三菱化学の石油化学事業の再編状況

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三菱化学は12月8日、事業説明会を行い、①経営の課題、②新中期経営計画「APTSIS 15」初年度進捗概況、③APTSIS 目標、④APTSIS 事業トピックスの説明を行った。
(APTISについては http://www.mitsubishichem-hd.co.jp/group/motto.html 参照)

その中で、石油化学については、 2015年の国内エチレン生産は500万トンまで縮小、その後も更なる縮小を懸念しており、対策を前倒しで実施するとしている。

同社の石油化学事業の再編の状況は以下の通り。

水島コンビナート:
     旭化成との一体運営とダウンサイジングによるフレキシビリティの拡大

鹿島コンビナート:
     構造改革と地域連携による競争力強化

エチレン系:EO強化(EOセンター)、PE強化(高機能化)
プロピレン系:PP強化(S&B 下記参照)
アロマ系:ベンゼン一部停止

 電解・塩ビ再編(協議中)
北共同発電設備最適化検討、石油精製との連携模索

事業再編

1)SMチェーン

ポスト産構法時代には三菱油化がSMの手直し増設で鹿島で205千トン、四日市で271千トンの能力をもち、輸出価格の高騰で莫大な利益を上げた。
(2年間で500億円の利益といわれた。これを利用して時価発行増資を行い、エチレンを増設したのが、結果として同社の足を引っ張った。)

1994年に三菱化学はシェルのシンガポールPO/SM計画に参加した。

社名:Seraya Chemicals Singapore
・出資&引取比率:シェル 70
%/三菱化学 30%
・立地:Seraya島
・能力:SM 290千トン 、PO 129千トン

その後、シェルは第二期計画ではBASFと50/50JVのELLBA Easternを設立し 、SM 550千トン、PO 250千トンを建設したが、三菱化学はこれを機会にSeraya Chemicalsの出資とPO引取権をシェルに譲渡、代わりに2期分を含めたSM 38万トンの引取権を確保した。

その後の状況の変化で、SMと誘導品のPSの赤字が増大、最終的にSMチェーン全体を停止した。

 SM 

2006年5月、油化セラヤのシェルからのSM引取権を解消する方針を固めたことを明らかにした。
2008年度に油化セラヤ解散。

2009年5月、スチレンモノマー事業からの撤退を決定したと発表した。
鹿島のSM 371千トンを2011年3月に停止。
(四日市のSM 180千トンはエチレン停止時に停止済)

 PS

三菱化学は1998年10月に旭化成との50/50JVのA&Mスチレンを設立し、両社のPS事業を統合した。
両社と出光石油化学は2002年7月、
A&Mスチレンと出光のPS事業を再編・統合、合弁会社を設立することで合意し、2003年4月、PSジャパンが営業開始した。

三菱化学は2009年10月、PSジャパンから撤退した。

  統合前 処理 統合後 出資比率 新出資
比率 
A&M
スチレン
旭化成・水島   108     108   45.0%  62.07%
旭化成・千葉   207     207
三菱化学・四日市    85      85   27.5%
合計   400     400    
出光石化・市原   130  -85    45   27.5% 37.93%
合計   530  -85   445   100.0% 100.0%

 ABS

三菱化学は1996年7月1日、JSR 60%、三菱化学 40%出資の合弁会社としてテクノポリマーを設立した。
JSRの四日市にABS 20万トン、三菱化学の四日市にABS 9万トン、AS樹脂 約3万トンの能力を持つ。

三菱化学とJSRは2008年11月25日、合弁事業に関する業務提携を解消し、2009年3月31日付けで三菱化学が保有する全株式をJSRが取得し、同社をJSRの全額出資子会社とすることで基本合意したと発表した。

2)塩ビチェーン

三菱化学と東亜合成は塩ビ事業を統合、2000年4月1日にヴイテックが営業開始した。
当初は三菱化学 60%、東亞合成 40%であったが、2005年3月、損益の悪化を受け、三菱 85.1%、東亜 14.9%に変更した。

2008年5月に水島のPVCを停止、輸出を止め、四日市、川崎2工場生産による国内販売に集中した体制に移行。
2010年9月に四日市のペースト塩ビ 20千トンを停止した。

  立地 能力(千トン)
当初 2007/12 2008/5 2010/9
電解 水島 ソーダ
 135
180 180 180
VCM 水島 300 400 400 400
PVC 水島 100 110 0
四日市 110 100 100 80
川崎 180 95 120 120
合計 390 305 220 200

