2021年6月アーカイブ

Samsung Group がグループの社内食堂の給食業務を100%子会社に全量発注しているのが独禁法上、問題となっている件で、韓国公正取引委員会は6月24日、グループに過去最大規模の課徴金を賦課した。

サムスン電子・サムスンディスプレイ・サムスン電機・サムスンSDIの4社は系列企業のSamsung Welstoryに社内食堂の給食業務を全量発注し、取引条件をSamsung Welstory 側に有利に設定した疑いが持たれている。

これが問題となったため、Samsungは今年4月、大企業7社と「団体給食発注開放発表式」を行い、「系列企業や一族経営の会社に随意契約で発注していた社内食堂の団体給食に競争入札を導入し、中小企業などに門戸を開く」とした。

そのうえで、Samsungは公取委に自主的な是正策(「同意議決」)を提出した。

Welstoryが独占してきた社内食堂の運営を開放し、中小・中堅企業への発注を優先的に考慮する 。

給食、食材関連の中小企業375社に融資支援(総額1500億ウォン:149億円)、
中小給食業者1000社に衛生、安全教育、メニュー開発コンサルティングなどの費用を支援(総額50億ウォン)、
社会福祉法人、保育所など450カ所に食品安全改善支援(総額100億ウォン)などを行うことも提案した。

しかし、公取委はこれを拒否した。財界関係者は「同意議決の棄却は公取委がSamsungの主な役員を検察に告発し、巨額の課徴金を課すなどの制裁を行うという意味だ」と述べた。

2021/6/12 韓国公取委の強い姿勢

今回、 韓国公取委はサムスン電子・サムスンディスプレイ・サムスン電機・サムスンSDIとSamsung Welstoryに合計2349億ウォン(約230億円)の課徴金を賦課し、サムスン電子と崔志成 ・元サムスン未来戦略室長を検察に告発すると明らかにした。

不当支援行為事件に賦課された課徴金では過去最大規模で、このうちサムスン電子に対する1012億ウォンは国内の単一企業の課徴金で最も大きい。

サムスン側は直ちに「納得しがたい」として行政訴訟を提起する立場を明らかにした。

公取委の調査によると、サムスン電子など4社は2013年4月から社内の全給食をWelstoryに随意契約方式で集めた。

公取委はこの過程で、未来戦略室の指示に基づきサムスン系列会社がWelstoryに対し 、食材費の利益率25%を保証するなど「非常に有利な条件」で「過多な経済上の利益」を提供したとした。

また、公取委はWelstoryが不当支援で得た利益を背景に 他の取引の秩序を乱したと判断した。
Welstoryは外部事業場の受注では営業利益率-3%を提示し、積極的に市場支配力を拡大した」とし「他の給食会社は入札機会自体を喪失したり 、不利な条件で受注競争をするしかなかった」と主張した。

Welstoryが内部・外部経営環境の変化に関係なく毎年約1兆1000億ウォンの売上高と1000億ウォン水準の営業利益を出した」と指摘した。
不当支援期間にWelstoryが内部取引で出した営業利益は累計4859億ウォンだが、非系列会社の営業では103億ウォンの赤字を出している。

公取委はWelstoryが第一毛織とサムスン物産の合併の正当性確保に寄与したとも見なした。合併の過程でWelstoryの価値が高く評価され、合併後Welstoryの営業利益がサムスン物産に帰属し、配当資金などに充てられたというのが、公取委の分析だ。

Samsung Welstory は第一毛織の子会社であったが、第一毛織がSamusung 物産と統合した。

「今回の事件は、総帥一家の持ち株比率が高い会社に多数の系列会社が長期間にわたり利益を提供した行為」とし「総帥一家の私益詐取規制を避けながら隠密に進めた支援行為を摘発した」と述べた。

李一族が第一毛織の45.56%を保有していた。これと合併した新サムスン物産は李一族が支配し、グループの事実上の持株会社となった。
公取委によると、第一毛織子会社のWelstoryの評価を高くすることにより、合併比率を李一族に有利にした。

これに対し サムスン電子は、「役職員の福利厚生のための経営活動が不当支援と見なされて遺憾」という立場を出した。

公取委が「Welstoryがサムスン物産と第一毛織の合併の正当性を確保するのに寄与した」と述べた点について、サムスン電子は「告発決定文に含まれなかったり相異なる内容で、世論の誤解を招き、今後進行される検察の捜査と裁判所の裁判に予断が生じないか憂慮される」と明らかにした。

サムスン電子の李在鎔副会長は、朴槿恵・前大統領らへの贈賄罪で有罪となり収監されているが、これとは別に、2015年のサムスン物産と第一毛織の合併過程における背任、サムスンバイオロジクスの粉飾会計などサムスン経営権継承を巡る一連の疑惑でも裁判を受けている。

韓国のソウル中央地検は2020年9月1日、李在鎔サムスン電子副会長を株価操作などの罪で在宅起訴した。裁判は最長1年半かかり、最終的に最高裁が判断する事態となれば、決着までさらに2年を要することもあり得る。

2020/6/2 韓国検察、サムスン電子副会長を再度聴取、経営権継承巡る疑惑

サムスン電子は「不当支援の指示はなかった」と繰り返し強調し、「会社としても(役職員に)良質の食事を提供するために最善を尽くした」と釈明した。

サムスン電子は今後、公取委の全員会議議決書の内容を検討して行政訴訟を提起し、法的手続きを通じて正常な取引であることを主張する。

ーーー

普通に考えると、社員食堂の運営をどうするかは会社の判断に委ねられると思われる。また社員の福祉のために企業が費用を負担することも妥当である。

しかし、供与利益が大きすぎること、結果としてオーナーが主株主である企業を利していること、この会社の新旧親会社同士の合併でオーナーが背任で起訴されていることなど、公取委が問題視するのも理解できる。

最終的にどう決着するか、注目したい。

バイデン米大統領は6月24日、8年間で1兆2000億ドル規模のインフラ投資計画で超党派の上院議員と合意したと発表した。国内の道路や橋梁などを刷新し、経済活性化を目指す。

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バイデン大統領は3月31日、国内のインフラの整備等に8年間で2兆2500億ドルを投入する新たな計画 American Jobs Plan を発表した。

2021/4/2 バイデン大統領、American Jobs Plan 発表、8年間で2兆2500億ドル投資

バイデン大統領が上院共和党のグループとの間で進めていたインフラ投資計画(American Jobs Plan )を巡る交渉が6月初めに決裂した。

サキ大統領報道官は、大統領が別の民主、共和両党の上院議員に接触し「超党派の提案をつくるよう求めた」と表明した。

2021/6/10 米インフラ計画の交渉決裂  

通常のやり方では60票の賛成がないと予算が決まらないことになるため、 Congressional Budget Act of 1974 が成立した。

2本目の法案を予算と結びつけることにより、次の手続きでフィリバスターを回避できる。

予算決議案

連邦歳入総額、歳出総額、財政赤字(黒字)額を示した上で、国防、農業、エネルギー等20の政策分野の歳出上限額を規定するほか、当該年度以降の複数年度の財政見通しを示すもの。大統領に送付されず法的拘束力を有するものではない。

予算決議案の審議時間が50時間に限られているためフィリバスターを回避できる。

予算決議案が成立すれば、財政調整法を審議する。

予算決議に各委員会への財政調整指示(歳入、歳出、財政赤字、公的債務上限を変更するために既存の法律を改正する指示)が含まれると、各委員会はこの指示を受けて財政調整法案を策定、策定された法案は予算委員会でまとめられ、一つの包括的な法案として議会で審議され、両院の本会議で可決、大統領の署名を経て成立。

審議時間が20時間に限られているため、上院でのフィリバスター財政調整法には適用されない。

バイデン大統領は「夏場の今後数カ月間で、今会計年度が終了する前にこの(超党派)法案に加え、予算決議についても採決が終わっていると期待する」とし、「だが法案がこの1本しか送られなければ署名しない。2本立てだ」と述べた。

この発言を受けて共和党上院トップのマコネル院内総務はこうした二段構えの戦略を強く非難した。「大統領は超党派合意を支持してから2時間足らずで拒否権行使を示唆した」と痛烈に批判した。

バイデン大統領は6月26日、自身の発言について声明を出し、「合意したばかりの計画に拒否権行使の脅しをかけている印象を与えたが、そのような意図は全くなかった」と釈明した。

中外製薬は6月25日、同社が開発した抗リウマチ薬「アクテムラ(tocilizumab)」が、新型コロナウイルスの治療薬として、米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可を取得したと発表した。

日本では年内の承認申請に向けて厚生労働省と協議している。

今回、中外製薬の親会社Rocheの100%子会社のGenentechがFDAから緊急使用許可を取得した。

RocheはGenentechの55.8%を保有していたが、2009年に100%子会社とした。

対象は全身性副腎皮質ホルモン(corticosteroids)を投与されており、酸素補給、非侵襲的または侵襲的人工呼吸器、または対外式膜型人工肺(ECMO)を必要とする入院中の成人および小児患者(2歳以上)となっている。

副腎皮質ホルモンには、デキサメタゾン、パラメタゾン、ベタメタゾンなどがある。

アクテムラは、炎症を起こす蛋白質の働きを阻害する抗体医薬品。抗リウマチ薬としては各国で承認済み。新型コロナへの効果も期待されるとして、多くの臨床現場で使用されている。

ーーー

中外製薬は2021年3月11日、COVID-19治療薬候補「アクテムラ」(Tocilizumab)の海外での試験で、主要評価項目を達成しなかったと発表した。
他に、主要評価項目を達成しなかった例と、主要評価項目を達成した例がある。

2021/3/12 中外製薬のCOVID-19治療薬候補「アクテムラ」、海外で効果確認できず 

一方、英政府は2021年1月7日、「アクテムラ」(Tocilizumab)と「サリルマブ」が新型コロナウイルス感染症の治療にも有効だと発表した。1月8日から、英国全土の病院の集中治療室に入院中のコロナ患者を対象に投与する。コロナの治療薬としては抗炎症薬「デキサメタゾン」などに続くものとなる。

「サリルマブ(Sarilumab) 」(Sanofi の製品名 ケブザラ)はヒト型モノクローナル抗体で、アクテムラに次ぐIL-6阻害薬。
炎症を引き起こすIL-6の活性を抑制することで関節の炎症を改善し、全身症状(関節の破壊や変形から生じる機能障害、疲労、骨粗鬆症など)を緩和することが期待される。

「デキサメタゾン」は抗炎症作用のある一般的なステロイド剤で、英オックスフォード大が2020年6月16日、新型コロナウイルスの重症患者の死亡率を減らすのに効果的だとする臨床試験の結果を公表した。これを受けて英国の保健・社会福祉相は同日、新型ウイルス感染症の標準治療に午後からデキサメタゾンを含めると表明した。

日本の厚生労働省は、2020年7月に新型コロナウイルス感染症の診療ガイドラインに「デキサメタゾン」を新たに掲載した。

英政府が支援した臨床研究では、集中治療室の患者に対して抗炎症薬「デキサメタゾン」の投与など通常の治療をした場合の死亡率は35.8%だったのに対し、搬送から24時間以内にトシリズマブなども追加で使った場合は27.3%まで低下した。

2021/1/9 英政府、「中外製薬のリウマチ治療薬が新型コロナに有効」

米国立衛生研究所(NIH)は2021年3月5日付で、新型コロナウイルス感染症の治療指針を更新し、重症患者に、関節リウマチなどの治療薬「トシリズマブ」を、既にコロナ治療で広く使われているステロイド系抗炎症薬の「デキサメタゾン」と併用して投与することを推奨した ことが判明した。

2021/3/16 米国立衛生研究所、コロナ重症治療でアクテムラとデキサメタゾンの併用を推奨

上記の英米の研究結果で、デキサメタゾンとアクテムラの併用が効果があることが判明している。

今回、FDAはデキサメタゾン等の副腎皮質ホルモンを投与され、酸素補給や人工呼吸器等を必要とする入院患者にている患者へのアクテムラの投与を承認した。

東芝、株主総会

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6月25日の定時株主総会で、永山治取締役会議長と監査委員会の小林伸行委員の再任案が否決された。

当初の13人の候補のうち、2人を事前に下したが、更に2人が否決された。

2021/6/15 東芝、異例の取締役候補者変更 

また、選任された新任のジョージ・オルコットが辞任し、取締役は8人となった。

社側取締役候補者(2人は今回、撤回)敬称略

今回選任

現行 

取締役 社外 新任 指名委 監査委 報酬委 社外
取締役
社内取締役 監査委 指名委
 智

会長
社長CEO

会長
社長CEO
永山 治 否決 元 中外製薬 (取締役会議長)
太田 順司 撤回 元 新日鉄
小林 伸行 否決 CPA
山内 卓 撤回 元 三井物産
Paul J. Brought 元 KPMG
Ayako Weissman 元 投資会社
Jerry Black イオン顧問
George Zage Ⅲ 元 投資銀行
畑澤 守 代)副社長
綿引 万里子 元 裁判官
George Olcott 〇辞任 元 投資銀行
橋本 勝則

元 デュポン
合計 8人 5人 3人 3人


永山氏の後任の取締役会議長にはとりあえず、智会長兼社長CEOが兼任するが、原則として社外取締役が就任することとなっており、「後継者の選定を進める」としている。

出来るだけ早く臨時株主総会を開き、追加で社外取締役を選任する。


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米商務省は6月23日、中国でウイグル族の人権を侵害しているとし、米企業からの製品輸出を禁じるEntity List に中国企業4社と中国共産党系の組織(ウイグル綿花の主要生産団体)を追加した。

Entity Listは輸出管理法(規則 744.11(b) )に基づき安保上懸念がある企業を指定するもので、海外企業を含む企業が米国のハイテク製品や技術を同社に輸出する場合は商務省の許可が必要になり、原則却下される。

米国はすでに、新疆ウイグル関連で多数企業をEntity List に載せている。

米商務省は 2019年10月9日付で輸出規制の対象である「エンティティー・リスト(EL)」にハイテク8社と、新疆ウイグル自治区各地区の公安部門など20機関の合計28団体・企業を加えた。

2019/10/9 米、中国の少数民族弾圧でハイテク企業と公安部門をEntity Listに追加 

2020年6月5日に、ウイグル関係の人権侵害関与理由により9団体をEntity Listに追加 した。うち7社は監視関連の企業である。

2020年7月20日、中国・新疆ウイグル自治区のウイグル族の強制労働や遺伝解析に関わったとして、衣料品や家電などを手掛ける中国企業11社をEntity Listに載せた。

