住友商事の米国レアアース企業への出資取り止め、日立金属のJVも中止

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住友商事は2010年末、米国のMountain Pass鉱山の再開を準備中のMolycorp, Inc に投融資することを決めた。
Molycorp
Mountain Pass鉱山の生産を年内にも一部再開し、2012年末までには新精製設備を完成させ、約2万トンを生産する計画で、住商からの資金はこのための投資に使用するもの。

構想は以下の通りであった。
2011年
2月に、Molycorpの普通株を100百万ドル購入、別途、30百万ドルを低利で融資し、2017年まで希土類の供給を受ける長期契約を結ぶ。
住友商事は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)
に資金援助を求める。

Molycorp 住友商事に既存の設備から年に2,500トンのセリウムとランタン、250トンの酸化ジジミウム(ネオジムとプラセオジムの混合物)を供給し、新しい最新鋭の精製設備完成後は年3,000トンのセリウムとランタン、250トンの酸化ジジミウムを供給する。  

2010/12/14 豊田通商、インドでレアアース製造工場建設、住商は米マウンテン・パス鉱山に出資 

その後、住友商事は出資を50百万ドルずつ2回に分割するとともに、レアアースの価格の値引きを求めていた。

Molycorpは9月16日、住友商事との間で上記の交渉を打ち切ることで合意したと発表した。

Mountain Pass鉱山の拡張・近代化のための781百万ドルの資金が増資や売上収入で完全に確保でき、住友商事の出資融資が必要ではなくなったとし、当初交渉した時と状況が著しく変わり、両社の株主にとり価値のある取引ではなくなったため、交渉打ち切りを決めたとしている。

製品購入契約も取りやめとなる。値引き交渉で折り合いが付かなかったとみられる。

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Molycorpは6月16日、鉱山の拡張・近代化計画(Project Phoenix)のための 781百万ドルの最後の資金を確保したと発表した。
2016年満期の230百万ドルの転換社債(利率3.25%)の発行が完了した。

同社は11500千株(586.5百万ドル)の増資も行っている。

これにより、レアアースメタルやネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB)合金、サマリウム‐コバルト合金など下流製品の生産も可能となり、'Mine-to-Magnets' 計画達成に近づく。

同社では来年の第一期完成時にはMountain Pass設備は世界初の統合レアアースサプライチェーンとなり、輸送、ハイテク、クリーンエネルギー、防衛、その他産業に広く使用されるレアアース酸化物、メタル、アロイ、ネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB) 永久磁石などを供給するとしている。

来年初めには10種の高純度レアアース酸化物(軽希土類と重希土類)と下流製品の生産量を著しく増やすとしている。

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Molycorpは本年4月、エストニアのレアアース加工会社 Silmet の経営権を約89百万ドルで取得した。

Silmet は欧州で2つあるレアアース加工施設の1つで、レアアースを年最大で3000トン、レアメタルを同700トン加工している。
Molycorpはこれにより、欧州への足がかりを得るとともに、生産能力が倍増する。

Molycorpはまた、本年4月に、日本の希土類合金大手、三徳の米国アリゾナ州の子会社Santoku America, Incを現金1750万ドルで買収したと発表した。

Santoku Americaは、高純度レアアース金属・合金を生産しており、買収によりMol.ycorpは原料鉱石から希土類合金まで一貫生産できる体制を整えた。

三徳がレア・アース分野に乗り出したのは世界の先進国がほぼ時を同じくして新材料の可能性を求め、動きはじめた1948年で、三徳は、原料から高純度化合物、各種合金まで一貫生産するレア・アース総合メーカーとして世界をリードする存在に成長した。

世界で初めてレア・アースの溶融塩電解並びにレア・アース急冷合金の量産化に成功したことを始めとし、独自に製造プロセスのノウハウを積み重ねる事で、特に合金組織制御技術を磨いてきた。

製造品目は、ネオジム磁石合金、サマリウム磁石合金、水素吸蔵合金、負極コイル、マグネシウム・リチウム合金、その他。

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Molycorpは8月12日、日立金属との間でレアアース磁石材料(ジジミウムメタルとアロイ、ランタン酸化物を含む)の長期供給契約を締結したと発表した。
既存の契約を延長・拡大する3カ年契約で、生産量の拡大に合わせ、供給量を大幅に増やす。

しかし、これとは別に、両社は2010年に覚書を締結したネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB)合金や永久磁石を製造するJVの設立交渉を打ち切ることで合意した。

日立金属は2010年12月、Molycorpとの間で、ネオジム磁石用合金とネオジム磁石を生産する2つの合弁会社の設立に向けて検討を開始することに合意したと発表した。
この合弁会社の設立により、日立金属とMolycorpは、米国内における鉱山からマグネットまでのサプライチェーン(
"Mine-to-Magnets" を構築し、HEV・EV、風力発電、産業用モーター向け磁石の拡大する需要に着実に対応することを目指す。
2010年12月に合弁会社設立に向けたフィージビリティスタディーを開始、2011年第1四半期に合弁会社の設立を合意する予定。

両社はJVの価値に関係する重要な事項について合意に達しなかったとしている。

Molycorp は日立金属以外の企業とJVの協議を行っていることを明らかにしている。

付記

日立金属は12月21日、米国のフェライト磁石生産拠点であるHitachi Metals North Carolinaに、ハイブリッド自動車、電気自動車向けネオジム磁石の工場を単独で新設すると発表した。2013年4月の量産開始を目指す。

 

 

 

 

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