上海市当局、日本のラーメン会社に罰金

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上海市工商行政管理局は11月16日、日本から進出している味千ラーメンがカルシウム含有量について虚偽の広告を行っていたとして不当競争防止法に基づき、20万元(約240万円)の罰金支払いを命じた。

熊本市に本店を置く重光産業が経営する味千ラーメンは、台湾出身の創業者が久留米を発祥とする豚骨ラーメンにニンニクの風味を加えたもので、日本国内で約100店(約7割が熊本県内)、海外では中国や東南アジアを中心に約400店舗を営業している。

本年
夏に味千ラーメンは2つの点で中国メディアの大バッシングを受けた。

あるメディアが、「味千ラーメン」がPRしている煮込み豚骨スープは店舗で煮込んだものではなく、濃縮スープを希釈している」と報じた。1食分のコストはわずか数毛(1毛は1元の10分の1、約1.2円)であるとの報道もある。

味千(中国)公司によると、店舗で使われる豚骨スープの原液は、山東省泰安市にある日本の独資企業「泰安京日丸善食品工業有限公司」で生産され、西蓋米食品(上海)有限公司で日本独特の処理を経て味が調えられた後に、高温殺菌処理等を施して「味千千味スープ」として配送され、各店舗へ希釈して使用している。

これらの工程において国が定める関係法規の条件を全て満たしており、各工場も関係部門の発行する生産許可証をそろえている。

チェーン店では一般的なやり方であり、同社でも、各店舗で豚骨スープを煮込んでいるとはPRしていない。

問題は含有カルシウムの量である。

同店の公式サイトの「スープに含まれる栄養素」には、「中国農業大学食品科学・栄養工程学院の栄養・分析研究室」の分析結果を紹介し、以下の通り述べていた。

「コクと風味の高い同店ならではの豚骨ラーメン1杯(360 ミリリットル)当たりに含まれている栄養素のうち、最も突出しているのはカルシウムで1600ミリグラム。これは肉類の10倍以上、牛乳の4倍に値する」

味千ラーメンを展開する重光産業が提示した中国農業大学の「食品成分検査報告書」には、「豚骨ラーメンに含まれているカルシウムは100グラム当たり485ミリグラムで、牛乳の4倍、普通の肉類の10倍以上」となっている。

ただし、この検査に使われたサンプルは「濃縮スープ」となっており、店で実際に提供している希釈スープではない。
通常1リットルの濃縮スープでラーメン100杯分のスープが作れるという。

味千側は1杯に1600ミリグラムといった説明が誇大だったことを認め、メニューやウェブサイトでの宣伝を撤回して消費者に謝罪した。中国農業大学にも謝罪した。

上海市工商局は、味千ラーメンに対し、この点が「誤解を与える虚偽の宣伝」だったとして、罰金20万元を支払うよう通達した。

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なお、7月26日付の人民網日本語版は、「味千ラーメン 大陸部でのみ品質問題が発生したのはなぜ?」との記事で、以下の通り述べている。

同じ味千ラーメンでも、日本やシンガポールなどではこのような問題は発生していない。

これは大陸部における「特殊」な食品業経営状況又はビジネス環境と無関係ではないだろう。

まず第一に、誠実と信用を守るという意識に欠け、倫理・道徳観念が低く、金銭的利益の追求が良心・人品の追求に勝り、誇大宣伝が横行している。国外ブランドを笠に着て中国製の家具をイタリア製として売り出したダビンチ家具や各種の食品品質問題などがいい例だ。

次に、監督管理メカニズムが弱く、処罰・損害賠償制度はお世辞にも整っているとは言えない。消費者権利の保護の道は暗く、違約などの代償が小さ過ぎる。高額の賠償なしに、マクドナルドが自主的にコーヒーの温度を下げるとは思えない(*1)。
中国大陸部でのみ味千ラーメンの「体質が変わった」のはある意味、「南橘北枳*2」ということではないだろうか。

*1 1992年にニューメキシコ州のマクドナルドでコーヒーをこぼして火傷をした事件。
  64万ドルの損害賠償の判決が出た(最終的に和解で解決)。 
  これ以降、VERY HOT! の表示をしている。

*2 南橘北枳
  中国江南で産する橘はたいへんな美味であるが、淮水以北に植えると橘は枳(からたち)となり、
  味が全く異なってしまう。環境が変われば性質も変わってしまう、という意。

  出典
『晏子春秋』雑下

 

 

 

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