2016年11月アーカイブ

 

厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は11月24日、米Merck(海外子会社の社名はMSD)が開発中のがん免疫薬「キイトルーダ」を肺癌の大部分を占める非小細胞肺癌向けに承認して問題ないと判断した。12月にも厚労省が正式承認する見通し。

キイトルーダはオプジーボと作用が同じで、対象疾患も競合する。

オプジーボが使えるのは現時点で、皮膚癌の一種である悪性黒色腫と、非小細胞肺癌、腎細胞癌の3種類。
キイトルーダは本年9月に悪性黒色腫への使用が承認され、今回の非小細胞肺癌で2種類目となる。

このほか、下記のヤーボイが根治切除不能な悪性黒色腫で承認を受けている。

オプジーボによる治療は、放射線や手術による治療が難しく、かつ、抗癌剤による化学療法の経験のある患者が対象になる。
これに対し、キイトルーダは肺癌患者に対して最初の抗癌剤として使える点が利点となる。

キイトルーダ の薬価は、今回薬価が50%引き下げられたオプジーボの薬価を基準に決められる。同水準になると思われる。
(キイトルーダは9月に悪性黒色腫への使用が承認されたが、
非小細胞肺がんへの拡大を視野に入れ、オプジーボの新しい薬価が決まるのを待つため、薬価収載申請を見送っていた。)

2016/11/17 オプジーボ 50%値下げ 

オプジーボの類似薬となる癌免疫薬は他に、中外製薬、AstraZeneca、独 Merck/米Pfizer連合がそれぞれ 国内で開発している。
来年以降、日本市場に登場する可能性があり、癌免疫薬を巡る競争はさらに激しくなりそうだ。

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これらの癌免疫薬は免疫チェックポイント阻害薬とよばれる。
(他に、自分のリンパ球を取り出し培養したうえで、活性化したリンパ球だけ、特にナチュラル・キラー細胞を戻すNK細胞投与がある。)

癌細胞には、免疫細胞攻撃を防止する「免疫チェックポイント」という仕組みがある。

1) 癌細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるために、PD-L1 というタンパク質を出し、これが免疫細胞のPD-1 に結合すると、免疫細胞の働きが抑制される。

2) 免疫細胞は、抗原提示細胞である樹状細胞から癌抗原の提示を受けると働きが活発になり、それを目印に癌細胞を攻撃するが、抗原提示を受ける際、免疫細胞のCTLA-4 に樹状細胞のB7というタンパク質が結合すると、逆に免疫細胞の働きが抑制され、癌細胞を攻撃できなくなる。


これらの「免疫チェックポイント」を阻害して、免疫細胞に癌細胞を攻撃させるのが、免疫チェックポイント阻害薬である。

機能 承認 開発中
抗PD-1抗体 免疫細胞のPD-1に結合し、PD-1と癌細胞のPD-L1の結合を防止 オプジーボ(小野薬品/BMS)
キイトルーダ(米Merck)
抗PD-L1抗体 癌細胞のPD-L1に結合し、PD-1とPD-L1の結合を防止 Roche/中外製薬
AstraZeneca
独Merck
/Pfyzer
抗CTLA-4抗体 免疫細胞のCTLA-4に結合し、CTLA-4と樹状細胞のB7の結合を防止 ヤーボイ(BMS/小野薬品)
AstraZeneca

                                   BMS=Bristol-Myers Squibb


米国の人事・組織コンサルティング会社の Mercer は、2009年から世界各国の年金制度を横断的に比較し、かつ最も多角的、包括的に調査した指数であるといえるグローバル年金指数 (Merbourne Mercer Global Pension Index)を毎年発表しているが、本年も2016年度の指数とランキングを発表した。

Mercer はニューヨークを本拠地とし、世界40カ国約180都市にわたるグローバルネットワークに、19,000名以上のスタッフを擁する世界最大の組織・人事マネジメント・コンサルティング会社。1959年にアメリカ大手保険グループである Marsh & McLennan に買収された。

ランキング首位はデンマークで、2012年より5年連続で首位を堅持 しており、同国とオランダのみが最高ランク "A" の評価を得ている。
十分に積み立てられた年金制度や、多くの加入者数、優れた資産構成と掛金の水準、十分な給付レベルおよび法令の整った個人年金制度の提供が首位となった主な理由である。

デンマークと共にオーストラリア、オランダは3年連続トップ3の順位を維持している。

これに対し、日本の年金制度のランキングは 当初から最下位グループに属しており、今回は27ヵ国中26位となった。

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Merbourne Mercer Global Pension Indexは豪州ビクトリア州政府の支援により、オーストラリアの金融サービスやリサーチの専門分野の頭脳を結集して開発されたもの。

2009年に日本、中国を含む11カ国を対象としたが、順次対象を加え、今回は27カ国となり、全世界の人口の60%近くをカバーしている。

評価は40以上の質問項目から構成され、対象国の年金制度に0から100までの評価が付けられ、「十分性(Adequacy)」、「持続性(Sustainability)」、「健全性(Integrity)」の平均評価値が指数として表される。

各項目の評価指数における構成は次の通り:

十分性(Adequacy) 40% 公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか、老後のための貯蓄は十分になされているか等。
持続性(Sustainability) 35% 年金が支払われるのに十分な環境が整っているか、平均寿命と支給開始年齢の関係は良いか、国家の破綻のリスクがなく持続可能なものか等。
健全性(Integrity) 25% 年金制度をうまく運用するための見直し機能や透明性が担保されているか、また私的年金のスキーム等。
世界銀行が発表している世界ガバナンス指数を評価に加えている。


総合指数の評価は次のとおり。

指数 Grade 評価基準 今回対象国(グラフ参照)
80以上 A 十分な給付を提供、持続可能で、高い健全性を保つ、非常に優れた堅牢な年金給付制度 デンマーク、オランダ
75~80 B+ 健全な構造と多くの優れた特性を有する制度だが、改善すべき点あり。 豪州
65~75 B フィンランドほか
60~65 C+ いくつかの優れた特性を備えるが、同時に対処すべき重要なリスク、欠点がある。
改善なければ、有効性、長期的持続可能性が疑問視される。
アイルランド、英国
50~60 C ドイツほか
35~50 D いくつかの優れた特性を備えるが、同時に対処すべき重要な弱点、欠落がある。
改善なければ、有効性、長期的持続可能性が疑問視される。
イタリア以下、日本、アルゼンチン
35以下 E 構築の初期段階にある不十分な制度 該当なし

日本の場合、健全性は60.9だが、十分性は48.5、持続性が24.4で、総合指数は43.2にとどまる。

過去の順位:

一位 日本の順位 日本より下位
2009年 オランダ 11/11 なし
2010年 オランダ 13/14 中国
2011年 オランダ 14/16 インド(新規)、中国
2012年 デンマーク 17/18 インド
2013年 デンマーク 17/20 韓国、インド、インドネシア(新規)
2014年 デンマーク 23/25 韓国、インド
2015年 デンマーク 23/25 韓国、インド
2016年 デンマーク 26/27 アルゼンチン(新規)

日本の年金制度については、例年指数・ランキング共に大きな変化がなく、制度の安定性はみられるものの、高齢化社会をめぐる課題に対する取り組みなど、引き続き改善の余地があることが明らかになった。

マーサージャパン以下の通りコメントしている。

「日本の総合評価が低いのは、特に、十分性と持続性の評価が低いためです。

十分性に関しては、年金給付による所得代替率(現役世代の年収と年金給付額の比率)が低いこと、税制や私的年金の仕組みが年金受給を促す形になっていないこと、などが評価を引き下げています。また、持続性に関しては、少子高齢化に伴い高齢者人口割合が増加していること、平均余命の増加により公的年金の期待支給期間(平均余命と年金支給開始年齢の差)が長くなっていること、さらには政府債務残高が大きいことなどの要因により低い評価となっています。

日本では他国よりも早いペースで少子高齢化が進行し、平均余命も伸長しています。公的年金では、社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整するマクロ経済スライドが2015年に初めて発動され、年金給付額の伸びは賃金や物価の上昇分以下に抑えられました。このような中、老後の生活資金を確保するには、公的年金に加え、企業年金や個人年金などの私的年金からの収入や活用方法を理解した上で、個人のライフスタイルに応じた早めの資金準備を実施していくことが重要になってきます。」 

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公的年金の支給額を引き下げる新しいルールを盛り込んだ年金制度改革法案は11月25日の衆院厚生労働委員会で可決された。将来の年金水準を維持する狙いがある。

法案に盛り込まれた新ルールでは、これまで賃金が下がっても物価が上がれば年金が据え置かれていたシステムを変え、新たに賃金の下げ幅に連動して支給額も下げる。

また、支給額が上がる場合でも増加額を毎年0.9%ずつ目減りさせる「マクロ経済スライド」のルールも、2018年度から強化する。

「マクロ経済スライド」は、減益人口が減り保険料収入が減る一方、平均余命の伸びで年金支出が増え、年金会計が悪化するのを補填するため、消費者物価アップなどによる年金のアップを調整するもの。

2004年の年金制度改正で導入されたが、これまでは物価スライド特例措置(物価が下落しても年金を下げない)分を取り戻すために年金アップを抑えた期間は適用せず、2015年に初めて実施された。

2015/2/12  年金のマクロ経済スライド実施 

今までの制度では年金の伸びから0.9%ポイントを減らすことになっているが、消費者物価のアップが低い場合は下記の通り 調整される。

消費者物価 本来の
スライド調整
実際の
スライド調整
年金改定
+2.3 -0.9 -0.9 +1.4 ルール通り適用
+0.8 -0.9 -0.8 0 調整を 0.1%分 棚上げ
-1.0 -0.9 -0 -1.0 調整を全て棚上げ
今回の改正では、賃金や物価が低迷する景気後退期には支給額の抑制を凍結し、代わりに賃金や物価が上昇した局面で過去の調整不足分をまとめて年金額を抑える。2018年度から導入する。

韓国政府は中南米との自由貿易協定(FTA)交渉を加速している。

韓国の産業通商資源部長官は11月16日ニカラグアで中米6カ国(グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、ホンジュラス、コスタリカ、パナマ)の通産相とともに、「韓国・中米自由貿易協定(FTA)交渉が実質的に妥結した」と公式宣言した。 昨年6月の交渉開始から1年5カ月ぶりで、来年上半期中に正式署名する。

中米6カ国は自動車や鉄鋼など韓国の輸出品のうち品目数基準で約95%に対し関税を撤廃する。コスタリカは自動車に対する関税をFTA発効と同時になくす。残りの国も発効後5~10年以内に自動車の関税を相次いで撤廃する。冷延鋼鈑など鉄鋼製品に対しても6カ国すべてが発効後10年以内に関税をなくす。
現在これらの国は韓国製自動車に最高30%、鉄鋼製品に最高15%の関税を課している。

韓国はコーヒー、原糖(サトウキビ樹液)に対し発効と同時に関税を撤廃する。牛肉は国によって発効後16~19年、豚肉は10~16年後に無関税で輸入する。
コメ、ニンニク、タマネギなどは関税撤廃縮小対象から除外された。

韓国産業通商資源部はまた、11月21日から2日間、アルゼンチンのブエノスアイレスで南米南部共同市場(Mercosur)との貿易協定の予備交渉を行った。

Mercosurはブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラの南米5カ国の関税同盟で(ボリビアが参加を認められ、批准待ち)、中南米の人口の45%(2億8600万人)、GDPの52.4%(2兆8000億ドル)を占める有望市場。

韓国政府はMercosurとの貿易協定が実現すれば、対Mercosur輸出が35億-37億ドル増えると試算している。

さらにこれに先立ち、産業通商資源部はメキシコとの間で、来年2月に次官級のFTA予備協議を行うことで合意した。

産業通商資源部関係者は「計画通りにFTAが結ばれれば、韓国はカナダからチリに至る北米、南米のFTAベルトを構築することになる。これは最近広がる保護貿易主義に対応する戦略的な足がかりとして活用できる」と述べた。

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韓国は米国、EU、ASEAN、インド、チリ、ペルー、コロンビアなどの国・地域との間でFTAを締結し、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」と自称したが、その後、中国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどとも締結した。

米国、カナダ、EU、中国の大国・地域については、日本はFTAを締結しておらず、差がついている。

日本は米国、カナダについては、2カ国間のFTAよりも広範な、非関税分野(投資、競争、知的財産)のルールづくりや、環境・労働などの新しい分野の内容を取り決める協定であるTPPに調印し、韓国に追いつき、逆に差を付けたかに見えた。韓国政府も取り残されるのを恐れ、TPPへの参加の要請を行った。

しかし、Trump次期大統領のTPP 離脱の意向表明でTPP の発効の可能性はほぼ消えた。

日本もFTA交渉を続けるしかないが、米国の場合はTrump が「雇用や産業を米国国内に取り戻すための公平な二国間の貿易協定」を主張しており、極めて厳しいものになると思われる。


日本と韓国のFTAの状況は下記の通り。年月日は発効日。

TPP 参加国-2016/2/4 署名
日本 韓国
アジア
個別 ASEAN 個別 対ASEAN
ASEAN マレーシア 2006/7 2009/2/1 2007/6/1
シンガポール 2002/11 2008/12/1 2006/3/2 2007/6/1
ベトナム 2009/10 2008/12/1 2015/12/20 2007/6/29
ミャンマー 2008/12/1 2007/11/27
インドネシア 2008/7 (未発効) 2007/12/7
フィリピン 2008/12 2010/7/1 2008/1/1
ブルネイ 2008/7 2009/1/1  2008/7/1
ラオス 2008/12/1 2008/10/1
カンボジア 2009/12/1 2008/11/1
タイ 2007/11 2009/6/1 2010/1/1
モンゴル 2016/6
インド 2011/8 2010/1/1
中国 2015/12/20
北米 米国 2012/3/15
カナダ (交渉中) 2015/1/1
メキシコ 2005/4 (来年予備協議)
欧州 EFTA
スイス、リヒテンシュタイン、
ノルウェー、アイスランド、
2006/9/1
スイス 2009/9 
EU 28カ国 (交渉中) 2011/7/1
トルコ 基本&物品貿易 (交渉中) 2013/5/1
サービス&投資 2015/2/26 (署名)
オセアニア オーストラリア 2015/1 2014/12/12
ニュージーランド 2015/12/20
中南米 チリ 2007/9  2004/4/1
ペルー 2012/3  2011/8/1
コロンビア (交渉中) 2016/7/15
中米6カ国
グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、ホンジュラス、コスタリカ、パナマ
2016/11/16 (妥結)
Mercosur (予備交渉)

