海外医薬品大手の2007年決算-2

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5) Roche

2001年12月 中外製薬がスイス・ロシュの傘下入り決める

2002年9月 DSMによるロシュ社のビタミン・ファインケミカル事業統合

2004年7月 大衆薬事業のBayerへの売却 合意

増収・増益となった。

部門別内訳は以下の通り。
 (単位:百万スイスフラン 1スイスフラン=約100円)

  売上高 営業損益
2006 2007 増減 2006 2007 増減
Roche  20,666  22,970   2,304   6,025   7,225  1,200
Genentech   9,125  10,414   1,289   3,951   5,298  1,347
中外製薬   3,503   3,399   -104    569    610    41
Diagnostics   8,747   9,350    603   1,422   1,648   226
調整         -237   -313   -76
合計  42,041  46,133   4,092  11,730  14,468  2,738

損益推移は以下の通り。

  2002 2003 2004 2005 2006 2007
売上高  29,453  31,220  29,522  35,511  42,041  46,133
営業損益(除 特別費用)   5,448   6,268   6,766   9,189  11,730  14,468
営業損益   1,335   5,592   5,995   8,669  11,730  14,468
税引後損益  -4,026   3,069   7,063   6,866   9,171  11,437

2002年 訴訟費用  -2,548(うちビタミン -1,770
      事業売却  
-1,064( 同上    -1,650
      ノレン償却   
-501

      株式評価損 
-5,192
      (
スイス上場株式の株価大幅下落に際し、評価替えした。)

2004年 大衆薬事業売却益 2,304
      ノレン償却      
-579

ーーー

6) AstraZeneca

1993年にICIの医薬部門が分離したZeneca とスウェーデンのAstra が1999年に合併。

2000年に農薬部門を分離、Novartis の種子部門と統合してSyngentaとした。

増収、増益だが、大幅な Restructuring を実施中で、当期は約10億ドルの費用を計上したため、減益となった。

                   単位:百万ドル
  2003 2004 2005 2006 2007     
売上高  18,849  21,426  23,950  26,475  29,559
営業損益   4,007   4,547   6,502   8,216   8,094
 
(9,060) 
税引後損益   3,044   3,683   4,724   6,063   5,627

同社は2003年に、米国で過去にホルモン療法剤 Zoladexの違法販売を認め、罰金355百万$を支払った。
2007年の営業損益の( )は、Restructuring costs を除外したもの。

 

同社は2007年にRestructuring 計画を開始した。

計画の費用総額は1,975百万ドルで、その結果、2010年までに年間1,400百万ドルの利益を期待している。

うち、2007年のコストは966百万ドルで、
  売上原価 415百万ドル
  研究開発費 73百万ドル
  販売費一般管理費 478百万ドルとなっている。
このうち、243百万ドルは加速償却その他で、残り723百万ドルは現金支出。

2007年にこれによる生産性アップ等で300百万ドルの効果が出ている。

残り1,000百万ドルの費用のうち、約2/3は2008年、残りが2009年に発生する。

ーーー

7) Johnson and Johnson

増収、減益となった。但し、特別処理を除くと、実質的には増益である。

部門別内訳は以下の通り(単位:百万ドル)

  売上高 営業損益
2006 2007 増減 2006 2007 増減
Consumer   9,774  14,493  4,719   1,374   2,277    903
Pharmaceutical  23,267  24,866  1,599   6,894   6,540   -354
Medical Devices and Diagnostics  20,283  21,736  1,453   6,126   4,846  -1,280
全社          193   -380   -573
合計  53,324  61,095  7,771  14,587  13,283  -1,304

損益推移は以下の通り。(単位:百万ドル)

  2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
税引前損益  6,868  7,898  9,291  10,308  12,838  13,116  14,587  13,283
税引後損益  4,953  5,668  6,597   7,197   8,509  10,060  11,053  10,576

 

同社は特殊項目を除いた税引前損益を以下のように分析し、実質増益としている。

税引前損益対比 (単位:百万ドル)
  2006 2007 増減
報告   14,587  13,283  -1,304
Purchased in-process research & development    559    807    248
Restructuring charges      745    745
NATRECORR intangible asset write-down      678    678
Guidant acquisition agreement termination fee   -622      622
差引 実質損益  14,524  15,513    989

(1) Purchased in-process research & development
   買収事業に関する開発中の研究開発費(損金算入)
    
2006年  ConsumerHealthcare business of Pfizer Inc.
    2007年  ConorMedsystems

(2) Restructuring charges
   2007年第3四半期に発表したもので、コスト構造を改善するもの。
   2007年の費用は退職金 450百万ドル、資産消却 272百万ドルほか、合計745百万ドルとなっている。

(3) NATRECORR intangible asset write-down
   代償性うっ血性心不全の薬で同社の有望製品だったが、副作用報告が出た。

(4) Guidant acquisition agreement termination fee

   同社は2004年12月に医療機器メーカーのGuidantを254億ドルで買収することで合意。
   
その後、Guidant社の心臓細動除去器がリコールされたため、J&Jは買収に難色を示したが、
   法廷闘争を避けて、15%を差し引いた215億ドルでの買収で合意した。

   最終的にGuidant がJ&Jとの契約を破棄してBoston Scientificによる買収を受け入れたため、
   Termination Fee をもらった。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


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