昭和電工、インドネシアでアルミナ工場建設

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昭和電工は8月31日インドネシア政府が65%出資するPT. Antam Tbkと共同で2011年1月よりインドネシア西カリマンタン州でケミカル用アルミナ工場の建設を開始すると発表した。

JV名はP.T. Indonesia Chemical Aluminaで、 Antam80%、昭電が20%出資する。
アルミナの原料のボーキサイトは採掘権を保有する Antamが供給し、アルミナ生産に関する技術は昭電が提供する。

完工は2013年12月、操業の開始は2014年1月の予定で、投資額は約4億5千万米ドルを見込む。

生産能力は年産30万トンで、このうち20万トンは昭電、残りの10万トンはアンタムが引き取る。
昭電は横浜事業所で年産約20万トンのアルミナを生産しているが、201
5年までに撤退を決定している。

アルミナはアルミニウム製錬の原料となるほか、中間製品である水酸化アルミニウムは浄水場における水質の浄化剤などに、またアルミナは機能性材料、エレクトロニクス製品の材料としても使用される。

新工場ではケミカル用アルミナ(アルミニウム製錬原料以外)を生産し、昭電の既存の需要家への販売に加え、新たにインドネシア国内および周辺地域における水質浄化用途向け等の需要増加に対応する。

Antam はインドネシア政府が株式65%所有する国営の資源大手で、世界最大級のニッケル生産企業。
1968年に複数の国営鉱山企業が合併して設立された。

単独ではSulawesi島でニッケル鉱山とフェロニッケル精錬所、Maluku島でニッケル鉱山、西ジャワで金鉱山と精錬所、ジャカルタで貴金属精錬所を運営している。

他に、金では同国の資源大手Bumi ResourcesやオーストラリアのNewcrest MiningなどとJV、またニッケルではフランスのErametなどとのJVにより鉱山生産及び探鉱・開発を行っている。

Antamはビンタン島のKijang鉱山で同国内のボーキサイト生産を一手に担っているが、ビンタン島でのボーキサイト資源は枯渇しつつある。

Antamの所有するボーキサイト埋蔵量の90%以上は西カリマンタン州にある。

昭和電工は2007年3月、インドネシアでのアルミナ工場建設に関して、事業性評価を行うための合弁会社を、インドネシアのPT. Antam Tbk、シンガポールのStraits Trading Amalgamated Resources および丸紅と共同で設立することで合意した。
  Antam 49%、昭和電工 30%、Straits Trading Company 15%、丸紅 6

インドネシアのWest KalimantanTayan地区で原料ボーキサイト鉱石の採掘からケミカル用アルミナ製品までの一貫生産を行なうものであった。

今回、 Antam80%、昭電が20%出資で、アルミナだけを実施、ボーキサイト採掘はAntamが行う。

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日本では昭和電工、日本軽金属、住友化学の3社が国内でアルミナを製造しているが、環境問題から2015年までにボーキサイトの国内精製から撤退する。

各社は輸入したボーキサイトを苛性ソーダで溶融し、水酸化アルミニウムとし、更にこれを焼成してアルミナを製造している。

水酸化アルミの生産時に膨大な量の赤泥ができるが、各社は海洋投棄を行なっている。

泥は産業廃棄物であり、産業廃棄物の海洋投棄は、1972年にできたロンドン条約で原則禁止されているが、日本国内法では、赤泥が「例外」に当てはまるとし、海洋投棄を「特別」に認めている。

しかし、3社は海洋汚染の影響などを考慮、自主的に撤退の方針を決めた。

 2008/3/8 アルミナメーカー、ボーキサイトの国内精製から撤退へ

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日本軽金属は2006年11月、双日、ベトナム化学公団、同公団100%子会社South Basic Chemical とともに、アジア最大規模となるケミカル用途水酸化アルミニウム工場の建設について、事業性調査開始の基本合意契約を締結した。

ベトナム南部のラムドン省で原料ボーキサイトの埋蔵量確定作業に着手するとともに、工場建設に伴う環境アセスメント調査を開始した。生産能力は年間約55万トンを予定、プロジェクトの総事業費は約400億円と見込んだ。

しかし、日本軽金属は2008年7月、撤退を決めた。

資材高などで工場建設資金が膨らむ可能性が出てきたことや世界景気の不透明感から採算確保は難しいと判断した。日軽金は子会社の新日軽の再建を優先させる方針で、浮いた資金を活用してリストラを加速させる。
 
海外メーカーから水酸化アルミを購入するか、ベトナム以外の国で新工場を建設するかを選択することになるとみられる。 

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住友化学は2009年10月、各種アルミナ製品について、海外で生産された水酸化アルミニウムを原料に、従来と同等の品質の製品が提供できることを確認し、主要な需要家の了解を得られたことから、2010 年4月を目途に、原料の全面転換を行うと発表した。


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