S&P、欧州金融安定基金の長期債の格付けを引下げ

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米格付け会社S&Pは1月16日、欧州金融安定基金(EFSF)の長期債の格付けを最上級のAAAから1段階引き下げ、AA+にすると発表した。

「EFSFの保証提供国やEFSF債券を裏付ける証券の信用度が低下しており、これを相殺するだけの信用補完が現時点では行われていない」と指摘した。

 

2010年5月に設立されたEFSF はユーロ圏各国の政府保証を受けて4400億ユーロの債券発行が可能だが、最上級の格付けを維持するためには、そのうち格付けがAAAの6か国の2554億ユーロしか貸し出すことができなかった。

ギリシャ危機を受け、EUは2011年6月に、融資可能金額を引き上げることを目的に、EFSFの拡充を決定した。スロバキアが10月に一旦は反対を決め、その後賛成し、成立した。

ユーロ圏各国が政府保証をつける金額を7800 億ユーロに引き上げ、このうち、AAA格付け6か国の合計は4515億ユーロとなった。

2011/11/7   EU 金融危機

しかし、フランスとオーストリアがAA+に格下げされると、残りのAAA格付け4か国の合計は2714億ユーロと4割減となる。 

各国が負担する保証負担額は以下のとおり。(100万ユーロ)  

  保証負担額 拡大後 S&P決定後
オーストリア 12,241    21,639 (その他へ)
フィンランド 7,905 13,974 13,974
フランス 89,657 158,488 (その他へ)
ドイツ 119,390 211,046 211,046
ルクセンブルグ 1,101 1,947 1,947
オランダ 25,144 44,446 44,446
AAA格付 6か国
  合計

255,439

451,540
AAA 4か国    271,413
その他 184,561 328,243 508,370
合計 440,000 779,783 779,783

現在のところ、他の格付け会社のMoody'sとFitchはEFSFの格付けをAAA相当を維持しており、EFSFのレグリング最高経営責任者は、EFSFの実質融資能力を維持する方針を表明している。

しかし、他の2社が格下げをした場合、実質融資能力の維持のためには、以下の方法しかない。

1)低い格付けで債券を発行。

2)AAA格付けの4か国が保証枠を積み上げる。

S&Pでは「AAA格付けを有する保証提供国やAAAの証券により、EFSFの長期債務が完全に裏付けられているとわれわれが十分に判断できる水準までEFSFが信用を補完することができれば、EFSFの長期格付けをAAAに戻す可能性が高い」としている。

1)の場合は金利が上がり、被援助国の負担がさらに増える。
2)については、4か国が受け入れる可能性は少ない。

EFSFは1月17日に6カ月債 約15億ユーロの入札を実施したが、この日の入札はスムーズで、182日物の平均落札利回りは0.2664%。応札倍率は3.1倍と昨年12月13日の3カ月物入札時とほぼ同等だった。

 

 

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