督管理総局は7月27日に声明を発表、「Qualcomm提示の対策では問題を解決できないと伝え、対策見直しのため審査期限を10月14日に延ばしたのに、期限前に断念したのは遺憾である」としている。買収断念を当局の責任とする批判をかわす狙いとみられる。

付記 

トランプ米大統領と習近平中国・国家主席は12月1日、G20出席のため訪問中のBuenos Airesで夕食会形式で首脳会談を開き、米国が中国への追加関税を猶予することを決めた。

主席は、以前に承認しなかった米Qualcommによるオランダの NXP Semiconductors 買収について、再申請されれば承認すると述べた。

しかし、Qaulcommは再申請しないとした。Qualcommが過去に提案したNXP買収に関するトランプ大統領と習主席にコメントには感謝しているが、この取引は期限が過ぎたことで打ち切られた。Qualcommとしてはこの件は終わったものと考えており、5Gロードマップの実行を続けることに完全に集中している」としている。



東芝メモリの売却についても中国の承認だけが取れていない。

元々、簡単には承認は下りないと見られていた。 中国は半導体を基幹産業に育てようとしており、韓国のSK Hynixが参加する東芝メモリの買収を簡単に認めないと思われた。
ここにきて、米中の貿易摩擦で、米側が中国華為技術(Huawei Technologies)と中興通訊(ZTE Corp.)に厳しい態度をとるなど、圧力を強めている。
米国の
Bain Capitalが主導する東芝メモリ買収には、厳しい条件がつくか、承認に時間がかかるとの見方が強い。

東芝は、中国当局の承認を5月末までに得られなかった場合、 東芝メモリの売却を見送る方向との報道がされた。昨年12月に実施した6000億円の増資などで債務超過を解消して いる。

しかし東芝は4月23日、これを否定し、引き続き譲渡完了を目指しているとした。

ーーー

トランプ米大統領は3月12日、シンガポールに本社を置く通信用半導体大手Broadcom Limitedによる米Qualcomm Incorporatedの買収を禁じる命令を出した。

半導体業界のアナリストは「Broadcomと華為技術の企業としての近さも警戒された」と指摘する。

2018/3/14 米大統領、BroadcomによるQualcomm買収禁止命令 

Qualcommは米国の政治力でBroadcom による買収から逃れたが、今度は中国政府により、悲願としたNXP買収を認めてもらえない状況となった。米中の通商摩擦に完全に巻き込まれた形となっている。

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Qualcommは2016年10月27日、NXP Semiconductorsを買収することで合意したと発表した。

NXPの発行済み株式を1株当たり110米ドル(11.5%のプレミアムを上乗せ)で買い付ける。買収額は約470億米ドルで、Qualcommは全て現金で支払う。

負債を除くと約390億米ドルとなり、旧Avago TechnologiesによるBroadcomの買収額である370億米ドルを越え、半導体ICメーカーの買収金額としては過去最高となる。

2016年2月に、Hewlett-PackardやAgilent Technologiesの半導体部門を起源とするAvago TechnologiesがBroadcomを370億ドル(現金170億ドルとAvago株式200億ドル)で買収し、Avago Technologiesは社名をBroadcom Ltd.に改称した。現在のBroadcomは、当初のBroadcomを含めた元のAvago Technologiesである。

なお、NXP株の約28%を保有するアクティビスト(物言う投資家)のElliott Managementなどが1株110ドルについて「著しい過小評価だ」と主張していたが、Qaulcommは2018年2月に買収額を16%引き上げ、1株127.50ドルとした。

Qualcommの売上高は250億ドル、NXPは100億ドルで、統合で350億ドルの売上高となる。

スマホ用のプロセッサを主力事業とするQualcommにとって、自動車分野参入は悲願で、車載用や認証端末用等の半導体が主力のNXPを手に入れ、モバイル、自動車、IoT、Networkingの4つの領域でリーダーとなる。

富士フィルムによるXerox買収を巡り、Xerox株主のCarl Icahn と Darwin Deasonによる反対運動が続いている。委任状争奪戦に発展するとの見方も多い。

Darwin Deasonによる訴訟は Supreme Court of the State of New Yorkで継続しているが、Deasonは4月13日に改定訴状を提出した。

富士フィルムHDは1月31日、米国Xerox Corporationとの間で以下の点で合意したと発表した。

 ①富士フィルムHDがXerox Corporatの50.1%を取得、Xeroxは社名をFuji Xeroxに変更、NYSEの上場を維持
 ②富士フィルムHDの子会社の富士ゼロックスとXerox Corporationの経営統合

2018/2/1 富士フィルム、米国Xerox Corporationを買収

Darwin Deasonは2月13日、富士フィルムによるゼロックス買収は不正だとして、差し止めを求める訴えをニューヨーク州の裁判所に起こした。

問題視しているのはゼロックスと富士フィルムが、株主にとって重要な契約の存在を17年間隠していた点である。

これはゼロックスの戦略の柔軟性を制限するもので、実質的に今回の富士フィルムへの売却は17年前に株主に知らされずに決められていたことになり、不正行為であり、取締役は受託者としての義務に違反しているとする。

このため、裁判所に対し、この取引を中止し、既存のJV契約を終了することを求めた。

2018/2/15  富士フイルムによる買収、ゼロックス大株主が差し止め提訴  

Darwin Deason は3月2日、Xeroxを相手取り、新たな取締役を推薦する権利を求める訴訟を起こした。

Darwin Deasonは2月末に、反対の手段として、今春の株主総会で全取締役の候補を推挙する権利を求めたが、会社側は候補の推挙の期限の2017年12月11日が既に過ぎているとして、これを拒否した。

これを不服とし、会社は期限が過ぎた後に株主にとって重要な一連の決定をしたとして、12月11日の推挙期限を延ばすことを求め訴訟を起こした。

2018/3/5 米ゼロックス、大株主が再び提訴 


改定した訴状では、XeroxのCEOが、富士フィルムとの交渉を勝手に行い、株主の利益を犠牲にして自身の地位を守る合意を取り交わしたと非難している。取締役の一
Cheryl Krongard が会長宛てに出した書簡が引用されており、そのなかでCEOを富士フィルムと秘密裏に交渉するために取締役会の指示に従わなかった「ならず者経営者"rogue executive"」と呼んでいるという。(黒塗りされている部分と見られ、読めない)


Carl Icahn と Darwin Deasonは4月17日、他の株主に宛てた書簡を公表し、6月にも開く株主総会で反対票を投じるように呼びかけた。

http://carlicahn.com/wp-content/uploads/2018/04/Xerox-Analysis.pdf


株主は富士フィルム/Xeroxの統合提案に反対し、会社を変え、株主価値を最大限高める新しい取締役選任に賛成すべきだとしている。

44ページにおよぶプレゼンテーションのまとめは下記の通り。

先ず、経営陣を批判、次に会社提案の問題点を指摘し、株主の価値を高めるための代替戦略を提示した。

2月の書簡では「競合他社との合併や身売り」や「買収ファンドへの身売り」を提案したが、今回はゼロックス単独での代替案を示した。

打ち出した戦略は4つで、①既存事業と親和性のある領域へのサービス拡大、②販売経路の最適化によるコスト削減、③未使用の知的財産を有効活用、④富士フイルムとの提携関係の見直しによるアジア太平洋市場の再評価である。

結論として、会社側は富士フィルムによる買収が株主にとって1株当たり45$の価値があるというが、実際には28$に過ぎないのに対し、彼らの案は54$~64$の価値があるとし、次の言葉で締めくくっている。

Vote AGAINST the Fuji/Xerox Transaction and FOR a Board of Directors that can Maximize Shareholder Value


Executive Summary:

富士フイルムホールディングスの古森重隆会長・CEOは3月29日の会見で、買収について「クリアできると思っている」との見通しを示した。 「株主が皆騒いでいるわけではない。株主に対してメリットを説明しており、理解してもらえる」と述べ、Xerox 株主総会においては「今の提案内容で」とし、変更はないとした。

しかし、CNBCは4月20日、富士フィルムとXeroxが再交渉を目指し、"active talks" を行っていると報じた。4月19日の法定審問で両社の弁護士が述べたとされる。

これについて両社はコメントをしていない。

米国務省は4月20日、約200カ国・地域を対象にした2017年の人権報告書 (2017 Country Reports on Human Rights Practices)を公表した。

日本分(JAPAN 2017 HUMAN RIGHTS REPORT)では、 ひどい人権問題の報告はないとするが、セクハラと森友・加計問題に付言している。

Worker Rights では、女性の雇用での差別について、以下の通り述べている。

女性は依然として職場での不平等に不満を示している。
2016年で、女性の平均月収が男性の73%にとどまっている。

職場でのセクハラは依然として横行している。厚労省の2016年の報告では、フルタイム、パートタイムの女性の30%が職場でのセクハラを報告している。フルタイムでは35%である。

Section 7. Worker Rights
d. Discrimination with Respect to Employment and Occupation

Women continued to express concern about unequal treatment in the workforce.
Women's average monthly wage was approximately 73 percent of that of men in 2016.

Sexual harassment in the workplace remained widespread. In the first survey of its kind, in 2016 the ministry reported that 30 percent of women in full- and part-time employment reported being sexually harassed at work. Among full-time workers, the figure was 35 percent.

政府の汚職や透明性の項目で、安倍政権の森友学園や加計学園をめぐる問題に初めて言及した。

メディアは、安倍首相が首相と妻の友人が運営する森友学園や加計学園に有利になるよう政府の決定に影響を及ぼしたという疑惑を報じているが、首相は全面的に否定している。


Section 4. Corruption and Lack of Transparency in Government
Corruption:

While the media reported allegations that Prime Minister Abe might have attempted to influence government decisions in favor of two educational institutions, Moritomo Gakuen and Kake Gakuen, run by his or his wife's friends, the prime minister categorically denied involvement in the government's decisions.

 

武田薬品工業は4月20日、アイルランドの製薬大手Shire plc への買収提案を発表した。Shire も4月19日付で発表した。

武田は3月28日、アイルランドに本拠を置くバイオ医薬品メーカーのShire plc に対する買収提案を検討していることを明らかにした。

2018年4月2日  武田薬品、バイオ医薬品メーカー Shire plc に買収提案を検討 

Shireによると、武田は3回にわたり提案した。

1回目は3月29日で、1株当たり44ポンド(武田株式28ポンド+現金16ポンド)、合計約410億ポンド(574億ドル)  

Shireの取締役会は、企業価値、成長性、製品パイプラインを過少評価していると考え、拒否した。武田は2回目、3回目の提案を行った。

2回目は4月11日で、1株当たり45.50ポンド(武田株式28.75ポンド+現金16.75ポンド)、合計約430億ポンド(602億ドル)  
3回目は4月13日で、1株当たり46.50ポンド(武田株式28.75ポンド+現金17.75ポンド)、合計約440億ポンド(616億ドル)  
 3回目の提案は、Shire 株の4月18日終値(37.54ポンド)を24%上回る水準になる。

Shireの取締役会は、3回目の提案についても、同様の考え方で拒否したが、話し合いを続けることを決めた。

これを受け、武田は同日、新たな4回目の提案を行った。

今回の提案は、1株当たり47.00ポンド(武田株式26.00ポンド+現金21.00ポンド)、合計約445億ポンド(623億ドル)
2018年3月23日(武田による買収提案可能性の検討についての憶測がなされた日の直前の日)の終値に比してのプレミアムは約58パーセント。

Shireは武田から4回目の提案を受けたことを発表、検討しているとした。今回提案でShire株主は増資後の武田の株式の49%を所有することになるとしている。

武田では、Shire社の買収は、武田の現在の成長に向けた機運を一層強化するとともに、真の研究開発型グローバルバイオ医薬品企業のリーディングカンパニーとなるための変革を加速し、バランスのとれた国内外の拠点の確保、強固かつ多様性のあるパイプライン及び財務の強化をもたらすものとしている。

なお、4回目の提案では、日本円で、武田の新株で3.7兆円、現金で3兆円、合計6.7兆円となる。
現在の武田株式の時価総額は約4.5兆円であり、時価総額の8割以上の増資が必要となる。
更に多額の借り入れが必要である。三井住友銀行など3メガバンクは、各行1兆円程度のつなぎ融資の検討に入ったとされる。

ーーー

なお、アイルランドに本社を置くAllergan plc も4月19日、Shireの買収を検討していると表明した。
同社は、事業売却、事業統合、買収など、株主価値を高めるための幅広い戦略的行動を検討しており、Shireの買収についても検討の初期段階にあるとした。

しかし、その発表の数時間後に、同社は買収提案をする積りはないと発表した。

対抗買収の検討が伝わると市場では株価が急落したため、株主の理解を得るのが難しいと判断したとみられる。

Allerganについて:


2014/10/22  米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦
2015/11/26  Pfizer、アイルランドのAllerganを買収
2015/7/29  後発薬最大手のTeva、米 医薬大手の Allerganから後発薬事業買収
2016/4/7  Pfizer とAllergan、合併計画断念
2016/9/23  Allergan、バイオ薬大手のTobira Therapeuticsを買収 

The Goodyear Tire & Rubber Companyと米国ブリヂストンは4月17日、タイヤの卸売会社 TireHub, LLC.を共同で設立すると発表した。

両社が50%ずつ出資し、両社から独立して事業を行 う。必要な許認可を取得後、2018年半ばに設立する予定。

TireHubは両社の乗用車用・小型トラック用タイヤの米国における卸売事業を行い、両社の持つ充実した商品ラインナップを供給することで急速に伸長する大口径プレミアムタイヤの需要増にも対応 する。

