Solutia、破産手続き終了

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Solutiaは2月28日、会社更生手続き(Chapter 11)を終了し、再生に向けスタートした。

Solutiaは1997年9月にMonsantoの化学部門が分離独立して設立された会社である。

Monsantoは1901年設立の化学会社だが、1985年にバイオケミストリー分野での事業展開のため、G.D.Searle を買収した。
1997年に化学部門をSolutia として分離した。
1998年に American Home Products と合併で合意したが、破談となっている。
2000年4月にPharmacia & Upjohn と合併し、Pharmacia となった。
Pharmacia は2002年に農薬部門を再度 Monsanto として分離した。
   
Pharmaciaは2003年にPfizer に買収された。

 

2003年12月17日、Solutia は日本の会社更生法に当たる連邦破産法11条申請を行ったと発表した。

Monsanto からスピンオフした際に引き継いだ法的債務(訴訟費用・賠償金、環境対策費用、退職者医療費債務等)で毎年1億ドル程度を支払い、これが負担となっていた。

2003年8月には、旧Monsantoがアラバマ州で健康への危険を隠蔽しながら河川にPCBを投棄したとの住民訴訟に対し和解が行われ、SolutiaMonsantoPharmacia の3社が不正行為を認めないまま総額6億ドルの賠償を行なうこととなり、Solutia はそのうち5千万ドルを負担した。

破産法11条申請は、コストダウン等による対応が限界にきたとして、これらの負担を免れるために行ったもので、業務は引き続き継続した。  

参考 セブンーイレブン

米国連邦破産法はChapter 7 で
破産手続き、Chapter 11で会社更生手続きを規定している。

長期間の交渉の結果、2007年9月にようやく再建計画について債権者、株主、Monsanto、Pharmacia、退職年金その他、主要な利害関係人すべてとの合意が成立した。

20億ドルの新規借入(exit financing):
  既存借入金の一部の返済と運営費用に充てる。
・250百万ドルの新株発行
  退職年金等に充てる。

2007年10月15日に破産裁判所に再建計画を提出、11月29日に裁判所の承認を得た。

2008年2月28日、新規借入が実行され、Chapter 11手続きが完了した。

SolutiaのCEOは、「長期間のChapter 11 の期間中に、Solutia を変身させ、再生させた。事業を強化し、13億ドルの負債を減らした。成長力と活気のある会社として再スタートする。」と述べた。

年間売上高38億ドル、従業員は世界全体で5,700人。

主に、自動車、建築、輸送、産業用に機能材料を生産するが、主要製品は以下の5つ。

Saflex®:合わせガラス polyvinyl butyral (PVB) 中間膜
CPFilm® :窓ガラス用フィルム
Nylon Plastic & Fibers:アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン、Nylon 66ナイロン繊維
・Flexsys® :合成ゴム加硫剤
Specialty Products 高温合成系熱媒体、航空機用作動油、航空機用洗浄溶剤、
    ポリビニルブチラール樹脂、ジフェニルオキサイド

なお、日本のソルーシア・ジャパンは、1952年にMonsanto と三菱化成との49/51 JV の三菱モンサント化成として設立された。
1990
年に三菱モンサント化成解消し、化学品部門の一部を日本モンサント(1957年設立)へ移管、1997年のMonsanto による Solutia 分離で9月1日にソルーシア・ジャパンとなった。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


 

コメント(1)

はじめまして。

現在理系の博士学生のものです、よく拝見させてもらっています。

通常ではなかなか手に入らない業界の情報を知ることができ非常に勉強になります。

ありがとうございました。

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