英国の石油化学大手 INEOSは6月22日、米国でCameron LNG とPort Arthur LNGを運営するSempra Infrastructureとの間で向こう20年にわたり年間140万トンのLNGの供給を受ける契約を締結した。

INEOSはこれにより、初めて国際LNG市場に進出する。INEOS Energy Trading が国際市場で販売するか、欧州でのグループの需要に当てる。

LNGはCameron LNG Phase 2 project か、Port Arthur LNG Phase 1 project から供給を受ける。

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Cameron LNG :

株主構成 Sempra Energy 50.2%、Japan LNG Investment (三菱商事/日本郵船=70:30)16.6%、三井物産 16.6%、
     TotalEnergies 16.6%
所在地  ルイジアナ州
能力   年間400万トン x 3 (Japan LNG Investmen、三井物産、TotalEnergiesが各400万トン)


Sempra Infrastructureは2022年4月、株主3社とheads of agreementを結んだ。

既存の3系列(各400万トン)のデボトルネッキングによる能力増に加え、第4系列
Cameron LNG Phase 2 (675万トン)を建設する。

第4系列の製品の50.2%と、既存系列のデボトルネッキングによる増産分の25%をSempraに割り当てる。増加分の残りは既存3社が配分する。

INEOSには第4系列のSempra枠から供給する。

2022/5/26 三菱商事と三井物産等、米国キャメロンLNGプラント近接地でCCS事業化検討、LNG増設も 

Port Arthur LNG:

Sempra LNG はテキサス州Jefferson CountyでPort Arthur LNG export project の開発中である。第1期、第2期とも年間1350万トン。(下記発表時点では1100万トンであった。)

Saudi Aramco とSempra Energyは2020年1月6日、Aramco Services Company が Sempra LNG のPort Arthur LNG export projectに参加する Interim Project Participation Agreement に調印したと発表した。

AramcoがPort Arthur LNG の第1期分のうち500万トンのLNGを20年間引き取るとともに、第1期計画に25%出資する。今後、最終確定し、正式契約を結ぶ。

2020/1/14 Saudi Aramco、米国でPort Arthur LNG計画に参加

現在のところ、Cameron LNGの第4系列と、Port Arthur LNGは計画段階であり、今回の契約も非拘束のものである。

大阪ガスは6月17日、豪州最大手の総合エネルギー事業者であるAGL Energy Limitedと、豪州南オーストラリア州およびニューサウスウェールズ州におけるグリーン水素ハブ構想の実現可能性調査に参画するための基本合意書を締結したと発表した。

4月に発表したDesert Bloom (Green) Hydrogen 構想(後記)に続くものである。

AGL Energyは、豪州で電気とガスの製造や小売事業を展開している総合エネルギー事業者で、太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーの発電設備も多く保有しており、火力も含めた発電設備の保有電源量は1,100万kWになる。

本事業は、AGL Energyが南オーストラリア州のTorrens IslandとNew South Wales州のHunter Valleyに保有している既存発電設備の敷地内で、再生可能エネルギーを用いて水を電気分解することでグリーン水素を製造 するもの。

それぞれ同州内の事業者に供給するとともに、海外への輸出も目指している。また、グリーン水素を活用して、メタネーションにより製造される合成メタンおよびグリーンアンモニア製造についても検討を行う予定 。

Torrens Island計画には他に、INPEX(旧称 国際石油開発帝石)、Adbri(豪セメント等のメーカー)、Brickworks(豪建材メーカー)、Flinders Ports(豪州の7つの港を管理)、SK ecoplant(SK建設)、Spark Renewables(Spark Infrastructure Group)が参画する。

Hunter Valley計画では、AGL Energyが再生可能エネルギー、Fortescue Future Industries(Fortescue Metalsの子会社)が水素製造を中心に、共同でグリーン水素ハブ構想の検討を進めている。

製造設備や供給設備などの建設に向けた検討、需要調査および経済性評価などをパートナーと共同で進め、2022年末の完了を目指 す。

大阪ガスは4月12日、オーストラリアの水素関連企業であるAQUA AEREM Pty Ltd と、オーストラリア北部準州におけるDesert Bloom (Green) Hydrogenプロジェクトに関する共同開発契約を締結した。

