2023年7月アーカイブ

日清紡ホールディングスは 2023年5月31日開催の取締役会において、100%子会社である Nisshinbo Singapore Pte. Ltd.(日清紡シンガポール)と共同でのHVJ ホールディングスの株式の取得を決議し、株式譲渡契約を締結した。

本件株式取得に伴い、HVJ ホールディングスの子会社である日立国際電気の80%を取得(うち日清紡が 95%、日清紡シンガポールが 5%)、連結子会社にする。日立製作所が引き続き 20%を保有する。

日清紡グループは、戦略的事業領域を「モビリティ」「インフラストラクチャー&セーフティー」「ライフ&ヘルスケア」の 3 つに定め、無線・通信事業、マイクロデバイス事業ならびにブレーキ摩擦材・化学品・成形品・繊維などで構成されるケミカル事業を柱として企業活動を展開しており、無線・通信事業においては、日本無線が中核となって、防災システムや監視制御システムなどの社会インフラから船舶や自動車などの移動体通信機器に至るまで、幅広い無線・通信技術で世界に貢献している。

日立国際電気は高度な無線・通信技術によって官公庁向けをメインとしたソリューション事業などを展開しており、両社は技術面、販売面において補完関係にあり、中でも高速大容量通信技術や映像技術は親和性が高く、産業向けソリューション分野を中心に市場領域と技術領域の拡大が期待できる。

株式を取得するHVJ ホールディングスは、日立国際電気の買収のために設立した会社で、出資者は下記の通り。

日本産業第四号投資事業有限責任組合(日本産業パートナーズ所属) 28.52%
Manaslu Fund Ⅱ, L.P.  23.83%
Shepherds Hill Fund Ⅱ, L.P.  23.90%
Sonora Fund Ⅱ, L.P.  23.75%

なお、当初は7月31日までに株式を取得するとしていたが、公取委による企業結合審査に時間がかかっており、条件が整い次第、速やかに実施する。

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日立製作所は、中核事業に経営資源を集中する一方、非中核事業は売却し、収益率を高める選択と集中を徹底するため、黒字の連結子会社 日立国際電気の売却を決めた。

日立製作所は2017年4月26日、KKR (Kohlberg Kravis Roberts) の所有するHKEホールディングス合同会社及び日本産業パートナーズが出資するHVJホールディングスとの間で、下記の契約を締結した。

第一段階   KKRの子会社HKEが日立国際電気を買収

第二段階  日立国際電気の成膜プロセス部門をHKEが取り込む。 

      HKEはKokusai Electric に改称 、映像・通信部門のみが残った日立国際電気株式の20%ずつを日立とHVJに売却

   

2017/5/3 日立、子会社の日立国際電気を売却


その後、2020年にKokusai Electric が日立国際電気持ち株をHVJに売却した。持ち株比率はHVJが80%、日立製作所が20%となった。


今後は次のとおりとなる。

日産自動車とルノーグループは7月26日、2023年2月6日に締結・公表された拘束力のある枠組み合意を踏まえた最終契約の締結を完了した。

日産とルノーは2月に、ルノーが保有する日産の株式を43.4%から日産側と同じ15%に引き下げ、対等に見直すことで合意している。最終契約締結を受け、ルノーは年内をめどに、保有する日産の株式のうち28.4%分をフランスの信託会社に移し、両社の資本関係は対等となる。

両社の抜本的な資本関係の見直しは、経営危機に陥った日産にルノーが約6000億円を出資した1999年以来となる。

1.両社の出資関係

2023年2月6日に発表された通り、ルノーグループと日産は15%の株式を相互に保有することになる。

ルノーグループは現在所有する日産の株式のうち、今後も所有する15%以外の28.4%をフランスの信託会社に信託する。
ルノーグループは当該株式が売却されるまでの間、信託した日産の株式の全てに付随する経済面での権利(配当金と株式売却収入)を有する。

日産の株式28.4%が信託会社に信託されることに伴い、日産が保有するルノーグループの株式に付随する議決権が行使可能となる。ルノーグループおよび日産双方の議決権行使の上限は、行使可能な議決権の15%と定め、両社はこの範囲内で自由に議決権の行使が可能となる。

ルノーは現在、日産株の約43.4%を保有して議決権を持っているため、日産が保有する15%のルノー株には議決権がない。(フランス会社法では、40%以上の出資を受ける企業は出資元の議決権を持てない)

2018/11/22 日産自動車とルノーの資本関係 

ルノーグループは、同社にとって商慣習上合理的な場合、信託会社に信託した日産株式の売却を指示するが、特定の期間内に売却する義務は負わない。ルノーグループは日産と協調的で秩序あるプロセスにおいて自由に信託内の日産株式を売却できるが、日産は筆頭の売却候補として優先的な地位を有する。

2. 三菱自動車を含めた3社の協力

1) インド、ラテンアメリカ及び欧州において、事業面で高い価値を創造するプロジェクト

各社は新たにラテンアメリカ、インドおよび欧州においてウィン・ウィンで大規模かつ実行可能な主要なプロジェクトについて検討していく。その一つとして、ルノーグループと日産はインド事業への新規投資や新型車の投入を含む新たなコミットメントを発表した。

2) 各社の新しい取り組みにパートナーが参加可能となる、戦略的な機敏性の向上

電動化や低排出技術に関する既存の戦略に沿って、事業に付加価値が期待できるパートナー各社のプロジェクトに投資・協業することで合意した。

その一環として、日産はルノーグループが欧州に設立するEV&ソフトウエア新会社アンペアの戦略的投資家になることを決定した。

具体的には、アンペアの戦略的な投資家として同社へ取締役を派遣する為、最大6億ユーロの出資を決定した。

この投資は日産の電動化戦略に沿ったものであり、日産が欧州市場、そして潜在的には他市場において定めている目標や取り組みを補完すべく、様々なベネフィットやシナジーが生まれると期待される。


ルノーは2022年11月、進行中の5カ年計画「Renaulution」のフェーズ1「復興(Resurrection)」、フェーズ2「刷新(Renovation)」を終了し、フェーズ3「革命(Revolution)」の段階に入ると発表した。

ルノーは以下の5つの事業分野に焦点を合わせた次世代の自動車会社を目指す。このうちスポーツカーのアルピーヌ(Alpine)はルノーグループの子会社であり、他の4分野は新会社を設立する。

アンペア(Ampere) 世界初のEV & ソフトウェア会社、2030年までに6車種のEVを投入
クアルコム、グーグルと提携しSDV(Software-defined vehicle)を開発
日産は最大6億ドルの出資を決定、取締役を派遣
Horse Project パワートレイン新会社 低排出ガス内燃機関(ICE)とハイブリッド技術を開発
アルピーヌ(Alpine) 本格的な高級スポーツカーブランドを目指す
モビライズ(Mobilize) ファイナンスを中心に、新たなモビリティ、エネルギー分野に参入
The Future Is NEUTRAL 自動車産業における循環型経済実現を目指す


米GoogleとRenault Groupは2022年11月8日、「Software Defined Vehicle」(SDV、ソフトウェア定義型自動車)のデジタルアーキテクチャの設計と提供を目的としたパートナーシップの拡大を発表した。

ルノーグループと米クアルコムは2022年11月、両社の戦略的提携を拡大することで合意した。 クアルコムグループは、ルノーが新たに設立する「Ampere(アンペア)」へ出資するほか、ソフトウェア定義型電気自動車向けのアーキテクチャの共同開発を目指す。

ルノーと中国自動車大手の浙江吉利控股集団は本年7月11日、ハイブリッド(HV)パワートレインエンジンを製造・供給する50/50 合弁会社 Horse Project を立ち上げる契約に調印した。投資額は最大70億ユーロ(約77億1000万ドル)。

Saudi Aramcoは2023年3月2日、ルノーグループと中国の浙江吉利控股集団(吉利グループ)が設立する新会社の少数株主になる基本合意書に署名したと発表した。アラムコは合弁会社に戦略的投資を行うかどうか検討中だという。

FDAは、アメリカ国内のがん治療薬の深刻な不足を緩和するため、未承認の中国製の抗がん剤を一時的に輸入することを許可した。

FDAのカリフ長官は6月2日に 「外国製の抗がん剤『シスプラチン』の一時的な輸入許可の措置を講じる」とツイッターで発表した。未承認薬の緊急仕入れ先は中国企業の斉魯製薬(Qilu Pharmaceutical)である。


シスプラチン(Cisplatin ; 化学名 (SP-4-2)-Diamminedichloroplatinum ; 分子式 Cl2H6N2Pt)はDNAなどの生体成分と結合して抗がん効果を発揮する抗がん剤で 、白金原子を持っていることから、抗がん剤の中では「白金製剤」に分類されている。

1845年に合成されたが、電場の細菌に対する影響を調べている時に、プラチナ電極の分解産物が大腸菌の増殖を抑制したことから、がん細胞に対する研究が行われ、製剤化され 、1978年に世界で承認された。日本では1983年に承認され、今では多くのがんに対して使われている。

副作用としては、吐き気、腎臓への障害、骨髄の機能の障害、神経への障害などがあるが、現在ではそれらの対策もしっかり行いながら治療ができるようにな っている。

以下の治療に単剤または他剤との併用で承認されている。

膀胱がん。手術あるいは放射線療法などの他の治療法でで治療できない進行がんを有する患者に単剤で使用され る。

・転移した卵巣がん。手術または放射線療法による治療歴がある患者には、他剤との併用で用いられ る。標準化学療法で改善がみられず以前にシスプラチンの投与を受けたことがない患者に単剤で使用される。

・転移した精巣がん。手術または放射線療法を受けたことがある患者に他の薬剤との併用で使用され る。

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インドの工場でのトラブルが米国の抗がん剤不足につながった。グジャラート州Ahmedabad近くにあるIntas Pharmaceuticalsは、Gujarat 州のMatoda村の工場を含む複数の工場を運営している。

この工場は、一般的に使用される抗がん治療薬シスプラチンのアメリカの供給の約50%を占めていたが、その事実はほとんど知られていなかった。

FDAの検査官は品質保証の「連鎖的な失敗」を含む広範な問題を発見した。Intas Pharmaceuticalsは問題を解決するために生産を一時中止したが、これによりシスプラチンの不足が発生し、これにより数十万人の患者に影響が及ぶ可能性がある。同社は現在、FDAと協力してアメリカ向けの製造を再開する予定だが、具体的な日程はまだ決まっていない。

過去1年間、子供用のアセトアミノフェンから抗生物質、注意欠陥多動性障害の治療薬まで、米国人は様々な薬剤の入手に苦労してきた。

ジェネリック薬品は、医療費を抑制し、アメリカでは処方箋の90%以上を占めるが、処方薬の支出の20%未満である。業界の競争が激化する中で、メーカーの利益が減少し、古くなった工場のアップグレードへの動機が少なくなっており、定常運転が近い状態の工場が故障に対して脆弱になっているとされる。この場合、単一の工場での混乱が、他のメーカーが差を埋めることができない広範な不足を引き起こす可能性がある。

米国の不足医薬品:不足が解決しても、新しい問題で不足が発生する。

Intas Pharmaceuticalsに加えて、シスプラチンを製造する他の4社がFDAに不足を報告し、「需要の増加」を挙げている。その不足は、さらにシスプラチンと同じIntasの工場で製造されていたカルボプラチンの不足にも寄与している。

