DIC、PPS事業を増強

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DICは合計約100億円を投じ、グローバルベースでのPPS(ポリフェニレン・サルファイド)増産一大プロジェクトを遂行している。

DICは9月26日、100%子会社のDIC EPの鹿島工場に約80億円を投じてPPS樹脂の新プラントを建設することを決定したと発表した。
2013年5月に完工予定の年産5,500トン強の新設で、PPS樹脂の生産能力は世界トップクラスの年産19,000トン強となる。

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DICは10月7日、オーストリアのウィーンにPPSコンパウンドの新プラント建設(総投資額1400万ユーロ)を決定したと発表した。
これに先立ち9月30日にSolvayからPPSコンパウンド事業を譲受することで合意した。

新プラントは、2012年末に完工予定で、稼動開始時点での能力は6000トンの予定だが、将来的には年産1万トンまでの生産ラインの拡張が可能

欧州におけるPPSコンパウンドの需要は年間約1万5千トンと、日本の同3万トンに次ぐ規模があり、今後も年間 6~8%の成長が予想される。同社では数年後に、欧州におけるPPSコンパウンドのシェア20%以上を目指す。

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同社は2011年7月に、約5億円を投じてマレーシアのDIC Compounds(Malaysia)のPPSコンパウンドの生産能力を、年産1,500トンから4,500トンへ増強した。

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PPSは、ほとんどがガラス繊維や無機質フィラーを充填して強度を引き上げたPPS コンパウンド(主に成形材料用途)として出荷されている。
PPSコンパウンドの世界需要は73,000トン程度(2010年度)と推定されているが、DICでは、PPS樹脂からPPSコンパウンドまで一貫生産しており、世界トップシェアの地位を確立している。

PPSコンパウンドは、耐熱性や強度、寸法安定性ならびに耐薬品性に優れることから、自動車、電子・電気ならびに住設機器が主な用途であり、その需要は拡大している。

主要用途である自動車については、ハイブリッドカーや電気自動車のエンジンのダウンサイジングによる要求特性の高度化により、従来車と比較して一台あたりの使用量は飛躍的に増加している。
(PPS使用量 ガソリン車:0.7Kg/台→HV車:2.5Kg/台)

住設機器用途においては、従来のガス給湯器部品の金属からの代替用途に加えて、その優れた耐熱性・耐水性を生かして、ヒートポンプ式給湯機器のジョイントやバルブ、ポンプ等の部品への採用が進んでいる。

DICはエンプラ分野でPPS事業へ経営資源の集中を図ることを決め、2010年3月にPBT事業を東洋紡に譲渡した。
(DICと東洋紡の両社がエンプラ分野の事業に関して事業展開の方向性が合致したもので、東洋紡はPBT事業のさらなる拡大を目指す。)

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DIC(当時は大日本インキ化学)は当初、Phillips Petroleum からベース樹脂を輸入し、ガラス繊維補強材や充填剤を混練し成形用コンパウンドとして市場開発を進めた。

1984年11月のPhillips Petroleumの基本特許の失効後、大日本インキ(鹿島工場:年産3500トン)を含む数社が相次いでPPS国産化プラントを稼働させた。

一方、東都化成が独自技術で開発を行い、トープレン(東都化成55%、東燃化学45%)を設立して千葉で生産を開始した。(年産3,500トン)
その後、トープ
レンは東都化成10%、東燃化学90%となったが、2001年2月にDICが譲り受けた。

DICは2001年4月に、トープレンをディーアイシー・イーピー(DIC EP)に変更するとともに、自社の鹿島工場のPPSプラントを同社に移管、統合した。

その後、両プラントを順次増強し、今回の鹿島の増強で、合計能力を19,000トン強とする。

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日本のPPSの状況は以下の通り。

  立地 現状 増設  
DIC EP 鹿島工場 13,500トン +5,500トン
(2013/5 完工予定)
 
千葉工場
東レ 東海工場 14,000トン +5,000トン
(2013/1 稼働予定)
 
クレハ 錦工場 10,000トン   コンパウンドはポリプラスチックが担当
Wilmington, N.C 15,000トン   Fortron Industries LLC
(JV of Ticona and Kureha )
東ソー 四日市工場    2,500トン
 (cpd    4,200トン) 
+200トン
(+400トン)
当初 東ソー・サスティール
  (東ソー70%、保土ヶ谷化学30%)
1992/6 東ソー100%、1996吸収合併
出光興産 千葉工場 10,000トン(?)    

 

なお、PPSは1967年にPhillips PetroleumのEdmondsとHillが、パラジクロルベンゼンと硫化ソーダから合成する方法を発明、1972年Phillips Petroleumにより最初に工業化された。

Phillips(現 Chevron Phillips Chemical)はBorger, Texasの能力を倍増し、20,000トンとしている。

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