中国政府、石炭化学を規制

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2006/6/21「石炭液化事業」及び 2006/6/23 「中国の石炭化学」で多数のプロジェクトを紹介した。

中国は「第11次五カ年計画」期に炭鉱の機械化生産を全面的に推し進めることとしており、豊富な石炭を原料に石炭化学を推進する。

中国石炭工業協会の範維唐会長は200511中国は2010年には、石炭のオイルへの転化、石炭ガス化を含めた石炭転化製品の生産高500万トンの実現を目指していることを明らかにした。

しかし、中国政府は多数のプロジェクトの乱立で過剰能力となることなどを懸念し、規制を行うことを決めた。

国家発展改革委員会(NDRC)は7日通達を出し、年間300万トン未満の石炭液化計画、年間100万トン未満の石炭からのメタノール又はDMT生産計画、年間60万トン未満の石炭からのオレフィン生産計画を承認しないとしている。

メタノール計画の規制は過剰能力を恐れてのことである。
中国のメタノールの生産能力は2005年末で536万トンとなったが、建設中のものは900万トン、計画中のものは1000万トンに達するとみられており、NDRCでは市場がまだ未成熟のため、これらが完成すると過剰能力になるのは必至とみている。

メタノール計画には石炭原料のもののほか、従来法の天然ガスを原料としたものも多い。

三菱ガス化学は重慶市に現地の重慶化医との合弁(51/49)で 85万トンのメタノールプラントを建設中。同社は伊藤忠とのJVで南京市にLingtian (Nanjing) Fine Chemical を設立し(三菱ガス化学 85.1%)、ジメチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどメタノール誘導品を生産する。

また中国海洋石油(CNOOC)は海南島で60万トンのメタノールをスタートさせたが、113万トンの第二期計画を検討中。

NRDCでは又、石炭液化計画については技術が未完成であるため、国としての開発計画が完成するまでは認めないとしており、石炭化学については環境基準を満たすのが条件としている。

但し、政府は石炭ベースの化学肥料生産は推奨しており、古い石炭化学であるカーバイドやコークスは規制するが、石炭液化や石油代替については着実に発展させるべきとしている。
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石炭液化計画については2006/6/21「石炭液化事業記載の国営石炭会社・神華集団の寧夏回族自治区の子会社がこのたび、シェル及びサソールとそれぞれ提携を決めた。

Shenhua Ningxia Coal Industry Companyは11日、Shell Gas & Power Development BVとの間で石炭液化事業の共同研究契約を締結した。
Shellの間接液化技術を使用、50-60億ドルを投じて2009年までに工場を建設、2012年までに年間300万トン(7万バレル/日)のオイルを生産する。
原油価格が25-27ドル/バレル以上であれば採算が取れるとしている。

もう一つはサソールとの提携で、神華は先月、寧夏での8万バレル/日の石炭液化プラント建設の共同開発契約に調印した。上記シェルとの計画とほぼ同時期の完成を目指している。

これらとは別に神華集団は2004年8月、内蒙古自治区鄂爾多斯(オルドス)市で世界最大規模の神華石炭液化プロジェクトに着工した。
こちらは直接液化法で、来年末にもスタートする予定。

 

 

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