2020/7/21 米、ウイグル族弾圧で中国11社を禁輸対象に追加 

今回の一部の企業は、太陽光発電パネルに使われる単結晶シリコンやポリシリコンを製造している。

商務省によると、この5社が新疆ウイグル自治区での強制労働や監視活動など、人権侵害に関わった疑いがあると説明している。

対象:

Hoshine Silicon Industry (合盛硅業工業)

Xinjiang Daqo New Energy (大全新能源傘下の新疆大全新能源)高純度ポリシリコンメーカー

Xinjiang East Hope Nonferrous Metals Co.(東方希望集団傘下の新疆東方希望有色金属)

Xinjiang GCL New Energy Material (GCL New Energy Material Holdings 傘下)

Xinjiang Production and Construction Corps(新疆生産建設兵団:XPCC) 中国共産党の傘下組織でウイグル綿花の主要生産団体(下記)

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付記

米商務省は7月9日、安全保障上の懸念があるとして中国やロシアなどの34団体を輸出禁止対象に加えると発表した。
このうち中国の14団体は、新疆ウイグル自治区でのウイグル人、カザフ人や他のモスリム人に対する抑圧、大量拘束、ハイテクによる監視など人権侵害を理由に挙げた。

団体名はまだ発表していないが、報道では、首都ウルムチで中国当局と共同で顔認証ラボを設立したDeepGlint(Beijing Geling Shentong Information Technology )、中国の軍需企業の子会社の新疆聯合荘子社と成都西武安全システム同盟、監視カメラ会社のLeon Technologyなどが挙がっている。

ーーー

別途、米労働省は、中国で強制労働でつくられたポリシリコンを "List of Goods Produced by Child Labor or Forced Labor"に追加した。

2005年のTrafficking Victims Protection Reauthorization Act に基づき、国際基準に違反して児童労働、強制労働で生産されたと信じるに足る製品とその生産国をリストするもので、現時点で77か国、156製品が指定されている。

このリストは罰則に使うのではなく、児童労働や強制労働の廃止のため、広く注意を喚起するためのもの。

バイデン政権は同日、強制労働に関与しているとして、合盛硅業からの太陽光発電パネル素材の輸入を禁止した。「米国はサプライチェーン内の強制労働を容認しない」とした。
今後も措置が追加される可能性があり、調査は継続していると明らかにした。米企業はポリシリコンの代替的な調達先を見つける必要に迫られる可能性がある。


中国外務省の趙立堅報道官は6月24日、中国企業の権利と利益を守るために「必要なあらゆる措置」を取ると述べた。

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米政府は2020年12月、ウイグル自治区で綿製品を生産する中国最大の団体「新疆生産建設兵団(XPCC)」の製品に対して禁輸措置を発動した。

米政府は2021年1月13日、中国共産党による少数民族の強制労働を理由に、中国の新疆ウイグル自治区で生産された綿製品の輸入を禁じると発表した。今回は生産者を問わず同地区全体を包括的に禁輸対象とした。

米税関・国境取締局(CBP)がウイグル自治区で生産された綿製品の輸入を差し止める命令を出した。「強制労働が使われている合理的な情報がある」として、生地から完成品まであらゆる製品を対象に含めた。 米メディアによると、米国が同自治区から輸入する綿製品は過去1年で約90億ドルと推定されている。

ウイグル自治区は綿製品で世界有数の産地で、日米欧の衣料品メーカーが販売する製品も関わっている。

2021年1月、米税関・国境警備局(CBT) は新疆ウイグル自治区の強制労働をめぐる輸入禁止措置に違反したとして、ロサンゼルス港で「ユニクロ」の男性用シャツの輸入を差し止めた。「新疆生産建設兵団(XPCC)」が原材料の生産に関わった疑いがあるとしている。綿の原材料は生産過程が複雑で、原産地の特定が困難とされるが、輸入する企業に、強制労働の製品を使っていないと証明する義務を課していた。

ユニクロのファーストリテイリングは、「CBPの決定は非常に遺憾だ。サプライチェーンにおいて強制労働などの深刻な人権侵害がないことを確認している。CBPに対し、あらゆる証拠を提出し、適切に対応している」としている。

EUは3月22日の外相理事会で、中国・新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害に当たるとして、同自治区の中国当局者ら4人と1団体を対象にEU内の資産凍結や域内への渡航禁止の制裁を採択した。

米国、英国、カナダも同日、中国での少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害にあたるとして、中国政府当局者らへの制裁をそろって発表した。

米財務省は、中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与したとして中国政府当局者2人(自治区の公安トップと新疆生産建設兵団の共産党委員会書記)に制裁を科したと発表した。「国際的に非難が広がるなかで中国がウイグル自治区でジェノサイドや人道に対する罪を続けている。我々は世界中の同盟国と連携し、中国による犯罪行為の即時停止と犠牲者のための正義を訴えていく」と強調した。

島津製作所は6月22日、血中のアミロイドペプチド(アルツハイマー型認知症の特徴であるアミロイド斑の主要成分)を測定する「血中アミロイドペプチド測定システム Amyloid MS CL」を発売した。本製品は、昨年12月に「診断の参考情報となり得る生理学的パラメータを測定する診断機器」として製造販売承認を受けている。 希望販売価格は税別で1億円。

アルツハイマー型認知症の原因は未だ解明されていないが、進行に伴っていくつかの特有の病変が見られる。例えば、神経細胞の外側では「アミロイドβ」が蓄積して老人班を形成し、神経細胞の中では「タウタンパク」が蓄積してタンパク質が糸くず状に変化したようなもの(神経原繊維変化)が見られるようにな る。


アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。

米食品医薬品局(FDA)は6月7日、エーザイと米バイオジェンが共同で開発するアルツハイマー型認知症治療薬候補ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)について、脳内アミロイドβプラークを減少させることにより、アルツハイマー病の病理に作用する初めてかつ唯一治療薬として迅速承認(accelerated approval)したと発表した。

新薬はアミロイドβ蛋白のレベルを下げるもの。

2021/6/8 エーザイとバイオジェンのアルツハイマー新薬、米で承認


「アミロイドMS CL」は、MS(質量分析)技術を用いて、血液数滴(約0.5mL)に含まれるアミロイドβを測定する「アミロイドMS」の技術の一部を医療機器として製品化したもの。

「認知機能の低下」という症状が出る前にアルツハイマー病変を捉える方法の1つとして、「アミロイドβ」や「タウタンパク」の蓄積状態(量、濃度、分布)を可視化、数値化するPET検査や脳脊髄液(CSF)マーカー検査がある。これらと比べ、今回の方法は少量の採血で測定でき、被験者の負担が小さい検査を実現する。

アミロイドβは、40個のアミノ酸が結合したペプチドAβ1-40と42個のアミノ酸が結合したペプチドAβ1-42の2種類が主に知られているが、それ以外の長さのものが10種類以上存在することがわかっている。

アミロイドβが蓄積している状態であっても、血中には様々な夾雑物が高濃度に存在し、アミロイドβはごく少量のため、血液を採取しても、その中からアミロイドβを検出することは困難で あった。

島津製作所は、質量分析が多種類の物質の同定および同時測定に強いことに着目し、高性能の質量分析システムを使ってアミロイドβ関連ペプチドを測定することを考えた。

ごく微量なアミロイドβ関連ペプチドを質量分析装置で検出することは技術的に困難だが、血液の前処理方法を確立することによりこの問題を打破した。

各アミロイドβ関連ペプチドの量をそれぞれ正確に検出するために、アミロイドβ関連ペプチド内の配列に対するエピトープを持つ特殊な抗体を用いて、アフィニティ精製を2回連続で行う方法を見出した。
第一工程では界面活性剤を、第二工程では有機溶媒を酸性溶液に含ませるといったように各工程で最適な試薬を使用すること、さらに抗体に接触させる溶液の液量を適切に調整することなどの工夫により、血液中のアミロイドβ関連ペプチドだけを取り出し質量分析装置によってS/N比が十分ある状態で検出できることを発見した。

島津製作所の強みである「抗体技術」と「高性能な質量分析技術 」を組み合わせる手法により、 今まで血液中での存在が確認されなかった新たな8種類を含む22種類のアミロイドβ関連ペプチドを分離して、測定することができる。

そのうえで、アルツハイマー病研究の第一人者である国立長寿医療研究センターの柳澤勝彦氏との共同研究で、アルツハイマー病の進行に伴って、新規発見ペプチドであるAPP669-711の量がAβ1-42よりも多くなる傾向があることを見出した。

アミロイドβの蓄積状態に応じて、Aβ1-42とAPP669-711の強度比が変わるのは、2つのペプチドの凝縮性の違いに起因すると考えられる。

脳内で産生されたAβ1-42の一部は、健常者でも脳脊髄液や血液に漏出しているが、脳内でアミロイドβの蓄積が始まると、産生されたAβ1-42は次から次へとアミロイドβに結合(凝集)し、血液への漏出は減る。

一方、APP669-711は両端のアミノ酸配列に違いがあり、Aβ1-42と比較して大幅に自己凝集性が低くな るため、アミロイドβに結合しにくく、脳内のアミロイドβ蓄積に関わらず一定の割合で血液に漏出していると考えられる。

Aβ1-42の漏出量は、個々人の全身状態に影響を受けて変動するため、同じように影響を受けるAPP669-711の漏出量と比を取ることで、全身状態の影響を排除してアミロイドβ蓄積状態に起因する変動だけを取り出すことができ る。


以上により、APP669-711とAβ1-42の比を新しいバイオマーカーとすることで、アルツハイマー病変(アミロイドβ蓄積)のある人を高い精度で分離できる可能性が示唆された。

中国商務部、工業情報化部、国家衛生健康委員会、国家食品薬品監督管理局は6月22日、公告13号を出し、COVID-19ワクチンの輸出許可リストを発表した。順次、追加改正する。

下記は発表リストをWHO発表資料で補正した。

Sinopharmのワクチンは、北京のものも武漢のものも同一の商品名(COVILO)である。

Developer/manufacturer 商品名 Platform Type doses Timing
 
days
Route

承認

1 Sinopharm + China National Biotec Group Co + Beijing Institute of Biological Products COVILO
众康可维)
Inactivated Inactivated (Vero cell) 2 0, 21 IM

中国2020/12/31
WHO 2021/5/7

2 Sinovac Life Science CoronaVac
福)
Inactivated Inactivated (Vero cell) 2 0, 14 IM

中国 2021/2/6
WHO 2021/6/1

3 CanSino Biologs Inc. Convidecia
莎)
Non-Replicating Viral Vector Adenovirus Type 5 Vector 1   IM

中国 2021/2/26

4 Sinopharm + China National Biotec Group Co.+ Wuhan Institute of Biological Products COVILO
维)
Inactivated Inactivated (Vero cell) 2 0, 21 IM

中国 2021/2/26

キューバで新型コロナウイルスの国産ワクチンの開発が着々と進んでいる。現在、5種類を開発中で、うち2つのPhase Ⅲ臨床試験(治験)の結果が出た。

国営バイオ医薬品会社 BioCubaFarmaは6月19日、傘下のFinlay Institure がCentre for Molecular Immunology と National Biopreparations Centreの協力を得て開発中のワクチンSoberana 02が、3回接種のうちの2回接種だけで62%の効果を示したと発表した。世界各地の規制当局や世界保健機関(WHO)などの保健当局から承認を得るために必要な有効性の基準をクリアした。

3回目の接種後の後期段階の結果が「当然さらに優れたものになる」と予想している。

「Soberna」はスペイン語で「主権 ("sovereign")」を意味する。

週明けの6月21日には、キューバの遺伝子工学研究所(Center for Genetic Engineering and Biotechnology)が、自身が開発する3回接種のワクチン 「Abdala」 がPhaseⅢで92.28%の有効性を示したと発表した。

「Abdala」はキューバの英雄(革命家、詩人)のJosé Martí の詩から名付けられた。,

これら2つのワクチンについては、同国の規制当局がまもなく緊急承認を行なう。

ーーー

キューバは外国からコロナワクチンを輸入せず、自前で賄う態勢を続けてきた。

COVID-19がキューバに侵攻すると、政府は直ちにヘルスケアシステムとバイオセクターを総動員した。人口当たり死者数は西半球では最低レベルである。海外にも多数の専門家を派遣している。

キューバのバイオテク部門はユニークで、完全に国営であり、イノベーションは利益を目的とせず、全て国民の健康ニーズに合わすことを目的としている。また、大学や研究機関、政府の公共福祉部門間で継続した徹底的な情報交換が行われている。

キューバのバイオ技術部門は何十年もワクチンを対外輸出してきた実績がある。早速5種類のワクチンの開発に着手した。

本年3月末時点で世界で 23のコロナワクチン候補がPhaseⅢ治験に進んでいるが、ラテンアメリカではキューバのSobernaとAbdalaのみがこれに含まれている。

当局もコロナワクチン候補の接種を研究の名目で既に開始しており、これまでに人口約1120万人のうち約100万人が接種を完了している。
政府統計によると、首都ハバナでは1カ月前にAbdalaの接種を初めて以来、毎日の新規感染者数が半減したとしている。

アルゼンチンやジャマイカ、メキシコ、ベトナム、ベネズエラなどからキューバのワクチンの購入への引き合いがある。イランは今年初め、後期臨床試験の一環としてキューバのSoberna 02の生産に着手した。

キューバのワクチンは3回接種だが、2 - 8℃で安定的で、特殊な冷凍設備を必要としない。

開発中の5つのワクチンは全てスパイクタンパクだが、このうちSoberna 02のみは conjugate vaccine(結合型ワクチン)で、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインを破傷風トキソイドに化学的に結合したもの。スパイクタンパク質サブユニットは、チャイニーズハムスター卵巣細胞培養で産生している。

残り3種は下記の通りで、いずれも臨床試験が進んでいる。

1) Finlay Instituteの「Soberana Plus」 (当初のSoberana 01の後継)

2) Center for Genetic Engineering and Biotechnologyの「Mambisa」

経鼻ワクチンで、注射を必要としない。

「Mambisa」19世紀後半にスペインの支配に対し戦った兵士たちから名付けられた。

3)「Pan-Corona」

Cuban Center for Genetic Engineering and Biotechnology (CIGB) の研究員が開発した。

2020年にキューバと中国の共同研究機関として中国湖南省永州市に設立されたYongzhou Joint Biotechnology Innovation Center で開発している。
このプロジェクトは中国側の要請で開始された。キューバの専門家がデザインしたラボ、設備を使い、キューバの技術者のアイディアを基に開発される。

公正取引委員会は5月26日、「令和2年度における独占禁止法違反事件の処理状況について 」発表した。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2021/may/210526.html

