米財務省は129日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表した。


 https://home.treasury.gov/system/files/136/January-2026-FX-Report.pdf

米財務省は為替操作国に指定する条件として(1) 対米貿易黒字の規模 (2) 経常黒字の規模 (3) 継続的な通貨売り介入――を掲げている。

  従来の基準 2019/5より改正
①重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上 同左
②実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上 GDPの2.0%以上
③外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入
(12カ月のうち、8カ月
同左
(12カ月のうち、6カ月

3基準全てに該当すれば「為替操作国」となる。

次の場合、「監視リスト」に入る。
  2基準に該当 & 1基準だが、前年「監視リスト」の場合
  なお、中国は常時、「監視リスト」

「為替操作国」基準にかかった貿易相手国・地域はなかった。

2019年8月に中国が、2020年12月にスイスとベトナムが「為替操作国」となった。それ以降、2022年11月までの間は、基準では対象となる国があったが、米財務省の判断で実際は非認定となった。
今回は基準でも対象となる国はなかった。

日本は永く2項目でひっかかり、「監視リスト」に入っていた。2022年11月から1項目だけとなり、2023年6月と2023年11月は「監視リスト」から外れた。しかし2024年6月から、①対米貿易黒字に加え、②実質的な経常黒字で該当し、再度、『監視リスト」に入った。

今回のレポートでは、日本について以下の通り述べている。

日本の恒常的な経常収支黒字は近年増加傾向にあり、これは数十年にわたり蓄積された膨大な対外資産による一次所得の増加が牽引している。日本円は、日本銀行(BOJ)が長年にわたる極めて緩和的な金融政策を徐々に解消しつつあるにもかかわらず、対ドル及び実質実効ベースで数十年ぶりの安値付近にとどまっている。日本の財・サービス貿易収支は2019年以降、概ね赤字となっているものの、米国との二国間貿易黒字は比較的安定している。日本は為替介入について非常に透明性が高く、月次介入の総額と四半期ごとの日次介入の詳細な情報を公表している。

日本の経常収支黒字は、2025年6月までの4四半期でGDPの4.8%と、前年同期の4.5%からわずかに増加した。これは、日本の大幅な第一次所得収支黒字の副産物であり続けている。第一次所得収支黒字は、対GDPの6.4%と非常に高い水準を維持している。これは、日本の対外資産からの堅調な収益が継続していることによる。対外資産は、外国直接投資からの配当、国債・社債を含むポートフォリオ資産、外国株式、海外銀行融資などに分散されている。

介入政策

2024年7月に円安圧力が顕著になった頃、日本は7月11日と12日に5.5兆円(350億ドル)のドル売りを行い、外国為替市場に介入した。このドル売りは、2024年における3回目の大規模な介入であり、日本当局はドルに対して円を支えるために介入した。財務省は年間で約1,000億ドルのドル売りを行った。

為替介入については月次での有無を公表していることから「透明性を維持している」とした。2022年以降の介入に関し、日本の財務省は相場の過度な変動や投機筋の圧力を理由としており、「介入は特定の為替水準を目標としない立場を守っている」と評価した。

ーーー

中国については人民元が「下落圧力」に直面しているとしたものの、為替操作国には認定せず、貿易摩擦の激化を回避した。ただ、「主要貿易相手国の中で、為替政策・慣行に関する透明性の欠如が際立っている」と指摘。昨年6月に発表した前回の報告書の文言を繰り返した。

ーー

今回は、日本に加え、前回に続き2項目の韓国台湾、ドイツ、スイス、アイルランドベトナム、シンガポールと、今回2項目となったタイ、1項目でも常時「監視リスト」の中国(今回は久しぶりに2項目)の合計10カ国が「監視リスト」に載った。

なお、「外為市場に対する介入」でひっかかったのはシンガポールだけであった。 

操作国
3基準  
監視国
2基準  
監視国
1前年監視対象 &中国 丸数字は問題となった項目
                 
  日本 中国 韓国 台湾 ドイツ スイス インド アイルランド ベトナム イタリア マレーシア シンガポール タイ メキシコ
2016/4
2016/10
2017/4
2017/10
2018/4
2018/10
2019/5
 

①②



①②

 

 

①②

①②

①②

①②

2019/8   操作国  
2020/1
①②


①②

①②

①②

 



①②

①②

2020/12
①②


①②

①②

①②
操作国
①③
操作国
①②

①②


①②
2021/4
①②


①②
操作国
非認定

①②
操作国
非認定

①③

①②
操作国
非認定

①②

①②


①②

①②
2021/12
①②

①②

①②
操作国
非認定

①②

①③

①③

操作国
非認定

①②

①②


①②

①②
2022/6
①②


①②

①②

①②
操作国
非認定




①②



2022/11


①②

①②

①②
操作国
非認定







2023/6



①②

①②






①②



2023/11



①②

①②




①②


①②



2024/6
①②



①②

①②




①②





2024/11
①②


①②

①②

①②




①②





2025/6
①②


①②

①②

①②

①②


①②

①②





2026/1
①②


①②

①②

①②

①②

①②

①②

①②


①②

 赤字が為替操作国基準にひっかかった項目


米国議会は本年度(2025/10/1~2026/9/30)の予算を期限までに通すことができず、10月1日に政府が閉鎖された。

下院は2025年11月12日、上院が可決していたつなぎ予算案を賛成222、反対209で可決し、同日にトランプ大統領が署名した。

これにより、史上最長となる43日間の政府閉鎖は終了し、
農業、退役軍人・軍事建設、立法関連の歳出については2026会計年度末(2026年9月30日)まで
その他の歳出については2026年1月30日まで資金が供給される。