両社が全米各地に保有している合計80以上の物流拠点を活用して、商品の在庫・販売・配送まで一貫したサービスを提供する。販売窓口を一本化し、販売店のPOSシステムと容易に統合できるオンラインポータルなど、業界最高水準のサービスを導入し、全米のほとんどの販売店に毎日配送できる体制を構築する。


Goodyearは2015年10月、住友ゴムとのアライアンス契約および合弁事業を解消、北米のタイヤ製造・販売合弁会社を住友ゴムに売却している。
北米では、市販用タイヤと非日系自動車の新車用タイヤで Dunlopブランド商標使用権を持つ。

今回、新たにブリヂストンと共同会社を設立し、タイヤ事業の成長とブランド価値向上を図る。

ーーー

住友ゴムは2015年6月4日、Goodyear Tire & Rubber とのアライアンス契約と合弁事業を解消する契約を締結した。解消手続きは10月1日付けで完了した。

主な合意内容は以下の通り。

(1) 北米JVと「ダンロップグッドイヤータイヤ」は住友ゴムが買取り
欧州JVと「日本グッドイヤー」はGoodyear社が買取り
共同購買及び技術交流、共同開発JVは解散
(2) Dunlopブランド商標使用権の帰属
(3) 住友ゴムは、Goodyearから271百万USドルを受領


(1) JVの解消

合弁会社 事業内容

現状

解消後
住友 GY

Goodyear Dunlop Tires North America
 含
バッファロー工場
タイヤ製造・販売事業 25% 75% 住友ゴム 100%

Goodyear Dunlop Tires Europe B.V. タイヤ製造・販売事業 25% 75% Goodyear 100%

ダンロップグッドイヤータイヤ㈱ 新車向けタイヤ販売事業 75% 25% 住友ゴム 100%
日本グッドイヤー㈱ 市販用グッドイヤー・ブランド・タイヤ販売事業 75% 25% Goodyear 100%
Goodyear - SRI Global Purchasing 共同購買 20% 80% 解散
Goodyear - SRI Global Technology 共同技術開発 49% 51% 解散


(2) Dunlopブランド商標使用権の帰属

現状

解消後

住友 Goodyear
北米(米・加・メキシコ) 米国JV 新車用 日系自動車新車用 非日系自動車新車用
市販用 市販用
モーターサイクル 新車用、市販用
欧州 欧州JV 新車用、市販用
日本 日本JV 新車用 新車用、市販用
住友ゴム 市販用
旧ソ連・トルコ・西アフリカ等33カ国 住友ゴム/
欧州JV
新車用、市販用
現在も今後も商標権保有 アジア、中東、中南米、東アフリカ 豪州・NZ


2015/6/8 住友ゴム、Goodyearとのアライアンスを解消 

米商務省は4月16日、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE Corporation)がイランや北朝鮮に対し通信機器を違法に輸出していた件で、商務省との約束を守っていなかったため、米企業によるZTEへの製品販売を7年間禁止すると発表した。

ZTEは1985年に深圳市中興半導有限公司(Zhong Xing Telecommunication Equipment Company Limited)として設立され、以降、携帯電話網設備、携帯電話端末、無線製品、ネットワークプロダクトなどの開発および生産を主に手がける。

ZTEは米国でAT&T やT-Mobile US、Sprint など携帯電話大手にスマートフォンを供給する一方、Qualcomm、Microsoft、Intelなど米企業の製品を採用している。

Qualcommの半導体などスマートフォンに不可欠な部品を含め、米サプライヤーから技術を得られなくなる。禁止期間の7年間は次世代となる第5世代無線通信技術への移行で重要な時期と重なる。

今回の措置は同社に深刻な打撃を与えるとみられる。ハーシュホーン元商務次官は「ZTEが問題を解決できない場合、廃業に追い込まれる可能性が高い。米国外の銀行や企業でさえ、多くがZTEとの取引を望まない」と指摘した。

また、米企業はチップセットなどの対象製品をZTEに直接輸出することも、第三国を通じて輸出することも、直ちにできなくなる。

付記

台湾経済部はこのほど、米国の制裁に合わせ、中興通訊(ZTE Corporation)を輸出制限の対象に指定した。台湾企業が同社に輸出する場合は許可が必要となる。
台湾のMediaTec (
聯發科技) は同社への製品供給を一時停止した。


日本では、ZTEジャパンが2008年に設立され、日本の消費者および通信事業者向けに、最先端の携帯端末やスマートフォン、有線・無線の通信ネットワーク・ソリューション、データカード等の製品とアフターサービスを提供している。

なお、Qualcomm、Microsoft、Intel などの代わりに日本企業がZTEに製品を供給するのではないかとの報道が米国の一部にあるが、トランプ政権の反感を買うことを恐れ、積極的に供給する企業はないと思われる。


別途、米連邦通信委員会(FCC)は4月17日、国内の通信会社に対し、安全保障上の懸念がある外国企業から通信機器を調達するのを禁じる方針を決めた。対象企業は今後詰めるが、華為技術(
Huawei Technologies)と中興通訊(ZTE Corp.)の中国大手2社を念頭に置く。

新規制は、全国に通信回線を普及する目的で設けられた同委員会の補助金を使う通信会社が、安保上の懸念がある外国企業の製品 を買うのを禁じる。企業など一般から意見を募って禁止対象の企業や製品を確定し、その後に規制を導入する。

FCCの委員長は「敵対的な外国勢力は通信機器に仕掛けたバックドアを使ってウイルスを侵入させ、米国人から情報を取ったり基幹インフラを攻撃したりできる」と述べ、規制の意義を強調した。

付記

国防総省は5月3日、全世界にある米軍基地にある店舗で、中国の華為技術(Huawei)と中興通訊(ZTE)の携帯電話の販売を取りやめたことを明らかにした。安全保障上のリスクがあるためだという。軍人には基地の外でも中国製品の使用に注意するよう求めた。

米軍基地の店舗に対して4月25日に製品を引き上げるよう指示した。米情報当局は盗聴などのリスクがあると指摘しており、米軍の作戦などの情報が漏れることを警戒した。

米国政府や議会はHuawei などの通信機器が中国政府のスパイ活動に使われる懸念があると疑っている。

ーーー

米商務省は2016年3月、ZTEが2010年にイランや北朝鮮に禁輸措置品を輸出し、その事実を隠ぺいしたとして、輸出禁止の対象とした。商務省は半月後に、ZTEが社内コンプライアンス体制の改革や情報提供を行うことを条件に規制の一部緩和措置を発表した。

輸出禁止措置の4度目の猶予期間中の2017年3月に、ZTEは米国による対イラン制裁措置などに違反し、米国製品や技術をイランに輸出していたことで有罪を認め、8億9000万ドルの罰金支払いや、さらなる違反があった場合に3億ドルの追徴金を支払うことで合意した。 更に、幹部社員4人を解雇し、他の社員35人については賞与減額か懲戒処分とすることを約束した。

同時に、これらの条件に反したり、新しく米国輸出管理規則(Export Administration Regulations) に違反した場合、米企業によるZTEへの製品販売の7年間禁止することに同意した。

しかし、同社は今年3月、幹部4人を解雇したものの、他の35人については賞与減額も懲戒も行っていなかったことを認めた。

ロス商務長官は声明で、ZTEが同問題を巡り、米政府に繰り返し虚偽の報告を行っていたことを指摘した。


中国商務省は4月17日、質問に対し、次のように述べた。

この米国の措置に中国も留意している。中国は中国企業に対して、海外でビジネスを展開する過程で、現地の法律、政策を遵守し、合法的にビジネスを展開するようにと一貫して求めている。

中興通訊は米国企業数百社と提携し、貿易、投資を広く展開し、米国で数万人の雇用を創出している。米国が法律、規則に基づき、適切に問題を処理し、企業のために、公正、公平、安定した法律、政策環境を整えることを願っている 。

当部は今後も事態の進展を見守り、必要な対策を講じ、中国企業の合法的権益を守る用意を随時行っていく。


付記

中興通訊(ZTE )は4月20日、 下記の通り述べ、法的手段を用いて権益を守る考えもあることを明らかにした。


中興通訊がこの2年間、輸出に関する法律を遵守してきたことや、いかに米国に投資して進歩をとげてきたかを、米商務省が無視している。

総裁直属のコンプライアンス管理委員会を設立したり、ベテランの輸出管理コンプライアンス専門チームを設立したりするなどして、法令遵守に努めてきた。 

また、指摘を受けた問題点をすぐに改善し、米国の法律事務所に調査を依頼したにも関わらず、米商務省は調査結果を待たずに最も厳しい制裁を下した。
「このような不公平な扱いを受け入れることはできない。」

輸出品規制措置は中興通訊の生存を脅かすだけでなく、米国企業を含む提携企業の利益にも影響を及ぼす可能性がある。

Dominion Energy Inc の米国メリーランド州のCove Point LNGプロジェクトが、4月9日に商業運転を開始した。

米国の本土48州では、2016年2月に稼働したCheniere Energy のルイジアナ州のSabine Pass LNG輸出ターミナルに次ぐ第二のLNG輸出ターミナルとなる。

Sabine Pass LNGについては 2018/2/14 米国のCheniere Energy、中国CNPCとLNGの長期供給契約締結

Cove Point LNGの正式稼働に先立ち、3月2日にShellが所有するLNGタンカーのGemmataが行き先不明で初荷を出荷している。

日本への初出荷は4月下旬以降となり、その後約1か月を経て、神奈川県内の東京ガスLNG基地で受け入れる予定。


米エネルギー省は2013年9月11日、住友商事が輸入契約を締結しているLNG輸出プロジェクト、Dominion Cove Point LNGに対し、Maryland 州 Calvert County にあるCove Point LNG Terminal から米国とFTAを締結していない国に対するLNGの輸出を承認した。(FTAを締結している国への輸出については、既に2011年10月7日に承認を受けている。)

輸出承認は日量770百万立方フィート(0.77Bcf/d )の天然ガスを20年間となっている。年間ベースでは525万トンの輸出枠となる。

2013/9/13 米、日本向けLNG輸出 2件目を承認

Dominion Energyでは既に住友商事との間で年間230万トン、インドのGailとの間で230万トンの輸出契約(20年間)を締結している。

住友商事では、東京ガスに対して140万トン、関西電力に対して80万トンの供給を約束している。

具体的には、Dominion Energyは、住友商事と東京ガスのJVのST Cove Point LLC 、及びインドのGail の米国子会社のGail Global (USA) から受託し、それぞれが持ち込む天然ガスをLNGに加工して供給する。
住友商事は子会社PSEを通じて天然ガスを持ち込む。

東京ガスと関西電力は、2016年4月に合意した「LNG調達における弾力性向上に資する連携」に基づき、需給の変化に柔軟に対応すべく、相互にLNGを交換・融通するなど協力する。

なお、日本着のLNG価格は、天然ガス価格+固定費+運賃となる。

2018年2月のLNG通関価格と米国の天然ガス価格、それを基にしたLNG輸入価格
(Henry Hub 天然ガス価格 + 口銭15% +液化費 3$ + 運賃 3$で試算)

住友商事の天然ガス供給価格は不明だが、通常はHenry Hub 渡し市況+マージンとなる。

液化費はCheniereが公表しているインドのGail、韓国のKogas向けは100万BTU当たり3ドルとなっている。

日本向け運賃は、(2012年9月のPlatts資料では)、US Gulf Coast からは100万BTU当たり2.96ドル、Cove Pointからは3.07ドルとなっている。

最近の価格では、既存の日本の輸入LPG価格が下がっているため、パナマ運河経由の米国からの輸入品は若干高めとなっている。

場合によっては、米国品を欧州に出し、アジアから欧州に向かっているものとスワップを行って運賃を節約することも考えられる。

東京ガスは2016年11月に、英エネルギー大手 Centrica のトレーディング事業会社であるCentrica LNG社と、「相互協力に関する協定」を締結したと発表した。その具体的な取り組みの第一歩として、LNGのスワップを行い、「LNGの輸送効率向上を通じたコスト削減を目指す枠組み」の実現を目指すことに合意した。

2016/11/22 東京ガス、英のCentrica とLNGをスワップ 

LG Chem は4月11日、リチウムイオン電池用のコバルトの供給を確保するため、浙江華友コバルト(浙江華友鈷業股份有限公司)と2つのJVを設立することで合意したと発表した。

LGは合計225百万ドルを投じて2020年までに中国にプレカーサーと正極(カソード)のJVを設立し、年間4万トンを生産する。

製造したプレカーサーと正極は、中国とポーランドのリチウムイオン電池工場で使用する。

リチウムイオン電池では、正極にはリチウムの酸化物(コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムなど)が、負極には黒鉛(グラファイト)などが使用される。

このうち、コバルト酸リチウムは、最もバランスの取れた正極材料として、モバイル機器を中心に幅広く使用されているが、コバルトが高価でありかつ価格変動が大きいのが問題である。また熱暴走の危険があるため車載用への応用は安全性に課題があるといわれている。

1979年に水島公一博士が、リチウムイオンを吸収・放出するリチウムコバルト酸化物(LixCoO2)が電池陽極として活用可能であることを示した。これがリチウムイオン電池の技術的土台となり、今日では携帯電話・デジタルカメラ・ハンディビデオ・ラップトップPCなど、様々なポータブル電子機器に搭載されている。

浙江華友コバルトは、子会社の剛果東方国際鉱業(CDM)がコンゴで採掘するコバルトを中国で精製し、正極材メーカーの中国の湖南杉杉(Pulead)や北大先行科技産業(Shan Shan)、韓国のL&F新素材などに供給している。

