10月から始まる新型コロナの定期接種で使用するワクチンについて、厚生労働省の分科会は9月19日、「レプリコン」と呼ばれる新しいタイプのワクチンなど5つの製品を了承した。

「レプリコン」はウイルスへの抗体を作る作用のあるmRNAを体内で複製する新しいタイプのワクチン。このほか、これまでも使用されてきたmRNAワクチンの3製品と、組み換えタンパクワクチンも了承された。

企業名 ワクチン名 種別
ファイザー コミナティ® mRNA 使用済
モデルナ スパイクバックス®
第一三共 ダイチロナ®
武田薬品 ヌバキソビッド® 組替えタンパク
Meiji Seika ファルマ コスタイベ® mRNA(レプリコン) 新規供給

対象者は、65歳以上の高齢者と、60歳から64歳までの重症化リスクの高い人で、季節性インフルエンザと同様に原則、接種費用の一部自己負担が求められる。

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「Meiji Seika ファルマ」が供給、販売するレプリコンワクチンは、接種するとウイルスから体を守るための抗体ができる仕組みは、これまで使われてきたファイザーやモデルナのmRNAワクチンと同じだが、それに加えて、レプリコンワクチンのmRNAには、mRNA自体を複製する酵素(レプリカーゼ)を作る設計がある。この酵素が働き細胞内でmRNAが複製されるため、mRNAの接種量は従来のものと比べて6分の1から10分の1ほどとなっている。

https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/replicon-vaccine/

厚労省の専門部会は2023年11月27日、Meiji Seika ファルマの新型コロナワクチン「コスタイベ筋注用」の製造販売承認を了承した。

米国のバイオ企業 Arcturus Therapeutics が開発したレプリコンワクチンと呼ばれるタイプ(与後に体内で成分が増える自己増殖型ワクチン)で、PfizerやModerna製の既存ワクチンに比べ、少ない接種量でワクチンの効果が持続することが期待されている。

Arcturus Therapeuticsは2013年に設立された米国を拠点とする製薬企業で、後期臨床ステージの感染症用ワクチンをはじめ、肝臓や呼吸器の希少疾患に有効なmRNA医薬品の研究開発を行っている。Meiji Seikaファルマが日本での供給や販売を担う。

Meiji Seikaファルマはワクチンを医薬品の受託製造会社のアルカリス(千葉県柏市)と連携し、福島県南相馬市の工場で生産する。

Meiji Seika ファルマは2024年7月12日付けで新型コロナワクチン・コスタイベ筋注用について、国内製造所を追加する一変申請を行った。同社は2024年12月以降に国内生産品の出荷を開始する予定で、現在の海外生産品から順次、国内生産品に切り替えていく。

今回の申請は、▽アルカリス南相馬工場(福島県南相馬市)で原薬製造すること、▽Meiji Seika ファルマテック(神奈川県小田原市)で製剤製造することで、アルカリスと連携して、原薬から製剤までを国内で一貫して製造できる体制を構築している。

アルカリスは、2017 年に武田薬品の創薬プラットフォーム事業を継承し事業を開始した日本初の創薬ソリューションプロバイダーである Axcelead Drug Discovery Partnersのグループ企業アクセリードが、Arcturus Therapeutics とのJVで設立したもの。

Arcturus Therapeuticsの研究開発パイプラインの製造拠点としての責任を果たしつつ、世界中の製薬会社、創薬ベンチャー、アカデミアなど幅広い顧客に高品質のmRNA医薬品の安定供給を約束する世界初の統合型mRNA医薬品CDMOを目指している。

   2023/11/30 国産の新型コロナワクチン、接種で使用へ 

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武田薬品の組換えタンパクワクチン(ノババックス)は、ウイルス抗原(SARS-CoV-2スパイクタンパク)の遺伝子をもとに、昆虫細胞を用いて発現させた遺伝子組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質をナノ粒子化して製造されたワクチンで、免疫の活性化を促進するためにアジュバントが添加されている。

組換えタンパクワクチンは不活化ワクチンの一種であり、B型肝炎ウイルスワクチンをはじめ幅広く使用されている技術。

本剤の接種により、抗原提示細胞がSARS-CoV-2の組換えスパイク蛋白質を取り込む。リンパ組織にて抗原提示細胞がT細胞に抗原提示を行い、T細胞がB細胞を刺激することによりCOVID-19 感染症に対する抗体を産生する。Matrix-Mアジュバントは接種部位、リンパ組織での免疫細胞の働きを促進する。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/31_takeda.pdf

米食品医薬品局(FDA)は9月27日までに米製薬大手のBristol-Myers Squibbの統合失調症薬「KarXT」(キサノメリン・トロスピウム:xasomeline/trospium)を承認した。商品名は「Cobenfy」

統合失調症の治療薬としてはクロルプロマジン以来70年ぶりの新しい作用機序の薬となった。

クロルプロマジン(Chlorpromazine)は1950年にフランスの製薬会社Rhône-Poulenc、現 Sanofi Aventis)により、抗ヒスタミン薬として開発されたものの、鎮静作用が強すぎる上、抗ヒスタミン作用が少ないと当時は評価された。

1952年2月、フランスの外科医、生化学者Henri Laboritが麻酔とクロルプロマジンを併用したところ、精神症状の変化に気づき、精神科治療での有用性を示唆した。

同年3月に精神疾患患者でのクロルプロマジンの効果がみられ、その後1年の間にフランス全土で統合失調症に用いられるようになった。翌年にはヨーロッパ全土で用いられるようになった。