2025/9/22 米国、政府閉鎖か 付記

農業、退役軍人・軍事建設、立法関連の歳出は2026会計年度末(2026年9月30日)までの予算は確保されているが、その他については2026年1月30日で期限がくる。

議会は連邦政府機関の運営を維持するため、1月30日までに12本の歳出法案か、暫定措置を可決する必要がある。そうでなければ、この4カ月で2回目の政府閉鎖に陥る恐れがある。


議員らはこれまでのところ、取り組みを進展させており、12の法案は上下両院の共和党と民主党の交渉担当者の支持を得ていた。

下院は1月22日、2026年度(9月30日までの1年間)の国土安全保障省向け予算案を可決した。

644億ドルの国土安全保障省向け予算案は賛成220、反対207で可決された。共和党から1人が反対に回った一方、民主党の7人が賛成票を投じた。

下院民主党指導部は今月7日にミネソタ州ミネアポリスで起きた移民 ・税関捜査局捜査官による地元女性射殺事件を受け、この予算法案に反対した。

共和党 民主党 合計 欠員
賛成 213 7 220  
反対 1 206 207  
棄権 4 4  
合計 218 213 431 4

軍事、医療、交通、教育、住宅など幅広いプログラムに資金を提供する包括的な歳出法案も341対88の圧倒的多数で可決した。

共和党 民主党 合計 欠員
賛成 192 149 341  
反対 24 64 88  
棄権 2 2  
合計 218 213 431 4

これにより、2026会計年度予算関連の12法案すべてが下院を通過した。つなぎ予算の期限が1月30日に迫る中、政府機関の一部閉鎖回避に向け前進した。

しかし、ミネソタ州ミネアポリスで移民税関捜査局(ICE)などの職員の発砲により抗議運動中の男性が死亡した事件が発生した。これを受け、複数の野党民主党議員が政府歳出法案に反対すると相次ぎ表明した。

野党民主党の上院トップ、シューマー院内総務は25日の声明で、この事件について「驚愕している」と批判する声明を発表、ICEを含む国土安全保障省関連予算を予算案から切り離して審議することを与党共和党に提案した。

その他予算案を先に上院で可決し、大規模な政府機関閉鎖の回避を図るものである。

2026年度予算を巡っては、全12法案のうち、農業、退役軍人・軍事建設、立法関連の歳出は2026会計年度末(2026年9月30日)までの予算は確保されている。

つなぎ予算案の期限を1月30日に控え、上院は今週、残り6法案を一括して採決する見通しだが、ICEの強引な取り締まりで犠牲者が相次いだことに民主党が猛反発。シューマー院内総務は、ICE関連が含まれるなら、民主党は予算案に反対する方針を示した。

上院では共和党は53票で過半数を得ているが、 法案可決にはフィリバスター(議事妨害)の回避のため60票の賛成が必要で、民主党の協力が必要である。民主党から7名が賛成しないと予算案は可決されない。これまで法案可決に好意的であった議員も態度を変えた。

 

共和党

民主党 民主系
無所属
合計
改選後 53 45 2 100
異動 -2
後任 +2
現状 53 45 2 100

民主党は国土安全保障省(DHS)予算を全体パッケージから切り離し、5本の歳出法案を先行処理した後に別途協議すべきだと主張する。

民主党は、▲移民取り締まりの執行に制約を設け、▲DHSの運営全般に対する議会の監督を強化し、▲ミネアポリスなどでの連邦要員投入に明示的な制限を設ける措置を法案に盛り込むべきだとの立場で、修正案を貫徹するためにはシャットダウンも辞さない意向を示したとされる。

共和党は原案維持を公式立場として掲げているが、一部議員は土壇場の協議で妥協点を探る余地を残しているとみられる。もっとも、上院が合意に達して予算を可決しても下院での再採決を経なければならず、この過程が遅れれば期限内の処理が事実上困難になり得るという問題がある。

部分的シャットダウンが現実化した場合、予算が確定している司法省・商務省・農務省・内務省・退役軍人省などは通常運営となる一方、国土安全保障省と国防総省は必須機能を除き業務が停止する見通し。航空管制・国境警備・治安維持など中核サービスに従事する公務員は無給で勤務し、残りは休職に入り、シャットダウン終了時に遡及賃金を受け取ると予測される。

納税申告期間と重なり内国歳入庁(IRS)の運営も不確実性に置かれているとされる。IRSは通常、申告期間には最大限の人員を維持してきたが、シャットダウン時の具体的な運営計画はまだ公表していない。ただし2022年のインフレ抑制法(IRA)で確保した追加財源が残っているため、通年の歳出予算が途絶えてもIRSが業務を完全停止することはないとの見方だとされる。

ーーー

男性が連邦捜査官に射殺される事件では、世論調査では政権の移民取り締まりが「行き過ぎだ」との声が強まっている。

事件の捜査について、連邦捜査当局が地元警察の関与を拒んでいると伝えられていたが、トランプ大統領はミネソタ州知事と電話で話し合い、地元警察による捜査実施を認めることになったという。

大統領報道官は記者会見で、ミネソタ州やミネアポリスが政権に協力すれば、移民を取り締まるための連邦捜査官が「必要なくなるだろう」と述べ、現地への派遣人員を減らす可能性があると示唆した。


厚生労働省は1月23日、2026年度の公的年金の支給額を25年度に比べて1.9%引き上げると発表した。

年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」が発動されるため、増加率は0.2ポイント目減りした。

