日本経済新聞によると、ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計大手Arm Limited は9月に米ナスダック市場に上場する方針を固めた。4月の準備申請に続き、8月中にも米証券取引委員会(SEC)に正式に申請する。
付記 8月21日に申請した。
付記 9月14日、ナスダックに新規上場し、63.59ドルで初日の取引を終えた。売り出し価格51ドルを25%上回った。時価総額は652億ドル(約9兆6100億円)となった。
上場と同時に米アップルや韓国サムスン電子など複数の事業会社がArm に投資する。上場時の時価総額は600億ドル超が見込まれているが、ナスダック上場で80~100億ドル の調達を目指しているとされる。
別途ロイターによると、Amazonが株式公開(IPO)に先立ち、Arm支援者となるための話し合いを進めているという。Amazonのクラウド部門であるAmazon Web ServicesがArmグループのデザインをGraviton処理チップに活用している。
ArmはAmazonのほか、Intel、Googleの持株会社のアルファベット、Samsung、Nvidia Corporationを含む約10社のテックジャイアントにIPO前の投資を持ちかけたとされる。
ただし、これらの投資家は取締役会の席やコントロールを確保することはなく、この戦略の目的は、Armと主要なクライアントとの関係を強化し、IPOの魅力を高めることであるという。
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ソフトバンクグループは2016年9月に日本企業の海外買収案件としては過去最大の240億英ポンド(310億米ドル)で英半導体設計会社 Arm Limited を買収した。
このうち24.99%をソフトバンク・ビジョン・ファンドに移管した。
ソフトバンクグループは2020年9月13日、傘下の Arm Limited の全株式を米国の半導体メーカーであるNVIDIA Corporationに対して最大400億米ドルと評価した取引で売却することについて、最終的な契約の締結に至ったと発表した。
本取引は、英国、中国、EU及び米国を含む必要な規制当局の承認、その他の一般的なクロージング要件の充足を条件とし、完了までには約18カ月かかると見込んでいる。
Armの事業のうちIoTに関連するサービス事業のInternet-of-Things Services Groupは本取引の対象外で、本取引の完了までにArmから分離される。
2020/9/15 ソフトバンク、Arm LimitedをNVIDIA に売却
これを受け、Google、Microsoft、Qualcomm などが規制当局に苦情を申し立てたと報じられた。
EUの欧州委員会は2020年10月27日、本買収について競争法(独占禁止法)に基づく本格調査に入ったと発表した。ArmがNVIDIAの傘下に入ることで価格の上昇などを招く可能性があると懸念している。
米FTCは2020年12月2日、反トラスト法に基づき、買収差し止めを求める訴訟を起こした。「この垂直取引により、最大のチップ企業の1社が、競合企業が独自の競合チップを開発するために依存する技術と設計を制御できるようになる」としている。NVIDIAの競合企業もArmの技術に依存しており、買収を認めれば、技術支配力を利用して競合他社を弱体化させるとした。裁判は2022年8月9日に開廷の予定であった。
ソフトバンクグループとNVIDIA Corporationは2022年2月8日、NVIDIAがArm Limitedの株式を取得する契約を解消したと発表した。
取引完了のために誠意を持って取り組んできたが、これを阻む規制上の大きな課題があったため、契約の解消に至ったとしている。
当初の契約の条項に基づき、ソフトバンクグループはNVIDIAが前払いした12.5億米ドルを保持し、利益計上する。NVIDIAは20年間のArmライセンスを保持する。
ソフトバンクグループはArmの技術やIPが今後もモバイルコンピューティングと人工知能の発展の中心であり続けると確信しており、2023年3月期中に同社の株式上場の準備に入る。「ナスダックを中心に米国での上場を考えている」としていた。
Armについては、英国単独上場ないし英米重複上場の観測が出ていたが、同社は2023年3月3日、株式上場計画について本年は米国のみの上場を目指すと表明し、4月29日に米証券取引委員会(SEC)に米国での上場を申請したと発表した。
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