2006年11月アーカイブ

ICI26日、同社のフレーバー、香料を扱う Quest 部門をスイスに本拠を置く Givaudan に売却すると発表した。
売却額は
12億ポンド(約2,680億円)で、うち、約500億円は退職年金不足額に充当、2000億円は負債の返済に充てる。

売却先のGivaudan 1796年開業のフレーバー、香料会社で、1963年にHoffmann-LaRoche の100%子会社となったが、2000年6月に独立し、スイスで上場している。
Givaudan 1976年にダイオキシン事故を起こしたイタリアSevesoICMESA社の親会社で、スイスより規制の緩いイタリアに進出し、薬用石鹸の有効成分ヘキサクロロフェンの原料用にトリクロロフェノールを製造していた。参考 http://www.sydrose.com/case100/shippai-data/307/

(ダイオキシンは通称で、骨格の化学名は、ジベンゾ-パラ-ジオキシン。この塩素誘導体には75種の異性体があり、このうち、2,3,7,8の位置に塩素が付いた2,3,7,8-TCDDは最も毒性が高い。
2,4,5-トリクロロフェノールは不純物として2,3,7,8-TCDDを微量ながら含む。)

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ICI は6月には、油脂化学、界面活性剤を扱う Uniqema部門 Croda International に約915円で売却している。このうち290億円は退職年金不足額に充当、570億円は負債返済に充てられた。売却に当たりICIでは特にこれを売却する理由はないが、売却収入で他の事業に投資できるとしていた。

売却先のCroda International は英国の化学会社で、界面活性剤や脂肪酸エステル等を扱っている。

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ICI 1997年に、事業を化学品のなかでも、付加価値が高く、投下資本が少なく、景気変動の影響が少なく、研究開発により重点を置いた事業に急速に転換することを決め、英蘭系Unileverの特殊化学品4社を買収するとともに、既存事業のほとんどを売却した。
2006/3/7 「ICIの抜本的構造改革」 参照

Quest とUniqema は共にUniliverから買収した事業。なお、Uniliverから買収したCrosfield(シリカ事業)は2001年に Ineosに売却している。

「新生ICI」は塗料事業と、Unilever から買収したNational Starch、Quest、Uniqema3事業の合計4事業から成っていたが、本年のQuest と Uniqema の売却により、塗料とNational Starch だけが残ることとなる。このほかにはRegional & Industrial Groupとして主にインド、パキスタン、アルゼンチンでの事業がある。

水俣病の未認定患者が国と熊本県、原因企業のチッソに損害賠償を求めて昨年10月に起こした訴訟で、チッソが時効成立を理由に請求棄却を求める準備書面を熊本地裁に提出していた。

チッソは準備書面で、
(1)原告の多くは95年の政治決着前から感覚障害を自覚しており、症状を知ってから消滅時効期間の3年が経過している
(2)原告の症状が85年10月以前に発生していた場合、損害賠償請求権を失う除斥期間(20年)が経過している
と主張し、「和解の余地はない」として請求棄却を求めている。

これまで水俣病の時効を巡っては、チッソが水俣病第1次訴訟で「原告らが認定を受けてから3年以上経過している」と主張したが、熊本地裁は73年の判決で「損害が継続的に発生している場合、最初に損害や加害者を知った時から消滅時効が進行するという解釈は到底とり得ない」として退け、確定した。チッソはそれ以降、時効理由を取り下げていた。
一方、国と熊本県は関西訴訟などで時効論を主張し、一部が認められた。今回の訴訟で国と熊本県は、国家賠償責任を認めつつ、除斥期間や水俣病の診断基準については争う姿勢を示している。

現在、熊本地裁に訴訟を提起しているのは、水俣病不知火患者会に参加する1,159人。1人当たり850万円の損害賠償を求めている。
水俣病不知火患者会の会長は、「責任逃れとしか言いようがない。徹底して闘う」と述べ、他の被害者団体からも強い反発の声が相次いている。

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1995年の政治決着で、ほとんどの患者が和解に応じ裁判を取り下げたが、「関西訴訟」の原告だけが行政の責任を問い続けた。2001年の高裁判決は、排水規制をしなかった国と県の過失を指摘、水俣病の認定基準も間違っているという判断を下した。
2004年10月の同訴訟最高裁判決で、国・熊本県の責任を確定するとともに、それまでの基準より緩やかな救済基準が示された。

それまでの基準は、「四肢抹消の感覚障害のほかに視野狭さくや中枢性難聴など複数の症状の組み合わせ」を要件としていたが、最高裁は、「一定の条件があれば感覚障害だけで水俣病と認められる」とした大阪高裁の判断を支持した。

この結果、熊本県と鹿児島県への患者認定申請者が増加、認定申請者が4,500人を超えている。

これに対し国は、「最高裁の判決は有機水銀中毒症の判断基準であり、水俣病と有機水銀中毒は別」とし、現行の水俣病認定基準の見直しは行わないことを言明した。

熊本県、鹿児島県では、認定審査会の委員が「司法と行政の二重の認定基準が存在し審査ができない」として、再任を拒否しているため、審査業務が停滞している。

 

2006/5/1 「水俣病50年」 参照

水俣病に関しては熊本日日新聞のホームページ「水俣病百科」が詳しい。
http://kumanichi.com/feature/minamata/index.cfm

 

南京の南京ケミカルパークで11月9日、「南京GPRO錦湖石化」のPO計画の建設がスタートした。
本年7月に韓国の錦湖石化と江蘇金浦集團
Jiangsu GPRO Groupが50/50合弁会社設立の覚書を締結し、9月に契約を締結した。

第1期として、2億ドルの投資で、
塩素法PO 年産100千トン、PPG 50千トンと苛性ソーダ100千トンのプラントを建設する。2008年稼動の予定。
錦湖石化は韓国蔚山のSKコンプレックスでPPG 45千トンを生産している。

本計画は錦湖石化にとって中国での2番目のプロジェクト。

同社は2000年10月に上海に
Shanghai Sunny New Technology Development との50/50JVShanghai Kumho Sunny Plastics を設立し、スチレン系樹脂、アロイ(難燃ABS、耐熱性ABSPS/ABSアロイ、グラスファイバー強化ABSPBT/ABSアロイ、PC/PBTアロイ等)を製造している。

同社は引き続き中国での生産を検討している。

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錦湖石化は韓国の合成ゴム、合成樹脂(スチレン系)、ゴム薬、電子材料(フォトレジスト等)のメーカーで、日本企業との次のJVを持つ。

・Kumho P&B Chemicals (旧称 Kumho Shell Chemical)
  設立 :1976/4
  立地 :麗川
  出資 :錦湖石化 51%/新日鐵化学 49% (当初錦湖とShellとのJV)
  能力  :キュメン 420千トン(2005/4増強完成後)
       フェノール 280千トン
       ビスフェノールA  135千トン

・Kumho Polychem (旧称 Kumho E.P.Rubber )
  設立 :1985/1
  立地 :麗川
  出資 :錦湖石化 50%/JSR 50% (2006)
        当初 KUMHO 50%、JSR 35%、EXXON 15%
  能力 :EPDM 50千トン(当初 13千トン→20千トン、2期 30千トン)
       2007/8月に78千トンに増強する。

・Kumho Mitsui Chemicals
  設立 :1989/3 
  立地 :麗川
  出資 :錦湖石化 50%/三井武田ケミカル 50%
  能力 :MDI 60千トン(当初 50千トン)

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錦湖石化の提携先の江蘇金浦集團は江蘇省南京市に本拠を置く化学会社で、従業員3,000人。プロピレンオキサイド、ポリエーテル、PP、ガソリン添加剤、潤滑油、酸化チタン等々を生産している。

同社は2005年に南京市に、同社40%/Sinopec揚子石化 60%のJV、揚子石化金浦橡膠YPC-GPRO Rubber)を設立し、南京ケミカルパークにSBR プラントを建設中(第1期 100千トン、計画では第2期として+100千トン)

BASFは21日、BASFとダウが欧州で共同でワールドクラスのTDIとその原料プラントを建設するFSを実施することを決めたと発表した。TDIの能力は世界最大の30万トンで、2011年スタートを見込んでいる。FSでは立地、技術、インフラ等を検討する。

BASFとダウは共同で30万トンの過酸化水素法PO(HPPO)工場建設を決め、9月にアントワープのBASF工場内で起工式を行っている。両社はアジアなど他の地域でのHPPOの共同生産も検討している。
今回のTDIでの共同事業はこれに次ぐ両社の提携。

2006/3/24 「ダウとBASF、POを新製法で生産」 参照

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BASFのTDIの製造拠点は以下の通り。

ドイツ Schwarzheide   70,000 t  
米国 Geismar   160,000 t  2002年に120千トンプラントをreplace
韓国 麗川   140,000 t  2003年稼動
中国 上海   160,000 t  Shanghai BASF Polyurethane Co., Ltd.