Bristol-Myers Squibbの新薬は1日に2回飲むカプセル型の治療薬で、価格は月1850ドル(約26万円)。販売は10月下旬までに始める。

「KarXT」は 同社が2023年に140億ドルで買収したKaruna Therapeutics の製品である。

これは従来の統合失調症薬に比べて副作用が少ないことが評価されている。

従来の統合失調症薬は眠気や手足の震え、体重増加などの副作用があり、治療を継続しない患者が多かった。これに対し、FDAによれば「KarXT」 の主な副作用は吐き気や便秘などである。

統合失調症は幻覚や妄想などさまざまな症状を引き起こす精神疾患で、WHOによれば、統合失調症の患者数は世界で2400万人いる。米国で約280万人、日本では約80万人の患者がいるとされている。

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Bristol-Myers Squibbは2023年12月22日、新種の統合失調症治療薬を開発するKaruna Therapeutics Inc.を140億ドルで買収することで合意したと発表した。

Bristolは、二大主力薬である抗凝固薬「エリキュース」とがん免疫治療薬「オプジーボ」は数年以内に特許切れとなり、売り上げの減少が予想されており、Karunaの買収を成長につなげる。

BristolのCEOは、Karunaの統合失調症の経口治療薬KarXTは双極性障害(そううつ病)I型や重度の精神疾患、アルツハイマー病に由来する興奮状態にも効果を発揮する可能性があり、売り上げは数十億ドル規模に達し得るとの見通しを示した。

KarXTは2024年9月までに統合失調症治療薬としての承認決定を控えていたため、Karuna株の前日終値に53.4%のプレミアムを乗せた1株=330ドルを支払うことで合意した。

年齢を重ねると、骨格筋はなぜ萎縮するのか。筋の柔軟性もなぜ低下するのか。「効果的な予防法や治療法はないのか」ー 九州大学農学研究院の辰巳隆一教授らの研究グループは9月25日、加齢に伴う筋萎縮と柔軟性低下を抑制する抗体を開発したと発表した。

九州大学大学院農学研究院の辰巳隆一教授、鈴木貴弘准教授、中島崇助教、中村真子教授らの共同研究グループは、筋幹細胞 (衛星細胞と呼ばれる"眠れる筋組織幹細胞")の活性化因子HGF (肝細胞増殖因子)がニトロ化されると生理活性を失うことを見出し、この現象が加齢に伴い進行・蓄積することによって筋萎縮が進行するという新しい学説を本年1月に発表した。

この研究成果に基づいて、HGFのニトロ化・不活化を抑制するモノクローナル抗体の作出を目指し、これに成功した。

この1C10抗体は、ニトロ化されるチロシン残基の極近傍に結合することで、HGFのニトロ化を抑制する特殊な抗体。

抗体が結合した状態でも細胞膜受容体との結合性は保持されているので、筋幹細胞の活性化とこれに続く増殖・分化などの生理活性も損なうことはない。

また、抗体のFab領域(抗体分子の「Y」の上半分の「V」の部分)がニトロ化抑制効果を発揮することも明らかにした。

これらの研究成果はヒト・ネコ・イヌなどのHGFにも広く適用可能で、ヒトや伴侶動物の加齢性筋萎縮症に対する抗体医薬への応用が期待され、健康寿命の延伸に大きく貢献すると期待される。 

下図の左では、K1のy198、K2のY250はニトロ化していない。(正常)

下図の右ではK1のy198、K2のY250はペルオキシナイトライト(ONOO)によりニトロ化しており、筋萎縮がおこる。

下図中央は今回の成功事例。モノクローナル抗体(1C10)がHGFにペルオキシナイトライト(ONOO)がつくのを防ぎ、ニトロ化を抑制する。

筋幹細胞(別名:衛星細胞):

骨格筋組織に存在する幹細胞。通常は休止した状態にあるが、運動や筋損傷などの物理刺激を受けるとHGF (肝細胞増殖因子)依存的に活性化し増殖を開始する。
その後、増殖した細胞は互いに融合し新しい筋線維(骨格筋を構成する主要な細胞。細長く大きな多核細胞なので"筋線維"と呼ばれる)を形成するほか、既存の筋細胞に融合する。これにより筋線維の肥大・再生が起きる。

活性化因子HGF (肝細胞増殖因子):

1980年代前半に、肝臓から同定された細胞増殖因子。種々の組織や細胞で多彩な機能を発揮しており、多機能性細胞制御因子として認知されている。
骨格筋においては、筋幹細胞の活性化を誘導することが認知されている唯一の因子である。

活性化した筋幹細胞の増殖を促進する一方で、線維芽細胞の増殖や脂肪細胞の肥大化を抑制する働きを知られている。全身性のノックアウトは致死性であることから、HGFの重要性は容易に理解される。

ニトロ化:

特定の芳香族アミノ酸 (主にチロシン残基) の側鎖にニトロ基 (-NO2) を導入する翻訳後化学修飾反応。
生体内において、一酸化窒素ラジカル(*NO)と活性酸素(*02-)との反応により速やかに生成するペルオキシナイトライトによって非酵素的にニトロ化が起こる。

中国海洋石油集団は9月20日、アジア初の円筒型海上石油ガス処理施設「海葵1号("Haikui-1":イソギンチャクの意味)」と、アジア1の大水深ジャケット「海基2号 ("Haikui-2")」が同時に稼働すると発表した。

「海基2号」(写真奥)は掘削、生産、居住の多機能が統合されたもので、全高は428メートル、総重量は5万トンを超える。


「海葵1号」(手前)は高さ約90メートル、総重量約3万7000トン、最大石油貯蔵量は6万トンに達し、1日約5600トンの原油を処理できる。


中国が独自に設計・建造したアジア初の「海上石油・ガス処理工場」である『海葵1号』(手前)は、中国海洋石油集団青島国際化ハイエンド設備製造基地で製造した。

掘削、生産、居住の多機能が統合されたもので、円筒型FPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)の最大直径は約90m。