本プロジェクトは、大気中から回収した水太陽光由来の電気を原料として、グリーン水素を製造し、オーストラリア国内の発電所への供給や国外への輸出を目指 すもの。

オーストラリア北部準州は日射量が非常に多く太陽光の活用に適している一方で、乾燥地帯であり水資源に乏しい地域だが、豊富な太陽光資源を活用しつつ、AQUA AEREMの独自技術により大気中から水を回収することで、グリーン水素の製造が可能とな る。

送電網と接続されていない電気を用いて水素を製造する取り組みは非常に先進的で、オーストラリアで最も期待されている水素開発プロジェクトの一つ。長期的には、複数の水素製造プラントを建設し、合計で年間約40万トンの水素を製造することを目指 す。

現在、AQUA AEREMは同社の筆頭株主であるSanguine ImpactInvestmentとともに大気中から水を回収する「水生産ユニット」の実証試験を進めて いる。
今後は大阪ガスと共同で、まずは2023年中の年間約400トンの水素を製造するプラントの建設を目指して、プラントの設計や製造した水素の供給先に関する検討などを進める。

大阪ガスは、ガス製造事業や水素関連事業で培ったノウハウを活かして、プラントの基本設計(FEED)、建設に関する技術支援を行 う。

米連邦議会上院の超党派の議員グループは6月21日、銃規制を強化する法案を議会に提出した。

新法案は、21歳未満の銃購入希望者に対する身元確認を強化するほか、精神医療や学校警備の強化策に連邦予算150億ドルをあてる。
裁判官が危険とみなした人から銃を押収する緊急措置を導入している州を支援する資金提供なども盛り込まれている。
加えて、ドメスティックバイオレンス(DV)加害者による銃購入も規制を強める。「ボーイフレンド抜け穴」と呼ばれる法の抜け穴をふさぐ。

米国で銃規制法案が成立するのは28年ぶり。全米で相次ぐ銃乱射事件を受け、規制に慎重だった野党・共和党からも賛成が出た。共和党からも賛同者が出た背景には、5月にニューヨーク州バッファローのスーパーや、テキサス州ユヴァルディの小学校で相次いだ乱射事件がある。特に小学校の乱射事件では、多くの児童が犠牲になった。

まず上院が6月23日に賛成多数で可決した。共和党からミッチ・マコネル院内総務ら 15議員が賛成にまわり、賛成が議決に必要な60票を超えた。

共和党 民主党 民主系 合計
無所属
賛成 15  48  2 65
反対   33 33
棄権 2 2
合計 50 48 2 100



下院は翌24日、234対193で可決した。共和党から14議員が賛成に回った。

共和党 民主党 合計 欠員
賛成 14 220 234
反対 193 193
棄権 3 3
合計 210 220 430 5


バイデン大統領が6月25日に署名し、成立した。


他方、米連邦最高裁は6月23日、外から見えない形で拳銃を携帯するのに「適切な理由」を示して州当局から許可を受けることを義務づけた東部ニューヨーク州の州法が違憲だとの判断を示した。

銃規制強化を求める世論が強まっているが、公権力による規制よりも個人の権利を重んじる保守派判事6人の多数意見で、100年以上前に制定された州法が違憲だと判断された。 間もなく退任するBreyer判事を含めた3人のリベラル派判事は反対した。

銃規制の基準は州によって異なるが、ハワイや東部マサチューセッツなど5州と首都ワシントンはニューヨーク州と同様の規制をしている。
最高裁判決は、学校や裁判所、行政庁舎などへの銃持ち込みは制限可能だとした上で、ニューヨーク州法の規制が過剰だとの見解を示した。

その上で「銃を携帯する権利は、憲法修正第2条で保障されている。政府当局者に『適切な理由』を示せなければ、憲法上の権利を行使できないなどという例は(銃所持以外)他にない。法律を順守している市民が自衛のために銃を携帯することを妨げており、(州が適正な手続きなしに自由や財産を奪うことを禁じた)憲法修正第14条にも違反している」と指摘、州法は「合憲だ」とした控訴審判決を破棄し、下級審に審理を差し戻した。

欧州連合(EU)は6月23日開いた首脳会議で、ウクライナとモルドバに加盟候補国の地位を付与することを承認した。全27加盟国が同意し、認定に必要な全会一致で決まった。

