神華包頭石炭化学、秋に中国最初の石炭からのポリオレフィン生産をスタート

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神華包頭石炭化学は7月初め、内蒙古自治区の包頭で年産180万トンの石炭ベースのメタノールの生産を開始した。
これは同社が
170億人民元を投じる石炭からのポリオレフィン製造コンプレックスの一部。

メタノールは全量ポリオレフィン用で、2005年に先行してNDRCの承認を受け、昨年12月に建設を完了した。

同社はこの180万トンのメタノールから、60万トンのオレフィンを、これから30万トンのポリエチレンと30万トンのポリプロピレンを生産する。
これらは
2006年に承認を受け、本年5月に建設を完了し、現在試運転の準備中。
9月に生産を開始する予定で、中国で最初の石炭ベースのポリオレフィンとなる。

オレフィン製造には中国科学院大連化学物理研究所(DICP-CAS)とSINOPEC Luoyang Engineeringが開発したDMTODimethyl Ether /Methanol to Olefin) 技術を使用する。
PEPPについてはUnivation Technologies (ExxonMobil Chemical DowJV) Unipol技術を採用した。


神華包頭石炭化学は当初、神華集団が
51%、香港のKerry Group 25%、包頭明天科技が24%JVとして構想された。
その後、神華集団 76%
上海華誼集団公司 24%JVとなったが、最終的には神華集団が単独で事業を行うこととなった。

2006/12/23 ニュースのその後、中国のMTO計画

ASIACHEMのデータでは、中国では本計画に大唐国際発電と神華寧夏石炭グループのPPを加え、2010年末までに159万トンの石炭ペースのポリオレフィンが完成する。
PE30万トン、PP128万トンで、これは中国のポリオレフィン能力の7%に達する。

大唐国際発電の内蒙古自治区Duolun県の46万トンのPPは同じくUnipol法を使用する。
200911月に購入プロピレンにより生産を開始しており、本年末に石炭~メタノール~プロピレンが完成、全プロセスがスタートする予定。

神華寧夏石炭グループの52万トンのPPはABB-LummusNovolenガス法を導入するもので、年内にスタートする予定となっている。

なお、2006/12/15 中国でMTO計画相次ぐ で、以下の4つの計画を説明した。

1.陝西新興煤化工公司(Shaanxi Xinxing Coal Chemicals )

第一期 最終
原料 石炭
製品 メタノール 60万トン
オレフィン 
20万トン
PE     10万トン
PP     10万トン
Methanol-to-Olefin 300万トン
スタート 2009年
投資額 625百万ドル 27.5億ドル
技術 DMTO(Dimethyl Ether /Methanol to Olefin)技術
 開発:Dalian Institute of Chemistry and Physics (DICP), CAS

2.Zhonghua Yiye Energy Investment Co. (中化益業エネルギー投資)

第一期 最終
原料 石炭
製品 メタノール 60万トン
(+火力発電所)
メタノール 240万トン
オレフィン  80万トン
スタート 2009年
投資額 288百万ドル
技術 GEの石炭ガス化技術(旧テキサコ技術)

3.JV Sino Biopharmaceutical Ltd 43%出資)

原料 石炭
製品 メタノール  60万トン
エチレン  10万トン
プロピレン  10万トン
スタート 2009年末
投資額 632百 万ドル
技術 DMTO(Dimethyl Ether /Methanol to Olefin)技術
 開発:
Shannxi New Coal Chemical Science Technology Development Company Ltd
      (JVに5%出資)

4.SINOPECの天然ガスのMTO(methanol-to-olefin)

原料 天然ガス
製品 メタノール 180万トン
オレフィン  60万トン
投資額 約10億ドル
技術 MTO技術
 開発:SINOPEC傘下の石油精製研究所(Research Institute of Petroleum Processing)
又は、
DMTO(Dimethyl Ether /Methanol to Olefin)技術
 開発:Dalian Institute of Chemistry and Physics (DICP), CAS 

この4つの計画はいずれも棚上げとなっている。

国家発展改革委員会(NDRC)は2007年夏に、新しい天然ガス活用政策を発表、天然ガスの利用は、都市ガス、産業ガス、発電、化学品の4つに分類され、都市ガス用の利用が最優先される一方、メタノール用の使用が禁止された。

この結果、上記4のSINOPECの天然ガスのMTO計画が中止となった。


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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