                                     *EFTAとのFTAでは既に発効

韓国青瓦台(大統領府)の報道官は11月23日、青瓦台が昨年12月に性的不能治療薬の「バイアグラ」 60錠を購入したとの報道について、「大統領のアフリカ歴訪の際、随行職員らの高山病の治療のために用意したが、使ったことはなく、そのまま残っている」と明らかにした。

韓国メディアは野党議員が政府機関から入手した資料をもとに、大統領府がバイアグラ60錠を購入していたと相次いで報じていた。大統領が崔順実(チェ・スンシル)被告らの名前で医師から処方されていた疑惑も出ており、関心が高まっていた。

報道官は「バイアグラは勃起不全治療剤でもあるが、高山病の治療剤でもある。高山病の予防薬としてはアセタゾラミドがあるが、南米歴訪ではアセタゾラミドのみを持って行って苦労をした。そのため、アフリカ歴訪では予防用であり治療用であるバイアグラも持参した」と述べた。

朴大統領は今年5月、エチオピア、ウガンダ、ケニアのアフリカ3カ国を訪問した。3カ国の首都は海抜1000~2000メートルの高原に位置している。

報道官は「刺激的な報道が相次いでいる。自制を求めたい」と述べた。

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高山病は山酔い、高地脳浮腫、高地肺水腫という大きく3種類の症候群に分けられる。

高地脳浮腫は山酔いが激しくなったもので、倦怠感が強くなり、考えがまとまらなくなり、縦列歩行テストで運動失調が見られる。
高地肺水腫の最初の症状は息切れが激しくなってくることで、次第に安静時にも息切れがひどくなってくる。呼吸困難となり、血痰を吐き、意識不明になって、ついには死に至ることがある。

アセタゾラミド(商品名 ダイアモックス) は、軽い急性高山病の初期だけに効き、高地脳浮腫や高地肺水腫には効かない。

アセタゾラミド、炭酸脱水酵素を抑えることによって、体中の血液の中の酸素量を増やす効果があるとされている。おもに緑内障の治療に使用されている。

脳浮腫にはデキサメサゾン、肺水腫にはニフェジピンが有効だが、両者とも劇薬なので医療関係者が同行するか無線や衛星携帯電話などで連絡できる場合のみに限られる。

最近、バイアグラが高地肺水腫に有効であることが分かってきた。平地でも肺高血圧症の患者に投与され肺高血圧改善によい成績を残している。

低酸素に曝されると肺の血管が収縮し、肺動脈の圧が上昇して肺水腫が起こるが、バイアグラには肺の血管を拡張する作用があり、これにより肺の血流やガス交換が改善され、肺動脈圧も低下する。

アルゼンチンのサッカークラブチームが、ボリビアでの試合でバイアグラを使用したという。世界一高い場所(標高約 3,637メートル)にある公的なスタジアムで、酸素が薄いため、プレーで高山病を発症し、頭痛や吐き気、運動失調などを引き起こす恐れがあるため。



大陽日酸は11月22日、子会社のTNSC (Australia) Pty Ltd を通じて、豪州の産業ガス・LPG 会社である Supagas Holding Pty Ltd を買収する売買契約を締結したと発表した。
買収額は約250億円とみられる。契約手続きの完了は12月中旬を予定している。

同社は、2015年7 月に Renegade Gas Pty Ltd を約150億円で買収し、豪州産業ガス市場への本格参入を開始した。

Renegade Gasの事業拠点はニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州などの豪州東海岸を中心としており、大陽日酸では豪州における更なる事業地域の拡大を計画していた。

Supagas 社を買収することで、未進出であったビクトリア州や西オーストラリア州等を含めた豪州全土での販売ネットワークが完成する。

産業ガスに限れば、傘下の2社合わせて市場の約10%を占めており、今後はLPGの販売も含めてさらに市場シェアを拡大させる。
オーストラリア市場での競合相手は、独産業ガス大手 Linde とフランスの同業 Air Liquide 。

両社の概要は下記の通り。

社名 Renegade Gas Pty Ltd Supagas Holding Pty Ltd
事業 LPG 及び各種産業ガスの充填・販売、関連機器の販売、レンタル LPG、各種産業ガス(酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガス等)、関連機器の販売 
LPG及び産業ガス充填設備の他、空気分離装置や炭酸ガス等の各種ガス製造設備を保有
場所 ニューサウスウェールズ州シドニー近郊 豪州ビクトリア州メルボルン近郊
株主 Mark Michalowsky 90%
Paul Berman 10%
オーナー一族の個人及び資産管理会社 100%
新株主

            TNSC (Australia) Pty Ltd 100% 

設立 1997 年 1968 年


TNSC (Australia)
の株主は次のとおり。

Renegade 買収 Supagas 買収
大陽日酸 85% 約 93%
Renegade経営者
 Mark Michalowsky 90%
 
Paul Berman    10%
15% 約 5%
SupagasのManaging Director
 
Debra Hill
約 2%


同社は2014年5月発表の新中期経営計画で、グローバル規模でM&Aを積極的に推進するとし、米国・アジアなど既に進出している地域に加えて、未進出国(オセアニア・中東・南米・欧州)に対しても積極的に市場参入を図り、事業規模拡大を加速するとしており、今回の買収もその一環である。


大陽日酸は2016年5月に米国子会社のMatheson Tri-Gas, Inc. を通じて、フランスのAir Liquide と米同業のAirgas の資産を買収している。

2015年にAir Liquide がAirgas を買収
することで合意したが、FTC が一部設備の売却を条件にこれを承認したのに伴うもの。

買収資産の内容は下記の通り。残る2基は他社に売却。

Air Liquide Airgas
セパレートガス事業(東部、中西部の計 18 基) 12箇所 4箇所
亜酸化窒素事業(東部、西部に各1箇所) 2箇所
液化炭酸ガスプラント ドライアイスプラントを併設
(某社と交渉中)
2基
ドライアイスプラントを併設 2基
単独 2基
パッケージガス事業(アラスカ州にある営業所) 3箇所


2015/11/24 産業ガス世界大手のAir Liquide、米同業のAirgas を買収

Braskemは11月3日、同社のバイオポリエチレン"I'm Green" を原料に、3D プリンターを使って国際宇宙ステーションで部品や工具が製造されていることを明らかにした。

米国で無重力3Dプリンター(The Zero-G Printer)を開発するMade In Space社とBraskem の協力によるもので、これにより宇宙飛行士はバイオPEを使って必要な部品や工具を宇宙で製造できることになった。

部品や工具のデジタル図面を地球から送信し、そのデータを3Dプリンターに入れて製造するもので、時間とコストを大幅に節減できる。 故障の場合にも送られてきた図面データで現地で製造できるため、宇宙ステーションでの生活や作業に大きく貢献する。

Made In Space社は2010年に設立された世界最初の宇宙での製造会社である。

The Zero-G PrinterはMade In Space社の主力製品で、NASAのマーシャル宇宙飛行センターと共同開発された無重力空間で使える3Dプリンターである。

試作段階では、微小重力が及ぼす影響や今後の宇宙事業への可能性などが吟味され、初号機が2014年に宇宙へ送られ 、良好な性能を示した。有毒ガスやナノ粒子をろ過する環境コントロール機能や地球からでも出来る遠隔操作機能が内蔵されており、ロケット発射時にかかる重力にも負けない耐久性を備えている。

国際宇宙センターの米国部分の運用を委託されているNPO法人 CASIS (Center for the Advancement of Science in Space ) のサポートを受けている。

実用機は2016年4月に国際宇宙センターに設置された。Additive Manufacturing Facility (AMF) と呼ばれる。(Additive Manufacturing は、材料を付加しながら製造していく造形方法)

最初に製造されたのはレンチで、実験棟などのメンテナンスに利用する。
レンチの頭には宇宙空間で利用するために、固定用のクリップが用意されているなど工夫が凝らしてある。

今回、野菜栽培の散水システムのパイプのコネクターが製造された。

原料のポリエチレンはBraskemのバイオポリエチレン "I'm Green"が採用されている。


Made In Space社は2016年2月に、NASAやNorthrop GrummanOceaneering Space Systemsと共同でArchinaut計画をスタートした。

宇宙ステーションの外の真空空間で、ロボットアームを操作して 3Dプリンターで大型構造物をつくるもので、3Dプリンターの設計と製造はMade In Space社が、ロボットアームの製造はOceaneering Space Systemsが、システムのメンテナンスはNorthrop Grummanが担当する。

NASAではこれらの無重力3Dプリンターシステムは将来の火星ミッションに欠くことのできないものと考えている。

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Braskemは2007年10月、サトウキビベースのエタノールを原料にした年産200千トンのPEプラント建設を発表した。

2007/11/5 Braskem、サトウキビからHDPEを製造

同社は2010年9月、Rio Grande do Sul 州の Triunfo Petrochemical Complexで サトウキビからのバイオエタノールを原料とするグリーンエチレン年産 20万トンとHDPE及びLDPEをあわせて年間20万トンのポリエチレンの生産を開始した。

同社は2013年5月21日、Green LDPE 30千トンの増設を発表した。2014年1月から生産を開始した。

Tetra Pakは2009年11月、Braskemのグリーンプラスチック(PE)を試用する契約を締結している。

2009/12/1 テトラパック、ブラスケムのグリーンプラスチックを使用

2010年末のバイオPE製造開始を控え、Braskemは2010年上半期に登録商標 "I'm Green" を採用した。

バイオPEはこの商標で販売されている。


Donald Trump 次期米大統領は11月21日、ビデオメッセージを発表し、来年1月20日の就任初日に「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から脱退する意志を表明する」と宣言した。

「よって立つのは単純なコアの原則、即ち、アメリカ第一(put America first)だ。鉄の生産、自動車生産、病気の治療、・・・ 全ての次世代の生産やイノベーションはこの、偉大な祖国アメリカで起こって欲しい」と述べた。

「就任初日に実施する行政府としての行動」を列挙。その一番目の項目としてTPP脱退の宣言を挙げた。

TPPは「我々の国にとって災難になりうる」とし、「その代わり我々は雇用や産業を米国国内に取り戻すため、公平な二国間の貿易協定を交渉していく」と している。

このほか、シェール開発や石炭産業への規制の緩和、インフラ設備へのサイバー攻撃の防止計画の策定、ビザ制度の悪用の調査や、ロビイストの制限などをを打ち出した。

これらは、大統領選挙の前の10月に発表した「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランのうち、就任初日の処理 項目に沿ったものである。

2016/11/11 トランプの公約

これに含まれていた「北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表」は今回の発表には触れられていない。

なお、今回は「ObamaCare廃止」や「メキシコ国境の壁建設」などは含まれていないが、これらは上記アクションプランでも「法案を提案し、政権の最初の100日で議会を通すよう戦う」とした項目であり、今後発表されると思われる。

なお、Trump氏はオバマ大統領との会談の後、ObamaCareについて、既往症による保険加入の拒否禁止や26歳まで子供を両親が加入する保険対象に含める措置など、一部を維持することを検討していると明らかにしている。

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安倍首相は11月22日、ペルーで行われたTPPの参加12か国の首脳会合の後の記者会見で、「アメリカ大統領選挙後の状況を受けて、国内手続きを遅らせたり、やめようという国は1国も無かった。今国会で承認を得られるよう全力で取り組むとともに、あらゆる機会を捉えて、ほかの署名国に国内手続きの早期の完了を働きかけていく」と述べた。

さらに「アメリカ抜きでTPP協定の発効を目指すべきという声をどう考えるか」との質問 に対し、「アメリカ抜きでTPPの発効を目指すという意見については12か国の会議では議論にならなかった。TPPはアメリカ抜きでは意味が無く、根本的な利 益のバランスが崩れる」と述べた。

しかし、その後のTrump発表でTPPの発効の可能性はほぼ無くなった。

TPP発効には12カ国全体のGDPの85%以上を占める、少なくとも6か国が批准手続きを終えることが条件となっている。

米国のGDPは12カ国全体の60.4%を占めるため、米国抜きでは発効しない。(条約を変更すれば別だが)

2015/10/13 TPP の発効条件

Trump の主張する「雇用や産業を米国国内に取り戻すための公平な二国間の貿易協定」の交渉は厳しいものになると思われる。

11月20日に閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)は参加21カ国・地域で構成するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現を掲げる首脳宣言を採択したが、これの将来も見通せなくなった。

ビショップ豪外相らは中国が主導を目指す米国抜きの東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に軸足を移す可能性に言及している。ペルーもRCEPへの参加準備を進めていると明らかにした。中国は低レベルの協定を主張しており、これに魅力を感じる国もある。

安倍首相は、RCEPでは国有企業の制限や知的財産権のルールがまだ交渉次第となっていることから、自由で公正な経済圏を目指すTPPが「一つのモデルにならなければならない」と述べていた。