下部の船体部分と上部のモジュールで構成されており、上部モジュールの重量だけでも約9,000トンあり、空船状態の船体と合わせると重量は約36,000トン。

さらに石油・ガスを最大60,000トン貯蔵できるタンクやバラストタンクを備えており、設計排水トン数は100,000トン。1日当たり約5,600トンの原油を取り扱うことができ、設計耐用年数は30年で15年間はドックに戻ることなく連続稼働が可能。

珠江口盆地流花油田で6月10日、「海葵1号」の海上設置が完了し、深水油田二次開発プロジェクトの年内生産開始に向けた基礎を固めた。

所在海域は水深約324メートルで、風向きの変化が激しく、波が頻繁に発生する。この巨大な設備を深水に安定的に据え付け、海上で15年連続で稼働させるために、12本のアンカーレッグを3組(各4本)に分け、マルチポイント係留法で設置を行った。これにより、北東、南東、北西の3方向から安定した係留力を提供し、超大型台風にも耐えられる。

この2つの超大型石油・ガス設備が稼働するのは流花油田。1996年3月に生産を開始した中国初の深海油田で、平均水深は約324メートル、確認された地質埋蔵量は1億6000万トン以上。

流花油田群は、Liuhua 11-1、16-2、20-2 およびその他 1 ~2 の油田から構成されており、全体の位置は香港から 200km 以上離れた珠江河口流域にあり、水深範囲は300~400mくらい。

現在、Liuhua 11-1が開発中であり、残りの油層はいずれも近年新たに発見されたものである。

この油田は28年間の採掘を経て、累計2300万トン以上の深海石油・ガスの供給に貢献してきた。

油田全体の採掘率を高めるため、二次開発が進められており、32カ所の井戸を新設する計画で、油田のピーク時日産量は2700トンに達する見込み。

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米議会の与野党指導部は9月22日、2024会計年度(2023年10月~2024年9月)が期限を迎えた後も、12月20日まで予算執行を続ける「つなぎ予算案」で合意した。

米議会下院のジョンソン議長(共和党)は9月22日、今月末の予算切れによる政府機関の一部閉鎖の回避に向け、期間3カ月のつなぎ予算案を提示した。


トランプ前大統領が要求し、民主党が反対している米国有権者資格保護法案(下記)の条項を除外した。トランプ氏に対する2回の暗殺未遂事件を踏まえ、シークレット・サービスに2億3100万ドルの追加予算を盛り込んだ。追加資金は「2024年大統領選挙活動を含む警護活動の遂行に必要な業務に充てられる」としている。

9月18日につなぎ予算を下院が否決したが、これには米国有権者資格保護法案条項が入っており、民主党に加え、共和党からも14人が反対にまわった。


与野党指導部は9月22日、「つなぎ予算案」で合意した。法案は近く上下両院で可決する見通し。バイデン大統領の署名で成立する。11月の大統領選前に政府機関が閉鎖されて混乱する事態は回避される見通し。

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2024会計年度の予算については、上院が2024年3月23日午前2時(つなぎ予算は3月22日までで、期限を2時間過ぎていた)に2024会計年度予算案を可決、下院は可決済みで、バイデン大統領署名で成立した。2023年10月に2024年度に入ってから半年を経て、ようやく予算案全体が議会を通過した。

2024/3/25 米国の2024会計年度予算 ギリギリで成立、政府機関閉鎖を回避

その後、ウクライナ支援等4つの追加予算案を通している。

2024/4/24 米上院、ウクライナなどを支援する下院の緊急予算案を可決

しかし、新年度(2024/10~2025/9)のスタートを数日後に控えても、新年度の予算の成立の見通しはまったくなく、11月の大統領選挙前に政府機関が閉鎖される可能性が強まった。

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共和党が過半数を占める下院では、2025年度歳出法案を2024年度内に成立させるべく審議を進めてきた。

しかし、同歳出法案に含まれる12本の法案のうち、人工妊娠中絶や低所得者向け支援などの内容を含む法案を中心に、なお半数程度の法案が採決に至っていない。

また、同歳出法案の下院通過後には、意見の隔たりが大きい上院との協議も必要になることから、年度内の法案成立は極めて困難である。

なお、現在の上院の勢力図は下記の通り。

共和党 民主党系 合計
民主党 民主系
無所属
無所属
49 48 2 1 100

民主系無所属はSanders, King 両議員、無所属は元民主党のSinema議員
賛否同数の場合は、上院議長を兼ねる副大統領(現在は民主党)が投票


このため、新年度スタート以降、最終予算が決まるまでのつなぎ予算が必要となる。

今回のつなぎ予算法案は、2025年3月28日までの6カ月間、2024年度歳出法と同規模での予算拠出を行うというもの。

つなぎ予算法案に対しては、共和党内部で、歳出削減を強く求める保守派からの批判や、国防関連の歳出額が不足しているとの批判があったほか、民主党からは同法案とセットで提案されていた米国有権者資格保護法案(注)に対する批判や、つなぎ予算の期間を3カ月間に短縮するべきといった指摘があった。

下院は9月18日、2025会計年度の歳出法案成立までの間、政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算案を202対220で否決した。

