循環注水冷却が本格稼働

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東京電力は6月14日、福島第1原発で放射性物質を高濃度に含む汚染水を浄化するシステムの一部の試運転を始めた。

6月6日から装置の動きを確認、10日にKurionの装置で水漏れが発生した。当初、水漏れや流量不足が見つかったが、その後の補修や点検で改善した。   

2011/6/16 福島原発、汚染水浄化装置

その後、トラブルが続出した。

10万トンを超える高濃度汚染水を浄化するのは世界でも経験がなく、東芝の浄化装置、KurionArebaの放射能除去システム、日立GEニュークリア・エナジーの淡水化装置を組み合わせる複雑なもので、配管の長さは4kmにもなる。

Kurionによれば、「米スリーマイル島原発事故では汚染水浄化の準備に18カ月かかった」のを、設計完了から5週間で完成させる強行軍となった。

このため、初期トラブルは当初から想定されたが、実際のトラブルの大部分は人為的なミスであった。しかも初歩的なミスが多い。

6/14   Kurion装置で動作を確認、セシウムの量を最大3300分の1に。
15   Areva装置に低濃度の汚染水を流し、性能をチェック
両装置の一貫テスト
16   Kurionで水漏れが発生
17   本格運転開始
セシウム吸着塔24基のうち最初の4基部分で箱形設備の表面線量が交換基準の毎時
4ミリシーベルトに。
18日午前054分、システムの運転をいったん停止。
   

装置の処理能力はもっと高いが、吸着剤交換の際に作業員の被ばく量を抑えるため4ミリシーベルトを基準にしている。
装置は本来、停止させずに汚染水を流す配管を切り替えながら吸着剤を交換することができる。東電は運転させながら1日
24本の交換を想定していた。しかし、今回は予想以上に線量の上昇が早く、念のため停止させた。
→汚染水の放射性物質の濃度が想定以上に高かったためであることが判明

21   試験運転再開
Aevaの機器に水を送るポンプの一部が自動停止
22   Kurionの装置が、海水混じりの高濃度汚染水だと50分の1程度にしかならない。
   

弁の開閉表示の誤りのため、吸着塔4本のうち、1本だけ迂回させるところを3本を迂回させていたことが判明
23日に再開

24   目標の放射性物質の濃度を10万分の1に下げる能力に達した。
    淡水化装置も同日から稼働、塩分濃度約250分の1に。
27   「循環注水冷却」を開始。
    ホースの継ぎ目から水が漏れたため、1時間半で中断
   

PVC製、直径約10センチで、処理水タンクから原子炉までは 約1.5kmあり、ホース約50本をつないでいる。

29   再開。夜に再度手動停止。
   

本来「自動」に設定する弁が「手動」になっており、運転中に弁が閉じたままの状態になった。このため、弁の上流側のタンクの水位が上昇。

30   Areba装置の放射性物質を除去した後の処理水の貯蔵タンクの水位の異常低下で停止。
   

タンクの水量を30%に設定するべきなのに、作業員が誤って3%に設定。

東京電力は7月2日、福島第1原発の循環注水冷却を安定させるための貯水タンク(1000立方メートル)を新設し、中断していた汚染浄化処理した水による原子炉への注水を再開した。

これまでは、ダムからの淡水(毎時3立方メートル)と汚染水浄化システムで処理した水(毎時13立方メートル)を、別々の系統で1~3号機へ注水していた。
しかし配管が複雑で、水位や圧力が変動しやすく、6月27日に汚染浄化した処理水を原子炉に注水し始めてから、水漏れなどで6回も運転が停止した。連続注水できたのは29日から7月1日までの42時間が最長だった。

複数の系統でも安定的に注水するため、圧力変動などを緩衝させる機能を持たせた貯水タンクを6月1日に新設し、今後は処理水と真水を新設するタンクに集め、1本の配管で原子炉に注水する。

再開後の注水量(毎時16立方メートル)はすべて処理水に切り替えており、汚染水をこれ以上増やさない完全な循環注水が実現したことになる。処理水が使用できない場合は、従来のようにダムからの淡水を貯水タンクを介して使用できる。 

とりあえず、循環注水が出来たが、大きな問題が残っている。

東電ではこの処理で発生する汚泥の1cm3あたり1億ベクレルという高濃度の放射性廃棄物が年末までに2000m3(ドラム缶1万本)発生するとみている。そこに含まれる放射性物質は20京ベクレルに達する。
この高濃度放射性廃棄物は、一時的に敷地内に保管するが、最終処分の方法はこれから考える必要がある。

付記

7月10日、Arevaの「薬剤注入装置」から「凝集沈殿装置」につながる部分から薬剤が漏れ、停止した。
12日には放射性汚染水と薬剤を流す配管の接合部分の腐食で漏れた。

13日にも漏れて停止したが、これは薬液を注入するラインのホースと配管を接続するPVC製の継ぎ手の部分完全にちぎれたため。
破損部周辺は、放射線量が非常に高く、作業員1人あたり1~2分程度しか作業を続けられない状況。
10人の作業員が2分間ずつ交代で作業して補修。14日午後6時半に再稼働した。

なお、東芝・IHI・米ショー社の3社が共同で製造した新たな汚染水処理装置「サリー」が7月14日に船積みされた。
放射性物質を吸着させる合成ゼオライトとチタンケイ酸塩を詰め込んだ直径1.4m、高さ3.6mの円筒形の容器を直列につなげ、汚染水を流して浄化する。

汚染水の濃度を最大100万分の1まで下げることが可能という。

 

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東京電力は6月30日、「メガフロート」への低濃度放射性汚染水移送を開始した。
6号機の仮設タンクに貯めてある低濃度放射性汚染水がタンク容量の限界に近づいたためで、メガフロートへの放射性汚染水の移送は今回が初となる。

メガフロートは静岡市が海づり公園で使っていたもので、長さ136m、幅46m、高さ3mの鋼製の浮体構造物。
中が空洞になっており、約1万トン入れられる。クレーンも装備されており、原子炉建屋を覆うカバーの鋼材の荷揚げなどにも活用する。

造船会社や鉄鋼会社などが共同で設立したメガフロート技術研究組合が1999年、羽田空港D滑走路への採用を目指して神奈川県横須賀市沖での実証実験のために建造した。

 


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