Shanghaitdi 中国ではBASFはHuntsman 及び中国側とのJVで上海にイソシアネート・コンプレックスを建設した。
同コンプレックスは次の3つのJVから成っており、2006年に稼動。

BASFはTDIとMDIに、ハンツマンはMDIのみに参加している。
BASFは2005年7月付けで、ハンツマンから世界全体のTDIの商権を買収した。製造設備や人員は移さず、TDIの需要家リストと販売契約を移管した。

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これに対してダウはTDIについては消極的である。

米国 
Freeport
  100,000 t  他の系列の 59千トンは2001年に休止、2006/3 停止決定
イタリー 
Porto Marghera
  118,000 t  旧 EniChemプラント、2006/8 停止決定
ブラジル Camacari   64,000 t  他に、MDI 25千トンのTDI転換計画があったが、取り止め

ダウは2001年に需給状況を勘案して Freeport の2系列のうち、第一系列 59千トンの休止を決めた。(2006年3月には停止を決定している)
これと同時に、休止していたブラジルの25千トンのMDIプラントをTDIに転換する計画も取り止めている。

2001年にダウはイタリアのENI と契約を結んだ。
ENI とUCCは50/50のPEのJV、Polymeri Europe を持っていたが、ダウによるUCCの吸収合併に伴い、UCCのPolimeri持分をENI に譲渡し ENI 100%とする代わりに、ENIのポリウレタン事業を譲り受けた。

ENIから譲り受けたPorto Marghera 工場は本年8月初めに定期修理に入ったが、世界的な供給過剰により市況が弱含みなため、ダウでは生産を再開しないことを決めた。
2006/9/7 「ダウ、3工場の7プラント閉鎖」 参照 

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これらから見ると、ダウの側には積極的にTDI事業を拡大しようとする意欲は見られない。BASF側もドイツの既存能力は7万トンに過ぎず、今回、30万トンを新設する理由が不明である。

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なお、BASFの他のポリウレタン事業は以下の通り。

MDI ベルギー Antwerp   450,000t  2007年に560千トンに増設
米国 Geismar   260,000 t  
韓国 麗川   160,000 t  100千トンから順次増設
中国 上海   240,000 t  Shanghai Lianheng Isocyanate Co., Ltd.(上記参照)
Polyether polyols      510,000 t  米(2)、メキシコ、アルゼンチン、ベルギー、ドイツ、韓国
Polyester polyols     115,000 t  独、伊、ブラジル、韓国

ダウもMDIについては精力的で、本年9月に、ポルトガルのEstarreja でのMDIの増設を決めたと発表した。2009年にこれが完成すると、同社の世界全体のMDI能力を大きく増大させ、現在世界で360万トンと見込まれる旺盛な需要に対応できるとしている。

同社は本年テキサスのFreeportで最新鋭の227千トンのMDIプラントを完成させている。これに伴い、テキサスの LaPorte工場の同能力のプラントを停止する。

また同社は天然油ポリオール(Natural Oil Polyols) の開発に成功している。
2006/10/5 「
ダウ、天然油ポリオール開発に成功」参照

 

サンフランシスコ市は環境問題で2つの規制を相次いで実施する。

・本年12月1日から、フタル酸とビスフェノールAを含む幼児用製品の製造・流通・販売が禁止される。
・来年
6月からレストラン等での発泡ポリスチレン容器の使用が禁止される。

 

フタル酸とビスフェノールAの規制は6月に市の健康条例( Health Code )を120対6の大差で修正したもので、環境ホルモン対策として幼児用製品での使用を禁止するもの。米国で初めての禁止条例。

フタル酸については、DINP, DIDPDnOP を0.1%以上含む3歳以下の幼児用の玩具や幼児用製品、DEHP, DBPBBP を0.1%以上含む玩具や幼児用製品(年令制限なし)の製造、流通、販売が禁止される。

ビスフェノールAについては、3歳以下の幼児用の玩具や幼児用製品でビスフェノールAを含む製品の製造、流通、販売が禁止となる。ビスフェノールAについては含有量の規定はなく、少しでも含有されれば禁止となる。

禁止対象には次ぎのようなものがある。

 フタル酸
  ・
Little Remedies Little Teethers (おしゃぶり)
  ・
Goldberger's Fuzzy Fleece Baby doll の顔
  ・
Walgreens store で売られているゴム製のアヒル

 ビスフェノールA
  ・Disney
製のBaby Einstein rattle(ガラガラ)のリング
  ・Munchkin
製の Fun Ice Soothing Ring teether (おしゃぶり)
  ・Random House
の耐水性絵本のプラスチックカバー
  ・Walgreen-brand
の哺乳瓶
  ・Goldberger doll.
の顔
  ・My Little Pony toy
(フタル酸も含む)

フタル酸メーカーやビスフェノールAメーカーは、低濃度のフタル酸、ビスフェノールAは問題ないとして反論している。

玩具メーカーやこれに影響を受けるメーカーは、製品は何十年も安全に使用されているとして法律敗退の訴訟を行っており、1月に審問が予定されている。

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レストラン等での発泡ポリスチレン容器の使用禁止は6月にFood Service Waste Reduction Act として提出されたもので、理事会の一回目審議では満場一致で賛成を得た。

使い捨ての発泡ポリスチレン容器はリサイクルされず大量のゴミとなっているほか、破片が魚や野生動物に害を与えるというのが理由。
条例ではレストランや食品の売店、市の設備等が対象で、使い捨てや持ち帰り用のPS製の皿、椀、トレイ、カートン、カップ、スプーン、フォークなどの使用を禁止する。食料品店で売る肉や魚の発泡PS容器は規制の対象外となっている。

法律は来年1月施行だが、付則で容器の在庫があるレストランには来年6月1日から適用される。

米国では同じカリフォルニア州のバークレー市が20年前から禁止しており、オークランド市は来年1月に禁止条例を施行する。

更に法律では、コストがこれまでより15%以上高くならない場合には、生分解性容器やコンポスト化やリサイクルが可能な容器を使用することを義務付けている。(オークランドの条例では「コストが高くない限り」となっている)

この条項により、発泡PSだけでなく、PPやPVC製の容器も同様に影響を受けることとなる。

カリフォルニア・レストラン協会やポリスチレン容器協会は反対しているが、ゴールデンゲート・レストラン協会は「ほとんどの会員が何年も前から使用を中止しており、グリーンなサンフラシスコを誇りとしているため反対できない」としてこれに賛成しており、法律反対の訴訟は難しいと見られている。

カリフォルニア州の廃棄物管理委員会によると、配水管から回収されるゴミの15%が発泡PSとなっており、リサイクルされない食品容器の禁止の動きが強まっている。

Sinopecは8日、四川省成都市政府とBio-energy Project の基本契約に調印した。Jatropha

両者は四川省のエネルギー需要に対応するため、2006年~10年の間に年産60万トンの燃料用アルコールと、年産10万トンのバイオディーゼル生産設備を建設する。

四川省ではbatata(サツマイモ)やjatropha(ジャトロファ豆)が豊富にあるため、batataを燃料用アルコールの原料に、jatropha をバイオディーゼルの原料に使用する。

jatropha は南アフリカやインドなど広範囲に自生し、乾燥地帯のやせた土地でも生育する。油脂原料としても使用されている。インドではバイオディーゼルの原料として注目されている。
http://www.biomass-hq.jp/foreign/pdf/biomass_india.pdf (写真も)

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中国財政部はこのほど、生物エネルギーと生物化学工業の発展に向けた財政バックアップ政策をスタートさせた。

現在、中国国内の燃料エタノール生産能力は年間102万トンで、ここから年間1,020万トンの生物資源由来のエタノール混合ガソリンが生産されている。同ガソリンの消費量は国内のガソリン消費量全体の20%に達しており、中国はブラジル、米国に次ぐ世界3位の燃料エタノール生産・消費国となっている。

国家発展改革委員会の計画では、生物資源由来のエタノール混合ガソリンの消費量が、2010年には国内のガソリン消費量全体の半数以上を占める見込み。

また科学技術部は、第11次五カ年計画期間に1億5千万元を投じて、国の科学技術支援改革の重大プロジェクトである「農林生物プロジェクト」を実施する。生物エネルギーと生物化学工業の研究・開発を中心に進め、生物エネルギー産業に技術的支援を提供するのが狙い。

 

曽培炎副総理(中国共産党中央政治局委員)は20日、代替エネルギー開発事業の発展に関する会議を招集し、次のように指摘した。
従来型エネルギーから新エネルギーに、稀少エネルギーから優勢エネルギーに、化石燃料から再生可能エネルギーにそれぞれ替えるとの構想に従い、エネルギー構造に占める代替エネルギーの割合を段階的に高めていくことが必要だ。
当面は
▽自動車燃料と石油代替品を重点的に発展させ、石炭液化、石炭によるメチルアルコール・ジメチルエーテル・アルケンの生産、石炭利用ポリジェネレーション技術のモデル試験と応用開発をしっかりと実施する
▽アルコール燃料とバイオディーゼルを積極的に発展させる
▽メタンガス・太陽エネルギー・風力エネルギー・水力発電・地熱などの再生可能エネルギーの発展に力を入れ、化石燃料への依存をできるだけ減らし、汚染物質の排出を削減する――ことが必要だ。

スイスのClariant 14日、リストラ構想を発表した。

今回のリストラ構想では、5億スイスフラン(500億円弱)を投じて、工場を10%減らし、2200人の減員を行い、製品数も最低25%減らし、これにより長期の利益ある成長を図るとしている。具体的は閉鎖プラントは明らかにしていない。

第一段階として投資資本利益率(
Return on Invested Capital)を2009年末までに現在より25%増やし、業界平均の10%よりも高い水準にする。

販売・流通を今までよりも、もっと需要家重視、特定市場重視に改める。原料購入やサプライチェーン、工場管理等の事業部支援は今までよりも集約し、機能的にする。

各部門とも、成長著しいアジア、特に中国とインドを重視する。
新事業開発
early-stage incubatorprojects)にも注力する。4年間で1億スイスフランを投資する。

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同社は Sandoz の化学品部門1995年にスピンオフして出来た企業で、Sandoz そのものは1997年にCiba-Geigy と合併し、生命科学に特化したNovartis となっている。

Clariant 1997年にHoechst の化成品部門を買収した。
その時点では
Hoechst Clariant の株式の45%を取得して傘下に収めたが、1999年にHoechstRohne Poulent と合併してAventisになった時点でClariant 株式を売却している。 
(その後、
2004年にAventis Sanofi Synthelabo と合併し、Sanofi Aventis となっている)

なお、Clariant 1998年に、Novartis から分離したCiba Specialty Chemicals (元 Ciba-Geigy の化学品部門)との合併合意をしたが、同年末に破談となっている。

 

Clariant は現在、次の5つの事業部から構成されているが、Life Science Chemicalsは来年初めに廃止となる。

1)テキスタイル・レザー・ペーパー事業部
   Textile、Leather、Paper用化学品

2)顔料・添加剤事業部
   Coating、Plastic、Printing、Specialties

3)マスターバッチ事業部
   Europe North、Europe West、Europe South、Special Markets、
   Asia、North America、Latin America
   ◎
チバ・スペシャルティ・ケミカルズのマスターバッチビジネスを買収する。

