オレゴン州で未承認の遺伝子組み換え小麦発見

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米農務省(USDA)は5月29日、オレゴン州の農家の畑で、政府が承認していない遺伝子組み換え小麦が見つかったと発表した。

現在、遺伝子組み換え小麦は全世界で承認されていない。

東オレゴンの農夫が80エーカーの畑に、植えていない小麦が勝手に生えているのを発見、除草剤の "Roundup"で除草しようとしたが、出来なかった。
不思議に思った農夫がサンプルをオレゴン州立大学に送り、遺伝子組み換え処理によるRoundup抵抗性遺伝子が含まれているのを発見した。
USDAが29日にこれを確認した。

Monsantoは1970年に除草剤 Roundup を開発、1996年にこれに耐性を持つRoundup Ready 大豆を、1998年にはRoundup Ready コーンを上市した。

同社は1998年から2005年にかけてオレゴン州を含む16州でRoundup抵抗性小麦の圃場試験を行った。

しかし、Monsantoはこの計画を中止、商業化のための承認を求めなかった。既に遺伝子組み換えコーンなどで海外で反対が出ており、小麦の輸出に悪影響を与えるとする米国の農家からの反対が強かった。

問題は、9年前に計画を中止したのに、なぜオレゴンの畑で見つかったかである。
種子が圃場から風で飛ばされ、何かの事情でこの畑で育った可能性があるが、小麦畑が汚染され、何年も気付かれなかった可能性もある。

最悪ケースはヒューマンエラーで通常の種子と混ざってしまったケース。被害が広く拡販する恐れがある。

USDAは、Monsantoの小麦種子開発プログラム終了後の9年間にどのようにして未承認の種子が育っていったかを調査していると発表した。

Monsantoでは、USDAは元のRoundup Ready wheat が市場に入り込んだ証拠はないとしているとし、同社の社内調査では、種子が土壌に残ったとか花粉が飛んだとかは考え難いとしている。
また、仮に小麦にRoundup Ready遺伝子が存在しても、食品、飼料、環境の安全性の懸念はないと強調している。10年も前にFDAが食品と飼料の安全性を確認しているとしている。

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USDAの発表を受け、各国は直ちに対応に動いた。

Consumer Unionでは、「世界に影響が及ぶだろう。米国の貿易相手国は遺伝子が組み換えられた小麦を望んでいない。適切な検証がされておらず、この小麦を食べても安全なのかどうかは分からない」と述べた。

日本の農林水産省は5月31日、オレゴン州産が含まれる米国産小麦の銘柄 Western White (WW) の輸入を当面、停止することを明らかにした。
ケーキやビスケットなど菓子用や麺用に用いられる軟質小麦。

農水省は、政府が輸入した小麦を国内の業者に売り渡す入札を5月30日に実施したが、Western Whiteを対象から外した。
小麦の輸入量は年間500万トン程度で米国産が約300万トンを占め、うちWestern Whiteは80万トン前後。

韓国の食品医薬品安全処も、米国産輸入小麦粉のサンプルを入手し検査に着手した。
「小麦を輸入した時期ごとの検査も行って、遺伝子組み換え小麦が混じっていないかどうか、はっきり確かめたい」としている。
韓国の小麦輸入は241万トンで、米国産は120万トン、うちオレゴン州からは46万トンとなっている。

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