公取委、企業合併の審査指針を公表

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公正取引委員会は6月14日、企業合併の新たな審査指針(ガイドライン)を公表した。

政府は昨年6月に、合併審査の迅速性、透明性を高めるために基準を見直す方針を決定。公取委はパブリックコメントを募集し、最終案作りを進めていた。

2011/3/8 公取委、企業結合規制の見直し案に対する意見募集

1)手続き

公取委は、「企業結合審査の手続に関する対応方針」を決め、従来の「企業結合計画に関する事前相談に対する対応方針」を廃止する。(7月1日適用)

審査期間において、届出会社から説明を求められた場合又は必要と認める場合には、その時点における論点等について説明する。また、届出会社は、審査期間において、いつでも意見書又は必要と考える資料(問題解消措置含む)を提出することができる。

2011/2/26 公取委、合併の事前審査を廃止 

2)運用指針

公取委は、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」を見直し、審査の目安となるシェアについて、国内だけでなく世界的な競争状況を勘案する。

また、市場規模が縮小している場合は合併を認めやすくすることも明記した。企業合併で値上げしようとしても需要家が調達先を別の競争相手の企業に乗り換えることが可能なため、合併が競争を制限するとは考えにくいと判断する。

主なポイントは以下の通り。青字部分が追加)

1)「一定の取引分野」の「地理的範囲」で以下を追加

国境を越えて地理的範囲が画定される場合についての考え方

前記(1)の基本的考え方は、国境を越える場合にも当てはまる。すなわち、ある商品について、内外の需要者が内外の供給者を差別することなく取引しているような場合には、日本において価格が引き上げられたとしても、日本の需要者が、海外の供給者にも当該商品の購入を代替し得るために、日本における価格引上げが妨げられることがあり得るので、このような場合には、国境を越えて地理的範囲が画定されることとなる。
例えば、内外の主要な供給者が世界(又は東アジア)中の販売地域において実質的に同等の価格で販売しており、需要者が世界(又は東アジア)各地の供給者から主要な調達先を選定しているような場合は、世界(又は東アジア)市場が画定され得る。

2)単独行動による競争の実質的制限についての判断要素

(1) 当事会社グループの地位及び競争者の状況

逆に、当該商品の需要が継続的構造的に減少しており、競争者の供給余力が十分である場合には、当事会社グループの価格引上げに対する牽制力となり得る。

(2) 輸入

輸入圧力が十分働いているか否かについては、現在輸入が行われているかどうかにかかわらず、次の①~④のような輸入に係る状況をすべて検討の上、商品の価格が引き上げられた場合に、輸入の増加が一定の期間に生じ、当事会社グループがある程度自由に価格等を左右することを妨げる要因となり得るか否かについて考慮する。

(4) 隣接市場からの競争圧力

隣接市場において十分に活発な競争が行われている場合や、近い将来において競合品が当該商品に対する需要を代替する蓋然性が高い場合には、当該一定の取引分野における競争を促進する要素として評価し得る場合がある。

需要の減少により市場が縮小している商品について、競合品が当該商品に対する需要を代替する蓋然性が高い場合も同様である。

(5) 需要者からの競争圧力

市場の縮小
当該商品の需要が減少して継続的構造的に需要量が供給量を大きく下回ることにより、需要者からの競争圧力が働いている場合には、当事会社グループが価格等をある程度自由に左右することをある程度妨げる要因となり得る。

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公取委は現在、新日本製鉄と住友金属工業の合併計画の1次審査を6月30日まで行っているが、これには改正後の基準を前倒しで適用する。

2012年10月の合併を目指す新日鉄と住友金属の粗鋼生産シェアは、国内で合計40%だが、世界では3%強にとどまる。
東アジアでのシェアは国内に比べて大幅に下がる。

なお、本年度の「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」改正(5月成立、7月施行)では、「公正取引委員会との協議制度」が創設された。

「主務大臣が計画を認定をしようとするに際して、当該計画に従って行おうとする措置が、事業者の営む事業の属する事業分野における適正な競争が確保されないおそれがある場合として政令で定める場合に該当するときは、あらかじめ公正取引委員会に協議するものとすること」

新日本製鉄と住友金属工業は7月に改正産活法の適用を経産省に申請する。

経産相と公取委の協議により合併審査の透明性・迅速性の向上が期待できる。
改正後は、公取委は経産相の意見に回答しなればならない。

 


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