4)機能化学品事業部
   D
etergents、Performance Chemicals、rocess Chemicals

5)Life Science Chemicals
   受託製造ビジネス、スペシャリティ中間体ビジネス

   ◎受託製造ビジネスは農薬業界の低迷を受け、売却に着手
    中間体ビジネス(シリコン、グリオキサル、グリオキシリック酸誘導体)は2007年1月に機能化学品事業部に統合

Eastman Chemical はこのたび投資家への説明会の席で、石炭を原料とする製品の量を倍増し、50%程度にしたいとし、メキシコ湾岸の石炭ガス化計画に参加すべく交渉していると説明した。

Eastman Chemical は1920年にEastman Kodak に写真用の化学品供給のために設立され、1994年にEastman Kodak から分離独立した。2005年の売上高は70億ドル。

アセチル、オレフィン、ポリエステルを原料に、以下の製品グループがある。
Fibers
Performance Chemicals and Intermediates
Performance polymers PET
CASPICoatings, Adhesives, Specialty PolymersInks)
Specialty plastics Copolyester Cellulose plastics

PET樹脂では世界最大のメーカーで、同社は革新的技術「IntegRex」(melt-phase-only technology を開発し、これを使った年産35万トンの工場をサウスカロライナ州コロンビアに建設した。

 

同社の構想によると、石炭ガス化計画に参加して低コストの合成ガス(Syngas)からメタノールを製造し、これを原料として同社の技術でプロピレンをつくり、各社製品の原料とする。
もう一つの計画として、メタノールからエチレングリコールを製造し、これを原料にPETとコポリエステルを製造する。目標は2011年稼動。

同社は過去23年間、テネシーの工場で石炭ガス化でコスト面でメリットを得ており、今回、これを拡大しようとするものとしている。

これとは別に、同社はPETの拡張計画も説明した。
上記の
IntegRexによるプラントは先般スタートし、来年はじめにフル稼働するが、合理化により2008年には10万トン増の45万トン能力に引き上げる。
これに加えて、リファイナリーのパートナーと組んでの第二のIntegRex計画を
検討中で、能力は70万トンを考えているとのこと。

同社のプレゼンテーションは
http://library.corporate-ir.net/library/61/611/61107/items/221453/2006InvestorDay2.pdf

Basellとサウジの Sahara Petrochemical Company JV、Al-Waha Petrochemical Company はこのたび、イスラム法( Shariah )に基づく融資契約を地元の6行と締結した。
シャリアではイスラム教徒に利子の授受を禁止している。その為、イスラム法の教えに沿ったイスラム債券スクーク(Sukuk)というものができた。「利子」は駄目で、レンタル料、貸出料を取ったり、利益配分を行う。

 

Basellはサウジで3つのプロジェクトを行っているが、イスラム法による融資契約は初めて。
同社では「
サウジで初めて、Shariahに基づく non-recourse project financing 親会社の保証に依存することなく、子会社の当該事業から生み出す収益及びプロジェクト資産のみに依存)に成功し、喜ばしい」としている。

 

なお、SABICは7月にサウジ金融市場庁から30億リアル(約9千億円)のスクークの発行の承認を得ている。
2006/7/12 
SABIC、国内で初のイスラム債券発行」 参照

また、日本の国際協力銀行は原油収入の増大が続く産油国のオイルマネーを取り込むため、日本の金融機関としては初めてShariahに基づくスクークを発行する。2007年前半にもマレーシアで数億ドル規模を発行、08年には中東で起債する。

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Basellのサウジでの計画は以下の3つ。

今回のAl-Waha Petrochemical Company、Basell 25%、 Sahara Petrochemical Company75% のJVで、Al-Jubail でプロパン脱水素によるプロピレンとSpherizonePP 450千トンを建設中。2009年に商業運転を開始する予定。

Saudi Polyolefins Co.Basell 25%Tasnee Petrochemicals 75%JVで、2004年5月からAl-Jubail でプロパン脱水素によるプロピレン450千トンとPP 450千トンを生産している。現在のPP能力は500千トンで、2008年末までに800千トンに増強する。

3つ目は本年6月に設立された Saudi Ethylene and Polyethylene Companyで、Basell 25%出資し、Tasnee と Sahara その他のJVのTasnee & Sahara Olefins75%出資している。
Al-Jubail
にエチレン1,000千トン、プロピレン 285千トン、HDPE(Hostalen ACP法)400千トン、LDPE(Lupotech T法)400千トンを建設する。2008年第4四半期にスタートの予定。

Sahara Petrochemical CompanyTasnee Petrochemicals については
2006/5/13 「サウジの民間ポリオレフィン計画」参照  

付記 

Sahara Petrochemical の親会社 Al-Zamil はこのたび、Chemtura とのJVを設立してJubail にワールドクラスのアルキルアルミ工場を設立する計画を発表した。サウジ周辺でPEやPPの触媒としてアルキルアルミの需要が増大しているのに対応する。

Al-Zamil はChemturaの前身のGreat Lakes Chemical Corporation とのJV、Gulf Stabilizers Industriesを既に設立しており、2000年から、添加剤、抗酸化剤などを生産している。

Chemturaについては2006/11/14 「合成ゴム会社 Lion Copolymer, LLC」参照

 

中間決算対比

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各社の中間決算がほぼ出揃った。別紙に化学、医薬専業に分けて、各社の前年上期及び当期の、連結売上高、営業損益、経常損益、当期損益を対比した。下記をクリックしてください。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/taihi-200609.htm

このうち、信越化学と武田薬品の損益が圧倒的である。
両社の中間決算については、下記参照。

2006/10/26 「信越化学 中間決算好調
2006/11/9 「武田薬品の中間決算」  

化学では多数の会社の損益が前年同期比を上回っているが、部門別には問題となるケースがある。

以下、主な会社の内容をみる。(単価は金額:百万円、配当:円)
グラフはクリックすると大きくなります。

住友化学 

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
05/9中間  688,432  349,574   56,625  11,685  72,035  32,155  39,350   28,373   4.0  
06/9中間  854,621  425,773   68,214  19,214  75,920  36,922  53,283  56,783   5.0  
                     
05/3 1,296,315  667,698  105,182  25,993  123,476  42,240  64,452  34,867   3.0   5.0
06/3 1,556,606  755,037  120,790  30,795  141,127  62,159  90,665  50,956   4.0   6.0
07/3 1,785,000  880,000    ー      150,000  69,000  91,000  78,000   5.0   5.0

石油化学の営業損益は原料価格の上昇の影響があり前年同期に比べ14 億円減少。Sumikasegeigyo
情報電子化学は
値下がりで25億円減少。

逆に、農薬は49億円、医薬は76億円の増益となった。
子会社の住友製薬が2005年10月に大日本製薬と合併し、大日本住友製薬となっている。

同社の場合、説明がないが、日本経済新聞 2006/9/8によると、退職年金積み立て超過が612億円あり、3年間で業績に反映させるので本年度は200億円の増益要因になるとなっており、100億円程度の益が算入されていると思われる。

旭化成は退職給付会計における数理計算上の差異を2005年3月期に発生の翌期の1年間で営業費用として処理する方法を取ったが、2006年3月期の差額が236億円と多額になったため、2007年3月期からは10年償却に変更して影響を緩和している。

三菱レイヨンは退職給付会計における数理計算上の差異を、発生の翌期の1年間で営業費用として処理する方法を採用している。2005年9月中間では4億5千万円の損失だが、2006年9月期では71億円の利益と、大きな差が出ている。

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三菱ケミカルホールディングス

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
05/9中間 1,134,726  464,383   71,922  22,458  79,092  35,232  46,054  18,821   3.0  
06/9中間 1,263,457   22,275   56,640  21,187  64,531  21,115  61,945  42,896   7.0  
                     
05/3 2,189,462  870,275  148,624  51,921  148,069  62,921  55,372  30,177   0.0   6.0
06/3 2,408,945    1,487  133,619    438  143,575    144  85,569    81   3.0   8.0
07/3 2,600,000   36,800    ー      135,000  33,800  98,000  55,700   7.0   7.0

2005/10/1三菱化学と三菱ウェルファーマは株式移転により共同して完全親会社(共同持株会社)三菱ケミカルホールディングス(HD)を設立し、その傘下に入った。
2006/3から三菱ケミカルホールディングス
(連結決算は、三菱化学の中間期連結決算数値を引継いで作成、単独は2005/10からのHDのもので、
売上高は「営業収益」で、受取配当+運営費用収入を示す。Mitubishisegeigyo

配当は2005/9は三菱化学。2006/3以降はHD。三菱化学株主にはHD株を0.5株割当のため、実質的にはこの半分。

 

営業利益は、原料価格の上昇が販売価格の上昇を上回ったこともあり、前年同期比153 億円減少した。うち、石化は鹿島事業所のトラブル等の影響もあり、前年同期比86 億円減となっている。

なお、同社は棚卸資産の評価について総平均法をとっている。
上半期のようにナフサ価格が急上昇している場合、住友化学や三井化学のような後入先出法会社では当期の高いナフサ価格に基づく高い製品価格が原価となるが、同社の場合は前期末残の安い価格と平均されたものが原価となり、利益が多目に出る。
逆にナフサ価格が急落して、製品価格が下がっても、前期末の高いコストが反映されるため、下期はこの影響を受けることとなる。

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三井化学

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
05/9中間  693,624  396,654   23,329  12,422  24,173  19,252  17,215    445   4.0  
06/9中間  833,985  490,591   33,488   9,714  36,744  15,001  20,292   9,406   4.0  
                     
05/3 1,227,547  833,525   80,491  42,872   79,737  44,612  26,192   6,306   3.0   4.0
06/3 1,472,435  852,955   58,705  25,552   61,989  34,246  44,125   14,967   4.0   4.0
07/3 1,700,000 1,000,000    ー       75,000  29,000  40,000  16,000    4.0   4.0

同社は本年度から、建物を除く有形固定資産について主として定率法によることに変更した。この変更により、従来と比較して、当期の減価償却費は59億円増加した。Mitsuisegeigyo

石油化学の営業損益は定期修理のスキップもあり104 億円増となったが(前年同期が低すぎた)、合繊原料等の基礎化学品は91億円の減となった。
ウレタン原料等の機能樹脂はTDI市況の高止まり継続などで前期の2億円の赤字から61億円の黒字となった。

