中国政府、環境汚染対策を本格化

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中国で工場の環境汚染問題が多発している。

江西省萍郷市蓮花県にある アロイ等を生産する隆森實業公司で8月16日、鉛やクロムなどの有害物質を排出しているとして操業停止を求めた住民数千人が出入り口をふさいで抗議し、警官隊との衝突で20人以上が負傷した。

雲南省曲靖市陸良県では化学会社 陸良化工実業公司が4月から6月までの間、重金属であるクロムを含む汚泥を曲靖市内3カ所で、計5000トンを不法投棄したことが明らかになった。

2011/8/22 中国で工場の環境汚染相次ぐ

 

雲南省曲靖市の不法投棄事件を受け、中国の環境保護部は9月1日、曲靖市がクロムのスラグを処分し、汚染された土壌を浄化するまで、曲靖市の全ての新産業計画の審査を中止すると発表した。

Greenpeace の調査では、問題の陸良化工には14万トン以上のクロムのスラグが放置されている。工場周辺の地下水は高濃度の発がん性の六価クロムで汚染されており、周辺の住民に平均より高い確率で癌が発生している。

中国では新規プロジェクトは環境審査を受ける必要があり、曲靖市は上記事件の咎めを受け、経済発展にブレーキがかけられることとなる。

環境保護部はまた、年末までに危険廃棄物の不法投棄や貯蔵をターゲットにした全国的なキャンペーンを実施する準備をしている。
クロムや多結晶シリコンの製造や、下水汚泥や電子機器廃棄物の処分に従事する企業は厳重にチェックする。

 

環境保護部では曲靖市の不法投棄事件は一企業の問題ではなく、国全体の危険廃棄物の扱いの状況を反映したものとみている。
「大量の危険な産業廃棄物が土壌や水を汚染し、国民の健康への脅威となっている」としている。

2007年の最新の調査では、中国全体で4,574万トンの危険な廃棄物が排出されたが、12次5カ年計画(2011-15)期間中に年率5~7%で増えると見込まれている。
しかし、適切に処理されているのは約800万トンで、全体の20%以下である。
環境保護部では処理設備の不足、処理費用の高さ、環境当局の規制の緩みを理由として挙げている。

環境保護部は、クロム工場が貯蔵しているスラグ全てを適切に処理する期限を2012年末までと決めた。これまでに処理できない企業は生産停止を命じられる。

 

Greenpeace では環境保護部の対応を歓迎しつつ、保護部が関連情報を開示し、住民が監視に参加するのが重要であるとしている。

 

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別件だが、渤海湾の原油流出事故で、ConocoPhillipsは期限として決められた8月31日に、原油流出が止まったと発表した。

しかし、国家海洋局は流出が完全に止まっていないと判断し、9月2日に蓬莱19-3の生産停止を命じ、ConocoPhillipsはこの命令に従った。

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