LG Chem は浙江華友コバルトと組むことで、コバルトの安定供給を確保する。

お、コバルトを扱うGlencoreは2018年3月、中国の資源会社の格林美
(GEM Co., Ltd)に同社が販売するコバルトの約3分の1を販売することで合意した。
2017年の
Glencoreのコバルト生産量は27,400トン、販売数量は42,000トンであった。
両社の販売契約によれば、2018年は13,800トン、2019年は18,000トン、2020年は21,000トンとなっている。

格林美は中国の正極メーカーに供給する。

リチウムイオン電池用のコバルトは、下記の通り、主にコンゴ民主共和国 (旧 ザイール)で生産され、中国とフィンランドなどで地金に生産される。

浙江華友コバルトは子会社剛果東方国際鉱業(CDM)がコンゴ民主共和国で生産するコバルト原石を中国で地金に生産している。

Glencore
は 傘下のKatanga Miningコンゴ民主共和国で生産するコバルト原石を購入し、フィンランド などで地金に生産している。

Glencore傘下のKatanga Miningは2017年11月、事業を展開しているコンゴ民主共和国で、2019年に(2017年生産予定量のほぼ倍増の)最大34千トン前後のコバルトを産出する計画だと発表した。

Glencoreは、自動車・バッテリー事業者からの需要増でコバルト価格が上昇していることを受けて、コバルト生産に照準を定めている。

Glencoreによる格林美への販売で、世界のコバルトのほとんどが中国に買い占められることとなる。

コバルトの供給不足の懸念を背景に、2018年2月には、Apple Inc.が年間5~6千トンのコバルトを5年間以上にわたって直接購入すべくサプライヤーと交渉していると報じられた。
Glencoreは、コバルトについて話をしている数社のなかにAppleが含まれていると述べた。

ーーー

コバルトの主要産出国は、コンゴ民主共和国、カナダ、中国、ロシア、ザンビア、オーストラリアだが、生産量ベースで約4割、埋蔵量ベースで4〜6割がコンゴ民主共和国に偏在している。

コバルトのほとんどは銅やニッケルの副産物で、これらの価格が低迷すると、コバルトの供給も絞られる。

2013年 鉱石生産量

  コンゴ民主共和国 57,000t、カナダ 8,000t、中国 7,100t、合計 120,000t

2013年 地金生産量

  中国 36,062t、フィンランド 10,010t、カナダ 5,559t、合計 85,904t

浙江華友コバルト子会社の剛果東方国際鉱業(CDM)は2015年にコンゴ産のコバルト(手掘りのコバルトと産業鉱山のコバルトの両方)を7万2000トン輸出し、コンゴ国内で3位の鉱山会社となった。また、業界のアナリストによると、コンゴ産の手掘りのコバルトの輸出量は剛果東方国際鉱業が断トツの1位とされる。

コンゴ産の20%は手掘りで、狭い坑道の中で採掘する労働者が、致命的な事故に遭ったり、深刻な肺疾患にかかったりするリスクにさらされている。
子供がマスクなどの保護具も身に着けないまま、手掘りで働かされている。

Amnesty International は、同国で採掘されたコバルトが、中国系の加工会社、華友コバルトに渡るまでを追跡した。

Amnestyは2017年11月、コンゴ民主共和国の労働者や子どもたちが劣悪な環境で採掘したコバルトが、鉱業、精錬、部材メーカー、バッテリーメーカーというサプライチェーンを経て、電子機器や自動車の大手メーカーの製品に入り込んでいると発表した。

Amnestyは2年前、同国のコバルトをめぐるサプライチェーンを調べ上げ、いずれの企業もその人権デューディリジェンスが不十分であることを指摘したが、この2年で改善があったのはほんの一握りの企業に過ぎず、多くの企業は、同国のサプライチェーンを調べるというような基本的対応さえも手をつけていなかったとしている。

米財務省は4月13日、半期に一度の為替報告書を発表し、為替操作国に認定された主要貿易相手国はなかったことを明らかにした。

ただ、中国、ドイツ、日本、韓国、スイスを引き続き為替監視対象国に指定したほか、インドを為替監視対象国リストに追加した。

Report to Congress:Macroeconomic and Foreign Exchange Policies of Major Trading Partners of the United States

日本:

2017年の日本の対米貿易黒字は減らず、年間で690億ドルに達する。経常黒字は2010年以来の最大のGDP比4%にもなった。

日本の当局者は公に円高への懸念を口にしているが、過去6年間は外為市場に介入していない。財務省では、介入は非常に例外的な場合のみに、かつ、適切な事前協議を行ったうえでやるべきものと考える。

日本は現在の堅実な成長を利用して構造改革を行い、それにより、国内の産業を拡大し、長期的成長への道筋をつくり、財政赤字を減らし、貿易の不均衡を是正するべきだ。

中国:

米国に対し、非常に大きく、かつ継続する貿易黒字を持つ。2017年の黒字は3750億ドルに達し、前年比で280億ドルも増加した。

人民元は2017年は全般的にドルに対し元高に動いた。他の条件が等しければ対米貿易黒字を減らすのに役立つ。
しかしながら、貿易量を加重した幅広い基準でみると、人民元のベースは変わっていない。
更に、市場原理から乖離する中国経済の動向が、主要貿易相手国や長期の世界成長見通しに及ぼすリスクは増大している。

中国はマクロ経済の改革をすすめ、家計消費を拡大し、設備投資からの方向転換を行うべきだ。

財務省は、中国が為替に関するG20のコミットメントを順守し、競争的な元の切り下げを控えることが重要だと考える。

注.
2017年を通じ、人民元は対ドルでは上がっているが、13の通貨で構成される新たな人民元の指数であるCFETS指数や
BIS(国際決済銀行)通貨バスケットの為替レート指数、SDR決済通貨バスケットの為替レート指数でみると、横ばいである。2018年に入ると、これらも上昇している。

インド:

2017年第1・四半期から第3・四半期にかけて外貨購入を拡大した。通年では過去最大の560億ドルと、同国のGDPの2.2%の水準に達した。
「インドが民間資本の流出入管理を一部で継続していることを踏まえ、外貨準備の積み増しが必要なようにはみられない」との認識を示した。


ーーー

2016年2月24日、2015年貿易円滑化・貿易履行強制法成立した。

これはアンチダンピング法、相殺関税法および貿易救済法などを強化したものだが、上院の審議で為替操作国に対する措置が盛り込まれた。

第701条「米国の主要貿易相手国との為替レートおよび経済政策の取り極めの促進」に次の規定がある。

重大な対米貿易黒字実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った米国の主要貿易相手国については、マクロ経済および為替政策に関する高度な分析を行い、財務長官はこの法律制定から90日以内に、この分析で使用した諸要因を公表する。

大統領は財務長官を通して、(3つの条件を満たす)対象国と高度な二国間取り極めを開始する。

米財務省は上記②の「重大な対米貿易黒字と実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った貿易相手国」の分析に関し、次の基準で選ぶこととした。

重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上
実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上
外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入

財務省は2016年4月の報告で、3つの基準全てに当て嵌まる国はないことを確認したが、米国の主要貿易国の5カ国が3つの基準のうち2つに該当することを見つけた。
このため、新しい「監視リスト」を創設し、この5国を監視していくこととしたもの。

2016/5/2 米、日本や中国などを為替操作「監視リスト」に

その後の「監視リスト」の対象は次の通り。

日本 中国 韓国 台湾 ドイツ スイス インド
2016/4
2016/10
2017/4
2017/10
2018/4


中国は、2016/10以降は1つしか基準を超えていないが、
対米貿易黒字が膨大なため、次回の報告書でも自動的に指定される。今回も同様である。
台湾は2017/4 に1つしか基準を超えなかったが、外為市場介入で対象外となったのが一時的かどうかをチェックするため、監視国に残った。2017/10からは外れた。

今回の各国の状況は下記の通り。赤字の項目が基準を超えた項目。なお、独、伊、仏、及び英 はユーロ圏で独自の通貨がないため、「外為市場介入」は対象外。

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過去の状況

中国は、2016/10以降は1つしか基準を超えていないが、対米貿易黒字が膨大なため、次回の報告書でも自動的に指定される。
台湾は2017/4 に1つしか基準を超えなかったが、外為市場介入で対象外となったのが一時的かどうかをチェックするため、監視国に残った。

豪州国内やインドネシア、パプアニューギニアなどに石油や天然ガスの権益を有する豪州のエネルギー会社 Santos Ltd は4月3日、Harbour Energy Ltdから株式100%を104億米ドルで買収したいとのオファーを受け、前向きに交渉することとし、守秘契約を締結したと発表した。

1株4.98米ドル(6.50豪州ドル)での買収で、これは3月末までの1カ月の平均株価に30%を上乗せしたものとなる。
1株当たり 現金 4.70米ドルプラス 特別配当 0.28米ドルから成る。

これは4度目のオファーで、最初は2017年8月に1株当たり4.55豪州ドル、2度目は2018年3月22日の6.25豪州ドル、3度目が3月27日の6.37豪州ドルで、今回の6.50豪州ドルの提案は3月29日に受けた。

Harbour Energy によると、104億ドルのうち、77.5億ドルは J.P. Morgan とMorgan Stanleyからの借入金、残りはHarbour Energyと親会社のEIGのファンド及び欧州のエネルギー関連商社のMercuria Global Energy からの出資となる。

Santosの取締役会は、今回の提案は株主の利益になるものと考え、更に交渉することとした。守秘契約を締結し、Harbour Energyに対し due diligenceのための資料を提供することとした。

今後、両社の交渉が成立しても、豪州にはエネルギー供給不安から海外企業への売却は政治的問題となり、手続き上、簡単ではない。

ーーー

Harbour Energyは2014年に、EIG Global Energy Partners (1982年設立で、エネルギー分野で36か国で324件、253億ドルを投資してきたファンド)とNoble Group Limited (香港に本拠を置く資源・農産物の商社)により、グローバルにエネルギーの上流、中流部門で長期的に事業を行う会社として設立された。

Noble はHarbour Energyの経営に参加するとともに、Harbour Energyの製品の引き取り、販売でも協力する。

Harbour Energyは2017年11月に、Shell U.K からU.K. North Sea の石油・ガス資産を30億ドルで買収した。

今回の買収はこれに次ぐもの。

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Santos の社名は、South Australia Northern Territory Oil Search の略号に由来する。

Santosは豪州一帯とパプアニューギニア、インドネシアで石油、天然ガス等の採掘を行っている。

パプアニューギニアのPNG LNGや、豪州・東ティモール共同石油開発海域内 Bayu Undanガス田のDarwin LNG計画などでは日本企業も参加している。

付記

Santos は5月3日、ベトナム、インドネシア、マレーシア、バングラにもつ非コア事業を221百万ドルで Ophir Energy plc に売却すると発表した。

  • ベトナムのBlock 12W (Chim Sáo and Dua oil fields)の31.875%
  • インドネシアのMadura Offshore (Maleo and Peluang gas fields)の67.5%
  • インドネシアのSampang (Oyong and Wortel gas fields)の45%
  • マレーシアのDeepwater Block R (Bestari oil discovery)の20%
  • バングラデシュのSS-11の45%
  • ベトナムの Block 123 の50%と、Block 124 の40%

なお、インドネシアのNorth West Natuna (Ande Ande Lumut) の50% も売却対象だが、別途売却する。


PNG LNG の参加者は以下の通り。

権益比率
ExxonMobil  33.2% オペレーター
Oil Search  29.0% PRL 15、Papua LNGにも参画
Santos  13.5%
Nippon Papua New Guinea LNG
(JX 98.4%、丸紅)
  4.7%
政府  16.8%
Mineral Resources Development   2.8% パプアニューギニア政府系企業

Bayu Undan / Darwin LNG project

ConocoPhillips(56.9%)、ENI(11.0%)、Santos(11.5%)、国際石油開発帝石(11.4%)、JERA(6.13%)、東京ガス(3.07%)


なお、Santosには中国の投資会社のHony Capital (弘毅投资)が4.8%、中国の天然ガス販売会社ENNが10.3% の合計15.1%を出資しており、Santosは2017年6月に両社とStrategic Relationship agreement を締結している。

Strategic Relationship agreementは両社が15%以上の出資を続ける限り有効で、両社はSantosの将来の投資を支持し、Santos はSantos株主の利益となる限り、将来の投資に両社を参加させるよう努力するとなっている。

Hony Capital (弘毅投资)は2015年11月にSantosが借入金返済のため30億豪ドルの増資をした際に出資し、約15%の株主となった。

ENNは中国のビリオネアの王玉鎖(Wang Yusuo)が設立した企業で、CNOOCへのLNG依存を和らげるため、LNG供給元への出資を検討しており、2016年3月にHony Capitalから750百万ドルでSantosの株の11.7%を買収した。その後、ENNとHony は現在の出資比率となり、共同でSantosと提携することとした。

ENNは現在、舟山市に年間300万トンのLNGを扱う受入ターミナルを建設しており、2018年に稼働させる。

トランプ大統領は4月12日、ライトハイザー通商代表と国家経済会議のクドロー委員長に対し、TPP について「もう少し有利な協定をまとめることができるかどうか見直すように」と、アメリカに有利な条件付きで復帰を検討するよう指示した。

ウォルターズ報道官は発表文で「十分により良い取引には前向きに臨むと大統領は一貫して述べている。そのため、ライトハイザー代表とクドロー委員長により良い取引が交渉できるかどうか再検討するよう求めた」と説明した。

その後、大統領はツイッターで、「前回より十分良い内容となった場合のみTPP に参加する。米国は既にTPP 11カ国のうち6カ国とFTAを結んでおり、何年も貿易で米国に打撃を与えてきた日本ともFTAを結ぶ方向で進んでいる」と述べた。

Would only join TPP if the deal were substantially better than the deal offered to Pres. Obama.