EU加盟に向けて具体的な交渉に入ることになる。 


2月24日のロシアの侵攻を受けたウクライナおよび、同国周辺のジョージアとモルドバが3月3日、相次いでEUへの加盟を申請する文書に署名した。

欧州委員会は6月17日、ウクライナのEU加盟に関する意見書を発表し、ウクライナに対する加盟候補国の認定をEU理事会(閣僚理事会)に勧告した。

欧州委はまた、ウクライナと同様に、3月にEU加盟申請を行ったモルドバとジョージアに関する意見書を発表した。
モルドバに対しては、加盟候補国の地位付与を勧告、
ジョージアに対しては、加盟の方向性を認めるものの、今後取り組むべき優先事項が実施されるまでは、加盟候補国の認定を保留すべきとした。

今回、ウクライナとモルドバが正式に加盟候補国となった。ジョージアについては、欧州委が提示した条件を満たせば候補国にする方針を示した。

ウクライナとモルドバ両国は加盟実現に向けた長い手続きの「第一歩」を踏み出したことになる。司法・行政・経済など分野ごとの加盟交渉に向けて動き出すが、国内法の改正などが必要で、実際に加盟するまでには通常10年程度かかる。

ウクライナの場合、腐敗が問題で、オリガルヒ(政商)が政財界の癒着を広げ、賄賂の横行や政治家による司法への圧力が問題。
国営企業の民営化、独占企業の解体などの市場改革も必要。
ウクライナの一人当たりGDPはEU平均の1/10以下で、今回の戦争の影響も大きい。加入の場合、EU予算の圧迫も懸念される。


2022年3月現在、アルバニア、北マケドニア、モンテネグロ、セルビア、トルコの5カ国が加盟候補国で、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボの2カ国が潜在的加盟候補国となっている。

ブルガリアやルーマニア(2007年1月)、クロアチア(2013年7月)といった直近の加盟国は、一連の手続きに10~12年を費やした。

アルバニアと北マケドニア、モンテネグロ、セルビアは正式な加盟候補国となって数年がたっているが、手続きは滞っている。トルコも1999年に加盟候補国となったものの、人権侵害への懸念があることから、加盟交渉は中断したままである。

NATO & EU 加盟国一覧

韓国が独自開発した国産ロケット「ヌリ」(KSLV-Ⅱ:Korea Space Launch Vehicle-2)が6月21日、南部の全羅南道・高興の羅老宇宙センターから打ち上げられ、人工衛星を高度700kmまで運び、宇宙空間の目標軌道に乗せることに初めて成功した。

「ヌリ」は韓国の古い言葉で「世の中」や「世界」を意味する。全長約47m、重量200tの3段式液体燃料ロケットで、午後4時に打ち上げられ、性能検証衛星(162.5kg)とダミー衛星(1.3トン)の分離に成功した。

重量1トン以上の実用衛星を自力で打ち上げた世界7番目の国となった。(日本、米国、ロシア、フランス、中国、インドに次ぐ。)

ヌリは韓国航空宇宙研究院が韓国独自の技術で設計・開発した。衛星を打ち上げた75トン級と7トン級の液体燃料エンジンから 、衛星を保護するフェアリングまで国内で開発した。とりわけ、大型・小型のロケット開発に活用できる75トン級エンジンの性能を立証し、今後の宇宙開発の土台をつくった。


韓国は1990年代から科学ロケット開発に本格的に取り組んできた。
2003年に初の液体推進科学ロケット「KSR3」を打ち上げた。

韓国航空宇宙研究院がロシアのクルニチェフ国家研究生産宇宙センターと共同で100キロ級の小型衛星を搭載するロケット「羅老(ナロ)」を開発し、2009年から2013年まで計3回打ち上げた。1回目と2回目の打ち上げには失敗したが、3回目で成功した。


2009年の1回目に続き、2012年11月にも打ち上げを試みたが、電気信号の異常が見つかったため直前になって中止した。

2013年1月30日にSTSAT-2C(羅老科学衛星)を搭載した羅老3号機を打ち上げ、衛星の軌道投入に成功した。

「ヌリ」は当初、ロシアから羅老の第1段ロケットエンジンの技術移転を受ける予定であったが、破談となり、国産化を目指した。

苦心の末、2021年10月21日に国産ロケット「ヌリ」が打ち上げられた。1段目とフェアリング、2段目の分離が正常に行われたが、3段目のエンジンの燃焼が予定より早く終わり、ダミー衛星を目標軌道に投入する目標は達成できなかった。

今回、衛星の軌道投入に成功した。

韓国政府は2027年までにあと4回打ち上げを実施し、ヌリ号の技術的信頼度と安全性を高めていく。3回目の打ち上げは来年上半期に予定されている。

JSRはライフサイエンス事業を石化事業、ファイン事業に次ぐ第三の柱と位置付け、医薬品開発プロセスの革新に貢献することで価値を提供し、同事業を拡大していくことを目指している。