直近1年の物価変動率(基本)と比べると1.3ポイントの目減りである。 

下記の通り、米国では物価変動率がそのまま適用されている。

2026年度の支給額は、国民年金では保険料を40年間納付した満額1人分で前年度比1,300円増の月70,608円、厚生年金は夫婦2人のモデル世帯の場合、同4,495円増の同237,279円 とされる。


計算は下記の通り。

2025年度 2026年度
直近1年の物価変動率 +2.7% +3.2%
過去3年の名目手取り賃金変動率 +2.3% +2.1%
採用 +2.3% +2.1%
マクロ経済スライド -0.4% -0.2%
最終改定率 +1.9% +1.9%

マクロ経済スライドによるスライド調整率(▲0.2%)= 公的年金被保険者総数の変動率(+0.1%) + 平均余命の伸び率(▲0.3%)(令和4~6年度の平均) (定率)

既裁定者(68歳到達年度以後の受給権者)

  実績 原則
2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度 2026年度
直近1年の物価変動率(基本) +0.5% +0.0% -0.2% +2.5% +3.2% +2.7% +3.2%

基本は物価変動率
賃金変動率が物価変動率より低い場合は賃金変動率を採用

過去3年の名目手取り賃金変動率 +0.3% -0.1% -0.4% +2.8% +3.1% +2.3% +2.1%
(採用) +0.3% -0.1% -0.4% +2.5% +3.1% +2.3% +2.1%  
マクロ経済スライド
公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を改定率から控除
-0.1% -0.1%
(調整せず)

当期 -0.2% 
繰越 -0.1%
計  -0.3%
(調整せず)

当期 -0.3%
繰越 -0.3%
計 -0.6%

-0.4%

-0.4%
-0.2%

上記の(採用)がマイナスの場合は、調整せず、その分を翌年に繰り越す。

最終改定率 +0.2% -0.1% -0.4% +1.9% +2.7% +1.9% +1.9%
マクロ経済スライド繰り越し   -0.1% -0.3%  

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米国の2026年のSocial SecurityのCOLA(Cost-of-Living Adjustment:年金の物価調整) +2.8% (2025年は2.5%)

   物価上昇に伴う生計費調整(COLA:Cost-of-Living-Adjustment)の規定によるもので、前年第3四半期の勤労者消費者物価指数(Consumer Price Index for Urban Wage Earners and Clerical Workers =CPI-W) の平均を採用、これを 1年間適用する。

  2022/10/18 米国の2023年の年金給付、生計費調整で8.7%の大幅アップ 

ーー

塩野義製薬は、2025年12月22日に開催された取締役会において、田辺ファーマが開発・販売する筋萎縮性側索硬化症(ALS)等治療薬エダラボン(日本での製品名「ラジカット」、米国での製品名「Radicava」)の日米を含むグローバルでの全権利の獲得に関する契約締結について決議した。25億ドル(3900億円)で買収する。


田辺ファーマは2025年12月1日に田辺三菱製薬が社名を変更したもの

 2025/2/6 米Bain Capital 、田辺三菱を5100億円で買収  

  2025/7/1にベインキャピタル傘下で新たにスタート

  2025/12/1より商号を「田辺ファーマ株式会社」 に改称


エダラボンは、ALSの進行に関与する酸化ストレスを抑制することで、運動ニューロンの障害進行を遅延させる作用を有するフリーラジカル消去薬である。

国立精神神経センター国府台病院(当時)の吉野 英氏は 、発症原因の一説であるフリーラジカル説に着目し 、2001年に脳梗塞急性期治療薬として承認されたエダラボンが、細胞が傷害される原因の一つであるフリーラジカルを消去し 、細胞を保護する作用を有することから、ALSに有効ではないかと考えた。

このため 、企業に先んじて臨床研究を自ら着手し、更に田辺三菱製薬による 第3相試験で有効性が検証されるまで、ALS専門医として全ての臨床試験に参画し、ALS治療薬としての承認取得へ導いた。


新規筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬としてのエダラボンの研究開発


ALSは進行性の神経疾患であり、根本的な治療法が存在しないアンメットメディカルニーズの高い疾患だが、エダラボンは疾患進行を抑制する数少ない治療選択肢の一つとして期待されており、米国では注射剤に加え、服薬負担を軽減する経口懸濁剤も上市され、ALS患者のQOL向上に寄与している。

エダラボンは、田辺ファーマがALS治療薬として創製・開発し、米国ではタナベファーマアメリカが販売した。

田辺ファーマは2001年から13年間にわたる臨床試験を通じてALS研究を進め、2015年に日本および韓国でRADICUT®として承認を取得、その後、カナダ(2018年10月)、スイス(2019年1月)、インドネシア(2020年7月)、タイ(2021年4月)、マレーシア(2021年12月)、オーストラリア(2023年2月)、ブラジル(2024年2月)で承認を取得した。

RADICAVA® Oral Suspensionはカナダ(2022年11月)、スイス(2023年5月)で承認され、日本ではRADICUT® Oral Suspension 2.1%が2022年12月に承認された。

米国では、エダラボンの注射剤および経口懸濁剤が、合計約2万人のALS患者の治療に使用されている。

エダラボンの経口懸濁剤は、2022年に米国FDAからALS治療薬として承認を取得した。2024年には、静注投与の負担を回避する経口懸濁剤という新たな投与経路を提供し、患者ケアに大きく貢献したことから、FDAより希少疾病用医薬品として排他的承認期間が付与された。

ーーー

塩野義は、米国についてはタナベファーマアメリカがRadicavaに関する事業会社を新設し、塩野義の米国グループ会社Shionogi Inc.が完全子会社化する。世界での知的財産や販売権とともに、営業人材や販売ノウハウを引き継ぐ。