カルボプラチンは、同じくプラチナを含む金属化合物で、がん細胞内の遺伝子本体であるDNAと結合することにより、がん細胞の分裂を止め、やがて死滅させる。

癌研究センターの連合体であるNational Comprehensive Cancer Networkは、5月に27のメンバーを対象に調査を実施し、70%から93%のメンバーがシスプラチンまたはカルボプラチンの不足に直面していると報告している。

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日本でも医薬品が不足となっている。

日本製薬団体連合会の調査では、5月末時点で薬価収載されている医薬品1万7062品目のうち、3847品目(22.5%)が薬局などで入手困難な「限定出荷」や「供給停止」の状態となっている。そのうち後発薬が約8割を占めている。

沢井製薬は2023年7月24日時点で限定出荷中の製品を262品目と発表した。

発端は「小林化工」の医薬品医療機器等法(薬機法)違反による2021年2月の行政処分(業務停止、業務改善)で、2021年3月には、後発薬大手「日医工」も業務停止命令を受けた。

2022年末までに、データ改ざんなどの悪質性の高い法令違反をした13企業が行政処分を受けた。行政処分にはならないものの、手順書通りに製造していない製品や、製造に問題があり規格不適合となった製品は出荷停止となった。

2021/2/12 小林化工に116日間の業務停止命令 

ジェネリック品以外でも、薬局に入荷せず、入手のため数軒の薬局を回るケースも多い。

20225月武田薬品発表

現在、製造および販売を武田薬品が行い、情報提供活動を大塚製薬と共同で実施しております「キャブピリン®配合錠(アスピリン/ボノプラザンフマル酸塩配合錠)」について、他社製品の出荷調整の影響もあり、想定を上回るご注文をいただいております。
そのため、当該製品を継続的、 安定的にご使用患者様へお届けするためにも医療用医薬品卸様に対して割当出荷を実施させていただくことになりました。

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血液を固まりにくくする薬で、現在も 割当出荷が続いており、今回、5 軒目の薬局で購入できた。




2014年に青色発光ダイオードの開発でノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏らが、2022年11月にレーザー核融合のスタートアップ企業を米国に設立した。2030年をめどに日本か米国で原発1基分相当の1ギガワットの商用炉を建設する。

設立したのはBlue Laser Fusion Inc.で、独自のレーザー、核融合炉の発明をもとに、レーザー核融合の商用化を目指すスタートアップとして、 中村修二・カリフォリニア大学サンタバーバラ校教授をCEO、早稲田大学ベンチャーズの太田裕朗共同代表をCTOとして、2022年11月に米国で創業登記された。

早稲田大学ベンチャーズは、早稲田大学の建学の精神「早稲田大学教旨」の1つである「学問の活用」を図るスタートアップ企業を創設し育成することで、学問の知見や研究成果を社会に実装し、人類社会の進化と幸福、ならびに持続可能性に貢献する事業と産業を創出することを本旨として2022年4月5日に設立されたディープテップ分野の創業投資に特化したベンチャーキャピタルである。

早稲田大学ベンチャーズは創業株主としてBlue Laser Fusion Inc.の株式を取得している。

Blue Laser Fusionは、独自のハイパワーレーザー発生方式、中性子を発生しないHB11燃料の組み合わせに基づくレーザー核融合方式を採用する方針を掲げている。 同社は創業半年で十数件の特許を米国などで出願した。強力なレーザーを繰り返し照射できる目処を理論上つけたという。燃料には重水素の代わりにホウ素を使い、中性子が出ない。

Blue Laser Fusion Inc.は、2023年7月にSPARX(未来創生3号ファンド)、JAFCOをリードインベスターとする総額25百万米ドルの初回資金調達を実施した。

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核融合は、重水素と三重水素の原子核をクーロン力を超えて融合させることでヘリウムと中性子を作り出すもの。このとき、ごくわずかな質量が失われ るが、失われた質量はすべてエネルギーとして放出される。
放出されるエネルギーは失われたエネルギーと光速の2乗の積に比例することから、莫大なエネルギーとなる。

今回はホウ素を使うため、中性子を発生しない。

核融合エネルギーには慣性閉じ込め核融合エネルギー(IFE) と磁場閉じ込め核融合エネルギー(MFE) があ る。

慣性核融合は核融合燃料を瞬間的に高温高密度に圧縮し、燃料自身の重さ(慣性力)で燃焼を維持させる方式で、レーザー核融合がその代表 。

これに対し、磁場核融合は低密度の燃料を磁場容器に長時間閉じ込めて核融合反応を起こさせる方式で、トカマク型がその代表。

世界中で様々な核融合技術の研究・開発が進められる中、レーザー核融合は、2022年12月に米国ローレンス・リバモア国立研究所が入力レーザーエネルギーを上回るエネルギーの出力を人類として初めて達成した 。


12月5日に行った制御核融合実験で、核融合を起こすために使うレーザーエネルギーよりも多いエネルギーの生成(核融合点火)に初めて成功した。この実験では、研究所に設置された施設の192個の巨大なレーザーでダイヤモンドで包んだ凍結水素を含む小さなシリンダーを爆破した。

1秒の100兆分の1未満の間に2.05メガジュールのエネルギーが水素シリンダーに衝突することで、核融合の生成分である中性粒子が流出し、約3メガジュールのエネルギーを生成した。レーザーパルス生成のためにエネルギーを消費したため、使ったエネルギーの約1.5倍のエネルギーを生成できたことになるとしている。


レーザー核融合発電では、まず炉の中心に直径5mmの球状燃料ペレットを打ち込み、これを数百万ジュールの高出力レーザーパルスで一様に照射 する。

レーザー照射を受けた燃料の外側は高温となり数千万気圧もの圧力が発生するので、球状の燃料はその中心に向かって圧縮され る(爆縮)。

こうして瞬間的に核融合反応を起こさせ、これを1秒間に数回の割合で繰り返すことにより、連続的にエネルギーが発生するので、これを外部へ導くことにより数百万キロワットの発電を行うことができ る。

   

レーザー核融合技術振興会 

日本経済新聞は7月24日の夕刊でシェブロンの天然ガス営業部門のトップとのインタビュー内容を報じている。


それによると、シェブロンは東地中海で洋上LNGプラントの設置を検討する。イスラエル沖の天然ガスをLNGにして欧州やアジアに輸出する。

年産能力は数百万トンで、事業費は少なくとも数千億円に上るとみられる。

2020年にNoble Energy の買収でシェブロンが取得したLeviathan大型ガス田などで生産したガスはパイプラインでイスラエルに出荷しており、同国はガス火力を増やして2025年までに石炭火力を廃止する計画であるが、Leviathan ガス田の回収可能な埋蔵量は6050億立方メートル(LNG換算で4億4000万トン:日本の需要の約6年分に相当)で、イスラエルだけでは消費しきれないため、余剰分のガスの行方に注目が集まっていた。

2022年9月の S&P とのインタビューで、シェブロンの担当副社長は米国と地中海のLNG事業を拡大する方針を明らかにしていた。

Chevron eyes US, East Mediterranean as key to LNG business growth

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米石油大手 Chevronは2020年に独立系石油ガス開発企業のNoble Energy, Inc.を買収した。

買収は、Chevronが Nobleの全株式取引額の50億ドル相当を買い取る株式交換方式で行う。Nobleの企業価値は130億ドルとされているが、同社の負債額は87.4億ドルに及ぶため、Chevronは50億ドルで買収し、債務を引き次ぐ。

Chevronはこの買収で、コロラド州のデンバー/ジュレスバーグ盆地、テキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地の油田・ガス田を獲得した。シェブロンはこれらのシェールガス由来のLNGの取り扱いも強化する。

2020/10/2 米シェール各社、業績悪化に悩む Oasis PetroleumがChapter 11 申請 

Nobleはこのほか、イスラエル沖のLeviathan ガス田(2019/12 生産開始)、Tamarガス田(2013/3 生産開始)を持つほか、キプロス沖のBlock 12 ガス田を持っており、Chevronが引き継いだ。

イスラエル沖のTamarガス田からの天然ガスパイプラインがYam Tatisガス田で既存のパイプラインに接続され、2013年3月30日にAshdod天然ガス基地への天然ガス輸送が始まった。

これらの外側にはキプロスの鉱区がある。

同地区でのガス田探査は当初 British Gasが行ったが、ギブアップした。

2007年に米国のNoble Energyが36%出資し、イスラエルの Delek Drilling (31%)、Isramco (29%)、Dor Alon (4%)の3社が加わるコンソーシアムが引き継ぎ、2年間の努力の末に2009年にTamarガス田を発見した。 

Tamarガス田のほか、Nobleは下記に参加している。

Leviathanガス田:
   Noble Energy 39.66%、Avner Oil & Gas 22.67%、Delek Drilling 22.67%、Ratio Oil Exploration 15%

キプロス Block 12:
   Noble Energy 100%(DelekとAvner が15%ずつ取得するオプション)

Leviathanガス田についてはキプロス(Cyprus) のBlock 12の分と合わせて海底パイプラインでキプロスに送り、キプロスで液化してLNGにして海外に輸出する構想があった。

なお、キプロスについては問題を含んでいる。

キプロス島は1974年以来、南北に分断されており、島の北部約37%をトルコ系住民による北キプロス・トルコ共和国(トルコのみが承認)が占めている。
南側のギリシャ系住民が住むのがキプロス共和国で、EUに加盟している。

トルコ政府はこれに参加する企業はトルコのエネルギー事業から締め出すと警告している。

2013/4/4 イスラエルで新ガス田からの天然ガス輸送開始  (出資比率等はこの時点のもの)

経済産業省は7月23日、先端半導体分野の23品目を輸出規制の対象に加えた外為法の改正省令を施行する。5月23日に改正を公布、2カ月の周知期間を経て施行するもの。

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バイデン米政権は2022年10月7日、中国への半導体先端技術(14〜16ナノメートル以下のロジック半導体の製造などに必要な装置や技術)の新しい輸出規制を実施すると発表した。軍事開発に欠かせないAIやスーパーコンピューターに使われる先端半導体の輸出を制限、さらに特定の先端半導体を扱う中国企業の工場に対し、米国製の製造装置を販売することも原則禁止する。

2022/10/10 米国、半導体の対中輸出制限を拡大

米国は日本とオランダにも協力を求めていたが、オランダ政府は6月30日、追加の輸出管理規制を9月1日から施行すると発表した。国の外交方針および安全保障政策次第で輸出許可ライセンスを停止することが可能という文言が含まれている。

オランダの大手半導体製造装置メーカーのASMLは、既に輸出制限の対象となっている極端紫外線(EUV)露光装置に加え、深紫外線(DUV)露光装置の出荷に関してもオランダ政府の輸出管理規制の対象となったと述べた。

2018年10月に中国の新興半導体メモリーメーカー、合肥長鑫(イノトロン)がASMLから最先端のEUV露光装置導入に乗り出した。安徽省の合肥市政府が出資する企業で中国政府の意向を反映した動きとみられた。軍事用途の半導体製造に使用される恐れがあるとする米国の圧力を受け、2019年に中国の顧客に対する最新鋭のEUV装置の販売を制限された。
旧式の深紫外線(DUV)露光装置の対中輸出は続けていた。(DUVは波長200nm程度、EUVは13.5nm)

