中国、一部商品で輸出増値税の還付率引き上げ

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中国財政部と国家税務総局は10月21日、3486品目の製品について2008年11月1日から、輸出増値税(付加価値税)の還付率を引き上げると発表した。中国の税関税則に挙げられた製品全品目の25.8%に当たる。

繊維製品と衣類:14%に引き上げ(今年8月1日に増値 税還付率が11%から 13%に引き上げ)
玩具:14%に引き上げ
日用のセラミック製品:11%に引き上げ
プラスチック加工製品:9%に引き上げ
家具:11%、13%に引き上げ
その他、抗エイズ薬などの付加価値の高い製品も引き上げ
   
  詳細(中国語)は http://www.mofcom.gov.cn/accessory/200810/1224638833571.xls

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輸出増値税還付(リベート)とは輸出製品の購入の際の増値税、輸出製品の製造のための原料やサービスの購入時の増値税を払い戻すもの。
中国では財、サービスの販売時、輸入時には原則17%の増値税(付加価値税)がかかる。製品販売者は製品の販売にかかわる増値税とその購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増値税との差額を納付する。
(日本の消費税の仕組みと同じ)

製品の輸出に関しては増値税は免除される。その製品の購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増値税に関しては、(日本では全額控除されるが)、中国では政策的にその全部又は一部がリベートとして払い戻される。
リベート率11%とは購入代価に含まれる17%(一般品)の増値税のうち11%相当分を払い戻すことになる。残りは輸出業者の負担となる

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中国はこれまで、貿易摩擦から人民元引き上げの声が高まるのを懸念して、2006年9月と2007年7月の2回、還付率を大幅に引き下げていた。特にローテク製品の還付率を下げた。

   2007/6/28 中国、輸出抑制のため輸出増価税還付率を引き下げ 

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国家統計局は10月20日、2008年1-9月の中国のGDPが前年同期比9.9%増で、伸び率は前年同期を2.3ポイント下回ったと発表した。
(第3・四半期のGDP伸び率は前年比 9.0%で第2・四半期の同10.1%から減速)

「過熱を抑えるためのマクロ経済調整の成果」との指摘が多いが、今後については「国際経済の減速の影響が大きくなる可能性がある」との見方も出ている。

1-9月の中国の輸出額は前年同期比22.3%増の1兆741億米ドルだったが、伸び率は前年同期より4.8ポイント下がった。
世界的な金融不安の影響で米国などの消費が縮小し、中国からの輸出が減少した。
衣類や玩具の伸び率は前年同期より大きく下がっている。
玩具メーカーでは2006以降、コストが60%上がったが、売価は平均で10%程度しか上がっていないとされる。.

このため、中国国内の一部の輸出関連企業では苦境が続いている。
今年に入り、浙江省や広東省で多くの工場が倒産している。

財政部税政司の史耀斌司長によると、今回の政策調整の主な狙いは、現在の中国が経済成長の鈍化により直面する問題に対応することにある。
特に輸出の伸びの鈍化に対し、
輸出企業の経営圧力を軽減させ、自主的発展を促進し、リスク対応能力を高めることで対抗しようとする狙いがある。

中国政府は「成長維持」をマクロ調整の方向性としており、今回の調整は、最近の商業銀行の貸し付け規模の拡大、新たな外貨管理条例の施行、二度にわたる「双率」(預金準備率と一年物の預金・貸出基準金利)の引き下げを受けて行う、重要な調整措置の一つでもある。


* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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