丸紅と三菱商事、石炭事業を拡大

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丸紅と三菱商事は11月1日、石炭事業についての発表を行った。

1.丸紅、カナダの炭鉱運営会社を中国企業と共同で買収

丸紅は、中国のWinsway Coking Coal Holdings (永暉焦煤股份有限公司と共同で、カナダの炭鉱運営会社Grande Cache Coal Corporationの全株式を買収することでGrande Cacheの取締役会と合意したと発表した。

丸紅が40%、Winsway社が60%出資の合弁会社を設立し、カナダ法のPlan of Arrangementにより、現金総額約983百万カナダドル(約765億円)で友好的買収を行う。

 Plan of Arrangement:
被買収企業の取締役会決議、株主承認決議及び裁判所の承認、その他の条件を満たすことにより成立

Grande Cacheが運営するアルバータ州のGrande Cache炭鉱は、製鉄コークス原料用の強粘結炭の数少ないカナダ供給炭鉱として、1969年以来、操業を続けてきた。
現在年産2百万トンで、今後は3億トンを超える豊富な埋蔵量に下支えられた拡張を計画している。


丸紅は同炭鉱の石炭取引に関し、40年以上日本の鉄鋼メーカーのエージェントであると共に、2004年以降は対日独占販売権を獲得している。

新興国の粗鋼生産増加に伴い、強粘結炭は恒常的な供給不足にあり、同炭種の需要は今後一層強まることが予想される。同社では、本買収は日本への安定供給に貢献すると共に、同社の将来的なカナダにおける炭鉱事業拡大の基盤を築くことにもなるとしている。

Winsway Coking Coalはモンゴル等の原料炭の中国市場への輸送・販売を業とする企業。
モンゴル内陸部を含む陸路及び鉄道による輸送網から構成されるプラットフォームをベースとする。

同社では今回の買収の意義を以下の通り述べている。
・炭鉱の
豊富な埋蔵量
・採炭への最初の垂直統合
・今後のワールドクラス石炭企業へのプラットフォームになる。
・地政学的リスクの多様化
・1960年代からカナダの石炭事業に経験のある丸紅との提携

ーーー

2.三菱商事、豪州クイーンズランド州BMA原料炭事業の大規模拡張意思決定

三菱商事は、100%出資子会社のMitsubishi Development(MDP)とBHP Billitonの折半出資の豪州クイーンズランド州 BMA原料炭事業の大規模拡張に関する投資意思決定を行ったと発表した。

BMA(BHP Billiton Mitsubishi Alliance)は豪州最大の石炭生産企業で、原料炭の海上輸送シェアは世界一、世界の原料炭海上貿易量の約3割を占める

2001年にMDPがBHP Billitonから権益を取得することにより発足した。

MDPは1968年に、オーストラリア北東部のクイーンズランド州においてアメリカ企業とパートナーシップを組み、原料炭の炭鉱開発を行う目的で設立された。

三菱商事は原料炭需要が将来にわたって継続的に増加するとの判断の下、原料炭の安定供給を確実なものとするため、2001年に従来のマイノリティーとしての権益比率を50%まで引き上げ、世界最大手の資源会社BHP Billitonと対等の立場で石炭合弁事業BMAを立ち上げた。

豪州・クイーンズランド州の大規模石炭埋蔵地域のBowen Basinで21億トンにも上る埋蔵量を保有し、7つの炭鉱で高品位の原料炭を中心に年間約5,000万トンを現在生産している。生産された石炭を出荷するための港湾施設Hay Pointの操業も行う。

製品の大半をHay Point港湾施設より出荷、一部をその近隣のDalrymple Bay港湾施設や南部のGladstoneより出荷している。

 

今回の投資はCaval Ridge炭鉱の新規開発とPeak Downs炭鉱の拡張で、投資のMDP社負担分は約21億豪ドル(約1,700億円)となる。

Caval Ridge炭鉱: 年間550万トンの生産を計画
Peak Downs炭鉱:現行能力から年間250万トンの増産を計画

2014年から約60 年間に亘り、合わせて年間800万トンの輸出用高品位原料炭を増産する。

本年3月にもBMA生産能力拡張に関するMDP社負担分約31億豪ドル(約2,530億円)の投資意思決定を行っている。

Daunia炭鉱の新規開発:2013年より年間450万トンの原料炭を生産
Hay  Point港の第三次拡張(2014年に出荷能力を年間5,500万トンに拡張予定)

 

三菱商事はBMAとは別に、Rio Tinto及びJ-POWER(電源開発グループ)、JCD(石炭資源開発)と共同で、同地区でClermont一般炭炭鉱の開発を行っている。

同炭鉱に隣接するBlair Athol 炭鉱 は1984年から出炭を開始し、以来、年間1,000万トンから1,200万トンを生産し、日本向け電力用海外炭の安定供給に寄与してきた。
このBlair Athol 炭鉱が2010年代に生産終了するのに合わせ、Clermontを開発し、Blair Atholの貨車積み設備、鉄道、港湾等のインフラを利用することとした。

Clermont炭鉱は2006年に開発が決定され、2010年5月には第1船を日本向けに出荷、2010年の生産量は491万トンとなった。
今後、年間1,200万トン規模まで生産を伸ばす。

権益比率は以下の通り。
 MDP :31.4%(当初は34.9%)
 Queensland Coal (Rio Tintoグループ) :50.1%
 J-POWER オーストラリア(電源開発グループ):15.0%
  JCD オーストラリア(石炭資源開発): 3.5%(MDPから譲り受け)

 

 

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