戦略の練り直しが必要となった。

Trump氏の10月の公約のうち就任初日の処理項目と今回の発表は次の通り。

問題点 2016/10 発表
「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランのうち、就任初日の処理
2016/11/21 発表
政界の不正、特定利益の共謀 上下両院議員の再任を制限する憲法改正を提案
連邦職員削減のための雇用凍結
連邦規則1つの新設の場合には既存の2つの規則をなくす。 新たな規制新設で、古い規制を除去
White Houseと議会の職員が退職後5年間はロビイストになることを禁止 政界の「ヘドロをかき出す(Drain the Swamp)」一環
政府高官
が退職後5年間はロビイストになることを禁止
政府高官が外国政府のロビイストになることを永久禁止
White House役職員が外国政府のロビイストになることを永久禁止
外国のロビイストが米国の選挙のために資金を集めることを完全禁止
米国の労働者保護 北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表
TPPからの撤退を宣言 TPPからの撤退を宣言、フェアな二国間貿易協定を推進
中国を為替操作国に指定
米国の労働者に不当な影響を与える全ての外国の貿易阻害行為に対応
エネルギーの開発への制限を取り除く エネルギーの開発への制限を取り除く
Keystone Pipelineなどのエネルギー関係のインフラ計画を進める
国連の気候変動計画への数十億ドルの支払を取り止め
ビジネスへの規制の廃止
安全保障と憲法のルール オバマ大統領が決めた全ての憲法に反する指令等を廃止
Justice Scaliaの後任を選ぶ手続きの開始
Sanctuary Cityへの全ての国家資金使用の禁止
不法移民犯罪者の米国からの追放を開始 米国労働者より安い賃金で働く移民のヴィザ悪用の調査
身元調査ができないテロの温床地域からの移民を中断
インフラ防衛のためのサイバーテロ(cyber-attacks)への対策


東京ガスは11月21日、英エネルギー大手 Centrica のトレーディング事業会社であるCentrica LNG社と、「相互協力に関する協定」を締結したと発表した。原料調達等を中心とした分野において更なる連携強化を図る。

その具体的な取り組みの第一歩として、LNGのスワップを行い、「LNGの輸送効率向上を通じたコスト削減を目指す枠組み」の実現を目指すことに合意した。

東京ガスが米国産LNGを欧州に供給する一方、Centrica はこれまで英国に輸送していたマレーシアのLNGを日本に供給する。
米国の東海岸のLNGは輸送距離が長く、パナマ運河を通るためコストがかさむが、スワップでコストを抑える。

試算ではLNGの運賃(100万BTU当たり)は次ぎの通り。(ソース:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25)  

Cove Point(東海岸) 日本 $3.07

マレーシア日本 $1 程度 (豪州 Gorgonからの場合 $1.17)
Cove Point(東海岸) 欧州 $1.05

参考 Kirimat(カナダ西海岸)からは$1.24、Gulf Coast からは$2.96

東京ガスはCove Point LNGプロジェクトから購入する年間140万トンのうち、年間35万トン(1隻)~70万トン(2隻)を想定しており、輸送費は、船1隻の1往復当たりで1億円超を削減できる見込み。(標準的な大きさのタンカーで1回に運べるLNGの量は、145千立方メートル:約6.7万トン)

Centricaも後記の通り、LNGをマレーシアから英国まで輸送しているが、これを日本に送ることで運賃の節約になる。

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住友商事と東京ガスは2014年2月、Dominion 社が米国メリーランド州で実施する Cove Point LNGプロジェクト(液化能力 年500万トン)における天然ガス液化加工委託およびLNG販売を目的に、共同事業会社 ST Cove Point LLCを設立した。

住友商事の100%子会社であるPacific Summit Energyを通じて米国産天然ガスを調達し、Dominion Cove Point LNG が液化加工した年間約230万トン分のLNGを輸出するプロジェクトで、2017年の稼働開始を目指している。

このうち、東京ガスは年140万トンのLNGを輸入、住友商事は残り90万トンのうち、80万トンを関西電力に販売する。

Dominion は他に、インドのGailとの間でLNG年230万トンの契約を締結している。

2013/9/13 米、日本向けLNG輸出 2件目を承認 


東京ガスは自らもシェールガス開発に参加している。

2013年3月にQuicksilver Resources Inc.から、米国テキサス州バーネット堆積盆におけるシェールガス開発事業の権益25%を485百万米ドルで取得した。
同社持分のガス生産量は、LNG換算で約35~50万トン/年と見込んでおり、米国内市場に販売する

2016年6月21日、VirTex Groupがテキサス州南部ウェブ郡・ラサール郡に保有するEagle Ford 層他におけるシェールガス開発事業の権益を取得したと発表した。

取得 LNG換算持分 取得価額 取得時 
WTI原油価格
Barnet 2013/3/29 35~50万トン/年 約520億円
(減損358億円)
$97.23
Eagle Ford 2016/6/21 20万トン/年 約80億円 $48.85


2016/6/30 東京ガス、米国の
Eagle Ford層におけるシェールガス開発事業への事業参加 

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Centrica plc は英国のガス・電力事業を行う持株会社。英国最大のガス事業者であり、ノルウェーや北米などでも事業を展開している。

1986年のガス法の改正で英国のガス事業は民営化され、British Gas plc が設立された が、1997年2月にBritish GasはCentrica、BG Group、Transco の3社に分割された。

その後、BG Group は2016年にShellに統合された。

2015/4/13 Shellが英BG Groupの買収で合意 

1990年に従来の国営電力会社が発電会社3社と12の地域配電会社及び送電会社のNational Grid に分割されたが、National Grid は2002年にTransco を買収し、2005年にTranscoをNational Grid の一部門とした。

Centricaは"British Gas" のブランドを引き継ぎ、ガス事業を一部門としている。

英国は北海油田の生産減少を受け、2005年7月に約20年ぶりに本格的にLNG輸入を再開した。

輸入再開に向けて、Isle of Grain のLNG基地が商業運転を開始した。

CentricaはマレーシアのPetronasからBintulu LNG のLNGを購入し、Isle of Grain のLNG基地に輸送している。

Bintulu LNG については、2016/6/7 JX、Petronas LNG 9 への資本参画

別途、Centricaは米国のCheniere Energy Partners のSabine Pass LNGの第5系列175万トンの20年間の長期販売契約を締結している。

2016/2/27 米国のLNGの初輸出


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日本の輸入LNGの契約は大半が原油価格スライドで、現在は輸入価格が下がっており、米国の東海岸からの輸入は割高となっている。

9月のLNG通関価格と米国の天然ガス価格、それを基にしたLNG輸入価格 は次ぎの通りとなる。 
(Henry Hub 天然ガス価格 + 口銭15% +液化費 3$ + 運賃 3$)

今回のスワップで、運賃は約2$安くなることになる。

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東京ガスは2020年に向けた経営計画「チャレンジ2020ビジョン」で、ガス上流事業の拡大と海外でのLNG Value Chain の構築を掲げ、今後も投資を積極的に進める。

地域ごとにLNGバリューチェーンを構築し、併せて地域間でのバリューチェーン展開を目指す。


三井物産は11月18日、パナソニックヘルスケアホールディングスへ参画することを決定したと発表した。

三井物産の出資額は約541億円で、筆頭株主のKohlberg Kravis Roberts (KKR) が運用するファンドから株式の22%を取得する。

パナソニックヘルスケアは糖尿病患者向けの血糖値測定器を中心とした医療機器の開発・製造・販売を行っており、2016年1月には、糖尿病ケア・ソリューション提供企業大手であるBayer Aktiengesellschaft グループの糖尿病ケア事業を買収し(新会社名 Ascensia Diabetes Care)、世界125ヶ国に亘る販売網を確保している。

2015/6/15 パナソニック ヘルスケア、Bayerの血糖測定器事業を買収

三井物産はパートナーとなるKKR及びパナソニックと協働で、世界中の糖尿病患者に革新的な技術を提供し、同社の企業価値向上を図る。

糖尿病患者は2015年の4億2000万人から2040年には6億4000万人に増加することが予想され、とりわけアジア新興国では糖尿病患者数が全世界の約60%を占めるまで急増すると予想されている。

糖尿病は網膜症・腎症・神経障害等の合併症を併発する恐れがあり、継続的な症状モニタリングと治療が必要となる。

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パナソニックヘルスケアの前身は松下寿電子工業で、松下電器産業の完全子会社になった後、パナソニック四国エレクトロニクスに改称した。

2007年に松下電器の改組で、松下電器の社内分社である「ヘルスケア社」をパナソニック四国に統合した。

その後、ヘルスケア事業のさらなる拡大に向け、ヘルスケア事業としての事業領域別体制に再編、2010年にパナソニックヘルスケアに改称した。

パナソニックは2013年9月27日、パナソニック ヘルスケアの全株式をKKRの関連投資ファンドが実質的に全株を保有するPHCホールディングスに1650億円で譲渡する契約を締結することを決めた 。

2014年3月31日に手続きが完了、パナソニックはPHCの20%を引き受け、パナソニック ヘルスケアの20%を実質保持 した。

2013/9/11 パナソニック のヘルスケア事業売却、米KKR に優先交渉権 

今回の決定で、パナソニックヘルスケアの出資比率は次ぎのとおりとなる。

現在 今後
KKR 80% 58%
パナソニック 20% 20%
三井物産 22%


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三井物産は、メディカル・ヘルスケア事業を注力領域の一つと位置付け ている。

メディカル分野では製薬から流通・販売支援に至るバリューチェーン全体を視野に、医薬品の治験支援・製造支援・販売支援事業に参画、
ヘルスケア分野では医療機関運営・経営支援、ヘルスケア関連情報サービスなどの幅広い事業を展開している。

中でも、医薬品製造支援(CMO)では40年以上にわたる事業経験を有し、医薬原料の供給等を通じ国内外の製薬企業との緊密な関係を築いて いる。

同社のヘルスケア・サービス事業本部の概要は下記の通り。

ヘルスケア分野 病院・クリニック事業およびその周辺事業、医療情報サービス事業、医療経営支援事業
医薬分野 医薬品の開発支援事業、製造支援(CMO)事業および製造・販売事業
サービス分野 国内外におけるコントラクトフードサービス(給食)事業、ユニフォームレンタル事業、ファシリティマネジメント事業、人材派遣・紹介事業、教育事業および、その他消費者向けサービス事業

同社は最近、日経に広告を掲載している。(一部編集)


三井物産の最近の投資は次ぎの通り。

1) 日本マイクロバイオファーマ

2011年7月にキリンから100%子会社のメルシャンの医薬・化学品事業 を買収し、日本マイクロバイオファーマに改称した。

キリンは2010年12月の株式交換でメルシャンを完全子会社化したが、メルシャンのワイン・酒類事業に集中することとし、これを売却した。

メルシャンで長年培ってきた発酵技術にバイオテクノロジーを付加した独自の製造技術により、医薬品(原薬、中間体)の製造・受託製造・販売をしている他、同技術を活用したファイン・スペシャリティ領域の化学品の製造・販売を行ってい る。

中国では、同社が34%出資する深圳万楽薬業有限公司を通じて、制癌剤を中心とする製品の製造・販売を展開してい る。

1990年にメルシャンが、中国深圳製薬(現 国薬集団一致薬業)、萬聨行有限公司(香港)との共同出資 で設立した。

2012年1月 に、東レが20%出資している。



2)IHH Healthcare Berhad(IHH社)

マレーシアに本部を置くアジア最大の民間医療企業で、アジア、中東欧・中東・北アフリカ地域での病院経営、運営受託、及び医科系教育機関経営等のヘルスケア関連事業 を行っている。シンガポール、ブルネイ、中国、香港、マケドニア、マレーシア、インド、イラク、トルコ、ベトナム、UAEにおいて民間病院を運営し、25,000以上を雇用している。


当初はマレーシアの政府系投資会社カザナ・ナショナルが全額出資していたが、三井物産が2011年に
総額924億円を投じ、30%を取得した。

その後、上場し、2016年9月 時点では三井物産は20.1%を出資していたが、9月27日 に一部を売却、現在の出資は18.1%となっている。



3) Columbia Asia

三井物産 は2016年7月、アジア最大手の中間所得層向け病院グループColumbia Asia Healthcare (マレーシア)及び Columbia Asia Hospitals (インド) の持株会社である米国 International Columbia U.S. LLCの第三者割当増資引受と同社複数株主からの株式取得を決定した。約1億100万米ドルを出資して、コロンビアアジアグループの病院経営に参画 する。

コロンビアアジアグループは1994年に設立され、現在はマレーシア (馬)、インド(印)、インドネシア(・ベトナム (越)の4か国で合計27病院・1クリニックを運営している。
主に中間所得層を対象に、外来と簡易な入院治療を提供しており、高度医療を手掛ける公立・民間病院とは補完関係にある。

4) MIMSグループ

三井物産は2015年10月、㈱エス・エム・エス と共同で、アジア・オセアニア地域で医薬情報サービス事業を展開するMIMSグループを買収する契約を、英国のAXIO Data Hedgeco Limited 及び個人株主6名と締結した。出資額は総額約2億5,000万米ドルで、出資比率は三井物産40%、エス・エム・エス60%となる。

MIMSグループは1963年に創業し、アジア・オセアニア地域12カ国と香港で、医薬情報サービスを書籍、ウェブサイト、モバイルアプリ等の複数の媒体で提供してい る。

パートナーの㈱エス・エム・エスは、介護・医療・シニアビジネス における最適な情報インフラストラクチャーの創造を理念とし、2003年に経済産業省からの後援を受けて設立された。

5) DaVita Care

三井物産は2016年5月、米国最大手の透析事業会社DaVita Healthcare Partners社 、マレーシア政府系投資ファンドKhazanah Nasional Berhad と共に、アジア透析事業へ参画することで合意した。

三井物産は第三者割当増資引き受けを通じてDaVita傘下で在シンガポールのDaVita Care Pte. Ltd.の株式20%を取得する。

DaVitaは米国を中心としてグローバルに2,369の透析クリニックを運営している。

アジア新興国では、人口増と糖尿病・高血圧等の生活習慣病の蔓延により透析治療を必要とする末期腎不全患者が急増する中、透析クリニックが大幅に不足しているため未治療の患者が多く需給ギャップが拡大している。


原子力規制委員会は11月11日、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の新規制基準への適合性審査会合を開いた。

日本原燃は六ケ所村にある3つの核燃料サイクル施設について、巨大噴火への対処方針を説明した。

核燃料施設は下記の通りで、再処理工場のプールには全国の原発から出た約 3,000トンの使用済み核燃料があり、再処理で生じたウランやMOXの粉末、高レベル放射性廃液を固めたガラス固化体もある。