日本は「国際的な安全保障環境が厳しさを増すなか、軍事転用防止目的としてWassenaar Arrangementを補完すもに半導体製造装置関する関係国の最新の輸出管理動向なども総合的に勘案し、特定の貨物及び技術輸出管理の対象に追加する 」こととした。

「高性能な先端半導体、これは軍事的な用途に使用された場合、国際的な平和および安全の維持を妨げる恐れがある」 西村大臣はこのように話し、高性能な半導体の製造装置について輸出管理を強化すると発表した。

2023/4/4 最先端の半導体製造設備の輸出規制強化

米国が成膜設備、日本がコータデベロッパ、オランダが露光装置を規制すれば、ほぼ生産不可能となる。

    

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半導体のサプライチェーンからの中国の締め出しを進める米国に足並みをそろえるもので、23品目を、米国や韓国など友好42カ国・地域向けを除く中国などに輸出するには、輸出時に経産省の審査を受け、経産相の許可が毎回必要となる。これまでは原則として許可は不要だった。先端半導体関連品の中国への輸出は難しくなる。軍事転用の防止が目的だとしている。

審査が簡略化されるのは、Wassenaar Arrangement加盟の米国や韓国、台湾など42カ国・地域(国際輸出管理レジーム参加国一覧表 参照)に限られ、中国は含まれていない。(ロシアは含まれている)

改正概要

国際的な平和及び安全の維持の観点から、高性能な半導体製造装置に関して、輸出管理の対象とするため、当該貨物の仕様等を追加。また、追加する貨物を使用するために設計したプログラムを輸出管理の対象とするため追加する。

【新たに輸出管理の対象となる品目(23品目)】

品目 具体例 メーカー
洗浄(3品目) 真空状態で不純物を除去する洗浄装置 SCREENホールディングス、東京エレクトロンなど
デポジション(成膜)
(11品目)
極端紫外線(EUV)フォトマスク向けの成膜装置 東京エレクトロン、KOKUSAI ELECTRIC、アルバックなど
EUVフォトマスク向けの防護カバー ニコン、三井化学など
アニーリング(熱処理)
(1品目)
リソグラフィ(露光)
(4品目)
フッ化アルゴン(ArF)を使う液浸露光装置   ニコンなど
エッチング(化学的除去)
(3品目)
記憶素子を立体的に積み上げるエッチング装置 東京エレクトロン、日立ハイテクなど
検査(1品目)

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中国はこれらの動きに猛反発しており、対抗措置が心配される。

中国のインターネット規制当局は5月21日、米半導体大手マイクロン・テクノロジーの製品について、ネットワークセキュリティー審査で不合格になったとし、重要インフラ事業者による同社からの調達を禁止すると発表した。

「マイクロンの製品にネットワークセキュリティー上の深刻なリスクがあることが審査で判明した。これは中国の重要情報インフラの供給網に大きな安全上のリスクをもたらし、国家安全保障に影響を及ぼす」としている。

2023/7/6 中国が半導体材料ガリウムなど輸出規制

MP Materialsはネバダ州ラスベガスを拠点とし、レアアース(希土類)採掘と処理施設の所有・運営を手がける。

北米最大のレアアース鉱山のカリフォルニア州Mountain Pass鉱山を所有・運営するほか、その周辺地域の鉱業権、希土類鉱物処理・開発に伴う知的財産権を保有。セリウムやランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウムなどを提供する。

最終的にはレアアースメタル、アロイ、磁石を製造するプラントを建設中で、Mountain Passで採掘した原料をここで加工し、完全に国産の垂直統合の磁石のサプライチェーンを2024年に完成させる。

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Mountain Pass鉱山は1949年に発見され、Molybdenum Corporation of Americaが1952年に小規模の生産を開始した。

1962年にカラーTVに使うユウロピウムの需要拡大に対応し、生産を拡大した。
1965年から1995年まで、大規模生産を続け、世界のレアアースの需要の大部分を賄った。

1977年にUnocal が同社を買収、2005年にChevron子会社となったが、1998年に排水問題で分離工程を停止、2002年に環境規制と中国品の低価格攻勢により採鉱を停止した。

2008年にこの鉱山の再開のためMolycorp Minerals LLCが設立され、Chevronから鉱山を買収した。2011年から生産を再開した。

住友商事は2010年末、Mountain Pass鉱山の再開を準備中のMolycorp, Inc に投融資することを決めた。しかし、Molycorpは2011年9月16日、住友商事との間で上記の交渉を打ち切ることで合意したと発表した。

Mountain Pass鉱山の拡張・近代化のための781百万ドルの資金が増資や売上収入で完全に確保でき、住友商事の出資融資が必要ではなくなったとし、当初交渉した時と状況が著しく変わり、両社の株主にとり価値のある取引ではなくなったため、交渉打ち切りを決めたとしている。

2011/9/22  住友商事の米国レアアース企業への出資取り止め

2014年にWTOが中国のレアアース輸出規制を規定違反と認定し、中国は2015年からレアアース輸出枠を撤廃、2015年4月には輸出関税を撤廃した。これを受け、ネオジムやジスプロシウムの5月下旬の価格は4月比で20~30%下がり、2010年以前の水準に戻った。Molycorpは苦境に陥った。

Molycorpは2015年6月25日、連邦破産法11条の適用を申請した。破産法の適用下で、米・カナダ事業の債務17億ドルを再編する。

2015/6/5 米レアアース最大手 Molycorp、社債利払い見送り →Chapter 11 申請

2017年にMP Materials がMountain Pass鉱山と他のMolycorp の資産を買収した。

MP Materials は2020年7月31日、国防総省との間で米国でのHeavy Rare Earths 生産再開で契約を結んだと発表した。

国防総省は2020年12月にMountain Pass鉱山で軽希土類元素の処理を復活させるため960万ドルを出している。

2020/7/31 米国防総省、レアアース事業へ資金支援 

バイデン米大統領は2022年2月22日、レアアースなど重要鉱物の国内生産を後押しするための投資計画を発表した。

北米唯一のレアアース鉱山を米西部カリフォルニア州で運営するMP Materialsに対し、国防総省の支援プログラムから3500万ドルを投資し、Mountain Pass鉱山で重希土類元素(HREE) 採掘から分離・精製まで自前でできるようにする。

軽希土類に加え、重希土類の処理が出来ることで、MP Materials は高機能永久磁石を製造するのに必要な全てのレアアースを抽出・精製できるようになる。

Mountain Pass全景

Mountain Passでの採掘、処理に加え、MP Materialsは7億ドルを投じ、テキサス州Fort Worthでレアアースメタル、アロイ、磁石を製造するプラントを建設中である。Mountain Passで生産した原料をここで加工し、完全に国産の垂直統合の磁石のサプライチェーンを2024年に完成させる。

ネオジム磁石合金はおおよその重量比で、ネオジム(Nd) 23~30%、ディスプロシウム(Dy) 2~10%、鉄(Fe) 60~65%、ホウ素(B) 1%、コバルト(Co) 3%、および微量の銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの成分から構成されている。

Nd、Dyなどの希土類元素は酸化物やフッ化物の形で希土鉱石の中に複数種含有されている。Montain Passの鉱石はNd2O2を多く含む。

https://www.neomag.jp/mailmagazines/topics/letter200906.html


2022/2/25 米、レアアース国内生産 


米General Mortorsは2021年12月9日、米国内でレアアース材料の供給網を形成するため、MP Materialsと戦略的な提携を行うと発表した。これにより、ネオジム磁石の原材料を国内の鉱山から安定的に調達し、電気自動車(EV)の駆動モーターに使う高性能磁石に加工する体制を確立する。

またGMは同日、ドイツVacuumschmelzeとも協力し、「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」を使用する12以上のモデルで使用される電気モーター用永久磁石を製造する工場をアメリカに建設する計画を発表した。

ネオジム焼結磁石(NdFeB)は、モーターの重要部品だが、現在米国内にネオジム磁石を製造する能力は事実上ないという。

ーーー

住友商事とMP Materialsは2023年2月、MP Materialsが製造するレアアースの日本向けの独占販売代理店契約を締結した。

ネオジム・プラセオジム (NdPr) などのレアアース材料は、世界で最も強力なネオジム鉄ボロン磁石と呼ばれる永久磁石の原料で、この永久磁石は、脱炭素化に向けて需要拡大が見込まれる電気自動車や風力発電用モーター、各種電子機器などの先端産業に欠かせない部品である。

日本は中国からの輸入を主な供給源としているが、MP Materials製米国産レアアースの供給を通じて日本における調達の多様化、安定化に貢献する。

UAEのアブダビ首長国のMasdarと三菱ケミカルグループ、INPEXは7月17日、UAE訪問中の岸田首相の同席の下、世界初となる商業規模の CO2 およびグリーン水素由来のポリプロピレン製造を含むカーボンリサイクルケミカル製造事業の実現に向けた共同調査に関する契約締結を発表した。

アブダビ首長国は17年以上にわたり、太陽光、風力など再生可能エネルギーを中心に据えたMasdar Initiativeに注力している。Masdar(Abu Dhabi Future Energy Company) により実施され、太陽光・風力・水力発電、カーボン削減・管理、持続可能な開発、教育、製造、研究開発を行うもの。(Masdar はアラビア語で "the source" の意味)

Masdarは、世界各地で太陽光発電や風力発電プロジェクトに投資しているほか、2008 年からグリーン水素の研究にも取り組んでいる。2030 年までに年間 100 万トンのグリーン水素の生産を目標とし、複数の戦略的パートナーとグローバル協定を締結し、目標達成に向けた事業化検討を推進している。

Masdar の再生可能エネルギーに係るポートフォリオは世界40 カ国以上にわたり、投資額は 300 億米ドル以上となっている。また、保有する再生可能エネルギーの累計発電容量は 200 万kW を超えている。

2009/3/18 アブダビのMasdar Initiative

本共同調査は、e-メタノール(グリーン水素を原料とする合成メタノール)を原料とし、プロピレンを経由してポリプロピレンを製造するカーボンリサイクルケミカル製造事業の商業規模での実現可能性を検証するもの。

e の語源は Electric とされており、再生可能エネルギーで発電した電気を意味する。

原料となる水素の製造、CO2 の調達から e-メタノール、プロピレン、ポリプロピレン製造までのプロセス検証を行うと共に、本事業全体の経済性や CO2 削減効果を含めた事業化検討に取り組む。

メタノールは基礎化学品としての幅広い用途に加え、本事業から製造されるような e-メタノールのようにクリーンな船舶燃料用途としての需要も高まっている。本事業で製造されるPPは、従来の化石資源由来の製品に比べ、ライフサイクルベースでの CO2 排出量を大幅に減らすことが可能となる。

三菱ケミカルグループは日揮グローバルと共同開発したメタノールを原料にしてプロピレンを直接製造する技術を保有している。

石油を原料としないメタノール/ジメチルエーテル(DME)及び未有効利用オレフィン類を原料として選択的にプロ ピレンを製造する新技術DTP®(Dominant Technology for Propylene Production) ロセスを2007年度から共同開発