We already have BILATERAL deals with six of the eleven nations in TPP, and are working to make a deal with the biggest of those nations, Japan, who has hit us hard on trade for years!

米国がTPP11カ国のうちFTAを結んでいるのは、カナダとメキシコ(NAFTA)、豪州、チリ、ペルー、シンガポールの6カ国。

河野外相は4月13日、「一部だけを取り出して再交渉というわけにはいかない」と述べる一方で、「本当に米国がTPPに復帰してくれるなら非常に喜ばしいことだ」と歓迎する意向も示した。

しかし、大統領の本音はTPPへの復帰ではなく、日本がどうしても避けたい日米FTAの締結である。

大統領が安倍首相との首脳会談で、まず対日貿易赤字を解消する方向での日米FTA交渉を強く求めるのではないかと思われる。

大統領は3月22日に日本に関して次のように述べた。「こんな長期間、米国をだませたとは信じられない 」と喜んでいるようだが、もうこれまでだと。

I'll talk to Prime Minister Abe of Japan and others --- great guy, friend of mine --- and there will be a little smile on their face.
And the smile is, "I can't believe we've been able to take advantage of the United States for so long" So those days are over.

安倍首相は3月9日に北朝鮮問題で大統領と電話会談をしたが、大統領はその後のtwitterで対日貿易赤字(1000億ドル)を問題視し、フェアでなく続かないと述べた。

Spoke to Prime Minister Abe of Japan, who is very enthusiastic about talks with North Korea.

Also discussing opening up Japan to much better trade with the U.S.
Currently have a massive $100 Billion Trade Deficit. Not fair or sustainable. It will all work out!

付記 

政府は日米両国の通商のあり方を議論する新たな対話の枠組みを提案する方針だと報じられた。トランプ大統領がそんな時間稼ぎの話に乗ることはあり得ない。

米財務省は4月13日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表し、対米貿易黒字が大きい日本を引き続き「監視リスト」に指定した。「日米間の巨大な貿易不均衡を懸念している」と表明している。

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TPP 参加12カ国は2016年2月4日、協定文に署名した。

日本は2017年1月20日(Trump大統領の就任日)に、閣議決定を経て、協定の国内手続の完了をニュージーランドに通報した。
ニュージーランドは2017年5月11日、手続きを完了した。(2国目)

その米国のDonald Trump 次期米大統領は2016年11月21日、ビデオメッセージを発表し、2017年1月20日の就任初日に「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から脱退する意志を表明する」と宣言した。

2016/11/23 Trump 次期米大統領、「就任初日にTPP離脱通告」を確認

Trump大統領は2017年1月23日、TPPからの離脱を宣言、米通商代表部(USTR)は1月30日、TPPからの離脱を参加各国に書簡で正式に伝達した。

  ・TPPから永久に離脱する。(再交渉の可能性も明確に否定)
  ・米国の産業を振興し、労働者を保護し、賃金を上昇させる 2国間貿易交渉を始める

これにより、参加12カ国の名目GDPの85%以上の6か国の批准による発効は不可能となった。

その後、日本が中心となり、米国を除く11カ国での交渉を行った。

米国を除く TPP 参加11カ国は2018年3月8日午後、チリのサンティアゴで新協定「TPP 11」に署名した。これを受け、各国は国内手続きに入る。

2018/3/12 TPP-11 に署名


トランプ大統領は、TPP離脱宣言で、「将来の貿易交渉はそれぞれの国と1:1(又はbilateral)のベースで行うのが政権の意図である」としているが、TPP 11の締結で米産業界からはTPP への復帰を求める声が強まっている。

大統領は2月23日、豪州の首相との共同記者会見で、「TPPは米国にとって非常に悪い取引だった」と述べ、「より良い条件が提示されれば参加する可能性はある」と述べた。

大統領の考えは、強力な圧力(韓国との改定交渉では駐韓米軍撤退も匂わせた。NAFTA改定交渉でも無理難題の提案をしている。)で米国に非常に有利なFTAを結ぶのが第一であり、TPP復帰も米国にとって有利な改定が条件である。ようやくまとまったTPPをそのような形で改定することは考え難い。

中国の習近平国家主席は4月10日、中国海南省で開催中の博鰲(ボアオ)アジアフォーラムで演説し、銀行から自動車製造まで多岐にわたるセクターを開放すると明言した。
中国が「開放の新たな段階」に入るとし、輸入拡大や製造業の外資保有制限緩和、知的財産権保護の強化を表明した。

「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」と語った。

習主席演説のポイント

・年末までに金融セクターを一段と開放
・自動車メーカーの外資保有上限を引き下げ
・自動車輸入関税を引き下げ  
・知的財産権保護を強化
・世界貿易機関(WTO)政府調達協定への参加プロセス加速を支援
・輸入拡大を促進する年1回のイベントを計画

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中国と米国の間では、米国の1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼とアルミの関税、通商法301条に基づく米国による中国の知的財産の侵害に対して発動する制裁関税に対し、中国が報復関税を表明している。

トランプ米大統領は4月5日、中国による知的財産権侵害を問題にした制裁措置を巡り、中国が500億ドル規模の米国製品を対象とする報復関税を表明したのを受け、新たに1000億ドル規模の中国製品を対象にした追加関税を検討する方針を表明した。表明済みの500億ドル分と合わせると計1500億ドルに膨らむ。

これに対し、中国商務部の報道官は4月6日、 中国は最後まで付き合う。いかなる代償も惜しくないし、必ず反撃するとの声明を発表した。

今回の米国の500億ドルの制裁関税、それに対する中国の同額の報復関税については、いずれも実施時期を明らかにしておらず、米中双方が妥協案を探る交渉が本格化するとの期待感もあったが、トランプ大統領が制裁規模の拡大検討を表明したことで、交渉の行方は不透明感が増す形になった。

2018/4/7  米、対中制裁追加を検討

トランプ大統領は追加関税を表明しながら、他方では紛争解決に意欲を示した。

4月8日にツイッターに投稿した。「習近平主席とはいつも友人だ。中国は貿易障壁を下げるだろう。」

President Xi and I will always be friends, no matter what happens with our dispute on trade.
China will take down its Trade Barriers because it is the right thing to do.

Taxes will become Reciprocal & a deal will be made on Intellectual Property.
Great future for both countries!

トランプ米大統領は、中国の習近平主席が市場開放の方針を示したことに対し、ツイッターに「関税や自動車の障壁に関する習主席の親切な言葉にたいへん感謝する」と投稿した。

Very thankful for President Xi of China's kind words on tariffs and automobile barriers...also, his enlightenment on intellectual property and technology transfers.
We will make great progress together!

ホワイトハウスのサンダース報道官も、習氏の対応について「勇気づけられた」と指摘。ただ、「中国側から具体的な行動があるか見守る必要がある」とも述べた。

中国外務省報道官は、習近平国家主席が国内経済のさらなる開放と一部製品の輸入関税の年内引き下げを発表したことについて、 自国で設定したタイムテーブルに則ったものであり、米国との貿易摩擦とは無関係だと述べた。

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中国人民銀行の易綱総裁は4月11日、金融市場の開放策を2018年6月末に実施する方針を明らかにした。

外資が証券や生命保険を営む場合、中国企業と合弁会社をつくる必要があり、現在は外資出資比率の上限が50%となっている。
2018年6月末に証券、資産運用、生命保険、商品先物で外資出資比率の上限を51%まで引き上げ、3年後に全額出資を認める。

2017年11月の米中首脳会談で約束した措置と比べると、生保は2年ほどの前倒しとなる。(中国政府は当時、51%への引き上げ時期について証券は「まもなく」、生保は「3年後」と説明していた。)

2018年末をメドに業務規制も緩める。
銀行が支店展開をしやすくなるほか、証券会社は株式注文の取り次ぎ、株式引き受けなどの業務免許を取得しやすくなる。保険では代理店業務を外資に認めるほか、保険会社を設立するまでの2年間は代表所を営む必要がある規制もなくす。中国系金融機関と比べ、差別的な取り扱いをしない原則を徹底する。

上海と香港の株式取引所で認めている相互売買についても5月1日から1日あたりの売買額を 今の4倍に大幅に増やす。

これらの多くは米国が長年、中国に要求していた内容である。

付記

国家発展改革委員会は4月17日、自動車の外資規制 (現在50%が上限)の撤廃のロードマップを明らかにした。

2018年中に、EVなどの新エネルギー車
2020年に、トラックやバスなどの商用車
2022年に、乗用車

中国での自動車生産JV数(現在、新エネ車を除き原則2社まで)も2022年に制限を撤廃

自動車以外でも、2018年末までに造船、航空機製造の外資規制を撤廃する。


 

アラブ首長国連邦(UAE)のAbu Dhabi National Oil Company (ADNOC) は4月10日、陸上の4鉱区、海上の2鉱区の合計3万平方キロという大規模な石油・ガス鉱区の開発・生産を国際競争入札にかける と発表した。

UAEの大臣でADNOCのCEOの Dr Sultan Ahmed Al Jaber は、「入札を通じてわれわれが持つ資源の潜在力を最大限に発揮し、新しい商業機会を開拓する」と狙いを語った。

ロンドン、ヒューストン、香港で順次、投資企業向けの説明会を開き、10月に応募を締め切る。欧米石油メジャーのほか、中国の国営会社などが関心を示すとみられる。

対象となるのは、海上のADMA鉱区の西側の2鉱区と、陸上のADCO鉱区を取り巻く4鉱区の合計6鉱区。ADNOC幹部は、現段階でガスや石油の埋蔵量を推計するのは難しいが「数十億バレルの石油があると見込まれる」と話した。


海上のADMA鉱区については当初の権益が相次いで期限が来たため、これまでにほとんどの鉱区で40年間の契約を新たに締結した。

国際石油開発帝石は下記の権益を確保した。

下部ザクム油田 12%→10%
上部ザクム油田 12%
ウムアダルク油田 12%→40%
サター油田(SARB) 40%

最新状況 2018/3/23 中国石油天然気集団、アブダビ沖合のADMA鉱区の権益取得 

陸上のADCO鉱区では、ADNOCの出資比率は1974年に60%となったが、他のメンバーは以下の通りであった。

BP、Shell、Exxon Mobil、Total  各9.5%、計38%
PortugalのPatex Oil and Gas 2%

これらは2014年1月に期限が到来し、新しく契約を締結した。

先ず2015年1月1日付けでフランスのTotal が10%の権益を取得した。

国際石油開発帝石(INPEXは2015年4月27日、ジャパン石油開発(JODCO)がアブダビ首長国の陸上のADCO鉱区の5%の参加権益を取得し2015年1月1日からの40年間を契約期間とする利権契約を同国政府及びアブダビ国営石油会社(ADNOC)と締結したと発表した。

2015/4/29 国際石油開発帝石、アブダビ首長国の陸上ADCO鉱区の権益取得

2017年2月にCNPCは8%の権益を取得した。

最終の権益比率は次の通り。

ADNOC 60%
Total、BP 各10%、CNPC 8%、
ジャパン石油開発 5%、中國華信能源(CEFC China Energy:中国の新興エネルギー企業) 4%、韓国 GS Energy 3%

韓国の検察は4月9日、元大統領の李明博容疑者を、総額約110億ウォン(約11億円)の賄賂を受け取るなどしたとして収賄や横領、職権乱用などの罪で起訴した。

韓国で大統領経験者が退任後に起訴されるのは全斗煥、盧泰愚と4月6日に実刑判決を受けた朴槿恵各氏に次いで4人目。初公判は5月にも開かれる見通し。

2018/4/6 朴前大統領に懲役24年の実刑判決

李容疑者は3月22日に逮捕されて以来、取り調べを拒否していたが、4月9日の声明で「検察は李明博政府がしたことは悪であり、積もり積もった弊害とみなした。文在寅政権の当初から『李明博が目標だ』という言葉は聞いていた」と、一連の捜査は「政治報復」であると主張した。

検察は特定犯罪加重処罰等に関する法律上の収賄、脱税と、特定経済犯罪加重処罰等に関する法律上の横領、職権乱用、政治資金法違反、さらに大統領記録物管理法違反など 計16の罪状で起訴した。

・ 大統領就任前から自身が所有する自動車部品会社 DAS を秘密資金づくりに利用し、総額約349億ウォンを横領
、法人税31億ウォンを脱税
・ DASの米国での訴訟費用(後記)約67億7千万ウォンを韓国最大の財閥サムスングループに負担させ、見返りに不正資金事件で背任罪が確定していた李健熙会長を特別赦免するなどの便宜を図った。
国家情報院の資金10億ウォンの上納を受けたり、公認献金などとして36億ウォンを受けて不法選挙資金・家族の生活費などとして私的に使ったことなど、収賄額は計約111億ウォン。

サムスンの李前会長は2009年8月、背任と脱税の罪で懲役3年・執行猶予5年が確定した。
しかし、政府は同年12月29日の閣議で特別赦免を決めた。李明博大統領は、「国家的な観点から赦免を決心することになった」と述べた。2018年に冬季オリンピックを江原道・平昌に招致するには、李前会長が IOC委員として活動することが欠かせないとする強い要望があったことを理由とした。