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東ソー

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
05/9中間  304,056  205,976   21,601  12,777  23,158  15,994  12,633   9,283   3.0  
06/9中間  374,700  255,254   22,531  11,692  23,131  14,881  11,480   8,334   3.0  
                     
05/3  588,331  388,058   56,898  37,001   55,757  40,069  29,533  19,675   0.0   6.0
06/3  648,810  444,024   47,459  26,203   49,731  31,191  27,532  16,288   3.0   3.0
07/3  780,000  525,000   ー       50,000  31,000  24,000  18,000    3.0   3.0

Tososegeigyo_2  石油化学の営業利益は固定費の増加により、前年同期に比べ962百万円減少した。
苛性ソーダ、VCM、PVC、セメントの
基礎原料は前年同期に比べ2,781百万円の大幅減で、121百万円となっている。
(2005年3月期の中間決算は106億円の利益)

日本ポリウレタン工業及びその子会社を連結子会社化したことにより、ウレタン原料が新たに加わった機能商品事業は4,851百万円の増益となった。

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カネカKaneka

ライフサイエンス部門営業損益:
  前年度 18,951百万円、前年同期 8,087百万円、当期 3,533百万円

これまで収益源であった機能性食品素材のコエンザイムQ10 が競合激化により売上高、採算ともに大幅に悪化し、減収、減益となった。
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日本触媒Nisshokusegeigyo

同社はこれまで増益を続けてきたが、今期は減益となった。

基礎化学品(アクリル酸・アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、EG、EO・誘導品)は、需要は堅調に推移したが、市況が弱含みに推移したことや原料価格の高騰による収益圧迫の影響が大きかったため、前年中間期に比べて62.5%減少した。

 

Ushousing101 17日発表された米国の10月の住宅着工件数は年率換算148万6千戸と、前月比14.6%減となった。2000年7月以来の低水準で、市場の予測を大きく下回った。11,12月が10月並みとすると、年間180万戸で、2003年よりも低い水準となる。

これが米国経済にどう響くかについては、いろいろ意見がある。
住宅需要についても、昨年の好調は転売目当ての買いによるものでバブルとみるものがある反面、日本と違い若年層が多く、需要は回復するとみる意見もある。
経済への影響も、住宅事業の雇用は不法労働者が多く、失業率は増えないので、余り響かないとの意見もある。
18日の日経は、「個人消費は底堅さを保ち、企業の設備投資も堅調」で、「米エコノミストの大勢は、景気は緩やかに減速しながらインフレを抑制、持続可能な安定成長につながるとみている」としている。

塩ビ事業をとると、住宅関連需要が多いため、影響が大きい。Ushousing102
2006/3/3 
日本の塩ビ事業」参照

信越化学の金川社長は中間決算発表時に、来年の業績見通しについて、「米国の景気が建設、自動車など下降気味なので楽観できない。今年と横ばいならいい方だと思う」と語っている。

フランスの Saint-Gobain の100%子会社の米国の塩ビ樹脂メーカー CertainTeed は建材大手でもあるが、来年2月に4つある塩ビサイディング工場のうち、カンサス州の工場を閉鎖すると発表した。住宅需要の減退、塩ビサイディング需要の減少、業界の供給過剰を理由として挙げている。
但し、残り3工場は継続するし、塩ビパイプは増設する。同社では地域別に需要に差があるとしている。

北京市はこのたび、発ガン物質「スーダンレッド4」含有の疑いがあるとして、河北省産の卵黄が赤いアヒルの卵(「紅心」)の販売を一時停止した。緊急措置を発動して、河北省産のすべての「紅心」卵の販売を一律に停止し、現場で差し押さえ、検査を行っている。

「紅心」卵は、「放し飼いにしているアヒルが、小魚や小エビを食べて、卵黄の赤い卵を産んだ」との宣伝文句で売れ行きが好調だったが、実際には、アヒルの飼料に「紅薬」と呼ばれる薬を添加していた。地元の人は、こうした卵を「薬卵」と呼び、自分たちでは決して口にしていなかったという。

中国検験検疫科学研究院・食品安全研究所の検査で、「紅薬」は昨年大きな問題となった「スーダンレッド1」よりも、さらに毒性の強い毒性の強い発ガン物質である工業染料「スーダンレッド4」を、大量に含有することがわかった。

ーーー

2003年5月、フランスが、インドから輸入した乾燥粉末唐辛子にスーダンレッド1が混入していたとの情報をEUに送った。EU は直ちにEU内に出回っている唐辛子及び唐辛子含有製品の検査を開始した。

2005年2月、英国食品基準庁はハインツやユニリーバなど30社が生産した419種の食品に、スーダンレッド1が含まれている可能性があると消費者に警告し、含有が確認された359種の商品を回収した。

これを受けて中国の国家基準委員会は関連機関を緊急に組織し、国外の基準を参考にして検出方法を研究した。そして1カ月後、「スーダンレッド」の中国検出基準を制定した。
北京では「スーダンレッド1」が含まれた腐乳(豆腐を発酵させてから塩につけたもの)やザーサイ、トウガラシみそなど25種が販売中止となった。
北京市内のケンタッキーフライドチキンでも、計5種類の商品からスーダンレッド1が検出された。
その後、中国各地でスーダンレッド1を含む製品が多数発見され、大問題となった。湖南省では漬物から「スーダンレッド4」が検出された。

日本の厚生労働省は2005年4月1日に食品安全部監視安全課が、「中国産加工食品の取扱いについて」と題して下記の通り報告している。

「スーダン(着色料)については、一昨年、EUにおいてインド産食品への含有が発見されて以降、中国産食品を含め、輸入時検査を強化してきたところです。
 今般、中国国内において、スーダンが含まれた加工食品が発見されたとの情報を入手したことから、念のため、着色料を使用している中国産加工食品について、スーダンが含有されていないことを確認するため自主検査の指導を行うこととし、その他の食品についてはモニタリング検査の強化を行うこととしましたのでお知らせします。
 *スーダンとは、工業用油脂等に使用される赤色の色素。

ーーー

スーダンレッド1、2、3、4は赤色のタール系の工業用着色剤で、通常は、溶媒やオイルやワックスやガソリンや、床や靴の艶出し剤などへの着色に使われるもの。カテゴリー3レベルの発がん性があるものとされ、いずれも食品添加物としては認められていない。

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「京華時報」によると、「紅心鴨蛋」事件の発生源である河北省平山県は15日、5100羽以上の「問題アヒル」をすべて殺処分し、埋めた。また、同省井ケイ県は、県内すべてのガチョウの卵を現場で密封処理し、村外に販売されるニワトリの卵にも抜き取り検査をするとの新規則を打ち出した。
 

トルコのコングロマリット Sabanci Holding は子会社のKordsaInvistaから中国のナイロンメーカーIQNE Qingdao Nylon99.5%を買収し、中国進出の第一歩にすると発表した。IQNE Qingdao Nylon は年間 3,000 トンのナイロン6コードの能力を持ち、Kordsa では中国の自動車メーカーにタイヤ繊維を販売する。

Sabanci はトルコのコングロマリットで、ファイナンス、タイヤ、食品、セメント、繊維、エネルギーなど、幅広く活動している。

子会社Kordsaは、200012月にDuPont との合弁会社 DuPont-Sabanci International, LLC としてスタートした。両社の産業用ナイロンヤーンとタイヤ繊維事業を統合した。20054月にDuPont が撤退し、Sabanci の100%子会社となり、Kordsaと改称した。

工場を米国(テネシー、南カロライナ)、アルゼンチン、ブラジル、トルコ、エジプト、ドイツに持ち、売上高は約7億ドル。

IQNE Qingdao Nylonを売却したInvistaはDuPontの繊維部門であったが、2004年に Koch Industries に買収された。Kochは60カ国で、貿易、石油、化学、エネルギー、繊維、金属、肥料、化学機器、林業、消費財、金融等、多岐にわたる活動を行っている。

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DuPont と Sabanci2000年1月に、両社の欧州のポリエステル事業を統合して DuPont Sabanci Polyester (Europe)(通称DuPontSA)を設立している。欧州、中東、アフリカ全域での販売を目指した。

英国、ドイツ、トルコに工場を持ち、年産130万トンの PTA, DMT, Polyester Filaments, Polyester Staple, PET Resin Preform の能力を持っている。英国の工場は1997年にICIがDuPontに売却したポリエステル事業の一部。

2004年10月、Sabanci DuPontSA のDuPont持分を買収し、100%子会社とした。その後、同社はAdvansa と改称している。

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お知らせ

11/15までのバックナンバーは、下記でも見られます。http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm 

宇井純・沖縄大名誉教授が11日、胸部大動脈りゅう出血のため亡くなった。74歳。

1956年、東京大学応用化学科卒業後、日本ゼオンに3年間勤務した。

 

宇井氏は 2004年の講演で次のように述べている。
http://kuin.jp/fur/ui1.htm

会社勤めは3年間と、はじめから考えていた。というのは、会社側は、はじめの3~4年間は、給料分働いていない。それを裏返しにとった連中は、3~4年で辞めれば「得」だという考え方をする者もおり、自分もその一人であった。 「塩ビ会社」を選んだ理由は、北海道の開拓農民育ちで、ビニールは、農業の生産性の向上に役立ったので、「日本ゼオン」に入社した。 
(ゼオン時代には水銀の混じった廃棄物を川に捨てる仕事もやったとのこと。)

 

その後、東京大学大学院工学研究科応用化学専門課程に戻り1965年に東大工学部都市工学科の助手に就職した。

独自に水俣病の原因究明に向け研究を行い、合化労連の機関誌に「水俣病」を連載した。本名ではなく、富田八郎(トンダヤロウ)という筆名を使ったのは、身の危険を感じたからという。

1970年からは、東大で一般市民を交えて公害問題について学ぶ「公害原論」を、夜間自主公開講座として15年間にわたり主宰した。東大では昇進の道を閉ざされ、「万年助手」であった。

プロフィール http://www.takagifund.org/08/ui/p-ui.html

 