INPEX は、2022 年2月に発表した「長期戦略と中期経営計画」において、「水素事業の展開」および「カーボンリサイクルの推進」を含むネットゼロ 5 分野の拡大を掲げている。原料となる水素の製造と、CO2 の回収を行う本事業の実現可能性の追求は、かかる目標に沿うものである。

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岸田文雄首相は7月16日、中東3カ国歴訪の最初の訪問国、サウジアラビアの西部ジッダに政府専用機で到着、サウジのムハンマド皇太子と会談し、先端分野や医療・ヘルスケアなどの分野での協力を一層拡大させていくと同時に、中東地域を次世代燃料や鉱物資源供給のグローバルなハブにしていくためにサウジアラビアと協力していきたい考えを表明。重要鉱物の探査や精製、太陽光発電の整備、水素・アンモニアの製造・利用、e-fuelの活用といった分野での連携を多面的に進めることで賛同を得た。

両国は、クリーンエネルギー協力のための日本-サウジアラビア王国間のライトハウス・イニシアティブを設立することを決定した。水素とアンモニア、e-fuel(合成燃料)、循環型炭素経済/カーボンリサイクル、直接空気回収(DAC)、エネルギー部門とサプライチェーンの強靱化に必要な重要鉱物、持続可能な先端材料、研究と知見の交換などの分野に焦点を当て、クリーンエネルギーへの移行を導くライトハウス・プロジェクトを開発する。

その後の会見で、サウジアラビアと水素やアンモニアといった新エネルギーの分野で連携を強める方針を示した。「産油国と消費国という関係から脱皮し、脱炭素の時代での新たなグローバルパートナーシップへと進化させる」と表明した。

日本とサウジアラビアが脱炭素を実現するためアンモニアの共同生産に向けた官民の枠組みをつくる。

なお、岸田首相はこれに先立ち、ペルシャ湾岸6カ国が加盟する「湾岸協力理事会(GCC)」の事務総長と会談し、2009年以降、中断していた自由貿易協定(FTA)の交渉を2024年中に再開することに向けて事前協議を始めることで合意した。

ーーー

Aramco はエネルギー源としての水素の利用の先駆者であるとうたっている。

2019年Aramco Air Products Dhahran Techno Valley Science ParkにあるAir Productsの新しいテクノロジーセンターにサウジアラビア初の水素燃料ステーションを開設した。

このパイロット ステーションでは、6 台のトヨタ のMirai 燃料電池電気自動車に高純度圧縮水素を燃料として供給する。
Aramco
blue ammonia の使用の先駆者でもあり、これは、信頼性が高く、手頃な価格で持続可能な方法で、世界の増大するエネルギー需要を満たすことに貢献できる。

化石燃料由来のアンモニアをグレーアンモニアと呼ぶ。

グリーンアンモニアは再生可能エネルギーでつくった水素で生産するもの。

ブルーアンモニアは、化石燃料由来であるが、CO₂のオフセットされているカーボンニュートラルな燃料


2020年9月、Aramcoと日本エネルギー経済研究所はSABICと提携し、日本の経済産業省の支援を受けて、サウジアラビアから日本への blue ammoniaの生産と輸送の実証に成功した。 40トンの高品位 blue ammoniaが日本に送られた。

回収されたCO2 30トンはSABICのIbn-Sina工場でメタノール製造用の原料として用いられ、別の20トンはAramcoのウスマニア油田で石油増進回収(EOR)のため利用された。

2022年4月には、Aramco とSABIC Agri-Nutrientsが、ドイツに本部を置く独立の試験・検査・認証機関TÜV Rheinlandから、世界で初めてブルー水素とアンモニア製造の第三者認証を取得し、同年11月に韓国へ向けて第三者認証取得済みブルーアンモニアの世界初となる商業輸送を行った。

Aramco と産業ガス大手Linde Engineeringは2023年3月15日、アンモニアの新たなクラッキング技術を共同開発するための契約を締結した。Aramco と同国のKing Abdullah University of Science and Technology(KAUST)が共同開発したアンモニア分解触媒を使用し、その他の触媒との比較評価を行う予定。両社は、アンモニアから水素を取り出すためのクラッキング技術を紹介する実証プラントをドイツ北部に建設する。リンデはこのクラッキング技術を顧客に提供し、低炭素エネルギーサプライチェーンにおける新たなビジネス創出を狙う。

2023年4月には、2020年の実証実験に基づき、SABIC Agri-NutrientsがAramcoの原料ガスから製造した第三者認証取得済みの低炭素アンモニア(ブルーアンモニア)が、サウジアラビアから日本に初めて輸送された。

AramcoとSABIC Agri-Nutrients、富士石油、商船三井によると、今回輸送された低炭素アンモニアは発電用燃料を目的としており、Aramcoから富士石油に販売され、同社の袖ヶ浦製油所で発電の混燃用として利用される。また、サウジアラビアから日本までの輸送は商船三井が手掛け、富士石油の子会社の日本オイルエンジニアリングが技術支援を行っている。

ーーー

日本とサウジアラビアが脱炭素を実現するためのアンモニアの共同生産に向けた官民の枠組みは次の通り。

2022年6月のAramco sustainability report によると、Saudi Aramco は2030年までにプラント新設で年間最大1100万トンのブルーアンモニア生産目標を掲げる。建設には数兆円を要する見込みだが、開発中の技術を使用するため、リスクもある。これに日本の官民が協力する。

日本エネルギー経済研究所は製造・運搬コストを分析、製品の適正価格や需要についても助言する。

三菱商事と三井物産が将来の出資可能性を視野に評価に加わる。
JOGMECは事業への債務保証の機能を提供する。
日本政府は日本側の取り組みへの財政支援を検討する。

米教育省は7月14日、所得連動返済(Income-Driven Repayment、IDR)プランを見直した結果、およそ80万人がローンの一部を免除されると発表した。計390億ドル(約5兆4000億円)分の学生ローンを免除する。所得に応じた返済制度の運用に不備があったと説明した。

米連邦最高裁は2023年6月30日、バイデン政権による学生ローン返済の一部免除措置を無効とする判断を示した。

バイデン大統領は判決後の声明で「裁判所の決定は間違っている。全ての米国人に高等教育の約束を果たすために努力する」と訴えた。

ーーー

バイデン米大統領は2022年8月24日、学生ローンを抱える数百万人の借り手に対し1人当たり1万ドルの返済を免除すると述べた。

パンデミック下で特に大きな打撃を受けた労働者や中流階級の人々のための措置だとし、高所得世帯(所得上位5%)は対象外とする。

延長を繰り返し、8月末としていた学生ローンの返済猶予措置を年末まで延長するほか、年収125千ドル以下、夫婦の場合は合計25万ドル以下の世帯に対し1万ドルの学生ローンの返済を免除する。

低所得者層の学生を対象とするPell Grantsと呼ばれる連邦補助金の受給者に対しては最大2万ドルの免除を行う。

学生ローンの対象は約43百万人で、うち20百万人が債務全額免除となる。

2022/8/27 米大統領、学生ローン返済免除表明 


米連邦最高裁は2023年6月30日、最高裁はバイデン大統領が掲げる連邦政府に対する学生ローン債務の減免プログラムについて、権限を逸脱しているとして却下した。6対3の判断だった。

ロバーツ最高裁長官は、戦争や国家非常事態を想定している学生高等教育救済法のコロナへの運用は「行き過ぎ」と断じ、大規模な債務帳消しプログラムには議会の承認が必要であるとした。

2023/7/5 米最高裁、「学生ローン返済の一部免除措置は無効」など保守的判決が相次ぐ

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教育省は7月14日、約804千人の債務者に対して、総額390億ドルの連邦学生ローンが数週間以内に自動的に免除されることを通知すると発表した。

教育長官は、「長い間、債務者は免除への進捗状況を正確に追跡できない壊れたシステムの網の目から逃れられなかった。バイデン・ハリス政権は再び歴史的な一歩を踏み出し、804,000人の債務者に対して390億ドルの債務救済を発表した。過去の行政上の失敗を修正することで、公務員、大学に騙された学生、退役軍人を含む永久的な障害を持つ債務者と同様に、誰もが自分に相応しい免除を受けることを保証している」と述べた。

今回の免除は、所得連動返済(Income-Driven Repayment、IDR)プランのもとで免除に適格な月々の支払いの正確なカウントをすべての債務者が持つことを保証するために行われる。

IDRプランは、政府の連邦学生ローン返済プログラムの一つで、借り手が所得と家族の人数に基づいてローン返済を管理できるように設計されており、標準的な一定返済プランに代わる選択肢となる。

借り手の月々の返済額は調整総所得から特定の貧困ライン額を差し引いた所得剰余に基づいて計算される。Income-Based Repayment(IBR)、Pay As You Earn等々、複数のタイプがあり、各プランには若干異なる適格基準、返済額計算、返済条件がある。

IDRプランでは、一定期間の継続した返済後にローンの免除が可能となる場合もあり、免除期間は通常、20〜25年程度であり、具体的なプランによって異なる。

民間学生ローンはこれらのプログラムの対象外。

敎育長官によると、免除基準を満たしているかを算出するに当たって長年にわたりミスがあった。

「この政権の開始時点で、数百万人の債務者がローンの免除を受けられたにもかかわらず、それを受け取っていない。それは許されないことだ」と述べた。

特定の期間において所定の免除条件を満たしたローン債務者が対象となる。

該当する免除条件を満たす債務者は、省庁によって免除の対象とされることが通知され、30日間で免除が開始される。

ーーー

バイデン米政権が学生ローンの減免を追求する背景の一つに、米大学の学費高騰がある。NPO「カレッジ・ボード」によると、米国の私立大学の2022会計年度の平均学費は年間39,400ドル(約570万円)で、各州の公立大は同10,940ドル(約158万円)だった。

大学の学費は約30年で2倍前後に高騰。部屋代や教科書代、移転費などを加えると、学生1人当たりの年間支出は私立大が57,570ドル(約830万円)、州公立大は27,940ドル(約400万円)にそれぞれ膨れ上がる。

米国の学生ローンは1兆7500億ドルで、大半が連邦政府のローンである。

連邦学生ローンは民間の学生ローンに比べて低金利で借りられ、返済プランが柔軟であるなど、民間の学生ローンよりも有利な点が多いが、全期間にわたって金利は定率であり、低利子のローンに借り換えすることが困難である上に、破産免責されないことが通常であるといった不利な点がある。

自己破産の場合、連邦政府の資金が返済されないことから、これを防ぐため、1998年10月8日以降、連邦学生ローンは自己破産した後も免責とならない厳しい措置がとられている

破産しても、取り立て業者から返済を迫られる。

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国際地質科学連合(IUGS)の人新世作業部会は7月11日、1950年代からの新たな地質時代となる「人新世(じんしんせい)」(Anthropocene)の地質上の代表地点("Golden Spike")にカナダのオンタリオ州MiltonのCrawford Lakeを選んだと発表した。 正式に決まれば、気候変動など人類活動の多大な影響を象徴する場所となる。

人新世とは、人類が地球の地質や生態系に与えた影響に注目して提案されている地質時代における現代を含む区分で、特徴は、地球温暖化などの気候変動、大量絶滅による生物多様性の喪失、人工物質の増大、化石燃料の燃焼や核実験による堆積物の変化などがあり、人類の活動が原因とされる。