使用済み核燃料再処理工場 最大処理能力 800トン・ウラン/年(未稼働:2018年上期竣工
使用済燃料貯蔵容量 3,000トン・ウラン (全国の原発から)


使用済燃料から再利用できるウランとプルトニウムを取り出す。

MOX燃料加工工場 最大加工能力 130トン‐HM/年(未稼働:2019年上期竣工

再処理したウランとプルトニウムを混ぜ合わせる。

高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター

返還廃棄物貯蔵容量 ガラス固化体 2,880本


使用済燃料の一部を、フランスおよびイギリスの再処理工場に委託して再処理し、分離されたウランやプルトニウムと、放射性廃棄物が返還される。
高レベル放射性廃棄物は、安定した形態に固化したガラス固化体として返還されるが、最終的な処分に向けて搬出されるまでの30~50年間冷却・貯蔵する。

同施設の近くには、過去に巨大噴火を起こした十和田、八甲田の2火山があり、過去の十和田火山爆発時の火砕流堆積物が施設敷地内で確認されている。

原燃は十和田火山と八甲田火山をモニタリングし、地殻変動や地震活動の観測データを収集分析する。
平常時は原則年1回、火山専門家の助言を受け、地殻変動と地震活動が原燃設定の判断基準を超えた場合は臨時に助言を求めるという。

警戒レベルが「注意」を超えた際は臨時観測を行い、原燃の火山対応委員会で対処方針を決める。
大規模噴火が起きる可能性がある場合の対応策として、使用済み核燃料やガラス固化体の搬出、工場の運転停止などを挙げた。

原燃は「搬出先は今後検討する」と説明しているが、国内の原発のプールは満杯に近づいており、ガラス固化体については六ケ所村以外に貯蔵できる施設や最終処分場がない。
もしもの場合、どうする積もりだろうか。



気象庁は11月17日、火山活動の高まりが確認されている八甲田山十和田弥陀ヶ原(富山・長野県)の3火山を、12月1日から同庁が24時間体制で監視する「常時観測火山」に追加すると発表した。

国内の常時観測火山は50火山になる。

2014年に御嶽山が噴火したことを受け、火山学者らで作る火山噴火予知連絡会の検討会が同年11月、3火山の追加を同庁に提言した。



参考  原発の火山灰対策と巨大噴火対策  2016/11/2 原発の火山灰対策見直し 




日立製作所は11月15日、レンズの代わりに同心円パターンを印刷したフィルムを用いて、動画撮影後に容易にピント調整ができるレンズレス カメラ技術を開発したと発表した。

同心円パターンを重ね合わせることによって生じるモアレ縞の原理を利用することで、薄型軽量のレンズレス カメラでありながら、画像処理の計算量を1/300まで減らすとともに、撮影後のピント調整機能を合わせ持つもの。

レンズが不要となることでカメラの薄型軽量化を実現し、モバイル機器やロボットなどのデザインを損ねることなく、より自由な位置にカメラを設置することが可能となる。

レンズを使わないことで、デジカメやスマートフォンのカメラの光を読み取る部分の厚みを、通常の数十分の一程度にできる。フィルターの価格もレンズより大幅に安く、量産しやすいという。

また本技術は、平面情報に加え、奥行き情報も画像センサーに記録することができるため、撮影後でも任意のピント位置で動画を再生することが可能で、撮影した映像からピントを合わせたい対象物を自由に選択して再生することができる。

本カメラをモバイル機器や車、ロボットに搭載することで、作業支援、自動運転や人の行動分析など、幅広い用途での活用をめざす。2年後の実用化を目指す。

開発したカメラ技術の撮影原理は次ぎの通り。

(1) モアレ縞を用いた撮影画像処理技術

普通のデジタルカメラは、レンズで外からの光を屈折させてモノや景色の像を結ばせ、画像センサーで読み取る。
日立のレンズレスカメラは、像を結んでいない光を読み取り、特殊なフィルムが起こす光の干渉の具合を元にパソコンの画像処理で像を再現する。

外側ほど間隔が狭くなる同心円パターンのフィルムを画像センサーの直前に置き、入射する光線が作る影に、画像処理内で同じ同心円パターンを重ね合わせると、光線の入射角に対応した間隔のモアレ縞が生じることに着目した。

このモアレ縞を利用し、フーリエ変換と呼ばれる広く普及した簡単な画像処理で撮影画像を得ることができる技術を確立した 。

通常のレンズでの撮影に比べると、得られる映像は周辺が暗いが、現段階で手や果物などの動画を撮ることができる。


1cm角の画像センサーと、そこから1mm 離した位置に同心円パターンのフィルムを配置して実証実験を行った結果、標準的なノートパソコンで毎秒30フレームで動画撮影できることを確認した。


(2) 撮影後のピント調整技術

入射する光線がフィルムを通じて画像センサー上に作る影に重ねる同心円パターンの倍率を変えると、ピント位置を移動させることができる技術を確立した。
撮影後に倍率の異なる同心円パターンを重ね合わせて画像処理を行うことで、自由にピントを調整することが可能となる。

ーーー

レンズレス カメラには、昔からピンホールカメラ(針穴写真機)がある。

構造が簡単で容易に製作できるが、はっきりした像を得るためには、ピンホールの大きさをかなり小さくする必要があり、像が暗いため通常のカメラと比較して非常に長い 露出時間を必要とする。

日立のようなレンズレス カメラは既に米国の半導体設計会社の Rambus Inc. や Rice University が開発を進めている。いずれも画像センサーを用いた技術だが、光を処理する計算処理に時間がかかっていた。(日立の方式はそれらよりも計算が数百倍速いという。)

Rambus:

Rambus Inc.は、今後の事業の柱の1つとしてレンズなしカメラセンサー Lensless Smart Sensors (LSS)の研究開発に注力している。

レンズの代わりに特殊な回折格子をイメージセンサーに貼り付けたもので、この回折格子は、ある規則に従った模様をイメージセンサーに撮像する。この模様は人間の目には判別できないが、コンピューター処理によって写っているモノの位置などが特定できる。

Rice University:

Rice University はFlatCamを開発している。

マスクを設置したセンサーで直接光学イメージを読み取り、コンピューター処理をくわえることで画像を生成する。

ピンホールカメラの技術の応用で、センサーの前に異なる大きさの穴が空いたマスクを置くことで、イメージを捉える。その後、センサーでとらえたデータをアルゴリズムで処理し、512×512ドットの画像を生成する。

Rice Universityでは、「この技術によって曲がったカメラや壁紙型カメラを作ったり、さらにはクレジットカードや超薄型コンピューターにもカメラが内蔵できるだろう」としている。

厚生労働省は11月16日、中央社会保険医療協議会を開き、極めて高額のがん治療薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)の薬価 50%引き下げを提案し、了承された。

現行薬価 算定薬価
オプジーボ点滴静注 20mg 150,200円 75,100円
  同       100mg 729,849円 364,925円

付記

製造販売元の小野薬品工業は不服意見の提出を見送った。

厚生労働省は11月24日、来年2月1日からの薬価引下げを官報で告示した。

革新的な抗がん剤のオプジーボは、希少がんであるメラノーマ(根治切除不能な悪性黒色腫、推定対象患者は470人)の治療薬として超高額な薬価が設定された。

その後、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(推定対象患者は5万人)へ適応が拡大されている。

オプジーボは、免疫細胞上のタンパク質(PD-1)を発見した京都大学の本庶佑名誉教授の研究を基に「ゴールの見えないまま始めた研究から成果が出るまで20年以上かかった」(小野薬品)。

薬を作るには、PD-1分子の働きを邪魔する「抗体」が欠かせなかったが、小野薬品には抗体を作る技術がなかった。

その後、米ベンチャー企業 Medarexとの提携で「完全ヒト型抗PD-1 抗体」を入手でき、オプジーボが誕生した。

Bristol-Myers Squibbは2009年7月22日、Medarexを24億ドルで買収すると発表した。

現在、日本、韓国、台湾以外はBristol-Myers Squibbが開発・商業化の権利を持つ。
 

オブジーボの薬価には次の問題がある。

 ・肺がん患者1人当たりで年約3,500万円かかる。
 ・
患者数の拡大で単位当たり開発費・製造原価は大幅に下がる筈。
 ・5万人の肺がん患者全員が使えば費用は1兆7500億円に達する。
 ・オプジーボの日本の価格は海外の価格に比べ高すぎる。

全国保険医団体連合会の分析結果は下記の通り。(体重60kg、2週間に一度使用)

薬価(100mg) 年間薬剤費
日本 729,849円 34,596,874円
米国 297,832円 13,938,449円
英国 150,234円 7,815,737円

中医協でも「薬価が高額のまま患者が増えれば、医療保険財政を破綻させかねない」などの意見が出ており、首相官邸や政府の経済財政諮問会議などが大幅引き下げを求めていた。

このため、原則2年に1回の薬価改定時期(次回は2018年度)を待たず来年2月1日から実施する。

薬価引き下げの根拠としては、2016年度の薬価制度改革で導入された巨額再算定(特例の市場拡大再算定)のうち、「年間予想販売額が1500億円超、かつ予想の1.3倍以上の場合、薬価を最低で50%引き下げる」という規定が準用された。

付記

厚生労働省の専門家会議は11月24日、Merckが開発中のがん免疫薬KEYTRUDA® (Pembrolizumab) を肺がん向けに承認して問題ないと判断した。

キイトルーダはオプジーボと作用が同じで、対象疾患も競合する。

オプジーボが使えるのは現時点で、皮膚がんの一種である悪性黒色腫と、肺がん、腎がんの3種類。
一方、キイトルーダは9月に悪性黒色腫への使用が承認され、今回の肺がんで2種類目となる。

キイトルーダの薬価は類似薬であるオプジーボの薬価を基準に決まる。

オプジーボの価格は類似薬がなく、開発費や製造原価、営業利益、流通経費などを積み上げて算出された。開発に約20年かかるなど開発費が膨らんだ。最初は対象患者数が約470人と少ない皮膚がんの一種「悪性黒色腫」を対象に発売され、採算を取るため100ミリグラム73万円という高い薬価が付いた。昨年12月に一部の肺がんにも使えるようになり、対象患者数は年1万5000人程度に急増したが、16年度改定には間に合わなかった。

ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20161116/dde/001/040/071000c#csidx7a24027a11ac40c9d98de7fa0184b45
Copyright 毎日新聞

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新医薬品の薬価算定方式は次ぎの通りだが、オプジーボの価格は類似薬がなく、開発費や製造原価、営業利益、流通経費などを積み上げて算出された。

オプジーボの価格設定は下記による。(オプジーボ点滴静注 100mg)

製造原価(開発費を含む) 459,778円
営業利益 170,055円 通常の場合、営業利益率は16.9%
画期的新薬ということで、60%が加算がされ、営業利益率 27.0%
流通経費 45,953円
消費税 54,063円
合計 729,849円

オプジーボは、推定対象患者は470人の希少がんであるメラノーマ治療薬として超高額な薬価が設定されたが、その後、推定対象患者は5万人の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんへ適応が拡大された。

市場拡大の場合の薬価再算定のルールは2000年から実施されている。
一定の市場拡大の場合に最大25%引き下げるというもの。

これに加え、2016年より、年間販売額が極めて大きい品目についての特例が決まった。
年間販売額が1000~1500億円で予想の1.5倍以上の場合は最大25%引き下げ、年間販売額が1500億円超で予想の1.3倍以上の場合は最大50%の引き下げとなる。

小野薬品はオプジーボの2017年3月期の売上高を出荷ベースで1260億円と見込んでいる。
このままでは、薬価引下げは最大25%となる。

厚労省はこれを下記により補正し、年間販売額(末端)を1516億円と試算し、年間販売額が1500億円超で予想の1.3倍以上の場合の最大引下げ率 50%を適用した。
(流通経費や乖離率は実数ではなく、明らかに50%引下げのための恣意的な計算である。)

流通経費 業界平均 7% 卸業者のマージン
消費税 8%
乖離率 業界平均 6.9%の1/2 卸業者による医療機関への納入価格と薬価の差
新薬のため、
1/2にした。

通常の薬価改定であれば、薬価調査を実施して販売額などを調べる。「流通経費」や「乖離率」などは、今回の緊急対応に限ってのものとなる。

超高額薬剤の薬価制度については、2018年度の次期改定に向けて抜本的な見直しを行う方針が中医協で固まっている。

今回の見直しについて、医薬品メーカーサイドの加茂谷専門委員(塩野義製薬常務執行役員)は薬価専門部会で、「イノベーション強化が極めて重要だが、メーカーに十分な収益がなければ、新薬の開発ができなくなってしまう。緊急の引き下げは、今後、あってはならない」旨を訴えた。


小野薬品工業は11月16日、「唐突なルール変更によって経営の予見性を損なうことがないように願いたい」とするコメントを発表した。

日本製薬団体連合会と日本製薬工業協会も同日、「今回の措置は現行ルールを大きく逸脱したもので、今後二度とあってはならない。(通常ではない時期の)大幅引き下げは日本における新薬の研究開発意欲をそぐ」と連名の声明を公表した。

 また菅義偉官房長官は同日の記者会見で「(適用拡大があった経緯などから)50%引き下げても研究開発を阻害することにはならないと思う」と述べた。【細川貴代、久野洋】



ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20161117/k00/00m/040/150000c#csidxf962c28ed0046529372999cfc682a46
Copyright 毎日新聞

日本製薬団体連合会と日本製薬工業協会も同日、「今回の措置は現行ルールを大きく逸脱したもので、今後二度とあってはならない。(通常ではない時期の)大幅引き下げは日本における新薬の研究開発意欲をそぐ」と連名の声明を公表した。

 また菅義偉官房長官は同日の記者会見で「(適用拡大があった経緯などから)50%引き下げても研究開発を阻害することにはならないと思う」と述べた。【細川貴代、久野洋】



ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20161117/k00/00m/040/150000c#csidxf962c28ed0046529372999cfc682a46
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日本製薬団体連合会と日本製薬工業協会も同日、「今回の措置は現行ルールを大きく逸脱したもので、今後二度とあってはならない。(通常ではない時期の)大幅引き下げは日本における新薬の研究開発意欲をそぐ」と連名の声明を公表した。

