自動車向け炭素繊維複合材料の開発が進展

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帝人は12月9日、GMとの間で今後GMが世界で市場展開する量産車に向けて共同で熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRP)の製品開発を行う契約を締結したと発表した。

東レはドイツのダイムラーと生産JVを設立することで合意しており、三菱レイヨンもドイツのBMWの電気自動車用にプレカーサーを供給している。
今回の帝人の提携で、炭素繊維の世界シェアの約7割を握る3社が欧米の大手自動車メーカーと組むことになる。

炭素繊維は、通常の鉄に比べて10倍の強度と4分の1の軽さを有することから、熱可塑性CFRPが車両の部品に使用されることで、劇的な車両の軽量化が期待できる。

炭素繊維と、3社の炭素繊維事業の状況については、2006/9/9 炭素繊維 参照。

1)帝人

帝人は11月30日、熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料(CFRP)によるコンポジット製品の事業化を加速するため、松山事業所内にパイロットプラントを設置すると発表した。
世界初となる「炭素繊維からコンポジット製品の成形加工までを1分以内で連続一貫生産するパイロットプラント」としている。

設備投資額は20数億円で、速やかに着工し、2012年年央の稼働開始を予定する。

同社は世界に先駆けて、既に熱可塑性CFRPによるコンポジット製品を1分以内で成形する量産技術を確立しており、コンポジット製品の量産成形技術に加え、独自のCFRP接合技術を用いることで、極限まで車体骨格を軽量化したオール熱可塑性CFRPのコンセプトカーを製作している。

自動車業界での理想的なタクトタイム(工程作業時間)は1分前後と言われている。

同社は本年3月に、複合材料開発センターと、100%子会社で炭素繊維・複合材料事業の中核会社の東邦テナックスとの連携により、熱可塑性CFRPを1分以内で成形する画期的な量産技術を世界に先駆けて確立した。

従来は5~10分程度かかっており、生産性の面から量産車向けの部品として使用するには課題があった。

今回のGMとの共同開発契約締結に伴い、帝人はこのコンポジット製品を量産する技術を活用することにより、今後GMが世界で市場展開する乗用車、トラック、クロスオーバーなどの量産車に向けて共同で熱可塑性CFRPの製品開発を行う。

帝人は共同開発の場として、複合材料の用途開発機能とマーケティング機能を集約した「Teijin Composites Application Center」を来年早々に米国北東部に設置、GMの研究員を受け入れる。

共同開発により、GMは、主力車種に熱可塑性CFRPによるコンポジット製品を導入するポテンシャルを持つことになる。
一方、帝人は、一部の高級車などに限られてきたCFRPの用途を量産車へと拡大する。

帝人はGMを選んだ理由として、高級車ではなく、量産車に炭素繊維を搭載するという目標が一致したためとしている。
2020年頃には年100万台の自動車に搭載し、1500億~2000億円の売上高を目指す。

なおGMとLGは8月25日、LGによるバッテリー供給での協力関係を拡大し、電気自動車を共同で開発すると発表している。
  
2011/8/29 韓国LG、GMと電気自動車の共同開発へ 

帝人の炭素繊維・複合材料事業については http://www.teijin.co.jp/about/fields/carbon/index.html

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東レ

東レは2008年に名古屋事業場にオートモーティブセンター(AMC)を開所し、炭素繊維、熱可塑性樹脂、製造プロセス、評価・分析技術等を融合した、自動車向けの最適材料の開発を続けている。

東レは9月9日、次世代型の電気自動車(EV)「TEEWAVE AR1」を試作したと発表した。
車体基本構造には熱硬化炭素繊維複合材料(CFRP)製のRTM一体成型モノコックとCFRP製衝撃吸収体を採用、車体重量は846kgと、鋼板主体の従来型のEVに比べて4割以上軽量化し、同時に高い車体剛性と衝突安全性を実現した。

2011/9/14 東レ、次世代型電気自動車を試作

同社は2011年1月、ダイムラーAGとの間で、東レが開発した炭素繊維複合材料 (CFRP)の革新的成形技術である「ハイサイクルRTM成形技術」を活用してCFRP製自動車部品を製造・販売する合弁会社(東レ 50.1%、ダイムラー 44.9%、その他 5.0%)を設立する契約を締結した。

また同社は2011年6月、オランダのTenCate Advanced Compositesとの間で、航空機用途向け熱可塑性樹脂複合材料用の炭素繊維の長期供給基本契約を締結したが、合わせて、自動車に使用される熱可塑性複合材料における市場開拓および製品の共同開発を検討していくことにも合意した。

東レの炭素繊維複合材料事業については http://www.toray.co.jp/ir/pdf/lib/lib_a144.pdf

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三菱レイヨン

三菱レイヨンはドイツの炭素繊維メーカーのSGL TechnologiesとJVを設立し、BMW向けの炭素繊維のプレカーサー(ポリアクリルニトリル繊維)の供給を行っている。

The Carbon Companyとの愛称を持つSGL TechnologiesとBMWは2010年1月、炭素繊維複合材料の展開のため合弁会社SGL Automotive Carbon Fibersを設立した
BMWが2015年までに発売を予定している電気自動車 "Megacity Vehicle"の基幹部品用炭素繊維を製造する。

三菱レイヨンは2010年4月、SGL Automotive Carbon Fibersに炭素繊維のプレカーサーを供給するため、SGL Technologiesとの間で合弁会社MRC-SGLプレカーサー」を設立した。

出資比率は三菱レイヨンが66.66%、SGLが33.34%で、製造拠点は 三菱レイヨンの大竹事業所内とする。
2011年4月に量産を開始した。商業生産開始はで、生産能力は、当初3年間に7千トン/年規模まで高める。

モノの流れは以下の通り。

MRC-SGLプレカーサー 大竹 プレカーサー
SGL Automotive Carbon Fibers  米ワシントン州 焼成→ラージトウ炭素繊維
  同上(中間材工場) 独 バイエルン州 →各種織物
BMW部品工場   成形加工→炭素繊維複合材料
BMW   次世代環境対応車"Megacity Vehicle"


三菱レイヨンの炭素繊維・複合材料については http://www.mrc.co.jp/pyrofil/   

 

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