これまでの完新世(Holocene)は、地質時代区分のうちで最も新しい時代で、最終氷期が終わる約1万年前から現在までを指し、その境界は、大陸ヨーロッパにおける氷床の消滅をもって定義された。

選定では地質の保存状態の差が明暗を分け、大分県の別府湾は落選した。地震や台風が影響した可能性がある。

クロフォード湖はカナダのオンタリオ湖近くにある。代表地に選ばれた要因に「堆積物が年ごとに層をなし、生物の活動で乱されていない」「堆積物が厚く、人新世の開始前後の変化を見やすい」「1000年規模の記録があり、先住民の活動の痕跡も含む」ことなどを挙げた。

1950年代の地層には化石燃料を高温で燃やしたときに発生するすす「球状炭化粒子」のほか、米国や旧ソ連による核実験で拡散した微量のプルトニウムも含まれていた。地球環境に大きな影響を与えた人間活動の痕跡が湖底の地層に残っている。

研究チームはこれらのデータから、人新世が始まった時期を1950年とし、最初の年代名を「Crawfordian age」と提唱した。

今後、IUGS内で三度の審議を経て、2024年にも正式に決定される見通し。

今回、IUGSの作業部会は世界各地の12カ所の候補地点からクロフォード湖を複数回の投票などを経て選んだ。

   一覧表 https://www.anthropocene-curriculum.org/the-geological-anthropocene/site/

    クリックすると、その地点の写真と説明が出る。

クロフォード湖は底にある堆積物の地層が明確で年代の分析がしやすく、分析データも多角的で、検討の初期段階から研究者の評価は高かった。

2022年12月に作業部会の投票メンバー約20人が実施した1回目の投票でクロフォード湖は過半数を獲得した。2位は中国北東部の湖で、大分県の別府湾は3位だった。最終的に1位のクロフォード湖と 2位の吉林省の四海龍灣湖(Sihailongwan Lake下図)とで決選投票し、クロフォード湖が60%以上を得て代表地になった。

日本で唯一の候補だった別府湾の海底地層は愛媛大学などの研究チームが分析した。ごく微量のプルトニウムや 化石燃料を燃やしたときに出る灰、富栄養化の影響を受けたカタクチイワシのうろこ、プラスチックごみが小さく砕かれた「マイクロプラスチック」など人類活動の関わりが明らかな物質を数多く見つけた。

別府湾の海底の一部はくぼ地で海水が上部と混ざりにくいため、生物がすみづらく地層が乱されにくいという特徴もあった。ただ、別府湾の地層には過去の台風による洪水や地震で堆積物が乱された層があることをIUGSの作業部会のメンバーらが論文で指摘していた。

一度できた堆積物が地震によって海底を流れ下ってできた層などがあり、堆積物の層が一部削り取られる可能性が懸念されるためと思われる。

Dominion Energy Inc の米国メリーランド州のCove Point LNGプロジェクトは2019年4月9日に商業運転を開始した。


2020年7月にWarren Buffettが率いる投資会社 Berkshire Hathawayは、子会社のBerkshire Hathaway Energy がDominion Energyから天然ガス輸送・貯蔵事業を97億ドルで買収すると発表した。
その後、この買収のうち、Questar Pipelines の買収(17億ドル)の買収をとりやめた。


買収資産には、
Dominion Energy Transmission、Carolina Gas Transmission、Iroquois Gas Transmission (50%持分)に加え、Cove Point LNG(25%持分)がある。

2020/7/9 Berkshire Hathaway、Dominion Energyの天然ガス輸送事業を買収

今回、Dominionに残る50%を取得するもので、出資比率の経緯は下記の通り。

当初 2019/12 2020/7 2023/7
Dominion Energy 100% 75% 50% 0%
Brookfield 25% 25% 25%
Berkshire Hathaway 25% 75%




NATOのストルテンベルグ事務総長は7月10日、トルコがスウェーデンのNATO加盟を支持することに同意したと明らかにした。トルコのエルドアン大統領が「できるだけ早く加盟議定書をトルコ議会に送り、批准を確実にするため議会と緊密に協力することに同意した」と述べた。7月11~12日に開かれるNATO首脳会議を前に、大きな進展となった。

但し、エルドアン大統領がトルコ議会に加盟議定書を送る時期について、ストルテンベルグ事務総長は具体的な日程を示さなかった。議定書の送付後、トルコ議会は承認投票を実施する必要がある。

付記

トルコのエルドアン大統領は7月12日、スウェーデンのNATOへの加盟申請について、国内での批准手続きはトルコ議会が再開される10月以降になるとの見方を示した。記者会見で、トルコ議会が2カ月間の夏季休暇に入ることから批准手続きはそれ以降になると発言。「議会が始まれば、議長が優先的に扱うだろう。できるだけ速やかに手続きが終わることを望んでいる」と述べた。

エルドアン氏は会見で「今後、スウェーデンが適切な措置を取ることを信じている」と強調した。

米国によるトルコへのF16戦闘機の供与についても言及し、「バイデン大統領はできることをすべてやると言った。これまで以上に期待を持っている」と述べた。
米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、バイデン大統領が売却の動きを明確に支持しているとし、議会と協議を行いながら売却を進めると述べた。

エルドアン大統領はトルコのEU加盟も希望しているが、EU加盟国すべての賛成を得るのは簡単ではない。

ーーー

フィンランドとスウェーデンは2022年5月18日、NATO加盟を正式に申請した。

NATOの加盟各国は2022年7月5日、スウェーデンとフィンランドの正式加盟を承認する議定書に署名した。NATOは32カ国体制となる。

しかし実際の加盟には、EU加盟の30カ国全部の批准が必要である。

10月までに既存の全30カ国中、28カ国が国内の批准手続きを終えたが、トルコとハンガリーのみが批准をしていない。

ハンガリーのオルバン首相は、内政や外交ではリベラリズムに難色を示し、EUやウクライナのゼレンスキー大統領に批判的な姿勢を打ち出している。

トルコのエルドアン大統領は、トルコ政府と対立する国内のクルド分離主義組織「クルド労働者党(PKK)」を両国が支援しているとして難色を示していた。

スウェーデンは人道主義を尊重し人権を擁護するとの立場から、これまでも難民や政治的亡命者を多数受け入れてきているが、クルド人についてはトルコ国内政治における左右両派の対立先鋭化や1980年代の軍事クーデターを契機とする弾圧によって生まれた政治難民と認めて自国に受け入れて来た。

トルコのエルドアン大統領は、スウェーデンをテロ組織の「揺籃の中心地」であると呼び、スウェーデンにクルド労働者党 PKKと結びつきがあるクルド系国会議員がいることや、クルド系の活動家らがスウェーデンの国会に招致されたことなどを強い口調で非難した。

トルコが引き渡しを求める「テロリスト」はクルド系の活動家など数十人に及ぶとされる。

トルコ側から見ればテロリストであるが、スウェーデン側からは政治的迫害を理由に受け入れた難民で、多くは既にスウェーデン国民となっている。人権国家のスウェーデンとしては、犯罪の証拠がない政治亡命者を引き渡すことは出来ない。

スウェーデンの最高裁は2022年12月19日、トルコのエルドアン大統領が名指しで身柄移送を求めるトルコ人記者の送還は人道上の理由から「認められない」と判断した。

エルドアン大統領はスウェーデンでイスラム教の聖典コーランが燃やされた抗議活動などにも反発する。

2022/12/9 フィンランドとスウェーデンのNATO加盟 難航 


トルコのエルドアン大統領は2023年3月17日、フィンランドのニーニスト大統領と会談し、フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟を認める意向を示した。

ハンガリー議会は2023年3月27日にフィンランドの加盟批准を巡る採決を実施し、承認した。 スウェーデンのNATO加盟批准については「後日決定する」としている。

トルコ議会が2023年3月30日にフィンランドの加盟を承認し、全30の加盟国の批准手続きが完了し、フィンランド は4月4日に正式加盟した。スウェーデンだけが残った。

ーーー

今回、NATOのストルテンベルグ事務総長は記者会見で、スウェーデン、トルコ両国は「トルコの正当な安全保障上の懸念に対処するため緊密に協力した」と説明。その一環として、スウェーデンが改憲や法律の改定、PKKに対するテロ対策の協力拡大、トルコへの武器輸出の再開といった措置を取ったことに言及した。

スウェーデンは今年6月、PKKを含むテロ組織への参加や支援を禁止する「反テロ法」を施行した。7月にはPKK支援のため実業家に金銭を要求した男に有罪判決 が出ており、スウェーデンは「トルコの要求を満たした」と主張している。


米国や欧州各国、NATOはいろいろな形でトルコを説得した。

トルコは米国に対し、F16戦闘機の売却を求めている。またEUに対し、トルコのEU加盟を求めている。

今回の合意にあたり、これらが協議対象になった可能性があるが、これらが実際に実行できるかが問題である。


バイデン米大統領は7月5日、スウェーデン首相と会談し、トルコの反対で難航しているスウェーデンのNATO加盟を早期に実現するよう自ら関与していくと明言した。加盟を認める代わりにF16戦闘機の売却を米国に要求するトルコの条件を受け入れるため、売却に慎重な米連邦議会の説得に向けた調整を続ける。

トルコは米国が反対するロシア製ミサイル「S400」を購入し、米国が報復として次世代戦闘機「F35」の開発プロジェクトからトルコを排除した。トルコはF35に代わる措置として米国に新型のF16の売却を求めてきた が、トルコの人権対応を問題視する米議会上院のメネンデス外交委員長(民主党)らに反対論が残る。 メネンデス委員長はエルドアン大統領について「国際法を損ない、人権と民主主義を無視している」と非難、「信頼できる同盟国としてあるべき行動をとるまで売却を承認しない」と唱えてきた。

バイデン大統領は7月9日、トルコのエルドアン大統領と45分にわたり電話会談をおこなった。バイデン大統領はスウェーデンのNATO加盟を「できるだけ早く」実現させたいとの意向を表明した。

エルドアン大統領は、クルド人の独立国家建設を目指す武装組織クルディスタン労働者党の支持者がスウェーデンでデモを続けてい ることを問題視した。スウェーデン政府がデモを許可したことは、解決のための措置を「無効にするものだ」と改めて述べた。

両首脳は、リトアニアで開催されるNATO首脳会議で直接会談し、二国間関係や地域問題について詳しく話し合うことで合意した。

バイデン大統領は電話後の記者会見で、「スウェーデンに関する取引を望んでいる」と述べた。

トルコのエルドアン大統領は7月10日、同国の議会がスウェーデンのNATO加盟を承認する前に、EUはトルコのEU加盟に道を開くべきだと述べた。

トルコは1987年、EUの前進である欧州共同体(EC)に加盟を申請し、1999年に加盟候補国になった。2005年に正式な加盟交渉が始まったものの、トルコの人権侵害問題をめぐり2016年に交渉が中断された。

トルコは、EU加盟に向け大胆な改革を進めているが、キプロス問題が加盟のガンとなっ ている。

キプロスはギリシャ系住民とトルコ系住民が混住しており、1974年以来、南北に分断されている。EUに加盟する南部ギリシャ系のキプロス共和国に対し、トルコだけが承認する北部トルコ系の北キプロス・トルコ共和国(北キプロス)が対立、トルコはキプロス共和国の船舶や航空機の自国乗り入れを拒否しており、EUは開放を加盟交渉の条件にしてい る。