付記 横領や収賄罪などに問われている李明博元大統領の判決公判が10月5日、ソウル中央地裁であった。地裁は懲役15年、罰金130億ウォン(約13億円)を言い渡した。


DASの米国での訴訟は次の通り。

2001年に投資運用会社BBKの株価操作事件が発生した。

2007年に、この事件に李明博大統領候補(当時)がかかわっていた疑惑で検察が調査したが、嫌疑なしとなった。
2007年12月に李明博が大統領選挙で当選した。

BBKのキム元代表はBBKの後継会社のオプショナルベンチャーズの金を横領し、米国に逃亡した。

自動車部品会社DASは株価操作で被害を受けたとして、米国に逃亡したキム元代表を相手に8年間にわたって訴訟を行い、2011年2月に140億ウォンを取り戻した。
DASには李明博の甥が役員に入っている。

李元大統領はその過程において、大統領府や外交部を利用しDASを支援したとして職権乱用の疑いが持たれている。


2017年10月に、BBK株価操作事件の被害者であるオプショナルの代表が李元大統領を職権乱用容疑で告発し、検察が本格捜査に乗り出した。

ソウル中央地検は2018年2月8日、ソウルにあるサムスン社屋と同社の元副会長の自宅を家宅捜索した。
検察はDASの投資金返還訴訟の費用を、サムスンが肩代わりしたとの情報を得たとされる。
サムスンとDASに特別な利害関係はない。


サウジで、高機能化学品プラントが相次ぎ生産を開始した。

1) PetroRabigh(SaudiAramco / 住友化学): m-MMA、p-MMA、ナイロン6、EPDM

PetroRabighは1月7日、建設中の第二期計画の12計画のうち、次の10計画がオンスペックとなったと発表した。

キュメン、フェノール、MTBE / イソブチレン、メタセシス(C4→C3)、ナフサ改質、
m-MMA、p-MMA、LDPE、TPO、ナイロン6

2018/1/10 PetroRabigh 第2期の完工間近

同社は3月28日、残る芳香族とEPDM もオンスペックとなったと発表した。これで第二期計画がすべてスタートした。

なお、下図のアクリル酸以降の製品についても検討している。

なお、Lanxess とSaudi Aramco の合成ゴムのJV ARLANXEOは2月5日、PetroRabighのEPDMを販売すると発表した。

同社のブランド"Keltan"に Kingdom of Saudi Arabiaを示す "KSA"を付け、"Keltan KSA"のブランドで全世界で販売する。

ARLANXEO は2016年4月1日に発足した。

2015/9/28 LANXESS、合成ゴム事業をSaudi Aramco とのJV化


2) The Saudi Methacrylates Company (SABIC / 三菱ケミカル):m-MMA、p-MMA


三菱ケミカルは4月4日、同社とSABICのJVのThe Saudi Methacrylates Company が4月2日から「新エチレン法(アルファ法)」を用いた世界最大規模の m-MMAとp-MMAの本格運転を開始したと発表した。

三菱レイヨンは2011年5月31日、SABICとの間で合弁会社設立を目的とする契約を締結することで合意したと発表した。 

本プロジェクトは当初、Saudi International Petrochemical Company (Sipchem) がJubailでの第三期として計画していたもので、エチレン100万トンと、PE、PP、m-MMA 25万トン(Lucite法)、ANM 20万トン(Ineos法)を考えていた。

その後2008年6月に、同社はエチレン、PE、PP計画を取り止めた。

2009年5月に、SABICとSipchem は、それぞれの新計画の実施に当たり、互いに既存の余剰能力を出して協力する覚書に締結した。

2009/5/11  サウジのSABICとSipchem、新プロジェクトで相互協力の覚書

MMA計画はSABICと三菱レイヨン(当時)、ANMはSABICと旭化成で実施することとなった。

2009/8/7 三菱レイヨン、サウジでMMA 

2011/4/28  旭化成、サウジでのアクリロニトリル事業化のため合弁会社設立 

なお、三菱レイヨンは2008年11月、世界最大手のMMAメーカー Lucite の発行済み株式の全てを取得し、連結子会社化するための株式売買契約を締結すると発表した。

2008/11/14 三菱レイヨン、Lucite を買収

2014年6月9日、The Saudi Methacrylates Companyが設立された。

 場所 :Al-Jubail
 出資者:
三菱レイヨン 50% (三菱レイヨン100%の日本サウディメタクレート合同会社を通じて出資)
     SABIC    50% 

 能力 :m-MMA 25万トン ルファ法
     p-MMA 4万トン

三菱化学、三菱レイヨン及び三菱樹脂の3社は2017年4月1日に統合した。


3) National Methanol Company (Ibn Sina) : ポリアセタール(POM)

中東及びアフリカ地区で最初のポリアセタール(POM) の年産5万トンプラントの生産開始を祝う式典が4月5日にJubail のNational Methanol Company (Ibn Sina)のサイトで開かれた。


IBN SINAは1981年にSABICが50%、CTE 50%で設立された。

CTEはCelanese A.G. 子会社のElwood Insurance とPanEnergy子会社Texas Eastern Transmission の均等出資であったが、PanEnergyはDuke Energyに吸収合併され、その後、Celaneseが50%、Duke Energyが50%となった。(POM完成後はCelanese 65%、Duke Energyが35%となる予定)

当初、メタノール 90万トン、MTBE 70万トンを建設、1985年に生産を開始した。現在のメタノール能力は110万トン。

SABICとCelaneseは2010年4月1日、サウジのJubail Industrial City のNational Methanol Co. (IBN SINA)で年産5万トンのポリアセタール(POM)を建設する契約を締結したと発表した。

SABICは2020年にglobal leader になるという2020 Strategic Plan を持っているが、POM事業は機能性化学品でSABICの位置を高めるというStrategic Planの重要な部分であり、また、自動車や先端産業に進出する契機にもなるとしている。

2010/4/7 SABIC、ポリアセタールに進出

 

ソフトバンクグループは4月6日、カナダでリチウムの採掘および精錬を行うNemaska Lithium Inc.(本社 ケベック州)の全発行済株式の最大9.9%を出資する契約を締結したと発表した。

Nemaskaは、リチア輝石の採掘から高純度の水酸化リチウムと炭酸リチウム製品化まで垂直統合した事業を行う企業で、製品化されたリチウム塩は主に、世界的なEVと蓄電池の需要増加により急成長するリチウムイオンバッテリー市場へ提供される。

Nemaskaは、量、グレードともに世界で最も豊富なリチウム原石であるリチア輝石の可採掘埋蔵量を有するカナダ・ケベック州のWhabouchiで事業を開始する予定。

Whabouchi 鉱山で集中的に採掘されるリチア輝石は、Nemaskaが特許技術を有する独自の膜電解処理を行うケベック州のShawinganの施設で精錬される。

採鉱から選鉱、精錬による製品化工程を経た高純度の水酸化リチウムおよび炭酸リチウムの商業生産開始を、2020年後半に予定している。


Whabouchi の可採掘埋蔵量は約33年、精錬プロセスを経てShawinganで製造される年間リチウム生産量は3.3万トン以上と見込まれている。

ソフトバンクグループが Nemaskaの発行済み株式を少なくとも5%以上保有する限り、毎年の年間生産量のうち、最大20%を長期間にわたり購入する権利を有することになる。

ソフトバンクグループの本取引は、情報通信事業におけるスマートフォンの継続的な需要増加や、今後見込まれる電気自動車時代のモビリティー革命到来に向けて、リチウム資源の開発を通じてバッテリー市場の成長に貢献することを目的としている。

孫 正義 会長兼社長は、「Nemaskaへの出資は、当社グループの戦略上、極めて重要な一手です。テクノロジーとエネルギーの融合により、IoTやEV時代のモビリティー革命をさらに推し進めていけることを大変うれしく思います」と述べた。


付記

Nemaska Lithium Inc.は2019年12月23日、ケベック州高等裁判所に日本の会社更生法に相当する企業債権者調整法(Companies' Creditors Arrangement Act :CCAA)の適用を申請すると発表した。

ネマスカも2019年に入り資金繰りが急速に悪化。ケベック州内で進めていた採掘・製錬場の新規開発案件などが暗礁に乗り上げていた。CCAAの申請により、債権者保護を取り付けた上で追加資金の調達を進め、事業再建を目指す。資産売却や合弁化の可能性も検討するとしている。

リチウム価格は2015年冬から17年冬にかけて上昇。相場の指標となる炭酸リチウムの中国国内の価格は2018年4~5月時点で1トン14万8500元前後と高値圏で推移していた時に、ソフトバンクGは出資を決めた。

だが足元の価格は5万1000元前後と、直近のピークである17年11月の17万1000元前後から70%安く、15年10月以来の低水準に沈む。ネマスカは19年に入り資金繰りが急速に悪化した。

各地で開発計画が相次ぎ立ち上がり、2018年の世界生産量は8万4700トンと24%増えた。消費は20%増の4万7600トンにとどまり供給過剰。


トランプ米大統領は4月5日、中国による知的財産権侵害を問題にした制裁措置を巡り、中国が500億ドル規模の米国製品を対象とする報復関税を表明したのを受け、新たに1000億ドル規模の中国製品を対象にした追加関税を検討する方針を表明した。
表明済みの500億ドル分と合わせると計1500億ドルに膨らむ。

声明で「中国は自らの不正を正すのではなく、報復関税で米国の農業や製造業に損害を与える道を選んだ」と批判した。

これに対し、中国商務部の報道官は4月6日、下記の内容の声明を発表した。

米国が単独主義と保護貿易主義を堅持するならば、中国は最後まで付き合う。いかなる代償も惜しくないし、必ず反撃する 。
我々は貿易戦争をやりたくないが、怖がってもいない。必ず総合的な対応策を取り、国家と人民の利益を断固守る 。

今回の米中貿易摩擦は米国側が一方的に起こしたもので、本質的には米国の単独主義による多角的貿易体制への挑戦、米国の保護主義による自由貿易体制への挑戦だ。
中国は多角的貿易体制を擁護し、世界の貿易投資の自由化と利便性向上を推進する。

今回の米国の500億ドルの制裁関税、それに対する中国の同額の報復関税については、いずれも実施時期を明らかにしておらず、米中双方が妥協案を探る交渉が本格化するとの期待感もあった が、トランプ大統領が制裁規模の拡大検討を表明したことで、交渉の行方は不透明感が増す形になった。

付記

トランプ大統領は追加関税を表明しながら、他方では紛争解決に意欲を示した。4月8日にツイッターに投稿した。「習近平主席とはいつも友人だ。中国は貿易障壁を下げるだろう。」

President Xi and I will always be friends, no matter what happens with our dispute on trade.
China will take down its Trade Barriers because it is the right thing to do.

Taxes will become Reciprocal & a deal will be made on Intellectual Property.
Great future for both countries!


米中の制裁、報復の経緯は次の通り。


(1962年通商拡大法232条)

 米国

トランプ米大統領は3月1日、鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限を発動する方針を表明、3月8日午後、鉄鋼とアルミニウムに輸入制限の発動を命じる文書に署名した。

鉄鋼には25%、アルミには10%の追加関税をかける。

2018/3/3 トランプ大統領、鉄鋼とアルミに追加関税、日本も対象

2018/3/9 トランプ大統領、鉄鋼・アルミの輸入制限発動を命令

 中国

中国国務院は4月1日、米国が通商拡大法232条に基づき、中国産の鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限したことへの対抗措置として、米国産の豚肉やワインなど計128品目に最大25%の関税を上乗せすると発表した。4月2日から実施した。

15%上乗せ 120項目 10億ドル
25%上乗せ  8項目 20億ドル

2018/4/2 中国、対米報復関税を発動

通商法301条

 米国

USTRは4月3日、中国の知的財産の侵害に対して発動する制裁関税の原案を公表した。

産業用ロボットなど生産機械を中心とした約1300品目に25%の関税を課す。米国の消費者への悪影響を抑えるためスマホや衣料品など輸入額の大きい消費財は除いた。

対象品目の2018年の想定輸入額は500億ドルで、中国からの輸入額の約1割に相当する。(2017年の輸入額は5065億ドル)

 中国

中国商務部は4月4日、公告34号を出し、米国の違法な行動から中国の権利を守るため、中国の対外貿易法や国際法の基本原則に基づき、米国産の大豆やその他の農産物、自動車、化学品、飛行機など計106品目(2017年の輸入額は約500億ドル)に25%の関税をかける方針を発表した。

対象は、大豆、棉花、トウモロコシ、小麦、牛肉、たばこ、乗用車、試薬、ポリアミド、飛行機、その他。
石油化学品では、EDC、アクリロニトリル、LDPE、PVC(310千トン)、アクリル重合体、ポリアセテール以外のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、その他のポリエステル、ポリアミド、シリコーン、酢酸セルロースなどを含む。

2018/4/5 USTR、通商法301条に基づく対中制裁関税案を発表、中国も対抗措置を発表

 米国

トランプ米大統領は4月5日、中国による知的財産権侵害を問題にした制裁措置を巡り、新たに1000億ドル規模の中国製品を対象にした追加関税を検討する方針を表明

 中国

中国商務部はこれに対し、下記の声明

「米国が単独主義と保護貿易主義を堅持するならば、中国は最後まで付き合う。いかなる代償も惜しくないし、必ず反撃する」


4月に入り、トランプ大統領は不法移民問題でツイッターを連発している。

本年も、「キャラバン」と呼ばれるホンジュラス出身者を中心とする約1500人の移民の一団が、貧困や暴力問題など、本国で置かれた窮状を訴えるため、メキシコ南部からデモ行進を開始した。

キャラバンによるデモ行進は2010年以降、定期的に開催されていたが、主催者は今年のキャラバンの規模、そして注目度の高さに驚いている。
(最初のキャラバンは2010年、米テキサス州と国境を接するメキシコ・タマウリパス州で中米からの不法移民70人以上が麻薬カルテル「セタス」に誘拐、殺害されたことを受けて開催された。)

その多くは、米国までたどり着き、新しい人生を始めたいと語るが、トランプ米大統領がほぼ毎日のように、キャラバン批判を展開するなか、米国との国境から数百マイル離れた小さなメキシコ南部の集落で、大部分が歩みを止めた。

メキシコ当局者は不法移民は認めていない。大半のキャラバン移民に対し、期間20日のメキシコ通過ビザか、メキシコで難民申請するための期間30日の人道ビザを提供している。


トランプ大統領のツイッターでの発言要旨は下記の通り。

 ・ メキシコは不法移民が米国に入らないよう対策を取れ。さもないと、NAFTAをやめる。

 ・ 米議会はなんとしても、早く、国境法を通せ、さもなければ、国境の壁を作れ。

 ・ DACAは悪用されている。DACAはもうおしまいだ。

トランプ米大統領は4月3日、不法移民の流入を阻止するため、メキシコとの国境に米軍を派遣する考えを示した。「壁と適切な警備が実現するまで、軍で国境を守る」と述べ、マティス国防長官と協議を進めていることを明らかにした。4月4日にメキシコ国境の警備に州兵部隊を動員するよう国土安全保障省と国防総省に指示する文書に署名した。


ツイッター:

  米国の国境法はメキシコやカナダと違って弱い。民主党が不法移民を入れている。犯罪だ! 本日、強力なアクションをする。

Our Border Laws are very weak while those of Mexico & Canada are very strong. Congress must change these Obama era, and other, laws NOW!
The Democrats stand in our way - they want people to pour into our country unchecked....CRIME!

