Alcoa、事業見直し

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Alcoa 4日、低採算事業を見直し、包装材や自動車向け鋳物事業等を売却、鉱山開発や地金生産に経営資源を集中すると発表した。

大株主のヘッジファンドなどの求めに応じ、売り上げ規模が大きくても利幅が薄い事業を切り離す。
資本構造を高め、株主価値を高める。

今後、次の事業を処分する。

1)Packaging and Consumer business の売却
 
  売却先候補から強い意向を示されており、本年末か来年初めに契約締結の予定。

Alcoa Consumer Products はフォイル、フィルム、紙容器などを小売店や食品サービス業に提供している。
Reynolds Consumer ProductsReynolds Wrap® ブランドのアルミフォイル、フィルム、ワックスペーパーなど
Presto Products CompanyNorth America's largest private label plastics company
Baco Consumer Products:英国の家庭用ラップ、バッグメーカー

2)Automotive Castings business の売却
   
契約間近で年末までに締結予定

アルコア独自のVRC/PRC*(真空・加圧ライザーレス鋳造)法のアルミアロイの金型鋳造
  *
Vacuum Riser-less and Pressure Riser-less

3)Electrical and Electronic Solutions (旧Alcoa Fujikura のワイアーハーネス事業)の大幅再編

Alcoa とフジクラは米国で自動車および情報通信事業における合弁事業会社 Alcoa Fujikura Ltd.(フジクラ49%、Alcoa 51%)を運営していたが、2005年3月末に合弁を解消した。

事業のうち、欧米顧客向けの自動車事業は Alcoa が、情報通信事業と日系顧客向けの自動車事業はフジクラが引き受けた。


4)中国アルミメーカーChalco の株式売却
   
Alcoa は本年9月、所有する中国のアルミメーカー Chalco の株式(約7%) 全てを約20億ドルで売却、約18億ドルの売却益を得た。

Alcoa 2001年のChalco IPOに際し、約7%の株式を購入した。
Alcoa Chalco は戦略的提携契約を行い、株式取得とともに、広西壮族(チワン族)自治区にあるChalcoのPingguo アルミ工場を50/50 JVとし、拡大を図ることとした。同工場はアルミナ精錬能力 850千トン、アルミ精錬能力 135千トンを有している。

Chalcoについては  2006/8/25 中国アルミ業界の拡大競争 参照

Pingguo JV設立については 20044月にNational Development and Reform Commission (NDRC) の承認を得た。
しかし、その後、
JV計画は全く進展しなかった。

両社の思惑が食い違ってきていた。

Chalco側は当初は資金と技術面で Alcoa の助力が必要であったが、最早それは必要ではなくなった。
Pingguo は高品質のボーキサイト鉱を有しているが、中国側はこれを外国に渡すことを嫌った。

Alcoa側は中国市場への進出が本来の目的だが、Chalcoとの提携はむしろ、その障害となった。

この結果、今回の株式売却となった。

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Alcoa本年5月7日にAlcanに対して買収総額269億ドル(債務引受を除く)の敵対的TOBをかけた。
これに対してRio Tinto White Night として乗り出し、Alcan を買収、Alcoa TOBを撤回した。

2007/7/17 Rio Tinto、Alcanを買収 アルミ生産で世界最大に

事業売却で得た資金を元手にAlcoaが再び企業買収に乗り出す可能性が高いが、逆に、資産内容が改善したAlcoa が格好の買収の標的にもなりうる。

アルミ市場ではロシアの二大アルミ会社とスイスの商社のアルミ部門が統合し、Alcoaを上回る世界最大のアルミ生産会社United Company RUSAL(ロシースキー・アルミニウム)が誕生している。

  2006/9/5 ロシアのアルミ最大手RUSAL、同国2位のSUALを買収 

なお、Alcoa のアルミ製錬工場と能力は上記記事に記載している。

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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

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