 

三菱化学は2009年5月、ヴイテックが全製造設備を2011年3月末までには停止することを決定したと発表した。

ただし、東亞合成の川崎の設備は、東亞合成がヴイテックから引取り、カネカから年間70~100千トンの製造受託を行う。

ヴイテックは2011年9月末に解散した。

3)ナイロンチェーン

三菱化学は2005年3月末にカプロラクタムの外販事業国内販売・輸出から撤退し1系列50千トンを同年9月末で製造停止したなおシクロヘキサノンについては、カプロラクタム1系列停止後も生産量を維持し、国内及び中国を含むアジアマーケットへ拡販を目指した。

2009年5月、同社はカプロラクタム事業からの撤退を発表した。

工場 製品 能力  
水島 シクロヘキサン
  ↓
110千トン 2010年3月停止
黒崎 シクロヘキサノン
  ↓     
120千トン 2010年3月停止
カプロラクタム 
  ↓
60千トン 2010年3月停止
ナイロン
  
30千トン DSMへの譲渡

 

三菱化学は2010年2月、Royal DSMとの間で事業の交換(ポリカーボネート事業の買収及びナイロン事業の売却)で合意したと発表した。

4)界面活性剤

三菱化学は2008年12月に中期経営計画の見直しを発表した。

石化事業全般として、C3/C4誘導品は戦えるが、C2誘導品は厳しいとの見方を示し、アルファオレフィン(及び高級アルコール)とエトキシレートは2009年に停止するとした。

三菱化学は、2010年末に四日市事業所のグリコールエーテル設備を停止し、事業から撤退した。
これまで原料のEOを鹿島から輸送していたが、安全上の問題などから輸送を停止するため。

5)テレフタル酸

三菱化学は2009年2月、テレフタル酸事業の事業構造改革を発表した。
国内生産から撤退、本社機能を海外に移す。

 

6)PP

三菱化学と東燃化学はポリオレフィン事業を統合し、1996年9月から日本ポリケムとして事業を行った。
2003年10月、日本ポリケムとチッソの合弁会社・日本ポリプロが発足した。

日本ポリプロでは2008年に鹿島にチッソ気相法による300千トンの最新鋭プラントを建設し、同能力の老朽スラリープラントを停止した。

  2008/1   2010/12 2011 2011/12  
三菱化学・鹿島 346 +300 646 -90 556 2008  
 300千トン新設
2011/5 
 90千トン停止
東燃化学・川崎 227 -138 89   89 2009/3
 2系列 138千トン停止
三菱化学・四日市     2002/12
 37千トン停止(エチレン停止で)
三菱化学・水島 100   100   100  
チッソ・千葉 329   329 -79 250 2011/6
 79千トン停止
チッソ・四日市 80   80   80  
合計 1,082 +300
-138
1,244 -169 1,075 (+300-307)

参考 PE

PEについては、鹿島コンビナートの項で、PE強化(高機能化)を挙げているが、能力について老朽・少量設備の廃棄の動きはない。

三菱化学と東燃化学はポリオレフィン(PE+PP)事業を統合し、1996年9月から日本ポリケムが営業開始した。
別途、昭和電工と日本石油化学はPE事業を統合し、1995年10月から日本ポリオレフィンが営業開始している。

20016月、日本ポリケムと日本ポリオレフィンはポリエチレン事業について両社の事業を統合することにつき検討を開始することで合意したと発表した。

しかし公取委は、東燃化学がダウとの合弁会社の日本ユニカーの株主でもあることから難色を示したため、三菱化学が日本ポリケムの東燃持分を(東燃のPEプラント込みで)買取り、2003年9月に日本ポリエチレンが営業開始した。
    2006/10/2 日本のポリオレフィン業界の変遷-3 

現在の能力は以下の通り。(単位:千トン)

    LDPE LLDPE HDPE 合計  

日本ポリケム
三菱・鹿島 62 261 10 333  
三菱・四日市 - - - - LDPE (75)
 2004/9/末で停止
三菱・水島 66 53 94 213  
東燃・川崎     50 50  

日本ポリオレフィン
昭電・大分 123   200 323  
日本石油・川崎 94 50 121 265  
    +2     +2 工場不明
合計   347 364 475 1,186  

 

 

 

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