民主党に加え、共和党からも14人が反対にまわった。

  賛成 反対 棄権 合計 欠員
共和党 199 14 7 220 1
民主党 3 206 2 211 3
合計 202 220 9 431 4

付記 つなぎ予算可決

下院は9月25日、341対82で可決した。

  賛成 反対 棄権 合計 欠員
共和党 132 82 6 220 1
民主党 209 3 211 3
合計 341 82 9 431 4

上院は賛成78、反対18で可決した。

共和党 民主党系 合計
民主党 民主系
無所属
無所属
賛成 28 47 2 1 78
反対 18 18
棄権 3 1 4
49 48 2 1 100

民主系無所属はSanders, King 両議員、無所属は元民主党のSinema議員
  賛否同数の場合は、上院議長を兼ねる副大統領(現在は民主党)が投票


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問題の米国有権者資格保護法案(Safeguard American Voter Eligibility Act:SAVE法案)は下記の通り。

2024年に米国議会で導入された法案で、連邦選挙での投票者登録に際して米国市民であることを証明するための書類提出を義務付けることを主な目的としている。

  1. 市民権の証明:連邦選挙において投票者として登録するには、米国パスポートやREAL ID準拠のID、または他の政府発行の市民権を確認できる書類を提出する必要がある。
  2. 非市民の投票禁止の強化: 非市民が投票者として登録されないよう、申請時に市民権の証明が必要とされる。
  3. 代替プロセスの提供: 標準的な書類を提出できない場合、他の証拠を提出し、米国市民であることを誓約する代替プロセスも用意されている。
  4. 実施上の課題:法案は州に大きな管理負担を課すにもかかわらず、連邦からの資金提供はない。また、施行の準備期間が非常に短いため、選挙管理の混乱が懸念されている。ます。

この法案は、2024年7月に下院を通過し、現在は上院での審議が待たれている。

  賛成 反対 棄権 合計 欠員
共和党 216 0 4 220 1
民主党 5 198 10 213 1
合計 221 198 14 433 2

この投票日の後に民主党議員2名が死亡し、欠員が増えた。


トランプ前大統領が「もし共和党がSAVE法案を成立させず、その全てを手に入れなければ、いかなるかたちであれ、つなぎ予算に同意すべきではない」として、つなぎ予算とセットで審議することを強く求めている。

ホワイトハウスは下記の声明を出し、反対の姿勢を示している。

(1)外国人が連邦選挙で投票することは既に違法なこと、
(2)市民権を偽って主張したり、選挙で違法に投票したりした場合には、米国からの追放や入国の永久禁止の対象となるなど既に厳しい措置を取っていること、
(3)有権者資格の確認は各州で効果的な措置が取られていること
から、選挙の公正性の確保には役立たない。同法案により有権者登録がはるかに困難となり、有権者が有権者名簿から不当に削除されるリスクを高める。

帝人は9月19日、セレブロファーマと共同研究で、漢方薬原料による認知機能改善効果を発見したと発表した。

帝人は、医薬品事業および在宅医療事業で培った研究開発力や臨床評価技術を活用し、「ニュートラシューティカル製品」 (健康の維持を目的として、明確な科学的根拠に基づいて開発された日常的に摂取可能な食品) の研究開発・製造販売を行っており、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)や、本わさび由来の 6-MSITC(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)を含有したサプリメントなどの研究開発・製造販売を行っている。

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セレブロファーマは、大阪市立大学大学院医学研究科認知症病態学研究室の研究成果を元に、認知症の予防薬・治療薬を世に出すことを目的として、2017年11月に大学発ベンチャーとして設立された。

漢方薬原料の「酸棗仁(サンソウニン)」はクロウメモドキ科サネブトナツメの種子で、抽出エキスが漢方薬の原料として使用されており、鎮静・鎮痛・血圧上昇作用を有する。

セレブロファーマは、この酸棗仁がモデルマウスを使った実験でアミロイドβオリゴマーやタウオリゴマーを減少させ、脳由来神経栄養因子の発現を上昇させることで、認知症の予防に有効であることを見出した。

参考 アルツハイマー病の脳 (人間)

    アミロイドβ やタウは認知症の原因といわれるタンパク質

この天然物は摂食可能で安全性も高く、脳への直接作用に加え、腸内細菌に働きかけて間接的に脳の機能を改善する作用も合わせ持つことが示唆されている。

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セレブロファーマはこれをセルフ・メディケーションのための認知症予防食品として開発すべく、現在、帝人と共同で医療用食品として発売するためのプロジェクトを進めている。

帝人とセレブロファーマは共同研究を実施し、酸棗仁(サンソウニン)の全粒粉の投与により、認知症モデルマウスの認知機能が健常マウスと同程度に改善することを新たに発見した。

(1)前頭側頭型認知症モデルマウス(Tau784 マウス)、アルツハイマー病モデルマウス(APP23マウス)、パーキンソン病モデルマウス(αSyn マウス)を、酸棗仁の全粒粉を摂取させる群(全粒粉摂取群)、酸棗仁の抽出エキスを摂取させる群(抽出エキス摂取群)および酸棗仁を摂取しない群(コントロール群)にそれぞれ分け、1か月後にモリス水迷路行動試験法(*)を4 日間行い、認知機能の変化を健常モデルマウスと比較し、評価した。

(*)空間学習能力と記憶力を測定するための行動試験。水を張ったプールにラットを浮かべ、プール内に設置された透明の足場に退避するまでにかかる時間を計測して評価する。

(2)その結果、Tau784 マウス、APP23 マウス、αSyn マウスのすべてにおいて、全粒粉摂取群と抽出エキス摂取群のいずれも、退避行動にかかった時間が短縮され、認知機能の改善が見られた。

ただし、抽出エキス摂取群は、退避行動にかかる時間は短縮されたが、その程度は健常マウスには及ばなかった。
一方で、全粒粉摂取群は、退避行動にかかる時間が健常マウスと同程度に短縮されており、認知機能が改善されることが分かった。