We will be taking strong action today.

なお、キャラバンは動きを止めたが、トランプ大統領はメキシコ政府に感謝した。トランプ政権の努力の結果、不法入国が46年ぶりの低水準だと誇るが、まだまだだとする。

The Caravan is largely broken up thanks to the strong immigration laws of Mexico and their willingness to use them so as not to cause a giant scene at our Border.

Because of the Trump Administrations actions, Border crossings are at a still UNACCEPTABLE 46 year low. Stop drugs!

ーーー

トランプ米大統領は4月1日、中米からメキシコを通って米国に向かう不法移民に関して「メキシコは何の対策も取っていない」とツイッターで批判した。
「メキシコは人と薬物の大きな流入を食いとめるべきだ。さもなければ彼らのドル箱(cash cow)である北米自由貿易協定(NAFTA)をやめる」と貿易協定の離脱をちらつかせて圧力をかけた。

Mexico is doing very little, if not NOTHING, at stopping people from flowing into Mexico through their Southern Border, and then into the U.S.
They laugh at our dumb immigration laws. They must stop the big drug and people flows, or I will stop their cash cow, NAFTA. NEED WALL!

その後も、メキシコはNAFTAで儲けているので、米議会が対応するまでの間、その金を使って不法移民がメキシコを通って米国に入るのを止めてくれと述べた。

Mexico is making a fortune on NAFTA...They have very strong border laws - ours are pathetic.
With all of the money they make from the U.S., hopefully they will stop people from coming through their country and into ours, at least until Congress changes our immigration laws!

トランプ大統領は野党・民主党にも批判の矛先を向けた。「国境で捕まえた不法移民を釈放する (Catch & Release)ような(民主党の)ばかげた法律のせいで国境警備の職員が正しい仕事をできない」と主張。幼少期に親と不法入国した若者の強制送還を猶予する制度「DACA」 が悪用されているとした。

Border Patrol Agents are not allowed to properly do their job at the Border because of ridiculous liberal (Democrat) laws like Catch & Release.

These big flows of people are all trying to take advantage of DACA . They want in on the act!

「DACA」について は、民主党が熱心でないため(メキシコとの壁との交換条件に乗らなかった)もう終わりだとし、壁をつくるべきだとする。
民主党は壁を拒否するので、麻薬と犯罪が入ってくるとする。

DACA is dead because the Democrats didn't care or act, and now everyone wants to get onto the DACA bandwagon... No longer works. Must build Wall and secure our borders with proper Border legislation. Democrats want No Borders, hence drugs and crime!

大統領は4月2日、「キャラバン」が米国境を目指していることに怒りを表明し、メキシコ政府や米議会を激しく非難した。

大統領はメキシコに対し、きちんと機能しているメキシコの国境法を使って、キャラバンがメキシコに入るのを止めろと述べる。

Mexico has the absolute power not to let these large "Caravans" of people enter their country. They must stop them at their Northern Border, which they can do because their border laws work, not allow them to pass through into our country, which has no effective border laws.....

一方、議会には、麻薬と不法移民を止めるため、必要なら上院のフィリバスターを無視する核オプション(Nuclear Option) を使ってでも国境法を成立させろとする。

ホンジュラスやメキシコや他の国々は、米国が彼らに寛大であるのに、米国の弱い移民政策を利用して人を送り込んでくる。キャラバンがやってくる。厳しい法をつくり、壁を作るべきだ。

ホンジュラスからのキャラバンは国境に向かっている。キャラバンが到着する前に止めるべきだ。NAFTAはメキシコのドル箱だし、ホンジュラスや他の国々には支援をしているのに。議会よ、すぐ動け!

米国の法は不法移民を送り返すこともできない。メキシコやカナダは厳しい国境法を持つのに、米国の法はオバマ大統領のジョークだ(Obama joke)とし、議会に動け!と述べた。

Congress must immediately pass Border Legislation, use Nuclear Option if necessary, to stop the massive inflow of Drugs and People. Border Patrol Agents (and ICE) are GREAT, but the weak Dem laws don't allow them to do their job. Act now Congress, our country is being stolen!

Honduras, Mexico and many other countries that the U.S. is very generous to, sends many of their people to our country through our WEAK IMMIGRATION POLICIES. Caravans are heading here. Must pass tough laws and build the WALL. Democrats allow open borders, drugs and crime!

The big Caravan of People from Honduras, now coming across Mexico and heading to our "Weak Laws" Border, had better be stopped before it gets there. Cash cow NAFTA is in play, as is foreign aid to Honduras and the countries that allow this to happen. Congress MUST ACT NOW!

WE WILL PROTECT OUR SOUTHERN BORDER!

As ridiculous as it sounds, the laws of our country do not easily allow us to send those crossing our Southern Border back where they came from. A whole big wasted procedure must take place. Mexico & Canada have tough immigration laws, whereas ours are an Obama joke. ACT CONGRESS


財閥グループからの収賄罪などに問われた韓国の朴槿恵前大統領(66)に対する判決公判が4月6日開かれ、ソウル中央地裁は懲役24年、罰金180億ウォン(約18億円)の実刑判決を言い渡した。

付記

朴槿恵前大統領は4月16日、控訴を放棄する書面を地裁に提出した。
検察は一審の一部の判決や量刑を不服として控訴しており、二審は行われる。

聯合ニュースは、朴氏が「政治報復の裁判」という主張を貫くため控訴を断念したとの見方を伝えた。

付記

朴槿恵前大統領の控訴審判決公判が8月24日、ソウル高裁であり、懲役25年、罰金200億ウォンを言い渡した。

検察は朴被告がサムスングループの経営権継承を支援する見返りにサムスンから433億ウォンの賄賂を受け取ったなどとして、懲役30年、罰金1185億ウォンを求刑していた。

高裁はサムスンが朴被告の共犯である崔順実被告の娘が乗馬選手として活動する費用を提供したことを一審判決どおり朴被告の収賄と認め、崔被告が関わった組織への資金支援も新たに収賄と判断。一審より量刑を重くした。

同高裁は崔被告にも懲役20年、罰金200億ウォンを言い渡した。一審判決より罰金が20億ウォン増えた。

大統領経験者で有罪判決を受けたのは、全斗煥、盧泰愚両氏に続き3人目。

全斗煥:光州事件や不正蓄財疑惑で訴追されて死刑判決を受けたが、金大中の計らいで、減刑の後、特赦。

盧泰愚:大統領在任中に総額2000億ウォンを超える巨額の収賄をしていた疑いで起訴され、さらに1979年12月の粛軍クーデター(軍反乱罪)から1980年5月の光州事件(内乱罪)に至る一連の責任者として追起訴された。最終的に懲役17年、収賄罪に対しては追徴金2629億ウォンが確定した。その後、特別赦免により釈放。

起訴状などによると、
・ 朴被告は親友の崔順実被告と共謀し、財閥企業などに対し、事実上崔被告が私物化していた財団に約774億ウォンの拠出を強要した。
・ サムスン電子副会長の李在鎔被告がサムスングループの経営権継承に絡み財団などに拠出することを約束した約433億ウォンの一部を賄賂として受け取った。
・ 韓国ロッテグループの重光昭夫(辛東彬)会長からも免税店事業認可に絡み、約70億ウォンの賄賂を受けた。
・ さらに、崔被告と共に民間企業の人事に介入した職権乱用や公務上機密漏えい、前政権に批判的な文化人らをまとめた「ブラックリスト」の作成などに関わったなど合計18の事件で罪に問われた。

2月27日のソウル中央地裁での論告求刑公判で、検察側は懲役30年、罰金1185億ウォンを求刑した。

検察側は一連の事件について、共謀関係とされる親友の崔順実に国政運営を預け、「憲政秩序を損ない、国家の信頼を傷つけ、国内に混乱と分裂を招いた」と指摘。また、「反省と謝罪の意思がなく、国政介入の責任を全面的に崔被告や側近に押し付けている」と厳しく批判した。

判決は次の通り。(共謀関係とされる崔順実被告は2月13日の判決)

共謀関係とされる崔順実被告は懲役25年、罰金1185億ウォンを求刑され、2月13日 の1審で懲役20年、罰金180億ウォンの実刑判決を言い渡された。

2018/2/13 朴前大統領親友に懲役20年、ロッテ重光会長も実刑 

贈賄罪側のサムスン電子副会長の李在鎔被告は、2017年8月の一審では5つの起訴事実すべてが有罪で懲役5年の実刑判決を受けたが、ソウル高裁は2018年2月5日、地裁判決を破棄し、新たに懲役2年6カ月、執行猶予4年を言い渡した。李被告は約1年ぶりに釈放された。

2018/2/5 サムスントップ釈放

免税店事業認可に絡み、朴被告の要請で「Kスポーツ財団」に70億ウォンを賄賂として提供したとして贈賄罪で在宅起訴された韓国ロッテグループの重光昭夫(辛東彬)会長に対しては懲役2年6月の実刑判決を言い渡した。実刑判決で身柄を拘束されたため、グループの経営に支障が出る懸念もある。

会長はロッテグループの企業内の不正事件で懲役1年8カ月、執行猶予2年の判決を受けており、今回の有罪で執行猶予が無効となり、懲役は合計4年2か月となる。

New York のU.S. District Courtでの9.11同時多発テロの犠牲者遺族等がサウジアラビア政府に賠償金を求めている裁判で、サウジ政府は、サウジ当局の共謀の証拠はないとして訴えの却下を求めていた。

George Daniels判事は3月28日、サウジ政府のこの要求を却下した。

判事は、原告側の訴えは 2016年の「テロ支援者制裁法(Justice Against Sponsors of Terrorism Act =JASTA」の下で、この裁判所が 裁判を進めるための合理的根拠を、かろうじて明確にすることができた("narrowly articulate a reasonable basis" for him to proceed )と述べ、裁判の管轄権があるとして、裁判を進めることとした。

この訴訟は、サウジ政府が9.11攻撃を行ったハイジャッカーを事情を知りながら支援したとし、また、政府が関与する慈善団体の寄付によりal-Qaedaが勢力を高める原因となったとして、数十億ドルの賠償を求めている。

原告側の弁護士は、ワシントンのサウジ大使館の館員の数名が攻撃を実行したメンバーの支援をしていたとする証拠を提出した。

問題の慈善団体「ボスニア・ヘルツェゴヴィナ援助のためのサウジアラビア最高委員会」は、1993年に サウジのSalman王子(第7代・現国王)により設立され、当時のFahd 国王(第5代)に支持された公益財団で 、2001年に解体されるまでにユーゴスラビア紛争の被害を受けたボスニアのイスラム教徒に対して6億ドルの支援を行ったとされている。
後にサラエヴォのアメリカ大使館への攻撃を企てたとしてグアンタナモ湾収容キャンプに拘留された6名のアルジェリア人のうちの2名がこの慈善団体に雇われていたことが分かっている。

更に、サウジの2つの銀行、National Commercial Bank とAl Rajhi Bank、および bin Laden一家が支配する建築会社Saudi Binladin Group も攻撃に資金面で支援したとして訴えている。

ーーー

米国には、テロリズム支援国以外には法的免除を与えた1976年の外国主権免責法(Foreign Sovereign Immunities ActFSIA)がある。

9.11同時テロではテロ実行犯19人のうち15人がサウジ国籍だった。

同時テロの遺族はサウジ政府を連邦裁判所に提訴したが、外国政府の免責特権を理由に審理されなかった。

このため、2016年に同時テロに関与した外国政府への損害賠償請求を可能にする法案「テロ支援者制裁法(Justice Against Sponsors of Terrorism Act (JASTA)が提出され、上院は5月17日に全会一致で、下院は9.11 直前の9月9日に賛成多数で可決した。

