BPとロスネフチ、長期戦略関係を強化

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BPとロシア国営 Rosneft は6月19日、両社の長期的な戦略提携を強化する数件の契約に調印した。

BPはRosneft から東シベリアの最大の油田の一つで、現在日量2万バレルを生産するSrednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田の開発権を有するTaas-Yuryakh Neftegazodobycha (Taas)の20%をRosneftから取得し、新しいJVを設立する。

JVはSrednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田の開発を進めるとともに、同地域の埋蔵量の更なる探査・開発のための適切なインフラを開発し、115千平方kmに及ぶ地域を共同探査する。

Srednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田の開発については、Rosneft はBP以外にも中国その他の企業との協力を検討している。

Rosneft はBPと調印した同日(6月19日)に、英国のSkyland Petroleum との間で、Taas-Yuryakh Neftegazodobychaの株式29%をSkylandに売却し、Srednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田の開発を行うJVを設立するHeads of Agreementに調印した。

発表では、Skyland Petroleumは旧ソ連、南アジア、中東での豊富な経験を有するとしているが、Vazon Energyが2015年1月に設立した新しい会社である。

これに加え、両社は西シベリアとYenisey-Khatanga 盆地の26万平方kmに及ぶ地域を共同で開発することで合意した。共同で調査を行い、結果がよければ新しいJVを設立し、ライセンスを取得し、開発を行う。両地域とも、JVはRosneft が51%、BPが49%出資とする。
この一環で、Yenisey-Khatanga 盆地で2009年にRosneftが発見したBaikalovskiy油田に関して更なる評価を実施するJVも設立する。

両社は別途、ドイツの石油精製のJV、Ruhr Oel GmbH の再編の基本契約を締結した。所属する4つの製油所と付属インフラの持株比率を再編する。
RosneftはBayernoil製油所の持株比率を12.5%から25%に、MiRO製油所を12%から24%に、PCK Raffinerieを18.75%から37.5%に、それぞれ倍増する。
見返りにBP はGelsenkirchen製油所と溶剤製造のDHC Solvent Chemieの持株比率を100%とする。


各国によるロシア制裁で各社とロシアの石油事業での提携が停滞するなか、BPは提携強化を進める。

BPは2014年5月24日にRosneft との間でボルガ・ウラル地域のドマニク累層のシェール鉱区などの開発を推進する覚書を締結したが、2014年6月27日にはRosneft から1200万トンの精製石油製品を購入する5年契約を締結した。

2014/7/3   BP、ロシア制裁開始後にRosneft との関係を強化

BPのDudley CEO は2014年11月、ロシアでの投資を継続する方針を示すとともに、Rosneftの持株(保有比率 19.75%)を売却する計画がないことを明らかにした。

今回の提携に際し、BPのロシア法人トップは「国際的な制裁をこれからも順守しつつ、ロシアが持つ大規模な資源を開発できる魅力的な投資機会を引き続き模索する」と述べた。
 

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新しい開発提携の場所は下記の通り。

 東シベリア Srednebotuobinskoye 油田

 

Taas-Yuryakh Neftegazodobycha は2014年11月に、Srednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田での2013年10月の採掘開始以降100万トンを生産した。現在、51の油井を稼動させている。同社が権益を持地域の埋蔵量は原油が133百万トン、天然ガスが1370億立法メートルとなっている。

同社は169km のPipelineを建設し、Eastern Siberia-Pacific Ocean Oil Pipeline (ESPO pipeline) に接続した。

Taas-Yuryakh Neftegazodobychaの当初の株主は下記の通りであった。
 Urals Energy 35.3%
   Yakut Energy   37.4%
   Finfund             16.8 %
 Limenitis Holding 10.5%

Urals Energyは2008-2009の金融危機の際にSberbank Capital に持株を譲渡、2012年にRosneftが買収した。
Rosneftは2013年10月に残り3社の持株を買収した。

   西シベリアとYenisey-Khatanga 盆地

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Ruhr Oel BPとベネズエラ国営石油会社PdVSA JVであった。
1983年に当時のVeba Oel AG PdVSA JVとして設立され、その後、Degussa Veba を買収したが、2002年にDegussa 親会社のE.On Veba BP に売却した。)

Rosneft 2011年5月1日にPDVSA50%持分を16億ドルで買収した。

Ruhr Oel はドイツ国内に4つの製油所を持つ。また、5つのパイプラインと、北海・バルチック海・地中海・アドリア海に4つの原油海洋ターミナルを有する。
Gelsenkirchen製油所には、solvent その他を製造するDHC Solvent Chemieがある。

RosneftはBayernoil製油所の持株比率を12.5%から25%に、MiRO製油所を12%から24%に、PCK Raffinerie (Schwedt市)を18.75%から37.5%に、それぞれ倍増する。
見返りにBP はGelsenkirchen製油所と溶剤製造のDHC Solvent Chemieの持株比率を100%とする。

これにより、Rosneft はドイツの石油製品市場に参入することとなり、BPの技術と製油所運営ノウハウにもアクセスできることとなる。各製油所でのロシア原油の処理量も増加すると思われる。

 

Ruhr Oel 持株

他株主 能力 (万トン)

うちRosneft

現在 今回 Ruhr Oel
Gelsenkirchen 100% 50% 0%  - 1280 1280
MiRO 24% 12% 24% Shell 32.25%
ExxonMobil 25%
ConocoPhilips 18.75%
1490 358
PCK Schwedt 37.5% 18.75% 37.5% Shell 37.5%
AET(Eni/Total JV) 25%
1100 413
Bayernoil 25% 12.5% 25% OMV 45%
BP 10%
Eni 20%
1100 275
合計         4970 2326




 

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