石化事業は柱であったエラストマーを売却し、ABS等の合成樹脂だけが残る。

2021/5/13 JSR、合成ゴム事業をENEOSに売却、韓国の合成ゴムJVも相手先に売却

JSR の ライフサイエンス事業のグループ企業である医学生物学研究所と Crown Bioscience は5 月12 日、日本国内で前臨床向けサービスを更に拡大するため、ジョイントベンチャーCrown Bioscience & MBL を設立した と発表した。医学生物学研究所は現在、Crown Bioscience の代理店としてサービスの販売を行っている。

Crown Bioscience オンコロジー、がん免疫、免疫媒介炎症性疾患(IMID) 分野における前臨床とトランスレーショナル研究の世界的な CRO 企業である。2006 年に創業され、Cayman Islandsに登記上の本社を持ち、米国、欧州、アジアにおいて 10 カ所の事業所を有している。JSRが2021年5月に買収した。

トランスレーショナル研究は、アカデミアで研究者らが基礎研究を重ねて見つけ出した新しい医療の種(シーズ)を、実際の医療機関等で使える新しい医療技術・医薬品として実用化することを目的に行う非臨床から臨床開発までの幅広い研究を指す。

世界でがん、炎症性疾患、心血管疾患及び代謝性疾患領域に対して、医薬品の基礎研究成果を臨床研究や実用化にまで高める創薬探索開発受託サービスを提供する。 腫瘍オルガノイド(tumor Organoid )を用いたサービスや、世界最大の商業向け PDX コレクション(患者腫瘍移植モデルPatient-derived xenografts)を有している。 (詳細後記)

医学生物学研究所臨床検査薬、創薬支援、研究用試薬を扱う。JSRは2013年よりJSRの抗体・抗原・遺伝子関連技術および試薬開発技術と医学生物学研究所の保有する技術を統合し、医療分野での協業を進めてきたが、2021年3月 に全発行済株式の取得を完了した。

両社は㈱Crown Bioscience & MBL を設立し、初期段階において、製薬企業に対し前臨床およびトランスレーショナル研究(橋渡し研究)関連サービスを提供する。

医学生物学研究所の国内製薬市場における深い知識と経験と、Crown Bioscience が提供する世界的規模の前臨床とトランスレーショナル研究サービスを掛け合わせることにより、シナジー効果を生み出す。
JVは
2022 年9 月のサービス開始を目指す。

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Crown Bioscience は、世界でがん、炎症性疾患、心血管疾患及び代謝性疾患領域に対して、医薬品の基礎研究成果を臨床研究や実用化にまで高める創薬探索開発受託サービスを提供する。

腫瘍オルガノイド(tumor Organoid )を用いたサービスや、世界最大の商業向け PDX コレクション(患者腫瘍移植モデルPatient-derived xenografts)を有している。

腫瘍オルガノイド(tumor Organoid )はがん組織由来 の培養細胞500以上の腫瘍サンプルを有する優位性を発揮してがん薬効試験などの需要を取り込む。

ソース:福島医薬品関連産業支援拠点化事業

PDX コレクション(患者腫瘍移植モデル )は、免疫不全マウスに患者の腫瘍組織をそのまま移植する手法。

従来より抗がん薬の有効性を評価する手段として、患者の腫瘍組織を細分化しシャーレで培養する細胞株が用いられてきた。細胞株をマウスへ移植して腫瘍を作成するのが細胞株移植モデル(CDXモデル)だが、これで有効でも実際にがん患者で有効性を示す抗がん薬の割合は低い。

PDXモデルでは、作成された腫瘍の組織構造が患者の腫瘍の組織構造と近似しており、腫瘍の不均一性が保たれ、さらに遺伝子異常が維持されるという特性があり、より患者での有効性を予測できるモデルとして注目されている。

Crown Bioscience は2020年4月、ワシントン大学のCoMotionとダナ・ファーバー癌研究所との合意により、必要性が高いが作成が困難な前立腺癌モデルとリンパ腫モデルの提供が可能となったと発表した。

ワシントン大学のCoMotionとのライセンス契約により、入手可能な前立腺癌PDXモデル数が大幅に拡大し、CrownBioの確立された前立腺癌PDXコレクションを補強する。

ダナ・ファーバー癌研究所との協業により、T/NK、マントル細胞、濾胞性リンパ腫、難治性または再発患者のDLBCL等の様々なリンパ腫がCrownBioのポートフォリオに加わる。

