中国、レアアース輸出税を引き上げ

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中国財政部は12月14日、2011年関税実施計画に関する国務院関税委員会通知を発表した。

レアアースの輸出税に関しては、ネオジムは現在の15%が25%にアップ、現在非課税のランタンとセリウムにも25%が課せられた。
ジスプロシウムとテルビウムは25%が据え置きとなった。

  現状    2011年
ネオジム  15% 25%
ジスプロシウム  25% 25%
テルビウム 25% 25%
ランタン 0% 25%
セリウム 0% 25%
他のレアアース・スカンジウム・イットリウム
との混合物
25% 25%

中国政府は2010年の輸出許可枠を前年の4割削減としたが、2011年にも更に削減するとしている。

輸出許可枠
  2009 2010 削減率
上期  25千トン  22千トン  
下期 25千トン 8千トン 7割 
年間 50千トン 30千トン 4割 

中国の輸出制限を受け、レアアースの価格は急上昇した。
今回の中国の輸出税の引き上げにより、更に価格は上昇するとみられる。

 

今後、米国のMountain Passや豪州のMount Weldが稼働するが、Lynasでは、供給は増えるが需要も増え、環境コスト等も上昇するため、価格は40~60$の高値で推移するとみており、2000-2006年の時代の安値は二度とないとしている。

2010/11/25 双日、レアアースの供給・拡張プロジェクトで豪州Lynasと戦略的提携の基本合意

なお、中国商務省は12月15日、2011年のレアアースの輸出許可を与えた31社を発表したが、下記の日系を含む外資系も9社が輸出許可を与えられた。
   包頭三德電池材料  レアアース加工大手の三徳が出資
   包頭天驕清美稀土抛光粉 AGCセイミケミカル(旭硝子子会社)、三菱商事が出資

中国メディアは「日米欧が中国のレアアース輸出動向を注視するなかで、輸出許可が延長された」と報じている。

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米通商代表部(USTR)のカーク代表は12月15日、中国との閣僚級の対話で、ハイテク製品などに不可欠なレアアースの供給について協議したことを明らかにした。
米政府は同日、世界的な需要の拡大の一方で、調達先が中国などに限られており、「供給が混乱に陥る危険がある」と警告する報告書を発表、中国に連携を求める姿勢を強めている。

米エネルギー省は12月15日、レアアースを中心に、重要物質についての米国の戦略を提言する報告書を公表。
今後は、世界での調達先の多様化や代替物の開発、レアアースの再利用や効率的な活用を進めるべきだと提言した。日本や EUとの連携を強める必要性も訴えた。

 


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