中西準子氏がホームページ 今週の雑感366-2006.11.13 で、「宇井さんありがとう -宇井純さんの死を悼む-」を書いておられる。 
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak366_370.html#zakkan366

Chemtura10月末に、コア事業への集中のため、ルイジアナ州に工場を持つEPDMとゴム薬事業及び、全世界のオゾン劣化防止剤事業を売却する覚書を締結したと発表したが、同社は11日、相手先が化学分野を対象とする投資会社のLion Chemical Capital であることを明らかにした。

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Lion Chemical Capital はACI Capital とともに、2004年にPolyOneから北米のゴムコンパウンド事業を買収した。
PolyOne
2000年に塩ビ樹脂及び塩ビコンパウンドメーカーのGeon *(1993年にGoodrichからスピンオフ)とコンパウンドメーカーのM.A. Hanna が合併して出来た会社。

同社は2003年10月に、将来のコア事業はグローバルな樹脂コンパウンドとマスターバッチ事業であるとし、これに入らないゴムコンパウンド等の事業を売却する方針を出した。
Lion Chemical Capital
ACI Capital PolyOneからゴムコンパウンド事業を買収し、これをExcel Polymersとした。

なお、PolyoneはGeon (旧Goodrich)から引き継いだ塩ビ樹脂事業をOccidental Chemical と統合し、Oxy Vinyls, LP としている。出資比率はOxyChem 76% /PolyOne 24%。

* 因みに、GeonはGoodrichの塩ビ樹脂の商標をそのまま社名にしたもの。日本ゼオンも、Goodrichの塩ビ技術を導入して、Goodrichと古河グループのJVとして設立されたため、Geonをゼオンと読んで社名にした。その後、Goodrichが撤退したため、スペルをZeonに変更した。

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2005年9月、DSMはBaton Rougeの子会社DSM Copolymer Inc.SBR事業Lion Chemical Capitalに売却すると発表した。DSMの「ビジョン2005」ではライフサイエンスと機能材に重点を置く会社に変換することとしており、SBRはコアではなくなったとした。

DSM Copolymerは旧称 Copolymer Corporation。1943年に第二次大戦に向けて米国政府が建設した合成ゴム工場の操業のためにゴム、タイヤ企業7が合同して設立した会社で、1955年にBaton Rouge工場を政府から買取った。
1989
年にDSMの子会社となった。

Lion Chemical CapitalはこれをLion Copolymer, LLC と改称した。

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Lion Chemical Capital は今回、ChemturaからGeismar, Louisiana EPDMとゴム薬事業及び、全世界のオゾン劣化防止剤事業を買収するが、これらをLion Copolymer, LLCに統合する予定。
Lion Chemical Capital はこれにより、SBR、EPDM、ゴム薬、ゴムコンパウンドを揃えることとなる。

Chemtura は2005年にCrompton とGreat Lakes Chemical が合併して設立された会社で、樹脂添加剤では世界最大のメーカー。ほかに農薬、石油添加剤、ウレタンポリマー等を生産している。農薬は旧Uniroyal の事業。

Crompton は1999年に Crompton & Knowles と塩ビ添加剤メーカーのWitco が合併して出来た会社で、今回売却のEPDMとゴム薬事業はCrompton & Knowlesが買収した
Uniroyalの事業。WitcoがUnionCarbideから買収したシリコーン関連のOsi Specialties はその後、GEに売却された。
Great Lakes Chemical は水処理剤、家庭用クリーナー、難燃剤、安定剤等のメーカー。

有害物質を含んだ埋戻材フェロシルトが大量に埋められた事件で、三重、愛知、岐阜、京都の4府県警の合同捜査本部は6日朝、廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、石原産業四日市工場の元副工場長(同社元役員)と社員や子会社幹部ら数人の逮捕状を取り、取り調べを始めた。

同社は酸化チタンを製造しているが、輸入した砂鉄状の鉱物を粉砕して、硫酸法と塩素法でチタンを抽出している。

問題となったのは硫酸抽出法で抽出した後の廃硫酸で、同社は1969年に、これを長年にわたって中和処理せずに伊勢湾に捨てたとして、四日市海上保安部から摘発され、垂れ流した廃硫酸が約1億トンに上がることが認定されて、1980年に津地裁で有罪判決を受けている。

その後は廃硫酸と汚泥は炭酸カルシウムや消石灰で中和し、脱水して、産廃処分場に廃棄していた。
2003年の廃棄量は250~380千トンと膨大な量で、処分費用は1トン9,400円との推定がある。

同社では国際競争力強化策の一環として、1997年に、廃棄物の減量化と酸化チタンの製造コストの低減をはかるため、製造工程から副生する使用済み硫酸を再生利用して副生品を生産・販売する研究開発に着手した。
2001年から土壌埋戻材を「フェロシルト」と命名して販売を開始し、2003年には三重県リサイクル製品利用推進条例に基づく「リサイクル製品」に認定された。

2005年4月までの間に約77万トンのフェロシルトを生産、そのうち約72万トンが販売され、委託業者を通じて東海3県や京都府加茂町など35カ所に埋設された。業者がケナフを植えるための肥料と偽って埋め捨てたケースもある。

2004年11月、大雨によって愛知県北丘地区でフェロシルトが流出し、川の水を赤く染めるという事件が発生し、続いてフェロシルトの放射線量が問題とされた。
放射能については、自然界に存在する値と比較しても問題のないことが確認されたが、サンプル検査の過程でフェロシルト中から基準値を超える6価クロムやフッ素化合物も含まれていることが分かった。

同社ではこの時点ではフェロシルトに起因するものかどうかは疑問であるとしたが、自主回収を基本として対応することとし、フェロシルトの生産を中止し、リサイクル製品の認定も取下げた。

その後の調査過程では三重県及び岐阜県にフェロシルトのサンプルとして提出したものが別のものであるということが判明した。

2005年10月、石原産業はフェロシルトに関する事実とお詫びを発表した。
それによると、

1) 6価クロム
当初は製品中に含まれていないとしていたが、試作試験の結果、製造工程の条件の変動によっては
、6価クロムが含まれる可能性があることが判明した。
2) フッ素
  フェロシルトは、硫酸法酸化チタンの製造工程からの廃酸を再利用して製造されるものだが、
  シリカ分を加えることにより凝集性を高めることができることが分かり、
塩素法酸化チタン製造工程から副生する未反応鉱石中和スラリー等からシリカ分を分離・回収して、フェロシルトに混合することが行なわれていたことが判明した。
塩酸回収工程において弗酸を使うので、その廃液にはフッ化カルシウム等のフッ素化合物が含まれており、シリカ分をフェロシルトに混合する過程でこれらのフッ素化合物も混入したと判断。
3) 認定された製造工程と異なる工程での製造は、フェロシルトの開発・生産の責任者の元副工場長が部下に命じて実施させていた。
4) 元副工場長は、塩素法酸化チタン製造工程からの廃液の混合状況の操作を示す資料を廃棄させたり、三重県・岐阜県から提出を求められたフェロシルトのサンプルを別の試作品サンプルにすり替えて提出させていた。

しかし、問題はそれだけではなかった。フェロシルト自体が問題であったようだ。

捜査本部は、土壌埋戻材として販売しながら、実際には購入業者には「改質加工費」などの名目で販売価格の約20倍の金額が払われていたとして、この改質加工費は実際には産廃処理費で、業者に引き取り料を払う「逆有償」にあたるとみて取調べを進め、今回の逮捕状となった。

地方自治体では、石原産業に対しフェロシルトの撤去命令を出して撤去させようとしているが、撤去はなかなか進んでいない。

なお、合同捜査本部は、法人としても同法の両罰規定を適用する方針だが、社長については、事件への直接的な関与を立証するのが難しいとして立件を見送る模様。

同社は2006年3月連結決算で、フェロシルト回収費用326億円(うち損失引当296億円)などを特別損失に計上し、当期純損失は107億円(前期比165 億円減)。

内蒙古の州都フフホトとドイツのフランクフルトを結ぶコンテナー貨車便 “如意号”が正式に運行を開始した。
100個の国際規格コンテナーを積んだ貨車は、フフホトから蒙古、ロシア、ベラルーシ、ポーランドを経由してフランクフルトまで、9,814kmを15日をかけて走る。

2004年12月に内蒙古の鉄道当局と、蒙古、ベラルーシ、ロシア、ドイツの鉄道会社が契約を結んだ。これまで20ヶ月のテストで、内蒙古のレアアース、甘粛省の菜種、広東省の繊維など、12,400トンの貨物を輸送した。

コンテナー船の場合、最低40日かかるところを14日半で運ぶことから、時間とコストを大幅に縮減する。

中国からコークス、エレクトロニクス製品、家電製品、繊維、レアアース等を欧州に輸出し、帰りにエレクトロニクス製品や家電製品の原料部品を輸入する。

月2の運行で、年間に2500のコンテナー、約50千トンの輸送を行う。

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なお、中国とASEANは現在、「汎アジア鉄道」の建設ペースを速めている。雲南省昆明を出発し、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイ、カンボジア、マレーシアを通過して終点シンガポールに到着するもので、これらの国々は、中国の鉄道網を通じてモンゴルやロシアの極東地域と、またキルギス、ウズベキスタンの鉄道と合流して、中央アジア鉄道とも連結することになる。

中国鉄道部の陸東福副部長は、昆明で開かれた「ASEAN―メコン川流域開発協力第8回汎アジア鉄道特別工作会議」で、「中国は現在、国内の鉄道をどんどん建設しているところで、ASEAN諸国と一緒に汎アジア鉄道の一日も早い完成に向けて努力したい」と述べた。

Tarht2

OMVとBorealis(OMVが35%出資)は本年9月、オーストリアのSchwechat で、2億ユーロずつを投じた共同の石化投資事業の完成を祝った。

OMV エチレンを35万トンから50万トンに、プロピレンを30万トンから40万トンにした。

BorealisはLLDPE35万トンを新設するとともに、既存の21万トンのPPを30万トンに増設した。
この結果、Borealisの同地の能力は、PEが595千トン、PPが435千トン、コンパウンド9万トンとなった。