CrownBioでこれらの新しいモデルのバイオバンク化とデータ集積をまず確立した後、薬効評価、マウス臨床試験、CAR-T細胞療法評価、ヒト化、及びオルガノイド開発を含む腫瘍学及び免疫腫瘍学研究に利用可能となる。

BHPグループは6月16日、オーストラリア東部に保有する発電用石炭(一般炭)のMt Arthur炭鉱を運営するNew South Wales Energy Coal の売却を中止すると発表した。

脱炭素の機運を背景に、発電時にCO2を多く排出する一般炭からの撤退に向けて売却交渉を進めてきたが「利益の出る提案が無かった」ため、操業継続を決めた。

操業認可は2026年までだが、当局と交渉し2030年までの延長を目指す。


BHPグループは2021年8月17日、石油・ガス事業から撤退、事業を豪 Woodside Petroleumに売却すると発表した。
世界的な「脱炭素化」の流れをにらみ、本業である鉱業に経営資源を集中させる。 化石燃料から脱却し、「未来に目を向けた」商品へのシフトを目指す。

2021/8/19 BHPが石油・ガス事業から脱却

石炭については、2020年8月に低グレードの冶金・発電用石炭からの撤退方針を決め、2022年1月には Cerrejónを、5月にはBHP Mitsui Coal 持分の売却を行った。

BHPは世界最大の露天掘り炭鉱のCerrejón$US294 millionに売却する。

同時にAnglo Americanも33.3%の持分をGlencoreに売却、GlencoreはCerrejón炭鉱の100%株主となる。

売却は2022年1月11日に完了した。


BHPは2021年11月、
三井物産との原料炭JVのBMC(BHP Billiton Mitsui Coal)の権益80%を 豪Stanmore Resourcesに12億ドル (今後の石炭価格動向により最大1.5億ドルの追加の可能性)で売却することで合意した。Stanmore ResourcesはシンガポールのGolden Energy and Resources が過半数権益を保有する。2022年5月に売却が完了した。

BMCはクイーンズランド州に操業中の2鉱山(Poitrel and South Walker Creek)を所有し、年間約1000万トンの石炭を生産している。主力炭鉱の1つであるPoitrel 炭鉱では、石炭処理・鉄道施設に関して豪の石炭生産企業 Peabody Pacificと提携している。

三井物産はBMCの20%の権益を維持する。

2011/11/10 BHP、豪州の石炭プロジェクトの一つを売却


BHPは三菱商事との50/50JVのBMA(
BHP Billiton Mitsubishi Alliance) を持つが、世界の鉄鋼メーカーが求め高品位炭のため今後も保有する。

欧州委員会は2022年2月2日、持続可能な経済活動を分類するEUタクソノミーにおいて、天然ガスと原子力による発電を一定の条件下で「カーボンニュートラルへの移行期に必要な経済活動」に含めると発表した。一部加盟国や環境団体などが異論を唱える中、脱炭素社会実現へ「使える手段は全て活用する必要がある」との判断で押し切った。(詳細下記)

欧州議会欧州理事会は7月11日までに欧州委員会の提案に拒否権を発動するかどうかを決定する。

EUでは、法案提出権は特別の場合を除いて、欧州委員会が独占している。

欧州議会もEU理事会も、欧州委員会に法案提出を要請することはできるが、提出するか否かは欧州委員会の裁量。

欧州委員会の提案後、欧州議会の諮問を経て、EU理事会が法案を採択する。

異議申し立てには、欧州議会では単純多数決、欧州理事会では特定多数決(加盟国の72%以上=20か国以上、人口の65%以上)が必要である。

ドイツ政府は5月16日、原子力発電を持続可能な投資対象に含めたEUの「タクソノミー」に関する規則に反対する考えを示した。天然ガスを含めることは支持している。
フランスや東欧諸国は原子力に賛成する。

欧州議会の経済金融委員会と環境・公衆衛生・食品安全委員会の合同会議は6月14日、EU気候変動タクソノミーに原子力発電とガスエネルギーを加えるEUタクソノミー委託法令に対し、異議を唱える決議案を採択した。票数は異議76、異議なし62、棄権4だった。

