公取委、合併の事前審査を廃止

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公正取引委員会は、合併審査の事前相談制度について定めた現行の指針を廃止し、新制度を盛り込んだ指針をあらたに定める。

審査期間が長引く一因とされる事前相談制度を廃止して、届け出後の法定審査に一本化する。
審査期間も短縮し、審査の過程での理由説明や最終的な判断理由を公表するなど、企業側の不満に対応して透明性を高める。

同時に、審査の目安となるシェアについて、国内だけでなく世界的な競争状況を考慮することを改めて明確化する。具体的な例を示した指針を公表する方針。

近くパブリックコメントを募ったうえで最終案をまとめ、7月にも新制度に移行する。

大型案件の場合は以下の通りとなる。

  現行:事前相談制度  

事前相談
(1~2年の場合も)
法定審査
(30日)
・実質的な審査
・審査は1次と2次
・追加資料要求などで長期化
・実質的な審査なし

  新制度:法定審査

一次審査
(30日以内)
二次審査
(90日以内)
  最終
①問題なし  -   合併認可
②追加資料要請
  (原則1回、理由説明)
①問題なし   合併認可
③排除措置事前通知 意見申述など 排除措置命令
③排除措置事前通知  - 意見申述など 排除措置命令

     要求に応じ、審査の論点を説明、反論の機会も
     詳細審査案件では、判断理由も公表

現在の事前相談制度は法律で決まったものではない任意の手続きだが、実際には大半の案件がこれによっている。
届け出受理前に何度も書類提出を求められ、質問の数が1千を超えるケースもあった。期間が1~2年に及ぶ例もあり、どのくらい時間がかかるか見通し難く、また、法定審査ではないため、担当者によって対応がばらつくとも批判されていた。

本年1月25日に閣議決定の「新成長戦略実現2011」に、これが挙げられている。

○企業結合規制の見直し
  ・企業結合審査の迅速性・透明性を高める観点からの見直しを2010 年度中に実施。

2月9日の事務総長定例会見で、以下の説明があった。

(問) 企業結合審査をめぐっては、手続に時間がかかる、不透明感がある、生産性が低いなどいろいろあるようですが、これらについては、どのようにお考えでしょうか。

(事務総長) 企業結合規制につきましては、今、御指摘のような時間がかかるのではないか、透明性が十分ではないのではないかなどの指摘があることを踏まえまして、公正取引委員会としても、現在、現行の企業結合規制の手続について、透明性、迅速性を一層高める観 点から、検討を進めているところでございます。

(問) やはり、不透明な部分はあるということでしょうか。

(事務総長) 不透明なところがあるというよりは、不透明だという御指摘がある点など、産業界からいろいろな 指摘もいただいていますから、そのような点を踏まえて、さらに、透明性の高い、企業にとって予測可能性の高いものにするためは、どうしたらよいかというこ とを、現在、検討しているところでございます。

(問) 今のことに関連して、検討しているということですが、目途はあるのでしょうか。

(事務総長) 今年1月25日に閣議決定されました新成長戦略実現2011におきましても、企業結合規制の見 直しが取り上げられておりまして、企業結合審査の迅速性、透明性を高める観点からの見直しを2010年度中に実施するとされておりますので、現在、その見 直し作業を進めているところでございます。

(問) 今、おっしゃったのは、2010年度中にということでよろしいのですか。つまり年度末までにという理解でよいのですか。

(事務総長) そうです。


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