(3)さらに、このような認知機能の改善と脳の関係を生化学的に解析したところ、全粒粉摂取群の脳では認知症病原タンパク質であるタウの集合体などの蓄積が除去されていた。

(4)これらの結果により、酸棗仁の全粒粉は認知症病原体タンパク質の除去を介して、幅広い認知症の治療や予防に有効である可能性が示唆された。

本研究成果は 2024年9月1日に学術誌「eLife」において掲載された。

「Simply crushed Zizyphi spinosi semen prevents neurodegenerative diseases and reverses age-related cognitive decline in mice 」
掲載 URL: https://doi.org/10.7554/eLife.100737.1


帝人は、今回の試験での結果を踏まえ、今後、酸棗仁の全粒粉についてヒトでの安全性や有効性の確認を進めながら、認知機能改善へのソリューションとして社会実装することを目指し、セレブロファーマと健康食品の開発などを進めていく。

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米大手電力Constellation Energy Corporationは9月20日、東部ペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所1号機を再稼働させると発表した。

Microsoftの人工知能(AI)で使用するデータセンターに20年間にわたり電力を供給する。米国ではデータセンターの電力消費が急増し、温暖化ガスを排出しない原発の見直しが進んでいる。

スリーマイル島原発2号機では1979年に事故が発生した。メルトダウンが発生し、米国で原発の新規建設が数十年にわたり停滞した原因となった。

事故を免れた1号機は運転を続けたが、再生可能エネルギーと天然ガス火力発電の台頭を受けて競争力が低下。運転期間の許認可は2034年までだったが、それを待たずに2019年に廃炉を決めた。

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米電力大手Exelon Corporation は2017年5月29日、ペンシルベニア州のThree Mile Island Generating Station について、 州政府の支援が受けられなければ2019年に閉鎖すると発表した。

1979年3月に2号機が炉心溶融事故を起こし運転を停止した後も1号機は稼働していたが、「シェール革命」でガス火力発電が安価になり、採算が悪化していた。

1974年に運転を開始した1号機は、米原子力規制委員会(NRC)から2034年までの運転認可を得ているが、採算割れが続いている。同社は運転継続を可能にするため、州政府に補助金など再生可能エネルギー並みの支援を要請したが、不調に終わっている。

発表でCEOは、New York 州やIllinois 州のように、Pennsylvania州も クリーンで安定したエネルギーを維持し、また雇用を維持する対策を取るべきだとする。原発が止まれば、大気汚染が増え、電力供給が不安定になり、消費者のエネルギーコストが増加し、雇用が減り、州経済を弱化させるとしている。

Three Mile Island原発の概要は次の通り。
形式 出力 運転開始 事故発生 運転認可
1号機 加圧水型(PWR) 837MW 1974年6月19日 ーーー 2034年まで
2号機 加圧水型(PWR) 959 MW 1978年12月30日 1979年3月28日* ーーー

* 炉心溶融(メルトダウン)で、燃料の45%、62トンが溶融し、うち20トンが原子炉圧力容器の底に溜まった。


     1982/5 筆者撮影



Three Mile Island 原発の所有者の変遷は次の通り。

Owner
建設 General Public Utility →(改称)GPU
1979(2号機爆発) GPU子会社 GPU Nuclear 1998年まで1号機運転
1998年 AmerGen Energy Companyが買収 AmerGen Energyは①Philadelphia Electric Companyと②British Energy GroupのJV
2000年 Exelon Corporation  ①の持ち分買収 Philadelphia Electric CompanyはUnicom Corporationと合併
2003年 ②の持ち分買収し全体買収
2012年 Exelon Corporation  Exelonが Constellation Energyを買収し、統合
2022年 Constellation Energy Exelonが、Constellation Energy (utilities and power generation businesse)を分離
2024/9/20 Constellation Energy Constellation Energy/Microsoft  電力の20年売買契約締結→1号機再開へ

2022年にConstellation Energy がExelonの用役・発電部門全体(Three Mile Island 1号機を含む)を引き継いで分離した。

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再稼働するのは1号機83万5000キロワット。

Constellation Energy は約16億ドル(約2300億円)を投じて安全対策を進め、原子力規制当局の許認可を経て2028年までに再稼働させる。加えて、2054年までの運転の許認可も求める。再稼働のための公的支援額の見通しは明らかにしていない。

米国ではAIの普及でデータセンターの電力需要が急増しており、マイクロソフトは2025年までデータセンターなどの消費電力の排出ゼロを目指している。温暖化ガスを排出しない基幹電源(ベースロード)として原発の電力の調達を増やす。民間企業1社が大型炉1機分の電力をまるごと買い取る契約は珍しい。 マイクロソフトのエネルチー担当ホリス副社長は、「電力網の脱炭素化に取り組むうえでの重要な節目となる」と述べた。

米国のIT大手はこれまで再生エネで排出削減を目指してきたが、最近は原発活用にかじを切っている。アマゾン・ドット・コムも3月、ペンシルベニア州のデータセンターを購入して近くの原発から電力供給を受けることで合意した。

米国テキサス州・ヒューストンに拠点を置く電力会社のTalen Energy Corporationは3月4日、同社が所有するペンシルベニア州北東部にあるCumulus data center campus を米アマゾン傘下のクラウド・サービス・プロバイダーであるAmazon Web Serviceに6億5,000万ドルで売却したと発表した。

Cumulus data center は、Talen Energyが90%を所有、運転する隣接のサスケハナ原子力発電所(BWR, 130.0万kW×2基)から直接電力供給を受ける。Cumulus キャンパス内には、同様に同発電所から電力を調達しているNautilus暗号資産(仮想通貨)施設が現在稼働中であり、Talen Energyはその75%の権益を保持している。