決議案は天然ガスと原子力について、EUの法律に基づくと持続可能なエネルギーとはみなせず、「グリーン」に区分することは投資家を混乱させるとしている。

同決議案は7月上旬に本会議で採決にかけられる。議員の過半数が支持すれば、EUの提案は否決される。 修正か、撤退となる。

本会議で決議案が否決された場合(欧州委員会案が承認された場合)、欧州理事会での採択となる。

成立する場合は、2023年1月から実施に移される。ただ、グリーンウォッシュ(見せ掛けの環境保護)として原発の盛り込みに反対しているオーストリア とルクセンブルグは既に、その場合に欧州司法裁判所に欧州委を提訴するとしている。

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欧州委員会は2022年1月1日、原子力発電と天然ガスを地球温暖化対策に役立つエネルギー源と位置づける方針を発表した。

原子力発電と天然ガスについて、「再生可能エネルギーを基盤とする将来に向け、移行を促す手段」と位置付けた。

EUは、発電、交通、建築など様々な経済活動ごとに、持続可能で環境に配慮しているかどうかを仕分けするルール「EU Taxonomy(分類)」を設けている。

欧州委員会は、「電力、ガス、上記、空調の供給」に原発や天然ガスの項目を新たに追加し、持続可能かなどについての評価基準を示す。

加盟国の専門家との協議を開始した。

原案は以下の通り。

 原子力は生物多様性や水資源など環境に重大な害を及ぼさないのを条件に、2045年までに建設許可が出された発電所を持続可能と分類する。

 天然ガスは①1キロワット時あたりのCO2排出量が270グラム未満、②CO2排出の多い石炭の代替とする、③30年までに建設許可を得る――などを条件とする。

ただ、2022年末の脱原発をめざすドイツのほか、オーストリア、ポルトガルなど計5カ国は2021年11月、環境担当などの閣僚が連名で、「タクソノミーの信頼を損なう」として原発の組み入れに反対する共同声明を発表した。
一方で、原発が発電量の約7割を占めるフランスのほか、今は原発がないポーランドなど計10カ国はタクソノミーに原発を加えるよう求める姿勢を鮮明にした。 

2022/1/3 欧州委、原子力発電と天然ガスを地球温暖化対策に貢献するエネルギーと位置づけ 

ロシア国営 Gazprom は6月14日、天然ガスパイプラインNordstream 1 の供給量を40%減らすと発表、翌15日、さらに33%削減すると発表した。(合計60%カット)

従来の日量最大1億6700万立方メートル であったが、16日午前1時半をもって供給量は最大6700万立方メートルになる

「エンジンの技術的な状態」のためガスタービンの運転を停止すると説明するが、ドイツのウクライナ支援への報復とか、価格を更に引き上げるためとかの理由が噂されている。

2022/6/17 Gazprom、ドイツ向けの天然ガス供給を削減

ドイツはロシアの天然ガスに大きく依存している。侵攻前、ドイツはガスの55%をロシアからの輸入に頼っていた。

来冬の需要に備え、天然ガスの貯蔵が必要だが、現時点ではドイツのガス貯蔵量は最大能力の5~6割程度にとどまっている。

ドイツのハベック経済・気候相は6月19日、ロシアからの天然ガス供給が大幅に減る事態に備え、 発電に利用するガスの消費量を減らし、石炭火力発電の稼働を拡大させる法整備を進めると発表した。

ガス節約を促すため、消費量を減らした企業ほど有利になる新たな仕組み「ガスオークション」の導入も計画する。

「(冬までに)できるだけ多くのガスを蓄えることが必要だ」とし、2030年までに火力発電の全廃を目指す取り組みと逆行することについて、「つらいことだが、ガス消費量を減らすためには必要なことだ」と理解を求めた。

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ドイツの発電のエネルギーソース内訳は下図の通りで、再生可能エネルギーが40.9%を占め、石炭・褐炭が27.9%、原子力が11.8%、天然ガスが15.3%を占める。

 ソース:https://www.de-info.net/kiso/atomdata01.html

 

ドイツは2021年に、温室効果ガスを2030年までに1990年比で65%削減することを決めている。

2030年に国内総電力の80%を再生エネルギーにし、石炭火力については2030年までに段階的廃止する。原発については2022年中に全廃する。

 ドイツ新政権の連立協定

自然エネルギー
・ 2030年に、年間総電力需要680〜750TWhのうち80%を自然エネルギーで供給する。
・ 国土の2%を陸上風力発電に利用する。
・ 洋上風力発電の容量を大幅に拡大し、少なくとも2030年に30GW、2035年に40GW、2045年に70GWを目指す。
・ 2030年までに、太陽光発電容量をおよそ200GWまで拡大させる。
・ 新築事業用建築物への太陽光発電設備の設置義務化、新築住宅への設置も原則とする。
・ 2025年1月1日までに新しく設置される全ての暖房システムは、自然エネルギーによる運用比率65%を目指す。
・ 社会的公平性のため、2023年1月には電気料金を介した再エネ賦課金を廃止する。