両社の協調でSchwechat は欧州の一大石化基地となる。

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11月6日、OMVはドイツ南部のババリアで4年間で11億ユーロを投じる投資計画を発表した。このうち、Burghausen 製油所には640百万ユーロを投資するが、これにはエチレンとプロピレンの増強を含んでいる。これは最近確定した南部エチレンパイプライン計画と密接にリンクしている。

エチレンは340千トンを450千トンに、プロピレンは245千トンを315千トン増やして560千トンにする。
プロピレンの増産量が大きいのは、新しい metathesis プラント建設による。

OMVの投資に合わせてBorealisは2億ユーロを投じて33万トンのPPプラントを新設する。OMVのプロピレン増設で、原料を確保した。
完成後のBorealisの同地の能力はPE 175千トン、PP 570千トンとなる。

ECは先日、ババリア州政府による南部エチレンパイプラインEPS)社への補助金支払いを承認した。
EPSは
BASF, Borealis, Clariant, OMV Deutschland, Ruhr Oel, Vinnolit, WACKER のコンソーシアムで、 BASF本社工場のあるLudwigshafen (既存パイプラインの東南端)とババリアのMunchsmunsterを結ぶ 357kmのエチレンパイプラインを建設する。
2006/10/27 「
ババリア・エチレンパイプライン建設補助金承認」 参照

これによりOMVはエチレン余剰時の輸出、不足時の輸入が可能となり、増設後のエチレンプラントの弾力的な運営が可能となる。

ーーー

OMV Aktiengesellschaft はオーストリアの製造業では最大の上場企業。中欧での最大の石油・ガス企業で、5大陸、18カ国で石油の採掘生産を行っている。
Borealisに35%出資している。

Borealis 1994年にノルウエーのStatoil とフィンランドのNeste の石化事業を統合して設立されたが、1997年にNesteが、2005年にStatoilも、持分をオーストリアのOMVアラブ首長国連邦IPICに売却した。
IPICAbu Dhabi National Oil 50%Abu Dhabi Investment AuthorityNational Bank of Abu DhabiのJVが50%出資した会社で、現在のBorealisの出資比率はOMV35%IPIC65%となっており、Borealisは実質的にAbu Dhabi National Oil の子会社である。

同社の能力は以下の通り。(単位:千トン) 2006/11

  Austria Germany Italy  Belgium Finland Norway Sweden USA  Brazil
エチレン           330   225*   625    
プロピレン         480   230    40*   220    
PE   595   175     330*   330   270   600    
PP   435   240     635   160   175      
Compounds    90     30   115         65   49
フェノール           130        

注 ・Norwayのエチレン、プロピレンはNorsk Hydro とのJVのNoretyl の同社持分
  ・他にベルギーにデュポンとのJV、
Speciality Polymers Antwerp (PE 125)
  ・2004年にポルトガルの
Borealis Polimeros LdaRepsolに売却(エチレン350、プロピレン 180、LDPE 145、HDPE 130)

Abu Dhabi National Oil Borealisはアラブ首長国連邦でAbu Dhabi Polymers Borouge)を設立、エチレン600千トン、PE 580千トンを生産しているが、2010年完成でエチレン1,400千トン、PE 540千トン、PP 800千トンを計画している。

2006/6/2 湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE)参照

 

武田薬品の中間決算

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武田薬品の中間決算が6日発表された。

決算概要                                     (単位:百万円、配当 円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結 単独 連結 単独 連結 単独 中間 期末
05/9中間  599,842  424,847  215,246  187,794  259,427  204,787  181,274  155,644  53.0  
06/9中間  642,427  431,955  236,223  178,548  299,040  207,448  159,142  113,211  60.0  
                     
05/3 1,122,960  784,848  385,278  344,435  442,111  356,696  277,438  235,488  44.0  44.0
06/3  1,212,207  840,230  402,809  345,969  485,354  364,439  313,249  249,361  53.0  53.0
07/3 1,300,000  875,000      540,000  360,000  310,000  210,000  60.0  60.0

上期の連結売上高は前年同期から7.1%増収の6,424 億円となった。
4月に子会社「武田食品工業」の飲料・食品事業を同社とハウス食品との合弁会社のハウスウェルネスフーズ株式会社に譲渡したことによる減収影響を、米国子会社「武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ」を中心に医療用医薬品が伸長したことにより吸収した。

営業損益は、前年同期から9.7%増益の2,362 億円となった。
研究開発費、販売費及び一般管理費が増加したが、粗利益の増加によりこれを吸収した。

経常損益も、営業利益の増加に加え、米国、欧州、日本の3極における金利の引き上げを背景とした受取利息の増加および持分法による投資利益の増益等に、前年同期から15.3%増益となった。
TAP ファーマシューティカル・プロダクツ」の持分法投資利益は前年同期から21.1%増益の295億円となっている。

これに対して、当期利益は前年同期から12.2%、221 億円減益の1,591 億円となった。

特別利益は前年同期 326億円に対し、383億円となった。
前年は厚生年金基金代行返上益
204億円と、ワイス及び武田キリン食品の株式譲渡益120億円等があったが、今期はワイス及び三井武田ケミカル等の株式譲渡益171億円、武田食品工業の飲料・食品事業の事業譲渡益190億円等を計上している。

このため税金等調整前中間純利益は前年同期から453 億円の増益となったが、移転価格税制に基づく更正処分に関する追徴税 571 億円を当中間期の損益に含めて計上したため、中間純利益は減益となった。

通年の予想では連結の売上高、経常損益は前年を上回るが、当期損益は上記の追徴額の影響で前年比マイナスとなっている。

配当は間配当金が、前年同期より7円増配し、1株当たり60円とした。期末も1株当たり60円を予定しており、年間では120円となる。

ーーーー

武田薬品は628日、米国アボットとの50:50の合弁会社のTAPファーマシューティカル・プロダクツとの間の2000年3月期から2005年3月期の6年間の製品供給取引等に関して、米国市場から得られる利益が武田に過少に配分されているとして、移転価格税制に基づき、大阪国税局より所得金額で6年間で1,223億円の所得の更正を受け、約570億円の追徴税額を課せられたと発表した。

同社は、
・TAPとの取引価格はアボットの合意なしには決められず、独立企業間価格であり、移転価格税制が適用されるべきものではない、
・価格を安くすればTAPの利益が増えて半分がアボットにいくため、武田にとってTAPに所得を移転する意図や動機はない、
として、徹底抗戦の構え。

2006/6/29武田薬品、移転価格税制に基づく更正」 参照

同社は当初、追徴税額は返還されるものとみなし、監査法人トーマツの判断に基づき、追徴税を長期仮払金として処理したが、その後、追徴税の会計処理について、納付者が不服申立て等を行っている場合であっても、一律に全額費用処理する方法にトーマツが意見を変更した結果、追徴税額の全額を当中間期の当期税額に含めて計上することとしたもの。

同社は本年8月、大阪国税局に対し異議申立書の提出を行っている。

 

なお、移転価格税制については、国税当局から申告漏れを指摘され、見解が食い違う企業が相次いでおり、経済産業省では産業界を入れた研究会を設けて財務省・国税庁に改善を求めることを決めた。大手企業や学識者、経団連を入れた研究会を立ち上げ、来年初めに報告をまとめる。

CITICはこのたびカナダのNations Energy Co. から同社の最大の資産であるカザフスタンの Karazhanbas 油田を19億ドルで買収すると発表した。同油田は埋蔵量が340百万バレル以上で、最近の生産量は5万バレル/日以上。

2005年には中国石油天然ガス集団(CNPC)がカザフスタンに油田の権益を持つカナダのペトロカザフスタンを41億8千万ドル買収している。(その後、カザフ国内ではエネルギー分野で急速に存在感を増す中国に対する脅威論も広がり、カザフでの事業を円滑にするためカザフ国有石油に株の33%を譲渡している)

ーーーー

売り手のNations Energy は1996年に設立されたカナダの企業だが、実はインドネシアのハシム財閥のHashim Djojohadikusumoが設立し、会長を務める会社である。

ハシム・グループ傘下のティルタマス・マジュタマは、サイアムセメント、日商岩井、伊藤忠商事との合弁でトランス・パシフィック・ペトロケミカル・インドタマTPPIを設立し、東ジャワのツバンでエチレン/アロマの一大コンプレックスを建設しようとした。(ツバン計画)

しかし、1997年の通貨危機で資金手当てができなくなり、工事中断に追い込まれた。
その後も
Hashim は経営権を手放さず居座ったが、最後に追い出された。

ツバン計画はその後、出資者と事業内容を変更し(ケロシン、ディーゼル、ナフサ、BTX、パラキシレンの製造)、本年春から生産を開始している。
2006/4/27 「
インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加-2参照

パラキシレンはインドネシアでのPTAが好調でフル操業をしており、来年に現在の50万トンから80万トンに手直し増設を行う。


ハシムはインドネシアの財産をほとんど没収されたが、海外に莫大な財産を持っていた。

1996年にNations Energy を設立し、1997年にはカザフスタンのJSC karazhanbasmunai 94.6%を買収した。1999年に生産量が4,900bpdだった同油田は2004年末には50,000bpdに増大した。
2003年にはアゼルバイジャンで石油採掘を開始、同年、カリフォルニアに油田を持つカナダの会社に出資している。

本年初めから同社の売却話が多数流れていた。
まず、Chaina National Overseas Oil Company (CNOOC)
が20億ドルで同社を買収するという噂が出た。CNOOCがこれを否定すると、インドのOil and Natural Gas Company が交渉するという噂や、ロシアのOAO Lukoil が関心をもっているという噂が流れた。 

ハシムが利益の出ている石油事業を何故売却するかについて、ハシムがインドネシアに戻る積りではないかとの説が出ている。
海外事業の売却資金を、ツバンを含むインドネシアの財産を買い戻したり、実兄が所有し、資金繰りに困っているパルプ会社
PT. Kiani Kertas への融資に当てるのではないかというものである。

PT. Kiani Kertas は通貨・経済危機時に破綻し、その後、ハシムの兄で、元スハルト大統領の女婿で軍の特殊部隊の司令官を務めていたプラボオ元中将とその仲間が所有している。

 