本契約に基づき、対価として、手続き完了時に総額2,500百万ドルを米国グループ会社Shionogi Inc.を通じて田辺ファーマに支払う。加えて、一定の条件を満たした場合には、将来の売上に応じたロイヤリティーを支払う。

今後、米国においては、Radicava事業会社がShionogi Inc.の完全子会社として、速やかに事業を開始する。


ラジカヴァは日米のほか欧州や東南アジア、南米でも販売しているが、米国での売り上げが9割以上を占める。

日本を含む米国以外の地域については、流通業務の移管および製造販売承認の承継時期について今後検討し決定する。

当該事業は年間売上1,000億円以上であり、2026年度以降の売上収益および利益へ継続的に貢献する見通し。

塩野義は世界で1000億円以上を売り上げる「ブロックバスター」を手に入れることになるが、それだけではなく、世界最大の医薬品市場である米国の営業基盤を手に入れ、成長の柱に据える自社開発の希少疾患薬を投入する。

ALSをはじめとする希少疾患向け医薬品は対象患者が限られる一方、競合も少ない。薬価が比較的高く維持されやすく、開発に成功すれば先行者利益を得やすい分野である。

なかでも米国市場は希少疾患薬に対する制度的な保護が厚い。臨床試験(治験)の実施や承認後の普及において大きな役割を果たす患者団体が整っており、販売拡大につなげやすい。塩野義は買収で、患者団体との関係性も田辺ファーマから引き継ぐ。

都大学の近藤祥司 医学研究科准教授らの研究グループは、新規の老化細胞除去(senolysis : セノリシス)による個体老化の症状改善を見出した。加齢で蓄積する老化細胞を除去する新たな薬剤を開発した。

個体老化における組織機能低下は、「レジリエンス(回復力、しなやかな弾性)」の低下が原因と考えられる。個体老化と共に蓄積する「老化細胞」は若い細胞より死ににくく、炎症性サイトカインを放出し、「レジリエンス」を低下させる。

「レジリエンス」回復の方法として、老化細胞除去「セノリシス」が、注目されているが、研究チームは老化細胞では、「解糖系酵素PGAM」「シグナル伝達キナーゼChk1」の異常なタンパク結合亢進により、解糖系代謝亢進し、老化細胞の生存能が高まることを見出した。

その結果、レジリエンスが低下、フレイルに。また、SASP(細胞老化関連分泌形質)が出て、慢性炎症になる。

逆に、「解糖系酵素PGAM」と 「シグナル伝達キナーゼChk1」の結合を阻害すると、老化細胞の選択的細胞死(アポトーシス)が誘導され、「慢性炎症」が減少し、老化症状が改善した。

代表的な難治性加齢性疾患の一つである「肺線維症モデル」においても、PGAMとChk1の結合阻害によるセノリシスにより、症状が改善し、加齢性疾患の新たな治療法としての有効性が示された。

肺線維症は、肺の組織が炎症や損傷を受けて硬くなる(線維化する)病気で、息切れや乾いた咳が主な症状。

様々な環境変化やストレスに対応し、多くの生命個体が正常機能を維持する機構を、「レジリエンス(回復力しなやかな弾性 )」と呼ぶ。

加齢とともに、このレジリエンスの変容や低下が観察され、個体老化につながる。近年、

 ①老化細胞は若い細胞より死ににくいという観察を端緒とし、

 ② 抗アポトーシス能(プログラムされた細胞死を回避する能力)獲得のため転写因子NF-kB を活性化し、

 ③副次的作用として炎症性サイトカインの分泌が盛んにおこること (SASP:細胞老化関連分泌形質と呼ぶ)

が判明した。これら、老化細胞を起点とした「慢性炎症」が個体老化にも大きく影響していると考えられる。

図のとおり、老化細胞で転写因子NF-kBが活性化し、抗アポトーシス能(生存能力)を獲得すると同時に、炎症性サイトカイン放出により、慢性炎症を引き起こす。

Bcl-2阻害薬(抗アポトーシス能を阻害)であるABT263は、老化細胞のアポトーシスを起こし、慢性炎症を除去、老化症状を改善する。

最近、「慢性炎症」の原因となる「老化細胞」そのものを除去するという、新規アプローチ「セノリシス;老化細胞除去」が提唱されている。

セノリシス薬として、上図記載のABT263(抗アポトーシス遺伝子 Bcl-2 の阻害剤)は、マウスで加齢性疾患(動脈硬化や認知症など)改善効果が報告された。

しかし、ABT263 などは、副作用の観点からヒト臨床応用が難しい側面がある。

ABT263(ナビトクラックス)は、がん治療や老化細胞除去として、主に臨床試験(第I~III相)で研究開発が進められている治験薬で、2025年3月現在、米国FDAの承認は得ていないが、老化細胞除去による治療の有望性から期待され、研究が進められている。しかし重篤な副作用を示す可能性がある。

研究チームは、老化の観点から解糖系酵素 PGAM に注目し長年研究してきた。

最新NanoBit 技術により、細胞内の PGAM-Chk1 キナーゼ結合を可視化することに成功した。結合すると発光する。

この技術を用いて、老化細胞と癌細胞の代謝上の共通点として、PGAM-Chk1 キナーゼ結合亢進による解糖系代謝亢進に気づいた。

解糖系代謝亢進は、細胞がエネルギー源としてブドウ糖(グルコース)を分解する「解糖系」の反応が通常よりも活発になる状態を指し、特にがん細胞や糖尿病酸素不足(低酸素状態)などで見られ、エネルギー供給だけでなく、細胞の材料供給や抗酸化力の維持、細胞増殖・生存に関わる重要な現象

朝日新聞は、「研究チームは、抗がん剤として開発された化合物に注目。この化合物は毒性が強くて使われていないが、 光学異性体が老化細胞だけを細胞死させることを見つけた」と報じている。

老化細胞と癌細胞は代謝上の共通点を持つため、抗がん剤に目をつけたか?

