欧州委員会、自動車用板ガラスで制裁金、米では液晶パネルで

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欧州委員会は11月12日、自動車用板ガラスカルテルで4社に制裁金を課したと発表した。

1998年から2003年の間に目標価格、シェア、需要家割当などの違法の話し合いを行なったとしている。これら4社で市場の90%を占めている。

欧州委員会は匿名の情報で調査を開始し、2005に立ち入り調査を行なった。

制裁金は以下の通り。

  減額率
  (%)
減額
(千
Euro)
    制裁金 
 (千Euro)     円
Saint-Gobain (France)   0      0   896,000  
Asahi/AGC Flat Glass (Japan)   50  113,500   113,500  139億円
Pilkington (UK) (日本板硝子)   0      0   370,000  440億円
Soliver (Belgium)   0      0     4,396  
TOTAL    113,500  1,383,896  

Saint-Gobain 1988年にカルテルで制裁金を払っており、重犯として制裁金が60%の割増となった。

旭硝子/Glaverbel は調査に協力し、資料を提出したため、制裁金は50%の減額となった。

<p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>自動車用ガラスの制裁金支払いに備え、旭硝子は135百万ユーロ(165億円)を積んでいる。
日本板硝子は建築用ガラスを含め350百万ポンドを引き当てているが、残高は約250百万ポンドのため、2008年9月中間連結決算に新たに89億円の特別損失を計上した。

 

今回の制裁金は総額(1,383,896 千ユーロ)でも、1Saint-Gobain 896 百万ユーロ)としても史上最高となる。

過去の制裁金 順位 
対象分野 制裁金
(百万ユーロ)
 
エレベーター   992 2007/2/28 EU、エレベーターのカルテルで過去最高の罰金
ビタミン   790.5 2001年 (当初は855.2百万ユーロ、2社減額)
 Hoffman-La Roche (462百万ユーロ)、 BASF(296.16
236.8)、
  Aventis(5.04)、Solvay Pharmaceuticals(9.1)、
  Merck(9.24)、
 武田薬品工業(37.05)、エーザイ(13.23)、第一工業製薬(23.4
18)
送電設備   751 2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金
パラフィンワックス    676 2008/10/6 EU、パラフィンワックスのカルテルで制裁金

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なお、ビタミンカルテルは1999年に米国で摘発され、11社に総額9億1050万ドルの罰金が課せられた。

Roche 500百万ドル:米国史上最高(2008年時点でも)
BASF 225百万ドル、武田薬品 72
百万ドル、エーザイ 40万ドル、第一工業製薬 25百万ドル
Merck 14百万ドル、Degussa-Huls 13百万ドル、Lonza 10.5百万ドル、ほか

ーーー

Saint-Gobain旭硝子、日本板硝子の3社は、米国のGuardian とともに、2007年11月に EEA欧州経済領域内での建築用板ガラスのカルテル行為に対して、総額486.9百万ユーロの制裁金を科されている。

  千ユーロ
Guardian (USA)  148 000
Pilkington (UK)  140 000
Saint-Gobain (France)  133 900
Asahi (Japan)   65 000
TOTAL  486 900

2007/12/1 欧州委員会、板ガラスカルテルに制裁金 

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米司法省は11月12日、液晶パネルの販売を巡る国際価格カルテルで、3社が罪を認め、合計585百万ドルの罰金を支払うことに同意したと発表した。

  百万$ TFT-LCD 販売先 期間
LG Display  400 worldwide 2001/9-2006/6
Chunghwa Picture Tubes   65
Sharp  120 Dell (computer monitors and laptops) 2001/4-2006/12
Motorola (Razr mobile phones) 2005/- 2006/
Apple Computer (iPod portable music players) 2005/9-2006/12

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カルテルは2つ。3社はいずれも他社とカルテルを結んでいた。
相手先はまだ明らかにされていないが、他にも複数の日本メーカーが調査を受けており、今後有罪を認める企業が相次ぐ可能性がある。

第一は韓国のLG Display (former LG.Philips LCD) と台湾のChunghwa Picture Tubes(中華映管)で、台湾・韓国・米国でTFT-LCD パネルの価格を協定したというもの。

第二はシャープで、DellAppleMotorola 向けのTFT-LCDパネルの価格を日米の他社と協定したとされる。

<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>LGの4億ドルは米司法省が独禁法で課した罰金で2番目に大きい。
過去最高は、1999年のスイスの製薬会社Hoffmann-La Roche のビタミンカルテルの5億ドル。
<p><p><p><p>p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p> 
シャーマン法では、罰則は法人の場合には1億ドル以下の罰金、自然人の場合には100万ドル以下の罰金若しくは10年以下の禁錮又はこれらの併科となっている。ただし、罰金額は、違反行為によって自らが得た利得の2倍の額又は違反行為によって被害者に与えた損害の2倍の額まで引き上げることができる。
<p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p>

LG Display は13日、「課徴金は2009年から5年間分割納付することにした」と述べた。
全額、今年の会計に反映する予定。

液晶パネルカルテルに関しては、日本の公正取引委員会や、韓国、EUの当局も調査している。

 


* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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