中国地域経済の新版図 -2

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中国の人民網は特集「中国地域経済の新版図」を掲載した。

Ⅲ 北部地域

1. 京津冀都市圏

京津冀都市圏とは北京市と天津市を中心とし、河北省の石家庄、保定、秦皇島、廊坊、滄州、承徳、張家口、唐山の8都市を含む地区を指す。同地区は中国の政治や文化の中心で、かつての近代中国の経済の中心。

京津冀:
 京=北京
 津=天津
 冀=旧称の冀州から河北省のこと

「京津冀都市圏地域計画」は国家の「第11次五カ年計画」中の重要な地域計画で、発展計画は「8+2」モデルに基づく。北京と天津の2つの直轄市と河北省の石家庄、保定、秦皇島、廊坊、滄州、承徳、張家口、唐山の8都市を含む。

京津冀都市圏は現在既に比較的整った地域経済の計画があり、中国経済の「第3の極」になる見込みがある。

2. 遼寧沿海経済帯

「遼寧沿海経済帯発展計画」は2009年7月1日に国務院の許可を得た。これにより、遼寧沿海は開発地域全体が国家戦略に組み込まれた。
国務院が審査許可した計画は遼寧が先に提出した「五点一線経済帯」発展計画を中心とし、従来の計画範囲をさらに拡大したもの。

沿海「5点」:丹東市の遼寧省丹東産業園区、大連市の大連花園口工業園区、
       大連市の大連長興島臨港工業区、営口市の遼寧省営口沿海産業基地、
       錦州市と葫芦島市の遼西錦州湾沿海経済区
「1線」:高速道路
「5点1線」に沿って臨港産業集積帯、資源開発産業帯、観光産業帯などを形成させる計画

計画では空間分布や産業の発展、都市発展、社会事業、インフラ、開放的な協力、資源環境、保障措置といった面での遼寧沿海経済帯の2020年までの発展方向を確立している。

3. 図們江地域の協力開発

中国国務院は先ごろ「中国図們江地域の協力開発計画綱要・長吉図を開発・開放の先導区とする」を許可した。これは中国政府がこれまでに許可した唯一の国境沿いの開発開放区の計画。

長吉図は長春、吉林、図們江
図們江(北朝鮮では豆満江)は、中朝国境の白頭山(中国名:長白山)に源を発し、中国、北朝鮮、ロシアの国境地帯を東へ流れ日本海に注ぐ全長約500kmの国際河川で、中国と北朝鮮を分ける国境線となっており、北岸は中国吉林省延辺朝鮮族自治州。

図們江地域開発計画では計画地域で国境沿いの開放の先行試験権を付与し、図們江地域の国境沿いの開放における模索を奨励する。
中国、ロシア、北朝鮮の3カ国の国境開放都市である琿春から、急速に発展する東北地区の中心都市・長春まで、面積は7.3万平方キロメートル、人口1090万人におよぶ地域経済帯が中国東北地区で形成されつつある。

中国は琿春市を国境開放都市に指定して琿春辺境経済合作区とし、北朝鮮は羅津・先鋒(現・羅先直轄市)を自由経済貿易地帯(経済特区)に指定して開発を進めている。

豆満江河口付近の北朝鮮側には北朝鮮の鉄道とロシアのシベリア鉄道を繋ぐ「豆満江駅」がある。

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Ⅳ 南部

1. 海南国際観光島

2010 年1月4日、国務院は「国務院の海南国際観光島の建設・発展に関する若干の意見」を発表した。
これにより、海南国際観光島の建設が正式に軌道にのったことになる。

国家の重大な戦略として、中国では2020年に海南に世界一流の海島レジャー観光地を建設し、開放の島、環境に優しい島、文明の島、調和の島とする。

2. 珠江デルタ経済区

2009年1月8日、国家発展・改革委員会は「珠江デルタ地区改革・発展計画綱要(2008-2020年)」を発表した。

計画範囲は広東省の広州、深セン、珠海、佛山、江門、東莞、中山、恵州、肇慶市を中心とし、珠江デルタ地域に波及しており、また香港・マカオとの緊密な協力も計画に取り入れ、全国に対する波及・牽引の役割と先行する模範としての珠江デルタの役割をさらに促進する。

珠江デルタ経済区の戦略的位置づけは、科学的発展モデル模索の試験区、改革深化の先行エリア、開放拡大の重要な国際的窓口、世界の先進的な製造業と現代的なサービス業の基地、全国の重要な経済センターである。

広東省はこのほど、珠江デルタの9市におけるインフラ、産業分布、基本的な公共サービス、都市・農村計画、環境保護を一体化する「5つの一体化」計画を発表した。
広東省は同計画に基づき、1兆9767億元を投資して、交通・エネルギー・水利・情報化の4カテゴリーに関わる重大プロジェクト約150項目を建設していく。
短期的な計画目標は2012年には実現し、長期目標では、2020年には珠江デルタの「5つの一体化」が実現する。

計画によると、珠江デルタの9市では2020年までに、公共教育、公共衛生、公共文化・スポーツ、公共交通、生活保障、住宅保障、就業保障、医療保障、生態・環境・現代サービス業など、10大一体化基本公共サービスが受けられるようになる。

3. 汎珠海デルタ横琴経済協力区

2009年8月14日、国務院は「横琴全体発展計画」の実施を許可し、横琴島を珠海経済特別区の範囲に組み込み、横琴島を徐々に「一国二制度」の下で広東省とマカオ、香港との新たな協力モデル模索のモデルエリアとする。

珠海市横琴島は珠江河口の西岸に位置し、マカオと海を隔てて向かい合った、珠江河口の島。横琴の開発建設を加速し、珠海デルタの牽引や香港・マカオへのサービス、率先した発展という役割を発揮させるために、特別に同計画を制定した。

計画によると、珠海は横琴の建設用地を集約し、ハイレベルで基点の高い大規模プロジェクトの投資を誘致し、産業発展においてはビジネスサービスやレジャー・観光、科学教育・研究開発、ハイテクの4産業に重点を置く。
こうした産業の発展を通じて、香港・中国経済貿易緊密化協定(CEPA)の実施を深化させ、マカオ住民の横琴での投資や就業の条件を生み出し、マカオ経済が適度に多元化するよう促進し、横琴に
「四基地 1プラットフォーム」、つまり
  広東省・香港・マカオ地区の地域ビジネスサービス基地、
  香港・マカオ付属の世界的な観光・レジャー基地、
  珠江河口西岸の地域的な科学教育・研究開発のプラットフォーム、
  香港・マカオの優れた郵政を融合させた国際的胚的技術産業基地
を建設する。


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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