IHI ほか、100㎡規模でのバイオ燃料用藻類の屋外安定培養に成功

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IHI 等が出資するIHI NeoG Algae合同会社は11月14日、油分を大量に含む藻の屋外での100m2 規模による安定培養に成功した と発表した。
屋外の開放型の池で、増殖に必要なエネルギー源として太陽光のみを利用し、他の藻類や雑菌などに負けない培養方法を開発したことで、藻を高濃度で安定的に増殖させることができる点に、世界的に見ても優位な特徴がある。

生産コストの試算を従来の1リットルあたり1000円から同500円に引き下げた。実用化目標の 2020年までに、従来燃料と同等の価格競争力を持つ同100円以下を目指す。

次のステップとして、量産を見据え数千㎡規模での培養を実現するための場所の選定と、さらなるコスト低減に向けたプロセス改良を進める。

また、生産する油をMOBURA ("藻"+"油") と名付けた。今後、ジェット 燃料を中心に、MOBURAを利用した燃料以外の様々な用途開発に関する共同研究も本格化する。


藻類は主に光合成によって増殖し、その一部には育成の過程において燃料を生産するものがある。
成長する際にCO2を吸収し、また増殖が速いという特徴を有しているため、原油や食糧の価格高騰と地球温暖化を同時に解決するソリューションとして、藻類を利用したバイオ燃料生産に対する注目が高まっている。

IHI NeoG Algae合同会社は、藻類バイオ燃料に関する技術開発を目的に、IHI、神戸大発ベンチャーのジーン・アンド・ジーンテクノロジー 、ネオ・モルガン研究所の3社で2011年8月に設立した。

ジーン・アンド・ジーンテクノロジーは、神戸大学の榎本平教授の研究成果を実用化することを目的に設立された神戸大学発ベンチャー。高速増殖型ボツリオコッカス(榎本藻)を発見。

ネオ・モルガン研究所は、創立者の古澤満博士の最先端の進化理論(不均衡進化理論)を応用した育種技術を有し、世界の製薬・化学・食品企業に対し、微生物の育種・培養を支援しているベンチャー企業。微細藻類の研究においても国内トップクラスの経験とノウハウを有している。

従来は化学物質や放射線など生物にダメージを与える方法で突然変異を起こしていたが、不均衡進化理論をベースに自然で起こる突然変異を短期間で効率的に引き起こす技術を開発した。

社名は1933年にノーベル医学・生理学賞を受賞した遺伝学者 T.H. Morgan に因んだもの。

今回屋外安定培養に成功したのは、ジーン・アンド・ジーンテクノロジーの高速増殖型ボツリオコッカス(榎本藻)をベースに、ネオ・モルガン研究所が様々な改良を加えたもので (遺伝子組み換えは行っていない)、IHIが保有するプラント技術で屋外での大量培養に成功した。

一般のボツリオコッカスは1ヶ月の培養で1個が4個に増殖するが、榎本藻の場合は約1000倍の約4000個になる。
また、雑菌等の混入に負けない培養方法を開発し、安価な培養を可能とした。

乾燥重量の約50%が燃料。

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デンソーは2008年4月から、慶応大学先端生命科学研究所と共同で、デンソーが海洋バイオテクノロジー研究所(2008年3月解散)から特許を譲り受けた新種の藻にCO2を吸収させてバイオ燃料を生産する新しい研究に取り組んでいる。最近は中央大学、京都大学とも協力している。

新種の藻は、温泉で発見されたシュードコリシスチスで、通常の植物と同様にCO2を吸収して光合成で澱粉を作るのに加え、ディーゼルエンジンに使用可能な軽油の成分を含んだオイルも作る。成長が早く、丈夫で培養しやすい特徴を持つ。


JX日光日石エネルギーはユーグレナと組んで、微細藻類のユーグレナでのジェット燃料開発を行っている。

2013/10/17   ミドリムシが地球を救う!


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JX日鉱日石エネルギー、IHIおよびデンソーは2012年6月、3社が発起人となり、微細藻燃料開発推進協議会を設立したと発表した。

微細藻燃料には、CO2削減策、エネルギー資源、食料との競合を回避、抽出残渣の飼料等としての利用など、多くの利点が期待されて いるが、実用化にあたっては、培養、油分の抽出、燃料化といった各工程の技術開発の課題を解決し、一貫生産システムの構築を行うことが必要であり、そのためには、各企業のアライアンスにとどまらず、産官学のオールジャパンでの取り組みとすべく、本協議会を設立することを決定した。


参加企業は他に、日立プラントテクノロジー、三菱商事、出光興産、㈱ユーグレナ、ネオ・モルガン研究所、いであ㈱、ヤンマー など。

学識経験者や関係行政の助言を得ながら、微細藻燃料製造の技術を開発する上で共通の課題を抽出し、解決策を検討、必要な施策を提言し、2020年度までに微細藻燃料の一貫生産システムを確立することを目標に、開発に取り組んでいく。


上記のうち、出光興産は1980-90年代にかけて、ボトリオコッカスを利用したバイオ燃料生産の研究に取り組んだが、事業の採算性が合わずに研究をいったん中止した。

いであ㈱は社会基盤の形成と環境保全の総合コンサルタントで、藻場分布調査、生育・生態調査、モニタリング調査を実施しており、自然再生や環境創造の観点から、藻場造成に関する試験、種苗培養や育成、新たな技術開発に積極的に取り組んでいる。

ヤンマーは「つくり、育てる」漁業のあり方を考え、1988年にヤンマーマリンファームを設立した。
有用な水産生物の養殖システムの開発、稚魚・稚貝の生産、種苗に不可欠な藻類の培養を一体として取り組むことで、養殖事業の拡大をめざしており、また、藻類を活用してCO2を削減する環境保全技術についても研究を進めている。



 



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