サウジ、Jubail地区の大規模石化計画を承認

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サウジ政府のJubail/Yanbu王立委員会は2月12日、Jubail Industrial Cityでの総額212億サウジリアル(56.5億米ドル)の石化計画を承認、調印式が行われた。

1)Kemya(Al Jubail Petrochemical Company:SABIC/ExxonMobil JV)

EPDM、合成ゴム、カーボンブラック計画(120億サウジリアル)

このプロジェクトはブチルゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、EPDM、熱可塑性特殊ポリマー、カーボンブラックを合計年間40万トン生産するもので、新興の国内市場やアジア・中東の海外市場に供給する。

サウジアラビアの国家産業クラスター開発計画庁と提携して職業訓練センターと製品応用開発・サポートセンターの設立も行い、サウジアラビアの製造業の発展と多角化を図る。

このうち、カーボンブラック製造技術についてはContinental Carbonから、SBRおよびポリブタジエンゴム技術についてはGoodyear Tyre and Rubber から技術導入した。

2011年5月にJacobs Engineering と三井造船との間で基本設計(FEED)契約を締結した。

2)Jubail Chemical Industries Company (JANA)

既存製品の増強及び新製品の生産のためのコンプレックス(30億サウジリアル)
能力60万トンとされるが、内容は不明。

JANAは現在、Jubailで
Epoxy Resinsを幅広く生産している。
中東・アフリカでの唯一のEpoxyメーカーで、既存能力及び計画は以下の通り。

 既存能力 6万トン(Huntsman Advanced Materialsから技術導入、元はCiba-Geigy技術)

 計画  +6万トン(2012/6)
     +12万トン(2017) 
     原料エピクロルヒドリン増設 (+9万トン)

3)Saudi International Petrochemical Co. (SIPCHEM)

EVA/LLDPE 20万トン計画(28億サウジリアル)

同社の第3期計画の追加で、ExxonMobil の高圧法LDPE技術を導入、本事業を韓国のHanwha Chemical とのJV(Sipchem 75%、Hanwha 25%)とすることで合意したと発表している。

2010/8/12 サウジのSipchem、酢酸エチルを事業化

4)National Industrialization Co. (Tasnee)

高吸水性樹脂 8万トン計画(14億サウジリアル)

Evonikは2011年8月、Tasnee とSahara Petrochemicalsのアクリル酸系製品の統合会社の Saudi Acrylic Acidとの間で、高吸水性樹脂を製造するJVのSaudi Acrylic Polymersを設立する契約に調印した。
出資比率は明らかにされていない。(他のJVの例からみると、Evonikの出資比率は25%か?)
工場はAl Jubail chemical parkのTasneeの工場に立地し、能力は年産80千トン。2013年下期のスタートアップを目指す。

2011/8/31 Evonikも高吸水性樹脂を増強 

Tasnee、Saharaについては、
2006/5/13 サウジの民間ポリオレフィン計画

 

5)Saudi Arabian Fertilizer Co. (SAFCO)

尿素 367万トン計画 (20億サウジリアル)

 

 

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コメント(2)

ご存知であれば教えて頂きたいのですが、

サウジアラビアって、なぜ新しく油田を開発しないのでしょうか?
専門家は彼の地には地層学的に、まだまだ「在来型」の原油が眠っており、深海とかシェールとかオイルサンドなどと比較にならないほどコストは安く採れると指摘しています。

BrentもWTIも100ドルを超えていますので、サウジが産出する原油は高採算なはずです。中国なんていくらでも買ってくれそうなのに。

もっともサウジが本気を出すと、相場が崩れるという側面も残りますが、そうなると困るのはカナダとかブラジルなので、75ドルがフェアバリューだと言っているのなら(最近100ドルと言い始めたが)、他国を引き離すチャンスに見えます。

サウジにとり、原油価格の安定が最重要です。
貴重な資源を乱売して価格を乱すようなことをするとは思えません。

2008年7月に過去最高の147.27ドルをつけた原油(WTI)は半年もたたない12月には32.40ドルまで下落しました。
原油価格が下落した場合、OPECが生産調整しても、各国とも国内経済の維持のために一定の収入は必要なため、各国が枠を超えて増産し、値上げは困難です。


2008年の下落時にアブドラ国王は1バレル75ドルが適正価格とした。
その後、アラブの春を受け、国王は昨年、サウジ石油収入の50%超に匹敵する総額1290億ドル余の2つのばらまき政策を実施すると発表した。

昨年12月、サウジのヌアイミ石油相は2008年の国王発言を修正し、100ドル台の原油価格を維持する方針を明確にした。「原油価格を100ドル前後で安定的に維持することが、わが国には望ましい。平均100ドルの水準を維持できれば世界経済も上向く」と述べた。

IMFもサウジ、アラブ首長国連邦、イラン、イラクの財政均衡には1バレル80~100ドルの水準が必要と推定している。

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