また、トルコの司法制度が依然として西欧法治国家の水準に達していないことなどから事実上停止している。

エルドアン大統領は、「一つの事実を強調したい。トルコはEUの門前で50年間待ち続けている。NATOのほぼ全加盟国がEU加盟国だ。私は今、トルコを50年以上待たせているこれらの国々に呼び掛けている。そしてまた呼び掛けるつもりだ」と述べた。

「まずトルコのEU加盟への道を開いてほしい。そうすればわれわれは、フィンランドに対してそうしたように、スウェーデンのNATO加盟への道を開くだろう」と述べた。 バイデン大統領と電話会談を行った際にも、この要求を伝えたと明らかにした。  

韓国外務省は2023年5月25日、徴用工訴訟問題で敗訴が確定した日本企業の賠償金を韓国政府傘下の財団が支払う解決策に基づき、生存中の原告3人のうち1人に対し、相当額が5月26日に支給されると発表した。

新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業を相手取った3件の訴訟で判決が確定している。韓国外務省によると賠償対象となる元徴用工は故人を含め15人いる。(生存者3名、故人12名)

2023/5/26 徴用工問題、生存者に賠償額初支給

現在までに、15人(生存者3人、故人12人)のうち、11人(生存者1人、故人10人)が受領し、4人(生存者2人、故人2人)が拒否している。

日帝強制動員被害者支援財団は これまで裁判所で確定した賠償金に相当する金額を韓国政府が代わりに弁済する手続きを進めてきたが、受領拒否の4人について裁判所に供託する手続きを行った。

しかし、 光州地裁は4人の供託のうち、これまで公開的に弁済拒否意思を明らかにしてきた梁錦徳さん、李春植さんに対する供託申請を「不受理」とした。

このうち梁さんは事前に「第三者弁済を通じた供託金は受け取らない」という意見書を裁判所に提出している。

裁判所は、 「当事者の意思表示により第三者の弁済を許容しない時には第三者は債務弁済できない」という民法第469条に基づき、当事者の拒否の意思は明確で、したがって財団は裁判所に供託金を出せる要件に合わないと判断した。

李さんについては、書類不備などを理由に差し戻した。

外交部は「類例がないことで承服し難い」として強く反発した。

「供託推進前に法理検討を綿密に経ており、形式上の要件は完ぺきなのに不受理の決定は承服し難い。ただちに異議手続きに着手するだろう」とした。

また「供託公務員は機械的・形式的に供託事務を処理しなければならないという判例があり、法理を理由に供託不受理決定をしたのは権限の範囲を超えたもの。弁済として有効なのかどうかは裁判で判断する問題なのに、裁判官から裁判を受ける権利を侵害した」とも主張した。

中国国有自動車大手や比亜迪(BYD)、米 Teslaなど16社は7月6日、中国市場で過当競争を避けることで合意した。

中国経済の減速で電気自動車(EV)を含む新車販売の価格競争が激化していることから、中国政府の指導下で各社が歩み寄った。

中国の自動車業界団体が同日に上海市で開いた国際会議で、16社が「自動車業界の公平な市場秩序の維持の承諾書」にサインした。自動車政策を担う工業情報化省の幹部が16社の合意の証人となった。

承諾書は4項目で構成する。

 異常な価格で市場の公平な競争秩序を乱さない

 ②誇大な宣伝で消費者に誤解を与えない

 ③高品質の製品とサービスを提供する

 ④社会的責任を積極的に果たす

中国汽車工業協会は7月8日、16社がこの承諾書から項目①を「独占禁止法の精神に反する」ため削除すると発表した。消費者軽視だと世論が反発したことを受けての措置。項目を削除したうえで独禁法を遵守するよう16社に促す。


16社は以下の中国15社と米国のTeslaで、中国市場の新車販売の大半を占める。

第一汽車集団(China FAW) 東風汽車(Dongfeng Motor) 上海汽車集団(SAIC Motor) 長安汽車(Changan Automobile)
北京汽車集団(BAIC) 広州汽車(GAC Motor) 中国重型汽車集団(SINOTRUK) 奇瑞汽車( Chery)
JAC Motors  吉利汽車(Geely Automobile)  長城汽車(Great Wall Motor) 比亜迪(BYD)
上海蔚来汽車(Nio) 理想汽車(Li Auto) 小鵬汽車(Xpeng) Tesla

中国メディアによると、工業情報化省の自動車業界担当幹部は「中国の自動車産業の発展は課題に直面しており、無謀な値下げを避けるなど販売促進活動を規制することが必要だ。自動車各社は良好な市場環境の維持に貢献すべきだ」と指摘した。各社は政府の指導に従い過当な競争を抑えることをめざす。

中国市場で急成長するEVなど新エネルギー車も価格競争が激化している。業界関係者によると、一部の自動車大手は部品メーカーに調達価格の引き下げを通知し、部品メーカーから反発や政府に対応を求める声が出ていた。

SBIホールディングスは7月5日、台湾の半導体ファウンドリ大手の力晶積成電子製造(Powerchip Semiconductor Manufacturing Corp.) と日本国内での半導体工場設立に向けた準備会社を設立することについて基本合意したと発表した。

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日本政府は2021年6月に半導体・デジタル産業戦略を策定し、日本国内における半導体産業を抜本的に育成していくことの必要性を表明した。

「半導体戦略」(経済産業省 20216
 https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210604008/20210603008-4.pdf

日本の半導体産業は、1990年代以降、徐々にその地位を低下

国内の半導体製造基盤の確保・強化に向けて

半導体は、デジタル社会を支える重要基盤・安全保障に直結する戦略技術として死活的に重要。

   
具体的には、先端半導体を国内で開発・製造できるよう、海外の先端ファウンドリの誘致を通じた日本企業との共同開発・生産や、メモリ・センサー・パワー等を含めた半導体の供給力を高めるための我が国半導体工場の刷新等について、他国に匹敵する大胆な支援措置が必要

国内対策① 先端半導体製造技術の共同開発とファウンドリの国内立地

国内対策② デジタル投資の加速と先端ロジック半導体の設計強化

国内対策③ 半導体技術のグリーンイノベーション促進

国内対策④ 国内半導体産業のポートフォリオとレジリエンス強靭化

 詳細 2021/10/18 半導体大手、台湾のTSMCが日本で工場建設

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日本の半導体工場


最近の動き

台湾積体電路製造(TSMC)熊本県菊陽町

  2021/10/18 半導体大手、台湾のTSMCが日本で工場建設

Rapidus㈱ 北海道千歳市

2022/11/14 次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けた取組、先端半導体の国産化へ新会社  

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今後、日本が半導体のグローバルサプライチェーンの起点となっていくことは中東、アジア及び欧米諸国からも求められてくる。

このような中で、SBIグループは台湾の半導体ファウンドリ大手であるPSMCと日本での半導体工場の設立に向けた準備会社を共同設立することについて基本合意したもの。

PSMCは台湾3位、世界6位の半導体ファウンドリ大手で、メモリとロジックの両方を生産できる世界的にも稀有な企業である。

事業概要 スペシャリティーロジック、ニッチ市場向けメモリ、ディスクリートの半導体ファウンドリ事業
設立 1998年
拠点
12-inch Fabs 本社&Fab P1/2 新竹市
Fab P3 & Wafer test
Fab P5

苗栗県

8-inch Fabs Fab 8A 新竹市
Fab 8B 苗栗県
扱い品

Discrete Process
(単一目的)
Widely used in various products such as mobile phone / Tablet battery protection, PC / NB motherboard, machine tools, USB, signal switch, motor drive and LED lighting.
Power Management Process Widely used in various types of Power IC, such as LDO, Buck, Boost converter, charger pump, LED lighting / Driver, AD / DC, HV motor driver ...
CIS 110nm CIS process technology is under production for high resolution CIS chips for clients. PSMC also developed the CIS color filter and micro lens process in order to provide clients a more completed CIS chip foundry service at same fab.
Embedded NVM Consumer, industrial, smartcard and automotive electronics
High Voltage Process Mobile phones, tablet, notebook, automotive panel, TV, electronic paper and other display driver ICs.
Logic
DRAM 揮発性メモリ
NAND & NOR 不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)

多くの半導体企業は最先端または先端技術に特化した投資をしているが、PSMCは車載向け半導体需要の90%以上を占めるとされている28nm以上の半導体を高品質で安価・大量に生産するビジネスモデルを有している。

今後、SBIグループとPSMCは準備会社を早期に設立し、同準備会社にて、工場立地場所の選定、事業計画の策定、資金調達の計画等を実施する。

日本で設立する工場は、まず40/55nmのプロセスルールで車載・産業機器用ICチップに注力し、中期的にはWoW(Wafer-on-Wafer)となる3次元積層ウェハおよび、28nmの以下のプロセスノードへの移行を目指す。さらに長期的には、先端半導体技術を開発するための研究所も国内に設立するという。

資金調達についてはSBI の主力行である三井住友銀行やみずほ銀行と相談するほか、グローバルに資金を調達する計画もあるとした。

SBIの北尾吉孝社長は会見で、半導体生産について「輸出市場として日本で作る意味がある。グローバルサプライチェーンの起点にする」と述べた。「金融機能で日本の半導体産業の復興に貢献したい」とも話し、これまでネットワークを構築してきた地域金融機関が地元で融資できる体制を作っていく考えを示した。

バイデン米政権は2022年10月7日、中国への半導体先端技術の新しい輸出規制を実施すると発表した。

2022/10/10 米国、半導体の対中輸出制限を拡大

西村経済産業相は2023年3月31日、最先端の半導体製造装置23品目について輸出規制を強化すると発表した。改正省令を5月に公布、7月に施行する。

米国は日本とオランダにも協力を求めていたが、オランダは3月8日に先端半導体製造装置の輸出規制を強化すると表明していた。2023年の夏までに公表するが、半導体製造装置のメーカー ASMLが半導体メーカーに販売している深紫外線(DUV)露光装置に関する技術が影響を受ける。

2023/4/4 最先端の半導体製造設備の輸出規制強化

政府は6月30日、先端半導体の製造装置の輸出管理を9月1日から強化すると発表した。 これを受け、オランダの露光装置大手ASMLは同社が手掛ける最先端の液浸DUV(深紫外線)露光装置を輸出する際は、同国政府の許可が必要になると説明した。

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2023年商務部告示第23号 ガリウム及びゲルマニウム関連品目の輸出規制の実施に関する商務部及び税関総局告示

国家安全を守るため、「中華人民共和国輸出管理法」、「中華人民共和国外国貿易法」、「中華人民共和国関税法」の関連規定に従い、国務院の承認を得て、ガリウムとゲルマニウムに関連する品目の輸出規制を実施することを決定した。

以下の特徴を満たす品目は、許可なく輸出してはならない。

(1) ガリウム関連品 1.金属ガリウム(単体)
2.窒化ガリウム(ウエハー、粉末、スクラップ、その他)
3.酸化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェーハ、エピタキシャルウェーハ、粉末、スクラップ、その他)
4. .リン化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェーハ、エピタキシャルウェーハ、その他)