石炭
・ 理想的には2030年に脱石炭完了を前倒す。
・ 脱石炭にむけた過渡期には、自然エネルギーの大規模な拡大と最新型ガス火力発電所の建設が必要である(H2-ready)。
・ 脱石炭の影響を被る地域に対する石炭地域構造強化法の施策を前倒し・加速し、調整手当などの労働政策上の措置も調整
・ 石炭火力発電の解体と土地の復旧のための財団・組織の設立を検討する。

原発
・ ドイツの脱原発を固持する。

気候変動対策
・ ドイツを「1.5度」の軌道へと導くことを主要課題とする。
・ 遅くとも2045年までに気候中立を達成する。
・ 2022年に連邦気候保護法を再度改正し、同年末までに必要な法整備をして新たな気候保護緊急プログラムを導入する。
・ 連邦経済・気候保護省を新設し、緑の党から連邦経済・気候保護大臣を設ける。
・ 気候チェック(Klimacheck)を行い、各省庁が起草する法案について気候への影響や国の気候保護目標との整合性を検証

その他
・ 2030年に、少なくとも1,500万台の電気乗用車(EV)を普及させる。
・ 水素経済・インフラの整備を加速化し、2030年に10GW程度の電解容量を実現する。

残るのは天然ガスであるが、今回、これが60%削減されることになり、やむを得ず、石炭火力を増やす。

なお、ロシアへのガス依存を減らすために原発稼働延長案が出たが、政府は3月8日、これを却下した。年内に残る3原発が廃止される。

2020/7議会 2021年 2021/12/31 2022年中
温室効果ガス 2030年までに1990年比 65%削減
2045年までにネットゼロ
(2021/6 連邦気候保護法 改正)
国内総電力 2030年に80%を再生可能エネルギー
(2021/11 連立政権)
石炭火力 2038年までに全廃「脱石炭法」 前倒し 、2030年までに段階的廃止
(2021/11 連立政権)
原子力発電 脱原発 維持
(2021/11 連立政権)
3基停止
 Brokdorf
 Grohnde
 Gundremmingen
残り3基停止(ゼロに)
 Emsland
 Isar
 Neckarwestheim

Bayerは2021年8月16日、同社の子会社Monsantoのグリホサート系除草剤「ラウンドアップ」が原因でがんになったと訴えた顧客への損害賠償を支持した米控訴裁判決(Edwin Hardeman訴訟)を不服として、米最高裁に上訴した。

米最高裁は6月13日、上訴案件のうち審議する対象案件を発表したが、本件は含まれていなかった。却下された。


これまでに多くの訴訟があり、かなりの部分が和解しているが、裁判で同社が敗訴になったのは下記の3件である。

原告   陪審員 裁判官判断
1 校庭の管理人   カリフォルニア 2018/8/10 Superior Court 2018/10/23
損害賠償 39百万ドル 39百万ドル
懲罰的損害賠償 250百万ドル 39百万ドル
2 Edwin Hardeman   カリフォルニア 2019/3/27 地裁 2019/7/16
損害賠償 527万ドル 527万ドル
懲罰的損害賠償 75百万ドル 20百万ドル
被害に対して15倍もというのは違憲
3 Pilliod 夫妻   カリフォルニア 2019/5/13 Superior Court 2019/7/25
損害賠償 55百万ドル 17 百万ドル
懲罰的賠償 20億ドル 69百万ドル 
陪審の懲罰的賠償は過大で憲法違反


2019/7/27 モンサントの除草剤 Roundup による発癌被害裁判、裁判官が陪審の懲罰的賠償を大幅減額 


Bayerが上訴したのは、このうちの
Edwin Hardemanの件である。
除草剤ラウンドアップの発癌性について、連邦法(FIFRA=Federal Insecticide, Fungicide, and Rodenticide Act )とカリフォルニア州法で意見が異なることから生じたもので、最高裁の判断を求めた。