法的措置件数は26名/15件であった。

私的
独占
価格
カルテル
入札
談合
受注
調整

不公正取引

優越的地位
濫用
拘束条件
取引
排除措置命令 20名 / 9件 1件 6件 1件 1件  ー  ー
確約計画認定 6名 / 6件 3件 3件


なお、私的独占では他に大阪瓦斯の件がある。競争事業者を不当に排除した件だが、是正措置の申し入れがあり、審査が2年近くに及ぶため、「審査終了」措置とした。

不公正な取引方法以外の項目は下記の通り。

課徴金
私的独占 マイナミ空港サービス/八尾空港で他社の事業活動排除 612万円
価格カルテル 愛知県立高等学校6校の制服販売業者 排除措置命令
コーアイセイと日本ケミファ/炭酸ランタン水和物口腔内崩壊錠 コーセイアイ:137万円
舗装用改質アスファルト5社 31億4098万円
アスファルト合材9社 8社398億9804万円
特定アルミ缶2社と
特定スチール缶2社
203億9196万円
53億3160万円
鳥居薬品と日本ケミファ/カルバン錠 287万円
入札談合 山形県発注の警察官用制服類 141万円
受注調整 大林、清水、鹿島、大成/リニア中央新幹線品川駅・名古屋駅新設工事 大林、清水:43億2170万円
   2020/12/25 公取委、リニア中央新幹線に係る談合事件で命令

上記9件はすべて排除措置命令(および課徴金)の対象であるが、「不公正な取引方法」の6件はすべて「確約計画の認定」対象となった。

「確約計画の認定」は環太平洋パートナーシップ協定に基づき新しく導入された制度である。

協定の第16章に競争政策の規定があるが、次の規定が含まれている。

「各締約国は、自国の国の競争当局に対し、違反の疑いについて、当該国の競争当局とその執行の活動の対象となる者との間の合意により自主的に解決する権限を与える」

このため、 平成28年法律第108号により、独占禁止法の違反の疑いについて公正取引委員会と事業者との間の合意により自主的に解決するための手続(「確約手続」)が導入された。

施行期日は、環太平洋パートナーシップ協定が日本国について効力を生ずる日(少なくとも6か国がそれぞれの国内法上の手続を完了した旨を寄託者のニュージーランドに通報した日の60日後)で、2018年12月30日に発効した。

調査開始後に公取委が「独占禁止法違反の疑いがある行為」を事業者に通知し、事業者側が改善のための計画を自主的に作成し、公取委が十分かつ実施可能な内容であると認めた場合に、反認定は行わずに法的措置を見送る

この場合、確約計画の認定は、当該行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない

なお、入札談合,受注調整,価格カルテル,数量カルテル等は適用外 であり、また、10年以内に同一条項違反で法的措置を受けた場合や、悪質かつ重大な違反被疑行為である場合には対象にならない。

違反の疑いの通知を受けた場合、確約計画を出して認められれば違反とはみなされないため、2020年度の不公正取引案件(6件)は全てが確約計画認定となっている。

確約認定 違反事項
2019/10/25 楽天 拘束条件付取引 「楽天トラベル」サイトに掲載する宿泊施設の運営業者との間で、掲載する部屋の最低数の条件を定め,宿泊料金及び部屋数については他の販売経路と同等又は他の販売経路よりも有利なものとする条件を定め た。
2020/3/12 日本メジフィジックス 取引妨害 富士フイルムRIファーマがPET検査用放射性医薬品への新規参入に当たり,妨害した。
2020/6/4 クーパービジョン 拘束条件取引 使い捨てコンタクトレンズ
小売業者に、①広告への販売価格の表示を行わないように要請、②医師の処方を受けた者にインターネットによる販売を行わないように要請
2020/11/12 シード 拘束条件取引
2021/3/26 日本アルコン 拘束条件取引
2020/8/5 ゲンキー 優越的地位濫用 納入業者の従業員等の派遣、クリスマスケーキ・お節料理の購入、キャンペーンでの金銭提供を要請
2020/9/10 アマゾン 優越的地位濫用 支払い金額減額等
2021/3/12 BMW 優越的地位濫用 ディーラーに新車販売台数を割当

米連邦通信委員会(FCC)は6月17日、安全保障上のリスクとみなす中国企業5社の通信機器の認証を禁じる方針を決めた。

華為技術(Huawei)など米国の安全保障に脅威とみなす中国企業の機器を国内通信ネットワークから完全に排除するための新規則を全会一致で採択した。
  https://docs.fcc.gov/public/attachments/DOC-373363A1.pdf


付記

米議会はこれを法制化し、法案は下院では10月20日、上院は10月28日に可決された。

バイデン米大統領は11月11日、この法案に署名、成立した。


禁止の対象は次の5社の製品:

企業名

Covered Equipment or Services

華為技術
 Huawei Technologies Company
Telecommunications equipment
including telecommunications or video surveillance services
中興通訊
 ZTE Corporation
海能達通信
 Hytera Communications Corporation
Video surveillance and telecommunications equipment
to the extent it is used for the purpose of
public safety,
security of government facilities,
physical security surveillance of critical infrastructure, and other national security purposes
杭州海康威視数字技術 (Hikvision)
 Hangzhou Hikvision Digital Technology
浙江大華技術
 Dahua Technology Company


FCCは2021年3月12日、米国の通信ネットワークの保護のための2019年の法律に基づき、上記5社を安全保障上の脅威(to pose an unacceptable risk to U.S. national security)に認定している。

FCCは通信機器の安全性確のため、米国内で使える通信機器を認証している。今後は対象の中国5社の製品を認証しないほか、過去の認証を取り消すことも検討する。一般から意見を募って規則の詳細を決める。

各社の通信機器や監視カメラは安価でアフターサービスも手厚いため、米国内の通信網や公共施設、店舗などで使われている。当局の認証がなくなれば、米国内で販売できなくなる。


FCCはこれまでに、政府の補助金を受け取る通信会社が中国製機器を買うのを禁じている。また、米政府機関は5社の製品をつかっている世界中の企業との取引を禁止している。

今回の措置で、米国では完全に除外されることとなる。

FCCのローゼンウォーセル委員長代行は、新規則によって「わが国の通信ネットワークから信頼できない機器は除外される。われわれはこれまで(Huaweiやその他中国企業の機器)がFCCの承認手続きを通じて米国で使われる余地を残してきた。だからその機会を閉じることを提案している」述べた。

ーーー

米連邦通信委員会(FCC)は2019年11月22日、政府の補助金を受けている米通信事業者に対し、中国通信機器大手の華為技術(Huawei)と中興通訊(ZTE)製の通信機器の利用を禁止する規制の導入を決めた。

HuaweiとZTEを「安全保障上の脅威となる企業」に指定し、補助金を受け取る通信事業者に両社の機器やサービスの購入・利用を禁止する。 既存のHuaweiやZTEの機器は他の企業の機器への交換を行わせる。

米連邦通信委員会(FCC)は2020年6月30日、Huawei と ZTE を米国の国家安全保障上の脅威に指定した。

高速通信網の整備を支援する連邦補助金は年83億ドルに上り、支給を受ける地方通信会社の多くは安価な中国製品に依存しているが、2社の通信機器に関しては、新たな購入だけでなく、すでに導入済みの機器も含めてあらゆる使用を禁止する。

2019/11/26  米FCC、補助金を受けている米通信事業者に HuaweiとZTE機器の利用禁止

補助金を受け取らない企業は引き続き使えるため、政府や議会で問題視されてきた。

今回、ローゼンウォーセル委員長代行は新規則で「(開いていた)ドアを閉じる」と強調した。

ーーー

2018年8月13日には「2019年度米国防権限法」が成立した。

これは禁止を国防総省以外にも拡大するもので、禁止対象製品は次の通り。

(A) Huawei と ZTE製の通信機器

(B) 監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION )、浙江大華技術(Dahua Technology)、海能達通信(Hytera)製のセキュリティ用のビデオ監視・通信機器

(C) 国防長官が国家情報長官、FBI局長との協議で、中国政府の影響下またはつながりがあるとみなす企業の通信機器及びビデオ監視システムも同様の扱いとなる。

禁止は2段階に分かれる。

第1 段階(発効日の1年後=2019年8月13日以降)

  米政府機関(連邦政府、軍、独立行政組織、政府所有企業)が5社の製品や、5社が製造した部品を組み込む他社製品を調達することを禁止

第2段階(発効日の2年後=2020年8月13日以降)

5社の製品を社内で利用している世界中の企業との取引を禁止
(米政府機関に収めている製品・サービスが通信機器とは一切関係のない企業でも、5社の製品を使っておれば禁止)

2018/12/11 2019年度米国防権限法(NDAA2019) --- Huawei、ZTE等の米政府機関との取引からの排除

米最高裁判所は6月17日、テキサス州などの医療保険制度改革法(オバマケア)無効化の訴えを退け、存続させる判断を下した。

判断は7対2で、訴えを起こした州には同法の無効化を求めて訴訟を起こす法的資格がないとされた。判断の文言はリベラル派のStephen Breyer 判事が執筆した。

最高裁判事はトランプ前大統領が任期中に保守派3人を送り込み、それまでほぼ拮抗していたのが、保守派6 対 リベラル派3 となり、判断が注目されていたが、反対は、Samuel Alito 、Neil Gorsuch の2人だけで、トランプが最後に押し込んだBarret判事を含め、保守派4名が存続を支持した。

2020年10月22日の上院司法委員会でのBarrett判事承認にあたり、民主党議員は委員会室の自らの席にオバマケアの恩恵を受けた米国人の写真を並べ、承認に反対するとのメッセージを込めた。Barrett判事は同法に否定的であるとされていた。

保守派 Swing リベラル派
以前  保守系中道 のKennedyがswing 4 ← 1 → 4
2016 Scalia 判事死去 3 ← 1 → 4
2017 Gorsuch 就任 4 ← 1 → 4
2018 Kennedy 引退、Kavanaugh指名 5 4
2020 Ginsburg 死去 5 3
2020 Barrett就任 6 3

性別 年齢 人種背景

指名した大統領

就任日 判断傾向
Clarence Thomas 男性 72歳 アフリカ系 George H. W. Bush 1991年10月23日 保守
Stephen Breyer 男性 82歳 ユダヤ系 Bill Clinton 1994年8月3日 リベラル
John Roberts  (Chief) 男性 65歳 白人系 George W. Bush 2005年9月29日 保守
Samuel Alito 男性 70歳 イタリア系 2006年1月31日 保守
Sonia Sotomayor 女性 66歳 ラテン系 Barack Obama 2009年8月8日 リベラル
Elena Kagan 女性 60歳 ユダヤ系 2010年8月7日 リベラル
Neil Gorsuch 男性 53歳 白人系 Donald Trump 2017年4月10日 保守
Brett Kavanaugh 男性 55歳 白人系 2018年10月6日 保守
Amy Coney Barrett 女性 48歳 白人系 2020年10月26日 保守

最高裁がオバマケアの存続を支持するのは2010年の同法成立以降3度目。

米連邦最高裁は2012年6月28日、医療保険改革法について、根幹部分である国民の保険加入を義務付ける条項を支持するとの判決を下した。

同法の根幹部分は、大半の米国民に2014年までの保険加入を義務付け、加入しない場合には罰金を課すというもの。全米50州のうち26の州、および中小企業を代表する団体などが違憲訴訟を起こしていた。

ロバーツ最高裁長官は「医療保険を取得しない特定の国民に対して罰金を課すことは、合理的に税金として位置づけられる可能性がある」とし、「憲法はこうした税を認めていることから、これを禁じたり、それに関する分別や公正さについて意見を述べたりすることはわれわれの役割ではない」との見解を示した。

最高裁の9人の判事のうち、ロバーツ長官を含む5人が支持、ケネディ判事ら4人が不支持だった。不支持とした4人は、医療保険改革法全体が違憲と判断した。

ただ、州政府に対してメディケイド(低所得者向け公的医療保険)の対象を著しく拡大するよう義務付けた条項については、憲法が定める権限を議会は超えたとし無効と判断した。

米連邦最高裁判所は2015年6月25日、医療保険制度改革法(オバマケア)の一部の政府補助金支給の是非について争われた裁判で、支給は合法とする判断を下した。

最高裁は6対3で合法と判断した。オバマ大統領は判決後、ホワイトハウスで声明を読み上げ「勤労者の勝利だ」と述べ、同法により「1600万人以上の保険未加入者が保険を得た」と成果を強調した。

オバマケアは医療保険に未加入だった低所得者に安価な保険を提供するため、民間の医療保険購入者に政府が補助金を支給する。条文では州政府のウェブサイトを通じた保険購入者が支給対象だが、オバマケアに反対する野党・共和党知事の州など30州以上がサイトを開設しなかったため、連邦政府サイトを通じた購入者にも補助した。この補助が合法かどうかが争点となった。

ーーー

ObamaCareのなかに国民の保険加入義務(Individual Mandate)がある。

Obama Careは、アメリカ人と合法的に滞在する外国人に対して、Obama Careの基準を満たす健康保険を取得し維持することを義務と定めた。そして、その健康保険を持っていなければ、タックス・ペナルティ(罰金)を払う必要がある。

そのほか、持病を理由に保険会社が加入を拒否するのを禁じる項目や、26歳まで親の保険に留まることが出来る規定などがあり、何百万もの低所得の米国人が保険に加入できている。

トランプはこの制度がコストが掛かり過ぎるとし、これに置き換わるものをつくるとした。

2017年12月に大型減税法案(Tax Cuts and Jobs Act)が提出された。このなかにObamacare の個人加入義務の廃止がある。非加入の場合のタックス・ペナルティ を廃止する規定である。

下院案は「加入義務の維持」、上院案は「廃止」をうたっていたが、米共和党指導部は12月15日、大型減税法案を最終決定、保険加入義務は廃止とした。

当時は上院、下院とも共和党が握っており、両院とも可決、トランプ大統領は2017年12月22日、大型減税法案(Tax Cuts and Jobs Act)に署名し、法案が成立した。

この結果、2019年1月1日からObama Careは強制加入("individual mandate")ではなくなり、無保険であることに対するペナルティはフェデラル・レベルでは ゼロになった。州によっては元通りにしている州もある。

米司法省は2020年6月25日、公的補助を通じて国民に保険加入を義務付ける医療保険制度「Obama Care」の無効を連邦最高裁に要請した。

司法省はペナルティの廃止で制度全体が無効になると主張した。

2020/7/1 トランプ政権米最高裁にObama Care廃止を要請


本件について、トランプ政権の司法省の支持を受けたテキサス州など共和党知事の州(red states) 18州のコンソーシアムが、保険加入義務違反への罰則がゼロになったため、加入義務を定めたオバマケアの合憲性がなくなったとして訴えた。

2020年11月10日に連邦最高裁で本件審理が始まり、保守派のロバーツ長官とカバノー判事の2人が義務づけを違憲とする一方、オバマケア自体の存続を支持する見解を示した。トランプ大統領が前月に指名したバレット判事もオバマケア自体は否定しなかったという。米主要メディアは「オバマケア存続の見込み」などと報じていた。

今回最高裁は、連邦議会が保険を購入しない場合の罰金をゼロに引き下げたため、損害が生じないと指摘、原告側にはオバマケアや罰則撤廃に起因する損害が認められないとした。
また「加入せよといいながら罰則がない」と主張しているだけで、違憲と攻撃する根拠を示せなかったと述べ、原告として不適格だと結論づけた。

"A plaintiff has standing only if he can 'allege personal injury fairly traceable to the defendant's allegedly unlawful conduct and likely to be redressed by the requested relief."

