三井化学、2子会社を合併、東セロを完全子会社化

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三井化学は12月19日、来年4月1日付けで、100%子会社の共同モノマー(MMA製造)、同じく三井化学ポリウレタンを吸収合併すること、同社が53.39%出資する東セロを株式交換により完全子会社とすることを発表した。

1)共同モノマー

共同モノマーは直酸法MMAモノマーの製造会社で、1988年10月に三井東圧が設立、高石市(三井東圧大阪工場内)に40千トンのプラントの建設を決めたが(運転開始は1991年)、1989年6月に協和ガス化学が参加、50/50JVとなった。

協和ガス化学は1989年10月にクラレに吸収合併された。

三井東圧は茂原にACH法プラント(15.7千トン)を持っていたが、1996年9月に停止した。
協和ガス化学(→クラレ)は中条にACH法プラントを持っている。(現在 67千トン)

20057、三井化学とクラレは共同モノマーの合弁を解消し、同社のクラレ持分全株式を三井化学が譲り受けることに合意したと発表した。同年9月末に三井化学の100%子会社となった。

今回、これを吸収合併するもの。

日本のMMA業界については 2006/4/13  MMA事業の拡大

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2)三井化学ポリウレタン

三井化学と武田薬品工業は2000年9月、両者のウレタン及びその誘導品、複合材料等に係わる事業を統合することで合意、三井化学 51%、武田薬品工業 49%で三井武田ケミカルを設立した。
これに先立ち2000年6月末に、武田薬品はBASFジャパンとの50/50の武田バーディシェウレタン工業の合弁契約を解消した。

これは武田薬品の武田國男会長が、医療用医薬品に経営資源を集中して、医薬主体の『研究開発型国際企業』として世界競争を勝ち抜こうとして行った抜本的改革の一環であり、当初から、営業開始5年後には、合弁会社の武田薬品持分全株式を三井化学が取得する予定が決まっていた。

新会社の能力は、TDI 175千トン、MDI 60千トン、PPG 135千トン、ウレタン樹脂 30千トン、複合材料 70千トン、有機酸 40千トンであった。

設立当初の契約に従い、2006年4月1日に、三井化学が武田薬品持分全株式(株式総数の49%)を取得して同社を100%子会社とし、「三井化学ポリウレタン」と改称した。

三井化学は平成20 年度中期経営計画において機能材料事業本部の基本戦略に「機能性ポリマーズの拡大」を掲げており、機能性ポリマーズの一つであるポリウレタン事業をコア事業と位置付けている。

市場拡大が継続するポリウレタン事業の競争力を強化するため、迅速かつ集中的な経営資源の投入による事業規模の拡大とグループシナジー効果の最大化を図ることを目的として、三井化学ポリウレタン株式会社を吸収合併することとした。

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3)東セロ子会社化

東セロは1929年にセロハンの製造販売のため、東京セロファン紙㈱として設立された。

1961年にビニロンフィルム、64年に無延伸PPフィルム、70年にフィルムのコート加工、71年に延伸PPフィルムの製造を開始した。

1971年の増資で三井石油化学が筆頭株主となった。(現在、三井化学が53.39%出資)
1993年に東セロと改称。

現在、国内食品包装向けを主とする包装用フィルム事業とシリコーンコートフィルムや耐熱離型フィルムを中心とする産業用フィルム事業を車の両輪と位置づ けている。

三井化学の機能材料事業本部では、機能フィルム・シート事業を成長の核として、樹脂事業から一貫で同事業の強化拡大を図っている。

東セロを完全子会社化することで、1)樹脂からフィルムまで一貫した体制による製品開発力・コスト競争力強化、2) 迅速な意思決定と経営戦略の共有による柔軟かつ効率的な経営の実施、3) 東セロを中心としたグループ内フィルム・シート事業のシナジー最大化による事業強化拡大を図る。

東セロの株式は来年3月26日に上場廃止となる。

参考

三菱ケミカルホールディングスは2007年2月、機能材料事業の再編に関して発表した。

三菱化学が52.61%を保有する三菱樹脂をTOBを行って100%取得した上で、三菱ケミカルホールディングスに移管し、2008年4月1日付けで、同社、三菱化学ポリエステルフィルム、三菱化学産資、三菱化学エムケーブイ及び三菱化学の機能材料分野の事業も含めて、三菱ケミカルホールディングスの全額出資子会社として再編・統合する。

2007/2/12 三菱ケミカルホールディングス、機能材料事業を再編

 


* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


 

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