*医薬や農薬の分野では、片方の異性体は「医薬」「農薬」として働き、もう片方は「毒」や「無効」になるものがある。
 サリドマイドは一方は鎮静・催眠薬だが、他方は重篤な催奇形性を引き起こす。
家庭用の殺虫剤のピナミンは一方が殺虫効果を持つが、他方は「無効」

PGAMとChk1の結合を阻害すると、老化細胞選択的な細胞死が誘導され、「慢性炎症」が減少し、老化症状が改善した。代表的な難治性加齢性疾患の一つである「肺線維症モデル」においても、PGAMとChk1の結合阻害によるセノリシスにより、症状が改善し、加齢性疾患の新たな治療法としての有効性が示された。

若い通常細胞では PGAM-Chk1 結合は観察されないので、PGAM-Chk1 結合阻害薬は、若い細胞には毒性を示さない一方で、老化培養細胞に選択的なアポトーシス(セノリシス)を誘導した

その効果は先行薬のABT263 とほぼ同等と判明した。

PGAM-Chk1 結合阻害によるセノリシスは、高齢マウスにおける肝臓、腎臓、肺の機能回復に有効で、加齢性疾患の一つである「肺線維症モデル」においても有効な治療効果を発揮した。

本研究成果は、構造生物学・代謝制御・老化研究を融合させた、非常にユニークなもので、他のセノリシス薬(ABT263 など)と異なり、安全性が高く、将来のヒト臨床応用へ期待できる。



本件に関する知的財産権(2025/1時点)


本研究成果は、2025年12月15日に国際学術誌「Signal Transduction and Targeted Therapy」(Nature グループ)にオンライン掲載された。

Abrogation of aberrant glycolytic interactions eliminates senescent cells and alleviates aging-related dysfunctions

岡山大学学術研究院医歯薬学域 消化器外科学分野の藤原俊義教授らの研究グループは2025年12月15日、食道がんに対して開発を進めてきた腫瘍溶解ウイルス製剤「テロメライシン」を、岡山大学発バイオベンチャーの オンコリスバイオファーマ㈱(英名 Oncolys BioPharma) から厚労省に医薬品製造販売承認申請を行った。

テロメライシン(Telomelysin、OBP-301、Suratadenoturev)は、岡山大学で開発された国産の抗がんウイルス製剤で、感染したがん細胞を殺傷するとともに放射線に対する感受性を増強することが明らかとなっている。

テロメライシンは、風邪ウイルスの一種のアデノウイルス(5型)の E1 領域に、多くのがん細胞で活性が上昇しているテロメラーゼという酵素のプロモーターを遺伝子改変によって組込み、がん細胞中で特異的に増殖してがん細胞を破壊することができるようにしたウイルス製剤。

5型のアデノウイルス自体は風邪の症状を引き起こすもので、自然界の空気中にも存在する。テロメライシンは、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖することでがん細胞を溶解させる強い抗腫瘍活性を示す。

テロメライシンがヒトのがん細胞に感染すると一日で 10 万~100 万倍に増え、がん細胞を破壊する。

正常な細胞の中ではテロメラーゼ活性が低くテロメライシン®の増殖能力が極めて低いため、臨床的な安全性を保つことが期待されている。

体の負担も少なく、これまで嘔吐・脱毛・造血器障害などの重篤な副作用は報告されていないことから、患者のQOL(Quality of Life)の向上が期待される。

テロメライシンは、放射線治療や化学療法剤との併用により、更に強力な抗腫瘍活性が導き出せることも明らかになっている。

テロメライシンは放射線によるがん細胞のDNA 損傷の修復を阻害し、放射線治療の感受性を格段に増強することができる。

さらに近年の研究により、ウイルス療法によって破壊されたがん細胞は、その特異的な抗原のシグナルを樹状細胞等の免疫細胞に直接伝えることにより、がん免疫を誘導できることが示唆されており、抗PD-1 抗体等の免疫チェックポイント阻害剤との併用により、全身的な抗がん作用が期待されている。

対象疾患は、食道がん、胃・胃食道接合部がん、肝臓がんなどの固形がんで、今回、食道がん用について承認申請を行ったが、胃がん、肝臓がんについても開発を進めている。

なお、特許については、日本のほか、下記の諸国で取得している。

米国、欧州(14カ国)、南ア、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリア、中国、香港、韓国、カナダ。

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岡山大学で開発されたテロメライシンの臨床試験は、2006 年から米国食品医薬品局(FDA)の承認のもと、米国での安全性を確認する第 I 相臨床試験から始まった。

その後、基礎研究でテロメライシンが放射線治療の効果を強める現象が明らかとなり、2013 年からは岡山大学で外科手術や抗がん剤治療などの標準治療ができない食道がん患者にテロメライシンと放射線治療を併用する臨床研究を実施した。

また 2017 年からは、岡山大学と国立がん研究センター東病院で同様のプロトコールでオンコリスバイオファーマが第 I 相企業治験を行い、2020 年からは岡山大学病院を含む食道がん治療のハイボリュームセンター(全国 17 施設)での多施設共同で第 II 相企業治験が実施さた。

テロメライシンは、2019 年に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による迅速審査が受けられる「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されており、今回、PMDA と検討を重ね第 II 相臨床試験での有効性が確認されたことから、2025 年12 月15 日、オンコリスバイオファーマから厚労省に標準治療が難しい食道がんに対する腫瘍溶解ウイルス製剤「テロメライシン」の医薬品製造販売承認申請が行われた。

