「バイオラバー」の薬事法違反事件

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京都府警は10月20日、高速水着の素材として注目を集める山本化学工業の「バイオラバー」を使った商品を、厚生労働相の承認を受けず「がん治療や視力回復に効果がある」と宣伝・販売したとして、健康用品販売会社の店長など3人を薬事法違反(無承認医薬品の販売)容疑で逮捕した。

逮捕容疑は、京都駅前店で「バイオラバーはがん細胞を抑制し、緑内障などを治す」と宣伝し、ベスト2着を約51万円で販売。また、別の女性に同様の説明をし、ベルトを約23万円で売ったとされる。

「壮快薬品」の説明会では、山本化学工業の名が明記された資料が配られていた。
「がん抑制、がん死滅効果日本初の正式発表」などと書かれた資料で、バイオラバーを使った治療法を「ほとんど副作用が考えられない癌死滅の新治療法」などと紹介している。

山本化学工業からのコメント

もともと、この事案の原因は壮快薬品が山本化学工業に無断で薬事法違反となる様なダイレクトメールを配布した事に端を発している。このダイレクトメールには、山本化学工業の社名はもとより、社長の山本富造の顔写真まで掲載し、あたかも山本化学工業や社長の山本富造が薬事法違反を容認しているかのダイレクトメールを数ヶ月に渡り配布をしていました。
2009.8月に壮快薬品の複数のお客様から山本化学工業に対して「壮快さんからこんなダイレクトメールが何通も来ているが山本化学工業や山本社長は、この事知っていますか?」の問合せが来ました。これを受け顧問弁護士と協議の結果、2009.8.31に壮快薬品の社長山田典男氏に内容証明にて抗議を正式に送付しました。
2009.9.18に壮快薬品の弁護士より、こちらの指摘事項に対しこれを認める内容証明を受け取りました。
この内容証明により、2009.10の壮快薬品による薬事法違反事案前にこの薬事法違反は壮快薬品の単独の事案であることは明白で有りまし
た。

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山本化学工業のバイオラバーについて、関西の私立大の医学部教授らが、科学的にがんの増殖を抑える効果があるとする論文をまとめたり、記者発表したりしていた。山本化学工業はこれらの発表を製品の宣伝に使っていた。

山本化学工業は論文掲載後、山本富造社長名で「世界最高峰の科学誌『ネイチャーの6月23日付電子版』にて承認掲載された」と書いた文書を報道機関に配布。「世界初で人体外部装着のみでがん抑制効果のある、全く新しい『がん抑制』『がん予防』素材であり、副作用も全く考えられない新素材であります」と強調していた。

近畿大学は9月28日、医学部の研究グループが山本化学工業が開発した医療用素材「バイオラバー」(学術名:活性型ゴムレジン)が持つとされるがん抑制効果について、これまで指摘されてきた「がん細胞に対する直接的効果」とは異なり、生体内における間接的効果によるがん抑制のメカニズムが存在することを解明したと発表した。

がんに対してバイオラバーを短期間、暴露使用した場合のがん抑制効果を、培養細胞を使った(In vitro)実験と動物を用いた生体内(In vivo)実験の双方で比較検討した。

通常では、培養細胞を使った実験の方が、生体内実験より、その効果がはっきり出る場合が多いのに対し、今回のバイオラバーを使用した研究では、生体内実験(実際の患者治療に近い実験)の方が、圧倒的にがん抑制効果が大きいという、きわめてまれな結果が出た。

さらに、複数の分析を重ねた結果、短期的には、バイオラバーが生体に影響を与え、宿主(実験で用いられる生体)自身において、間接的にがんを抑制するメカニズムが存在することを、解明した。

バイオラバーについてはこれまで、遠赤外線(波長4~25ミクロン)を発信することによる温熱作用、すなわち「バイオウェーブ」による、直接的ながん抑制メカニズムの存在が指摘されてきたが、今回、解明されたメカニズムは、生体内における間接的効果によるという点において、まったく異なるメカニズムとなる。

これは、生体内で惹起(誘導)された抗がん作用であることから、今後のさらなる研究によって、将来、実際のがん治療やがん予防の臨床応用に発展する可能性を示唆するものである。

山本化学では9月30日に「製品関連ニュース」で、「バイオラバーのがん抑制効果」 近畿大学医学部の研究グループが解明 としてこの発表にリンクを張っている。(近畿大学の発表文は現在抹消されている)

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国立がんセンターの津金昌一郎予防研究部長は「がんが治ると主張するからには、細胞や動物の実験ではなく、人を対象とした臨床試験で証明が必要だ。質の高い複数の科学的証拠がそろって初めて効果があったといえるが、そのレベルに達していない」と話している。(朝日新聞)

がんが治るかどうかにかかわらず、医薬品等としての承認を得ずに医療効果をうたって販売すれば薬事法違反となる。

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山本化学工業はバイオラバーについて、下記の通り説明している。

 バイオラバーとは:

炭酸カルシウムを99.7%以上含む高純度の石灰石をベースとし、独自製法のミクロの気泡によるハニカム構造をもったラバーに、希少金属を配合し混入することで、人体に有益なバイオウェーブ(遠赤外線)を放射するのが「バイオラバー」です。

 バイオウェーブとは:

東洋では「気」の一種として認知されていて健常者が発しているのと同じ、4~25ミクロンの波長を持つ遠赤外線レベルの波動の事です。
遠赤外線は有機物に接触すると、熱や電気に変換されて、人体に有用な働きがあります。

 

 参考  2008/5/17  競泳用水着の闘い
  2009/8/15  山本化学、新素材による水着を発売



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