"Their problem lies in the fact that the statutory provision, while it tells them to obtain that coverage, has no means of enforcement."

オバマケア自体が合憲か違憲かの判断には踏み込まなかった。

最終的にバレット判事を含め、保守派4人、リベラル派3人の合計7人が訴えの棄却に賛成した。

この訴訟に反対していたバイデン大統領は「きょうの最高裁の判断は、この画期的で人生を変えるような法律の恩恵を受けている全国民にとって大きな勝利だ」と指摘し、 オバマケアが3つの主要な訴訟を切り抜けたことで「この画期的な法律に基づいて前進する時が来た」と述べた。また、より多くの国民がオバマケアを活用して保険に加入するよう呼び掛けた。

今回の訴訟を主導したテキサス州のパクストン司法長官(共和党)は、今後もオバマケアに対して異議を唱えていく方針を表明した。

オバマケアを実現させたオバマ元大統領は「この判断はわれわれが長い間、真実だと知っていたことを再確認するもので、それはオバマケアが存続するということだ」と述べた。

ベトナム国防省傘下の軍医学院は6月10日、ホーチミン市の製薬会社 Nanogen Pharmaceutical Biotechnology JSCが開発中の新型コロナウイルスの組換えタンパク質ワクチン 「Nanocovax」の第3期臨床試験を開始した。

被験者計1万3000人を2つのグループに分けて、25mcgのワクチンとプラセボ(偽薬)の接種を行う。これまでに約6500人のボランティアが集まっている。インド、バングラデシュでも実施する。

第3期臨床試験の被験者の年齢は18歳以上とし、上限は設定しない。これまでに応募があったボランティアの中で最年長は83歳となっている。今回の試験では高血圧や糖尿病などの慢疾患のある被験者にもワクチンが投与される。

順調に進めば、第3期臨床試験は9月末までに完了する。COVID-19の第4波が国内で急拡大している中、保健省はナノコバックスについて緊急措置としての使用許可を検討中である。

当初見込まれるワクチンの生産能力は、年間1000万~2000万回分だが、緊急使用が承認されれば、Nanogenは2021年中に5000万回分、2022年にさらに1億回分を製造することが可能で、国内需要に対応できるものと期待される。

Nanogenは1997年に設立された。先進的は組換えDNA/プロテイン技術を基に、医薬品原体や治療薬を開発しており、癌、B型肝炎、C型肝炎、慢性腎不全による貧血などの治療のための遺伝子治療薬を提供している。

新型コロナウイルスワクチン「Nanocovax」の開発とともに、これとは別に、目薬および点鼻スプレー形態の新型コロナウイルス治療剤の臨床試験にも臨む計画だと される。

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退行性疾患などの治療剤を製造する韓国のHLB製薬は2020年12月、Nanogenと医薬品精製、新薬開発などの分野で協力する覚書(MOU)を締結した。

両社は医薬品に関する開発技術や国内外の事業ネットワークを共有するオープンコラボレーションを通じ、開発力を強化する。

HLB製薬が投資している韓国のバイオ企業 Next Scienceは、Nanogenの株式10.4%を保有している。
Next Scienceの子会社で免疫増強剤などを開発していたDanDi Bioscienceと、免疫チェックポイント阻害剤を開発していたNanogenとの相乗効果を見込んだほか、ベトナムで開発した新薬はASEANで販売できることが背景にある。

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ベトナムでは、「Nanocovax」以外にも、「Covivac」「Vabiotech」という2つのワクチンの第Ⅰ相試験が現在行われている。

Covivac は、Institute of Vaccines and Medical Biologicalsが開発した。

Vabiotechは、Vaccine and Biological Production Company No. 1 (Vabiotech)が開発した。

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ベトナムではAstraZenecaのワクチンとロシアのSputnik Vが承認されている。

ベトナム保健省は6月3日、中国シノファーム製の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認した。3種類目となる。

ベトナムはASEAN10カ国の中で、これまで中国からのワクチン供給を受けていない、唯一の国だった。

エーザイは6月15日、抗てんかん剤「Zonegran」(一般名:ゾニサミド)の欧州、中東、ロシア、オーストラリアにおける権利を英国のAdvanz Pharmaに譲渡する契約を締結したと発表した。

本剤は、大日本製薬(現、大日本住友製薬)が創製した抗てんかん剤で、エーザイは、欧州、中東、ロシア、オーストラリア、カナダ、メキシコ、アジア地域における本剤の独占的なライセンス権を保持している。

広範な抗てんかんスペクトルを有し、難治性てんかんにも有効性を示す。

ーーー

日本では大日本製薬が1989年3月に承認を取得、 「エクセグラン(Excegran)」の商品名で発売している。

韓国で1992年に東亜製薬より発売されたが、2005年2月25日にエーザイ・コリアが販売権を取得し、販売している。

欧米では大日本製薬はアイルランドのElan Corporationにライセンスした。米国では同社が2000年3月にFDA承認を取得、「Zonegran」の商品名で販売した。

2004年3月にエーザイはElan Corporationと戦略的製品買収に関する契約を締結し、エーザイが欧米地域における製造、開発、販売の権利を取得し、「ゾネグラン®」の商品名で販売した。

欧州では2005年3月に欧州委員会の販売承認を取得した。

アジア諸国については、大日本製薬とエーザイは2005年3月28日、中国、台湾の他計14カ国のアジア諸国における開発、製造、販売の権利をエーザイが取得する契約を締結した。

以上により、日本では 2005年10月に大日本製薬と住友製薬が合併してできた大日本住友製薬が販売するが、北米、欧州、アジア諸国(韓国を含む)ではエーザイが独占的なライセンス権を獲得していた。

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エーザイは2014年9月、米国およびプエルトリコにおける商業化権をカナダのConcordia Healthcare Corp.の子会社であるConcordia Pharmaceuticals Inc.に譲渡する契約を締結した。

製品供給契約に基づき、Eisai Inc.は米国においてConcordiaに本剤を供給する。

今回の契約に基づき、エーザイは本剤の欧州、中東、ロシア、オーストラリアにおける権利をAdvanz Pharmaに譲渡する。

契約で合意された移行期間中、エーザイのロシア子会社Limited Liability Company Eisai およびオーストラリア子会社 Eisai Australia Pty. Ltd. はそれぞれの国の販売代理店としての役割を継続する。

エーザイの英国子会社 Eisai Manufacturing Ltd.は、Advanz Pharmaに本剤を該当地域用に供給する。

エーザイは、カナダ、メキシコ、アジア地域における本剤の権利は引き続き保有する。

最終的に世界での担当は下記の通りとなる。

 大日本住友製薬:日本

 エーザイ:カナダ、メキシコ、アジア地域

 Advanz Pharma:欧州中東、ロシア、オーストラリア

 Concordia Pharmaceuticals:米国およびプエルトリコ

ーーー

Advanz Pharmaは、欧州において複雑な疾患に対する医薬品に戦略的に焦点を当てたスペシャリティファーマで、抗感染症薬や内分泌治療法の分野で専門性を有し、病院の意思決定者との強い関係を持っているため、欧州で高機能な医薬品を商業化する際の魅力的なパートナーとなる。

ロンドンに事業本部、ムンバイにオペレーションセンター・オブ・エクセレンス、北米、欧州、オーストラリアにコマーシャル関連会社、その他の地域にはコマーシャルパートナーのグローバルネットワークを確立している。

Concordia Healthcare Corp.はレガシー医薬品やオーファンドラッグ、糖尿病関連の医療機器に重点を置くヘルスケアカンパニーで、主な製品は、ADHD治療剤 Kapvay®やアタマジラミ治療剤Ulesfia®、喘息関連治療剤Orapred ODT®、過敏性腸症候群治療剤Donnatal®など。

米国は6月19日の奴隷解放記念日(Juneteenth) を国の祝日として制定した。議会上院と下院で可決した法案にバイデン米大統領が6月17日に署名し、成立した。

大統領は記者会見で「偉大な国々はその国の最も痛ましい瞬間を無視しない。過去を消さず、受け入れるのだ」と述べ、人種差別と戦っていく姿勢を強調した。

上院は6月15日に満場一致で法案を支持、下院は6月16日に賛成415、反対14、棄権2で可決した。(反対、棄権はすべて共和党)

今年は6月19日が土曜日のため、連邦政府人事管理局は、「大半の連邦職員は18日金曜日が休みになる」とツイートしている。

6月19日は「Juneteenth」(June ​nineteenthの混成語)と呼ばれ、リンカーン大統領が「奴隷解放宣言」(1862年9月22日予備宣言、1863年1月1日署名)を出した2年半後の1865年6月19日に奴隷制度が残っていたテキサス州で奴隷として扱われていた人々が解放されたのを記念している。

北軍のGordon Granger将軍がテキサス州、ガルベストンですべての奴隷が自由であることを宣言した。

General Orders No. 3.

The people of Texas are informed that, in accordance with a proclamation from the Executive of the United States, all slaves are free. This involves an absolute equality of personal rights and rights of property between former masters and slaves, and the connection heretofore existing between them becomes that between employer and hired labor.

The freedmen are advised to remain quietly at their present homes and work for wages. They are informed that they will not be allowed to collect at military posts and that they will not be supported in idleness either there or elsewhere.

実際には、1865年12月6日に憲法修正第13条が批准され、奴隷制が全国で廃止された。

第1節 奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とするときを除く。

第2節 議会はこの修正条項を適切な法律によって実行させる権限を有する。

富山大学は6月16日、同大学の共同研究グループが、1つの抗体で新型コロナウイルスの野生株だけでなく、多種の変異株を防御できる高力価なヒト型・モノクローナル中和抗体(開発番号:28K)を 新たに取得し、人工的な抗体作出に成功したと発表した。

新型コロナウイルスは、主にウイルス表面にあるスパイク蛋白質がヒトの受容体に結合することで感染する。

スーパー中和抗体は、スパイク蛋白質に 直接結合し、各種変異株の特異的エピトープに被ることなくACE2との結合を阻害する結果、新型コロナウイルスの多種の変異株の感染を防御することが期待できる。

この中和抗体(28K)は 「1つの抗体で多種の変異株の感染を阻害できる」現時点で最も理想的な抗体であるため、「スーパー中和抗体」と命名した。

下記の変異株で効果があることを確認した。 
IC50(ng/ml)は抗体の中和活性濃度で、ウイルスが細胞に感染することによる細胞死の誘導を50%阻害するのに必要な抗体濃度

IC50(ng/ml)
野生株 武漢で最初に発見 30.3
Alpha 英国 N501Y変異 45.4
Beta 南アフリカ K417N/E484K/N501Y変異 15.2
Kappa インド L452R/E484Q変異 20.3
Delta インド L452R/T478K変異 12.1
Episilon カリフォルニア L452R変異

Gamma(ブラジルBeta(南アフリカ)と同じ変異部位にK417T/E484K/N501Y変異を有するため、スーパー中和抗体が同様に感染防御できると思われるが、実験による確認(中和活性測定)は未実施

スーパー中和抗体は今後人工的に作製できるため、新型コロナウイルス感染症の治療薬として役立つことが期待される。

利用法として、軽症・中等症から急激にウイルスが増殖し重症化に移行する段階で迅速に投与すると、重症化を強力に抑制できる(=救命率向上に貢献できる)とみている。 また、28Kは既存の変異部位を避け、「SARS-CoV-2の感染にとって重要な部分と結合する」と推定されるため、新たな変異株に対しても防御できる可能性があり、新規変異株流行を早期に制圧できる可能性を秘めている。

人工的に作り出した抗体を投与する新型コロナウイルスの薬は、「抗体医薬」と呼ばれ、海外では緊急使用されたものもあるが、変異ウイルスで効果が下がることが課題になっている。)

富山大学の強みは「世界最速レベルで抗体を作製し性能評価できる技術」であり、14の国内外特許を取得している。

「高力価中和抗体を持つ患者を迅速に選定できる技術」から始まり、「中和抗体を産生する細胞1個をチップ上で補足しその遺伝子を取り出す技術」、「得られた遺伝子より大量の抗体を作り出す技術」、そして 「人工疑似ウイルスを用いた感染実験から抗体を迅速に評価する技術」など。

これらを組み合わせると従来2か月以上かかる行程が1~2週間で、目的とする抗体を作製することができる。

研究グループでは先ず、新型コロナウイルス感染症の回復患者の血清中の中和活性を測定し、高力価の中和抗体を持つ患者を選定した。次にその患者の末梢血B細胞の中から、スパイクタンパク質に強く結合する抗体を作っているB細胞を選び出し、そのB細胞から抗体遺伝子を取り出して、遺伝子組換え抗体を作った。

この抗体の中から中和活性の特に高い(=感染を防御する能力に優れた)抗体を特定し、最終的に多種の変異株の感染を防御するスーパー中和抗体28Kを取得することに成功した。

バイデン米大統領は6月15日、米連邦取引委員会(FTC)の委員長に米コロンビア大学准教授のLina Khan女史(32)を指名した。

これに先立ち、米議会上院は、バイデン大統領が3月22日にFTC委員に指名したLina Khan 女史を、賛成69票、反対28票で承認した。与党・民主党の出席議員全員に加え、野党・共和党から21人が賛成した。カーン氏は宣誓を経て委員に就いた。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 21 46 2 69
反対 28 28
棄権 1 2 3
合計 50 48 2 100


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セブン&アイ・ホールディングスは、米子会社7-Eleven, IncによるMarathon Petroleum からのコンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド部門「Speedway」事業に関する株式その他持分の取得が5月14日に完了したと発表した。

これに対し、米国の連邦取引委員会の一部の委員が異議を唱えた。

FTC委員会は定員5名で、決定には過半数の賛成が必要である。(同一党からは3名しか指名できない。)

しかし、当時は1名が欠員で、民主党系が2名、共和党系が2名となっていた。Biden大統領は3月22日、空席のFTC委員にLina Khan を指名したが、任命は上院の承認待ちとなっていた。

全委員がこの取引に問題があると認識したが、対処方針をめぐり意見が分かれ、過半数の合意が必要となる買収の阻止や訴訟などの強制措置には至らなかった。

2021/5/18 米連邦取引委員会の委員、セブン&アイによる米スピードウェイ買収に異議

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委員の任期は2024年9月まで。米メディアによると、FTC委員、同委員長のいずれのポストでも最年少の就任となる。

Lina Cahn は反トラスト法(独占禁止法)の規制強化を唱える左派の学者で、米巨大IT(情報技術)企業に厳しい姿勢で臨むとみられる。

パキスタン系の両親のもとロンドンで育ち、11歳で渡米。米エール大の大学院生だった2017年に、競合他社を排除するアマゾンの問題点を指摘する論文 "Amazon's Antitrust Paradox" で注目を浴びた。

「消費者のみに焦点を当てる考え方が、我々をアマゾンの強大な力に対して盲目にした」

反トラスト法の運用では、短期的な消費者の不利益、つまり価格のつり上げがなければ違法とみなされないが、それではオンライン経済の市場支配力を捉えられない。

アマゾンは物流を独占し、膨大なデータにより、競合を押しつぶし、小規模ビジネス、起業家、社会全体に損害を与える。

たとえ低価格を実現していても規制すべきである。

Amazon is the titan of twenty-first century commerce.