 また菅義偉官房長官は同日の記者会見で「(適用拡大があった経緯などから)50%引き下げても研究開発を阻害することにはならないと思う」と述べた。【細川貴代、久野洋】



ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20161117/k00/00m/040/150000c#csidxc8b0636bfae60ae8e16ffdd64be125b
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日本製薬団体連合会と日本製薬工業協会も、「 今回の措置は薬価改定がない時期に、企業公表の売上予測を活用して薬価を引き下げるという、現行ルールを大きく逸脱したもので、今後二度とあってはならない。通常ではない時期の大幅引き下げは日本における新薬の研究開発意欲をそぐ」と連名の声明を公表した。

菅官房長官は同日の記者会見で「(適用拡大があった経緯などから)50%引き下げても研究開発を阻害することにはならないと思う」と述べた。

今回の決定はルールを歪めたもので好ましくはないが、適用患者の大幅拡大(当然、原価は大幅に下がる)を考えると妥当と思われる。(薬価はごく少数の患者を前提にしたコストを基に決まっている。)
米国や英国の売価から見ると、日本の薬価が高すぎるのは明らかである。(米国の売価はメーカーが自主的に決めている。)

Samsung Electronicsは11月14日、米自動車部品大手 Harman International Industriesを買収すると発表した。

1株112ドルでの買収で、買収金額は約80億ドルになる。韓国企業による外国企業の吸収・合併としては史上最大。

Samsungにとっては自動車分野への本格参入となる。エレクトロニクス技術と資本力を持つSamsung の参入は、「クルマのIT化」が進む自動車産業に大きな影響を及ぼすとみられる。

Harmanは通信機能を備えた「Connected car」分野の技術に強く、3千万台の車に同社のInfotainment(「情報の提供」と「娯楽の提供」の車載システム)、Telematics(移動体通信システム)、Connected safety and securityなどの自動車及びオーディオ技術が使用されている。

同社の昨年の売上高は69億ドルで、売上高の内訳は下記の通り。 自動車関連は全売上高の65%に達する。

事業
売上高 3,102百万ドル(45%) 2,138百万ドル(31%) 1,014百万ドル(14%) 694百万ドル(10%)
EBITDA 14.3% 15.4% 12.1% 12.2%


Harman は音響機器メーカーとしても知られた存在。近年は自動車分野での事業拡大を進めており、有力メーカーの一角を占めるまでに成長していた。


Samsung は2015年12月に部品事業部門の下に自動車部品事業立ち上げのための「電装事業チーム」を新設したが、迅速な事業立ち上げのため、M&Aを狙っていた。

今回の買収で、両社の業界最大の強み(Best-in-Class) が相互補完されるとしている。


両社の技術の統合で、自動車のみならず、劇場や住宅、および個人の外出先分野で、つぎのような展開が期待される。


原子力規制委員会は11月9日の定例会合で、九州電力が再稼働を目指す玄海原発 3、4号機について新規制基準に適合したことを示す審査書案をまとめた。1カ月間の国民意見公募後に正式決定する。

プルサーマル発電(3号機)での適合は関西電力高浜原発3、4号機、四国電力伊方原発3号機に次いで4基目になる。

設備の詳細設計などさらに2つの審査や使用前検査を経る必要があるため、再稼働は来年度以降になる見通し。

運転開始 型式 能力
万KW
申請 状況 
九州電力
 玄海
① 1975/10/15 PWR 55.9   2015/3/18 九電が廃炉決定
② 1981/3/30 PWR 55.9 未 
③ 1994/3/18 PWR
プルサーマル
118.0 2013/7/12  2015/3/20地裁判決 プルサーマル差し止め認めず
④ 1997/7/25 PWR 118.0


佐賀地裁は2015年3月、「MOX燃料の危険性は認められない」などとして、原告側の請求を棄却した。

MOX燃料などについては「原子力規制委員会の基準を満たし安全」と判断。燃料とそれを覆う管の間に隙間ができる「ギャップ再開」現象が起き、重大事故を招く恐れについては「ギャップ再開やそれによる燃料溶融などの危険は認められない」とした。

使用済みMOX燃料を原発内の貯蔵施設で数百年にわたり長期保存することでの環境汚染の可能性については、「政府は中間貯蔵施設の建設促進を閣議決定している」などとして退けた。

審査合格は5原発10基となるが、3基は40年超のため稼動には長期の工事が必要、高浜の2基は地裁仮処分で停止、川内1号機は定期検査で停止中で、稼働中は川内2号機と伊方3号機のみ。

関西電力 高浜 3*、4*号機 大津地裁の仮処分決定で停止中 2016/6/17 大津地裁、高浜原発の運転停止の仮処分の執行停止の申し立てを却下
1、2号機 40年超  再稼働は2019年10月以降

2016/6/22 関電高浜1、2号機の20年延長、規制委が認可

2016/11/16  美浜 規制委が認可

美浜 3号機 工事完了は2020年3月の予定
四国電力 伊方 3号機*
九州電力 川内 1、2号機 1号機定期検査で停止中 2号機は2016年12月に定期検査で停止
玄海 3*、4号機 今回 「適合」

* プルサーマル

玄海原発周辺には大きな地震を起こす活断層が少なく、想定される最大の地震の揺れは620ガル、津波の高さは約6メートルと他原発に比べて小さい。

なお、制委の前委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授は、大飯原発、高浜原発とともに、玄海原発の基準地震動の過小評価を問題にしている。

しかし、下記の問題がある。

1) 避難計画

避難計画策定が必要な半径30キロ圏に17の離島があり、約2万人が住む。

佐賀、福岡、長崎の3県が連携して実施された原子力防災訓練では、広域避難の難しさが浮き彫りになった。

島外への避難が困難なうえ、島内の避難施設の放射線防護対策も進んでいない。

 
原発が立地する佐賀県と玄海町の同意が必要だが、知事は原発の安全性を十分に確認した上で、再稼働について容認する考え。
そのために、原発に詳しい大学研究者や地元関係者らでつくる第三者委員会や、県内20市町の首長ら多くの意見を聞くという。

2) 使用済み核燃料の扱い

使用済み核燃料は、青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場が本格稼働できていないため、再稼働すれば建屋内の「使用済み燃料プール」で一時的に貯蔵することとなるが、玄海原発の状況は下記の通りで、再稼動した場合、およそ5年で燃料プールが満杯となる。

貯蔵量 管理容量
3号機 578体 789体
4号機 1,080体 1,243体

九州電力では、貯蔵量を増やすため、使用済み核燃料どうしを貯蔵する間隔を狭めることで貯蔵量を増やすリラッキング(reracking)という増強工事を2010年に国に申請したが、今も許可は出ていない。

このため、使用済み核燃料を金属製の容器に移して建屋で保管し空気で冷やす「乾式貯蔵」の導入を検討しているが、保管場所が決まっていないし、長期保存につながるため、地元の反対の恐れがある。

他に東京電力の柏崎刈羽原発と日本原子力発電の東海第二原発が使用済み核燃料の貯蔵能力の余力が極めて少ない。

2013/12/3 使用済み核燃料の処理

ベトナム政府は11月10日、日本企業が受注しているベトナムで初めての原子力発電所の建設計画の中止を求める決議案を国会に提出した。11月22日採決の予定で、提案通り可決される可能性が高い。

付記 ベトナム政府は11月22日、同国南部に建設することになっていた原子力発電所の計画を中止すると決めた。

日本にとって新興国での初の原発受注で、インフラ輸出に弾みがつくと期待されていた。原発輸出を成長戦略の一つに位置づける安倍政権にとって大きな打撃となる。


安倍首相は11月11日、訪日中のインドのモディ首相と会談し、日印原子力協定に調印した。
インドへの原発輸出が可能になる。

インドは核拡散防止条約(NPT)に加盟していないため、インドが核実験を再開した場合、日本側が協定を破棄・停止できるという内容の
「見解及び了解に関する公文」を交換した。(日本は協定本文への記載を求めたが、インド側は、「核政策は主権に関わる」として拒否した。)


ベトナム政府は、国内で初めてとなる原子力発電所を南部のニントゥアン省の2か所に建設することを計画し、日本とロシアの企業が1か所ずつ受注した。

立地 能力 担当
ニントゥアン第一原発 Ninh Thuan省Phuoc Dinh 200万kw x 2 ロシア
ニントゥアン第二原発 Ninh Thuan省Vinh Hai 200万kw x 2 日本

当初は2014年に着工することになっていたが、2011年の東京電力福島第一原発事故のあと、安全基準の再検討などを理由に計画が延期され、着工のめどは立っていなかった。
福島事故を受け、住民の反発が強まっていた。

ベトナム共産党は本年1月、2016~20年の新指導部について最高指導者のグエン・フー・チョン書記長の留任を決めた。

原発計画を進めてきた親日派のグエン・タン・ズン首相は一時は書記長就任が本命視されていたが、4月7日に退任し、引退、グエン・スアン・フック首相が就任した。

グエン・タン・ズン前首相はTPP参加を決めるなど経済重視や改革を主導してきたが、党指導部からの反発も強かったとみられる。

その後、原発の建設費用が当初予定の2.7倍の270億ドルになるという試算が明らかになり、新体制下で、原発の安全性や財政面での不安が議論になったものとみられる。

原発計画を担当する国会の委員会の副委員長は以下の通り述べた。

想定を大幅に上回る建設コストや財政難、核廃棄物への懸念などが撤回の理由である。
原発建設コストが想定の2倍以上となることが見込まれ、発電コスト上昇も避けられず、このような大規模プロジェクトに投資し続けると、公的債務がさらなるリスクとなる。


2016年10月 に、ベトナム政府が原発の追加建設計画を取り消し、韓国政府が進めてきた韓国型原子力発電所のベトナムへの輸出が事実上白紙化された。

韓越両国は2011年11月の首脳会談で、「韓国型原発APR−1400」のベトナムでの建設を盛り込んだ「原発建設総合計画」を承認した。

その後、立地選定など実務内容を協議するための「予備妥当性調査」を進めてきた。

ーーー

ベトナムでは2000年代に入ると原発の建設計画が具体化し、各国政府(ロシア、中国、韓国、フランス、日本)および原子力企業の売り込みが活発になった。

2009年11月に、ベトナム国会で、2020年~2022年までに100万KW 2基の原子力発電所を2カ所に建設する計画が承認された。

第一原発はロシアが主導権を握ることとなり、2009年12月に両国政府が協定を結び、2011年12にロシアの原子力企業 Rosatomが建設に合意した 。

第二原発については、2010年10月31日に菅直人首相(当時)とグエン・タン・ズン首相との首脳会談がハノイで行われ、日本をパートナーとすることがズン 首相から表明された。

2011年2月に日本原子力発電がベトナム電力公社と原子力発電導入に関する協力協定を締結した。

原発輸出には原子力協定の締結が必要だが、2011年12月に、ヨルダン、ロシア、韓国、ベトナム4カ国との原子力協定が国会で承認された。


その後、ベトナム政府は2010年6月に、2030年までに原子力発電所を8カ所、計14基(計1500万~1600万キロワット)建設・稼働するとした原発開発方針を承認した。

ベトナム政府の当時の電力マスター・プランによると、ベトナム国内の電力需要は2005年から20年までの間で年率10%増加し続け、電力供給は逼迫する。

水力発電の比率は2010年では36%を締めるが、ベトナムではモンスーン気候の影響で年間を通じて安定的に供給できる電源とは言えず、また建設可能な水域が少なくなっている。

火力発電は資源価格の高騰や二酸化炭素排出の問題を考慮すると増設は困難となる。

このため、政府は原子力発電の開発を進めた。

今後、ベトナムのエネルギー計画が見直される。

LG Chemは11月7日、広東省恵州市のJVのABS能力を倍増すると発表した。
現在の能力150千トンを1億ドルを投じて倍増し、300千トンにする。

LG Chemでは、国際的なブランド力と差別化した技術サービスで中国最大の華南地方でのABS市場を支配するとしている。また東南アジア市場への進出の基地としたいともしている。

LG Chem は2009年7月に、中国海洋石油(CNOOC)との50/50 JV CNOOC & LG Petrochemicals Co を設立し、370百万ドルを投じて広東省恵州市にABS工場を建設すると発表した。

2011年に先ず15万トンをスタート、2013年に倍増して計30万トンを生産するとしていた。

広東省恵州市にはCNOOCの12百万トンの製油所と、Shell/CNOOCの50/50JVの中海シェル石油化学があり、ABSの原料はCNOOCがここから供給する。

2009/7/25 LG Chem、中国海洋石油との合弁で広東省でABSを生産

今回の能力倍増を機に、LG Chem のJV出資比率を現在の50% から70%に増やす。

ーーー

LG Chemは中国では既に、浙江省寧波市に寧波LG甬興化工(LG Chem 75%/甬興化工 25%)を有している。

1996年に設立し、当初60千トンでスタート、2001年に150千トンに、2002年に300千トンに増設(その後手直しで330千トン)、2006年9月には480千トンとした。

その後の増強で現在の能力は800千トンになっている。

ーーー

LG Chemは、本国の麗水で850千トンのABSプラントを持つ。

同社はこのたび、韓国での石化事業の競争力強化のための事業構造の高度化に本格的に乗り出した。

LG化学は10月16日、高付加価値製品の拡大に必要な基礎原料を確保するため、大山工場のエチレンの増設に乗り出す一方、供給過剰であるPS製品ラインを高付加価値のABS生産設備に転換することにしたと明らかにした。