データセンターの急増で先行きは大幅に増加するとの見通しが2023年ごろから台頭した。2028年まで大型原発38機分に相当する3800万キロワット分の追加需要が発生するとの予想もある。再生エネだけでは賄えず、排出削減に向けた課題。

廃炉した原発を復活させる動きはこのほかにもある。ミシガン州と連邦政府は、約20億ドルを投入してパリセーズ原子力発電所を再稼働させる計画で、2025年10月の稼働開始を目指している。

米Intelは9月16日、ファウンドリー事業部門である「Intel Foundry」を独立子会社化する予定と発表した。経営状況が悪化する中、立ち上げに遅れているIntel Foundryの収益改善を急ぐ。

同社の2024年4~6月期は純損益が16億1000万米ドルの赤字だったが、Intel Foundryの28億米ドルの赤字が大きく影響した。

こうした業績悪化を改善するため、Intelは2025年に100億米ドル(同1兆4000億円)のコスト低減を目指している。事業再編や人員削減、海外工場の計画保留などを進めており、Intel Foundryの子会社化もその一環とする。


なお、Intelがドイツとポーランドに建設中の半導体製造工場については「約2年間計画を保留する」。

     2023/6/22 Intel、ドイツ・ポーランド・イスラエルに新工場建設

マレーシアに建設する先端パッケージング工場については、市況などに合わせて稼働を開始するという。

これまで、Intelの製造拠点は、ウエハーに回路を成形する前工程工場と、製品の形に整えたり試験したりする後工程工場の2種類があった。


しかし、最近は製造プロセスなどが異なる小さなチップ「チップレット」をブロックのように組み合わせて1つのチップとして扱えるようにするチップレット集積や、チップを垂直方向に積み上げる3次元(3D)実装などが製品の差異化領域となり、それらを実現する後工程が注目されている。こうした先進的な後工程をIntelは「Advanced Packaging」と呼んでいる。

マレーシア拠点は、アドバンストパッケージングを手掛ける2拠点のうちの1つで、もう1つの拠点は米ニューメキシコ州にある。

Intelは2023年8月、マレーシアにある同社の最先端の後工程工場を報道関係者向けに公開した。

Intelのマレーシアでの歴史は1972年に遡る。1棟の建物と100人の従業員から始まった拠点は、約50年で約8万4000平方メートルの敷地面積と、1万5000人の従業員を抱えるIntelの重要拠点の1つとなった。
今回、同社が公開したのは、ペナン州にあるペナンキャンパスと、ケダ州のクリム地区にあるクリムキャンパスにある施設。

アリゾナ州やオハイオ州など米国内の投資計画は維持する方針を示した。

2022/1/31  インテル、米に世界最大級の半導体工場新設 

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米国の官民がIntelの救済に一丸で乗り出した。

9月16日、米政府はIntelに最大30億ドルの補助金を追加支給すると発表した。

「国家安全保障のために国内の先端半導体の供給網へのアクセスを確保する」としている。


Amazon Web Service
は人工知能(AI)向け半導体の生産を委託すると発表した。数年間にわたり共同で数十億ドル規模の投資を見込む。


半導体は安全保障上の重要性が増しており、最先端の半導体製造の国産化を背負うIntelに米政府の関与が強まっている。

米国の半導体支援策  (日経まとめ)

概要:半導体国産化強化と供給網の安定を目指し、2022年にCHIPS・科学法成立。527億ドル補助   

2022/7/29 米議会、「CHIPS法」を可決 

補助金を受けた各社の投資計画

台湾TSMC アリゾナ州に650億ドル投資
米 Intel アリゾナ州とオハイオ州に新工場建設 建設遅れ
韓国 Samsung テキサス州に450億ドル投資
米 Micron アイダホ州やNY州などにメモリー工場


付記

Wall Street Journalなどは9月20日、アメリカの半導体大手 Qualcommが業績の低迷が続く同業のIntelに買収を打診したと報じた。ただ、関係者の話として「合意にはほど遠い」と伝えているほか、反トラスト法の審査対象になる可能性が高いとも指摘している。

インテルの時価総額は930億ドルで、Intelの会社全体を買収すれば巨額の取り引きとなる。


インテルは主力のパソコン向けCPU(中央演算処理装置)やデータセンター向けの半導体を手がける。

Qualcommはスマートフォン向けけの半導体に強みを持ち、パソコン向け事業を強化している。Qualcommの通信モデムラインは非常に先進的で、Android スマートフォンだけでなく iPhone にも使用されている。Appleは世界有数のチップ設計能力を持ちながら、これまでQualcommと競合できる通信モデム製品を開発できず、Qualcommに依存するしかなかった。

ロイター通信は9月5日、QualcommがIntelのパソコン向け半導体の設計部門などの買収を換討していると報じていた。


韓国の原子力安全委員会は9月12日、第200回会議を開き、慶尚北道蔚珍郡にある新ハヌル3、4号機建設案を許可したと発表した。新ハヌル3、4号機は前政権の「脱原発」政策で2017年10月に建設が中断された。
今回の許可は、韓国水力原子力が2016年1月に建設許可を申請してから8年8ヵ月ぶりに行われた。

これで韓国はセウル3、4号機(旧名「新古里5、6号機」)の建設許可以来、8年3ヵ月ぶりに新しい原発を建設することになった。

新ハヌル3、4号機は出力規模がそれぞれ1400メガワット(MW)の加圧軽水炉型原発(APR 1400)で現在運営中のセウル1・2号機、新ハヌル1・2号機と設計が同一だ。2016年1月に建設許可を申請したが、1年余り後の2017年10月、文在寅(ムン・ジェイン)政府が閣議を通じて「エネルギー転換ロードマップ」を議決し事業が中断され、建設許可審査も中止となった。以後、今回の政府が2022年7月に建設事業再開を宣言し、審査が再開された。

