イタリア唯一の塩ビ会社Vinyls Italiaの存続決定

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Ineos Vinyls Italiaは、Ineosが元のオーナーで原料を供給しているEniとの争いで撤退を決め、Safi Spa に売却されてVinyls Italiaとなったが、Eniへのエチレン、塩素代の未払債務問題がこじれ、政府指名の委員の管理下"Controlled Administration")に入った。

2009/2/20 Ineos のイタリアのVCM/PVC事業、破産の危機を脱する  
2009/8/1  Vinyls Italia準破産処理

同社はPorto MargheraRavennaPorto Torres の3か所VCMとPVCの工場(Porto Torresはe-PVC)を持っている。
イタリア唯一のPVCメーカーで、イタリア政府はこの存続に注力してきた。

2年間の"Controlled Administration"の後、本年9月にイタリアの合成樹脂商社のIndustrie Generali spa (IGS) がRavenna 工場買収を決め、その後、Eniも同社に原料を供給することで合意した。

IGSでは年末にもPVCの生産を再開するとしており、初年度は年産140千トンとするが、将来は200千トンに増設する考え。

IGSはArkema、BASF、Carmel Olefins(イスラエル)、Hellenic Petroleum(ギリシャ)などのPE、PP、安定剤、BOPPフィルムなどを扱う商社で、イタリアに20千トンのPVCコンパウンド工場を持つ。
PVCコンパウンドの原料に遡及することとなる。

なお、他の2工場については、以下の通り、非塩ビ事業に転換される。

工場 従来製品 引き受け手 今後の製品
Ravenna VCM, s-PVC Industrie Generali PVC 140,000t→200,000t
Porto Torres VCM, e-PVC Polimeri(Eni)/Novamont Bio-based chemical complex
Porto Marghera VCM, s-PVC Oleificio Medio Piave 小麦粉、植物油

 

1)Porto Torres 

Polimeri Italia (Eni の子会社)とバイオプラスチックのメーカーのNovamontが50/50JVのMatrìcaを設立し、5億ユーロを投じてバイオベースのケミカルコンプレックスを建設する。

Porto TorresにあるVinyls Italiaのプラントを含むEniの全ての石油化学コンプレックスが(NBRを残して)すべて撤去され、植物油を原料とするバイオプラスチック、バイオ潤滑油、エラストマー用のバイオ添加剤などのバイオケミカルコンプレックス(合計能力年産350千トン)が建設される。

Eniは別途、250百万ユーロでバイオマス発電所を建設し、コンプレックスに電力を供給する。

計画では3期に分けて7工場が建設される。
 ・第一期 バイオモノマー、バイオ潤滑油
 ・第二期 合成ゴム用
のバイオ伸展油、バイオフィラー
 ・第三期 第一期プラントの増設、バイオプラスチック

2)Porto Marghera

土地の持ち主のSyndial(Eni子会社)の承認待ちだが、これまでの石油化学とは全く離れ、Oleificio Medio Piaveが小麦粉や植物油の生産を計画している。

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