テロメライシンは、2019 年に医薬品医療機器総合機構(PMDA)による迅速審査が受けられる「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されており、今後、PMDA による審査を受けた後、厚労省の薬事審議会の部会で審議され、原則通り申請後 6 ヶ月ほどで製造販売承認に至ることを見込んでいる。

テロメライシンの販売は、オンコリスバイオファーマと販売提携契約締結を結んでいる富士フイルム富山化学が行う予定。

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オンコリスバイオファーマは、2004年3月に腫瘍溶解ウイルスの研究開発及び分子標的抗腫瘍薬の研究開発を目的に設立された。東京証券取引所グロース市場に上場している。

ウイルス学に立脚した技術を駆使して、がんや重症感染症の治療法にイノベーションを起こし、世界の医療に貢献することを使命としている。

ウイルスの増殖能力を利用してがんを殺す「がんのウイルス療法」と、ウイルスの増殖を抑制して治療に貢献する「重症ウイルス感染症治療薬」を事業領域とし,ウイルスを軸にした『ウイルス創薬』を展開している。

特にがん領域では、「がんを切らずに治療する」というコンセプトに基づき、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)をはじめとする腫瘍溶解ウイルスの開発を行っている。さらに、がんの局所治療のみならず、全身へ転移したがんの治療を可能とするため、免疫チェックポイント阻害剤や他の治療法との併用に関する開発を推進している。

今後は、がんや重症感染症領域に留まらず、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)領域にも拡大し、難病治療に寄与することを目指す。

OBP-301の上市に伴い同社自身が製薬会社になることで、医薬品の開発トレンドや大手製薬会社の戦略に左右されるライセンス収入に依存したビジネスモデルから脱却し、「継続した医薬品の製品販売収入が得られる製薬会社型事業モデル」と「ライセンス先のイベント達成によりマイルストーン収入などを得るライセンス型事業モデル」のハイブリッドモデルへ変革させていく方針。

三井物産は近く豪州でLNGの新規生産を始める。

豪州南西部のWaitsia ガス田由来のLNGで、権益ベースで年70万トン程度の生産を見込む。

三井物産は2023年12月、三井物産100%子会社のAWE Pty Ltd を通じて50%権益を保有しオペレーターを務める西豪州Waitsiaガス田の本格的商業開発につき、事業パートナーのBeach Energy Limitedと共に、必要な政府許認可取得を前提とした最終投資決断を行った。

同社は2018年に、西豪州パースの北約350kmの陸上にあるWaitsiaガス田の権益を保有するAWE Pty Ltdを買収した。
同買収は、Waitsiaガス田をはじめとした豪州国内の優良原油・ガス資産のポートフォリオを拡充すること、及び豪州石油・ガス生産事業に於いてより活動領域を広めるためオペレーター機能を獲得することを目的としていた。

2018/2/9 三井物産、豪石油ガス大手買収

Waitsiaガス田は、豪州最大級の陸上天然ガス田でAWEとBeach Energyが50%ずつ権益を有する。

三井物産はAWE買収後に、三井物産が参画するNorth West Shelf JV の天然ガス液化設備を通じてLNG市場へのアクセスを確保したことから、商業化推進の判断に至った。

North West Shelf JVはBHP Billiton、Woodside Energy、BP、Chevron、Shell、Japan Australia LNG(通称 MIMI)の6社が均等出資し、Woodside が運営を担当する。

MIMI社概要

名称 Japan Australia LNG (MIMI) Pty., Ltd
設立年 1985年
資本構成 三井物産50%、三菱商事50%
事業概要 ガス・石油の探鉱、開発、生産、ガス液化、輸送及び販売
所在地 西オーストラリア州パース

2022年6月にBHP とWoodside が合併し、これが1/3を所有、他の4社が1/6ずつ所有する。

沖合生産プラットフォームでの石油(主に天然ガスとコンデンセート)の採掘、Karrathaガスプラントでの陸上処理、州内の産業用、商業用、家庭用の天然ガス生産、および液化天然ガスの輸出が含まれる。

 

Waitsiaプロジェクトは、世界で需要の増加が見込まれるLNGの安定供給に貢献するとともに、西豪州の製造業や消費者向けに国内ガスの供給を継続することを予定している。また、中期的にガスへの燃料転換を促進し、低炭素社会の実現に貢献する取り組みになる。

Waitsia のステージ2開発では、既存の日量20テラジュールの生産能力に加えて、日量250テラジュールの生産能力を新設する。具体的には、追加生産井の掘削と新規ガス処理施設の建設を予定しており、総投資額はプロジェクト100%ベースで7.68億豪ドル(約593億円)を予定している。

Waitsia JVはNWS JVとの間でガス処理契約を締結し、ガスを液化し輸出するために必要となる設備の利用権を確保している。

欧州委員会は12月5日、デジタルサービス法 (Degital Seevices Act : DSA) に基づく透明性義務に違反したとして、Elon Musk の SNSプラットフォーム「X」(旧Twitter)に対して1億2000万ユーロの罰金を科した。


EUの
デジタルサービス法は、SNSなどのオンラインプラットフォームに対し、違法・有害コンテンツ(偽情報、ヘイトスピーチなど)の削除、広告の透明性確保、利用者保護を義務付けるEU統一ルールで、2022年11月16日に発効、2024年2月に全面施行された。違反企業には巨額の制裁金(最大 年間売上高の6%)が科される。
  • 目的: オンライン環境での安全確保、偽情報対策、消費者の基本的人権保護、公正なデジタル空間の創出
     