テロリストグループに関与した疑いのあるサウジアラビアおよびその他の国が、アメリカの裁判所で法的免除を行使することを禁じる内容で、1976年の外国主権免責法を超越する法案である。
Hillary Clinton とDonald Trump の両大統領候補もこれを支持した。

オバマ大統領は拒否権を発動したが、これを受け、米上下院は9月28日、上院は 97対1、下院は 348 対77 の賛成多数で再可決し、拒否権を覆して法案は成立した。

サウジのジュベイル外相は、裁判で多額の賠償を命じられて在米資産が接収されるのを防ぐためには米国債その他のドル建て資産を売却せざるを得なくなる、と米議会に警告した。法案が成立すれば、サウジは最大で7500億ドルのドル建て資産を手放すことを余儀なくされるという。

オバマ大統領は、これを「過ち」とし、海外にいる外交官や米兵などは今は国家主権による免責特権で守られているが、今回の法成立を受けて、彼らの行動について外国の市民が米国に法的責任を問うようになるかもしれないと指摘した。

CIA長官は、これにより最も失うのは米国であり、CIA が最大のリスクを負うと述べた。また、サウジはテロ攻撃を防ぐための情報を最も提供している国であり、この法律がテロ対策での米国との関係に悪影響を与えるのは"absolute shame"であると述べた。

国防長官も、外国が仕返しとして米国の免責特権を制限した場合の影響を警告し、アメリカ人が訴訟される可能性や、米軍基地を含めた在外の米国政府の資産へのリスクがあると述べた。


2016/10/1 米同時テロ遺族のサウジ提訴法案、大統領拒否権を覆し成立

今回のGeorge Daniels判事の判断は、このテロ支援者制裁法に基づき、「かろうじて」サウジ政府を被告とする裁判を続行するというものである。
サウジ政府の事件への関与があったかどうかは今後の裁判の進行による。

サウジ政府はこれまで、サウジ市民が攻撃に関与していたという証拠を原告側が証明できる筈がないと主張している。
しかし原告側弁護士は、今後の「Discovery手続」により証拠を開示させ、真実が明らかになり、サウジの役割を証明できるとしている。

サウジの2つの銀行とSaudi Binladin Group への訴えについては、判事は管轄権を持たないとして却下した。

慈善団体「ボスニア・ヘルツェゴヴィナ援助のためのサウジアラビア最高委員会」についても、原告側の「連座での有罪」という主張を却下した。

ーーー

裁判はこれからで、紆余曲折が予想される。仮に有罪の可能性が出てきた場合、サウジ政府の対応が問題である。

テロ支援者制裁法の制定時のオバマ政権の懸念(米国の免責特権の制限)や、サウジによる米国債や在米資産の売却、ドル建て石油取引(PetroDollar体制)の変更など、影響は大きい。

PetroDollar体制:

1971年8月15日、ニクソン大統領は、ドルと金の交換を停止した。

ニクソンはキッシンジャーをサウジに派遣し、以下の交渉を行わせた。 

・米はサウジを防衛する。どんな兵器も売る。サウジ王家を未来永劫に保護する。 

・見返りに ①サウジの石油販売を全てドル建てにする。②サウジの貿易黒字で米国財務省証券を購入する。       

サウジはこれを受け入れ、1974年に調印された。
その後、OPECの他のメンバーもドル建て取引を採用し、ドルが世界通貨となった。

2015/8/10 "The Colder War"

USTRは4月3日、通商法301条に基づき、中国の知的財産の侵害に対して発動する制裁関税の原案を公表した。

トランプ大統領の中国の知財侵害に制裁関税を課すよう指示した大統領令に基づく。

2018/3/23 トランプ大統領、中国の知財侵害に制裁関税を指示

産業用ロボットなど生産機械を中心とした約1300品目に25%の関税を課す。米国の消費者への悪影響を抑えるためスマホや衣料品など輸入額の大きい消費財は除いた。

対象品目の2018年の想定輸入額は500億ドルで、中国からの輸入額の約1割に相当する。(2017年の輸入額は5065億ドル)

  全リスト https://ustr.gov/sites/default/files/files/Press/Releases/301FRN.pdf

5月15日まで企業など一般から意見を募ったうえで対象品目を確定し、トランプ大統領が発動の是非を決める。

主な対象製品は下記の通り。

材料 鉄、アルミ、化学品、医薬品
生産機械 産業用ロボット、旋盤、射出成型機、金型、製紙機械、縫製機械
航空宇宙・輸送機器 航空機、ヘリコプター、航空機部品、自動車、バイク、船舶
重工業 タービン、コンプレッサー、ブルドーザー、ショベルローダー
医療機器 医療機器
部品 モーター、ヒューズ、プリント基板
電化製品 食洗器、磁気メディア、光ディスク、LED


対象品目は産業機械や航空・宇宙など中国が重点投資する産業から選び、他の国から代わりに輸入できないような製品を除いた。

大型飛行機や通信衛星のように昨年米国への輸入のなかったものや、武器のように輸入がほとんどあり得ないものなど、200品目以上が対象に含まれている。

スマホやラップトップパソコン、衣服や靴、おもちゃなど輸入額が大きい消費財は除外した。

しかし、フラットパネルTV(2017年の輸入39億ドル) や3リッター以下の電気及びガソリン自動車(同14億ドル)は対象となった。中国で組み立てられ米国で販売されているGMのSUVのBuick Envision や吉利汽車のVolvoなどが対象となる。

ライトハイザーUSTR代表は「中国の輸出に最大限の損害を与える半面、米国の消費者への影響を最小限にする」とするが、米国の産業界では、中国の部品に依存するサプライチェーンに影響を与え、最終的に米国の消費者の購入価格が上がることとなるとしている。


トランプ政権は制裁関税の詳細を詰めるのと同時に、制裁回避を求める中国との交渉も進める。

米国は知財侵害対策に加えて、1000億ドルの貿易赤字の削減策を求めており、中国政府は天然ガスや半導体、自動車などの輸入増で応じる構えを示している。

別途、中国商務部は本年1月には、ハイテク製品の対中輸出を制限する米国の規制が米国の対中貿易赤字の原因になっているとの認識を示した。

2018/3/19 トランプ政権、貿易赤字解消に躍起、対中貿易赤字1000億ドル削減を要請 

米政権は通商交渉で納得できる合意に達した場合、関税発動を取りやめる考えを示唆している。

ーーー

米国が通商法301条に基づき関税25%をかける中国製品1300品目を公表したことを受け、中国商務省の報道官は4月4日、「米国のやり方は典型的な単独主義で貿易保護主義。中国は激しく責任を問い、断固として反対する」と表明。「米国の利益にも中国の利益にも世界の利益にもならない」と強調した。


そのうえで「米国のやり方はWTOの基本原則や精神に著しく違反しており、中国はWTOでの紛争解決手段に訴える」と表明した。

同時に中国対外貿易法に基づき、米国製品に同じ規模での報復措置を準備しており、近く発表するとした。

この発表の直後に、中国商務部は公告34号を出し、米国の違法な行動から中国の権利を守るため、中国の対外貿易法や国際法の基本原則に基づき、米国産の大豆やその他の農産物、自動車、化学品、飛行機など計106品目(2017年の輸入額は約500億ドル)に25%の関税をかける方針を発表した。

対象は、大豆、トウモロコシ、棉花、小麦、牛肉、たばこ、乗用車、試薬、ポリアミド、飛行機、その他。

全リスト http://images.mofcom.gov.cn/www/201804/20180404161059682.pdf

付記 
石油化学品では、
EDC、アクリロニトリル、LDPE、PVC、アクリル重合体、ポリアセテール以外のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、その他のポリエステル、ポリアミド、シリコーン、酢酸セルロースなどを含む。

SMやEGは含まれていない。

人民日報は追加関税の実施時期について、「米国の(制裁の)実施状況をみて、別に発表する」と伝えている。

中国では、以下の点から、大豆の輸入制限を切り札とみている。昨年の米国産大豆の輸入額は139億ドルに達する。

アメリカの大豆輸出依存度は高く、生産量の40%以上を輸出しており、その内の60%以上が中国市場向けである。アメリカの大豆生産の95%以上が中西部の農業生産地域にあり、このうち8つの農業州がトランプを大統領選で勝利に導いた重要な票田となった。もし、大豆輸出が制限されれば、これらの地域の経済は直接影響を受け、政治的に大きなダメージを受ける。

ーーー

米国は3月23日、通商拡大法232条に基づき、中国などに鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%、10%の関税を課す輸入制限を発動した。

中国は対抗策として4月2日から、米国から輸入する豚肉やワイン、果物など128品目に報復関税を発動している。

2018/4/2 中国、対米報復関税を発動

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長とサウジアラビアのMohammed Bin Salman 皇太子は、滞在先の米ニューヨークで3月27日夜に記者団と会見し、世界最大となる計200ギガワットの太陽光発電事業をサウジで始める 覚書に調印したことを明らかにした。太陽光パネルの工場も同国内に設けるといい、2030年までの総事業費は計2千億ドル(約21兆円)規模となる。

ソフトバンクがサウジ政府系ファンドなどと設立した10兆円規模のファンドSoftBank Vision Fund が資金を拠出、まず約50億ドルを投じ、2019年までに2つの太陽光発電所(計7.2GW)をつくるという。

パネルなどの発電設備の生産は、順次サウジ国内での生産に切り替える。

付記 2018/10/1

サウジアラビア政府は、ソフトバンクグループと計画していた投資総額2000億ドルに上る世界最大の太陽光発電事業を棚上げした。政府当局者が明らかにした。

サウジ政府当局者や政府アドバイザーによれば、現時点では誰もこの事業に積極的に取り組んでいない。サウジ政府は、より大規模で現実的な再生可能エネルギー計画を10月下旬に発表する予定だという。


付記 

ソフトバンクグループは10月2日、サウジ政府による計画棚上げ報道を否定、「進捗状況は想定通り」とのコメントを出した。
継続の背景にはユーラシア、アフリカ大陸を送電網でつなごうという孫正義会長兼社長の構想がある。

サウジではクリーンエネルギー計画はあったが、実際には2017年10月にジャウフ Sakakaでの300メガワットの工場建設のビッドを始めただけ。

2018年1月に締め切ったが、1番札のUAEのMasdarとフランスEDFのコンソーシアムは除外され、2番札のサウジのACWA Power と3番札の丸紅と他2社のコンソーシアムが残ったが、2月6日にACWAに決まった。
政府はこの計画に3億200万ドルを助成する。

今回の計画は200ギガワット(1ギガワットは1,000メガワット)で、計画されている最大のものの100倍、昨年の世界の供給量の2倍以上になる。

Bloomberg New Energy Financeによると、太陽光発電の世界の累積導入量は、2007年にはわずか9GWだったが、2017年末には400GWに拡大し、ついに太陽光発電が原子力発電(392GW)を追い抜いた。

計画ベースのものは下記の通り。

計画 能力 状況
サウジ SoftBank計画 200GW MOU
豪州 Solar Choice Bulli Creek 計画 2GW 発表
ギリシャ Helios計画 Phase 1 2GW 認可
米国 Capital Dynamics Nevada計画 1.3GW 建設中
UAE 丸紅, JinkoSolar, ADWEA Sweihan 計画* 1.18GW 建設中
中国 EverRich Energy Wuwei 計画 1GW 発表

* 丸紅 20%、JinkoSolar 30%、Abu Dhabi Water and Electricity Authority 50%

全てが完成すると、サウジの全発電量(2016年で77GW、2/3が天然ガス発電、残りは石油発電)の3倍となる。

孫正義会長兼社長によると、計画はパネルや設備の製造から発電までをカバーし、10万人の雇用を生み、電力コストを400億ドル節約する。同国のGDPも120億ドル増える効果があるという。

サウジは脱石油依存を進めており、Mohammed Bin Salman皇太子は「人類史にとって大きな一歩だ」と述べた。孫氏は「サウジには強い日光、広大な土地、優れたエンジニアと労働力、将来のビジョンのすべてがある」と語った。


サウジは同時に、今後25年で800億ドル以上を投じて、少なくとも16基の原子力発電所を建設する計画を持つ。

経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は3月30日、第三者割当増資などで約350億円 、資産売却で200億円、合計550億円を調達すると発表した。

第三者割当増資(海外機関投資家)  300億円
第三者割当増資(日亜化学工業)  50億円
能美工場の資産の産業革新機構への売却  200億円 産業革新機構はJOLEDに現物出資
合計 550億円

調達した資金は、2018年度下期に見込まれている液晶ディスプレイモジュール 「Full Active」の需要増に対応するための運転資金及び「Full Active」の後工程製造(モジュール組立)の設備投資等に充当する。

「Full Active」はディスプレイ4辺のすべてを狭額縁化したもの。2017年6月から出荷が開始され、複数の大手中国メーカー等に採用されている。
Appleは次のiPhoneで有機ELの採用を2モデルに増やし、1モデルで液晶を残す方針で、この液晶には、JDIの新型液晶「Full Active」が採用される予定。

Appleの有機ELへの転換で、JDIの同社向け販売が無くなるのではと懸念されたが、残ることとなり、それへの対応を行う。


但し、Appleの液晶回帰は一時的なものであり、最終的には有機ELに全面転換すると思われる。
JDIとしては一刻も早く、有機ELの体制をつくる必要があるが、膨大な資金が必要であり、単独での生き残りは難しい。

