BP、新しいキャップの設置に成功

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慎重を期して遅れていた新しいキャップのテストが7月14日に開始された。
15日午後、最後のシールがしまり、BOPからの原油の漏れが止まった。

経緯は 2010/7/10 メキシコ湾石油流出事故対策の現状

新しいキャップについている3つのラム(バルブ)を閉め、BOPからの回収もストップした。

6時間ごとに最長48時間、センサーで油圧を測定し、ラムを閉めても、海底下13,000フィートに及ぶ井戸が壊れないかどうかをチェックする。テスト中はバックアップ井戸の掘削も停止する。

油圧が一定以上であれば、井戸に漏れがないことを示している。
ハリケーンなどの場合に、ラムを閉じて、回収船を避難させる。

もし油圧が一定以下であれば、井戸に漏れがあることを意味し、ラムを閉じたままであれば井戸が崩壊し、現在のBOPからだけでなく、井戸周辺から広く油が流出してしまい、捕捉不可能となる。

この場合にはラムを開き、キャップから原油とガスを回収する。
従来よりも回収能力は増えて8万バレルとなり、流出量(政府推定では35~60千バレル)ほぼ全量を回収できる。
但し、回収船の手当てなどでフル稼働には時間がかかる。

いずれの場合も、リリーフ井戸が完成し、現在の井戸に接続、油圧を分散した上で、泥やコンクリートを流し込むのを待つ。

7月16日(現地時間)では圧力は上がっており、井戸に異常は見られない模様。   

付記
718日にBPの井戸の状況をモニターしていた技術者が、海底に油の漏れを発見した。
井戸のヘッドにもなんらかの異常がみられる。

米大統領報道官は19日の記者会見で、新たに原油漏れが発見されたのは、英BPがふたをした油井の先端から約3キロメートル離れた場所であることを明らかにした。深海のカメラで泡が確認されており、監視を続けているという。そのほかに、油井の先端の上部からの漏れもあるという。

政府はBPに対し、「油井口近くで炭化水素の漏出が確定した場合、油井に影響を与えずに、油井キャップのバルブをできるだけ早急に開放する手続き」を書面で提出するよう命じた。

米政府は事故発生以来、これまでに流出した原油の総量を最大約70万kl (438万バレル)と推計している。

1989年のExxon Valdez 号の際は4万kl(25万バレル)の原油が流出した。影響を受けた地域の人口は4万人ほどだったが、当時のExxonは40億ドルを超える賠償・負担金を払った。

今回の被害地域の人口は400万~600万人とされる。
BPが今後15年間に支払う費用を630億~1000億ドルと見積もる専門家もいる。


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