大山工場に2870億ウォンを投資してエチレン能力を104万トンから127万トンに増やす。
麗水工場の116万トンを加えると、総能力は243万トンとなる。

また、2017年上半期までに麗水工場内のPS生産ライン2系列のうち、1系列を高付加価製品であるABS生産ラインに転換する。

LG化学のPSの国内能力は年間100千トンから50千トンに縮小、海外技術ライセンス用に保持する。
ABSの国内能力は850千トンから880千トンに増大。

ーーー

この結果、同社のABSの能力は次ぎのとおりとなる。

現状

2018年

韓国 麗水 850千トン 880千トン
中国 寧波 800千トン 800千トン
中国 惠州 150千トン 300千トン
合計 1,800千トン 1,980千トン

LG Chemでは増設の結果、グローバルのシェアが現在の21%から26%にアップするとしている。

トランプの公約

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余り注目されなかったが、Ronald Trump は10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 "Donald Trump's Contract With The American Voter" を発表している。

大統領戦に勝利したため、これらを実際に行うかどうか、注目される。

「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランで、内容は次ぎの通り。


先ず、大統領就任の1日目に、Washington, DCの不正と特定利益の共謀をクリーンアップするため次ぎの6項目を実施する。

1)  上下両院議員の再任を制限する憲法改正を提案

2) 連邦職員削減のための雇用凍結(military, public safety, and public healthは除く)

3) 連邦規則 1つ新設の場合には既存の2つの規則をなくす。

4) White Houseと議会の職員が退職後5年間はロビイストになることを禁止

5) White House職員が外国政府のロビイストになることを永久禁止

6) 外国のロビイストが米国の選挙のために資金を集めることを完全禁止



また大統領就任の1日目に、米国の労働者保護のため、7つのアクションを行う。

1) 米・加・メキシコの北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表

2) TPPからの撤退を宣言

3) 財務長官に命じ、中国を為替操作国に指定

付記 為替操作国に対する措置は下記を参照
    
2016/10/19 米財務省、外国為替報告書で前回4月に続き日本を「監視対象」に指定

4) 商務長官と通商代表に命じ、米国の労働者に不当な影響を与える全ての外国の貿易阻害行為を明らかにし、それらを直ちにやめさせるよう、あらゆる手段を使う。

5) シェール、原油、天然ガス、クリーンな石炭など50兆ドルものエネルギーの開発への制限を取り除く。

6) Obama-Clinton が停めた Keystone Pipelineなどのエネルギー関係のインフラ計画を進める。

7) 国連の気候変動計画への数十億ドルの支払を取り止め、その資金を米国の水と環境のインフラの補強に使用する。



更に、同じ1日目に、安全保障と憲法のルールを取り戻すための5つの行動を取る。

1) オバマ大統領が決めた全ての憲法に反する指令等を廃止する。

2) 亡くなったJustice Scaliaの後任を選ぶ手続きの開始

3) Sanctuary City(聖域都市:不法移民者が生活し働くことができる)への全ての国家資金使用の禁止

4) 200万人以上の不法移民犯罪者の米国からの追放を開始、彼らを引き取らない国へのビザをキャンセル

5) 身元調査ができないテロの温床地域からの移民を中断。



次に、以下の法案を提案し(詳細は英文で記載)、政権の最初の100日で議会を通すよう戦う。

1) 中間クラスの減税、税簡素化:これにより4%の成長率と25百万の雇用を創生  法人税率は35%を15%に引き下げ

2) Offshoring Act(事業の海外移転法)を廃止、米企業が海外移転のために国内の従業員をリストラする場合には彼等の対米輸出製品に関税を課す。

3) American Energy & Infrastructure Act.  今後10年間で1兆ドルのインフラ投資を呼び込むために、民間のパートナーシップと民間投資を促す。

4) School Choice And Education Opportunity Act. 子供たちを希望通りの学校に通わせることができる権利を両親に与える。

5) Obamacare Actの廃止。各州に医療資金を管理させる。

6) Affordable Childcare and Eldercare Act。育児と老人介護の費用の控除を認める。

7) 不法移民を排除するために南部国境沿いにメキシコ政府の費用で壁を建設する。

8) Community Safety Actの復活。犯罪、麻薬、暴力事件を減少

9) National Security Act の復活。米軍の再建

10) Washington DC(米政界)の腐敗を浄化


以下全文

  1. Middle Class Tax Relief And Simplification Act. An economic plan designed to grow the economy 4% per year and create at least 25 million new jobs through massive tax reduction and simplification, in combination with trade reform, regulatory relief, and lifting the restrictions on American energy. The largest tax reductions are for the middle class. A middle-class family with 2 children will get a 35% tax cut. The current number of brackets will be reduced from 7 to 3, and tax forms will likewise be greatly simplified. The business rate will be lowered from 35 to 15 percent, and the trillions of dollars of American corporate money overseas can now be brought back at a 10 percent rate.

  2. End The Offshoring Act. Establishes tariffs to discourage companies from laying off their workers in order to relocate in other countries and ship their products back to the U.S. tax-free.

  3. American Energy & Infrastructure Act. Leverages public-private partnerships, and private investments through tax incentives, to spur $1 trillion in infrastructure investment over 10 years. It is revenue neutral.

  4. School Choice And Education Opportunity Act. Redirects education dollars to give parents the right to send their kid to the public, private, charter, magnet, religious or home school of their choice. Ends common core, brings education supervision to local communities. It expands vocational and technical education, and make 2 and 4-year college more affordable.

  5. Repeal and Replace Obamacare Act. Fully repeals Obamacare and replaces it with Health Savings Accounts, the ability to purchase health insurance across state lines, and lets states manage Medicaid funds. Reforms will also include cutting the red tape at the FDA: there are over 4,000 drugs awaiting approval, and we especially want to speed the approval of life-saving medications.

  6. Affordable Childcare and Eldercare Act. Allows Americans to deduct childcare and elder care from their taxes, incentivizes employers to provide on-side childcare services, and creates tax-free Dependent Care Savings Accounts for both young and elderly dependents, with matching contributions for low-income families.

  7. End Illegal Immigration Act Fully-funds the construction of a wall on our southern border with the full understanding that the country Mexico will be reimbursing the United States for the full cost of such wall; establishes a 2-year mandatory minimum federal prison sentence for illegally re-entering the U.S. after a previous deportation, and a 5-year mandatory minimum for illegally re-entering for those with felony convictions, multiple misdemeanor convictions or two or more prior deportations; also reforms visa rules to enhance penalties for overstaying and to ensure open jobs are offered to American workers first.

  8. Restoring Community Safety Act. Reduces surging crime, drugs and violence by creating a Task Force On Violent Crime and increasing funding for programs that train and assist local police; increases resources for federal law enforcement agencies and federal prosecutors to dismantle criminal gangs and put violent offenders behind bars.


  9. Restoring National Security Act. Rebuilds our military by eliminating the defense sequester and expanding military investment; provides Veterans with the ability to receive public VA treatment or attend the private doctor of their choice; protects our vital infrastructure from cyber-attack; establishes new screening procedures for immigration to ensure those who are admitted to our country support our people and our values.

  10. Clean up Corruption in Washington Act. Enacts new ethics reforms to Drain the Swamp and reduce the corrupting influence of special interests on our politics.

Total は11月8日、National Iranian Oil Company (NIOC) との間で、世界最大のガス田 South ParsのPhase 11 の開発で Heads of Agreement を締結したと発表した。
今後、独占交渉を行い、20年間の本契約を締結する。Totalは並行して設計と入札準備を行う。

欧米各社はイランの核問題をめぐる経済制裁を受け2009年にイランから撤退した。
2016年1月に経済制裁が解除されて以降、 日本を含め、欧米の各社がイランと交渉を行っているが、具体的に合意に達したのは初めて

米国のイラン制裁は続いており、米国人や米国企業を介す取引はできない。
このためTotal はユーロ建ての自社資金で投資する。イラン政府は製品をTotal に渡し、Total は国際市場でこれを販売する。

Total は2000年代にSouth Pars のPhase 2 とPhase 3 の開発に成功しており、「復帰を喜ぶ」としている。

South ParsのPhase 11 計画の概要は下記の通り。

出資
フランス Total 50.1%
Petropars (NIOC 100%子会社) 19.9%
中国 CNPC 30.0%
生産能力 天然ガス原油換算 日量 37万バレル
開発
契約期間: 20年
第一段階: 投資額20億ドル、30のガス井と2つのプラットフォームを建設、2本の海底パイプラインで本土の処理設備に輸送
第二段階: 追加の投資額20億ドル。海上の圧縮設備建設を含む


世界の国別の天然ガスの埋蔵量は下記の通り。
 


Bloomberg は11月4日、司法省がジェネリック医薬品の価格談合で捜査をしており、年末までに起訴 するだろうと報じた。

司法省の独禁法違反捜査は2年前に始まり、今では捜査範囲は10社以上、20以上の医薬品に広がっている。

心臓治療薬や抗生物質が捜査対象となっており、召喚令状が出た企業は、Mylan NV やTeva Pharmaceutical Industries、Actavis (Teva がAllergan Plc から買収), Lannett 、Impax Laboratories、Covis Pharma、Sun Pharmaceutical Industries、Mayne Pharma Group、Par Pharmaceutical Holdings(Endo International 子会社)、Taro Pharmaceutical Industries など多数。

今後、自動車部品カルテル(46社が合計28億ドルの罰金を払い、65名が起訴され、うち 31名が禁固刑)のようになるのではとの見方がある。

米国では昨年、医薬品の値上げが大問題となった。

Mylanが、命の危険がある急性アレルギー反応「アナフィラキシー」を緩和するために用いられる注射薬「EpiPen」の価格をかつての5倍にまで引き上げ、不当に利益を得ているとして非難を受けた。

カナダのValeant Pharmaceuticals が2種類の心疾患治療薬を大幅に値上げしたことをめぐり、米議会下院の監視・政府改革委員会の民主党委員らが問題視した。

2016/8/30 Mylanの医薬品 EpiPenの値上げに対する批判

Turing Pharmaceuticalsの経営者Martin Shkreli はAIDS治療薬「Daraprim」の権利を他社から取得した上で、販売価格をこれまでの13.5ドルから750ドルに、いきなり55倍もの大幅な値上げを断行し、Hillary Clintonから非難を受けた。

Martin Shkreliは、買収した企業の資産を使って自分が前に買収した企業の買収資金を返済をするという行為を繰り返しており、証券詐欺(日本の特別特別背任罪)の容疑で逮捕された。

これまではブランド医薬品が注目されたが、司法省はジェネリックに注目した。

ジェネリック医薬品は米国では処方箋の88%を占め、2015年の米国での売上高は700億ドルに達する。

今回、テトラサイクリン系抗生物質のDoxycycline と心不全治療薬 Digoxin が問題になっている。

Mylan とPar はDoxycyclineで調査を受けている。他にActavis、Sun、Mayne、Lannett が製造しているが、調査を受けているかどうかはノーコメントとしている。

Digoxin については、Impax、Lannett、Par、Sun が製造している。Mylan はこれのブランド品を生産しているが、調査は受けていない。

Digoxin の価格は下図のとおりで、2013年10月に Lannettがそれまでの 0.17$ から一気に 1.185$に値上げし、その6日後にImpax が0.14$から1.185$に値上げした。当時この2社が市場を抑えていた。

2014年1月にPar が1.185$で市場に参入、2015年3月にSun Pharma が追随値上げした。
(この価格はリストプライスで、値下げやリベートを織り込まないもの)


このほか、Impax は乾癬治療薬のCalcipotrieneでも聞かれたとしている。この薬はイスラエルのTaroも生産している。


三菱商事は11月2日、連結子会社 Cordova Gas Resources Ltd.の全株式を10月31日付けでPenn West Petroleum Ltd.に譲渡したと発表した。

同社は、Cordova Gas Resourcesを通じて、西カナダからのLNG輸出プロジェクト向けの原料ガス手配を念頭に、ブリティッシュ・コロンビア州北東部に位置するCordovaシェールガスの権益を有していたPenn Westより同鉱区の50%権益を2010年に取得した。

2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画

発表には示されていないが、中部電力・東京ガス・大阪ガス・JOGMECがこれに参加するため、Cordova Gas Resourcesに出資した。
三菱商事が70%出資となり、4社が7.5%ずつ出資した。(2016年3月時点の三菱商事の出資比率は67.5%となっている)

2014年に日本側持分で日量約 5億立方フィート(LNG 換算で約350万トン/年)の生産量を目指した。
北米市場で外販するが、日本向け輸出も考えた。

2011/5/14 中部電力ほか、カナダシェールガス開発プロジェクトに参加

その後、2011年10月よりシェールガスの生産を開始し、現在は日量30百万立方フィート前後(LNG換算で約22万トン/年)を生産している。
現在の生産量は当初の目標(日本側持分でLNG換算で約350万トン/年)からは大幅減となっている。

三菱商事は2015年3月決算で本計画で38,309百万円の減損損失を計上している。

今回、西カナダの天然ガス価格の見通しや将来的な Cordova事業の経済性について検討した結果、Penn Westに譲渡することが最適と判断した。

三菱商事は2008年6月に、米国でガスマーケティング事業を展開しているCIMA Energy Ltdの持分34%を同社の個人パートナーから取得した。
Cordovaのガスも
CIMA Energyなどを通じて、北米市場で販売するが、市場までの距離が遠く、輸送コストがかかる。

LNGでの輸出も、日本が輸入するアジアや中東産の原油価格スライドのLNGの価格が下がっており、採算に懸念がある。

試算ではGulf Coastからの輸入(運賃3$)は現在の輸入価格よりはるかに高い。カナダ西海岸(運賃 1.3$程度)からでも同様である。

今回の発表では Cordova Gas Resourcesは三菱商事の100%子会社となっている。
恐らく
、中部電力・東京ガス・大阪ガス・JOGMECと協議のうえ、三菱商事が各社から持分を買い取った上で、Penn West Petroleumに売却したと思われる。

譲渡価額については、相手先との守秘義務を踏まえ、開示していないが、6月30日時点の財務諸表に基づき、相手先との交渉により決定した公正価額としている。


取引は Partnership structure を採用、GE Oil & Gas とBaker Hughes は新設のPartnership に関連資産を拠出する。
新設の上場企業を通して、GE はPartnership の権益の 62.5%を、Baker Hughesの既存株主は権益の37.5% を受け取る。
Baker Hughesの既存株主は更に、GEがPartnership に拠出する74億ドルを使って、1株当たり17.50ドルの特別配当を受け取る。