(連邦法)米国で農薬承認を行うEPAは発癌性はないとしている。このため、ラベル(使用法等を記載)には「発癌性の危険」の表示はなく、仮に表示すれば違法となる。

(州法)カリフォルニア州はラウンドアップを発癌性製品のリストに含めており、その場合、「発癌性の危険」が表示されていないのは違法となる。

原告側弁護士は、連邦法ではなく、州法を基に訴訟を起こした。陪審員は、除草剤Roundupのラベルには発癌の危険が示されていないため違法であるとして有罪とし、一審の裁判官も、控訴裁の裁判官もこれを認めた。

米EPAと司法省は2019年12月20日、Friend of the court brief (=amicus curiae:個別事件の法律問題で第三者が裁判所に提出する情報または意見)を提出した。

このなかでEPAは、EPAはRoundupのラベルを調べ承認したこと、Roundupには発癌性はなく、このため、発癌性の危険を表示する必要性はないとした。判決は覆すべきであるとしている。

EPAは発癌性を認めず、製品ラベルには当然、発癌性の危険は表示されていない。しかし、カリフォルニア州は発癌性製品のリストに含めており、発癌性の危険が表示されていないのは違法となる。

EPAと司法省は、ラベルは法律で認めたもので、それと異なるやり方での使用は法律違反であるとし、州は農薬の販売や使用を制限することは出来るが、国が承認したラベルと異なるもの、追加したものを求めることは出来ないとしている。

2019/12/26 米EPAと司法省、除草剤Roundupの発癌被害裁判でBayer側支持の意見書 

最高裁は2021年12月13日、政権に対し、最高裁が本件を取り上げるべきかどうかについての意見を求めた。

2021/8/21 Bayer、除草剤ラウンドアップ訴訟で最高裁に上告

これに対し政権は2022年5月10日、Bayerによる上告を拒否するよう求めた。

訟務長官は、「FIFRAでのEPAラベル承認」が州法が求める「警告がなかった」ということに優先するというBayerの主張を拒否するよう求めた。「EPAが特定の疾病リスクを警告しないラベルを承認したこと自体は、州法がそのような警告をすることを求めることに優先するものではない」とした。

これまでのEPA、司法省の主張(トランプ大統領時代のもの)と真逆である。

EPAが発癌性を認めていないことは発癌性がないことを示している訳ではなく、「発癌性のおそれ」をラベルに書くことが違法であるというのは、無理があり、この回答は妥当である。

2022/5/13 バイデン政権、Bayerによる除草剤ラウンドアップ訴訟での最高裁上告に反対

今回最高裁は訟務長官の説明をそのまま受け入れたと思われる。

なお、Bayerはその後の4つの裁判で全て勝訴している。

1.2021/10 ロスアンジェルス地裁

原告 Destiny Clarkは住居の雑草処理にRoundupをスプレイしたが、息子がバーキットリンパ腫にかかったとしてMonsantoを訴えた。

陪審員は病気は除草剤が主な原因ではないとして訴えを退けた。

2.2021/12 カリフォルニア州San Bernardino County 地裁

原告Donnetta Stephens は、庭でRoundup を30年以上使用してきたが、2017年に非ホジキンリンパ腫に罹った。ラベルには発癌性の警告は書かれていない。癌は寛解期にあるが、複数回の化学療法の結果、記憶喪失に苦しんでいる。

裁判はコロナのため、ZOOMを使って行われたが、陪審員はRoundupが病気の原因でないと判断した。

3.  2022/6 ミズーリ州 Kansas City地裁

Allan Shelton が癌になったとして訴えた裁判で、Bayerが勝利

4. 2022/6/17 オレゴン州Jackson Countyの巡回裁判所

Bayerが4回連続で勝訴

ーーー

Bayerは2021年5月にグリホサート系除草剤「ラウンドアップ」の訴訟問題に関し、5つの進め方を明らかにし ている。

1) 連邦最高裁のルーリングを求める。

 8月16日に連邦最高裁に上訴した。

2) 将来の訴訟対策

 最高裁の判断が不利なものである場合のため、追加で45億ドルを引当てる。

3) 和解

 138千件のうち既に107千件を解決したが、残り31千件については最高裁が審理を決めた場合、その結果を待つ。

4) 家庭用・農園用(Lawn & Garden)農薬の新処方

 「ラウンドアップ」以外の有効成分の新処方の発売

 訴訟の大半はこの用途でのもので、処方変更で訴訟を減らす。

5) 「ラウンドアップ」の安全性を説明するWeb EPA's Review of Glyphosate Safety を新設


今回の最高裁の決定を受け、和解を進めると思われる。

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