In addition to being a retailer, it is now a marketing platform, a delivery and logistics network, a payment service, a credit lender, an auction house, a major book publisher, a producer of television and films, a fashion designer, a hardware manufacturer, and a leading host of cloud server space.

Although Amazon has clocked staggering growth, it generates meager profits, choosing to price below-cost and expand widely instead.

Through this strategy, the company has positioned itself at the center of e-commerce and now serves as essential infrastructure for a host of other businesses that depend upon it.

Elements of the firm's structure and conduct pose anticompetitive concerns--yet it has escaped antitrust scrutiny.

日本経済新聞 2020年9月23日

日本政府は6月11日、中国が2019年7月から実施しているステンレス製品に対するアンチ・ダンピング措置について、中国に対し、WTO協定に基づく協議を要請した。

中国の調査当局の認定や調査手続に瑕疵があり、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)及びアンチ・ダンピング協定に違反する可能性があるとみている。


中国は、2019年7月、日本、韓国、インドネシア及びEUから輸入されるステンレス製品のダンピングによって中国の国内産業が損害を受けているとし、アンチ・ダンピング税の賦課を開始した。

対象製品  対象国 調査開始日 仮決定日 最終決定日
Steel Billets and Stainless Steel Hot Rolled Sheets/Ropes EU、日、韓、インドネシア 2018.7.23 2019.3.23 クロ 2019.7.22クロ

対象は、ステンレス鋼鋼片(スラブ)、ステンレス鋼熱間圧延鋼板(カットシート及び厚板)及びステンレス鋼熱間圧延コイルが対象製品となっている。

反ダンピング税(5年間)は、日本冶金が18.1%、その他が 29.0%となっている。

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なお、2012年に日本(及びEU)製のステンレス鋼管が同様にアンチダンピング税が課せられたが、日本はWTOに提訴、2015年にWTOルールに違反しているとの裁定を受け、中国は再調査を行ったうえ、取り下げている。

対象製品 対象国 調査開始日 仮決定日 最終決定日 その後
ステンレス鋼管 EU・日本       2011.9.8 2012.5.8 クロ 2012.11.8 クロ 2015 WTOルール違反の裁定
2016.6.20   2016.8.22 取り下げ  

中国がWTOの決定を受け、ダンピング課税を取り下げたのは他に1件ある。

対象製品 対象国 調査開始日 仮決定日 最終決定日 課税中止
X線セキュリティチェック機 EU       2009.10.23 2010.6.9 クロ 2011.1.23 クロ 2014.2.19

2013年2月、WTO紛争処理小委員会は、WTO反ダンピング規定に違反するとの判断を下した。反ダンピング関税は「損害的ダンピング」への対処として厳格な条件の下でのみ課すことができるが、今回の事案において、中国はこれらの条件を満たしていないとのEUの訴えに同意した。

また、中国が適正な手続きと透明性の規定用件を尊重することを怠ったとの結論を下し、同国にWTO規定に則るよう要請した。

商務部は2014年1月10日に再調査を開始したが、最初の申請者が取り消しを要請したため、 検討の結果、調査継続は不要と判断、2月19日付けで課税を終止した。

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このほか、パルプについてカナダがWTOにパネル開催を要請したが、中国はカナダについてのみ再調査を行い、「被害あり」として課税を継続した。

対象製品 対象国 調査開始日 仮決定日 最終決定日
Pulp 米・加・ブラジル  2013/2/6 2013/11/6 クロ 2014/4/4 クロ
加のみ再調査 2017/8/25   2018/4/20 継続

2014年10月にカナダが中国との協議を要請したが、まとまらず、2014年12月にカナダはWTOにパネル開催を要請した。

2017年5月22日にWTO Dispute Settlement Body がレポート "China - Anti-dumping Measures for Imported Pulp Originating in Canada"を出し、カナダからの輸入パルプが被害を与えていることを証明していないとした。

中国は同年8月25日にルールに基づき、本件を再調査、調査の結果2018年4月20日に、3国からの輸入品のダンピングの結果として被害があることが判明したとし、課税を続けた。

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付記

豪州政府は2021年6月19日、同国産ワインに対して中国が導入した高率の関税を不当として、世界貿易機関(WTO)に提訴すると発表した。豪州は大麦に対する高率関税問題でも中国をWTOに提訴済みで、両国間の貿易摩擦が激化した。

対象製品  対象国 調査開始日 仮決定日 最終決定日
大麦 豪州 反ダンピング 2018.11.19 2020.5.18 クロ
反補助金 2018.12.21 2020.5.18 クロ

オーストラリア政府は2020年12月16日、中国が豪産大麦に課した追加関税が不当だとして世界貿易機関(WTO)に提訴し、2国間で協議したが、折り合えなかった。

オーストラリアのテハン貿易相は2021年5月28日、中国がオーストラリア産の大麦に対して課した高率の関税を巡り、世界貿易機関(WTO)に紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請すると発表、これを受け、WTOはパネルを設置することで合意した。

対象製品  対象国 調査開始日 仮決定日 最終決定日
ワイン 豪州 反ダンピング 2020.8.18 2020.11.27 クロ 2021.3.26 クロ
反補助金 2020.8.31 2020.12.10 クロ 2021.3.26 クロ

三井化学三井物産は2020年11月11日、共同TOBにより本州化学工業 (東証2部上場)の普通株式を 全株取得すると発表した。

両社は現在、本州化学にそれぞれ26.99%出資しているが、TOBによる非公開後の出資比率を全額買い付けの場合、三井化学が51%、三井物産が49%とするとしていた。

買付予定は5,280,788株で、下限は1,455,200株 

応募株券等の総数が2,487,859株以上の場合、2,640,394株までは三井化学が、残りは三井物産が買付ける。
応募株券等の総数が2,487,859株未満の場合には、2分の1ずつとする。

2020/11/17 三井化学と三井物産、本州化学にTOB



2021年6月12日、TOBの結果が下記の通り、発表された。 応募株券等の総数が2,487,859株以上のため、2,640,394株までは三井化学が、残りは三井物産が買付ける。

三井化学 三井東圧 合計
TOB前 3,098,000株 26.99% 3,098,000株 26.99% 6,196,000株 53.99%
応募株 2,640,394株 878,743株 3,519,137株
買付後 5,738,394株 50.0% 3,976,743株 34.65% 9,715,137株 84.65%

今回、両社は本州化学の株式の全てを取得できなかったが、当初の予定の通り、今後残りの株を買い取り、三井化学 51%、三井物産 49% とする予定。

臨時株主総会で株式併合決議を行なって、残りの株を単位未満株にし、買い取る。買い取り価格は最終的には裁判所が判断する。

EUの欧州委員会は6月9日、欧州中央銀行(ECB)の資産買い入れプログラムについてドイツ連邦憲法裁判所がEU司法裁判所の判断に異議を唱えたことを巡り、同国に対し法的措置を開始すると発表した。

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欧州単一通貨ユーロを使う19カ国の金融政策を決める欧州中央銀行(ECB)は2015年1月22日、定例理事会を開き、ユーロ加盟国の国債などを購入し、資金を大量に金融市場に供給する「量的緩和政策」の導入を決めた。ユーロ圏は物価が下落し続けるデフレの懸念が強まっており、量的緩和はこれを払拭する狙い。

2015年3月から2016年9月末まで、毎月 600億ユーロ(約8兆円)、総額1兆1400億ユーロ(約156兆円)の金融資産を買い取る。国債、政府機関債、国際機関債を対象とするい取りプログラムは"The Public Sector Purchase Programme PSPP)"と名付けられた。

EUの最高裁に当たる欧州司法裁は同プログラムを適法と判断していた。

しかし、2015年に約1750人のドイツの法律学者と経済学者の集団がこれに問題提起した。

ドイツ憲法裁は2020年5月、ECBの資産買い入れプログラムは権限の範囲を超えていると指摘し、ECBが政策の必要性を証明しなければ、ドイツ連邦銀行は国債買い入れを停止する必要があるとの判断を下した。

ドイツ憲法裁は、ECBはPSPPについて適切に「均整性」テストを適用しておらず、ドイツはそれに異議を唱えるべきだった、とし た。
そして、3か月の期限を設けて、この政策が適切に均整性テストを適用していることを示すように要求した。
もし、3か月以内にこれがなされなければ、ドイツ政府やドイツ連銀は量的緩和政策への参加を止めなければならない、と主張した。

ドイツ憲法裁の考え方は、EU加盟各国の司法にはEU法が国内法にどんな時に優越するのか、あるいはしないのかを決める権利がある ということで、EU司法裁判所をEUの最高裁とする体制に挑むもの。欧州司法裁の判断を権限の範囲外と認定した。

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今回欧州委は、ドイツ憲法裁判所の一部違憲判断はEU法の一体性を損なうとした。

欧州委の報道官は「EU法は加盟国の国内法に優先する。EU司法裁の判断は全て、国内裁判所を含む加盟国の当局に対し拘束力を持つ」と強調。独連邦憲法裁の判断はEU法の基本理念に反し、EU法の整合性を脅かしかねないと述べた。

欧州委は法的措置の第1段階として、ドイツに告知書を送付し、調査について通知すると同時に、2カ月以内の回答を求める。 返答がなかったり、不十分だったりする場合は、最終的に、EU司法裁に罰則適用を要請する可能性がある。

独首相府の報道官は「手続きが定めるとおり、書面で対応する」と述べた。

東芝は6月13日に臨時取締役会を開き、6月25日に開催する定時株主総会に諮る取締役選任案や、その後に開催する取締役会で正式に決める執行役選任案の変更を決定し、計4人が退任すると発表した。

発表によると監査委員長の太田順司氏と監査委員の山内卓氏が取締役候補から外れ退任する。監査委員会としての調査の結果、「さらなる調査は必要ない」としていた。そのほか、執行役に選任予定だった豊原正恭執行役副社長、加茂正治執行役上席常務が退任する。 報告書で執行役の二人は経済産業省と社内の間に立ち、頻繁にやり取りしていたことが指摘された。

6月10日に発表された調査報告書の指摘を認めた形となる。

助言会社ISSや大株主の3Dは他の取締役候補にも反対、社外取締役の4人も「全員は支持しない」としており、総会でさらに揉める可能性がある。

永山取締役会議長は6月14日午後、記者会見し、外部調査で問題視された東芝と経産省のやりとりについて「コンプライアンス、ガバナンスの欠如と言わざるを得ない」と認め、「不安と心配をおかけする事態となっておわび申し上げる」と謝罪した。

今回退任する4人について「大きな混乱を招く原因になった」として、事実上の引責辞任と認めた。さらに、4月に引責辞任した車谷暢昭前社長について、今回の問題でも「存在がひとつの要因となったことは否めない。経営の混乱を招き、責任は無視できないものがある」と指摘した。

付記

6月25日の定時株主総会で、永山治取締役会議長と監査委員会の小林伸行委員の再任案が否決された。

当初の13人の候補のうち、2人を事前に下したが、更に2人が否決され、取締役は9人となった。


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筆頭株主で9.9%を所有するシンガポールのEffissimo Capital Management は2020年7月の定時株主総会で、ガバナンス強化などを求めて、取締役に同社の今井陽一郎氏ら3人を選任するよう要求した。

また、3D Investment Partners も自社の推薦する社外取締役2人の選任を提案し、車谷CEOらの選任への反対も表明した。

東芝は取締役選任案に反対を表明し、この案は総会で否決された。ただ、東芝の車谷CEOの賛成比率は57.96%にとどま った。

3Dは総会後、議決権の一部が結果に反映されていないとして投票の処理が適切だったか外部調査を要請し、東芝は議決権行使書を集計した三井住友信託銀行に調査を依頼した。

その結果、集計作業した三井住友信託銀行が事前に郵送された1000通以上の議決権行使書を無効扱いにしていたことが判明した。
2020年12月に無効票を含めて議決権行使を再集計した結果、車谷社長の賛成比率を57.96%から57.20%に、反対比率を18.96%から20.13%にそれぞれ訂正した。

Effissimo は「議決権行使をめぐり、株主への不当な圧力があった」とも指摘した。一部の株主が圧力を受けて議決権を行使しなかったと報じられた。

複数の外電が、東芝の議決権の4%を持つアメリカのハーバード大学の基金運用ファンドに対し、経済産業省の関係者が圧力をかけたと報じた。

 詳細は 2021/4/14 英投資ファンド、東芝に買収提案 

東芝は監査委員会による調査の結果、「さらなる調査は必要ない」としたが、Effissimo は第三者委員会による再調査を要求。これを東芝が拒否したため、Effissimo などが臨時株主総会招集を求めた。

Effissimo は、2020年7月の定時株主総会が公正に運営されたかどうかを調査するために弁護士などの選任を要求。
第二位株主で米ヘッジファンドのFarallon Capital Managementは、成長投資の方針についての合理的な説明を含む資本政策案の策定及び株主総会への上程を求めた。

東芝は2021年3月18日、都内で臨時株主総会を開催し、昨年7月に開催した定時総会の運営の適正性について独立した調査を求める筆頭株主 Effissimo の株主提案を可決した。調査の期間は3カ月で、調査者として3人の弁護士を選任した。