5.
ガリウムヒ素(多結晶、単結晶、ウェーハ、エピタキシャルウェーハ、粉末、スクラップ、その他)
6.インジウムガリウムヒ素
7.セレン化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェーハ、エピタキシャルウェーハ、粉末、スクラップ、その他)
8. アンチモン化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェーハ、エピタキシャルウェーハ、粉末、スクラップ、その他)
(2) ゲルマニウム 1. 金属ゲルマニウム(単体、結晶、粉末、破砕物、その他)
2. ゾーン溶解ゲルマニウムインゴット
3. リンゲルマニウム亜鉛(結晶、粉末、破砕物、その他)
4. Ge エピタキシャル成長基板
5. 二酸化ゲルマニウム
6. 四塩化ゲルマニウム

この品目の輸出については、商務部は関連部門とともに国務院に報告し、承認を得る必要がある。

輸出業者が許可なく輸出したり、許可の範囲を超えて輸出したり、その他の違反行為をした場合、商務省、税関等の部門は関連法令に基づき行政罰を課す。 犯罪を構成する場合は刑事責任を問われる。

2023年8月1日に発効する。

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ガリウムは、主にアルミニウム製錬の副産物として生産され、日本では量的には少ないが亜鉛製錬の副産物としてガリウムを生産しており、高純度(純度 99.999%;5N)に精製され、ガリウム砒素に代表される化合物半導体材料として高周波デバイスや LED 等の光デバイスなどに用いられ、衛星放送や移動体通信用のキーデバイスとして、オプトエレクトロニクス分野の製品に需要が拡大している。

2017年の世界ガリウム地金の生産量は低純度地金で315トンで、主要産出国は中国、ロシア、日本などである。

うち、ガリウム地金(4N レベル)生産 195 純分トン (中国 180t、ロシア・カザフスタン 7t、日本 3t、その他 5t)

日本の使用量  165トン(亜鉛副産物 3t、輸入地金精錬 94t、再生地金 68t)

輸入地金のうち、中国が65t、残りは10カ国以下から少量ずつ輸入

 

     https://mric.jogmec.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/material_flow2018_Ga.pdf


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ゲルマニウムは、主に亜鉛鉱物処理の副産物として得られる。PET ボトル製造時の触媒、光ファイバー用添加剤、ダイオード、赤外線感知機器、太陽電池用の単結晶などに幅広く利用されている。

2017年の生産は下記の通り。

中国 88t、ロシア 6t、その他 40t、合計134t   

中国の輸出は21.1トンで、米国向けが19%、日本向けが12%となっている。

https://mric.jogmec.go.jp/wp-content/uploads/2019/03/material_flow2018_Ge.pdf

米連邦最高裁は6月30日、バイデン政権による学生ローン返済の一部免除措置を無効とする判断を示した。

バイデン米大統領は2022年8月24日、学生ローンを抱える数百万人の借り手に対し1人当たり1万ドルの返済を免除すると述べた。

パンデミック下で特に大きな打撃を受けた労働者や中流階級の人々のための措置だとし、高所得世帯(所得上位5%)は対象外とする。

延長を繰り返し、8月末としていた学生ローンの返済猶予措置を年末まで延長するほか、年収125千ドル以下、夫婦の場合は合計25万ドル以下の世帯に対し1万ドルの学生ローンの返済を免除する。

低所得者層の学生を対象とするPell Grantsと呼ばれる連邦補助金の受給者に対しては最大2万ドルの免除を行う。

学生ローンの対象は約43百万人で、うち20百万人が債務全額免除となる。

2022/8/27 米大統領、学生ローン返済免除表明 

訴訟は、中西部ネブラスカ州など巨額の財政出動を嫌う共和党が主導する6州と免除対象から外れた元学生ら2人が、バイデン政権をそれぞれ相手取り、措置の差し止めを求めて起こしていた。

政権側は、2001年の米同時多発テロを受けて「国家非常事態の際には学生ローンを減免できる」と定めた2003年の学生高等教育救済法(The Higher Education Relief Opportunities for Students Act :HEROES法)に基づき、措置は合法だと主張,、原告側は「政権は法律を拡大解釈している」などと訴えていた。

トランプ政権は、これに基づき学生ローンの返済の一時停止を繰り返したが、債務免除には踏み込まなかった。

口頭弁論では、保守派の判事らが、免除額が巨額に上るにもかかわらず連邦議会の承認なく進めたことを疑問視する発言をしていた。

措置の合法性とともに、原告側が政権の措置によって損害を受け、勝訴すればその損害が救済されることを証明できるか否かも焦点だった。

報道によると、約2600万人が既に申請済みで、全米で4000万人以上が該当すると推定されていた。

今回、最高裁はバイデン大統領が掲げる連邦政府に対する学生ローン債務の減免プログラムについて、権限を逸脱しているとして却下した。同じく 6対3の判断だった。

ロバーツ最高裁長官は、戦争や国家非常事態を想定している学生高等教育救済法のコロナへの運用は「行き過ぎ」と断じ、大規模な債務帳消しプログラムには議会の承認が必要であるとした。

バイデン大統領は判決後の声明で「裁判所の決定は間違っている。全ての米国人に高等教育の約束を果たすために努力する」と訴えた。

物価の高騰で中間層の生活が厳しくなる中、2024年大統領選のキャンペーンに乗り出したバイデン大統領は公約を阻止された形で、痛手となる。

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米連邦最高裁は6月30日、 顧客の性的指向への差別を禁止している西部コロラド州で、保守派キリスト教徒のウェブデザイナーが同性婚を巡るデザインの仕事を拒否している件で、デザイナーを支持する判決を下した。

最高裁は、デザイナーは憲法修正第1条に基づき、自分が同意できないデザインの作成を拒否する「表現の自由」を有すると述べた。

この判決により、公共におけるLGBTなど性的少数者の権利を保護している他の州法下でも、デザイナーのような事業主が表現の自由を理由に処罰を免れる可能性がある。最高裁の9人の判事のうち保守派6人全員がデザイナーを支持した。

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米連邦最高裁は6月27日、州議会に連邦議会選の州ごとの施行ルールを決める独占的な権限があるとの主張を退けた。各州で優勢な政党が自党に有利な区割りをする「ゲリマンダー」が横行する恐れに歯止めをかけた。


何十年もの間、ノースカロライナ州は党派によるゲリマンダーの象徴であった。

2020年国勢調査データの発表とその後の線引きの後、選挙区再編訴訟はノースカロライナ州最高裁判所で最終的に審理された。当時の州最高裁は民主党が4対3の過半数を占めていた。

2022年2月、州最高裁判所はこの問題は裁判所が判断する範囲内であることを認め、党派ゲリマンダーであるとして、新しい議会、州議会、州上院の地図を無効にした。

これに対しノースカロライナ州の共和党は、連邦憲法は「連邦上下両院の選挙施行の時期、場所、方法は、各州の立法機関(議会)が定める」としており、「連邦憲法に基づき、 州最高裁ではなく、州議会に選挙施行ルールを決める権限がある」と主張し 、州最高裁の判決の取り消しを求めて連邦最高裁に訴えた。

今回、連邦最高裁は「州議会の活動はそもそも州憲法で縛られており、連邦選挙のルール決定に関しても独占的な権限があるわけではない」として、共和党側の訴えを退けた。

しかし、ノースカロライナ州においては、この連邦最高裁の判決は意味のないこととなった。

ノースカロライナ州最高裁の構成が変わり、共和党が多数派を占めたが、新しい州最高裁は2023年3月に、上記の2022年2月の州最高裁の判決を覆した。新しい判決で、裁判所は昨年判断を誤ったとし、党派的なゲリマンダーだとの主張は州憲法の下では実際には正当化できないとの判決を下した。 「党派的な区画整理基準の策定は政策決定にあふれている。政策決定は司法府ではなく立法府に属する」とした。

今回、連邦最高裁は州議会に連邦議会選の州ごとの施行ルールを決める独占的な権限があるとの主張を退けたが、州最高裁自身が州議会の決定を承認したため、実質的に影響を受けないこととなる。

なお、米連邦最高裁判所は6月8日、共和党が策定したアラバマ州の選挙区割りを退け、黒人が多い地域に2つ目の選挙区を割り当てるよう求めた下級裁の決定を支持した。

2023/6/13 米最高裁、アラバマ州で新たな黒人選挙区を支持




最高裁判事は下記の通りで、保守派6 対リベラル派3 である。2022年には
1973年の「Roe v. Wade判決」を覆す判断を下した。

2022/5/10 米最高裁の中絶権判例を覆す意見草案

最高裁判事には定年はなく、死亡か自ら退任するまでその職にある。今後も保守的な判決が続くと思われる。

Trump大統領が保守的な政策を遂行するため、強引な方法を使ってまで保守系の判事を3名送り込んだのが響いている。

Biden大統領就任に当たり、対策として定員を大幅増加する案なども検討された。

 性別 born 人種背景

指名した大統領

就任日 判断傾向
Clarence Thomas 男性 1948/6 アフリカ系 George H. W. Bush 1991年10月23日 保守
John Roberts  (Chief) 男性 1955/1 白人系 George W. Bush 2005年9月29日 保守
Samuel Alito 男性 1950/4 イタリア系 2006年1月31日 保守
Sonia Sotomayor 女性 1954/6 ラテン系 Barack Obama 2009年8月8日 リベラル
Elena Kagan 女性 1960/4 ユダヤ系 2010年8月7日 リベラル
Neil Gorsuch 男性 1967/8 白人系 Donald Trump 2017年4月10日 保守
Brett Kavanaugh 男性 1965/2 白人系 2018年10月6日 保守
Amy Coney Barrett 女性 1972/1 白人系 2020年10月26日 保守
Ketanji Brown Jackson 女性 1970/9 アフリカ系 Joe Biden 2022年6月30日 リベラル
米連邦最高裁は6月29日、米国の多くの大学が入学者を選抜する際に用いている人種を考慮する手法 (Affirmative Action の一つ)について憲法違反だとする判決を言い渡した。


多様性を確保するため、黒人やヒスパニックなどの出願者に優遇措置をとってきた手法は認められなくなる。米社会における人種のとらえ方に大きな影響を与える司法判断 である。

Affirmative Actionは、1961年にアメリカのJohn F. Keneddyが大統領令で初めて使用した語で、弱者集団の不利な現状を、歴史的経緯や社会環境に鑑みた上で是正するための積極的な改善措置を表す。

民族や人種や出自による差別と貧困に悩む被差別集団の進学や就職や職場における昇進において、特別な採用枠の設置や、試験点数の割り増しなどの優遇措置を指す。

この訴訟は2014年にNPO「公平な入学選考を求める学生たち」(Students for Fair Admissions:SFFA)が「ハーバード大はアジア系の人物評価に意図的に低い点数をつけている」と主張して起こした。是正措置の対象でないアジア系が「差別」され、黒人らは人種によって優遇されているという構図をつくりだしていると主張してきた。ノースカロライナ大学に対しても、入学選考で不必要に人種を考慮しているとしてSFFAが訴えた。

これに対し大学側は、「人種は選考する際の1つの要素にすぎず、措置がなくなれば黒人やヒスパニック系の学生が大幅に減り、多様性が損なわれる」などと反論していた。

Affirmative Actionは歴史的に人種差別に苦しんだ黒人やヒスパニック系に配慮する一方、アジア系の入学許可枠が圧迫されてきたといわれている。人種を考慮せずに試験の成績を基準にすれば、アジア系の入学者はもっと増えると指摘されてきた。