新会社はHouston とLondon に本社を置く。GE Oil & GasのCEOが新会社のCEOになり、GEのJeffrey Immelt 会長兼CEOが会長に、Baker Hughes のCEOが副会長に就任する。

新会社は従業員数は約7万人、売上高は320億ドルを見込んでいる。

GEのJeffrey Immelt 会長兼CEOは、統合が事業領域を拡大し、長引くエネルギー業界の低迷を乗り切るのに寄与するだろうと述べた。「今回の取引は分離というよりは事業の強化だ」と述べた。

油田サービス業界ではコスト削減やサービス、流通経路の多様化に向け提携の動きが強まっている。

今回の統合で米国の業界の姿は次のようになる。

Baker Hughes はHalliburtonが買収を決めていた。

Halliburton Co は2014年11月17日、Baker Hughes を現金と株式で買収すると発表した。買収総額は346億ドルに上る。

これについて、米司法省は1年半近くにわたって競争上の問題がないかを審査してきたが、2016年4月6日、買収は競争を脅かす恐れがあるとして、Halliburtonを提訴した。

買収は石油探査で使用する23種類の製品・サービスにおいて直接的な競争を失う恐れがあると主張した。
洋上掘削仕上げや油井を強固にする工程などで両社を合わせた市場シェアは5割を超え、首位の
米のSchlumberger を加えると、占有率は99%に達するという。
Halliburtonが対策として提案している事業売却案は不十分であると看做した。

Halliburton とBaker Hughes は2016年5月1日、合併を取り止めると発表した。
Halliburton がBaker Hughes に契約解除金35億ドルを支払う。


2016/4/11 米司法省、
油田サービス会社2位のHalliburton による 同業3位のBaker Hughes 買収を認めず

一方、Schlumberger は2015年8月26日、掘削機材メーカーのCameron International を約127億4000万ドルで買収すると発表した。

Cameron株主は1株につき現金14.44ドルとSchlumbergerの0.716株を受け取り、統合後の会社の約10%を握ることとなる。

こちらについては独禁法上で問題とされず、Schlumbergerは本年4月1日にCameron買収を完了したと発表した。

2015/9/1 油田開発・サービス世界最大手のSchlumberger、Cameron International を買収

今回の統合についてアナリストは、両社の事業のオーバーラップがはるかに少なく、基本的に補完的であり、強力になってSchlumbergerやHalliburtonと競合することになるため、競争を強化することになる。独禁法で厳しい判断がされることはないだろうとみている。

ーーー

GEの Immelt 会長兼 CEOはここ数年にわたり、GEの事業改革を進めてきた。

2015年6月、金融事業の大幅縮小を打ち出し、2017年末ごろまでに2500億ドルの資産を売却する方針を決めた。

GE Capitalは世界有数の金融機関で、その保有資産は 5000億ドル、GE全体の売上の3~4割を占め、利益ベースでは半分近くを稼いでいる。

2015年8月、医療事業者向けの金融事業を貸出債権を含めて85億ドルで米金融機関のCapital One売却すると発表、また GE Capital Bank のインターネット銀行事業と預金約160億ドルをGoldman Sachs Bankに売却することで合意した。

2015年10月に、消費者ローンやリースなど金融部門の一部を米銀行大手Wells Fargoに売却すると発表した。譲渡する資産の規模は約320億ドル。

2015年12月、日本における法人向けのリースおよび融資事業を三井住友ファイナンス&リースに売却することで合意した。対象となる最終正味投資額は約46億米ドルで売却価格は約48億米ドル。

一方、2015年11月に仏重電大手 Alstomのエネルギー部門の買収手続きを完了した。買収額は97億ユーロで、再生可能エネルギー部門、送配電部門の各子会社の発行済み株式の50%、原子力発電向けのタービン事業子会社では80%をそれぞれ取得した。(AlstomはGEの鉄道信号システム事業を譲り受け、鉄道ビジネスの専業企業になる。)

GEは今回の石油・ガス事業のスピンオフにより、ジェットエンジン、ガスタービン、医療用スキャナ、機関車の4部門に注力することになり、 通期売上高は約1000億ドルに縮小する。
なお、今回、水処理システムを製造するGEウォーター事業部門を売却する予定だと発表している。




日東電工は11月2日、阪大微生物病研究会と共同で、季節性インフルエンザHAワクチン舌下錠の第Ⅰ相臨床試験を開始したと発表した。

このワクチンは錠剤を舌の下に置き唾液で1分程度で溶かしてから体内に取り込む方式。

体内に侵入して増殖したウイルスを撃退するだけでなく、ウイルスの入り口である鼻などの粘膜上にも抗体を作りウイルスが侵入すること自体を防ぐ効果が期待され、体内にしか抗体を作れない注射法より高い効果を動物実験で確認できたという。

投与が容易で、医療技術者が不足する災害現場などでの使用にも適している。

舌下投与でワクチン効果を得ることは近年注目される方法だが、口の中は食事などで異物を取り込むため免疫機能が起きづらく、補助剤なしには抗体ができない。

日東電工と大阪大学・京都大学の研究グループは、免疫活性化物質 IP-PA1(Immunopotentiator of Pantoea agglomerans 1)を舌下投与するとインフルエンザワクチンによるインフルエンザ抗体の産生を増強することを初めて報告した。この作用はアジュバンド効果と言われる。

IP-PA1は、生体内に侵入した細菌やウイルス、死んだ細胞を捕捉、分解するマクロファージのTLR4受容体に結合することで、マクロファージをを活性化する。

http://sangyo.jp/foodhealth/article/20080516.html


阪大微研がワクチンのもとになる抗原を担当、日東電工がアジュバンドを担当する。日東電工が持つ、錠剤にして効果を安定させる技術も活用する。


本システムは下記の特長を持つ。

本システム 既存注射剤
ウイルスの感染自体を防ぐ効果 なし
投与時の痛みが無い あり
常温での保管が可能
常温で数年間、40℃でも6カ月間保存可能)
冷蔵で1年しか保存できない。

日東電工では、今後本ワクチンの一日も早い実用化を目指すとともに、ワクチン分野における本プラットフォームの幅広い展開を図る。

日産自動車は10月26日の経営会議で、英国のSunderland 工場で現在生産しているSUV「Qashqai」の次期型車に加え、次期型「X-Trail 」を同工場で生産することを決定した。

Qashqai は日産自動車がかつて日本国内で製造・販売していた「デュアリス」で、フルモデルチェンジを受けて欧州その他で販売している。


日産はSunderland 工場への投資を増やし、同工場で働く 7,000人以上の雇用を確保、維持することになる。
同工場は7,000人以上の従業員に加え、サプライチェーンにおける 28,000人の雇用を支えている。

同社は発表で、本決定は、Sunderland 工場の競争力維持を公約する英国政府の表明を受けてなされたものとしている。

Carlos Ghosn社長は、「英国政府から支援と公約を得られたことで、Sunderland 工場での次期型Qashqaiと次期型X-Trail の生産決定につながった。Theresa May首相の、英国の自動車産業および産業戦略全体の発展に対する強い決意に敬意を表す」と語った。

ゴーン社長は10月14日にTheresa May首相と面会している。

面会後に社長は、「英国が事業を展開する上で競争的な場所であることを英政府が引き続き保証すると確信している」と述べた。
May首相は声明で「英政府は自動車業界にとり適切な環境を作り出し、支援することにコミットしている」との立場を示した。


日産自動車の投資継続の発表を受け、英紙 The Timesは10月27日、この決定が英国政府からの秘密の保証を受けてなされたと報じた。
May首相がゴーン社長に対し、英国で新しい自動車を生産する場合、日産はBrexitにより損をすることはない(not "lose out") と約束したとする。

更に28日には、Greg Clark ビジネス・エネルギー・産業戦略相が日産の経営陣に対し、「英国からEUへの自動車輸出に関税が生じる場合でも、日産が負担する必要はない」との内容の手紙を送っていたと報じた。

英国がEUから離脱し、WTOルールが適用された場合、自動車は欧州向けで10%の関税が必要となる。

日産がこの恩典を受ける場合、英国で生産するトヨタ、ホンダ、Vauxhall(GM子会社)などにも適用する必要が出てくるため、多額の財政支出となる。

Clark ビジネス・エネルギー・産業戦略相はBBCの番組に出演、日産に約束をしたのかどうか6回も聞かれたが、明確な回答はしなかった。

英国日産のSenior VP は、政府は日産に特定の補償を約束していないと述べた。

英国の野党は日産との約束の内容を明らかにするよう要求している。

ーーー

日本政府は9月に、英国のEU離脱決定をめぐり、日系企業に関税や通関手続きなど新たな負担がかからないよう求めた要望書を送っている。

2016/9/7 日本政府、Brexit で英国に警告 


Wall Street Journal は11月1日、カナダの製薬大手Valeant Pharmaceuticals International が多額の債務を軽減するため、胃腸薬事業のSalix Pharmaceutical を武田薬品工業に約100億ドルで売却する交渉を行っていると報じた。

Valeant はSalixに限定せずに第三者といろいろな売却の交渉をしていると述べた。

この報道を受け、武田は11月2日、下記の発表を行った。

当社は、当社の事業成長を加速するために、重点領域(消化器系疾患領域、オンコロジー、中枢神経系疾患領域およびワクチン)を中心とした様々な戦略オプションを常時、検討しております。当社は、重点領域において、常に複数の相手先との案件について交渉を行っていますが、現時点で開示すべき合意事案はありません。

Salix Pharmaceuticalは、Valeantが1年半前に111億ドルの現金(負債込みで158億ドル)で全株を買い取った。

Valeantは2015年2月22日に101億ドルの現金(借入金込みで145億ドル)での買収に合意した。

しかし、アイルランドの医薬会社Endo International plcが3月11日、112億ドルの現金と株式で 全株を買い取る提案を行った。

このため、Valeantは3月16日に、上記の新しい条件での買収で Salix Pharmaceuticals と合意した。

Salixは胃腸病薬の市場のリーダーで、有名な処方薬4種を含め合計22種類の薬を保有する。米国の胃疾患治療薬市場(GI市場)は50億ドル規模で、年間5%拡大しているが、Salixの売り上げの伸びはこの市場成長ペースを上回っている。



Valeant はこれまで、成長の大部分を買収や、買収で手に入れた割安な医薬品の値上げに依存していたが、
この買収によってValeantの債務は310億ドルへと2倍前後に膨らみ、また、米国での医薬品値上げで監督当局や政治家から監視の対象となり、苦境に陥った。

Valeant Pharmaceuticals が2種類の心疾患治療薬を大幅に値上げしたことをめぐり、米議会下院の監視・政府改革委員会の民主党委員らが問題視した。

ValeantはMarathon Pharmaceuticals から2種類の心疾患治療薬(特許切れだがジェネリック品無し)を買収したが、即日、大幅値上げした。

2016/8/30 Mylanの医薬品 EpiPenの値上げに対する批判 後半

株価も暴落している。

Valeantは本年4月25日にライバルのアイルランドの製薬大手 Perrigo Co. のCEOのJoseph Papaを会長・CEOとして迎えることを決めた。
Valeant は再建対策の一つとしてコアでない資産の売却も検討している。

Wall Street Journal (5月26日付)によると、本年春に武田薬品と投資会社TPGから共同でのValeant 買収提案があったという。

武田薬品の狙いは旅行者下痢症やIBS(過敏性腸症候群)のような胃疾患薬を扱う Salix Pharmaceuticalsではないかとみられた。
Salix のIBS薬の Xifaxanに期待しており、本年の売上高を10億ドルとみている。

同紙によると、武田薬品も2015年のSalixの争奪戦に参加していたとされる。

この経緯からみて、今回の買収交渉は決して驚くものではない。

 
  Valeant について

2014/10/22 米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦 
2015/2/28 Valeant Pharmaceuticals、米同業Salix Pharmaceuticalsを買収
2015/3/18 Salix Pharmaceuticals の買収合戦
2015/8/26 Valeant Pharmaceuticals、女性用バイアグラの Sprout Pharmaceuticalsを買収
2016/5/30 武田薬品、カナダのValeant Pharmaceuticalsに買収を提案、拒否される

ーーー

武田薬品は2008年4月に、米国バイオ医薬品会社 Millennium Pharmaceuticals, Inc.を約88億ドルで買収することを発表した。
同社は5月9日、91.9%の応募を受け、本TOBが成立したと発表した。

癌領域におけるリーディングカンパニーで、癌領域および炎症疾患領域において有望なパイプラインを保有する。

2011年5月19日、スイスのチューリッヒに本社を置く非上場製薬会社Nycomed A/S を買収すると発表した。
買収額は株式価値+純負債ベースで96億ユーロ(約1.1兆円)

同年9月30日に買収を完了し、同日をもって100%子会社とした。

2011/5/23 武田薬品、Nycomed社を買収 

2014年6月にGlaxoSmithKline 出身のChristophe Weber を代表取締役社長とし、翌年CEOになった。

同社は消化器系疾患領域、オンコロジー(癌)、中枢神経系疾患領域の3分野(+ワクチン)を重点領域とし、これらの分野に経営資源を投じるため、事業の選択と集中を進めている。

2015年12月16日、呼吸器系疾患領域事業をAstraZenecaに5億7500万ドルで売却することで合意した。

2015/12/22 AstraZeneca、買収による事業拡大 

2015年11月30日、後発薬世界最大手のイスラエルのTeva Pharmaceutical と、日本で両社によるジェネリック医薬品の合弁会社を設立する基本合意契約を締結した。

武田薬品は長期収載品事業を分割し、ジェネリック医薬品事業を営む大正薬品に承継、大正薬品は武田テバ薬品と改称する。

2015/12/28 武田薬品とTeva Pharmaceutical の日本の合弁会社の概要 

武田薬品は子会社で試薬大手の和光純薬工業の売却を決めていたが、11月3日の日経は富士フィルムが2000億円規模で買収する方向で最終調整に入ったと報じた。

1922年に当時の武田長兵衞商店から分離して武田化学薬品とし、1947年に和光純薬工業と改称した。
武田薬品が69.43%、富士フイルムが 9.51% を出資する。

