ExxonMobil とPDVSAの争い

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ExxonMobil とベネズエラ国営石油会社Petroleos de Venezuela, S.A. (PDVSA)の間のベネズエラによる石油の国有化を巡る争いで、2011年12月、国際商業会議所はPDVSA側に非常に有利な決定を行った。

2007年にベネズエラは石油の国有化を決め、各石油会社は国営石油会社 PDVSAと条件交渉を行なった。
Chevron、Total、BP、StatoilHydroはPDVSAの条件を呑み、Minority partner として操業を続けることとした。

しかし、Exxon Mobil はこれを拒否した。同社は油田国有化で損害を被ったとして補償を求めて訴訟を行い、米欧の裁判所は2008年に同国が支払いに応じなかった場合に備え、PDVSAが海外に保有する資産を差し押さえる命令を下した。

米ニューヨーク連邦地裁は3億ドルの現金、英裁判所は120億ドルまでの資産の差し押さえを命じた。

既報の通り、PDVSAは米国に子会社CITGOを持つが、社債等が大きく、社債権者が優先権を持つことから除外された。

その後、英裁判所はPDVSAの資産(120億ドルまで)の凍結命令を撤回した。判事は、このような凍結命令は稀であり、重大な国際的不正の強い証拠があるときに出されるが、今回のケースはそのようなものではないとした。
PDVSAは英企業でないうえ、英国内にまとまった資産を保有していないというPDVSAの主張も認めた。

ExxonMobilは世界銀行付属の国際投資紛争解決センター(ICSID)に提訴した。これに対し、ベネズエラ側はパリに本部を置く国際商業会議所(ICC)に問題を提起した。

ICSID ( International Centre for Settlement of Investment Disputes )  は、「国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約」のもとに設立された。この条約は1965年に署名が開始され、翌1966年に発効した。

2011年12月の国際商業会議所の裁定は、PDVSAがExxonMobil にネットで746.9百万ドルを支払うというもので、接収資産の簿価にほぼ等しい。

裁定額は907.6百万ドルだが、PDVSAのExxonMobilへの債権(ロイヤリティや税金)161百万ドルを控除した。

907.6百万ドルは1997年に両社で結ばれた契約に基づくもので、1997年の原油価格(27ドル/bbl)を基に、2035年までの失われた収益を高い割引率で現在価値に換算したものであり、資産の評価額ではない。

PDVSAはこの裁定を受け入れ、この額からNew York で凍結されている300百万ドルとExxonのベネズエラ子会社の債務191百万ドルを除外し、残りの255百万ドルを支払うとしている。

ExxonMobilは当初、接収資産の補償として120億ドルの資産の差し押さえを求めたが、英国裁判所が凍結命令を撤回したため、2010年に70億ドルを要求して仲裁を求めた。今回の裁定はExxonMobilの要望の1/10に過ぎない。

ExxonMobilはこの裁定に同意せず、ICSIDの判断を待つ構え。

チャベス大統領は1月8日の国営テレビ番組で、ExxonMobilが過去50年間、税金も払わず大もうけしてきたと指摘し、120億ドルの要求の不当性を訴えた。

米国が決定的な影響力をもつICSIDがいかなる裁定を下そうとも、ベネズエラとしては従わず、場合によってはICSIDからの脱退もありうることを示唆した。

 

 

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