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東芝は6月10日、昨年7月の株主総会に関する調査報告書を公表し、同株主総会では、経済産業省と一体となって筆頭株主Effissimo の株主提案権の行使を妨げようと画策したなどと指摘されたことを明らかにした。報告書は、株主総会は「公正に運営されたものとはいえない」と結論付けている。 当時の菅官房長官への接触も出ている。

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20210610_1.pdf?_ga=2.228070685.1234270687.1623310389-617751326.1623310389

これを受け、現役の社外取締役で今回の候補に挙がっている4人が、東芝が株主総会に提案している取締役の人事案について異議を唱える声明を連名で出した。

公表された外部弁護士による報告書に関連し、東芝の経営陣が「株主の利益に直接反する行動をとった。容認できない」と表明した。監査委員会についても「透明性がなく、誤った情報を提供した」と批判し、25日の株主総会に諮る13人の取締役の人事案について「全員は支持しない」とした。

4人のうちAyako Weissmanは指名委のメンバーで、自ら選んだ人事に反対する形となった。(候補発表は報告書発表の前であった。)

誰の選任に反対なのかは明示しなかった

米国の議決権行使助言会社 Institutional Shareholoder Services(ISS)は6月12日、取締役候補者13人のうち、永山治取締役会議長ら5人の反対を推奨した。綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)ら8人には賛成を推奨した。ISSは海外の機関投資家に対し強い影響力を持ち、東芝株主は海外投資家比率が高い。

反対対象はいずれも監査委員会のメンバーで、株主への圧力問題に対する疑わしい対応の責任を取るべきなどとしている。
また、こうした役員選任案を取りまとめた責任を問い、指名委メンバーも反対推奨の対象に含めた。

東芝の第2位株主である3D Investment Partnersは、永山治取締役会議長など取締役4人の即時辞任を要求した。

調査報告書を受け、永山議長のほか、監査委員会の太田順司委員長、小林伸行委員、山内卓委員の4人が東芝と同社株主の利益に反する行為を行っていると判断した。

東芝は今回、社外取締役で監査委員の2人を候補から外したが、もう一人の小林氏を残した理由は不明。小林氏はCPAで、プロであり、問題点は把握していた筈である。

社側取締役候補者(2人は今回、撤回)敬称略

新任 撤回

現行 役職等 ◎委員長

助言会社
ISS
3D
社外取締役 社内取締役 監査委 指名委
 智 会長
社長CEO
永山 治(否決) 元 中外製薬 (取締役会議長) 反対 反対
太田 順司(撤回) 〇  元 新日鉄 反対 反対
小林 伸行(否決) CPA 反対 反対
山内 卓(撤回) 元 三井物産 反対 反対
Paul J. Brought 元 KPMG 人事案
反対表明
Ayako Weissman 元 投資会社 反対
Jerry Black イオン顧問
George Zage Ⅲ 元 投資銀行
畑澤 守 代)副社長
綿引 万里子 元 裁判官
George Olcott 元 投資銀行
橋本 勝則

元 デュポン

小野薬品工業は6月11日、蛋白分解酵素阻害剤「フオイパン®錠」(一般名:カモスタットメシル酸塩)について、無症状から中等症の新型コロナウイルス感染症患者を対象にプラセボを対照とした国内第Ⅲ相試験を行なっていたが、主要評価項目であるSARS-CoV-2が陰性化するまでの期間を達成しなかったため、開発を中止すると発表した。

フオイパンの有効性を示唆する基礎論文の報告およびヒト血中濃度の関係性を踏まえ、健康成人を対象に既承認用量を超えた用量での安全性確認のために第Ⅰ相試験を実施し、その結果を踏まえて無症状から中等症のCOVID-19患者を対象とした第Ⅲ相試験を実施したが、有効性が認められなかった。

無症状から中等症のCOVID-19患者を対象にプラセボを対照とした多施設共同二重盲検無作為化並行群間比較試験で、フオイパン1回600mg(77名)又はプラセボ(76名)を1日4回、それぞれ最大14日間経口投与した。主要評価項目はSARS-CoV-2が陰性化するまでの期間。

東京大・医科学研究所の井上純一郎教授らは2020年3月18日、急性膵炎の治療薬として国内で長年使われてきた点滴薬剤「ナファモスタット(商品名フサン)」が新型コロナウイルスの感染を阻止する可能性があると発表した。

2020年3月初めにドイツのグループはナファモスタットの類似の薬剤であるカモスタット(商品名フォイパン)の有効性を発表していた。

カモスタット(商品名フォイパン)は、小野薬品工業が創出し、1985年に発売した。既に物質特許は切れており、国内で多数の後発品メーカーが同じ成分の薬を販売している。

2020/3/18 急性膵炎治療薬が新型コロナウイルス感染阻止の可能性

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なお、フサンについては有望な結果が出ている。

コロナウイルスの場合、ウイルスのSタンパク質がヒト細胞の細胞膜のACE2受容体に結合したあとに、タンパク質分解酵素(TMPRSS2)で切断され、Sタンパク質が活性化されることが重要であるが、ナファモスタット(フサン)はTMPRSS2による切断を阻止し、ウイルスの侵入を阻止する。

2020/5/12 東京大学、アビガンとフサンの併用療法の臨床研究開始


東京大学・井上教授の研究チームの臨床研究では、フサンが変異ウイルスにも効く可能性があると分かった。

実験データでは、フサンの量を増やすとグラフが右下がりになるが、各変異株が同じ動きをしており、変異株にも効く可能性が強いとしている。

但し、医療現場が逼迫するなか、臨床試験が思うように進まないという。井上教授は「年内の承認」を目指している。

 

帝人子会社のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)611日、世界初の角膜上皮幹細胞疲弊症に対する口腔粘膜上皮細胞を用いた再生医療等製品「オキュラル」の製造販売承認を取得したと発表した。

本品は、大阪大学大学院医学系研究科(脳神経感覚器外科学(眼科学))の西田幸二教授が開発した技術を導入して実用化した国産の製品である

ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングは2020年9月14日、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした再生医療等製品である自家培養口腔粘膜上皮(開発名:COMET01)の製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表した。

2020/9/18 富士フィルム子会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング、自家培養口腔粘膜上皮の製造販売承認申請

「オキュラル」は、2020年に角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした希少疾病用再生医療等製品に指定されている。

医薬品医療機器等法に基づき厚生労働大臣より指定された希少疾病を対象とする再生医療等製品

当該指定を受けた場合には、試験研究費に対する助成金の交付、優先的な治験相談および優先審査の実施、再審査期間の延長等の優遇措置が受けられる。

希少疾病用再生医療等製品の指定には、当該再生医療等製品の用途に係る対象患者数が本邦において5 万人未満であること、また、代替する適切な治療法が無い、既存の治療法と比較して著しく高い有効性又は安全性が期待されるなどの医療上特に優れた使用価値を有することが必要とされている。

眼科領域では、20203月に製造販売承認を取得した自家培養角膜上皮「ネピック」(2020年3月19日承認取得)につづき、国内第2号の再生医療等製品。

iPS細胞からつくった目の角膜の細胞を患者に移植する大阪大の西田幸二教授(眼科)らのチームの「角膜上皮幹細胞疲弊症に対する他家 iPS 細胞由来角膜上皮細胞シー トの first-in-human 臨床研究」計画が2019年3月5日、厚生労働省の 厚生科学審議会 再生医療等評価部会で、患者への同意の説明文書の内容などに修正を求める条件付きで了承された。

2019/3/8 厚労省、iPS細胞の角膜移植臨床研究計画を了承

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ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングは富士フィルム子会社であった。

1999年2月1日、ニデック、INAX、 富山化学工業は、名古屋大学医学部口腔外科学講座の上田実教授の指導のもとにヒト組織・細胞を用いた移植組織の研究開発を進め、将来の事業化を模索することとし、新しいベンチャー企業としてJ-TECを設立した。

その後、J-TEC株主の富山化学は富士フィルムの完全子会社となった。
2021年初めの
ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの大株主は富士フィルム(50.13%)、ニデック(10.40%)であった。

2021年に帝人がTOBを行ない、57.72%の応募全てを買い付けた。

2021/2/2 帝人、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングにTOB 

バイデン米大統領は2月24日、重要部材のサプライチェーン(供給網)を見直す大統領令に署名した。半導体や電池など重点4品目で安定した調達体制を整える。有力企業を抱える同盟国や地域と連携して、中国依存からの脱却を目指す。

先ず重要4品目の供給網を100日以内に見直す。リスクを調べ、それへの対応策の提案を求める。

100-Day Supply Chain Review

担当 品目
商務長官 半導体と先端パッケージング
エネルギー省長官 電気自動車用を含む高容量電池
国防長官
(国家防衛備蓄を担当)
レアアースを含む重要な金属や特定の戦略的物質
保健福祉長官 医薬品及び医薬品有効成分

2021/3/1 米、半導体などの供給網見直し 


これを受け6月8日に報告書が公表された。

Building Resilient Supply Chains, Revitalizing American Manufacturing, and Fostering Broad-based Growth 100-Day Reviews under Executive Order 14017

国内の投資不足や競合国の不公正な貿易慣行により、米国の供給網が脆弱になっていると指摘している。

人工知能(AI)など先端技術のカギを握る半導体について「米国の生産シェアは30年間で37%から12%に低下し、輸入品への依存は米国の長期的な競争力を脅かす」と警告。

国内生産・研究開発支援に少なくとも500億ドルを投じるよう議会に要請したほか、日本や韓国など同盟国を巻き込んで世界的な安定供給体制を目指す「国際フォーラム」を開催する方針を示した。


主な勧告や対策案:

<USTRに「攻撃」チーム>

中国に狙いを定め、米国のサプライチェーンを損なっている不公正な通商慣行をやめさせるための新たな「攻撃チーム」を設ける。

チームを率いるのは中国など外国への制裁関税などの権限がある通商代表部(USTR)。

<商務省は通商拡大法232条>

商務省は米通商拡大法232条に基づく調査を検討している。モーターなどの応用品に使われるネオジム磁石の中国からの輸入問題が米安全保障にどう影響するかを調べる。

<供給制約で作業部会>

米国では木材から鉄鋼に至る供給制約の問題が国内のインフレの懸念をかき立てている。これを解決するため、米政権は作業部会を立ち上げる。
重点的に取り上げるのは住宅建設、建築、半導体、運輸、農業、食品など。

<国防生産法で医薬品生産>

バイデン政権は国防生産法を使って、50~100の重要な医薬品を輸入に頼らず、自国で製造できるようにする取り組みを加速する。
朝鮮戦争中に制定された同法は、既に同政権がコロナ対策でワクチンや他の不可欠な医療用品の生産を増強するのに用いている。

<半導体支援>

商務省は半導体メーカーとエンドユーザーの間の情報の流れを円滑化し情報の透明性向上も進める。半導体不足問題の解決も担う。半導体不足は自動車などの製品の生産を阻害している。

<電池政策>

政府の新作業部会が鉱物の採掘許可に関する法律の手直しを検討する。電池に使われる重要な鉱物について、環境面や労働面や持続可能性の「最も高い基準」を順守しつつ、採掘や加工ができる場所を国内で指定することも検討する。


国際開発金融公社は、重要な鉱物プロジェクトへの国際的な投資を拡大する。

エネルギー省は、先端技術の自動車電池のメーカーを支援する融資に170億ドルを振り向ける。

韓国紙に興味深い記事が出た。

Samsung Group がGroupの社内食堂の給食業務を100%子会社に全量発注しているのが独禁法上、問題となっており、Group側が自主的な是正策(「同意議決」)を提案したが、公取委はこれを拒否した。財界関係者は「同意議決の棄却は公取委がSamsungの主な役員を検察に告発し、巨額の課徴金を課すなどの制裁を行うという意味だ」と述べた。

Samsung電子、Samsung Display、Samsung電機、Samsung SDIの4社は系列企業のSamsung Welstoryに社内食堂の給食業務を全量発注し、取引条件をSamsung Welstory 側に有利に設定した疑いが持たれている。

Samsung Welstory は第一毛織の子会社であったが、第一毛織がSamusung 物産と統合し、現在はSamusung 物産の子会社。給食と食材事業を行う。海外進出を図っている。

これが問題となったため、Samsungは今年4月、大企業7社と「団体給食発注開放発表式」を行い、「系列企業や一族経営の会社に随意契約で発注していた社内食堂の団体給食に競争入札を導入し、中小企業などに門戸を開く」とした。

公取委によると、Samsungは是正策(「同意議決」)で、Welstoryが独占してきた社内食堂の運営を開放し、中小・中堅企業への発注を優先的に考慮するとした。給食、食材関連の中小企業375社に融資支援(総額1500億ウォン:149億円)、中小給食業者1000社に衛生、安全教育、メニュー開発コンサルティングなどの費用を支援(総額50億ウォン)、社会福祉法人、保育所など450カ所に食品安全改善支援(総額100億ウォン)などを行うことも提案した。

公取委関係者は「Samsungが5月12日に同意議決を申請し、6月2日に公取委全体会議で棄却を決定した」としている。「近く制裁のレベルが決定される」という。

なお「同意議決」の例で、Appleが韓国の移動通信会社に広告費、修理費を転嫁したとして、公取委の調査を受けていたが、本年2月にAppleが修理費の10%割引などに充てる1000億ウォン(99億円)規模の共生基金の創設を提示し、制裁を受けなかった例がある。

一部からは「Appleよりも大規模な共生支援金を提示し、社内食堂の発注も開放することを決めたのに厳しすぎる」との指摘もある。

そもそも、社内食堂業務を子会社にやらせるのが独禁法違反になるのか疑問だが、異様と見えるほどの多額の貢献を行なう解決策を提案したのを公取委が蹴り、罰金を課すというのは理解し難い。

韓国で財閥に対する批判が強まっている中で、Samsung電子の李在鎔副会長が2015年のSamsung 物産と第一毛織の合併にからんで前大統領への贈賄容疑で起訴され、有罪となり収監されている。
公取委がSamsungに対して一般よりも厳しい姿勢を示しているように見える。

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米上院は6月8日、拡大する中国の影響力に対抗することを目的とした異例の超党派法案 United States Innovation and Competition Act を可決した。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 19 48 1 68
反対 31 1 32
合計 50 48 2 100


様々な分野で中国の影響力に対抗することが狙いで、「米国のイノベーションを一段と後押しし、今後数世代にわたって我が国の競争優位性を維持する内容」としている。

米国の技術や科学、研究に合わせて5年間で総額2500億ドルを投資する。

米国の技術や研究の強化に約1900億ドルを充てる。
米議会が1月に成立させた国防権限法に半導体生産を強化する方針を示したことを受け、半導体・通信機器の生産・研究の強化に約540億ドルを支出する。うち20億ドルは、深刻な供給不足に陥っている自動車向け半導体に充てられる。