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韓国産業通商資源部は2022年12月14日、東部の慶尚北道蔚珍郡で新ハヌル原子力発電所1号機の完工式を開催した。

国内27基目の原発で、韓国が独自技術で開発した次世代型の原子炉「APR1400」を採用している。2010年の着工から12年を経て、今月7日に営業運転を開始した。

新ハヌル原発1号機は、課題として残っていた原子炉冷却材ポンプや計測制御システムなどのコア技術を国産化した。今後チェコなどに輸出されるAPR1400は韓国を代表する原子炉モデルとして、尹錫悦政権が国政課題の一つに掲げる「2030年までに10基の原発輸出」の達成に貢献する見通し 。


尹大統領はこの日の竣工式祝辞を通じて、前政府で推進していた脱原発政策の白紙化を公式化した。「独自の小型モジュール原子炉(SMR)の開発に合計4000億ウォンを投資し、未来の原発市場の主導権を確保していく」とも述べた。

「過去の政権で無理に推進された脱原発政策を廃棄して、原発政策を正常化した」とし「脱原発で萎縮した韓国の原発産業が活力を帯びて再び飛躍するだろう」と自評した。「政府は原発産業を我が国の輸出を導いていく支えにして、大韓民国が世界的な原発強国としての地位を今一度誇れるように積極的に支援する」とし、今年を「原発再飛躍元年」とした。


2022年5月に発足した韓国の尹錫悦政権は7月5日、同政権による初のエネルギー政策を決定したと発表した。

文在寅前政権が定めた脱原子力政策を正式に撤回し、総発電量における原子力発電のシェアを上方修正すると表明。2030年に原子力で少なくとも総発電量の30%を賄う方針であることや、白紙撤回された新ハンウル3、4号機(各PWR、140万kW)建設計画の再開方針などを明確に示した。

2022/12/20 韓国、新ハヌル1号原発の竣工式 


韓国は原発の輸出に注力している。

韓国が初めて海外に輸出した原発、アラブ首長国連邦(UAE)西部のバラカ(Barakah )原発4号機が2024年3月2日、出力100%に到達した。 韓国電力とUAEの原子力公社 (Emirates Nuclear Energy Corporation:ENEC ) の投資で設立されたUAE原発運営会社 (Nawah Energy Company:韓国電力18% / ENEC 82%) によると、4号機はこの日、昨年12月に燃料装填を完了してから3カ月後に初臨界に達した。

バラカ原発は韓国型原発の1400MW級APR1400炉型。アラブ地域初の商業用原発で最大クリーン電力源に挙げられる。

韓国初の海外原発事業で、斗山重工業・現代建設・サムスン物産などの韓国企業が参画し、韓国電力は主契約者として原発の設計・製作・施工・試運転および運営支援までを担当した。

2024/3/5 韓国が輸出したUAEのバラカ原発4号機が稼働

韓国産業通商資源部は2024年7月17日、チェコのドコバニとテメリンに1000メガワット(MW)級の原発各2基を建設する事業の優先交渉対象者に韓国電力公社の系列会社「韓国水力原子力」が選定されたと発表した。

今回確定した事業はドコバニ5・6号機で、チェコ側が予想した建設総事業費は173億ドル。最終契約金額は今後の交渉を通じて最終決定される予定。テメリンに建設する2基については5年以内に建設するかどうかを決める。

本件には
フランス電力公社(EDF)も入札に参加し、マクロン大統領自らも売り込みに乗り出したものの敗退した。

逆に韓国は、アラブ首長国連邦(UAE)でアラブ諸国で初めての原発建設を手がけたが、チェコでも選定されたことで欧州での新たな足掛かりを得ることになる。

ーーー

 

 

運転開始 原子炉形式 容量
 kW
文大統領の政策協定 新政権
ハヌル
(
蔚珍)

1

1988/9/10 加圧軽水炉 (PWR) 95万
2 1989/9/30 加圧軽水炉 (PWR) 95万
3 1998/8/11 加圧軽水炉 (PWR) 100万
4 1999/12/31 加圧軽水炉 (PWR) 100万
5 2004/7/29 加圧軽水炉 (PWR) 100万
6 2005/4/22 加圧軽水炉 (PWR) 100万
新ハヌル 1 (2018/4) KSNP (APR-1400) 140万

建設を暫定的に中止し、 社会的合意を通じて運転の是非を決定→建設

2022/12/14  
完工式
2 (2019/2) KSNP (APR-1400) 140万
3 KSNP (APR-1400) 140万 許可を取り消す。→ 「取消」への反対運動 2024/9/12
建設許可
4 KSNP (APR-1400) 140万
ハンピッ

(霊光)

1

1986/8/25 加圧軽水炉(PWR) 95万
2 1987/6/10 加圧軽水炉(PWR) 95万
3 1995/12 加圧軽水炉(SYSTEM80) 100万
4 1996/3 加圧軽水炉(SYSTEM80) 100万
5 2002/5/21 KSNP(OPR-1000) 100万
6 2002/12/24 KSNP(OPR-1000) 100万
月城

1 1983/4/22 CANDU 67.9万 運転延長取り消し判決の控訴を取り下げ、即時閉鎖
2 1997/7/1 CANDU 70万
3 1998/7/1 CANDU 70万
4 1999/10/1 CANDU 70万
新月城

1 2012/7/31 KSNP(OPR-1000) 100万
2 2015/7 KSNP(OPR-1000) 100万
3 KSNP(OPR-1000) 100万 (未認可)
4 KSNP(OPR-1000) 100万
古里