  • 義務:
    • 違法コンテンツの迅速な削除・対応
    • 広告のターゲティング情報(誰が広告を出しているか)の開示
    • 「レコメンデーション(おすすめ表示)」の仕組みの透明化
    • 研究者によるデータアクセスへの協力
    • リスク評価と対策の実施(特に大規模プラットフォーム)

参考: 総務省 EU DSA法(Digital Services Act)の概観 (野村総合研究所作成)

 

2023年12月18日、委員会は、違法なコンテンツの拡散および情報操作に対抗するために講じられた措置の有効性に関連する分野において、Xがデジタルサービス法に違反した可能性があるかどうかを評価するための正式な手続を開始した。

Xは今回の調査で、EUで新しく施行されたデジタルサービス法(DSA)の違反の疑いがあるとして正式な調査を受ける初の主要なプラットフォームとなった。

違反行為には、1) 「ブルーチェックマーク」(青いバッジ)の誤解を招く設計、2) 広告リポジトリの透明性の欠如、および 3) 研究者が公開データへのアクセスを提供しなかったことが含まれる。

 

1) 「ブルーチェックマーク」の誤解を招く設計

Blue Checkmarkは、SNSが、そのアカウントが公式または本人であることを示す認証バッジで、アカウントの信頼性や本物であることを証明し、なりすましを防ぐ役割がある。

Xが「認証済みアカウント」にBlue Checkmarkを使用したことは、ユーザーを欺く。

これは、オンラインプラットフォームが提供するサービスにおける欺瞞的なデザイン慣行を禁止するというデジタルサービス法の義務に違反している。Xでは、アカウントの背後にいる人物を会社が有意義に確認することなく「検証済み」ステータスを取得するために誰でも支払いが可能であり、ユーザーがアカウントやコンテンツの真正性を判断するのは困難になる。この詐欺は、ユーザーを偽装詐欺を含む詐欺や、悪意のある行為者による他の形の操作にさらす。

デジタルサービス法はユーザー検証を義務付けていないが、そのような検証が行われなかった際に、オンラインプラットフォームがユーザーが認証済みであると虚偽に主張することを明確に禁止している。

Xでは2023年4月以降、従来の著名人向け認証は終了し、誰でも料金を払って(条件付きで)Blue Checkmarkを獲得できるようになった。著名人でなくても、誰でも条件を満たせば取得可能になった。

Elon Musk の買収以前のTwitterの従来のBlue Checkmark の主な特徴:
  • 信憑性の証明: なりすましやパロディアカウントと、著名人、ジャーナリスト、政治家、企業などの公式なアカウントを区別することを目的としていた。
  • 基準の厳格さ: バッジは、Twitter社が独自に設定した「著名で、活発で、信頼できる」という基準に基づいて、審査を経て付与されていた。誰でも申請できたが、必ず付与されるわけではなかった。
  • 無料: 現在のように月額料金を支払って取得するものではなく、基準を満たしたアカウントに無料で提供されていた。
  • ステータスシンボル: 所有が難しかったため、一種のステータスシンボルや社会的信用を示すマークとして認識されていた。
Elon Muskによる買収後、従来の認証プログラムは廃止され、Blue CheckmarkはX Premiumサブスクリプションの加入者に付与されるものに変更された。
必ずしもアカウントの著名さや公式な身元確認を意味するものではない。

即ち、現在のBlue Checkmarkは、対象のアカウントがX Premiumのアクティブなサブスクリプションを保有しており、所定の資格基準を満たしていることを意味する。

Xプレミアムには「ベーシック」、「プレミアム」、「プレミアムプラス」の3つのサブスクリプションレベルがあり、レベルが高くなるほど、より多くの機能を利用できる。

Xプレミアムは、以下の基準を満たしている必要がある。

  • 情報に不備がないこと: 対象のアカウントには表示名とプロフィール画像が設定されている必要がある。
  • アクティブに利用されていること: Xプレミアムにサブスクライブするには、対象のアカウントが過去30日間にわたってアクティブである必要がある。
  • セキュリティ: 認証対象のアカウントには、確認済みの電話番号が登録されている必要がある。
  • 欺瞞的行為に加担していないこと


 

2)Xの広告リポジトリ(広告キャンペーンで使用する画像・動画・テキスト・デザインテンプレートなどのデジタル資産を一元的に保存・管理するデータベースやシステム)の透明性の欠如

Xの広告リポジトリは、デジタルサービス法の透明性およびアクセシビリティ要件を満たしていない。利用可能で検索可能な広告リポジトリは、研究者や市民社会が詐欺、ハイブリッド脅威キャンペーン、連携した情報操作、および偽の広告を検出するために極めて重要で ある。

Xは設計機能やアクセス障壁を組み込んでおり、たとえば処理が遅延するなど、広告リポジトリの目的を損なう。
Xの広告リポジトリには、広告の内容や話題、およびその費用を支払っている法人などの重要な情報も欠けている。これにより、研究者や一般市民がオンライン広告における潜在的なリスクを独自に検証できなくなる。

3) 研究者が公開データへのアクセスを提供しなかったこと

Xは、研究者がプラットフォームの公開データにアクセスできるようにするというデジタルサービス法の義務を果たせていない。

たとえば、Xの利用規約では、対象となる研究者がスクレイピング(Webサイトからプログラムを使って必要な情報を自動的に収集・抽出・整形する技術)などを通じて自らの公開データに独立してアクセスすることを禁止してい る。
さらに、研究者が公開データにアクセスするためのXのプロセスは不要な障壁を課しており、EUにおけるいくつかのシステミックリスクに関する研究を事実上損なう要因となっている。


