米国のつなぎ予算は12月21日で切れる。
米議会共和・民主両党の指導部は12月17日、2025年3月14日までの連邦政府予算を確保するつなぎ予算案を発表した。
法案は連邦予算を現在の約6兆2000億ドルに維持し、軍や航空管制官、医薬品の安全性から証券市場まで幅広い分野の規制当局のプログラムに資金を提供する内容。災害支援向けに1004億ドル 、農家支援に100億ドル、3月に発生したボルティモア港の事故によって崩落した橋の再建費用を連邦政府が負担などのの新たな緊急予算も含まれる。
2024/12/19 米議会、つなぎ予算で攻防、トランプ次期大統領が 介入
トランプ氏はABCに対し、債務上限が撤廃されるか、引き上げられない限り、政府機関は閉鎖されるとの考えを表明。「われわれがそれを得られなければ、政府機関は閉鎖されるだろう。しかし、それはバイデンのせいだ」とし、政府機関が閉鎖されても、バイデン大統領に打撃を与えるだけだと語った。
NBCニュースとの電話インタビューでは、債務上限を完全に撤廃することは、議会が「成し得る最も賢明なことだ。私は全面的に支持する」と述べた。
トランプ氏と下院共和党は12月19日、連邦政府機関の閉鎖を回避し、連邦債務の上限を2年間停止することで合意した。トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で、新たなパッケージには被災者や農家への支援が含まれており、「米国民にとって非常に良いディールだ」と称賛した。
また、次期政権で歳出削減を主導する組織「政府効率化省」の責任者に起用されたイーロン・マスク氏はX(旧ツイッター)への投稿で、新たな合意はこれまでのものより「はるかに優れた法案であり、真の継続決議案に近い」とし、「民主党がこれを拒否し、政府機関が閉鎖されれば、中間選挙で大敗するのは当然だ」と述べた。
しかし、下院は12月19日、2025会計年度(2024年10月~2025年9月)の歳出法案成立までの間、政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算法案の修正案を賛成174票、反対235票で否決した。
共和党 民主党 合計 賛成 172 2 174 反対 38 197 235 棄権 9 12 21 合計 219 211 430
今回否決された法案は、トランプ次期大統領らの批判を受けて12月17日に発表された法案に修正が加えられたもので、事前にトランプ氏も支持を表明していた。
修正法案では、当初の法案と同様、(1)3月14日まで現状と同水準の支出を維持、(2)ハリケーンなどの被災に対応するため災害援助資金を追加、(3)農業法を1年間延長、(4)3月に発生したボルティモア港の事故によって崩落した橋の再建費用を連邦政府が負担などの条項は維持されていた。
一方で、農業関連で盛り込まれていたトウモロコシなどから生成されるバイオエタノールの通年販売を承認する条項や、議員歳費に関する条項、小児がん研究に対する資金を提供する条項など複数の条項が削除された。
また、修正法案にはトランプ氏の要望を反映して債務上限の適用を2027年1月30日まで停止する条項が盛り込まれていた。
2023/6に可決された法案では、2025年1月1日まで凍結する となっており、次期政権下でトランプ減税の延長をはじめとする財政政策が制約される。
債務上限の適用を2027年1月30日まで停止すれば、財政赤字の規模に縛られることなく実施することが可能となる。
これが今回の採決に当たっての最大の争点となった。同条項に対しては、ジェフリーズ下院民主党院内総務が、下院共和党は政府閉鎖の脅しの下、「議会をほんの一握りの富豪や億万長者の意向に従わせようとしている」と述べるなど民主党が反対したほか、ロイ下院議員をはじめ財政緊縮を主張する共和党保守派からも強い批判があり、共和党からも38人もの反対票が投じられた。
法案に反対したロイ議員は、「財政責任を訴えながら、国民に向かって、これは財政的に責任ある法案だと思うと大胆に言う党には本当にうんざりだ」と述べた。
前日には、トランプとイーロン・マスクが反対を表明したことにより、超党派の合意が破棄されていた。
コメントする