米国の液晶ディスプレイ価格カルテル、民事訴訟でも多額の和解金

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2011年12月、液晶ディスプレーの販売価格で国際カルテルを結んでいたとして、米国の消費者らが起こした集団訴訟で、シャープや韓国サムスン電子など日本・韓国・台湾の主要液晶メーカー7社が、総額538百万ドルの和解金の支払いで合意した。

12月初めには8社が液晶ディスプレーの直接需要家に対し、合計388百万ドルの和解金の支払いで合意している。

2008年に最初の3社が国際カルテルを認め、罰金支払いで司法省と合意して以来、日本・韓国・台湾の8社は司法省に罰金を払うほか、役員22人が起訴された(そのうち多くが禁固刑と罰金刑を受けた)。

これに加え、直接の需要家からの集団訴訟と、最終消費者を代表する各州からの集団訴訟で二重に和解金の支払いを余儀無くされた。

シャープの場合、合計で340.5百万ドルとなる。
韓国の
Samsung ElectronicsはLeniency制度により米国とEUの独禁法に基づく罰金は免除されたが、米国での民事訴訟では322.7百万ドルの和解金を払わされることとなった。

単位:百万ドル
       米 独禁法    直接需要家
('11/12/7)
消費者
('11/12/28)
時期     罰金
Samsung Electronics   Leniencyで免責   82.7 240.0
LG Display 2008/11 400  75 合意出来ず
Chunghwa Picture Tubes
中華映管(台湾)
65 金額不明 5.3
シャープ 120  105 115.5
日立ディスプレイズ 2009/3 31 金額不明 38.9
エプソンイメージング
デバイス
2009/8 26 金額不明 2.8
Chimei Innolux(CMI)
奇美電子(台湾)
2009/12 220 78 110.3
HannStar Display
瀚宇彩晶(台湾)
2010/6 30 金額不明  25.6
合計   892 388                    538
他に役員など22人起訴   他に
      罰金    14

 

付記

台湾のAU Optronics は4月に、韓国のLG Displayは5月1日に、それぞれ消費者との間で和解した。金額は非公開。

付記

シャープは7月9日、TFT液晶事業に関し、北米・欧州において提起されている損害賠償を求める民事訴訟のうち、Dell, Inc.ほか2社からの民事訴訟について、総額198.5百万米ドルの和解金で和解することに合意したと発表した。

同社は上記の通り、多額の和解金で和解したが、「カルテルに関する欧州委員会の調査が続いているほか、民事訴訟もまだ残っている」としている。

ーーー

米司法省は2008年11月、液晶パネルの販売を巡る国際価格カルテルで、3社が罪を認め、合計585百万ドルの罰金を支払うことに同意したと発表した。

韓国のLG Display と台湾のChunghwa Picture Tubes(中華映管)は、台湾・韓国・米国でTFT-LCD パネルの価格を協定した。
シャープ は、
DellAppleMotorola 向けのTFT-LCDパネルの価格を日米の他社と協定したとされる。

米司法省は2009年3月、日立製作所子会社のHitachi Displaysが関与していたことを認め、31百万ドルの罰金を支払うことに同意したと発表した。 Dell Inc 向けのTFT-LCDパネルが対象。

2009年8月、Epson Imaging DevicesがMotorolaの携帯電話向けで26百万ドルの罰金支払いで、2009年12月には台湾のChimeiが220百万ドルの罰金支払いで同意した。

2010年6月には台湾のHannStar Display(瀚宇彩晶)が30百万ドルの罰金支払いで同意し、罰金額は7社合計で 892百万ドルとなった。

なお、韓国のSamsung ElectronicsはLeniency制度で罰金を免除された。

シャーマン法では、罰則は法人の場合には1億ドル以下の罰金、自然人の場合には100 万ドル以下の罰金若しくは10 年以下の禁錮又はこれらの併科となっている。ただし、罰金額は、違反行為によって自らが得た利得の2倍の額又は違反行為によって被害者に与えた損害の2倍の額まで引き上げることができる。

また、各社の役員など22人が起訴された。

明細は不明だが、Chunghwa Picture Tubesの3人は禁固6~9か月で罰金2万~5万ドル、LGの1人は禁固7か月で罰金2.5万ドルとなっている。(両社とも、ほかにも起訴されている)

日立ディスプレイでも一人が起訴された。(判決はないため、日本在住のままの時効中断と思われる)

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液晶パネルカルテルに関しては、日本の公正取引委員会や、韓国、EUの当局も調査した。

公取委は2008年12月18日、任天堂の「ニンテンドーDS Lite」に用いられる液晶モジュールについて、シャープと日立ディスプレイズの2社が価格を統制したとして、両社に排除措置命令、シャープに2億6,107万円の課徴金の納付命令を出した。

公正取引委員会は2009年3月、両件について審判手続を開始した。
日立ディスプレイズから2009年9月25日、審判請求の取下げがあり、同社に対する排除措置命令は確定した。

シャープについては審判手続きが継続している。

EUは2010年12月、液晶表示装置パネルで価格カルテルを結んでいたとして、韓国・台湾のLCDパネルメーカー5社に対し、総額6億4890万ユーロの制裁金を科した。

  千ユーロ Leniency reduction
Samsung 0 100%
LG Display 215,000 50% and "partial immunity" for 2006
AU Optronics
友達光電(台湾)
116,800 20%
Chimei InnoLux 300,000  
Chunghwa Picture Tubes

9,025

5%
HannStar Display 8,100  
合計 648,925  

韓国公取委は2011年10月末、下記の液晶ディスプレイメーカー6社に対し、194 billion won(1億7600万ドル)の罰金を科した。

韓国 Samsung Electronics  97.2 billion won
LG Display  65.5 billion won
台湾 AU Optronics   金額不明  
Chimei Innolux   金額不明
Chunghwa Picture Tubes   金額不明
HannStar Display   金額不明
合計    194 billion won

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これに対し、AT&T、Nokia、Dell等、LCDパネルの需要家が相次いで訴訟を起こした。
米国独禁法上は
Samsung ElectronicsはLeniency制度で罰金が免除されたが、これは民事訴訟には関係なく、同社も訴えられた。

2011年12月初め、8社が直接需要家に対し、合計388百万ドルの和解金の支払いで合意した。

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これとは別に、2010年8月、NY州のクオモ司法長官は日本、韓国、台湾などの液晶ディスプレーパネルメーカー20社を、価格カルテルを組んでいたとしてニューヨーク郡の最高裁判所に訴えを起こした。

同司法長官は、多くの消費者が不当に高い価格で購入せざるを得なかったとし「消費者が違法に多く支払わされた分を取り返すために訴えを起こした」と述べた。

これに続き、多くの州が訴えを起こした。

これについて、 2011年12月末、シャープや韓国サムスン電子など日・韓・台の主要液晶メーカー7社が、総額538百万ドルの和解金の支払いで合意した。 7社のうち5社が計14百万ドル以上の罰金を支払うことでも合意した。

和解金のうち、37百万ドルは各州政府や公的機関などに払われ、残りの501百万ドルは1999年1月~2006年12月に対象商品を買った米国の24州とコロンビア特別区の消費者に返金される。各州は返金方法を後日通知するとしている。

なお、LG Displayは和解金の金額をめぐり主張の差が埋まらず、今後は金額の確定に向けた交渉を行うことになる。

 

 

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