山形大学の城戸淳二教授の「大学教授のぶっちゃけ話」(2016/9/12)は「日本の有機ELディスプレイ」で次のように述べている。

間違いなく、確実に、100%の確率で、JDIのお客さんである中国のセットメーカーは3年後には自国パネルメーカーからのパネル調達になるでしょうし、JDIにとって最大の大口顧客のアップルも、液晶から有機ELに舵を切ることから、JDIの客は一気になくなることが予想されます。
ですから、JDIが生き残るためには、一刻も早く有機ELの生産に取り掛からなければならず、それができないと5年後には会社の存続すら難しいでしょう。

付記  JDIは6月26日、下記を発表した。

・ 2017年2月停止の能美工場(印刷方式OLEDの量産用に7月1日付でJOLEDに売却される)を産業革新機構に200億円で譲渡。

・ 産業革新機構に割り当てた新株予約権付社債のうち200億円(印刷方式OLED向け資金を調達することを目的)を買入消却

・ FULL ACTIVEの出荷拡大に向けて増加する運転資金を使途として産業革新機構から200億円の借入調達を行う。

・ JOLEDと資本業務提携の基本契約を締結

JOLEDが発行する種類株式のうち現時点でJDIが保有する全ての種類株式の普通株式への転換(議決権比率は一時的であるが、現在の15%から20%台に上昇)(決権比率を51%に引き上げることは予定せず。)
JOLEDとの研究開発分野における協業及び知的財産権の取り扱い
能美工場を活用した生産技術支援等

ーーー

JDIは主力のスマートフォン向けの液晶パネルが振るわず、2017年3月期決算の純損益は317億円の赤字で、3年連続の赤字だった。2018年3月期も赤字となる。

2016年も資金難に陥り、産業革新機構から750億円の支援を受けたが、すでに底をついている。

昨年夏の段階で、取引銀行に融資を要請、主力銀行は総額1100億円規模の融資枠を設ける方向で最終的な調整に入った。筆頭株主(35.58%出資)の産業革新機構が債務保証する。

国内に6カ所ある生産工場の集約や早期退職者の募集を検討している。財務基盤の改善を急ぐと同時に、生産設備を入れ替えるなどして競争力を高める方針。

中国江蘇省にある工場や石川県能美市の能美工場の生産停止などを検討しており、能美工場の従業員は同県白山市の白山工場に配置転換する。

2017/8/4 ジャパンディスプレイ、1千億円融資要請

石川工場 東芝モバイル(松下電器)  
能美工場 東芝モバイル(東芝) 停止→譲渡
白山工場 ジャパンディスプレイとして新設   2016/12 稼働
鳥取工場 ソニーモバイル(鳥取三洋)  
東浦工場 ソニーモバイル  
茂原工場 日立ディスプレイズ  
深谷工場 東芝モバイル(東芝) 2016/4 閉鎖

一方で、主要顧客のAppleの有機ELシフトで顧客を失うことを恐れ、JDIは外部のスポンサー探しに奔走した。

Appleや、中国の・京東方科技集団、天馬微電子、華星などと交渉を重ねてきたが、まとまっていない。
台湾の鴻海精密工業も検討対象となったが、シャープを傘下に置くことがネックとなった。

しかし、Appleが次のiPhoneで1モデルで液晶を残す方針を決め、この液晶には、JDIの新型液晶「Full Active」が採用されることが決まり、方針を変更した。

液晶増産のための部材調達や生産設備導入に充てるため、今回の資金調達を決めた。

第三者割当増資で、液晶パネル向けの発光ダイオードを手掛ける日亜化学工業(中長期の保有を前提)から50億円と、迅速に多額の資金調達に応じることが可能な資金力を有する海外機関投資家15社から計300億円、合計350億円を調達する。

資本関係は次の通りとなる。

当初 現状 増資後
産業革新機構  70% 35.58% 26.81%
ソニー 10% 1.78% 1.34%
東芝 10%
日立 10%
日亜化学 3.52%
海外機関投資家計 21.12%
うち Segantii Asia-Pacific Equity Multi-Strategy Fund 60億円 (4.22%)
Monashee Investment Management LLC 26.38億円 (1.86%)
Nezu Asia Capital Management Limited 21億円 (1.48%)
GSA QMS Master Fund Limited  20億円 (1.41%)
その他現行株主 62.64% 47.21%
合計 100% 100% 100%

合わせて、2017年12月に稼働を停止した能美工場の資産を産業革新機構に約200億円で譲渡する。

産業革新機構はこれを JOLEDに対し現物出資する。

JOLEDは2017年12月、生産拡大のため2018年3月末までに約1000億円の第三者割当増資を実施する方向で検討していると発表した。

約1000億円の3分の2をジャパンディスプレイの能美工場(石川県能美市)に投資し、生産規模を現在の10倍程度まで引き上げたい考え。残りは運転資金に充てる。

JDIは2016年12月にJOLEDへの出資比率を15%から51%に引き上げる計画を掲げていたが、中期経営戦略の見直しに伴い、実現していない。
今回、JDIはこの
方針を撤回した。

JOLEDは2017年12月、生産拡大のため2018年3月末までに約1000億円の第三者割当増資を実施する方向で検討していると発表した。

3月24日の記事で、デンソーなどからの500億円の増資を報じ、残る500億円増資後の出資比率を予想した。

2018/3/24 デンソー、JOLEDに300億円出資 

残る500億円のうち、産業革新機構が200億円を現物出資すると、(報道に基づくと)下記の通りとなる。

  現状 増資-1 増資-2 増資完了後
産業革新機構 75% 196億円   200億円 31.4% 396億円
ジャパンディスプレイ 15% 39億円     3.1% 39億円
Sony 5% 13億円 50億円   5.0% 63億円
Panasonic 5% 13億円 50億円   5.0% 63億円
デンソー     300億円   23.8% 300億円
住友化学     50億円   4.0% 50億円
SCREEN     50億円   4.0% 50億円
others(交渉中)       300億円 23.7% 300億円
合計   262億円 500億円 500億円   1262億円



中国国務院は4月1日、米国が通商拡大法232条に基づき、中国産の鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限したことへの対抗措置として、米国産の豚肉やワインなど計128品目に最大25%の関税を上乗せすると発表した。
4月2日から実施した。

トランプ米大統領は3月1日、鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限を発動する方針を表明、3月8日午後、鉄鋼とアルミニウムに輸入制限の発動を命じる文書に署名した。

鉄鋼には25%、アルミには10%の追加関税をかける。

2018/3/3 トランプ大統領、鉄鋼とアルミに追加関税、日本も対象

2018/3/9 トランプ大統領、鉄鋼・アルミの輸入制限発動を命令

これに対し、中国は報復策を発表した。

商務部は3月23日、米国から輸入するワインやドライフルーツ、豚肉などを対象に最高25%の関税を上乗せする準備をしていると発表した。対象は米国の2017年の輸出額で約30億ドル分。

鉄鋼・アルミの輸入制限の撤回や中国側が受けた損失の補償を求めて交渉し、まとまらなければ先ず、ワイン、果物、ナッツ、継目なし鋼管など120品目(輸入額10億ドル)を対象に15%を上乗せする。

その後もさらに交渉を続け、決裂すれば、豚肉、アルミニウムのスクラップなど8品目(輸入額20億ドル)を対象に25%を上乗せする。交渉期限は明らかにしていない。

この措置は、緊急輸入制限(セーフガード)への対抗措置として、WTO協定でも認められている。


鉄鋼やアルミニウムの輸入制限は米東部時間3月23日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に発動された。同時刻以降に米国に輸入された製品から追加関税を徴収する。

ホワイトハウスはカナダ、ブラジル、メキシコ、EU、オーストラリア、アルゼンチン、韓国への関税を5月1日まで猶予する方針を示した。

2018/3/26 米国、鉄鋼とアルミの輸入制限を発動

今回の中国の措置は、3月23日発表の措置の通りで、当時は2段階での関税上乗せとしていたが、交渉がまとまらなかったため、一挙に実施する。

果物など120品目(2017年の輸入額は計10億ドル)に15%、豚肉とアルミスクラップの8品目(輸入額20億ドル)に25%を上乗せする。

中国政府は、「我が国は多角的貿易体制を支持しており、米国への関税上乗せはWTOのルールを適用したもので、我が国の利益を守るものだ」と述べている。

具体的な対象品目は次の通り。

15%上乗せ

果実及びナット、果皮(関税番号 08 ) 78項目

ナット、バナナ、いちじく・パイナップル・アボカドー、かんきつ類、ぶどう、パパイヤ・メロン、りんご・梨、あんず・さくらんぼ、冷凍果実・冷凍ナット、保存処理した果実・ナット等

葡萄酒(2204)5項目
変性アルコール(2207.20) 1項目
朝鮮人参(1211.2)3項目
鉄鋼製の管及び中空の形材 (73.04) 33項目
合計 120項目
25%上乗せ 豚肉(0203 & 0206) 7項目
アルミニウムスクラップ(7602) 1項目
合計 8項目

詳細 http://gss.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201804/P020180401856022545193.xlsx

付記 

米国のウォルターズ大統領副報道官は4月2日、「中国は公正に輸出された米国製品を標的にするのではなく、自分たちの不公正な慣行をやめるべきだ。根本問題は、中国企業が政府から補助金を受け取り、鉄鋼などを過剰に生産していることだ」と述べた。

武田薬品工業は3月28日、 アイルランドに本拠を置くバイオ医薬品メーカーのShire plc に対する買収提案を検討していることを明らかにした。

何らかの提案を行うことを検討していることは事実だが、その検討はごく初期かつ調査段階であり、現時点においてShire社の取締役会に対していかなる提案も行っていないとしている。
英国の企業買収関連法に基づき、武田薬品は4月25日までに提案を行うかどうかを表明する必要がある。

買収提示額は500億ドル(約5兆3000億円)近くに上る可能性があり、日本企業の海外企業買収としては過去最大級で、実現すれば武田薬品は世界大手の一社に躍進することになる。

Bloombergによれば、過去の買収は下記の通り。

買収企業 買収先 億ドル
SoftBank Sprint 397
SoftBank ARM Holdings 300
日本たばこ Gallaher 190
サントリー Beam 156
武田薬品 Nycomed 137


2011/5/23 武田薬品、Nycomed社を買収


武田薬品は、事業成長を加速するため、重点領域(消化器系疾患領域、オンコロジー領域、ニューロサイエンス領域およびワクチン)を中心とした様々な戦略オプションを常時検討している。

同社では、Shireの買収は次のようなメリットがあり得ると考えている。

  • 同社の重点領域である消化器系疾患領域、オンコロジー領域、ニューロサイエンス領域の強化
  • 稀少疾患における世界トップクラスのShire社のフランチャイズが加わることによる、「患者さんに革新的な専門分野の治療薬をお届けするリーディングカンパニーになる」というビジョン達成の促進
  • 重点領域にフォーカスする研究開発戦略のさらなる強化
  • 重点領域における高分子薬を中心とした後期開発パイプラインの強化による、パイプラインや創薬能力の補強
  • 米国市場での成長機会を見込んだ市場戦略バランスの最適化
  • 両社の強固な財務プロファイルによる財務的バリューの向上

Shire は、「希少疾患の患者さんのため尽力するバイオテクノロジー分野のグローバル・リーディング・カンパニーです」と称している。

1986年に何人かの起業家が、多くのアンメット・メディカル・ニーズを満たす方法を探るため、Shire を設立し、まず、骨粗しょう症の治療または予防を望む患者向けにカルシウムの様々なサプリメント製品を発売した。

1990年代半ばには、新たな領域に事業を拡大し、臨床パイプラインの開発を通じて新製品を市場に導入するため、最初の戦略的買収に乗り出し、以来、20年あまりの間に20社以上と合併し飛躍的な成長を続けてきた。

買収の歴史:

買収相手 主要製品、分野
2005 Transkaryotic Therapies, Inc. ソーム蓄積疾患治療薬:生物学的製剤の開発、希少疾患に注力
2007 New River Pharmaceuticals ADHD(注意欠陥・多動性障害)
2008 Jerini 遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angioedema )の治療薬開発
2013 SARcode 眼科領域に参入
2013 ViroPharma 遺伝性血管性浮腫治療薬
2016 Dyax
2015 NPS 消化器内科領域の事業を強化
2016 Baxalta 3つの治療領域(血液、免疫、腫瘍)に進出
希少疾患の患者のため尽力するバイオテクノロジー分野のグローバル・リーディング・カンパニ
ーに


Baxaltaの買収・合併は、Shire にとって過去最大規模の買収で、合併を通じて新たに3つの治療領域(血液、免疫、腫瘍)に進出し、従業員数は3倍以上に増え、市場をリードするいくつかの医薬品を獲得し、臨床開発プログラムと臨床パイプラインを拡大した。

2015/1/17 アイルランドの製薬 Shire Pharmaceuticals 、米バイオ医薬品 NPSを買収

2015/8/8  アイルランドのShire Pharmaceuticals、Baxalta に買収提案


なお、Shire は2014年7月、2013年初めに米Abbott Laboratoriesからスピンオフして誕生したAbbVie Inc. に買収されることで合意したが、AbbVie は2014年10月15日、Shire Pharmaceuticals 買収を撤回すると発表した。

米政府が9月22日に節税目的の本社移転の抑制を狙った新規則を発表したため、国外に会社を設立することを含む買収効果が不透明になったと判断したもの。
AbbVie による買収案の撤回により、Shire は違約金16億ドルを受け取った。

2014/10/20 買収・合併による節税目的の海外移転禁止の動き強まる

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