1 1978/4 加圧水型(PWR) 58.7万 (2017年6月停止決定)
2 1983/7 加圧水型(PWR) 65万
3 1985/9 加圧水型(PWR) 95
4 1986/4 加圧水型(PWR) 95万
新古里

1 2011/2 加圧水型(PWR) 100万
2 2012/7 加圧水型(PWR) 100万
セウル
1号

新古里
3 2017/1 加圧水型(PWR) 140万
セウル
2号
4 2019/5 加圧水型(PWR) 140万

建設を暫定的に中止し、社会的合意を通じて運転の是非を決定
建設継続→ 2019/4 稼働

セウル
3号
5 加圧水型(PWR) 140万 許可を取り消す。
2017/10/26 韓国大統領、新古里原発5、6号機の建設再開を表明
建設許可 
セウル
4号
6 加圧水型(PWR) 140万
三陟 4基 白紙に戻す。
盈徳 4基

米政府は9月13日、米通商法301条に基づく対中制裁関税の大幅な引き上げについて最終決定を下した。2024年分について、9月27日に引き上げる。

電気自動車の関税率を100%に引き上げるなどし、中国で過剰生産された廉価品に対し米国の戦略産業分野の保護を強化する狙いがある。


米国は5月14日、中国製EV関税などを大幅に引き上げると発表した。

5/29の一覧表発表時に、改正時期の2024年は2024年8月1日、2025年は2025年8月1日とされた。

2024/5/15 米国、中国製EV関税など大幅引き上げ 

その後、8月1日に予定していた中国の電気自動車などに対する制裁関税の引き上げを2週間以上、延期すると発表。

更に8月30日に最終決定を9月上旬に再延期すると発表していた。


2024年5月に発表された改正案は、一般からの1,100件を超えるコメントを検討した結果、中国の不公正な貿易慣行からアメリカの企業と労働者を保護する措置を強化するためのいくつかの更新を加えて、ほぼ採用された。

全リスト 
https://ustr.gov/sites/default/files/Section%20301%20Modifications%20Determination%20FRN%20(Sept%2012%202024)%20(FINAL).pdf


引き上げの主なものは下記の通り。

現行レート 改正レート 改正年
Battery Parts (Non-lithium-ion Batteries) 7.5% 25% 2024
Electric Vehicles 25% 100% 2024
Facemasks 0~7.5% 25% 2024
50% 2026
Lithium-ion EV Batteries 7.5% 25% 2024
Lithium-ion non-EV Batteries 7.5% 50% 2025
100% 2026
Medical Gloves 7.5% 50% 2025
100% 2026
天然黒鉛 0% 25% 2026
その他重要鉱物 25% 2024
永久磁石 0% 25% 2026
Semiconductors 25% 50% 2025
Ship-to-Shore Cranes 0% 25% 2024
Solar Cells (組み立て有無に関係なく) 25% 50% 2024
鉄鋼・アルミ製品 0~7.5% 25% 2024
注射器,注射針 0% 100% 2024
改正時期 9/27 1/1 1/1


医療用マスクと手術用手袋への関税を当初案の25%から50%に引き上げたが、中国以外の供給元への切り替えを可能にするため開始を遅らせた。
中国製注射器の関税率は当初予定の50%から100%に引き上げ、即時発効とする。乳児の経腸栄養注入器については1年間の除外を認める。

半導体は2025年、重要鉱物の天然黒鉛は2026年の、それぞれ1月1日に税率を引き上げる。 
半導体に対する50%の関税は2025年に導入する予定で、新たに太陽光パネルに使用されるポリシリコンとシリコンウエハーが追加された。

一方、コメントを受けた見直しにより、最初に関税強化が発表された今年5月14日までに契約した港湾用クレーンについては、2026年5月14日まで適用を除外することを決めた。米港湾当局協会は国内で大型クレーンを製造できる企業がなく、多額の追加費用が発生するとして撤回を要望していた。


中国商務部の報道官は9月14日、これについて「断固として反対する」との談話を発表した。「必要な措置を取り、中国企業の利益を守る」とも述べ、対抗策の発動を示唆した。報道官は「典型的な一国主義や保護主義のやり方だ」と強く批判した。

ーーー

米国では800ドル以下の個人向け貨物は、関税や複雑な輸入手続きが免除されている。米国人旅行者が持ち帰る土産物や贈答品などへの適用が想定されている。

しかし、中国の衣料ネット通販大手シーイン(SHEIN)やテム(Temu) などの利用が急拡大。海外拠点から米国の個人宛て小口貨物で商品を輸送するため、関税の適用対象外となってきた。
米政府によると、適用除外の輸入品は過去10年間で7倍超に膨らんだ。

今回、商法301条などに基づいて制裁関税を課された製品は、個人向け小口貨物を対象にした関税免除措置を適用しないと発表した。インターネット通販の急拡大で、衣類など安価な製品が無税で流入し、制裁関税の「抜け穴」になっていることを受けた措置で、さらに議会に対し、同措置の抜本的な見直しに取り組むよう要請した。

ーーー

EVの関税を100%に引き上げるが、現在はほとんど輸入はない。将来の流入に備えた予防措置と思われる。

ただし、比亜迪(BYD)のEVの最安値は1万2000ドルで、米国のTeslaのEVは安くても3万ドル超である。関税を100%に引き上げてもBYD品は2万4000ドルで、Tesla品よりはるかに安い。

米国のコストが高いのが問題だが、米国の理屈は、中国の低コストは過剰生産の結果であり、それを低価格で輸出するのは不公正な貿易慣行であるというものである。

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