 

三井農林が開発した高純度茶カテキンを原料とする皮膚病用の塗り薬が10月、米食品医薬品局から植物由来医薬品としては初めて承認を受けた。

ドイツの医薬品開発ベンチャーのMediGene三井農林の高純度カテキン「ポリフェノンE」を使った皮膚疾患「コンジローマ」の治療軟膏の承認を受けたもので、昨年9月に申請していた。

ポリフェノンEは茶葉から抽出された総カテキンを90%以上まで精製した高純度カテキンで、抗酸化、抗菌、抗がんなどの作用があるとされるエピガロカテキンガレート6070%含まれている。Catechin_1
三井農林は
北京がんセンターとの共同研究で、ヒトパピローマウィルスによるコンジローマを抑制することを発見、97年に国際特許を取得し、2000年からMediGeneと提携して新薬の開発に取り組んで来た。
同社は2005年9月にポリフェノン
EFDAに原薬として正式登録している。

コンジローマはパピローマウィルスにより良性ではあるが伝染性の腫瘍(イボ)が性器や肛門にできる病気で、難治といわれており、北米では約1400万人、ヨーロッパでは1500万人がパピローマウィルスに感染しているといわれている。

MediGeneは米国の提携先の Bradley Pharmaceuticals, Inc.に販売権を供与した。米国での販売額は1億ドルにも達するとみられている。MediGeneは欧州での申請を準備中。

これを受けて、三井農林では、原料手当てから原薬製造まで一連の投資に着手し、原薬の供給体制の整備を進めている。
中国に茶原料および中間原料基地を確保するとともに、ポリフェノン
E商業生産のためアルプス薬品工業の工場施設を借受け、三井農林が約45億円の投資を行って製造設備の設置に取組んでいる。

同社では又、ポリフェノンEを使い、がん予防薬の開発に取組んでいる。
1997
年以来、米国有数のがん研究機関と協力して、米国の著名な大学研究所、医療機関研究所8ヶ所でポリフェノンEを使った多種類のがんに対する予防薬としての臨床実験を行っている。がんの前駆症状に対し、ポリフェノンEを投与することにより、いかに進行がおさえられ、症状が改善するかという臨床実験で、第2相試験が進行中。

三井農林は1980年に日本の企業として初めて、茶カテキン、茶ポリフェノールの研究に着手した。翌年には、世界で初めて茶葉からカテキンだけを抽出する技術を開発、こうした研究から生まれた緑茶抽出物を「ポリフェノン」と名付け、商標登録をした。

高機能樹脂の増設

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最近、各社が高機能樹脂の増設を進めている

出光興産、千葉工場でSPS樹脂の生産を再開

出光興産は独自開発の耐熱性エンジニアリングプラスチックのシンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂(商標:ザレック)の本格生産を千葉工場にて再開した。Sps

1985年にメタロセン触媒を用いて、ポリスチレンをシンジオタクチック構造にすることで、耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックスとしての特性を付与することに成功、1997年に千葉工場内に5,000/年の商業プラントを建設し、供給を開始した。

同社は1988年からダウと共同研究を行ってきたが、ダウにライセンスを行い、ダウが1999年にドイツのSchkopau 36千トンプラントを建設したため、千葉の生産を停止した。

しかしダウは2004年秋に、同社が想定したほどは需要が伸びなかったとして、本事業からの撤退を決めた。工場は他の製品に転用する。

このため出光では独自に世界展開を図ることを決めた。
2006年1月から米国の
DHコンパウンディング(ダウとPolyOneのJV)にコンパウンドを委託して米国で販売を開始、5月には英国のPerrite にコンパウンドを委託して欧州での販売を開始した。10月から千葉の年産5,000トンのニートレジン製造設備を再開したもの。

これにより日本、アジア、米国、欧州の世界四極でのコンパウンド供給体制と併せ、SPS製品のニートレジン生産から販売までのグローバル供給体制が整えた。設備増強の検討にも着手する。

SPSは、耐熱性、電気特性、耐薬品性、耐スチーム性、軽量性などに特長があり、鉛フリーハンダ対応のコネクタなどの自動車電装部品、IH炊飯器・洗濯乾燥機・スチームオーブンレンジなど加熱部のある家電部品、アンテナなどの電子部品に用途を拡大している。

 

東レ、高機能樹脂PPS、LCPの生産設備増強

東レは10月末に、高機能樹脂のPPS(ポリフェニレンサルファイドLCP液晶ポリマー)の増強を発表した。

PPSは
東海工場に年産2,500トンの重合設備を新設し、年産能力は11,500トンに拡大、LCP樹脂については愛媛工場に年1,000トンの重合設備を新設し、現有能力倍増の年2,000トンに拡大する。PPSは更に2009年までに2,500トンを増設する計画。

PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、機械的強度、難燃性等に優れたスーパーエンプラで、電気・電子機器やOA機器、自動車の電装部品等に使用されており、世界需要はニートレジン換算で約4万トン推定されている。クレハ、大日本インキ、東レの国内3社グループが供給の8割を占める。

LCP樹脂は、耐熱性や薄肉流動性に優れているのが特徴で、携帯機器の高性能化に伴う電子部品の小型精密化の進展により需要が急速に拡大している。世界需要はニートレジン換算で約2万トン

 

大日本インキ、PPS樹脂の生産倍増

大日本インキ化学もPPS樹脂の倍増を決めた。鹿島工場(茨城県神栖市)に100億円を投じて1万トンの新設備を導入、能力を年2万トンに倍増する。まず第1期として3,500トンの設備を2008年夏にも稼働させる。

なお、クレハも錦での能力7,500トンをデボトルネッキングで10,000トンにするとともに、米国のFortron Industries (Ticona との50/50 JV)の能力を2007年に年15,000トンに倍増する。

 

クラレ、耐熱性ポリアミド樹脂の生産体制強化

クラレは独自技術により開発した耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>=ノナンジアミン(炭素数9 のジアミン)を使用した新しい半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)の能力増強を決定した。Jesta_1

原料ノナンジアミンについては鹿島の3,000トン設備をS&Bで7,000トンとする。
樹脂PA9T
は西条の4,500トンを5,500トンにするとともに、鹿島に新しく 2期に分けて計7,000トンを建設し、合計12,500トンとする。
投資額はモノマー80億円、樹脂 20億円の合計100億円。

<ジェネスタ>は耐熱性、低吸水性、摺動性、耐薬品性などに優れた特長を持ち、電気・電子分野や自動車分野で需要が伸びている。
同社では電気・電子分野におけるターゲット市場(耐熱樹脂需要)を現在で年43千トン、2015年に68,700トンと想定している。

 

三菱ガス化学、低誘電性樹脂「オリゴ・フェニレン・エーテル」製造装置新設

三菱ガス化学は、四日市工場で低誘電性樹脂であるオリゴ・フェニレン・エーテル(OPE:2官能PPEオリゴマー)の製造装置を完工した。年産300トンで、10月から量産品のサンプル配布を行なっている。

ポリフェニレンエーテル(PPE)の低誘電性、高耐湿性などを活かしつつ、溶剤に溶けにくいなどの加工性における難点を、低分子量化および分子量分布の均一化により解決することで、低誘電特性、高耐湿性、高耐熱性に優れるとともに、汎用溶剤に溶ける機能性樹脂として、これを開発した。
同社では
また、熱硬化性や光硬化性を有するエポキシ体やスチレン体などの誘導体を開発している。

Enplaope

 

中国財務部は先週末、輸出税賦課と輸入税引き下げの規則を発表、11月1日から施行した。エネルギーや天然資源関連製品の輸出を抑え、輸入を促進するのが目的。

輸出税はエネルギーや天然資源関連の110 品目に新たに課せられる。財務部では、エネルギー構造の最適化と天然資源保護を狙うとともに、貿易収支の黒字対策にもなるとしている。

対象と税率は以下の通り。
 ・税率 5%: 石油、石炭、コークス、原油
 ・税率 10%:非鉄金属、リン灰石やレアアース等の鉱物、鉄やスティール製品、木製床材、
割り箸、その他
 ・税率 15%: 銅、ニッケル、その他

 輸出関税表 
http://cws.mofcom.gov.cn/accessory/200610/1162191754309.pdf

割り箸については本年初めから問題となっている。日本の割り箸の年間輸入量は約240億膳で、年間1人当たり200膳の割合となるが、99%が中国からの輸入。中国で森林伐採が制限され、原材料の3割ほどはロシアなどからの輸入材を加工している。このため現地生産者が2005年12月と2006年3月に合計で5割の大幅値上げを要求した。今回は更に10%の輸出税が上乗せされることとなる。


輸入関税は58品目について引き下げる。石油、石炭、アルミナのようなエネルギー、天然資源関連製品については現行の3
6%の輸入関税が03%に引き下げられる。

 輸入関税表 http://cws.mofcom.gov.cn/accessory/200610/1162191715252.pdf


なお、中国政府は9月15日から特定製品の輸出増価税リベートを引き下げている。石炭、天然ガス、オレフィン、シリコン等については、輸出増価税リベート制度を廃止し、強い輸出抑制を行っている。

2006/9/26 中国、輸出増価税リベート変更」参照

青島麗東石油化学の山東省青島のパラキシレン工場が近く商業生産を開始する。9月に工場が完成したが、中国政府が原料のナフサの輸入を許可。この問題が解決し12月初めからは商業生産を始める。

青島麗東石油化学は韓国GSグループのオーナーの一族のシンガポール法人GSアロマティックスが設立した。2005年にオマーン石油が出資、現在の株主はGSアロマティックス 60%、オマーン石油 30%、現地のRed Star Chemical Groupが10%。

同社の製造能力は、パラキシレン 700千トン、ベンゼン 250千トン、トルエン 150千トン、ラフィネート 113千トン。青東には、ほかに40万坪の土地を確保しており、今後事業拡大に取り組む。

GS Caltex でなく、一族の個人投資で会社を設立したのは、中国では個人投資が有利なためとされている。

GS Caltexは河北省に同社100%の廊坊佳世化学工業(Langfang GS Chemical )をもち、PPやエンプラのコンパウンド2万トンを生産しており、5万トンへの増設を検討している。
同社は当初は中国側とのJVでGS Caltex Langfang Plastics Co.と称したが、本年6月に100%子会社とした。Hyundai Motor、Kia Motors、LG Electronics 等、現地進出の韓国企業に材料を供給する。

