住友化学、飼料添加物メチオニンの生産能力増強

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住友化学は5月19日、旺盛な需要に対応するため、愛媛工場に、飼料添加物メチオニンの製造設備1系列を増強すると発表した。

増強規模は年産約10 万トンで、増設後の能力は既存設備15万トンとあわせ年産約25 万トンになる。2018年半ば完成を予定。

メチオニンは、動物の体内で合成することができない必須アミノ酸の一種で、鶏肉や鶏卵の生産性向上を目的に、飼料添加物として広く使用されている。

メチオニン市場は、現在全世界で約110 万トンといわれ、6%程度の成長をしており、今後も同程度での成長が期待されている。

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メチオニンは大手4社で90%以上を占める。

能力 増設計画
Evonik (旧 Degussa) Wesseling、Antwerp、Mobile 430
シンガポール 150 (2019)  150
合計 580 150
藍星集団・Adisseo フランス(4)、スペイン(1) 220
南京 140
合計 360
Novus International
(三井物産、日本曹達
米国 320

(2020) 120

住友化学 愛媛 150 (2018) 100
大連住化金港化工 20
合計 170 100

他に数万トンの能力があり、全体能力は150万トン弱となる。

Evonikは50年以上の生産の歴史を持ち、ドイツのWesseling、ベルギーのAntwerp、米国のMobile にプラントを持っている。

Evonik は2014年11月、メチオニンのシンガポール新工場(150千トン)の操業を開始した。
同社は2015年にシンガポールでの増設の検討を開始した。

中国の藍星集団は2006年1月にCVC Capital Partners から動物用栄養製品メーカーのAdisseoを買収した。 

AdisseoはCVCがAventis (現在はSanofi Aventis)の動物栄養製品部門を2002年に購入して設立した会社で、メチオニン、ビタミン、飼料用酵素を製造販売している。

藍星集団とフランスの子会社Adisseo Groupは2009年8月、メチオニン工場を南京市に建設する契約を締結した。第一期の能力は7万トンで、2012年下半期の稼動を目指した。
その後、第二期が完成し、現在の南京の能力は14万トンとなっている。

2009/8/27 藍星集団、南京でメチオニン工場建設

三井物産と日本曹達は1991年6月、Monsantoから米国のメチオニン系飼料添加物製品(MHAとALIMET)事業を買収し、三井物産 65%、日本曹達 35%出資でNovus International を設立した。

Monsanto は1950年代初めに研究を開始し、MHAの生産を始めた。1979年にALIMETを発売した。

Novusはその後、Monsantoから分離したSolutiaから飼料保存剤事業を買収、現在では多種類のanimal nutrition and health を世界90カ国以上に販売している。

日本曹達は1967年から二本木工場でDL-メチオニンを製造していたが、2006年に事業構造改善策の一環としてメチオニン生産を停止した。
日本化薬は日本曹達にOEM生産を委託して販売していたが、同時に撤退した。

三井物産は2016年5月に実施するNovus の増資を全額引き受け、出資比率を80%にする。

三井物産は、特に北米におけるメチオニン製造能力の拡大を成長戦略の要と位置づけ、今回の増資を通じてNovus社の経営基盤を強化しメチオニン事業とその他の飼料添加物事業を成長させるとしている。

2020年をめどに工場を新設し、生産能力を約44万トンに引き上げる。

住友化学は愛媛のメチオニン工場の能力を順次引き上げ、現在は15万トンとなっている。今回10万トンの増設を決定した。

住友化学は2009年12月10日、中国大連にメチオニン(2万トン/年)と農業用ポリオレフィン系特殊フィルム(4千トン/年)を製造販売する合弁会社を設立したと発表した。

社名 大連住化金港化工 Dalian Sumika Jingang Chemicals
場所 遼寧省大連経済技術開発区 
株主 住友化学 80%
大連金港集団 20%  (大連凱飛化学の株主)
設立 2009/10
能力 メチオニン 2万トン (長期的には大規模生産設備への増強も視野)
高機能農業用ハウスフィルム 4000トン
2016/4にフィルム 10,000トンにアップ


2009/12/15 住友化学、飼料添加物メチオニンを増強、中国で生産



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