京大のiPS細胞特許、米で成立

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京都大学は8月11日、山中伸弥教授らが開発した新型万能細胞(iPS細胞)の作製技術に関する特許が米国で成立したと発表した。
 
8月5日付で米特許商標庁から通知を受けた。

特許の権利期間:2006年12月6日から2027年6月25日まで(推定)
通常の権利期間は20年間だが、今回はUSPTOの審査が遅延したため、その日数分(201日となる見込み)が加算される。 

付記

京大は11月24日、iPS細胞に関する特許について、4つの遺伝子を用いてiPS細胞を作製する方法に関する米国特許(出願番号 12/457,356、特許番号8,058,065)が1件成立したと発表した。 2件目の米国特許となる。

特許請求の範囲:
体細胞にOct3/4, Klf4, Sox2及びc-Mycの4遺伝子をレトロウイルスベクターで導入してiPS細胞を作製する方法
(2008年9月に成立した日本特許における審査結果を利用した特許審査ハイウェイを活用)
特許の権利期間: 2006年12月6日から20年間

付記

京都大学は2012年5月、3件目の米国特許を取得した。

今回の特許は
(1)「山中因子」と呼ばれる4種類の遺伝子か、そのうちの3種類を特殊なウイルスを使って皮膚などの細胞に組み込みiPS細胞を作る
(2)そこから別の細胞に変化させる
(3)できた細胞を使用して様々な研究開発をする――という一連の過程が対象。

これまで「別の細胞に変化させる」ところまでは権利が及んでいたが、「できた細胞」を、他の企業や研究機関が譲り受けて使用する場合は規制できなかった。今後は、こうした細胞を企業などが創薬研究に利用したり、販売したりする際、京大の許可が必要になる。特許の有効期限は2026年12月。

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iPS細胞基本特許は、日本では3件成立し、海外では欧州、南アフリカ、ユーラシア(*)、シンガポール(2件)、ニュージーランドおよびイスラエルで成立している。(他に、iPierianから譲渡を受けた英国特許:下記参照)

ユーラシアは旧ソ連諸国で、ユーラシア特許条約を締結、1995年8月12日に発効した。

加盟国はアルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、モルドバ、ロシア連邦、タジキスタン、トルクメニスタンの9か国で、ウクライナ、グルジアは条約に署名したが批准していない。
バルト三国及びウズベキスタンはこの条約に参加していない。

日本では、2008年9月12日に1件、2009年11月20日に2件の合計3件が成立している。
いずれも有効期間は出願日の2006年12月6日から20年間。

欧州では2011年5月30日付けで特許査定が通知され、7月7日付けで特許登録決定が通知された。
今後欧州特許庁において特許登録となり、その後、京大が指定する欧州特許条約加盟国(イギリス、ドイツ、フランス等)に移行し、各国毎の権利として登録される。31カ国で登録できるが、17カ国で手続きを取る意向。
権利期間は出願(2006年12月6日)から20年間。

各特許の権利範囲は以下の通りで、
日本特許は「Oct3/4」や「Klf4」など特定の遺伝子に限定されているが
米国、欧州特許は遺伝子の「ファミリー」という範囲をカバーし、より広い範囲で認められた。
欧州は、遺伝子だけでなく遺伝子産物にも権利が及び、米国よりもさらにより権利範囲が広い。

日本
(先願主義)
4種の遺伝子(Oct3/4、Klf4、c-Myc、及びSox2)でのiPS細胞の製造方法
3種の遺伝子(Oct3/4、Klf4、及びSox2)/ bFGFの存在下で培養するiPS細胞の製造方法
3種の遺伝子(Oct3/4、 Klf4、及びSox2)/ bFGFの存在下で培養 or
4種の遺伝子(Oct3/4、Klf4、c-Myc、及びSox2)でのiPS細胞を製造する工程
このiPS細胞を分化誘導する工程を含む体細胞の製造方法
米国
(先発明主義)
(1)Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子及びMycファミリー遺伝子を含む初期化因子
(2)Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子及びサイトカインを含む初期化因子
欧州
(先願主義)
(1)Octファミリー、Klfファミリー及びMycファミリーを含む初期化因子
(2)Octファミリー、Klfファミリー及びサイトカインを含む初期化因子
(3)前記初期化因子の、体細胞初期化における使用
  (各ファミリーは「遺伝子」でも「遺伝子産物」でも良い)

なお、2010年1月に米ベンチャー企業
iPierian, Incが英国特許の取得を発表した。
Bayerが特許を申請し、権利を譲渡されたもの。

バイエル薬品神戸リサーチセンターの研究チーム(桜田一洋センター長ほか)が山中伸弥京大教授らが2006年8月にマウスiPS細胞の作成を発表した直後から、ヒトでの研究を始め、山中教授らのチームより早く、ヒトの「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作成した。
Bayerは2007年6月15日付けで国内で特許を出願、これに基づき世界各国に出願した。

3因子によるiPS細胞樹立に関する特許内容の違い
  クレーム概要 特長
京大特許 Oct3/4、Sox2、Klf4遺伝子が導入された体細胞をbFGFの存在下で培養するiPS細胞の作製方法 ・体細胞の由来をヒトに限らない。(全ての動物種を含む)
・3因子以外の条件なし
iPierian社特許 ヒト体細胞に、Oct3/4、Sox2、Klf4遺伝子を導入し、C-Myc遺伝子は導入しないで、FGF-2(bFGF)の存在下で培養するヒトiPS細胞の作製方法 ・ヒトの体細胞に限定
・導入因子からC-Myc遺伝子は除く条件あり

京都大学は2011年2月1日、京大のiPS 細胞技術に関する知的財産の管理活用会社 iPSアカデミアジャパンを通じて、米国のiPierian Inc.にiPS細胞関連特許のライセンスを許諾し、iPierian Inc.から同社保有のiPS細胞特許を譲り受けたと発表した。

米国では、米国特許庁がどちらが先に発明したかを選定する審判Interference)の開始を宣言する可能性が高まった。

米国では先願主義でなく、先発明主義のため、係争になると、どちらが先に発明したかの調査などに膨大な時間と多額の費用がかかる。

このため、iPierianは2010年末に、山中所長の発明を尊重し、将来想定される京大との特許係争を回避するため同社保有特許を京大に譲渡したいと申し出た。

京大としても、もしiPierian社の特許が成立すれば、京大の米国でのクレーム内容はかなり限定されたものに留まり、ヒトiPS細胞の樹立技術の応用についてはiPierian社の意向に左右されてしまう可能性もあった。

金銭のやり取りはなく、見返りにiPierianは、全世界で京大有するiPS細胞関連特許に基づき、ヒト用治療薬の研究開発を行うことができる。

京都大学は2009年4月にiPierianの前身のiZumi Bio とiPS細胞の研究で協力することで合意している。

2011/2/3  京都大学、米社からiPS細胞関連特許を譲り受け

 

 

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