今回、連邦最高裁は、大学が入学希望者の人種を選考要素に含めるのは憲法に反するとの判断を下した。保守派6名が賛成、リベラル派3名が反対した。


米国憲法が法の平等保護を保障していることを踏まえ、入学者選抜で人種を考慮できるのは、極めて限られた場合だと指摘、ハーバード大学とノースカロライナ大学の選考プログラムは、平等な権利を保障した憲法に反すると した。「人種が人生にどう影響したのか、志願者が話す内容を大学が考慮することは禁じられていない」が、この場合も具体的な特性や能力に結びつける必要があるとした。

ロバーツ最高裁長官は判決文書で、両校が主張する多様性を確保するためという論拠を退けた。「両校のプログラムは人種を考慮することを正当化する十分な焦点と測定可能な目標を欠いており、必然的に人種を否定的に用い、人種的ステレオタイプを関与させるほか、有意な終着点が欠落している」とし、「このようなやり方での選考プログラムはかつて認めたことがなく、それはこれからも同様だ」と続けた。

反対したSonia Sotomayor 判事(ヒスパニック系)は「最高裁はこの日、数十年続いた前例を覆し、表面的な人種無視のルールを米国に押しつけた」とし、「この決定がもたらす破壊的な影響は語り尽くせない」と論じた。

合衆国憲法修正第14条第1節

アメリカ合衆国で生まれ、あるいは帰化した者、およびその司法権に属することになった者全ては、アメリカ合衆国の市民であり、その住む州の市民である。如何なる州もアメリカ合衆国の市民の特権あるいは免除権を制限する法を作り、あるいは強制してはならない。また、如何なる州も法の適正手続き無しに個人の生命、自由あるいは財産を奪ってはならない。さらに、その司法権の範囲で個人に対する法の平等保護を否定してはならない。

今回の判決で、米国のトップ校では黒人とヒスパニックの学生が減る可能性があり、多くの大学が選考基準の見直しを迫られるとみられる。

バイデン大統領はこの判決に「同意しない」と述べ、現在の最高裁は「正常な裁判所ではない」と批判した。「人種が多様であってこそ大学は強くなる。我々の国が強くなっているのは、この国のあらゆる人材を活用しているからだ」とAffirmative Actionの意義を強調した。

そのうえで「今回の判断は多くの人をひどく失望させるものだが、これによって国を後退させるわけにはいかない。多様性こそがわれわれの強みだということを忘れてはならない」と述べて、大学は引き続き多様性の確保に努めるべきだと強調し、関係省庁にそのための方策を検討するよう指示すると明らかにした。

ハーバード大学は「変革的な教育や学習、そして研究はさまざまな背景、視点、経験を持つ人々からなるコミュニティーによって成り立つという基本原則は、これまでと同様に今後も真実かつ重要であり続ける」とする声明を発表し、大学内の学生の多様性を重視する立場に変わりはないと強調している。



Pfizer Inc.は6月23日、米国FDAが円形脱毛症の治療薬として、LITFULO (ritlecitinib) を承認したと発表した。

同社の日本子会社 ファイザー㈱は6月26日、円形脱毛症の治療薬として、経口JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害剤「リットフーロ®カプセル50mg」(一般名:リトレシチニブトシル酸塩)の製造販売承認を取得した と発表した。

厚生労働省は5月29日に薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催し、ファイザーの円形脱毛症治療薬「リットフーロカプセル」(リトレシチニブ)など3品目の承認を了承した。

円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)患者に対し、通常、成人及び12歳以上の小児には、リトレシチニブとして50mgを1日1回経口投与する。

今回の厚労省の承認は、全頭型および汎発型を含む円形脱毛症を有する患者を対象とした国際共同治験(ALLEGRO-2b/3、ALLEGRO-LT)の結果等に基づくもの。

リトレシチニブ50 mg投与群は、主要評価項目である第24週時のSALT≤20達成割合において、プラセボと比較して統計的に有意な改善を示した。また、リトレシチニブの忍容性、安全性は良好だった。

SALT(Severity of Alopecia Tool)は脱毛症の重症度評価ツールであり、SALT≤20は頭部脱毛が20%以下であることを意味する。

ALLEGRO Phase 2b/3試験では、重症度脱毛ツールによって測定された頭皮の50%以上の脱毛を有する718人の患者を対象に、18カ国の118施設でLITFULOの有効性と安全性が評価された。

LITFULO 50 mgを投与された患者のうち、23%が6か月後に80%以上の頭皮の髪の毛を回復(SALT≤20)させたが、プラセボでは1.6%であった。

LITFULOの有効性と安全性は、思春期(12歳から17歳)および成人(18歳以上)の間で一貫していた。LITFULOを使用した患者で報告された最も一般的な副作用は、頭痛(10.8%)、下痢(10%)、にきび(6.2%)、発疹(5.4%)、および蕁麻疹(4.6%)である。

円形脱毛症は一般的な脱毛とは異なり、免疫システムが毛包を攻撃して発病する自己免疫疾患で斑状の脱毛を特徴とする。免疫細胞が健康な毛包を攻撃することで脱毛症状が起こる。

多くの場合、頭皮で脱毛するが、時には顔(眉毛、まつ毛、ひげ)を含む頭部全体や全身に症状が出ることがある。平均発症年齢は25~35歳だが、子供から高齢者まで幅広い年齢層で、性別、人種を問わず発症する。

円形脱毛症の治療法は限られており、発症後の管理が難しいことも知られている。これらのことから、多くの患者において健康関連QOLが低下し、うつ病や不安神経症などの深刻な心理的影響が生じる可能性がある。

リトレシチニブは、ATP(アデノシン三リン酸)結合部位の遮断により、JAK3及び5種類のTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害する共有結合形成型の経口投与可能な低分子製剤。
円形脱毛症の病態に関与する インターロイキン-15(IL-15)IL-21等の共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により強力に抑制し、CD8陽性T細胞およびNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制することで治療効果を発揮 する。

(上記はファイザー発表文だが、これについてChatGPTにどういう意味かを質問すると、下記の回答を得た。)

円形脱毛症は、免疫系の異常によって引き起こされる自己免疫性の毛髪疾患で、IL-15やIL-21といったサイトカインは、円形脱毛症の病態に関与している。これらのサイトカインは、共通γ鎖受容体を介してシグナルを伝達する。

ヤヌスキナーゼ3(JAK3)は、共通γ鎖受容体のシグナル伝達に関与するキナーゼ(酵素)の一種で、JAK3阻害により、共通γ鎖受容体からのシグナル伝達が強力に抑制される。これにより、免疫応答が抑制され、円形脱毛症における症状や病態の進行が阻止される可能性がある。

また、円形脱毛症ではCD8陽性T細胞やNK細胞が過剰に活性化し、毛包の細胞を攻撃することが知られている。TECファミリーキナーゼは、CD8陽性T細胞やNK細胞の活性化に関与するキナーゼで、TECファミリーキナーゼの阻害により、これらの免疫細胞の細胞溶解能(他の細胞を攻撃・溶解する能力)が抑制され、円形脱毛症の症状の改善が期待される。

要約すると、JAK3阻害により共通γ鎖受容体のシグナル伝達が抑制され、TECファミリーキナーゼ阻害によりCD8陽性T細胞やNK細胞の細胞溶解能が抑制されることで、円形脱毛症の治療効果が発揮される可能性がある。

円形脱毛症の原因 

リトレシチニブの機能
①IL-15やIL-21が関与し、免疫系の異常で起こる。
(JAK3が関与して共通γ鎖受容体を介してシグナルを伝達)
JAK3阻害でIL-15やIL-21のシグナル伝達を抑制
CD8陽性T細胞やNK細胞が過剰に活性化して毛包細胞を攻撃。
  これを活性化するのがTECファミリーキナーゼ。
TECファミリーキナーゼの阻害で、細胞溶解能(他の細胞を攻撃・溶解する能力)を抑制

   

LITFULOはヤヌスキナーゼ(JAK)抑制剤系列でFDA承認を受けた2番目の薬である。

FDAから初めて承認されたのは2022年6月のEli LillyOlumiant(一般名:baricitinib)で、 関節リウマチの炎症関節の腫れや関節破壊の進行を抑えるだけでなく、日々の痛みや疲労感などの自覚症状にも働きかける。

関節リウマチは、自分自身の免疫細胞が過剰に活性化され、関節を包む膜(滑膜)に炎症が起こる病気

韓国半導体大手サムスン電子の国内4カ所目となる半導体製造の拠点「竜仁半導体クラスター」(京畿道竜仁市)が、2026年にも着工する見通しとなった。当初予定より約3年前倒しする。

サムスン電子と韓国国土交通省、京畿道、竜仁市、韓国都市住宅公社の5者は6月27日、竜仁半導体クラスターを成功裏に推進するための業務提携を締結した。

ファウンドリーを中心とする半導体製造工場5棟が建設される予定で、総事業費は約300兆ウォン(約33兆円)を見込む。工場5棟が入居する半導体クラスターの稼働には、電力や用水などの大規模なインフラ設備が必要になる。

本年3月には2029年ごろに最初の工場の建設に着手するとしていたが、今回の提携では通常1年ほどかかる予備妥当性審査などの事前作業を短縮し、2026年末の着工を目指すことで合意した。

サムスン電子や政府は事業を効率的に進めることで、早ければ2030年に一部の工場を稼働させたい考えだ。

完成すれば、世界最大級のファウンドリー(半導体の受託生産)拠点となる。官民一体で台湾の台湾積体電路製造(TSMC)との差を縮めたい考え。

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韓国政府は2021年5月13日、ソウル南方にあるサムスン電子の平沢事業所で「K(韓国型)半導体戦略」の報告会を開き、「総合半導体強国」の実現に向けた戦略を発表した。

半導体メモリだけではなくシステム半導体(非メモリであるシステムLSI 製造やファウンドリサービス)でも世界一を目指す。

2021/5/20  韓国、官民協力で「K半導体ベルト」構築 

韓国産業通商資源部と国土交通部は2023年3月15日、尹錫悦大統領主宰で開かれた非常経済民生会議で、国家先端産業育成戦略、国家先端産業ベルト造成計画などを発表した。2042年までにファウンドリー(半導体受託生産工場)と先端メモリー半導体工場計5カ所を建設し、ファブレス(半導体設計)、素材、部品、設備企業も最大150社を誘致する。

サムスン電子は龍仁市に2042年までの20年間、300兆ウォンを投資し、次世代半導体製造工場5カ所など生産施設を建設する。

同社は「新しいクラスターが構築されれば竜仁市器興区や華城市、平沢市、(SKハイニックスの)利川市など半導体生産団地と、近隣の材料・部品・装備企業、ファブレスなどを連係した世界最大の『半導体メガクラスター』が完成する」とし、「300兆ウォンが投資されれば直接・間接的な生産誘発効果は700兆ウォン(約70兆5千億円)、雇用誘発効果は160万人に達するだろう」と予想した。

                      K半導体ベルト

2023/3/20 韓国の国家先端産業育成戦略、サムスンが30兆円の大投資 

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