米科学誌Science、2011年の科学十大成果を発表

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米科学誌Scienceは12月23日号で、2011年のBreakthrough of the Year を発表した。

付記 Nature News Blogに各成果の簡単な解説と、詳細記事の案内がある。

1位は HIV Treatment as Prevention で、抗レトロウイルス薬 (Antiretroviral drugs) 療法でパートナーへのHIV感染リスクを96%減らせることを示した臨床試験が選ばれた。

本年5月に、米ノースカロライナ大医学部のMyron Cohen所長率いる国際研究チーム(HIV Prevention Trials Network)が発表した。

日本から2つが入った。

Hayabusa

小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の分析で、太陽風が小惑星を変色させることが分かった。
The samples helped to settle the mystery about why asteroids are a different colour than most of the meteorites that fall to Earth (answer: the solar wind has discoloured the asteroids).

Photosystem II

神谷信夫・大阪市立大教授や沈建仁・岡山大教授らが、植物の光合成を担うタンパク質の働きを解明した。 

光合成のうち、酸素と電子などを発生させる水分解の過程は、葉緑体に含まれるタンパク質複合体で行われていることが判明しているが、沈教授らが藻類からタンパク質複合体だけを取り出して純度の高い結晶を精製。これを神谷教授らが大型放射光施設「スプリング8」に持ち込み、構造を解析した。

タンパク質複合体が水を分解する根幹部分には、マンガン原子4個、カルシウム原子1個、酸素原子5個が歪んだ椅子の形に結合していたという。

同じ化学構造の触媒を人工的に作ることができれば、「人工光合成」として太陽光から電気を効率よく取り出せる可能性が生じるといい、神谷教授は「エネルギー問題を一気に解決する足がかりになれば」と話している。 

 

その他は以下の通り。

Ancient Interbreeding

2010年に発表されたヨーロッパ人とアジア人がDNAの2~6%をネアンデルタール人から受け継いでいるとの研究成果に引き続き、ネアンデルタール人との性交渉が現生人類の免疫機能を高めたことが新分析で分かった。

Pristine Gas

ビックバンから数億年後の初期宇宙に見られるような原始的な水素ガス雲が発見された。

Microbiome

人間の腸に宿る微生物には、高たんぱく食を好むものと野菜を好むものの2種類がいることが分かった。

Malaria Vaccine

アフリカで大規模な臨床試験が行われている世界初のマラリアワクチン「RTS,S」について、子供の感染リスクが半減したとする有望な初期結果が得られた。

Exoplanets

深宇宙で不思議な太陽系外惑星(主星を周回する密集した6個の大型惑星、主星の自転方向と反対の向きに公転する巨大ガス惑星、主星を持たないと見られる10個の惑星、主星が2つある惑星など)の発見が相次いだ。

Designer Zeolites

多孔質の天然鉱石ゼオライトの孔の大きさを変更し、薄くて安価な皮膜を開発した。

Senescent Cells

マウスの実験で、老化細胞を体内から取り除くと白内障の発症や筋力の衰えが遅れることが分かった。古い細胞を除去すると生活の質を向上できる可能性が示された。

 

 

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