米商務省、対日貿易赤字を問題視

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商務省は5月4日、3月度の貿易統計を発表した。

それによると、全体では437億ドルの赤字で前月より1億ドル改善し、「財」だけでは655億ドルの赤字で前月比 3億ドル悪化した。

輸出 輸入 貿易収支
サービス サービス サービス
1月 1,281 644 1,925 1,977 430 2,407 -695 214 -482
2月 1,283 643 1,927 1,935 429 2,364 -652 214 -438
3月 1,263 647 1,910 1,918 429 2,347 -655 218 -437
3,827 1,934 5,762 5,829 1,289 7,118 -2,002 646 -1,356


第1四半期では1,356億ドルの赤字で、前年同期比で94億ドル悪化したが、前期比では33億ドルの悪化である。


商務省は同日、メキシコと日本に対する貿易赤字が持続不可能な率で増えているとの異例の発表を行った。

メキシコとの貿易赤字は前月比で3.6億ドル増加し、日本との貿易赤字は16億ドルも増えたとする。

Ross商務長官は、「米国は最早、これら貿易相手との間の膨らんだ貿易赤字を続けられない。トランプ政権は不均衡な貿易関係から米国の労働者、企業を守るため、貿易関係を是正すると約束している」と述べ日本との貿易不均衡の是正を急ぐ考えを改めて示した。

メキシコについてはNAFTA再交渉を控える。

米国の貿易赤字が大きい中国とドイツについては、3月は前月比で偶々、それぞれ3.3億ドル、3.5億ドルのプラスとなっており、やり玉にあがらなかった。

それどころか、中国については以下のように述べている。

中国は依然として米国の最大の貿易赤字の元であるが、「財+サービス」合計では2016年第4四半期は前年同期とくらべ2.5% 改善している。
(確かに803億ドルから783億ドルに2.5%改善している。)

今回の発表では、国別の貿易収支については、「財」については3月までを発表しているが、「財+サービス」は昨年12月までしか発表していない。

米国の貿易赤字が大きい4か国の状況は次の通り。

「財」 「財+サービス」


対日赤字を見ると、3月は2月と比べると「財」では確かに赤字は16億ドル増えているが、第1四半期合計でみると前年同期比で3億ドルしか増えておらず、前期比では14億ドルの減少である。また「財+サービス」では、2016年第4四半期は前年同期と同じである。

2月の減少で3月の赤字が増えたのであり、単月の増減を取り上げるのはおかしい。

米国の財政赤字が持続可能でないことは事実だが、「メキシコと日本に対する貿易赤字が持続不可能な率で増えている」との商務省の発表は妥当でない。

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