深井 有 「気候変動とエネルギー問題 - CO2温暖化論争を超えて」

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中公新書の 「気候変動とエネルギー問題 - CO2温暖化論争を超えて」 を読んだ。

 

「地球温暖化の議論をリードしてきたIPCCがスキャンダルに揺れている。温暖化を印象付けるためのデータ操作や、不都合な報告の黙殺など、あるまじき行為が明るみに出た。」

本書では、気候変動の真因を最新の知見から解説する。

二酸化炭素が温室効果で気温を上昇させる可能性は否定しないが、その効果は小さい。

真の原因は宇宙線の影響である。現在の太陽活動は弱まっており、今後、気温は低下する。

「さらに化石燃料を温存する上で必要な、バイオマス、核融合など代替エネルギー技術の最前線を紹介する。震災復興が急がれる今、莫大な国費を根拠薄弱なC02削減策のために浪費することは許されない。」(同書の帯)

 

概要は以下の通り。

序章 クライメート事件 暴かれた二酸化炭素原因説の陰謀

序章では、クライメート事件の概要を述べ、IPCCが人為的温暖化説以外は排除し、「科学」が二酸化炭素削減という目的に奉仕するようになったとする。

地球温暖化は排出権取引などで国のレベルで金儲けの種になると判断されたに違いない。
「IPCCとは、・・・空気から排出権取引という巨大ビジネス ー 実業ならぬ虚業 ー を作り出した詐欺師と言う方が適当かも知れない。」
IPCCは原発推進の隠れ蓑になっているのではないかとの指摘もある。

二酸化炭素が気温変化の主因であったという科学的根拠は存在しない。将来に大きな気温上昇をもたらすという予測も科学的根拠はない。
南極の氷床コア試料の分析では、二酸化炭素の変動は気温の変動よりも遅れており、しかも二酸化炭素とメタンの濃度が全く同様の変化を示しており、共通の原因即ち気温によって変化していることが分かる。
 
大気中の二酸化炭素濃度が増えるにつれ、海洋中に溶解する量も増え、ある濃度で平衡化する。
 
大気中の二酸化炭素は植物の成長を促すプラスの効果はあっても、人間の環境にとっていかなる意味でもマイナス要因にはならない。
 
二酸化炭素排出削減は炭素資源を子孫に残すためにこそ意味がある。

日本だけがIPCC信仰は崩れておらず、二酸化炭素の排出削減を崇高な目標と信じ込まされている。
地球温暖化防止対策として年間1兆円を超える税金が使われており、排出権取得に巨額の負担を強いられる。
無意味な支出を止め、震災復興に使うべきだ。

* Climategateについては 2009/12/2 IPCCデータの捏造疑惑

第1章 気候変動はどうして起こるか

太陽黒点数と気候の相関は古くから気付かれていた。
しかし、太陽からの入射エネルギーの長期変動を気候の長期変動の主因とする見方は、大気圏外で流入エネルギーを測定した衛星観測の結果、エネルギーの変動幅が小さすぎることから否定された。

このため、二酸化炭素の温室効果がクローズアップされてきた。
IPCCは(偽装と分かった)ホッケースティックを論拠に、自然要因の長期変動は無視できるとした。

しかし、長い歴史にわたって比べると、気温と二酸化炭素の相関はあまり明らかでない。二酸化炭素が温室効果で気温を上昇させる可能性は否定しないが、その効果は小さい。
大気中の二酸化炭素は無限に増える訳ではなく、平衡状態に到達し、頭打ちになる。
6000万年前に濃度は約4000ppmもあったが、徐々に低下し、現在に到っている。地球には気温を安定化する機構が具わっている。

1998年になり、デンマークのH. Svensmark が宇宙線が低雲層量を変化させていることを見付けた。この後、気温と宇宙線との相関を示すデータが多数発表された。

宇宙線は超新星爆発で放出された高エネルギー粒子だが、太陽活動が活発な時は太陽磁場が強くなるため、地球に到達する一次宇宙線が少なくなる。

太陽磁場が強く、宇宙線強度が減ると、エアロゾルが出来難くなって雲量が減り、地表の温度は上がる。 
(水と植物プランクトンから出る硫酸が宇宙線でイオン化し、成長後にイオン再結合でエアロゾルの核を形成、水を吸着して水滴になり、雲を形成する。)

逆に、太陽磁場が弱まり、宇宙線強度が増えると、低雲層が増え、太陽エネルギーを反射するため、地表の気温を低下させる。
(水蒸気は温室効果で地表の気温を上昇させるが、低雲層は太陽エネルギーの反射により気温を低下させる。)

過去の氷河期もこれで説明できる。
地球形成初期に、若い太陽からの放射は7%も少なかったはずなのに地球が凍結しなかった「暗い太陽のパラドックス」も、当時の太陽磁場が非常に強く、宇宙線がほとんど地球に到達せず、雲による寒冷化が起こらなかったと説明される。

現在の太陽活動 は弱まりつつあり、今後、気温は低下傾向に動く。

過去120年の実績では、平均気温と太陽磁場の変動とで相関関係がみられる。二酸化炭素濃度との対応は良くない。

第2章 「地球温暖化」から「エネルギー問題」へ

温暖化対策で原発が復活したが、福島原発事故で原発停止の声が高まる。
原発抜きでエネルギー需要は賄えるか?

今や問題は「地球温暖化」から「エネルギー問題」へ移った。

   1.日本のエネルギー事情
   2.エネルギーをどこから得るか  
   3.エネルギーをどう使うか

炭素資源は数十年で使い尽くされる。代わりうるのは原子力しかないが、暴走の危険と放射性廃棄物問題があり、長期使用は好ましくない。

将来のエネルギーシステムで理想的なのは水素エネルギーシステムとバイオマスエネルギー(藻類に期待)。
究極のエネルギー源は下記の核融合。

第3章 未来のエネルギー源 - 核融合

   1.磁場核融合
   2.慣性核融合

第4章 これからどうするか

 

付録として、地球環境についての基礎知識と、詳細な引用文献がある。

 

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