三星グループ改組、李在鎔副会長の体制固め

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三星グループ持株会社の第一毛織(旧称 三星Everland)と、商社・建設部門の三星物産が5月26日、それぞれ取締役会で両社の合併を決議した。7月に臨時株主総会で可決し、9月1日付けで合併する。

第一毛織が1:0.35 の比で三星物産を合併するが、合併後の社名は創業事業の「三星商会」を引き継いだ三星物産の社名をとり、「三星物産」とする。

三星グループの出発点は、李秉喆が1938年3月1日に大邱で設立した三星商会で、1948年に三星物産となった。
引き続き、当時の食品・衣料不足に対応するため、砂糖生産の「第一精糖」と服地生産の「第一毛織」が設立された。

「第一精糖」グループは1993年にサムスングループから分離し、CJグループとなった。(李秉喆の長男の息子が会長)



   2012/2/25 サムスン創業者の遺産相続で訴訟

「第一毛織」は織物事業から始まり、1980年代にファッション事業、1990年代にケミカル事業(PS、ABS等)、2000年代には電子材料事業へと進出してきた。
2013年に
ファッション部門を三星エバーランドに譲渡し、2014年7月1日Samsung SDI と合併した。

Samsung SDIは1970年にブラウン管事業からスタートし、2002年に新規事業としてバッテリー事業を加え、2010年には小型バッテリー市場でトップに立った。
合併により、Samsung SDIは第一毛織が持つバッテリー寿命などを向上させる二次電池セパレータ技術と有機素材技術を取り込むことでバッテリー事業の競争力を強化できる。また、第一毛織の合成樹脂事業をこれまでの電子、IT中心から自動車向けへと拡大することができる。

「三星エバーランド」は、レジャー関連事業(ソウル南方の龍仁市にあるテーマパーク、三星エバーランドを運営)、トータルファッション(第一毛織から買収)、テキスタイル、ケミカル、電子材料などの事業を行うが、李一族が45.56%を保有、事実上のサムスングループの持株会社としての性格も持つ。

三星エバーランドは、第一毛織がSamsung SDI と合併したのに伴い、創業事業の一つである「第一毛織」に改称し、2014年12月に上場した。

  2014/12/2 Samsung Group の持株会社 第一毛織の上場


現在、三星グループはグループ内各社が相互に株の持合をし、複雑な支配構造となっている。
三星物産は三星電子の孫会社になるが、三星電子の親会社である。

第一毛織と三星物産の合併により、グループの支配構造は単純化される。

統合後の三星物産に対する李一族の持株は次の通りとなる。

李健熙 会長 2.9%
李在鎔 副会長 16.5%
(妹)李富眞
 ホテル新羅社長
5.5%
(妹)李敍顯
 第一毛織社長
5.5%
合計 (30.4%)


李在鎔 副会長は、三星物産を通じて三星電子と三星生命をすべて取り仕切ることができるようになる。
病床にある李健熙会長は、三星生命の20.76%、三星電子の20.76%を保有しており、李在鎔副会長がこれを相続す るとみられている)

Samsung Groupは総帥の李健煕・サムスン電子会長 の指導の下で拡大を続けてきた。
李健煕会長が2014年5月に急性心筋梗塞で倒れ、まだ認知機能も回復していないとされる。

後継者の李在鎔副会長はグループをもっとコンパクトにしたい意向とされ、2014年11月、Samsung General Chemical や、防衛産業を手掛ける Samsung Techwin などを韓国Hanwhaに1.9兆ウォンで売却すると発表した。

2014/12/1   Samsung Group、防衛、石化事業をHanwhaに

今後は三星物産・三星電子・三星生命が中核となる。

韓国の財界関係者は、「今回に合併を機に、実質的な経営引き継ぎ作業が始まったとも言える」と評した。


 


 

 


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