政府補助金をてこに国産半導体の育成を急ぐ中国をけん制する狙いがある。

付記

バイデン大統領は2021年3月31日、2兆米ドルを超えるインフラ投資計画 American Job Planを発表した。
大統領は、この中から、米国半導体業界の国内生産回帰の実現に向け、500億ドルを割り当てることを明らかにした。(実際には520億ドル)

しかし、最終的にこれをAmerican Job Planから外し、このInnovation and Competition Act に含めた。米国の技術や研究の強化に約1900億ドルに含まれる。

この法案は下院との法案すり合わせに時間がかかり、下院での採決は年明けになる。

上院案にはこのほかにも、米政府の端末で中国系動画投稿アプリ「TikTok」のダウンロードを禁止する内容や、中国政府の支援を受ける企業が製造・販売するドローンを購入できないようにする措置が含まれる。

また、米国でサイバー攻撃や米企業からの知的財産窃盗に関与した中国の組織に幅広い制裁を義務付けるとともに、人権侵害に用いられる可能性のある製品について輸出管理の見直しを規定している。

日本など同盟国との連携強化も盛り込んだ。経済安全保障から人権問題まで包括的な対応策を明記している。

同法案の成立には下院の承認も必要になるが、下院には別の対中法案が提出されており、上下両院は一本化も視野に入れて早期成立を目指す。

バイデン大統領は法案を称賛し、「われわれは21世紀を勝ち取るための競争のさなかにある。この法案でスタートの合図が鳴った。後れを取ることは許されない」と述べた。

ーーーーー

中国外交部報道官は9日の定例記者会見で以下の通り述べた。

「米上院がこのほど可決したいわゆる『2021年米国イノベーション・競争法案』の中国に関わる内容は事実を歪曲し、中国の発展路線と内外政策を中傷し、『中国の脅威』を誇張し、中国に対する戦略的競争を鼓吹し、台湾地区・香港地区・新疆・西蔵(チベット)関連の問題において中国への重大な内政干渉を犯し、冷戦・ゼロサム思考に満ちており、交流と協力の強化という中米両国各界の一致した願いに逆行するものであり、中国側はこれに断固として反対する」。

建材用のアスベストで元建設労働者らが健康被害を受けた問題で、国家賠償請求訴訟を起こしていない被害者らを補償する「給付金制度」に関する新法が、6月9日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。


自民・公明両党は2021年2月、最高裁で東京、京都、大阪のアスベスト集団訴訟での国の賠償責任が確定したことを受けて、被害者の救済策を検討する合同の対策チームの初会合を開き、関係者へのヒアリングを行うなどしたうえで具体策を取りまとめる方針を確認した。

最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は5月17日、元建設作業員と遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決で、規制を怠った国の対応は違法と認め、「違法状態が続いた1975~2004年の被害に賠償責任が生じる」との初判断を示した。被害原因となった建材を製造した可能性が高い複数のメーカーの連帯責任も認めた。


これを受け、国と原告団、弁護団が、和解内容を盛り込んだ基本合意書に調印。国が最大1300万円の和解金などを支払うことで合意した。裁判外の被害者を救済する給付金制度の創設についても、基本合意書に盛り込まれていた。

2021/5/19 最高裁、建設アスベスト訴訟で 国と企業の責任認める

これを踏まえ、訴訟に加わっていない被害者や遺族にも、給付金を支給するための法律が、可決・成立したもの。


建設石綿給付金法のポイント:

▽支給対象者は、石綿の吹き付け作業(1972年10月~1975年9月)や、一定の屋内作業(1975年10月~2004年9月)に従事した労働者や一人親方ら

▽石綿によって生じた健康被害の症状に応じて、1人550万~1300万円を支給

▽被害者側の請求に基づき、厚生労働省に設置された審査会が審査を行い、厚労相が認定、支給する

▽独立行政法人・労働者健康安全機構に支払いのための基金を設置


厚労省は支給対象者数を2054年までの約30年間で計3万1000人と推計、支給総額は最大4000億円を見込んでいる。

バイデン大統領が上院共和党のグループとの間で進めていたインフラ投資計画(American Jobs Plan )を巡る交渉が決裂した。

サキ大統領報道官は、大統領が別の民主、共和両党の上院議員に接触し「超党派の提案をつくるよう求めた」と表明した。

ーーー

バイデン大統領は3月31日、国内のインフラの整備等に8年間で2兆2500億ドルを投入する新たな計画 American Jobs Plan を発表した。

2021/4/2 バイデン大統領、American Jobs Plan 発表、8年間で2兆2500億ドル投資

これに対し共和党は4月22日、対案として、期間5年、総額5,680億ドル計画を発表した。道路や橋などのインフラ事業とブロードバンドに絞ったもの。

ブロードバンドは政府案では1,000億ドルだが、共和党は650億ドルとした。

増税を見込んでおらず、電気自動車の利用料や未使用の連邦資金などで財源を賄うとしている。州や自治体に拠出を要請する可能性もある。

政府・議会間の調整は、議会側は民主党Chris Coons、共和党Shelley Capitoの両上院議員の主導で進められた。

バイデン大統領は5月21日,雇用計画法の歳出規模を当初案2兆2500億ドルから1.7兆ドルに縮小すると発表した。

新提案では、高速ブロードバンド向け投資が1,000億ドルから650億ドルに圧縮される。

道路や橋、主要インフラ向けも当初の1,590億ドルから1,200億ドルに減額される。

R&D、中小企業、サプライチェーン改善などの投資は別の法案に振り替える。

これを受け、米上院共和党は5月27日、9,280億ドル規模のインフラ投資計画の対案を新たに示した。

共和党案は8年間で道路や橋の整備など伝統的なインフラを中心に資金を投じる。政権側がめざす教育分野などへの支出は含まない。

政権側は企業増税で財源を賄うことを提案しているが、共和党は増税に反対し、新型コロナウイルス対策の未使用の財源を充てるなどと主張した。

バイデン大統領は共和党案を規模が小さいとして拒否し、ここで行き詰った。

大統領は6月8日、共和党Shelley Capito上院議員と短時間の電話協議を行った。

大統領はカピト議員の提示額が低すぎるとして、協議を打ち切る方針を固めた。

サキ報道官は声明で「大統領は、カピト上院議員のグループによる最新の提案ではこの国の基本的なニーズが満たされないという見解を伝えた」と述べた。「大統領が自身の計画を1兆ドル以上縮小する用意があったのに対し、共和党グループは新規投資分を1500億ドル上積みするにとどまった」とした。

カピト議員は声明で「真摯に交渉し、バイデン大統領の望む方向に向けて大きく進展していたことから、大統領の決定に失望している」と述べた。「大統領は財源として増税を含む提案をし続けた」とした。

大統領はツイッターへの投稿で「共和党との妥協点を見いだすことに尽力しているが、年収40万ドル以下の層に対する増税は拒否する」とし、富裕層や企業が公平な負担を求める時との認識を改めて示した。

韓国人元徴用工や遺族計85人が日本企業計16社に計86億ウォン(約8億4700万円)の損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は6月7日、原告の請求を却下した。地裁は1965年の日韓請求権・経済協力協定に触れ、「訴訟で請求権を行使できない」と結論づけた。


「却下」は訴訟の要件を揃えることができず、本案の審理なく裁判を終わらせること。

5月28日の第1回口頭弁論で、原告・被告双方が求めた審理の延長に地裁が応じず、6月10日の判決期日を指定。さらに原告一人一人への連絡なしに期日を急遽変更し、7日に判決を言い渡した。

元徴用工をめぐっては既に2018年に日本企業に賠償を命じる最高裁判決が確定し、その後も同種訴訟で日本企業敗訴が相次いでいた。

韓国大法院は2018年10月、日本製鉄強制徴用の被害者が出した損害賠償訴訟で被害者の勝訴を確定した。日本製鉄(旧新日鉄住金)に対し、戦時中に日本の工場に動員された4人の韓国の元労働者に1人あたり約1000万円の賠償を命じた。三菱重工業に対する判決も確定している。

大法院判決(11対2の決定)は、戦時中に行われた日本統治下の朝鮮半島から日本本土の工場などへの動員は「日本政府の不法な植民地支配や、侵略戦争の遂行と結びついた日本企業の反人道的な不法行為」と認定していた。

2020/11/3 韓国地裁、朝鮮女子挺身隊訴訟で 三菱重工資産の売却へ手続き 

今回の判決は大法院(最高裁)判決を覆し、徴用問題に関連して正反対の2つの判決が当面共存することになった。1965年に日韓が修交し締結した協定および交渉内容に対して相反した意見となる。

今回の裁判官は、3月29日判決の下記の裁判を担当しており、判決はある程度予想できた。

ソウル中央地方法院は3月29日、元従軍慰安婦の女性らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で1月に勝訴した件で、原告が訴訟費用確保のために日本政府の資産差し押さえを求めたのに対し、これを否定する決定を行なった。

確定判決を有効としつつ、外国の資産への強制執行はその国家の主権侵害にあたる可能性を指摘し、韓国内の日本政府の資産を差し押さえた場合、「憲法上の国家安全保障、秩序維持、公共の福祉と相反する結果を招く」と懸念を示した。

2012/4/21 韓国地裁、慰安婦訴訟2件で原告側の訴えを却下 

ーーー

原告らは2015年5月、戦時中に日本本土の工場に強制動員されたとして、三菱重工業や日本製鉄、三井造船(現・三井E&S)、ENEOS、住友金属鉱山、三菱マテリアルなど17社を相手取り提訴した。
5月に入り、原告側が1社に対する訴えを取り下げて被告が16社となり、公示送達の効力が発生した後の5月28日に第1回口頭弁論が開かれ、即日結審していた。

日本企業側は、1965年の日韓請求権協定で解決済みとする日本政府の見解に沿って賠償責任はないと主張した。

判決で裁判所は、「原告側の請求権は韓日請求権協定によりすぐに消滅したり放棄されたとはいえない」が、「韓国国民が日本や日本国民を相手にして権利の行使をすることは制限される」とし、「この事件の請求を認めることは、国際法違反の結果を招き得る」と指摘した。

さらに、仮に原告の請求を認める判決が確定し、強制執行に至った場合、「国家の安全保障や秩序維持を侵害するため権利の乱用に該当する」とした。

大法院が日本の植民地支配を「不当」としたことについても「不当性は国際法的に認定されていない」とした。

大法院全員合議体のうち、「個人の請求権は行使できない」とした少数意見(2人)の法理を引き合いに出した。


原告側はすぐに控訴することを決めた。
韓国では、これが大法院に行った場合、控訴審の結果がどのように出てきても、大法院が3年越しに自分たちが下した判決を否定するのが容易ではないため、従来の判例を維持するという見方が支配的である。

付記 原告側は6月14日、裁判所の損害賠償請求訴訟却下判決を不服として控訴した。

韓国内では裁判官への批判が殺到している。

与党代表は判決直後「朝鮮総督府京城裁判所の判決なのか疑われる」という表現まで使って判決を猛非難した。該当判事を弾劾しようという青瓦台の国民請願掲示サイトへの投稿は1日で20万人以上になったという。

厚生労働省の薬食審再生医療等製品・生物由来技術部会は5月24日、第一三共のがん治療用ウイルス「デリタクト注」(一般名:テセルパツレブ:teserpaturev)を条件及び期限付き(7年間)承認とすることで了承された。通常、1か月程度で正式承認される。

付記 

6月11日 承認を取得した。

デンカが第一三共からの委託を受けて、五泉事業所(新潟県五泉市)にて本品の生産を担う。
デンカは、が
ん治療用ウイルス製剤の実用生産を実現するため、2015年に本品の製造工程の開発に着手し、約20億円を投資して五泉事業所にてがん治療用ウイルス製剤の生産に必要な建屋建設と設備導入を進め、201710月の竣工を経て、商用製剤生産に必要な製造プロセスの確立により、国内医療機関に必要とされる製剤数の確実な供給が可能になった。

本製品については、7年間に有効性と安全性を評価するためのデータを収集し、改めて承認申請して審査することが求められる。

デリタクトは悪性神経膠腫(原発性脳腫瘍の中でも悪性度の高いグレード3、4)を対象疾患とし、標準治療後の治療選択肢となる。
厚労省によると、この患者数は年間概ね3600例で、同製品の適応患者はさらにしぼられることになる。

東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授らにより創製されたもので、第一三共は藤堂教授と共同開発している。

東大側は、非臨床試験から治験製品製造、規制対応、治験実施まで製薬企業が全く関与せずにアカデミアだけで行った日本の医薬品・再生医療等製品開発の歴史に残るアカデミア主導創薬の成功例としている。
培養細胞や動物を用いた安全性や有効性の試験はもとより、臨床試験に用いる治験製品の製造も東京大学医科学研究所内の施設で研究チームが自ら行った。

藤堂教授らの研究グループは、単純ヘルペスウイルス1型(口唇ヘルペスのウイルス)に人工的に3つのウイルス遺伝子を改変(三重変異)した第三世代のがん治療用ヘルペスウイルス「G47Δ」の臨床開発を進めてきた。

悪性神経膠腫の一種の膠芽腫の患者を対象に東京大学医科学研究所附属病院で実施した医師主導治験(第II相臨床試験)において、「G47Δ」の高い治療効果と安全性が確認されたため、この治験を主試験として、2020年12月28日に悪性神経膠腫を適応症とする製造販売承認申請が行われた。

G47Δを初めてヒトに投与するいわゆるファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)臨床試験は2009年から、膠芽腫を対象とした臨床研究として東京大学で5年間実施され、脳腫瘍内への投与が安全であることが確認された。

更に、有効性を検討する第II相臨床試験は、医師主導治験として、膠芽腫患者を対象に2015年から2020年まで実施し、高い治療効果と安全性を確認した。

G47Δの開発は、発明から実用化まで一貫してアカデミア主導で実施され、日本では新しい治療法開発の様式で成功に至った。厚生労働省の先駆け審査指定制度および悪性神経膠腫を対象とした希少疾病用再生医療等製品の指定を受けている。

今回、「G47∆」(一般名:teserpaturev)」を第一三共が「デリタクト注」の商品名で申請した。

ーーー

ウイルス療法は、がん細胞に感染させたウイルスが増えることによって直接がん細胞を破壊する手法で、革新的ながん治療法として期待される。


神経膠腫(グリオーマ)は原発性脳腫瘍のおよそ4分の1を占める代表的な悪性脳腫瘍である。

神経膠腫は悪性度に従って4段階に分けられ、悪性度の高い2つの段階のもの(悪性度 3と4)を悪性神経膠腫と呼ぶ。

神経膠腫の中で最も頻度が高く、また最も悪性度の高いのが膠芽腫(グリオブラストーマ)で、手術をしてから放射線治療と化学療法を行っても平均余命は診断から18カ月、5年生存率は10%程度で、治癒は極めて困難とされ、全く新しい機序による治療手段の開発が待ち望まれていた。