ES細胞やiPS細胞の培養につかう試薬など有望技術を持つ。

富士フィルムと日立化成、Carlyle Groupが応札していた。


今回の多額での買収はこの選択と集中の一環である。



東京電力福島第一原発で、5、6号機の外部電源を引き入れている送電線の末端にある鉄塔「引留鉄構」が1978年8月の5号機運転開始当初から未点検だったことが発覚し、原子力規制委員会は11月2日、保安規定違反にあたると判断した。

規制委によると、今年8月、福島第一原発の5、6号機に引き込まれている送電線の鉄構で、支柱が破断するなど44カ所の亀裂が見つかった。
送電線の末端部は、送電側と発電所側で管理の所管が変わる部分で、発電所側が鉄構の点検の必要性を認識していなかったという。

損傷箇所は下記の通り、多数となっている。

支柱① 支柱② 支柱③ 合計
主材 4箇所中 1箇所 4箇所中 1箇所 4箇所中 1箇所 12箇所中  3箇所
水平材、斜材 52箇所中 12箇所 52箇所中 16箇所 52箇所中 13箇所 156箇所中 41箇所

東電では、2011年3月の東北地方太平洋沖地震による可能性も否定できないとしており、付け替えなどの対策を取る。
地震の後も、被害の有無をチェックしていなかったのは驚きである。

規制委はこの引留鉄構について、5号機の運転開始以降、一度も点検せず保安規定に定められた保全計画が未策定だったと確認した。

第一原発の問題を受け、第二原発についても9月の保安検査で調べた結果、第一原発と同様に保全計画が未策定だったと判明した。
巡視や補修は行われており損傷もなかったが、規制委は「保全計画がない点では第一原発と同様」と判断した。

原子力規制委員会は11月2日、第一原発の対応を実施計画違反、第二原発の対応を保安規定違反とそれぞれ判定した。


田中俊一委員長は東電について「組織の体制が不十分」と批判した。

島野製作所がアップルを特許権侵害で訴えた控訴審で、知的財産高裁は10月26日、特許権の侵害がないとした一審・東京地裁判決を支持、島野製作所の控訴を棄却した。


島野製作所は、電源アダプターに使われる「pogo pin」というるコネクタ部分の接触端子の専業メーカーで、2005年からアップルのノートパソコン(Magsafe、Magsafe 2)に接続する電源アダプタ側の端子向けに、単独サプライヤーとして供給してきた。

島野は2012年にアップルから増産要求を受け設備投資を実施したが、直後に取引を急減させられた。

島野は取引回復を求めたが、納入価格を半額以下にするよう要求され、さらに納入済みの在庫部品についての値下げ分として約159万ドルのリベート支払を求められた。

島野はいずれの要求にも従ったが、2014年8月にアップルを相手に独占禁止法違反と特許権侵害で訴えた。

① 独禁法違反等  リベート支払等に関する損害賠償請求(約100億円)

② 特許権侵害   一部のアップル製品についての販売差止及び損害賠償請求(約10億5千万円)

東京地裁は2016年2月15日、「係争をアメリカの裁判所で解決することを定めていた両社の合意は、合意が成立する法的条件を満たしておらず無効」と判断、国内で審理することを決めた。

2016/2/20 島野製作所の対アップル訴訟で国際裁判管轄の企業間合意に無効判断 


このうち特許権侵害について、東京地裁は3月17日、島野製作所の請求を棄却する判決を言い渡した。

島野は控訴したが、知的財産高裁は10月26日、特許権の侵害がないとした一審・東京地裁判決を支持、島野製作所の控訴を棄却した。

本件の問題は次のとおり。

  島野主張:

島野はアップルから依頼を受けて電源アダプターに使われているプランジャーピンを新製品用に開発し、アップルの要求で量産体制を構築した。
ところが、アップルは島野との合意を無視するかたちで、別のサプライヤーに代替ピンを製造させていた。
しかも、これが島野の特許権を侵害していた。

  アップル主張:

島野製作所が侵害を主張する特許権は、アップルの技術者と島野製作所の技術者が共同して発明したものを島野製作所が2011年11月に単独で特許出願したもので、権利が無効である。

新しいポゴピンは別設計であり、島野製作所の特許権を侵害していない。


一審東京地裁は、
島野の特許は押付部材全体が球であるピンのみを権利範囲としており、アップルが使用しているピンの形状はその範囲に属さないと判断した。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20160403-00056167/


控訴審で知的財産高裁は、一審での中心的争点であった押付部材の形状の違い(球 vs キノコ型)だけではなく、技術的意義そのものが違うというところまで認定されてしまった。
判決では次の通り指摘された。

アップル製品と島野発明とは、押付部材とプランジャーピンとの接触に関し、技術的意義を異にするものということができる。

このため、アップル製品のコマ状部材は、構成要件Dの「押付部材」に該当せず、ほかにアップル製品の構成中、「押付部材」に該当するものはない。
また、アップル製品のコマ状部材の球状部がプランジャーピンの傾斜凹部を押すことは、構成要件Dの「押圧」に該当せず、ほかにアップル製品の構成中、「押圧」に該当するものはない。

均等侵害の主張について、成立が認められるための条件を満たして折らず、主張自体、失当である。

島野発明とアップル製品は、本質的部分において相違することが明らかであるから、均等侵害の成立を認める余地はない。

更に、アップル側からの島野特許の無効審判が行なわれていたが、8月16日に島野特許の無効の審決が出た。

元の出願を分割して、アップルの実際の製品に権利行使できるようにしたことが分割要件違反とされ、出願日が訴求しなかったことが無効の理由ととされた。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20161026-00063719/


アップルは世界中で特許の争いをしており、特許の申請に当たっても、また法廷闘争に当たっても、十分な対策をしていると思われる。

特許権侵害については、島野の完敗である。

残るのは独占禁止法の争いであるが、これについての状況は明らかになっていない。


原子力規制委員会は10月26日、火山灰が大量に降った際の原発への影響について、これまで求めていたより10倍の濃度の火山灰を想定して対策を立てるよう電力各社に求めることを決めた。

現在の規制基準では、噴火で火山灰がまき散らされても、空気取り入れフィルターの目詰まりにより非常用発電機が機能を失うことがないよう対策を求めており、想定する大気中の火山灰の濃度は、2010年に欧州で航空便が大量欠航したアイスランドの噴火の際に観測された1立方メートルあたり約3ミリグラムを用いて いる。

2010年4月14日、アイスランドの首都レイキャビクの東方125kmのエイヤフィヤトラヨークトル(Eyjafjalla-jokull)火山が噴火した。
噴煙は成層圏に達し、火山灰は西ヨーロッパ全土に拡散、欧州約30カ国の空港が一時閉鎖し、1週間で航空機10万便が運休した。

かし、関西電力美浜原発3号機の審査書案への意見募集で、桜島の噴火で7~10mgを観測していること、1980年の米 St. Helens山の噴火では30mg 超だったとの指摘があった。

このため、規制の指示で関電で再評価をした結果仮にSt. Helens山の噴火における大気中濃度を適用した場合であっても、フィルタを交換することで施設の機能を確保できることを確認した。

規制委員会では、すでに新規制基準への適合が認められた九州電力川内原発1・2号炉、四国電力伊方原発3号炉及び関西電力高浜原発 1~4号炉の3原発7基についても、非常用発電機のフィルターなどが目詰まりしないか、評価して報告するよう求めた。


これとは別に、電力中央研究所が今年4月に公表したシミュレーションでは、富士山の宝永噴火(1707年)で横浜付近(降灰実績16㎝程度)の火山灰濃度は1立方メートルあたり最大100㎎~1,000㎎ の結果が出た。

1707年12月16日午前10時ごろに富士山宝永噴火が発生し、翌年1月1日未明までの16日間噴火は続いた。

火口から約100km 離れた江戸では、16日午後1時頃から噴煙に覆われて暗黒になり、灰色の火山灰が降灰。夜に入ると灰色の火山灰は黒色の砂へと変わり、この砂は夜半には降り止んだ。

規制委は、 電力中央研究所レポートや、産総研の「吸気フィルタの火山灰目詰試験」レポートの妥当性を確認した上で、「火山影響評価ガイド」改正その他の検討に着手する。
検討に当たっては、海外の動向も参考とする他、これらレポートを踏まえた事業者の意見や対応についても聴取する。

ーーー

火山については巨大噴火の問題が残っている。

地下のマグマが一気に地上に噴出する壊滅的な噴火(破局噴火)で、大規模なカルデラの形成を伴うことからカルデラ破局噴火とも呼ばれる。
7300年前に屋久島近くの海中で鬼界カルデラ噴火が発生した。阿蘇山では、30万年前から9万年前までの間に、4回の巨大なカルデラ噴火が発生している。

これまで平均 6,000年間隔で起こっていたカルデラ噴火が、最近 7,300年間は発生しておらず、いつ起こっても不思議がない。
規模にもよるが、一度、カルデラ噴火が起こると、その周囲100~200kmの範囲は火砕流で覆われる。

原子力規制委員会は九州電力川内原発については、原発周辺で巨大噴火が起こる可能性は非常に低いとして、再稼働審査に合格させている。

規制委は10月17日、外部有識者でつくる原子炉火山部会の初会合を開き、巨大噴火に備えて原発の停止、核燃料の搬出などを命じる基準の検討を始めた。

規制委の案によると、巨大噴火は、中小規模の噴火や大規模噴火を経て発生すると考えられるため、中小規模の噴火が起こり、極めて異常なデータが観測された場合、同部会で対応を検討するとした。監視対象となるデータとしては、地殻変動や地震活動、火山の熱やガスを挙げている。

この日の会合では、「顕著な現象があっても巨大噴火になるかは直前にならないと分からない」など、有識者から予兆をとらえるのは困難とする指摘が相次いだ。

しかし、核燃料の搬出には核燃料を数年間冷やすことが必要で、直前に搬出を命じても間に合わない。
停止命令は実際には廃炉命令であるため、可能性が低い時点では出し難いが、ためらっていると噴火前に核燃料の搬出が出来ず、 大惨事となる。

基準の作成が難航するのは必至である。

また、現在は核燃料の搬出先が決まっていないが、予め決めておく必要がある。


付記

数十年以内に桜島で大きな噴火が起きる恐れがある英 Bristol 大学 School of Earth SciencesのVolcanology Research Group と京都大学の桜島火山観測所が 9月13日にNature 誌に発表した。

桜島を含む姶良カルデラの地下にあるマグマが年間1150万立方メートルのペースで増えているというもの。

北海道電力は10月27日に開かれた原子力規制委員会の泊原子力発電所3号機に対する安全審査で、津波対策として設置した防波堤が機能しないとの見通しを報告した。

 
運転開始 型式 能力
万KW

申請

北海道電力
 泊原発
① 1989/6/22  PWR 57.9

2013/7/8

② 1991/4/12  57.9
③ 2009/12/22 91.2

泊原発は、海に突き出た2本の防波堤と、海岸部を盛り土などでかさ上げした防潮堤の二重の対策で津波による浸水を防ぐ構造である。

防波堤は長さ422メートル(海面からの高さ 4.5メートル)と340メートル(同 3.5メートル)の2本が、「ハの字」に設置されている。

防潮堤は、東日本大震災で東京電力福島第1原発が被災した津波の高さに対応できるよう、原発海側の埋め立て地に盛り土をするなどして2014年12月に完成した。
原子炉建屋の前面にあり、長さ約 1.25キロで海面からの高さは 16.5メートルとなっている。

新規制基準の審査で、北海道電力は津波の想定高さを当初の7.3メートルから12.63メートルに、基準値振動を 550ガルから620ガルに引き上げた。

新規制基準で再評価をしたところ、地震発生時に液状化により 3メートルほどの地盤沈下が発生する可能性があるほか、津波で防波堤自体が約 40メートルずれる可能性があるとの試算結果が出た。ずれた防波堤が3号機の取水口を塞ぐ可能性もあるという。

また、原子炉建屋の前面にある防潮堤についても、液状化により地盤沈下が懸念される。

液状化は、地震の強い揺れで地中の砂粒子が安定性を失い地盤が緩くなる現象。

北海道電力は当初、「埋め立て地の砂粒子は大きく、検討不要」としていた。これに対し、規制委は「最近の科学的知見を考慮していない」と指摘し、北海道電力が再検討したところ、液状化や地盤の圧縮によって防潮堤が沈下したり、一部損壊したりする可能性があることが分かった。防潮堤の問題は、1、2号機にも共通する。

海側に砂層が分布しており、地震時の砂層の液状化による地盤の沈下が懸念される。

北海道電力は防波堤について、壊れても事故対策に影響がないかどうかを調べる模擬実験を実施する。防潮堤については今後、地盤改良などの補強工事をする方針。

今後、防潮堤を含むすべての個別審査が終了しても再稼働には許認可手続きに少なくとも1年程度を要する。このため、北海道電力が2017年夏と見込んでいた泊3号機の再稼働時期は、2018年以降となることが確実になった。

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東京電力は10月13日、柏崎刈羽原発6、7号機の重大事故時の対応拠点「緊急時対策所」について、3号機内に設置する当初の方針を取りやめ、6、7号機に隣接する5号機に設置することを明らかにした。

大規模地震が起きると、3号機のある荒浜側の防潮堤の地盤が液状化し、壊れる可能性があると判断した。

2016/10/18 柏崎刈羽原発の再稼働計画見直し

今回も、柏崎刈羽と同様に、原子力規制委員会の指示で再調査して分かったが、電力会社の実施する対策のままでは大事故が起こるところであった。


これとは別に、
北陸電力志賀原発2号機の原子炉建屋に 6.6トンの雨水が流れ込み、非常用照明の電源が漏電する事故が9月28日に発生した。

2016/10/20 志賀原発に雨水流入、「安全機能、失う恐れも」


こんな電力会社にまかせていて大丈夫だろうか。



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