今回の罰金は、これらの侵害の性質、EU加盟国のユーザーへの影響に関する重大性、およびその期間を考慮して算出されたものである。

これはデジタルサービス法に基づく初めてのコンプライアンス違反の決定である。

Xは、Blue Checkmarkを不正に使用したことに起因する侵害を終結させるために講じる具体的な措置について、委員会に通知するための60営業日の猶予期間を現在設けてい る。

Xは、広告リポジトリおよび研究者の公開データへのアクセスに関する侵害に対処するために必要な措置を定めた行動計画を委員会に提出するための90営業日の猶予期間を有する。
デジタルサービス委員会は、Xの行動計画を受領してから1か月以内に意見を表明する。委員会は、最終的な決定を下し、適切な実施期間を設定するために、さらに1か月の猶予期間を設けなければならない。

コンプライアンス違反の決定に従わない場合、定期的な罰金の支払いにつながる可能性があ る。

 

Elom Muscは同日、EUが制裁金を科すことに反発した。Xの投稿で、EUが「Xだけでなく私個人にもばかげた罰金を科したことはさらに狂っている」と記した。

米政権の閣僚からも、EUのデジタル規制が米テック企業を標的にしているとして、批判が相次いだ。

 

これまでの代表的な罰金例

1. Meta (Facebook)

  • 金額: 2.5億ユーロ

  • 理由: 欧州のデータ保護規則であるGDPR(一般データ保護規則)違反で罰金を科せられた。
       これには、ユーザーのデータ処理に関する透明性の欠如や、ユーザーの同意を得ずにデータを収集する問題が含まれている。

2. Google

  • 金額: 約1.4億ユーロ

  • 理由: デジタル広告市場に関する反競争的行為。特に、広告サービスにおける不公正な慣行や、競争を制限する行為が問題視された。

3. Amazon

  • 金額: 1.0億ユーロ

  • 理由: EUのデータ保護法(GDPR)に違反して、消費者データの取り扱いについて透明性が不足していたとして罰金を科せらた。

4. Apple

  • 金額: 約1.7億ユーロ

  • 理由: EUの反トラスト規制に違反して、iPhoneのApp Storeにおける独占的な手法を用いているとして、罰金を科せられた。具体的には、開発者に対して不当な手数料を取っているとされた。

5. TikTok

  • 金額: 約2億ユーロ

  • 理由: EUにおける子どものオンライン保護に関連する規制に違反。特に、子どもたちの個人情報の取り扱いや広告の規制に関する違反が指摘された。

6. Twitter

  • 金額: 約4500万ユーロ

  • 理由: Twitter(現「X」)も過去にGDPR違反で罰金を受けた。具体的には、ユーザーデータの保護に関する透明性や安全対策の不十分さが問題視された。

 

 

 

 

大塚製薬と米国子会社のOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.は11月25日、同社のVOYXACT®(一般名:シベプレンリマブ)が、"進行リスクのある成人のIgA腎症におけるタンパク尿の減少"の効能で、米国FDAより迅速承認を取得したと発表した。

本剤は処方薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act)による優先審査が認められていた。(製薬企業が新薬の承認審査を受ける際に、FDAに手数料を支払うことを義務付けた法律で、この法律により、FDAは審査費用を賄い、審査体制を強化することで、新薬の承認審査を迅速化する。)

IgA腎症は、進行性の自己免疫性慢性腎臓病であり、20~40歳の成人に発症する場合が多い。現在の標準治療では多くの患者が生涯のうちに末期腎不全に至る可能性がある。

タンパク尿の減少腎機能悪化遅延と相関する代替マーカーであり、本剤の臨床試験において迅速承認を支持する主要なエンドポイントとして用いられた。

VOYXACTは、フェーズ3試験の中間解析において、投与9ヵ月後時点で、タンパク尿改善の指標であるuPCR(尿蛋白/クレアチニン比)をプラセボ群と比較して、51.2%有意に減少させた。安全性はプラセボと同等であり、良好な忍容性が確認されている。

長期的に腎機能の低下を抑制するかどうかは、まだ確立されていない。

VOYXACTは自己投与が可能な皮下投与のプレフィルドシリンジ製剤で、患者が4週間ごとに在宅投与できる利便性がある。

VOYXACT(シベプレンリマブ)は、大塚製薬の子会社であるVisterra Inc.が創製し、IgA 腎症の発症機序に関与しているAPRIL(A-Proliferation-Inducing Ligand:増殖誘導リガンド )に選択的に結合することでその活性を阻害するモノクローナル抗体である。
シベプレンリマブは、APRILを阻害することで、IgA腎症における腎障害の進行や末期腎不全への進行を遅らせることが期待される。

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Otsuka Americaは2018年7月に現金430百万米ドルでVisterra Inc.を買収した。

元の株主のTOP5 は下記の通りで、Bill and Melinda Gates Foundationや、シンガポール政府の投資会社Temasek が含まれている。

Polaris Partners 17.2%
Flagship Pioneering 15.3%
Bill and Melinda Gates Foundation 10.6%
Merck Research Lab Venture Fund 10.2%
Temasek Holdings 10.2%

Visterraは、タンパク質の機能に必須と考えられる部分の立体構造をコンピューター上で推定し、同じくコンピューター上で推定した無数の抗体の部分構造と結合シミュレーションを行い、最適な抗体構造を発見し、抗体医薬を設計する独自の抗体プラットフォーム技術(Hierotope platform)を有している。


これにより、従来難しいと考えられていた多くの生体物質に対する抗体医薬品を開発できる可能性がある。


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