がんのウイルス療法は、がん細胞のみで増えることができるウイルスを感染させ、ウイルスが直接がん細胞を破壊する治療法で、遺伝子工学技術を用いてウイルスゲノムを「設計」して、がん細胞ではよく増えても正常細胞では全く増えないウイルスを人工的に造って臨床に応用する。


G47Δは、口唇に水疱ができる口唇ヘルペスの原因ウイルスとして知られている単純ヘルペスウイルス1型の3つのウイルス遺伝子を改変したもの。

単純ヘルペスウイルス1型は、がん治療に有利な特長を多く備えている。
1)ヒトのあらゆる種類の細胞に感染できること、
2)細胞を殺す力が比較的強いこと、
3)抗ウイルス薬が存在するため治療を中断できること、
4)患者がウイルスに対する抗体を持っていても治療効果が弱くならないこと

単純ヘルペスウイルス1型のゲノムから、正常細胞での増殖では必要でがん細胞では不要なウイルス遺伝子を取り除くことで、がん細胞だけで増えるウイルスを造ることができる。


がん細胞だけで増えるウイルスは、がん細胞に感染するとすぐに増殖を開始し、その過程で感染したがん細胞を死滅させる。

増殖したウイルスはさらに周囲に散らばって再びがん細胞に感染し、ウイルス増殖、細胞死、感染を繰り返してがん細胞を次々に破壊していく。

一方、正常細胞に感染した遺伝子組換えウイルスは増殖できないような仕組みを備えているため、正常組織は傷つかない。

既存のがん治療用ウイルスに比べて安全性と治療効果が格段に高くなっている。

また、G47Δの特徴としてがん細胞を破壊する過程で、抗腫瘍免疫を惹起するために、G47Δを投与した部位のみならず、投与していないところにあるがんにも免疫を介して効果が期待でる。
さらに、G47Δは、がんの根治を阻むとされるがん幹細胞をも効率よく破壊することが判っている。

単純ヘルペスウイルス1型を用いたウイルス療法が、悪性脳腫瘍で治療効果を示すことがヒトで確認されて実用化に至ったのは、世界で初めて。

G47Δは脳腫瘍のみならず、あらゆる固形がんに有効であることが動物実験で示されており、今後さらに、可及的速やかに全ての固形がんに適応を広げることを目指している。
2013年からからは、前立腺癌と嗅神経芽細胞腫をそれぞれ対象とした臨床試験を実施した。
2018年からは、悪性胸膜中皮腫の患者の胸腔内にG47Δを投与する臨床試験も開始している。

藤堂教授は、全てのがんに効くと見ており、制度の変更を希望している。(現在は各がんについて臨床試験が必要である。)

米食品医薬品局(FDA)は6月7日、エーザイと米バイオジェンが共同で開発するアルツハイマー型認知症治療薬候補ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)について、脳内アミロイドβプラークを減少させることにより、アルツハイマー病の病理に作用する初めてかつ唯一治療薬として迅速承認(accelerated approvalした発表した。

従来の認知症薬とは異なり、認知機能の低下を長期的に抑制する機能を持つとして世界で初めて承認された。

アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。新薬はこのレベルを下げるもの。

今回の迅速承認は、アミロイドβプラークの減少に対するADUHELM効果を実証した臨床試験のデータに基づくもので、迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となる。

ADUHELMの有効性は、アミロイドの蓄積が確認されたアルツハイマーの初期段階(軽度認知障害および軽度認知症)の患者を対象とした2つの臨床第III相試験で評価された。

また、ADUHELMの効果は、プラセボ対照無作為化二重盲検用量設定第Ib相試験においても評価された。

付記

下記の通り、米国食品医薬品局FDA)の末梢中枢神経系薬物諮問委員会 は、 投票の結果、有効性に対して否定的な見解を公表していた。
諮問委員会の提言は拘束力はないが、提言に反する承認は異例。

今回の承認をめぐり、委員会のメンバーのうち、反対票を投じた大学の神経学者と、当日の採決に加わらなかった医療機関に勤める人物の2人が辞任した。委員会の反対にもかかわらずFDAが、条件付きで承認したことへの抗議だという。

ーーー

エーザイとBiogenは2014年3月に提携を開始した。

現状は次の通りで、アリセプトを除き、開発で提携している。

エーザイは今回のアデュカヌマブのほか、Biogenと共同開発しているアルツハイマー治療薬BAN2401について2022年度中に承認申請を目指している。

2020/9/24 エーザイ、認知症薬を2022年度に承認申請へ 

エーザイ アリセプト 〈提携対象外〉
(donepezil)
エーザイの杉本八郎博士らが開発
 
アルツハイマーでは、神経伝達物質のアセチルコリンが脳内で減少している。

アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、アセチルコリンの濃度を高める。

新規ヒト化モノクローナル抗体
「BAN2401」
 
2022年度中に申請
2007/12 スウェーデンのBioArctic Neuroscience ABから全世界の研究・開発、製造、販売の独占ライセンスを受ける。 アルツハイマー病の原因と考えられるベータ・アミロイド成分を除去
βサイト切断酵素(BACE)阻害剤
elenbecestat「E2609」 
 
x試験中止
エーザイが創製

 

アミロイド前駆体タンパク質のβサイト切断酵素であるBACEを阻害することでβアミロイドの総量を低下させる。
Biogen 抗アミロイドβ(Aβ)抗体  
aducanumab
(BIIB037)
 
→ 申請→FDA優先審査
 
 2021/6/7 迅速承認
Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとに導入 アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。

aducanumab 投与でアミロイドプラークのレベルを下げる

2017/10/27 エーザイとバイオジェン、アルツハイマー治療剤での提携契約を拡大 

本剤はBiogenが開発したもので、一旦は中止を決定していたものである。

両社は2019年3月21日、aducanumab(BIIB037)の有効性、安全性を評価する臨床第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)を中止することを決定したと発表した。
本試験において主要評価項目が達成される可能性が低いと判断されたことに基づくものであり、安全性に関する問題によるものではない。

しかし、結果を再分析したところ、高用量を投与した一部の患者に効果が確認できた。重篤な副作用も認められなかった。

両社2019年10月22日、早期アルツハイマー病患者を対象に臨床試験を実施した抗アミロイドβ(Aβ)抗体アデュカヌマブ(aducanumab:BIIB037)についてBiogenが米国食品医薬品局(FDA)との協議に基づいて、新薬承認をめざすことを発表した。

Biogenは2019年12月5日、2020年初めに米国で承認申請すると発表していたアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」について、投与した患者の認知機能の低下スピードが2割ほど遅くなったとする臨床試験(治験)のデータを学会で発表した。

投与量を増やした患者の認知機能の低下が22%抑えられたほか、日常生活への影響も40%抑えるデータを報告した。

専門家は「投与量が増えると効果が出ることが明確に示された」としている。

2020117日、アルツハイマー病治療薬候補であるアデュカヌマブについて、米国食品医薬品局FDA)の末梢中枢神経系薬物諮問委員会が開催された。
投票の結果は下記の通りで、
有効性に対して否定的な見解を公表した。

FDA諮問委員会の提言はFDAによる審査において考慮されるが、拘束力はない。

2019/10/24  Biogenとエーザイ、一旦治験中止したアルツハイマー薬の承認申請へ

FDAは当初、2021年3月に判断するとしていたが、追加データを求め、3か月延長した。

諮問委員会の提言は拘束力はないが、提言に反する承認は異例。

仏製薬大手 Sanofiは6月3日、日本で新型コロナウイルスワクチンの最終段階の臨床試験(治験)を始める方針を明らかにした。

実用化した際にはバイオ医薬品製造のUNIGEN(岐阜県池田町)に生産委託する方針も明かした。

Sanofiは 英GlaxoSmithKlineと組んで「組み換えたんぱくワクチン」を開発している。

Sanofiでワクチンを担当するSanofi Pasteurは、遺伝子組換えDNA技術をベースとするS-タンパク質COVID-19抗原を提供する。
遺伝子組換えDNA技術により、ウイルスの表面に検出されたタンパク質と正確に一致する遺伝子配列を作成することができる。抗原をコード化するDNA配列を、Sanofiが米国で開発に成功し承認された遺伝子組換えインフルエンザワクチンの基盤となったバキュロウイルス発現プラットフォームに組み込む。

GSKは、実証済みのパンデミックアジュバント技術を提供する。

両社は2020年5月中旬、最終段階の治験を数週間以内に開始する方針を発表した。

このワクチンは、米政府の爆速ワクチン計画(Operation Warp Speed)の対象に選ばれ、2020年7月31日に米政府が21億ドルを支払い、5000万人分を確保した。

しかし、SanofiとGSKは2020年12月11日、試験計画を遅らせると発表した。

第1/2相臨床試験で、18~49歳の被検者においてはCOVID-19から回復した人に匹敵する免疫応答が示されたが、高齢者において十分な免疫応答が得られなかったことから、すべての年齢層において十分な免疫応答を得るために抗原の濃度を改善する必要性が示された。

2021年2月に改善された抗原を用いて第Ⅱ相臨床試験を実施した

SanofiとGSKは2021525ワクチン候補の第II相臨床試験において成人全ての年齢層で強力な免疫反応を認めたことを発表した。

アジュバント添加遺伝子組換えタンパク質ベースワクチン候補は、全年齢層の成人で中和抗体を誘導し、95~100%の抗体陽転率を示した

感染歴のある被験者では1接種後に高い免疫反応がみられ、強力なブースター(追加免疫)ワクチンとしての可能性が示された。

グローバル第III臨床試験は、今後数週間以内に開始される見込み

今回、これに基づき、下記の通り、第Ⅲ相国際臨床試験の開始を発表したもの。

・第Ⅲ臨床試験は無作為化二重盲検プラセボ対照、国際共同試験であり、米国、アジア、アフリカおよび南米を含む国々における18歳以上の35,000人以上の被験者を対象に行う。

日本でもこの試験を実施する。

・主要評価項目は、感染歴のない成人におけるCOVID-19症状の予防とし、副次評価項目として重症COVID-19感染の予防と無症候性感染の予防を検討 。

・臨床試験は2段階で行い、第1段階では当初の武漢株を標的とするワクチン製剤の有効性を評価し 、2段階では南ア変異株を標的とするワクチン製剤の評価を行 う。

最近の研究結果から 南ア変異株に対して産生された抗体は、他の伝染性変異株に対しても幅広い交差予防効果を示す可能性が示されてい る。
試験は
幅広い地域で行うよう計画されており、現在流行中の様々な変異株に対するワクチン候補の有効性を評価することができる。

臨床試験を補うものとして、ブースター (追加免疫)試験プログラム今後数週間以内に開始する予定

第Ⅲ相臨床試験で肯定的な結果が得られ、規制当局の審査が進めば、このワクチン候補は、グローバルにおいて2021年第4四半期に承認される見込み 。

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Sanofiは6月3日、新型コロナウイルスワクチンを日本で生産する方針を明らかにし、製造委託先の候補に、岐阜県揖斐郡池田町のバイオ医薬品製造UNIGENがあることを明らかにした。
駐日フランス大使ととも行なった工場視察後の記者会見で発表した。

「世界的に製造のネットワークを構築している。UNIGENとは歴史的に良好な関係を築いてきた流れの中で検討している」と述べた。

 なお、UNIGENは、塩野義製薬が開発を進めている新型コロナウイルスワクチンの生産も予定している。

塩野義は、グループ会社のUMNファーマが有するBEVS(バキュロウイルスを昆虫細胞に感染させ、 昆虫細胞内で目的タンパクを発現させる技術)を活用した遺伝子組換えタンパクワクチンを開発しており、国内で唯一BEVS技術を用いた遺伝子組換えタンパクワクチンの製造実績を有するアピ㈱とそのグループ会社である㈱UNIGENと提携し、生産体制の立ち上げを進めている。

熊本大学は5月21日、1mlの血液に含まれる微量ながん細胞を簡単に分離・補足できるマイクロフィルタデバイスを開発したと発表した。

がんに罹患した人の血液には、がんの原発巣から剥離したがん細胞がわずかに混入している。しかし、その量は血液1mL中に50億個ほど存在する赤血球や白血球などの血球細胞と比べて数個~10個程度と言われており、分離・捕捉(検出)するのは非常に困難で、がん細胞を検出するデバイスは開発されてきたが、高額な装置や試薬が必要であり、実用化する際のボトルネックになっていた。

今回、大型の装置を必要とせず、安価かつ簡便にがん細胞を分離・捕捉することを目的とし、独自のマイクロフィルタデバイスを開発した。

開発した機器は幅5マイクロメートルの細かな切り込みが入ったフィルターを備えており、がん細胞にくっつく「核酸アプタマー」と呼ぶ分子を表面に塗った。

血液を流すとフィルターが流体力によって動的かつ3次元的に変形し、切り込みの隙間が大きくなる。赤血球や白血球は通り抜けるが、 核酸アプタマーとくっついたがん細胞だけをこしとる。

がん細胞と核酸アプタマーとの選択的親和性を利用してがん細胞のみを捕捉する。


核酸アプタマーは特定の高次構造を形成することで、標的分子に対して抗体のように特異的かつ強固に結合する核酸のこと。

核酸アプタマーは一本鎖DNAまたはRNAから構成され 、分子内で相補配列に依存して熱力学的に安定な固有の立体構造を形成することで,標的分子に特異的に結合する 。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsth/31/1/31_2020_JJTH_31_1_66-70/_pdf/-char/en



1ミリリットルの血液には、赤血球や白血球などの「血球細胞」が約50億個と大量にあることが分かっている が、 がん細胞の濃度を変えながら血液に混入させて機器で検出する実験をしたところ、がん細胞が5個だけでも見分けられる性能を確かめた。

血液検査のみの簡単な検査によるがんの早期発見や術後の管理、再発モニタリングなど、血液中のがん細胞を基にした新たながん診断技術実現への貢献が期待される。

がんの目印になる腫瘍マーカーを調べる検査で陰性と診断された患者(がんではないと診断)の血液からも、がん細胞を発見することができた。 がんを巡っては診断結果と異なる「偽陽性」や「偽陰性」の結果が出るケースも多いが、研究グループは腫瘍マーカーとの併用などによってがん診断の精度を向上できる可能性があるとみている。

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