トクヤマ、マレーシアに多結晶シリコン第二製造拠点

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トクヤマは多結晶シリコンの事業拡大のため、第二製造拠点として、マレーシアに絞り、基本設計を開始することを決定した。

同社は多結晶シリコンを戦略的成長素材と位置づけ、積極的に事業の強化を図っている。

徳山製造所に
年産5,200 トンの能力を持つが、現在、半導体用2,500トン、太陽電池用500トンの計3,000トンの増設中で、完成後は8,200トンになる。

多結晶シリコンの需要は、太陽電池向けなどで急拡大しており、トクヤマの製造拠点は徳山のみであることから、リスク分散の面からも第二製造拠点の建設が急がれていた。

新立地はマレーシア、サラワク州ビンツル市北東のサマラジュ工業団地で、2012年に半導体・太陽電池向け多結晶シリコン 3,000トンのスタートを目指している。今後、需要動向を注視し、増設も検討する。<p>HTML clipboard</p>

マレーシアの工場の完成後の同社の能力は11,200トンとなる。

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シリコンは酸素に次いで地殻中に豊富にある元素で、地殻を構成する元素中の約28%を占める。

多結晶シリコンは、金属シリコンに水素および四塩化珪素を反応させ三塩化シラン(トリクロロシラン)とし、これを蒸留精製後、反応炉で水素と反応させて還元し、太い棒状に析出させて製造する。
還元工程で副生される四塩化珪素や水素は、回収し、再利用する。

多結晶シリコンは半導体用と太陽電池用に使用されるが、太陽光発電は世界的に普及が進んでおり、世界的に需給が逼迫している。

このため、多くの会社が新増設を計画している。

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三菱マテリアル

四日市工場の能力を増強する。

同社は四日市に1,800トン、米国の100%子会社 Mitsubishi Polycrystalline Silicon America 1,500トン、合計3,300トンの能力を有する。

四日市工場に335億円を投じ、20101月に1,000トン増強する。
将来的には同地で
3,0004,000トンの増設を考えている。

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大阪チタニウムテクノロジーズ

2008年8月、大阪府岸和田市に半導体材料である多結晶シリコンの新工場を建設すると発表した。
投資額は450億円。

半導体ウエハー大手のSUMCO(同社と関係は下記参照)との間で,2011年4月から年間2000トンの長期引取契約が成立したのを受け,年産能力を約2.6倍に拡大する。

生産能力増強推移(出荷開始時期別)

増強時期 2007/7 2008/10 2011/4
本社尼崎工場 900→1,300t →1,400t  1,400t
岸和田製造所      2,200t
合計     1,300t   1,400t  3,600t

同社は1937年、大阪特殊製鉄所として設立された。

1952年に住友金属工業が資本参加、大阪チタニウム製造株式会社が発足、1960年に多結晶シリコンの製造を開始した。

1993年に住友シチックス社名変更。

1997年に多結晶シリコン部門が住友シチックス尼崎となり、本体の住友シチックスは翌年、住友金属工業に合併された。

住友シチックス尼崎は2002年に住友チタニウムに社名変更、2005年に東証1部上場、住友金属工業と神戸製鋼所が筆頭株主となった。

2007年に大阪チタニウムテクノロジーズに社名変更した。

なお、住友金属工業のシチックス事業本部となった本体は、三菱住友シリコンマテリアルに営業譲渡し、同社はSUMCOとなっている。

三菱金属の日本電子金属と、チッソの日本シリコンが三菱マテリアルシリコンとなり、
シリコン ユナイテッド マニュファクチュアリング(住友金属工業・三菱マテリアル・三菱マテリアルシリコンのシリコンウェーハの開発・製造JV)と合併、三菱住友シリコンマテリアルになった。

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<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>コマツの子会社で半導体用シリコンウェーハのメーカーのコマツ電子金属は、 2006年にTOBでSUMCOの子会社となり、2007年にSUMCO TECHXIVと改称、2008年にSUMCOの完全子会社となった。

同社は1960年に多結晶シリコンの外販を開始し、1963年には多結晶シリコンからシリコンウェーハまでの一貫体制を確立した。<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>(1993年に平塚工場での多結晶シリコンの製造を停止。)

1990年にアメリカのUCC&P社の多結晶シリコン事業部門を買収、Advanced Silicon Materials を設立した。
しかし、コマツは2005年にAdvanced Silicon Materialsの75%をノルウェーのRenewable Energy に売却した。
(25%はコマツが所有するが、議決権、配当受領権はなく、Renewable Energyが予め決めた価格で買収するオプションを持っている。)

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新日鐵製鉄

2006年6月、多結晶シリコン製造技術の研究開発の目処がついたことから、事業会社を設立し、実機プラントの建設に着手すると発表した。

社名はNSソーラーマテリアルで、新日鐵・八幡製鐵所内に約40トン/月の工場を建設、2007年度下期からせ遺贈開始する。
同社には新日鉄マテリアルズ51%、シャープが44%出資する。

生産コストを最大5割低減できる製法を開発したとしており、年産2000トン規模の新工場を2010年にも建設する方向。

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JFEスチール

2006年7月に、太陽電池向けシリコン原料製造技術の確立および実機プラント建設を発表した。

太陽電池向けインゴット(ウエハー)製造に用いるシリコン原料(SOGシリコン)の製造技術を確立し、実機プラント(年産100トン)の建設に着手する。また、量産プラントの設計も開始した。

SOGシリコン(Solar gradeシリコン)は、シーメンス法により化学プラントで CVDプロセス(化学的気相成長法)を用いて製造され半導体用ウエハーとして使用されるポリシリコンに対し、冶金法により太陽電池用にのみ対応可能な品質レベルのシリコン原料。

同社は2004年にシーメンス法での太陽電池用多結晶シリコンインゴットの生産能力を800トン/年に倍増している。

2001年4月に200トンで製造開始、太陽電池市場の拡大により2002年に400tに拡大した。

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2008年5月、チッソ、新日鉱ホールディングス、東邦チタニウムの3社は、新日本ソーラーシリコンを設立し、総額約240億円を投じて茨城県鹿島コンビナート内に太陽光発電用ポリシリコンの量産工場を建設すると発表した。

2007年1月から共同で独自の亜鉛還元法(JSS法)による太陽光発電用途ポリシリコン製造技術の実証化に取り組んできたもの。

チッソ 50%、新日鉱ホールディングス 30%、東邦チタニウム 20%の出資で、第一期 400トンを2010年に稼動させ、第二期として2010年以降 3,000トンまで増設する。

亜鉛還元法(JSS法)はシーメンス法と同じ塩化法によるもので、太陽光発電用途に十分な性能である8N~9Nの高純度ポリシリコンを生産することができる。

 


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