また、同社は本年2月に中国青島市経済技術開発区でGSガソリンスタンド1号店の起工式と現地法人GS Caltex Qingdao Petroleum の開所式を行った。青島一帯でガソリンスタンドと整備のチェーン事業にも本格的に乗り出す。

ーーーー

韓国GSグループは2005年1月にLGグループの分離で誕生した。

LGグループは第二次大戦後に生まれた。
最初はクリームなど、家庭用品事業からスタート、名前の売れていた煙草のラッキーストライクからラッキー(楽喜)と名付けた。
クリームの瓶の製造から合成樹脂事業に参入してラッキー化学を設立、更に家電製品製造のためゴールドスターを設立し、グループ名をラッキー・ゴールドスター(
Lucky-Goldstar)とした。
その後、グループ名をLGに変更した。

2001年には会社分割で、持株会社LG Chem Investment、
石油化学、情報電子材料、産業資材の「LG化学」、化粧品や日用品などの「LG生活健康」の3社体制となった。

200311月にLG電線グループが分離し、LS」グループ(Leading Solution)となった。

2005年1月、LGはLG
Corp とGS Holdingsに分離した。

分離に際し、GSの許会長「LGが取り組んでいる事業領域には少なくとも私の代では進出しないなど、お互いを尊重するほか、事業のシナジー効果に向けLGとGSの間の緊密な協力関係は維持する」とした。

ーーーー     

LG Chem. の中国進出については 2006/9/12 LG Chem、中国で2工場竣工」 参照

LG Corp とGS Holdings

Korealg_2

Koreags_1

GE EPS は当初名 LG Energy で、韓国で最初のIndependent Power Producer

富士フイルムは10月27日、超音波画像診断分野に参入すると発表した。
富士フイルムメディカルを通じ、高画質と小型化を両立させたフルデジタル超音波画像診断装置を発売する。
超音波検査は腹部検査、乳腺・甲状腺検査、産婦人科などの幅広い臨床領域で使われており、特に近年、女性の乳がん罹患率が増加しているため、乳腺超音波検査のニーズが高まりつつある。

ーーーー

富士フイルムの事業領域は
①イメージングソリューション分野、
②インフォメーションソリューション分野、
③ドキュメントソリューション分野の3つで、

①はカラーフィルム、デジタルカメラ、フォトフィニッシング機器、現像プリント用のカラーペーパー・薬品・サービス等の従来からの同社の事業領域。③富士ゼロックスによる事業。

②のインフォメーションソリューション分野は、医療診断用・ライフサイエンス機材、印刷システム機材、フラットパネルディスプレイ材料、記録メディア、光学デバイス、電子材料、インクジェット用材料等から構成されている。

 

同社は、「先進・独自の技術をもって、人々のクオリティオブライフのさらなる向上に寄与していく」という企業理念のもと、メディカル・ライフサイエンス事業を主要な事業領域の一つとしてグローバルに事業展開している。

・世界に先駆けてデジタルX線画像診断システム「FCR」(Fuji Computed Radiography)を開発
・FCRやCT、MRなどの各種画像診断機器で撮影された医用画像をネットワーク上で管理する医用画像情報システム

FCRの技術をライフサイエンス機器として発展させたバイオ・イメージングアナライザー「BAS」、
・フルオロ・イメージングアナライザー「FLA」、
・ルミノ・イメージングアナライザー「LAS」、
・前処理した血液などの各種サンプルから高速・高純度・高収量で核酸を抽出する画期的なシステム「QuickGene」、
・写真化学反応を使った血液生化学検査システム「富士ドライケム」
・ヘルスケア分野への新規参入
・創薬ベンチャーのペルセウスプロテオミクスへの出資
・放射性医薬品のリーディングメーカーである株式会社第一ラジオアイソトープ研究所の100%子会社化

最近のトピックスは以下の通り。

2003/8 独シェーリングと共同で、乳がんの早期発見を容易にする蛍光造影剤を開発
  富士フィルムの感光材料技術とシェーリングの造影剤技術を融合、従来のエックス線診断では見つけにくいがん細胞だけを浮かび上がらせる毒性のない蛍光造影剤を開発。
   
2005/10 治験支援大手シミックと新会社富士フイルム・シミックヘルスケア設立
  富士 60%/シミック 40% 出資で、シミックが持つ医薬品の治験ノウハウを富士の新製品開発に生かす。
   
2006/2 創薬VBに出資 がん・糖尿病薬開発
  東大教授らの医薬品技術をもとに研究用試薬などを開発するベンチャー、ペルセウスの第三者割当増資を引き受け、発行済み株式の22%を持つ筆頭株主に。
  共同で癌や糖尿病の治療に使う副作用の少ない抗体医薬品の開発に取り組む。
   
2006/9 第一三共から第一ラジオアイソトープ研究所を買収
  放射性医薬品、および放射性標識化合物の研究、開発、製造、販売、輸出入などの事業を行っており、画像診断領域での貢献期待。
   
2006/7 「FCRシステム」が乳房X線撮影用途で米国FDAの市販前承認申請に対する認可PMA)を取得
  コンピューテッドラジオグラフィ(CR)方式のシステムとして、世界で初めて同用途でのPMA認可取得
   
2006/9 ヘルスケア分野に参入
  写真感光材料の開発研究で蓄積したコア技術を活用
  ・FTD技術
   機能的に配合したFormulationを、新鮮なまま安定した状態で狙った場所に(Targeting)、タイミング良く Delivery
   (「油溶成分可溶化」、「ナノ分散・乳化」、「安定化(酸化/熱/水分に対して)」などの多くの技術)
  ・活性酸素の制御 
   写真の化学の原理で、ビタミンCを還元剤として活用した活性酸素の制御
  ・コラーゲンの研究
   フィルムの主原料は体の構造体のコラーゲンと同成分で、ヒトと全く同じコラーゲンペプチドを遺伝子工学で創ることに成功
   
  第一弾として、機能性スキンケア化粧品、機能性体内ケア食品を発売。
   
2006/10 東京大学「生体認識分子工学」講座を開設
  寄付講座「生体認識分子工学(富士フイルム)」が開設
 

上田助教授が開発した、生体が作り出す分子認識素子である抗体(免疫グロブリン)の能力を最大限に引き出す新規な免疫測定法「オープンサンドイッチイムノアッセイ(OS-IA)法」をもとに、この方法に適した目的物質(抗原)との親和性の高い抗体を作製する技術および、その利用技術を開発。

ーーーー

キャノンは遺伝子診断事業に参入する。
米国現地法人の100%子会社、Canon U.S. Life Sciences が特定の遺伝子を1時間で検出できる技術を開発、病気の診断や薬の副作用が発生する可能性の有無を調べる装置に応用する。米ベンチャーのCaliper Life Sciencesから遺伝子増幅などの技術供与を受けた。 
キャノンは今後の成長戦略として医療・バイオ分野を強化する方針を掲げている。

同社は眼科機器、X線機器、医療画像記録機器等の医療機器を既に扱っている。

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オリンパスの事業にも、医療分野、ライフサイエンス分野がある。

オリンパスメディカルシステムズは、1950年に世界で初めて胃カメラを実用化して以来、直接体内を観察できるファイバースコープ、ビデオスコープを開発、現在は、診断にとどまらず種々の治療を行うための処置具や治療機器、さらに内視鏡下外科手術用機器に至るまで、開腹せずに処置・治療する低侵襲の診断治療事業を幅広く展開している。

ライフサイエンスでは、顕微鏡で培った遺伝子・タンパク質の解析技術・ノウハウ、さらに分析機で培ったシステム化技術・臨床展開のノウハウ等、入口となる研究領域から出口である臨床まで、すべてを基礎から把握しているという財産を活用する。

2002/11 再生医療事業に参入
  培養骨・多検体自動細胞培養装置の販売を目指す
   
2004/9 オリンパスバイオマテリアルを設立
  人工骨補填材や培養骨など、生体材料事業、再生医療事業および関連製品の研究開発、製造、販売に特化
   
2004/11 内視鏡の適応拡大と進化を目指すカプセル内視鏡と周辺技術を開発
   
2005/5 骨補填材事業買収
  住友大阪セメントが製造し、住友製薬が販売する骨補填材の事業部門をオリンパスバイオマテリアルが買収
   
2006.7 グローバルな免疫検査分野に本格参入
  生化学分析装置の技術・ノウハウを活かした免疫検査装置「AU3000i」と専用試薬をグローバルに販売(当初、欧州から)
   

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ペンタックスにもライフケア事業がある。

事業内容は、内視鏡、メディカルアクセサリー、骨補填材、充填剤の製造、販売。

同社は生体内で自然に消失しながら自分の骨に置き換わる次世代人工骨「生体置換型有機無機複合人工骨」の開発ならびに実用化を目指し科学技術振興事業団から委託開発企業に選定された。

2004年6月には、三菱マテリアルの生体材料事業(セラミックス人工骨の製造および販売)を買収している。

Naphthagraph_19月のナフサ輸入価格が52,950円となり(7月51,082円、8月52,397円)、3Qの平均輸入価格は52,100円となった。この結果、3Qの国産ナフサ価格は54,100円となり、1982年4Qの59,700円以来、24年ぶりの高値となった。

バブル後の最安値は1999年1Qの12,300円で、これの4.4倍となる。

 

3Qの平均輸入価格の52,100円は7-9月の平均レート116円/$で換算すると、約651$/t となる。

これはスポット価格グラフの5-7月の高値の時の契約分が入ってきたもので、8月取引はまだ高いものの、9月には平均555$、10月は531$程度と、100$/t程度の値下がりとなっている。

ナフサ100$/tの下落は Kl 当たりで8,000円程度の値下がりとなる。4Qの価格は急落するのは必至。

石化業界にとってはナフサ価格の大きな変動は好ましいものではない。
2006/9/25 「ナフサ価格 急落」参照

Hibetunaphtha

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