林原が会社更生法申請

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林原グループの林原、林原生物化学研究所、林原商事の3社は2月2日、私的整理手続きを諦め、会社更生手続開始の申し立てを行った。(太陽殖産は資産超過の状況のため、申し立てを行っていない)

同社は同日、私的整理の一種「事業再生ADR」(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決)のための第一回の債権者会議を開催した。

2011/1/28 林原が私的整理手続き 

メインバンクの中国銀行が融資を株式に切り替えるDebt equity swapに賛成したが、他行は中国銀行が林原の行き詰まりを知ってから担保を登記したことや、粉飾決算などを理由に私的整理に反対の意向を示した。

事業再生ADRには債権者全員の同意が条件のため、休憩の後、会社更生法への切り替えが表明された。

東京地裁による会社更生手続きの開始決定は3月までになされる見通し。
保全管理人に就任した弁護士は「本業以外の事業は売却される可能性が大きい」とした。支援候補先として名乗りを上げる意向を示している企業が複数あることも明らかにした。

今後、金融機関以外の一般取引先企業への負債については全額を支払う方針。当面の運転資金は中国銀行が40億円のつなぎ融資で対応する。
同社では、取引先の商取引債権については今後も全額保護されるため、製品の安定供給に努めるとしている。

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林原の提案した事業再生ADRでの再生計画案は以下の通りであった。

2010年10月末時点での同グループの債務超過額は551億円。
議決権のない株式を発行し、金融機関に290億円の債務の株式化(
Debt equity swap)を要請
さらに金融機関に215億円の返済猶予(5年間で20回の分割返済)を求める。
林原一族が合計で24億円の私財を提供。

食品や化学品以外の非中核事業からはすべて撤退。
不動産売却345億円、有価証券など売却252億円、資産売却総額は597億円を見込む。
  京都センチュリーホテル、岡山駅前の土地などは売却
  美術館や化石調査などのメセナ事業は12年度をメドに清算または売却

    グループの人員削減(10億円を圧縮)など、一連のリストラで68億円の利益改善

    2015年10月期は経常利益82億円を目指す。

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既報の通り、「研究に関しては10年かけてもいいから独創的な研究を」というのが経営方針で、オーナーのこの意見が反映できるよう、株主の意見に左右されないよう、非上場を続けてきた。

林原健社長は慶應義塾大学在学中に父の先代社長が死去、社長に就任した。
法学部出身だが、正午前に出社、2時には退社し、後はバイオ研究に没頭、実際の経営を仕切ってきたのは弟の専務である。

林原は研究開発費の原資を借り入れで調達してきたが、総額約1400億円もの融資を受けられたのは、「圧倒的に豊かな資産の裏付けがあったから」とされる。

林原一族は今も全国の一等地に不動産を持つ。メーンバンクの中国銀行の株式の10%強(2010年9月末時点の時価は約253億円)も所有している。
安定した収益を確保するために、これを利用した不動産事業を行った。

戦後、日本一の水あめ会社として大成功した先代社長は、次々と不動産を購入した。
岡山駅前の45千m2の土地は岡山藩藩主だった池田家から買ったもので、林原美術館に展示されている美術品も池田家から購入したもの。

グループが経営する「京都センチュリーホテル」、嵐山のホテル嵐亭も先代社長が買っていた土地に建設した。

新宿歌舞伎町に歌舞伎町プロジェクトと名付けたビルを建設した。

2002年に「ザ・ハヤシバ ラシティ」構想を発表した。
岡山駅前の土地に
1,500億円をかけ、「世界の名所になるような近未来都市をつくる」というもので、自然博物館や美術館、百貨店、ホテル、高層マンションをつくるとし、自然博物館の目玉にするため、ゴビ砂漠で恐竜の化石を発掘する調査団を派遣した。

しかし、リーマン・ショック以降の地価と株価の下落で、資産は大きく目減りし、負債とのバランスが崩れてきた。

岡山駅前の土地は中国銀行が400億円の担保を設定したが、時価は200億円程度との声もある。

地価下落で担保割れを起こして資金の流れはストップし、ハヤシバラシティ構想は頓挫した。現在も駐車場のままである。

不動産事業で手を広げすぎたことが経営破綻の原因である。

さらに、1984年以降、不適切な会計処理を行なっていた。
金融機関に開示する資料などで、売掛金の架空計上を繰り返しており、架空計上額は年間2億円から50億円で総額は288億円とされる。このほか、1984年以降、支払利息を資産に計上し利益を水増しするなどのケースがあった。

同社は純資産約143億円としてきたが、実際には551億円の債務超過であった。
債権者集会で金融機関側から「粉飾の中での配当は、違法性が極めて高い」などとして、一族の責任を問う質問が出た。
「背任」の容疑が出ている。

 


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